JP4080755B2 - 廃液の燃焼装置および燃焼方法 - Google Patents

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    • Y02P80/15On-site combined power, heat or cool generation or distribution, e.g. combined heat and power [CHP] supply

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば有機物や有害物質を含有するためにそのまま排出することができない廃液を燃焼させて無害化処理するための廃液の燃焼装置および燃焼方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液状廃棄物すなわち廃液は、その大部分が水分であって残余が有機物や無機物であり、石油化学工業を始めとするあらゆる産業分野、および民生分野において発生するが、そのうち、例えば有機物、あるいは有害物質を含有するためにそのまま系外に放出することができない廃液は、無害化処理を行わなければならない。そして、このような無害化処理の一手段として、廃液を燃焼炉に噴霧して高温で燃焼させることによる高温酸化処理、すなわち焼却処理があり、大量の廃液を処理することができるため多用されている。
【0003】
ここで、本発明の発明者らは、このように廃液を燃焼させて処理するための燃焼方法として、上記燃焼炉の外壁部分にジベンジルトルエンや高分子オイル等の熱媒を循環させてその温度や炉内表面温度を制御することにより、燃焼炉の内壁に内張りされた耐火物の寿命の延長を図ることを提案している。すなわち、この燃焼方法においては、燃焼炉の外壁部分がジャケット構造とされて上述のような熱媒が供給可能とされており、この熱媒の温度を制御することによって炉内壁をその表面温度が適当な範囲となるように冷却することにより、廃液中のアルカリ分に由来するアルカリ溶融塩を炉内壁の内張り耐火物表面にコーティングして自己保護膜を形成し、この耐火物の浸食を防いでその寿命の延長を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、こうして燃焼炉に供給された熱媒は、上述のように炉内壁の上記耐火物を冷却してその表面温度を制御する代わりに自身は加熱されて燃焼炉から返送され、その循環経路の途中で冷却されて再び燃焼炉に戻されることになるが、燃焼炉から返送された熱媒の温度は高温であるため、そのエネルギーを回収して有効利用することが重要となる。ところが、上記従来の燃焼方法においては、熱媒自体が上述のようにジベンジルトルエンや高分子オイルのような化合物であるため、これを燃焼装置の系外に抜き出してそのエネルギーを利用するといったことは困難であって、利用の用途も限定されざるを得ず、例えば燃焼炉から返送された高温の熱媒は、この燃焼装置の系内において、上記循環経路の途中で、またはその一部が抜き出されて、冷却水との間で熱交換されたり、あるいは直接的に、燃焼炉に供給される廃液を加熱して蒸発濃縮するための加熱源として用いられる程度であった。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、廃液の燃焼によって生じたエネルギーをより直接的かつ効率的に、しかも多目的に利用することが可能な廃液の燃焼装置および燃焼方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の廃液の燃焼装置は、外壁がジャケット構造とされ、廃液が供給されて燃焼させられる燃焼炉と、この燃焼炉の上記ジャケットに冷却水を循環させて冷却する冷却手段とを備え、この冷却手段に、上記ジャケットに供給された上記冷却水の液面レベルよりも高い位置に設けられて上記燃焼炉との間で循環させられる上記冷却水を保持するヘッドタンクと、このヘッドタンクから上記燃焼炉に上記冷却水を供給するポンプとを備えるとともに、このヘッドタンクには、上記燃焼炉から返送されて加熱された上記冷却水の蒸気を回収する回収手段を接続し、上記回収手段に、上記ヘッドタンク内を大気圧未満に減圧可能な減圧手段を備えたことを特徴とする。また、本発明の廃液の燃焼方法は、このように構成された廃液の燃焼装置を用いた廃液の燃焼方法であって、上記廃液を上記燃焼炉に供給して燃焼するとともに、この燃焼炉の上記外壁には上記冷却水を通水して該燃焼炉を冷却し、冷却後の加熱された上記冷却水を蒸気として回収することを特徴とする。
