JP7198690B2 - 灌流装置 - Google Patents

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本発明は、臓器を灌流保存するための灌流装置に関する。
臓器移植などの各種の手術において、摘出された臓器を移植可能な状態で保存するため、種々の保存方法や灌流方法が開発されている。摘出した臓器を保存するためには、例えば、細胞の代謝を抑制するために臓器内血液を低温の臓器保存液に置き換えてから、低温の保存液に浸漬する単純冷却法が知られている。また、保存している臓器内の老廃物の除去を目的として、臓器内血管網に灌流液を灌流させる灌流保存法が知られている。
移植用の臓器は、ドナーから摘出された後、レシピエントへの手術を行う場所まで運搬する必要がある。灌流を行いながら臓器を運搬するための装置については、例えば、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の灌流装置では、pHや溶存酸素量等のセンシングおよび調整を行うために、複雑な制御系を構築している。
特表2017-518301号公報
レシピエントへの臓器の移植手術において、臓器に灌流液の灌流を継続したままレシピエントへ臓器を移植すれば、臓器の阻血時間を短縮し、移植手術の成功率を向上することができる。
しかしながら、特許文献1に記載の灌流装置を用いると、臓器の環境を厳密に制御できる一方で、装置が大型化する。このような大型の装置は、ドナーへの移植手術を行う際に、術野の周辺に配置することが困難である。したがって、臓器の運搬後、運搬に用いた灌流装置による灌流を継続したまま、移植手術を行うことが困難である。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、小型かつ温度管理可能な灌流装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、臓器に灌流液を灌流する灌流装置であって、上下方向に積層される、臓器収容部および熱管理部と、前記臓器収容部および前記熱管理部の表面を覆うケーシングと、前記灌流液を送液するためのポンプと、を有し、前記臓器収容部は、前記熱管理部の上側に配置され、前記臓器収容部は、前記臓器を収容する臓器リアクターを有し、前記熱管理部は、上下方向に積層される、蓄熱材と、前記蓄熱材の上下方向一方側に隣接し、内部に前記灌流液を貯留する灌流液リザーバと、前記蓄熱材の上下方向他方側に隣接し、内部を通過する液体の熱交換を行う熱交換部と、を有し、前記蓄熱材、前記灌流液リザーバ、および前記熱交換部はそれぞれ、水平方向に扁平に拡がり、上下方向の高さが水平方向の幅よりも小さい。
本願の第2発明は、第1発明の灌流装置であって、前記灌流液リザーバは、袋状のソフトバッグである。
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の灌流装置であって、前記蓄熱材は、外気温よりも低い温度に冷却された冷却材であって、前記灌流液リザーバが、前記蓄熱材の下側に配置され、前記熱交換部が、前記蓄熱材の上側に配置される。
本願の第4発明は、第1発明ないし第3発明のいずれかの灌流装置であって、前記ケーシングは、断熱部材で形成され、前記熱管理部の底面と、前記臓器収容部および前記熱管理部の側面とを覆う断熱部と、前記臓器リアクターの上面の少なくとも一部を覆う、透明カバーと、を有する。
本願の第5発明は、第1発明ないし第4発明のいずれかの灌流装置であって、前記ポンプは、前記ケーシングの側面に固定される。
本願の第6発明は、第1発明ないし第5発明のいずれかの灌流装置であって、前記ポンプの駆動源は、電池であり、前記電池は、前記臓器リアクターと上下方向の位置が重なる。
本願の第1発明から第6発明によれば、蓄熱材の上下に灌流液リザーバおよび熱交換部を配置することにより、効率よく灌流液の温度管理を行うことができる。一方、熱管理部の各部を扁平な形状とし、積層構造とすることにより、熱交換効率を向上させつつ、灌流装置全体を小型化することができる。
特に、本願の第2発明によれば、灌流液リザーバと蓄熱材とが密着しやすい。これにより、灌流液リザーバ内の灌流液と蓄熱材との間の熱交換効率が向上する。
特に、本願の第3発明によれば、灌流液を冷却する場合に、灌流液の冷却効率をより高めることができる。
特に、本願の第4発明によれば、臓器リアクターの内部に収容した臓器の様子を観察できる。
特に、本願の第5発明によれば、ポンプ以外の部材をディスポーザブルとしやすい。
