JP7198620B2 - インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法および印刷物 - Google Patents

インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法および印刷物 Download PDF

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Description

本発明は、プロセスカラーインクと蛍光発光インクとを組み合わせたインクジェット用インクセットに関する。本発明はまた、プロセスカラーインクおよび蛍光発光インクを用いたインクジェット記録方法に関する。本発明はさらに、当該インクジェット用インクセットにより印刷が施された印刷物に関する。
従来より、プロセスカラーインクと蛍光発光インクとを組み合わせたインクジェット用インクセットが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなインクジェット用インクセットにより印刷を行った場合、その印刷物は、可視光線下では視認できない画像が紫外線等のエネルギー線の照射によって発光して可視化するという特性を有する。この特性を利用して、このようなインクジェット用インクセットは、有価証券、個人認証媒体等の印刷物の偽造防止用途に用いられている。
偽造防止用途においては、本物と偽造物との識別ができればよいために、蛍光発光インクにより形成される画像であって紫外線照射時に可視化する画像には加飾性は求められていない。そのため、加飾は専らプロセスカラーインクによって行われていた。
特開2016-160319号公報
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、プロセスカラーインクと蛍光発光インクとを組み合わせたインクジェット用インクセットであって、従来とは異なる加飾表現が可能なインクジェット用インクセットを提供することにある。
本発明に係るインクジェット用インクセットは、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクを含むプロセスカラーインクセットと、紫外線照射により赤色発光する蛍光発光インク、紫外線照射により緑色発光する蛍光発光インク、および紫外線照射により青色発光する蛍光発光インクを含む蛍光発光インクセットと、を含む。
本発明に係るインクジェット記録方法は、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクを含むプロセスカラーインクセットのインクを記録媒体にインクジェット方式で塗布する工程と、紫外線照射により赤色発光する蛍光発光インク、紫外線照射により緑色発光する蛍光発光インク、および紫外線照射により青色発光する蛍光発光インクを含む蛍光発光インクセットのインクを、前記工程で塗布がなされた記録媒体にインクジェット方式で塗布する工程と、を包含する。
本発明に係る印刷物は、記録媒体に、上記のインクジェット用インクセットにより印刷が施されている印刷物である。
本発明によれば、可視光下では、プロセスカラーインクセットによってほぼすべての色を表現することができると共に、紫外線照射時は、蛍光発光インクセットによってほぼすべての色を表現することができる。したがって、本発明によれば、可視光下および紫外線照射時においてそれぞれ高度な加飾を行うことができ、従来とは異なる加飾表現が可能である。
本発明に係るインクジェット用インクセットは、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクを含むプロセスカラーインクセットと、紫外線照射により赤色発光する蛍光発光インク、紫外線照射により緑色発光する蛍光発光インク、および紫外線照射により青色発光する蛍光発光インクを含む蛍光発光インクセットと、含む。以下、本発明に係るインクジェット用インクセットについて詳細に説明する。
〔プロセスカラーインクセット〕
プロセスカラーインクセットは、少なくともシアンインク(C)、マゼンタインク(M)、イエローインク(Y)、およびブラックインク(K)を含有する。プロセスカラーインクセットは、色材濃度の異なるライト系インク(例、ライトシアンインク(LC)、ライトマゼンタインク(LM)、ライトイエローインク(LY)、ライトブラックインク(LK))をさらに含有していてもよい。プロセスカラーインクセットに、プロセスカラー以外のカラーインク(すなわち、特色インク)を組み合わせてもよい。特色インクの例としては、レッドインク(R)、グリーンインク(G)、ブルーインク(B)、オレンジインク(Or)、バイオレットインク(Vi)、ホワイトインク(Wh)、メタリックインク(Mt)、透明インク(クリアーインク)等が挙げられる。また、特色インクは、可視光で発色し得る限り、これらの例示と異なる色のインクであってよい。
プロセスカラーインクセットを構成する各インクとしては、公知のインクジェット用インクを用いることができる。当該インクは、水性インク、溶剤系インク、およびUV硬化型インク等であってもよい。なかでも、記録媒体が平滑な表面を有する難吸収性基材である場合であっても、印刷部分に凸部が形成されにくいことから、記録媒体に浸透する溶剤系インクが好ましい。以下、プロセスカラーインクセットを構成する各インクが、溶剤系インクジェットインクであった場合の例について説明する。
プロセスカラーインクセットに用いられる溶剤系インク(以下、「溶剤系インク(1)」と称することがある)は、典型的には、有機溶剤、顔料、および定着樹脂を含有する。当該溶剤系インク(1)は、分散剤、界面活性剤等をさらに含有していてもよい。
有機溶剤としては、グリコールエーテル類を好適に用いることができる。グリコールエーテル類としては、例えば、下記式(I)で表されるグリコールエーテル化合物が挙げられる。
O-(RO)-R・・・・・(I)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1~6の直鎖もしくは分岐状のアルキル基、またはフェニル基であり、Rは、炭素数2または3のアルキレン基であり、Rは、水素原子、または炭素数1~4の直鎖もしくは分岐状のアルキル基である。ただし、RとRが両方とも水素原子となることはない。nは1~7の整数であり、好ましくは2または3である。)