【0007】
従って、このような構成の燃焼装置において、上記冷却手段により燃焼炉とヘッドタンクとの間で循環させられる冷却水は、燃焼炉において炉内壁を冷却する代わりに自身は加熱されることにより、その一部(場合によっては全部)が蒸気となってヘッドタンクに返送されるので、このヘッドタンクに上述のように回収手段を接続することにより、燃焼炉において廃液の燃焼によって生じたエネルギーを、冷却水の蒸気として回収することができる。そして、このように回収された蒸気は、上記従来の燃焼装置のように系内において廃液の蒸発濃縮の加熱源として用いることが可能であるのは勿論、系内外の例えば発電機の動力源や乾燥機の熱源、あるいは系外の冷暖房設備の熱源など、極めて幅広い用途に直接的に利用可能であり、しかも熱源として利用する場合でも伝熱係数が大きいために熱交換効率が高く、従って燃焼炉において廃液の燃焼によって生じたエネルギーの有効利用を図ることができる。
【0008】
ここで、燃焼炉で加熱された冷却水の蒸気は、これをそのまま大気圧以上の高圧状態で回収することが可能であり、この場合には、高圧の蒸気が有する高いエネルギーによって蒸気タービンによる発電などのより多くの用途に有効利用することが可能であるが、その一方で燃焼炉の上記ジャケット構造やヘッドタンク、あるいは回収手段などをそのような高圧に耐えうる耐圧構造としなければならなくなって非経済的となるおそれが生じる。そこで、本発明では、上記燃焼装置において、上記回収手段に、上記ヘッドタンク内を大気圧未満に減圧可能な真空ポンプ等の減圧手段を備えて、該蒸気を大気圧未満の減圧下で回収するようにしている。ただし、この場合において、回収される蒸気の圧力が低すぎると、これを有効に利用することが困難となるおそれが生じるので、上記蒸気の圧力は0.05MP(80℃飽和)以上とされるのが望ましい。さらに、上記回収手段に、上記蒸気と他の熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器を備えれば、回収された蒸気のエネルギーの一部あるいは全部をこの熱媒体によって系内外に供給して利用することも可能となる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の廃液の燃焼装置の第1の実施形態を示すものであり、以下この燃焼装置の構成について説明するとともに、この燃焼装置を用いた本発明の廃液の燃焼方法の一実施形態についても合わせて説明する。本実施形態において燃焼炉1は縦型円筒状をなし、その頂部中央には助燃バーナー2が設けられていて、この助燃バーナー2からは灯油等の補助燃料Fが燃焼用空気Aによって下向きに燃焼炉1内に噴射されて燃焼させられるとともに、この助燃バーナー2の周りの燃焼炉1の肩部には、廃液Wを燃焼炉1内に噴霧する複数(ただし、図1には1つしか描かれていない)のノズル3…が周方向に等間隔に、かつ円筒状をなす燃焼炉1の中心線に向けて斜め下向きに設けられており、これらのノズル3…から燃焼炉1内に噴霧された廃液Wが、上記助燃バーナー2の補助燃料Fの燃焼によって燃焼させられる。また、この燃焼によって生じた排ガスは、燃焼炉1の下部から排出されてアルカリ液により該排ガス中のアルカリが溶解され、さらに図示されない冷却塔で冷却された後に、除塵等の排ガス処理がなされて排出される。さらに、この排ガス中のアルカリを溶解したアルカリ液は、燃焼炉1の下部に設けられたタンク4に回収され、一部が循環させられて排ガス中のアルカリ溶解や上記冷却塔における排ガスの冷却に用いられ、残りは系外に排出される。
【0010】
また、この燃焼炉1の内壁部分には耐火材よりなる内張りがなされている一方、この耐火物に接する外壁5部分は二重壁のジャケット構造とされて内部に燃焼炉1の下部から上部に至る空間が形成されており、この空間には燃焼炉1の外部に備えられた冷却手段6によって冷却水C、すなわち水が供給されて通水され、該冷却手段6との間で循環可能とされている。この冷却手段6は、上記外壁5のジャケットに供給された冷却水Cの液面レベルよりも高い位置に設けられて燃焼炉1との間で循環させられる冷却水Cを保持するヘッドタンク7と、このヘッドタンク7から燃焼炉1に冷却水Cを供給するポンプ8とを備えたものであり、ヘッドタンク7に保持された冷却水Cはポンプ8によって燃焼炉1の外壁5がなすジャケット構造の上記空間に流通させられ、内壁部分の上記耐火物を冷却する代わりに自身は加熱されてヘッドタンク7へと返送され、循環させられる。
