JP6988286B2 - 臓器及び生体組織の輸送装置 - Google Patents
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現在、臓器移植においては、提供者から臓器が採取された後、数時間以内に移植を完了する必要があることから、輸送にかかる時間を考慮し、航空機をチャーターする等、莫大な費用がかかっている。
一方、摘出した移植用の臓器や切断された四肢等の生体組織を良好な状態で長時間保存する技術の検討も進められている。例えば、臓器等を浸漬させる保存液の開発が行われている。また、臓器等の温度を低下させることにより、代謝を低下させることで輸送される臓器等の摘出から移植までの時間(乏血時間ともいう)を延長することも行われている。
これに対して、摘出された臓器を生理的な環境に近づけるため、及び摘出された臓器の機能低下を抑制するために、酸素を添加した流体を臓器に灌流させる技術も提案されている(例えば、特許文献1参照)。
第1実施形態の輸送装置1は、図1及び図2に示すように、内部に臓器等Hの保存に用いられる保存液が貯留される容器10と、容器10の内部に配置される支持部材20と、容器10の内部に酸素を供給する酸素供給装置70と、温度調節装置40と、換気部としての換気装置80と、表示部としてのモニタ13と、酸素ボンベ14と、制御部50と、バッテリ60と、キャスタ15と、ハンドル16と、を備える。
以上の容器10は、飛行機、鉄道等の輸送機関を用いて輸送する場合の可搬性を高めるため、これら輸送機関の座席2席程度の空間に配置できるサイズに構成される。
支持部材20の取り付け位置は、この支持部材20により支持される臓器等Hが容器本体11に貯留される保存液に浸漬される位置(例えば、高さ方向の中央付近)であることが好ましい。
モニタ13は、酸素供給装置70及び温度調節装置40等の動作状態を表示する。第1実施形態では、モニタ13は、容器10の蓋部12の上面に配置される。
バッテリ60は、酸素供給装置70、温度調節装置40、及び制御部50等に電気を供給する。
温度センサT1は、容器本体11に貯留される保存液の温度を測定する。
圧力センサP1は、容器本体11の内部の圧力を測定する。
酸素濃度センサS1は、容器本体11の内部の酸素濃度を測定する。
ハンドル16は、容器本体11のキャスタ15が取り付けられた長辺に対応する側面に配置される。ハンドル16は、容器本体11に収まるように収納された状態と、使用する場合に引き出された状態とを変更可能に、伸縮可能に構成される。
輸送装置1を使用する場合、容器本体11には、支持部材20が浸漬される高さまで保存液が収容される。そして、臓器等Hは、支持部材20に支持された状態で容器本体11の内部に収容され、容器本体11に貯留された保存液に浸漬された状態で容器10に収容される。
以上の輸送装置1によれば、容器10の内部が酸素供給装置70により供給される酸素により正圧に保たれるため、容器10の内部に貯留された保存液中に溶存する酸素濃度を高められる。これにより、容器10に収容され、保存液に浸漬された臓器等Hには、高濃度で酸素が溶存する保存液から酸素が供給される。また、容器10に収容された臓器等Hの呼吸により容器10の内部の酸素濃度が低下した場合であっても、容器10の内部を所定のタイミングで換気することにより、容器10の内部の酸素濃度を高く維持させられる。
第2圧力センサP2は、回路30におけるポンプ31と人工肺32との間に配置され、回路30におけるポンプ31と人工肺32との間の圧力を測定する。
第3圧力センサP3は、回路30における人工肺32とカニューレ33との間に配置され、回路30における人工肺32の下流側の圧力を測定する。
第2実施形態の輸送装置1Aを使用する場合、容器本体11には、支持部材20が浸漬される高さまで保存液が収容される。また、輸送される臓器等H等における所定の血管には、カニューレ33が挿入される。そして、臓器等H等は、支持部材20に支持された状態で容器本体11の内部に収容される。また、臓器等H等は、容器本体11に貯留された保存液に浸漬された状態で容器10に収容される。
