JP7198654B2 - 復水器及び脱気方法 - Google Patents

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本発明の実施形態は、蒸気タービンに適用される復水器及び脱気方法に関する。
蒸気タービンは、循環水に溶存酸素が多く含まれていると、電気化学的反応などにより、この循環水又はその蒸気に接触する金属部材の腐食が早く進行する。このため、蒸気タービンでは、溶存酸素ができるだけ低濃度となるように脱気処理した循環水を使用している。
一方、蒸気タービンの循環水の蒸気は、循環サイクルの系外に放出され利用されることも多く、減少分を回復させるために系外から補給水を循環水に補給している。そして、この補給水は、専用の加熱処理装置を用いて脱気処理を行った後に、循環水に補給されていた。
特開平8-21692号公報 特開平9-79509号公報
従来における補給水の脱気処理は、上述したように専用の加熱処理装置を用いるために、エネルギーを余分に消費し、設置スペースを余分に確保する必要があった。
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、補給水の脱気処理に、余分なエネルギーを消費せず、余分な設置スペースを確保する必要もない復水器及び脱気方法を提供することを目的とする。
実施形態に係る復水器において、タービンを回転させて仕事を終えた蒸気を回転軸の方向に通過させるタービン室に接続し、長手方向に直交する方向から入力する前記蒸気を、循環する冷媒により冷却し凝縮させて復水にする冷却器と、前記復水を一時貯留し前記蒸気を生成する蒸気発生器へ輸送させるホットウェルと、減少した前記復水を回復させるための補給水を前記ホットウェルの外部からその内部空間に供給する供給部と、前記冷却器の長手方向に沿って少なくとも二列が配置され前記補給水を前記内部空間に輸送する配管と、前記配管の側周面に配列され供給された前記補給水を前記内部空間の内側に向けて噴射し前記冷却器を通過した前記蒸気が加熱源となることで前記補給水を昇温させて溶存酸素を減少させた後に前記復水に補給させる複数のノズルと、を備える。
本発明の実施形態により、補給水の脱気処理に、余分なエネルギーを消費せず、余分な設置スペースを確保する必要もない復水器及び脱気方法が提供される。
本発明の第1実施形態に係る復水器のY-Z断面図。 第1実施形態に係る復水器のX-Y透視図。 第1実施形態に係る復水器のX-Z透視図。 (A)実施形態に係る復水器における脱気部の上面図、(B)そのB-B断面図、(C)そのC-C断面図。 本発明の第2実施形態に係る復水器のY-Z断面図。 第2実施形態に係る復水器のX-Y透視図。
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1のY-Z断面図に示すように第1実施形態の復水器10Aは、タービン15を回転させて仕事を終えた蒸気(排気)12aを冷却し凝縮させて復水43にする冷却器18と、この復水43を一時貯留し蒸気12bを生成する蒸気発生器11へ輸送させるホットウェル42と、減少した復水43を回復させるための補給水35aをホットウェル42の外部からその内部空間46に供給する供給部30と、供給された補給水35bを内部空間46において噴射し昇温させて溶存酸素を減少させた後に復水43に補給させる脱気部50と、を備えている。
そして、この復水器10Aには、冷却器18で冷却される前の蒸気(排気)12aを系外に抽出する抽出管24が設けられている。この抽出管24に設けられる開閉弁23を閉状態から開状態に切り替えることにより、蒸気(排気)12aを適時抽出して、様々な用途に再利用することができる。
供給部30は、補給水35aを保持するタンク31と、このタンク31からポンプPにより補給水35aを移送する配管32と、この補給水35aの移送をON/OFFする開閉弁33とから構成されている。このタンク31から供給される補給水35aは、フィルターにより固形分が除去され、イオン交換樹脂によりイオンが除去された脱イオン水であるが、溶存酸素が高濃度(8000ppb程度)含まれている。
図2のX-Y透視図に示すように冷却器18は、冷却管の束(図示略)で構成され、その内部を冷媒27が循環している。この冷却器18に進入した蒸気(排気)12aは、この冷却管の束の表面における熱交換により潜熱を奪われ、凝縮水となって重力落下しホットウェル42の底部に溜まる。この蒸気(排気)12aとの熱交換により昇温した冷媒27は、冷却器18の外に排出され、所定の方法で除熱された後、再び冷却器18に循環する。