式(I)で表される化合物は、アルキレングリコールモノエーテル化合物およびアルキレングリコールジエーテル化合物に大別される。
アルキレングリコールモノエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチエレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
アルキレングリコールジエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
有機溶剤は、ラクトン類、アルカンジオール類、ピロリドン類、アミド類等をさらに含有していてもよい。
有機溶剤がラクトン類を含有する場合には、ポリ塩化ビニル基材に対する浸透性が向上し、画像の密着性を高めることができる。ラクトン類の例としては、α-エチルラクトン、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、ζ-エナンチオラクトン、η-カプリロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-ヘプタラクトン、γ-ノナラクトン、β-メチル-δ-バレロラクトン、2-ブチル-2-エチルプロピオラクトン、α,α-ジエチルプロピオラクトン等が挙げられ、なかでも、γ-ブチロラクトンが好ましい。有機溶剤中のラクトン化合物の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。
アルカンジオール類の例としては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-ヘプタンジオール、1,2-オクタンジオール等の1,2-アルカンジオール;1,3-ブタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,3-ヘキサンジオール、1,3-ヘプタンジオール、1,3-オクタンジオール等の1,3-アルカンジオール;2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオールなど挙げられる。有機溶剤中のアルカンジオール類の含有量は特に限定されないが、好ましくは1重量%以上20重量%以下である。
ピロリドン類を用いると、定着樹脂の種類によっては溶解性を向上させることができる。ピロリドン類の例としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、N-ブチル-2-ピロリドン、5-メチル-2-ピロリドン等が挙げられる。有機溶剤中のピロリドン類の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5重量%以上10重量%以下である。
アミド類の例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジエチルホルムアミド、ジエチルアセトアミド、エクアミドM100(商品名;出光興産株式会社製)、エクアミドB100(商品名;出光興産株式会社製)等が挙げられる。有機溶剤中のアミド類の含有量は特に限定されないが、好ましくは0.5重量%以上20重量%以下である。
また、有機溶剤は、その他の有機溶剤を含有していてもよい。その例としては、低級アルコール類(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、イソプロピルアルコール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、またはシクロヘキサノン等)、カルボン酸エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、またはプロピオン酸エチル等)、その他のエーテル類(例えば、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、またはジオキサン等)などが挙げられる。
有機溶剤の含有量は、溶剤系インク(1)中(すなわち、溶剤系インク(1)の全重量(100重量%)に対し)、好ましくは35重量%以上99.5重量%以下であり、より好ましくは45重量%以上99.0重量%以下であり、さらに好ましくは60重量%以上98.5重量%以下である。
溶剤系インク(1)は、通常、ほとんどまたは全く水を含有しない。溶剤系インク(1)中の水の含有量は、好ましくは5.0重量%以下であり、より好ましくは3.0重量%以下であり、さらに好ましくは1.0重量%以下であり、特に好ましくは0重量%である。
顔料は、有機顔料および無機顔料のいずれも使用することができる。顔料の例としては、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレンおよびペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、カーボンブラック等が挙げられる。上記顔料は1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。
シアンインクに用いられるシアン顔料の具体例としては、C.I.ピグメントブルー(PB) 1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:34、15:4、15:6、16、17:1、18、22、25、27、29、60、65、66、75、79、81、101、C.I.バットブルー 4、60などが挙げられる。
マゼンタインクに用いられるマゼンタ顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド(PR) 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、53:1、57(Ca)、57:1、63:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントヴァイオレット 19、23、32、33、36、38、43、50などが挙げられる。
イエローインクに用いられるイエロー顔料の具体例としては、C.I.ピグメントイエロー(PY) 1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、35:1、37、37:1、42、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、150、151、153、154、155、166、167、172、180、184、185などが挙げられる。