特に、本願の第6発明によれば、ポンプの駆動源を電池とすることにより、灌流装置を別の電源と接続する必要がない。このため、灌流装置を運搬しやすい。また、電池を臓器リアクターの横に収容することにより、デッドスペースを活用でき、灌流装置をさらに小型化することができる。
第1実施形態に係る灌流装置の構成を示した概略図である。 第1実施形態に係る灌流装置の斜視図である。 第1実施形態に係る灌流装置の分解斜視図である。 第1実施形態に係る灌流装置の断面図である。 移植手術の様子を示した概略図である。 第2実施形態に係る灌流装置の構成を示した概略図である。 第2実施形態に係るガス交換器の切断斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本願において「ドナー」および「レシピエント」は、ヒトであってもよいし、非ヒト動物であってもよい。すなわち、本願において、「肝臓」を含む「臓器」は、ヒトの臓器であってもよいし、非ヒト動物の臓器であってもよい。また、非ヒト動物は、マウスおよびラットを含む齧歯類、ブタ、ヤギおよびヒツジを含む有蹄類、チンパンジーを含む非ヒト霊長類、その他の非ヒトほ乳動物であってもよいし、ほ乳動物以外の動物であってもよい。
<1.第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る灌流装置1について、図1~図4を参照しつつ説明する。図1は、灌流装置1の構成を示した概略図である。図2は、灌流装置1の斜視図である。図3は、灌流装置1の分解斜視図である。図4は、灌流装置1の断面図である。なお、図2~図4において、後述する第1送液配管52、第2送液配管53および灌流配管54の図示が省略されている。
この灌流装置1は、ドナーから摘出した肝臓等の臓器9をレシピエントへ移植するまでの間、体外で一時的に保存するための装置である。灌流装置1は、臓器9を収容するととともに、当該臓器9に灌流液を供給して灌流を行う。図1に示すように、灌流装置1は、ケーシング20と、臓器収容部30と、熱管理部40と、送液部50とを有する。
ケーシング20は、臓器収容部30および熱管理部40を収容する筐体である。ケーシング20は、図2に示すように、箱状の筐体である。ケーシング20は、断熱部21と、透明カバー22と、側面カバー23とを有する。ケーシング20は、図3に示すように、上下方向に分割可能である。
断熱部21は、例えば、発泡スチロール等の断熱部材で形成される。図4に示すように、断熱部21は、上部に設けられた上開口211と、側部の一部に設けられた横開口212を有する。すなわち、断熱部21は、熱管理部40の底面と、臓器収容部30および熱管理部40の側面の一部と、臓器収容部30の上面の一部とを覆う。
断熱部21の上開口211には、透明カバー22が取り付けられる。また、断熱部21の横開口212には、側面カバー23が着脱可能に取り付けられる。このため、断熱部21および透明カバー22によって臓器収容部30および熱管理部40の全体が覆われる。
側面カバー23は、例えば、断熱部21と同様に断熱部材で形成される。なお、側面カバー23の材料は、必ずしも断熱部材でなくてもよい。横開口212は、熱管理部40の側部に設けられる。これにより、側面カバー23を取り外すと、横開口212を介して、後述する蓄熱材41および灌流液リザーバ42を交換することができる。
臓器収容部30と熱管理部40とは、上下方向に積層される。臓器収容部30は、熱管理部40の上側に配置される。臓器収容部30は、臓器9を収容するカップ状の臓器リアクター31を有する。ケーシング20の内部形状は、内周面が臓器リアクター31に沿うように形成されている。このため、臓器リアクター31をケーシング20内に収容する場合には、臓器リアクター31を上方からケーシング20内に嵌め込む。
臓器リアクター31の内部には、臓器9を浸漬するための保存液と、臓器9とが収容される。臓器リアクター31内に収容される保存液は、臓器9の内部に灌流される灌流液と同じ液体であってもよいし、ETK液、HTK液、UW液、生理食塩水、ラクテック等のその他の液体であってもよい。
上述の上開口211は、臓器リアクター31の少なくとも一部の上方に配置される。すなわち、透明カバー22が、臓器リアクター31の上面の少なくとも一部を覆う。これにより、臓器リアクター31内に収容された臓器9の様子を、透明カバー22を介して、灌流装置1の外部から観察することができる。
