JP7200510B2 - 配向方法及び光配向装置 - Google Patents
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このような短波長化のため、グリッド偏光素子も、以前はアルミのような金属をグリッド材料とした反射型のもの(ワイヤーグリッド偏光素子)が使用されていたが、短波長域での光の吸収を利用した吸収型のグリッド偏光素子が開発され、使用されている。
波長172nmの真空紫外光を真空紫外光偏光素子に照射して得られた波長172nmの真空紫外光の偏光光をワークに照射することで配向層を形成する方法であり、
真空紫外光偏光素子は、波長172nmの真空紫外光に対して透明な基板上に平行に延びる多数の線状部より成るグリッドが設けられた構造であって、グリッドの各線状部は酸化ハフニウムで形成され、各線状部の間には充填物が設けられていない構造を有しており、
ワークを真空紫外光偏光素子に対して1mm以上20mm以下の位置に配置し、この位置のワークに対して波長172nmの真空紫外光の偏光光を照射するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項2記載の発明は、前記請求項1の構成において、キセノンエキシマランプから前記波長172nmの真空紫外光を放射させて前記真空紫外光偏光素子に照射し、得られた波長172nmの真空紫外光を前記ワークに照射することにより前記配向層を形成するという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項3記載の発明は、前記請求項1又は2の構成において、前記真空紫外光偏光素子を、不活性ガスで置換された空間に配置しながら行うという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項4記載の発明は、
波長172nmの真空紫外光を放射する光源と、
光源からの真空紫外光を偏光させる真空紫外光偏光素子と、
真空紫外光偏光素子により偏光された真空紫外光の照射領域にワークを搬送する搬送系と
を備え、照射領域においてワークに照射される真空紫外光によりワークに配向層を形成する光配向装置であって、
真空紫外光偏光素子は、
波長172nmの真空紫外光に対して透明な基板と、基板上に設けられたグリッドとを備えており、
グリッドは平行に延びる多数の線状部より成るものであって、グリッドは酸化ハフニウムで形成され、各線状部の間は空間であって充填物が設けられていない構造であり、
照射領域は、真空紫外光偏光素子に対して1mm以上20mm以下の距離の位置であり、搬送系はこの位置にワークを搬送する系であるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項5記載の発明は、前記請求項4の構成において、前記光源はキセノンエキシマランプであるという構成を有する。
また、上記課題を解決するため、請求項6記載の発明は、前記請求項4又は5の構成において、前記真空紫外光偏光素子が配置された空間を不活性ガスで置換された空間とする雰囲気制御手段が設けられているという構成を有する。
そして、真空紫外光の偏光光により光配向がなされるので、配向処理の効率がより高くなる。この際、高い偏光性能が長期間安定して得られるので、良好な配向処理を長期間安定して行うことができる。
また、請求項3又は6記載の発明によれば、グリッドの酸化がさらに抑えられ、長期間安定して高い偏光性能を得る効果がさらに高くなる。
図1は、実施形態に係る真空紫外光偏光素子の斜視概略図である。図1に示す真空紫外光偏光素子は、透明基板1と、透明基板1上に設けられたグリッド2とを備えている。
透明基板1は、対象波長(偏光素子を使用して偏光させる光の波長)に対して十分な透過性を有するという意味で「透明」ということである。この実施形態では、200nm以下の真空紫外域の波長を対象波長として想定しているので、透明基板1の材質としては石英ガラス(例えば合成石英)が採用されている。透明基板1は、グリッド2を安定して保持する機械的強度や、光学素子としての取り扱いの容易性等を考慮し、適宜の厚さとされる。厚さは、例えば0.5~10mm程度である。