図3のX-Z透視図に示すように脱気部50は、冷却器18の長手方向に沿って配置され補給水35aを内部空間46に輸送する配管51(51a,51b)と、この配管51の側周面に配列され補給水35bを偏平な扇形状(図3のように上面視において)や円錐状に噴射する複数のノズル52と、を有している。このように脱気部50が構成されることにより、既設の復水器10Aに対し、脱気部50を追設することができる。また、脱気部50は、簡単な構成であるために、その付帯設備の設置スペースを余分に復水器10Aの周辺に確保する必要がない。
このように配置された脱気部50から補給水35bが噴射されることにより、凝縮されずに冷却器18を通過した蒸気(排気)12aが加熱源となり、この補給水35bを昇温させることになる。また補給水35bが円錐状に噴射されることにより、蒸気(排気)12aと熱交換する液滴の表面積を増大させ、補給水35bをさらに高温に昇温することができる。
高温になった補給水35bは、気体の飽和溶解度が低下し、溶けきれなくなった酸素が気体となって放出される。このように補給水35bは、溶存酸素の濃度が20ppb以下に低減するまで脱気してから、復水43に補給させる必要がある。
さらに、凝縮されずに冷却器18を通過した蒸気(排気)12aは、補給水35bとの熱交換により除熱され、復水43になる。このことにより、復水器10Aにおける蒸気(排気)12aの冷却効率も向上させることができる。
さらに脱気部50は、配管51(51a,51b)が水平方向に(上面視において)二列で配置され、一方の配管51aに配列するノズル52は、他方の配管51bの方向に補給水35bを噴射している。これにより、冷却器18を通過した蒸気(排気)12aに対し補給水35bの液滴を満遍なく均一に曝露させることができ、補給水35bの脱気処理を効率的に行うことができる。
図4(A)は実施形態に係る復水器における脱気部50の上面図であり、図4(B)はそのB-B断面図であり、図4(Cは)そのC-C断面図である。この図4に示すように、複数のノズル52は、補給水35bの噴射角度±θを交互に反転させながら配列している。
これにより、隣接するノズル52から噴射される補給水35bの円筒形状の各々を、相互に重なる領域を減少させ内部空間46に稠密に形成することができる(適宜、図2,図5参照)。これにより、冷却器18を通過した蒸気(排気)12aに対し補給水35bの液滴を更に満遍なく均一に曝露させることができ、補給水35bの脱気処理を効率的に行うことができる。
また、ノズル52からの噴射形状を、偏平面が冷却器18を通過した蒸気(排気)12aに対向するような偏平な扇形状とすることにより、冷却器18を通過した蒸気(排気)12aに対し補給水35bの液滴を広範囲に曝露させることができ、補給水35bの脱気処理を効率的に行うことができる。
図1及び図2に基づいて、蒸気タービンの動作説明を行う。蒸気タービンの定常運転過程において、主蒸気配管16を流れる蒸気12bは、タービン15を回転運動させ、発電機41において回転運動エネルギーを電気エネルギーに変換して発電させる。そして、このタービン15で仕事を終えた蒸気(排気)12aは、タービン室22を通過して、復水器10に導かれる。
復水器10に導かれた蒸気(排気)12aは、冷媒27が循環する冷却器18で冷却され凝縮し、復水43となってホットウェル42に集積される。このホットウェル42に集積された復水43は、再び、蒸気発生器11に回帰し、加熱され蒸気12bとなる。
このように蒸気タービンが発電している最中に、抽出管24の開閉弁23を閉状態から開状態に切り替え、蒸気(排気)12aを系外に抽出して様々な用途に再利用する場合がある。この場合、減少した復水43を回復させるために、供給部30の開閉弁33が閉状態から開状態に切り替わり、タンク31からホットウェル42の内部空間46に補給水35aが供給される。
そして、脱気部50から噴射された補給水35bは、内部空間46において昇温して溶存酸素を減少させた後に、復水43に補給される。補給水35bが補給され量的に回復した復水43は、再び、蒸気発生器11に回帰し、加熱され蒸気12bとなる。
(第2実施形態)
次に図5から図6を参照して本発明における第2実施形態について説明する。図5は第2実施形態に係る復水器10BのY-Z断面図であり、図6はそのX-Y透視図である。なお、図5,6において図1から図4と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