熱管理部40は、上下方向に積層される、蓄熱材41と、灌流液リザーバ42と、熱交換部43とを有する。蓄熱材41、灌流液リザーバ42および熱交換部43はそれぞれ、水平方向に扁平に拡がる。すなわち、蓄熱材41、灌流液リザーバ42および熱交換部43はそれぞれ、上下方向の高さが水平方向の幅よりも小さい。
蓄熱材41は、上下方向における、灌流液リザーバ42と熱交換部43との間に配置される。本実施形態では、臓器9に供給される灌流液を約4℃とするために、予め約0~4℃に冷却された蓄熱材41が用いられる。蓄熱材41には、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の高吸水性樹脂に水分を含ませたものが用いられる。蓄熱材41の外装は、箱状のものであってもよいし、袋状のソフトバッグであってもよい。
灌流液リザーバ42は、内部に灌流液を貯留する貯留部である。本実施形態の灌流液には、例えば、ラクテックや培地に赤血球を付加したものが用いられる。灌流液には、pH緩衝能力を持った灌流液が用いられることが好ましい。なお、灌流液には、その他の種類の灌流液が用いられてもよいし、赤血球が付加されていなくてもよい。
灌流液リザーバ42は、箱状のものであってもよいし、袋状のソフトバッグであってもよい。本実施形態の灌流液リザーバ42は、袋状のソフトバッグである。これにより、灌流液リザーバ42と蓄熱材41とが密着しやすい。したがって、灌流液リザーバ42内の灌流液と蓄熱材41との間の熱交換効率が向上する。
熱交換部43は、内部を流れる液体の熱交換を行うための部位である。本実施形態の熱交換部43は、図4に示すように、ナイロンシート431にシリコンチューブ432を接着させたものである。図3中においては、ナイロンシート431の図示が省略されている。
シリコンチューブ432は、上下方向に重ならないように、かつ、水平方向に密集するように配置される。シリコンチューブ432は、例えば、図3に示すように、つづら折り状に配置される。なお、図3では、シリコンチューブ432の折り返し前後の部位が互いに間隔を空けて配置されているが、実際には図4に示すようになるべく密集して配置されることが好ましい。シリコンチューブ432をできるだけ密集して配置することにより、蓄熱材41と接触するシリコンチューブの長さをできるだけ長くしている。このようにすれば、熱交換部43の内部を流れる灌流液と蓄熱材41との間の熱交換効率が向上する。
送液部50は、ポンプ51と、第1送液配管52と、第2送液配管53と、灌流配管54とを有する。第1送液配管52、第2送液配管53および灌流配管54は、例えば、シリコンチューブである。
ポンプ51は、灌流装置1内に灌流液の流れを生じさせ、灌流液を臓器9へと送液するためのポンプである。ポンプ51は、例えば、ブラシレスモータを搭載したチューブポンプである。チューブポンプでは、2つまたは3つのローラがチューブを圧縮しながら回転することによりチューブ内の液体が送液される。チューブポンプでは逆流が生じないため、ポンプ51にチューブポンプを用いることにより、ポンプ51の周囲に逆止弁を配置する必要がない。
ポンプ51は、ケーシング20の側面に固定される。このため、ポンプ51をケーシング20から取り外しやすい。したがって、ポンプ51以外の部分がディスポーザブルである場合に、ポンプ51を再利用しやすい。なお、ポンプ51にチューブポンプを用いる場合、灌流液が接触するチューブは交換容易であり、かつ、チューブにディスポーザブルチューブを用いることができる。
ポンプ51の駆動源には、ポンプ51に電力を供給する電池511が用いられる。電池511には、一般的な乾電池が用いられてもよいし、専用のバッテリーが用いられてもよい。このように、ポンプ51の電源を電池511とすることにより、灌流装置1を別の電源と接続する必要がない。このため、灌流装置1を運搬しやすい。
また、電池511は、臓器リアクター31の側方に配置される。すなわち、電池511は、臓器リアクター31と上下方向の位置が重なる。このように、電池511を臓器リアクター31の横に収容することにより、デッドスペースを活用でき、灌流装置1を小型化できる。
第1送液配管52は、灌流液リザーバ42と熱交換部43とを連通する配管である。ポンプ51の駆動時には、灌流液リザーバ42内の灌流液が第1送液配管52を介して熱交換部43へと供給される。
第2送液配管53は、熱交換部43と臓器9とを連通する配管である。第2送液配管53の一端は、熱交換部43と接続される。また、第2送液配管53の他端は、灌流装置1の使用時に、臓器9の灌流液流入用の血管と接続される。第2送液配管53の流路途中には、ポンプ51が介挿される。なお、ポンプ51は、第1送液配管52に介挿されてもよい。ポンプ51の駆動時には、熱交換部43において熱交換された灌流液が、第2送液配管53を介して臓器9へと供給される。