真空紫外光偏光素子の各線状部3の材料についてまず検討を要するのは、耐酸化性である。周知のように、真空紫外光は、空気中の酸素分子に多く吸収され、酸素ラジカル、オゾン、ヒドロキシラジカルといった高い酸化作用を持つ種を豊富に作り出す。このため、各線状部3の材料の耐酸化性が低いと、真空紫外光の偏光用に用いた場合、短期間のうちに各線状部3が酸化し、特性が変化してしまう。特性の変化は、透過率や消光比といった偏光特性が期待されたように得られなくなる、即ち劣化として現れる。
図2に示すように、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化イットリウムは、酸化シリコンに比べて標準ギブスエネルギーが低くなっており、酸化安定度が高いことがわかる。したがって、これらの材料が、真空紫外光偏光素子のグリッド材料の候補となり得る。
前述したように、グリッド偏光素子は、縞状構造において屈折率のコントラストが高いことが必要である。この実施形態では、各線状部の間(ギャップ)には充填部はなく、空気であるので、空気(屈折率≒1)に対してより大きな屈折率差を持つ材料であることが必要である。この点に関し、図3(1)に示すように、酸化チタンや酸化ジルコニウムは、200nm以下の真空紫外域において、屈折率はほぼ2以下であり、2を超えることはほぼない。
酸化ハフニウムや酸化イットリウムのような遷移金属酸化物は、金属・ハロゲン化合物となった際の揮発性が低く、また金属・酸素間結合が強いため、一般に難加工材として知られている。それでも、酸化ハフニウムは、半導体デバイスにおけるゲート絶縁膜の材料としても検討がされており、BCl3系プラズマによりエッチングが可能である。今後、半導体デバイス製造用の装置として酸化ハフニウムエッチング装置が開発されれば、それを転用することも可能になると考えられる。一方、酸化イットリウムは、フルオロカーボンプラズマに対して高い耐性を示すとの報告もあり、プラズマエッチング装置内でプラズマに晒される部位の保護膜としての利用も検討されている。このため、酸化イットリウムは、加工性の点で酸化ハフニウムに比べて劣る状況は今後も続くと推測される。即ち、加工性の観点も付け加えると、酸化ハフニウムが真空紫外光偏光素子のグリッド材料の候補として残ることになる。
真空紫外光偏光素子は、非偏光の真空紫外光の入射側にグリッド2が位置し、出射側に透明基板1が位置する姿勢で配置される。非偏光の真空紫外光は、グリッド2の各線状部3及び各ギャップ4を高さ方向に伝搬する過程で、s偏光光が選択的に吸収・減衰する。このため、透明基板1を透過して出射する真空紫外光は専らp偏光光のみとなる。
図4は、実施形態の真空紫外光偏光素子の製造方法について示した概略図である。実施形態の真空紫外光偏光素子を製造する場合、中間的な構造として犠牲層を形成するプロセスが好適に採用される。図4は、このプロセスの一例となっている。
次に、レジストパターン52をマスクにして膜51をエッチングし、その後レジストパターン52をアッシングして除去する。これにより、図4(2)に示すように犠牲層53が形成される。エッチングは、透明基板1に対して垂直な方向の異方性エッチングである。犠牲層53も縞状であり、平行に延びる多数の線状部で形成されている。
図5は、実施形態の真空紫外光偏光装置の正面断面概略図である。図5に示す真空紫外光偏光装置は、真空紫外光偏光素子6と、真空紫外光偏光素子が配置された空間を不活性ガスで置換する雰囲気制御手段7とを備えている。
また、光源が容器71内に配置された構成、即ち光源と偏光装置とがセットになった構成が採用されることもある。この場合、容器71はいわゆるランプハウスに相当する部材となる。
図6は、実施形態の真空紫外光偏光素子を搭載した光配向装置の正面概略図である。図6に示す光配向装置は、液晶ディスプレイ用の光配向層を得るための装置であり、対象物(ワーク)10に真空紫外光の偏光光を照射することで、ワーク10に光配向層を形成する装置である。この装置は、真空紫外光を放射する光源81を含むランプハウス8と、真空紫外光偏光素子6と、真空紫外光の照射領域Rにワーク10を搬送するワーク搬送系9とを備えている。