第2実施形態では、制御部50は、第1実施形態の制御に加えて、保存液が設定された循環量で回路30を流通するようにポンプ31を制御する。また、制御部50は、人工肺32における酸素の添加量を制御する。また、制御部50は、第2圧力センサP2で測定される圧力と第3圧力センサP3で測定される圧力との差圧を監視し、当該差圧が所定値を超えた場合に人工肺32が詰まったと判定する。更に、制御部50は、第3圧力センサP3で測定される圧力に基づいて、臓器等Hにおける流路の閉塞又は回路30の臓器等Hからの抜去を判定する。
第3実施形態では、容器10の内部には、支持部材20に代えて複数の粒状体21が収容されており、これら複数の粒状体21に臓器等Hを埋没させることで、臓器等Hを安定的に保持している。
粒状体21は、シリコーンゴム等の柔軟性を有し、かつ、水に不溶性の材料により形成される。また、粒状体21は、容器10の内部に収容した状態で保存液の流動性を好適に保つ観点から、表面に凹凸が形成された形状に形成されることが好ましい。更に、粒状体21の大きさは、臓器等Hの血管に侵入しない程度の大きさに形成される。具体的には、粒状体21は、短径部分の径が10mm〜30mm程度の大きさに形成されることが好ましい。
例えば、第1実施形態及び第2実施形態では、支持部材20を、容器本体11の向かい合う2つの内側面に配置して臓器等Hを支持させたが、これに限らない。即ち、支持部材を、容器本体の3つの内側面又は4つの内側面に配置して臓器等を支持させてもよい。また、支持部材を、容器本体の隣り合う2つの内側面に配置して臓器等を支持させてもよい。
また、第1実施形態及び第2実施形態では、バッテリ60から各機器に電気を供給したが、これに限らなし。即ち、輸送装置を、外部電源を用いて動作させてもよい。
10 容器
20 支持部材
21 粒状体
30 回路
31 ポンプ
32 人工肺
33 カニューレ
40 温度調節装置
50 制御部
70 酸素供給装置
80 換気装置(換気部)
15 キャスタ
16 ハンドル
Claims (4)
- 内部に臓器又は生体組織を収容可能、かつ、保存液を貯留可能な容器と、
前記容器の内部に収容された臓器又は生体組織を支持する支持部材と、
前記容器の内部に酸素を供給する酸素供給装置と、
前記容器の内部の圧力を測定する圧力測定部と、
前記容器の内部の温度を調節する温度調節装置と、
前記酸素供給装置及び温度調節装置の動作を制御する制御部と、
前記容器の内部を換気する換気部と、を備え、
前記制御部は、前記容器の内部の圧力が大気圧よりも高い所定の設定圧力となるように前記酸素供給装置を制御するとともに、設定された時間間隔で前記容器の内部を換気させる臓器及び生体組織の輸送装置。 - 内部に臓器又は生体組織を収容可能、かつ、保存液を貯留可能な容器と、
前記容器の内部に収容された臓器又は生体組織を支持する支持部材と、
前記容器の内部に酸素を供給する酸素供給装置と、
前記容器の内部の圧力を測定する圧力測定部と、
前記容器の内部の温度を調節する温度調節装置と、
前記酸素供給装置及び温度調節装置の動作を制御する制御部と、
前記容器の内部を換気する換気部と、
前記容器の内部の酸素濃度を測定する酸素濃度測定部と、を備え、
前記制御部は、前記容器の内部の圧力が大気圧よりも高い所定の設定圧力となるように前記酸素供給装置を制御するとともに、前記酸素濃度測定部により測定される酸素濃度が設定濃度を下回った場合に前記容器の内部を換気させる臓器及び生体組織の輸送装置。 - 前記容器の底面に取り付けられたキャスタと、
前記容器に取り付けられたハンドルと、を更に備える請求項1又は2に記載の臓器及び生体組織の輸送装置。 - 前記容器の内部に貯留された保存液を循環させる回路と、
前記回路に取り付けられるポンプと、
前記保存液に酸素を添加する人工肺と、
一端が臓器又は生体組織の血管に接続され他端が前記回路の一端に接続されるカニューレと、を更に備える請求項1〜3のいずれかに記載の臓器及び生体組織の輸送装置。
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