灌流配管54は、臓器9と灌流液リザーバ42とを連通する配管である。灌流配管54の一端は、灌流液リザーバ42と接続される。また、灌流配管54の他端は、灌流装置1の使用時に、臓器9の灌流液流出用の血管と接続される。ポンプ51の駆動時には、臓器9内の灌流液が灌流液リザーバ42へと灌流される。
上記の構成により、灌流装置1では、灌流液リザーバ42内において蓄熱材41によって冷却された灌流液が、熱交換部43においてより冷却され、臓器9へと供給される。
灌流液リザーバ42は、蓄熱材41の上下方向一方側に隣接する。また、熱交換部43は、蓄熱材41の上下方向他方側に隣接する。すなわち、灌流液リザーバ42と熱交換部43との双方が蓄熱材41と隣接して配置される。これにより、灌流液リザーバ42内において灌流液が蓄熱材41によって温度調整されるとともに、熱交換部43において、臓器9に供給前の灌流液の温度がより所望の温度に近い温度に調整される。
特に、本実施形態では、灌流液リザーバ42が蓄熱材41の下側に隣接する。また、熱交換部43が蓄熱材41の上側に隣接する。本実施液体では、蓄熱材41が外気温よりも低い温度であり、灌流液が蓄熱材41によって冷却される。このため、蓄熱材41から下方へ流れる冷気が灌流液リザーバ42へと向かう。したがって、灌流液リザーバ42が蓄熱材41の下方に配置されることにより、灌流液リザーバ42内に貯留された灌流液は、蓄熱材41と灌流液リザーバ42との接触による熱交換に加えて、蓄熱材41から下方へ流れる冷気によって冷却される。これにより、灌流液の容量が大きな灌流液リザーバ42において、効率よく灌流液が冷却される。
蓄熱材41、灌流液リザーバ42および熱交換部43はそれぞれ、水平方向に扁平に拡がる。これにより、互いに隣接する蓄熱材41および灌流液リザーバ42の接触面積と、蓄熱材41および熱交換部43の接触面積とを大きくできる。したがって、灌流液リザーバ42および熱交換部43内の灌流液と蓄熱材41との間の熱交換を効率よく行うことができる。
さらに、臓器収容部30の臓器リアクター31を熱管理部40と同じ空間内に配置することにより、臓器リアクター31の底面が熱管理部40に向けて露出される。このため、臓器リアクター31内の臓器9を、所望の温度に近い温度に調整できる。本実施形態では、特に、臓器リアクター31の底面が、熱管理部40の最上部に配置された熱交換部43と接触する。したがって、臓器リアクター31内の臓器9を、所望の温度により近い温度に調整できる。
以上のように、熱管理部40の各部41,42,43を扁平な形状として積層するとともに、さらに臓器収容部30と熱管理部40とも積層構造としている。これにより、臓器9に供給する灌流液の温度管理を可能としつつ、灌流装置1の全体を小型化することができる。具体的には、灌流装置1の大きさを、例えば、水平方向の大きさを縦約200mm、横約300mmとし、上下方向の高さを約300mmとすることができる。
図5は、臓器9をレシピエントへ移植する移植手術の様子を示した概略図である。図5には、医師や看護師等のスタッフ81が、レシピエント82の体内に臓器9を移植する様子が示されている。図5において、臓器9は、灌流装置1と接続され、灌流装置1から第2送液配管53を介して灌流液が供給されている。
図5に示すように、灌流装置1が小型であることにより、手術中に、術野の近傍に灌流装置1を配置できる。したがって、灌流装置1による灌流を継続したまま、臓器9をレシピエントへ移植する移植手術を行うことができる。その結果、臓器9の阻血時間を短縮し、臓器9の保存状態を向上することにより、移植手術の成功率を向上することができる。
この灌流装置1において、第2送液配管53の長さを2m程度とすることが好ましい。このようにすれば、灌流装置1内で灌流保存した臓器9を、配管を繋ぎ直すことなく、そのままレシピエントへの体内へと搬入することができる。このように、第2送液配管53を長くする場合、臓器9を灌流装置1内で灌流保存している間、第2送液配管の53の一部を渦巻き状に巻いて、臓器9とともに臓器リアクター31の内部に収容したり、臓器リアクター31の側方に収容したりしてもよい。第2送液配管53と同様に、灌流配管54についても、長さを2m程度としてもよい。
なお、移植手術時に灌流装置1による灌流を継続する場合であっても、灌流配管54の長さを必ずしも長くしなくてもよい。移植手術の間、灌流配管54の一端を灌流液リザーバ42から取り外して、使用後の灌流液を、レシピエントの腹腔内や別容器に排出するようにしてもよい。