尚、ランプハウス8内は、真空紫外光の吸収を抑えるため、窒素ガスパージされる場合がある。窒素ガスは、真空紫外光偏光素子6の冷却や真空紫外光偏光素子6へのシロキサン等の異物付着防止の目的で流されることもある。
ワーク10は、不図示のロード用ロボットによりステージ91に載置され、ワーク搬送系9により搬送されて照射領域Rを通過する。照射領域Rには、真空紫外光の偏光光が照射されており、ワーク10は、この光により配向処理がされる。配向処理がされたワーク10は、ステージ91がロード位置に戻った際にロード用ロボットによりステージ91から取り去られるか、又は反対側に設置されたアンロード用ロボットによりステージから取り去られる。
尚、ワーク10の幅(図6の紙面垂直方向の長さ)より長い照射領域Rに真空紫外光の偏光光が照射されるが、ワーク10への照射量は、搬送方向の照射領域Rの長さと照射領域Rを通過する際の速度、及び照度によって決まる。この照射量は、40mJ/mm2~4000mJ/mm2程度とすることが好ましい。40mJ/mm2より少ないと照射量が不足して光配向が不十分となる恐れがある。4000mJ/mm2より多いと、真空紫外光の高いエネルギーによってワーク10が劣化してしまう恐れがある。
また、光配向装置については、シート状の膜材がワークとなる場合もある。この場合には、ロールツーロールの搬送方式によりワークを搬送する機構がワーク搬送系として採用され得る。
2 グリッド
3 線状部
4 ギャップ
53 犠牲層
6 真空紫外光偏光素子
7 雰囲気制御手段
71 容器
72 不活性ガス導入系
8 ランプハウス
9 ワーク搬送系
10 ワーク
Claims (6)
- 分子構造に一定の方向性が与えられた配向層をワークに形成する配向方法であって、
波長172nmの真空紫外光を真空紫外光偏光素子に照射して得られた波長172nmの真空紫外光の偏光光をワークに照射することで配向層を形成する方法であり、
真空紫外光偏光素子は、波長172nmの真空紫外光に対して透明な基板上に平行に延びる多数の線状部より成るグリッドが設けられた構造であって、グリッドの各線状部は酸化ハフニウムで形成され、各線状部の間には充填物が設けられていない構造を有しており、
ワークを真空紫外光偏光素子に対して1mm以上20mm以下の位置に配置し、この位置のワークに対して波長172nmの真空紫外光の偏光光を照射することを特徴とする配向方法。 - キセノンエキシマランプから前記波長172nmの真空紫外光を放射させて前記真空紫外光偏光素子に照射し、得られた波長172nmの真空紫外光を前記ワークに照射することにより前記配向層を形成することを特徴とする請求項1記載の配向方法。
- 前記真空紫外光偏光素子を、不活性ガスで置換された空間に配置しながら行うことを特徴とする請求項1又は2記載の配向方法。
- 波長172nmの真空紫外光を放射する光源と、
光源からの真空紫外光を偏光させる真空紫外光偏光素子と、
真空紫外光偏光素子により偏光された真空紫外光の照射領域にワークを搬送する搬送系と
を備え、照射領域においてワークに照射される真空紫外光によりワークに配向層を形成する光配向装置であって、
真空紫外光偏光素子は、
波長172nmの真空紫外光に対して透明な基板と、基板上に設けられたグリッドとを備えており、
グリッドは平行に延びる多数の線状部より成るものであって、グリッドは酸化ハフニウムで形成され、各線状部の間は空間であって充填物が設けられていない構造であり、
照射領域は、真空紫外光偏光素子に対して1mm以上20mm以下の距離の位置であり、搬送系はこの位置にワークを搬送する系であることを特徴とする光配向装置。 - 前記光源はキセノンエキシマランプであることを特徴とする請求項4記載の光配向装置。
- 前記真空紫外光偏光素子が配置された空間を不活性ガスで置換された空間とする雰囲気制御手段が設けられていることを特徴とする請求項4又は5記載の光配向装置。
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