【0011】
そして、本実施形態ではこの冷却手段6のヘッドタンク7に、こうして燃焼炉1から返送されて該燃焼炉1の耐火物を冷却する代わりに加熱されることにより発生した冷却水Cの蒸気Sを回収する回収手段9が接続されている。この回収手段9は、本実施形態では上記ヘッドタンク7の頂部に一端が連結された蒸気回収管10と、この蒸気回収管10を介して該ヘッドタンク7と接続された熱交換器11と、この熱交換器11にさらに接続された真空ポンプ12およびエゼクター等からなる減圧手段13とを備えたものであり、従ってこの減圧手段13の真空ポンプ12によりヘッドタンク7から熱交換器11にかけては大気圧未満の減圧下とされて、蒸気Sはこの減圧下で、100℃未満の温度で回収されることとなる。また、熱交換器11には上記冷却水Cとは異なる熱媒体Mが循環させられて蒸気Sとの間で熱交換可能とされている。そして、さらにこの回収手段9の上記減圧手段13における真空ポンプ12により吸引されてヘッドタンク7から上記回収管10および熱交換器11を介して回収された蒸気Sは、その利用用途に応じたユーザーの元に供給されて各種の機器14の動力源あるいは熱源として利用される。
【0012】
なお、こうしてユーザーの元に供給されて各種機器14の熱源や動力源として利用された蒸気Sの復水Hは、復水タンク15に回収されてポンプ16により上記ヘッドタンク7へと返送させられる。また、上記熱交換器11によって生じた復水もヘッドタンク7に返送される。さらに、復水タンク15には冷却水Cの源水Lを保持する源水タンク17が接続されてポンプ18により該源水Lが適宜供給可能とされており、ユーザーにおける機器14でのフラッシングなどによって失われた蒸気Sによる冷却水Cの不足分が補給されるようになされている。さらにまた、この復水タンク15と源水タンク17との間には軟水器19が介装されていて、源水Lが硬度1〜2程度の軟水として復水タンク15に供給されるようになされており、従って燃焼炉1と冷却手段6のヘッドタンク7との間を循環する冷却水Cや、このヘッドタンク7から回収手段9、ユーザーの各種機器14、および復水タンク15を経由して再びヘッドタンク7へと循環する蒸気Sおよび復水Hとしても、このような軟水が循環させられることとなる。
【0013】
従って、このように構成された廃液Wの燃焼装置および該装置を用いた廃液Wの燃焼方法においては、この廃液Wが供給されて燃焼させられる燃焼炉1の外壁5に冷却水Cが通水されて該燃焼炉1が冷却されるため、その内壁部分の耐火物の浸食が抑えられるのは勿論のこと、こうして燃焼炉1を冷却した後の加熱された冷却水Cが上記回収手段9によってヘッドタンク7から蒸気Sとして回収されるので、回収されたエネルギーを当該燃焼装置の系内で利用するばかりでなく、広く系外のユーザーにおいても様々な用途の機器14に利用することが可能となる。例えば、この機器14として蒸気タービンを配設すれば上記蒸気Sをその動力源として利用することができて発電を行ったりすることが可能であり、また機器14として乾燥機や冷暖房設備を配設すれば、蒸気Sをその熱源として利用することができる。さらに、より具体的には、当該燃焼装置を備えた廃液Wの処理設備に隣接して温水プールや温水による熱帯植物園などを併設したりしてその温水の加熱源として上記蒸気Sを利用することも可能である。勿論、従来のように系内において廃液Wの蒸発濃縮等に利用することも可能であるし、系内外に蒸気Sを分岐して供給してこれら双方での利用を図ることもできる。
【0014】
しかも、ヘッドタンク7から回収された冷却水Cの蒸気Sすなわち水蒸気は、気体であるために伝熱係数が大きく、従ってこれを上述のように各種機器14の熱源として利用する場合やあるいは熱交換器11において熱媒体Mと熱交換を行う場合でも、その熱交換効率を高めることが可能となる。従って、上記構成の廃液Wの燃焼装置および燃焼方法によれば、燃焼炉1において廃液Wの燃焼によって生じたエネルギーをより効率的に、しかも上述のように多目的に利用することが可能となり、これらの目的のために使用されていた燃料の消費量を低減することができるとともに、かかる燃料を燃焼する際に生じていた炭酸ガス量の削減にも貢献することが可能となる。
【0015】