<2.第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る灌流装置1Aについて、図6を参照しつつ説明する。図6は、灌流装置1Aの構成を示した概略図である。図6中、第1実施形態の灌流装置1と同様の構成については、灌流装置1と同じ符号が付してある。
この灌流装置1Aは、第1実施形態に係る灌流装置1の各構成に加えて、ガス交換器61Aを有する。ガス交換器61Aは、第2送液配管53内を流れる灌流液に、外部から供給される気体に含まれる酸素などの気体成分を付加するための機構である。ガス交換器61Aは、例えば、図6のように、臓器リアクター31の側方において、臓器リアクター31と同じ高さに配置される。
本実施形態の灌流装置1Aは、コンプレッサ62A、第1レギュレータ63A、および第2レギュレータ64Aから構成される気体供給機構60Aとともに使用される。気体供給機構60Aの構成は、その他の構成であってもよい。この気体供給機構60Aが供給する気体は、酸素を含む酸素ガスである。このため、ガス交換器61Aにおいて灌流液に酸素を付加するが、灌流液に付加される気体成分は、酸素に限られない。
ガス交換器61Aは、内部を通過する液体層と気体層との間で気体成分を交換する。ガス交換器61Aは、第2送液配管53に介挿される。図7は、ガス交換器61Aの切断斜視図である。ガス交換器61Aは、外筒部611Aと、内筒部612Aとを有する。外筒部611Aは、水に対しても酸素に対しても透過性を有さない素材で形成される。内筒部612Aは、水に対して透過性を有しておらず、かつ、酸素透過性を有する、いわゆる酸素透過膜により形成される。内筒部612Aは、例えば、フッ素ポリマーにより形成される。
このガス交換器61Aでは、内筒部612Aの内側が、第2送液配管53の内部を連通し、灌流液が通過する液体層である。また、内筒部612Aの外側かつ外筒部611Aの内側が、コンプレッサ62Aから第1レギュレータ63Aおよび第2レギュレータ64Aを介して酸素ガスが供給される気体層である。ガス交換器61Aには、気体層における圧力値を計測する圧力センサ613Aが備えられる。
内筒部612Aは、図7中に拡大して示したように、内側の表面が凹凸を有する。これにより、液体層を流れる灌流液と内筒部612Aとの接触面積が大きくなる。したがって、気体層に供給された酸素ガスに含まれる酸素分子が内筒部612Aを介して灌流液へと供給されやすくなる。
コンプレッサ62Aは、圧縮された酸素ガスを供給するガス供給源である。コンプレッサ62Aから供給される酸素ガスには、例えば、90%±5%の酸素が含まれる。本実施形態のコンプレッサ62Aには、手術室に設けられたユーティリティを用いる。しかしながら、灌流装置1用に別途用意したコンプレッサ62Aや、圧縮された酸素ガスが収容されたガスボンベ等を用いてもよい。
第1レギュレータ63Aは、コンプレッサ62Aから供給された酸素ガスの圧力を200kPa以下に低下させる。第2レギュレータ64Aは、第1レギュレータ63Aから出力された酸素ガスの圧力を1kPa単位に制御可能である。このように2種類のレギュレータ63A,64Aを用いて2段階で圧力調整を行うことにより、ガス交換器61Aに対してより精度の高い出力を行うことができる。なお、レギュレータは1つであってもよい。
ガス交換器61Aは、電池511とともに、臓器リアクター31の側部に配置される。ケーシング20の側面に、ガス交換器61Aの気体層と接続するための接続口が設けられる。これにより、ケーシング20の外部からガス交換器61Aの気体層に酸素ガスを供給することができる。
この灌流装置1Aでは、このように、容易に気体供給機構60Aからの気体の供給を行うことができる。したがって、状況に応じて灌流液への気体成分の付加を行うことができる。例えば、灌流装置1Aを用いた臓器9の搬送を行う場合に、搬送時間が短い場合には、気体供給機構60Aによる気体の供給をせず、搬送時間が長い場合には、気体供給機構60Aによる気体の供給を行うなどの使い分けを行ってもよい。