第2実施形態の復水器10Bにおいて、脱気部50は、配管51(51a,51c)が垂直方向に多段配置されている。これにより、内部空間46が、ノズル52を一直線に配列させる事が困難な程度に狭い場合でも、補給水35bの供給量を確保することができる。また、補給水35bの供給源であるタンク31に対して、配管51(51a,51c)が並列に接続され、それぞれに開閉弁33が個別に設けられることで(図示略)、内部空間46への補給水35bの供給量を調節することもできる。
なお、内部空間46に配置される配管51の配置方向や本数に特に限定はなく、例えば中心に1本だけ配置される場合もある。またノズル52は、一方の側面だけでなく、反対側の側面にも両面に設けられてもよい。また、補給水35bの噴射方向も任意である。
また、実施形態において復水器10は、タービン15の回転軸17の方向に蒸気12が通過する軸流式の蒸気タービンへの適用を例示したが、タービン回転軸とは直交する方向に蒸気が通過する下方排気式、及び散水された冷媒に蒸気排気を直接接触させて凝縮水にする接触式への適用も可能である。
以上述べた少なくともひとつの実施形態によれば、復水器に導入される補給水を噴射(スプレー)して、夕-ビン排気蒸気と熱交換し昇温させる事で、外部の加熱源を必要とせず、補給水の溶存酸素を許容上限以下に低減させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10(10A,10B)…復水器、11…蒸気発生器、12a…蒸気(排気)、12b…蒸気、15…タービン、16…主蒸気配管、17…回転軸、18…冷却器、22…タービン室、23…開閉弁、24…抽出管、27…冷媒、30…供給部、31…タンク、32…配管、33…開閉弁、35(35a,35b)…補給水、41…発電機、42…ホットウェル、43…復水、46…内部空間、50…脱気部、51(51a,51b)…配管、52…ノズル。

Claims (5)

  1. タービンを回転させて仕事を終えた蒸気を回転軸の方向に通過させるタービン室に接続し、
    長手方向に直交する方向から入力する前記蒸気を、循環する冷媒により冷却し凝縮させて、復水にする冷却器と、
    前記復水を一時貯留し、前記蒸気を生成する蒸気発生器へ、輸送させるホットウェルと、
    減少した前記復水を回復させるための補給水を、前記ホットウェルの外部からその内部空間に供給する供給部と、
    前記冷却器の長手方向に沿って少なくとも二列が配置され、前記補給水を前記内部空間に輸送する配管と、
    前記配管の側周面に配列され、供給された前記補給水を、前記内部空間の内側に向けて噴射し、前記冷却器を通過した前記蒸気が加熱源となることで前記補給水を昇温させて溶存酸素を減少させた後に、前記復水に補給させる複数のノズルと、を備えることを特徴とする復水器。
  2. 請求項1に記載の復水器において、複数の前記ノズルは、前記補給水を円錐状に噴射する復水器。
  3. 請求項2に記載の復水器において、複数の前記ノズルは、
    前記補給水の噴射角度を交互に反転させながら配列している復水器。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の復水器において
    前記配管が垂直方向に多段配置される復水器。
  5. タービンを回転させて仕事を終えた蒸気を回転軸の方向に通過させるタービン室が接続した復水器における脱気方法であって、
    長手方向に直交する方向から冷却器に入力する前記蒸気を、循環する冷媒により冷却し凝縮させて、復水にする工程と、
    ホットウェルにおいて前記復水を一時貯留し、前記蒸気を生成する蒸気発生器へ、輸送させる工程と、
    減少した前記復水を回復させるための補給水を、前記ホットウェルの外部からその内部空間に供給する工程と、
    前記冷却器の長手方向に沿って少なくとも二列が配置された配管を介して、前記補給水を前記内部空間に輸送する工程と、
    前記配管の側周面に配列された複数のノズルから、供給された前記補給水を、前記内部空間の内側に向けて噴射し、前記冷却器を通過した前記蒸気が加熱源となることで前記補給水を昇温させて溶存酸素を減少させた後に、前記復水に補給する工程と、を含むことを特徴とする脱気方法。
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