一方、本実施形態の燃焼装置では、このように冷却水Cの蒸気Sを回収するに際して、冷却手段6のヘッドタンク7に回収手段9の蒸気回収管10および熱交換器11を介して真空ポンプ12を減圧手段13として接続しており、これにより本実施形態の燃焼方法では、ヘッドタンク7から蒸気Sが大気圧未満の減圧下で回収されることとなる。従って、これら回収手段9の蒸気回収管10や熱交換器11、あるいは冷却手段6のヘッドタンク7や燃焼炉1との循環経路、さらには燃焼炉1の外壁5のジャケット構造自体にも、高い耐圧構造が要求されることが無く、このため経済的であるのは勿論のこと、装置全体としてのコンパクト化を図ることも可能となる。
【0016】
また、本実施形態では、上記回収手段9に熱交換器11が備えられていて、冷却手段6のヘッドタンク7から回収された蒸気Sが、この熱交換器11に一旦導入されて他の熱媒体Mとの間で熱交換が行われ、しかる後に減圧手段13の真空ポンプ12およびエゼクターを介してユーザーの機器14を供給されるようになされている。このため、例えば系内外の機器14において燃焼炉1で生じたエネルギーの利用を図る場合に、系外の機器14にはこの蒸気Sを供給するようにする一方、系内の機器14には上記熱交換器11において加熱された熱媒体Mを供給するようにしたり、あるいは機器14の種別に応じて蒸気Sか熱媒体Mかを選択して供給するようにしたりすることも可能であり、この燃焼炉1における燃焼で生じたエネルギーを一層多用途、多目的に活用することができる。例えば工場内冷水加熱、廃液加熱等に利用することができる。なお、この熱交換器11に供給されて熱交換を受ける熱媒体Mとしては、多種多様の媒体が利用できる。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の廃液の燃焼装置および燃焼方法によれば、燃焼炉で廃液を燃焼させた際に生じたエネルギーを、この燃焼炉を冷却する冷却手段の冷却水の蒸気として回収手段によって回収することにより、装置の系内外を問わずより多用途の機器の動力源や熱源として直接的かつ効率的に利用することが可能となり、かかるエネルギーの有効利用を図って経済性の向上や炭酸ガス量の削減等に寄与することができる。また、この蒸気を、減圧手段を備えた回収手段によって、大気圧未満の減圧下で回収することにより、装置に高い耐圧構造を要することが無く、一層経済的で、かつ装置のコンパクト化を図ることができる。さらにまた、上記回収手段に熱交換器を備えて他の熱媒体と熱交換可能とすれば、より一層多用途、多目的のエネルギー利用を促すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の燃焼装置の第1の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
1 燃焼炉
6 冷却手段
7 ヘッドタンク
9 回収手段
10 蒸気回収管
11 熱交換器
12 真空ポンプ
13 減圧手段
14 機器
15 復水タンク
17 源水タンク
19 軟水器
W 廃液
F 補助燃料
C 冷却水
S 蒸気
M 熱媒体
H 復水
L 源水

Claims (4)

  1. 外壁がジャケット構造とされ、廃液が供給されて燃焼させられる燃焼炉と、この燃焼炉の上記ジャケットに冷却水を循環させて冷却する冷却手段とを備え、この冷却手段には、上記ジャケットに供給された上記冷却水の液面レベルよりも高い位置に設けられて上記燃焼炉との間で循環させられる上記冷却水を保持するヘッドタンクと、このヘッドタンクから上記燃焼炉に上記冷却水を供給するポンプとが備えられるとともに、このヘッドタンクには、上記燃焼炉から返送されて加熱された上記冷却水の蒸気を回収する回収手段が接続され、上記回収手段には、上記ヘッドタンク内を大気圧未満に減圧可能な減圧手段が備えられていることを特徴とする廃液の燃焼装置。
  2. 上記回収手段には、上記蒸気と他の熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の廃液の燃焼装置。
  3. 上記冷却水として、軟水を循環させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の廃液の燃焼装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の廃液の燃焼装置を用いて、上記廃液を上記燃焼炉に供給して燃焼するとともに、この燃焼炉の上記外壁には上記冷却水を通水して該燃焼炉を冷却し、冷却後の加熱された上記冷却水を蒸気として回収することを特徴とする廃液の燃焼方法。
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