また、本実施形態の灌流装置1Aでは、熱管理部40Aの各部41,42,43の上下方向の配置が第1実施形態の灌流装置1の熱管理部40と異なる。具体的には、灌流液リザーバ42が蓄熱材41の上側に隣接する。また、熱交換部43が蓄熱材41の下側に隣接する。本実施形態では、蓄熱材41が外気温よりも高い温度であり、灌流液を例えば35℃に近い温度に加熱する。このため、蓄熱材41から上方へ流れる暖気が灌流液リザーバ42へと向かう。したがって、灌流液リザーバ42が蓄熱材41の上方に配置されることにより、灌流液リザーバ42内に貯留された灌流液は、蓄熱材41と灌流液リザーバ42との接触による熱交換に加えて、蓄熱材41から上方へ流れる暖気によって加熱される。これにより、灌流液の容量が大きな灌流液リザーバ42において、効率よく灌流液が保温される。
このように、臓器9に供給する灌流液の温度を体温に近い温度とすると、臓器9における代謝が活発になるため、臓器9において酸素を消費する。このため、本実施形態の灌流装置1Aのように灌流液に酸素の付加を行うことが好ましい。
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではない。
上記の実施形態に係る灌流装置1,1Aは、送液配管52,53および灌流配管54をそれぞれ1つずつ有する。しかしながら、本発明はこれに限られない。本発明の灌流装置において、送液配管52,53および灌流配管54の数はそれぞれ、1つでもよいし、複数であってもよい。
また、上記の実施形態では、灌流液リザーバ42と接続される配管53,54が直接臓器9の血管と接続された。すなわち、灌流液リザーバ42と接続される配管53,54の端部がカニューレの役割を果たした。しかしながら、本発明はこれに限られない。これらの配管53,54の先端に別部材のカニューレが接続され、当該カニューレが血管と接続されてもよい。
また、上記の実施形態では、灌流装置で保存される臓器が肝臓であったが、本発明はこれに限られない。本発明の灌流装置で保存される臓器は、腎臓や膵臓等のその他の臓器であってもよい。
また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
1,1A 灌流装置
9 臓器
20 ケーシング
21 断熱部
22 透明カバー
30 臓器収容部
31 臓器リアクター
40 熱管理部
41 蓄熱材
42 灌流液リザーバ
43 熱交換部
50 送液部
51 ポンプ
61A ガス交換器
211 上開口

Claims (6)

  1. 臓器に灌流液を灌流する灌流装置であって、
    上下方向に積層される、臓器収容部および熱管理部と、
    前記臓器収容部および前記熱管理部の表面を覆うケーシングと、
    前記灌流液を送液するためのポンプと、
    を有し、
    前記臓器収容部は、前記熱管理部の上側に配置され、
    前記臓器収容部は、前記臓器を収容する臓器リアクターを有し、
    前記熱管理部は、上下方向に積層される、
    蓄熱材と、
    前記蓄熱材の上下方向一方側に隣接し、内部に前記灌流液を貯留する灌流液リザーバと、
    前記蓄熱材の上下方向他方側に隣接し、内部を通過する液体の熱交換を行う熱交換部と、
    を有し、
    前記蓄熱材、前記灌流液リザーバ、および前記熱交換部はそれぞれ、水平方向に扁平に拡がり、上下方向の高さが水平方向の幅よりも小さい、灌流装置。
  2. 請求項1に記載の灌流装置であって、
    前記灌流液リザーバは、袋状のソフトバッグである、灌流装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の灌流装置であって、
    前記蓄熱材は、外気温よりも低い温度に冷却された冷却材であって、
    前記灌流液リザーバが、前記蓄熱材の下側に配置され、
    前記熱交換部が、前記蓄熱材の上側に配置される、灌流装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の灌流装置であって、
    前記ケーシングは、
    断熱部材で形成され、前記熱管理部の底面と、前記臓器収容部および前記熱管理部の側面とを覆う断熱部と、
    前記臓器リアクターの上面の少なくとも一部を覆う、透明カバーと、
    を有する、灌流装置。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の灌流装置であって、
    前記ポンプは、前記ケーシングの側面に固定される、灌流装置。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の灌流装置であって、
    前記ポンプの駆動源は、電池であり、
    前記電池は、前記臓器リアクターと上下方向の位置が重なる、灌流装置。
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