ブラックインクに用いられるブラック顔料の具体例としては、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200B等(以上、三菱化学社(Mitsubishi Chemical Corporation)製)、Raven 5750、Raven 5250、Raven 5000、Raven 3500、Raven 1255、Raven 700等(以上、コロンビアカーボン(Carbon Columbia)社製)、Rega1 400R、Rega1 330R、Rega1 660R、Mogul L、Monarch 700、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1100、Monarch 1300、Monarch 1400等(キャボット社(CABOT JAPAN K.K.)製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW200、Color B1ack S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex 35、Printex U、Printex V、Printex 140U、Special Black 6、Special Black 5、Special Black 4A、Special Black 4(以上、デグッサ(Degussa)社製)、C.I.ピグメントブラック 7などが挙げられる。
特色インクに用いられる顔料の具体例としては、C.I.ピグメントレッド 177、254、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット 23、C.I.ピグメントグリーン 7、10、36、58、C.I.ピグメントブラウン 3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ 1、2、5、7、13、14、15、16、21、24、34、36、38、40、43、63、71、73、C.I.ピグメントホワイト 6、18、21、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
溶剤系インク(1)中の顔料の含有量は、特に限定されない。溶剤系インク(1)中の顔料の含有量は、例えば0.1重量%以上30重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以上12重量%以下である。
定着樹脂は、上記の顔料を記録媒体に定着させるための成分である。定着樹脂の例としては、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、繊維素系樹脂(例えば、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシプロピルセルロース)、ポリビニルブチラール、ポリアクリルポリオール、ポリビニルアルコール、ポリウレタン等が挙げられる。
溶剤系インク(1)中の定着樹脂の含有量は、特に限定されない。しかしながら、溶剤系インク(1)中の定着樹脂の含有量が多過ぎると印字安定性が得られず、一方、少な過ぎると画像定着性が不十分となる。そのため、溶剤系インク(1)中の定着樹脂の含有量は、好ましくは0.1重量%以上10重量%以下である。
インクの表面張力を低下させて記録媒体との濡れ性を向上させる等の目的で、溶剤系インク(1)は、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤の例としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤などが挙げられる。
シリコーン系界面活性剤として、ポリエステル変性シリコーンおよびポリエーテル変性シリコーンを用いることが好ましい。その具体例としては、BYK-315、315N、347、348、BYK-UV3500、3510、3530、3570(いずれもビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤として、フッ素変性ポリマーを用いることが好ましい。その具体例としては、BYK-340(ビックケミー・ジャパン社製)等が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の具体例としては、サーフィノール82、104、465、485、TG(いずれもエアープロダクツジャパン社製)、オルフィンSTG、E1010(いずれも日信化学株式会社製)、ニッサンノニオンA-10R、A-13R(いずれも日油株式会社製)、フローレンTG-740W、D-90(共栄社化学株式会社製)、ノイゲンCX-100(第一工業製薬株式会社製)等が挙げられる。
溶剤系インク(1)中における界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.05重量%以上3重量%以下、より好ましくは0.5重量%以上2重量%以下、さらに好ましくは1重量%以上1.5重量%以下である。
顔料の分散性を向上させる目的で、溶剤系インク(1)は、分散剤を含有していてもよい。分散剤としては、特に限定されないが、例えば、アニオン系分散剤、ノニオン系分散剤、高分子分散剤などが挙げられる。また、いわゆるシナジストを配合してもよい。
アニオン系分散剤の例としては、芳香族スルホン酸のホルマリン縮合物、β-ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物等が挙げられる。
上記芳香族スルホン酸の例としては、クレオソート油スルホン酸、クレゾールスルホン酸、フェノールスルホン酸、β-ナフトールスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルナフタレンスルホン酸、β-ナフタレンスルホン酸とβ-ナフトールスルホン酸との混合物、クレゾールスルホン酸と2-ナフトール-6-スルホン酸との混合物、リグニンスルホン酸等が挙げられる。
ノニオン系分散剤の例としては、フィトステロールのエチレンオキサイド付加物、コレスタノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
高分子分散剤の例としては、ポリアクリル酸部分アルキルエステル、ポリアルキレンポリアミン、ポリアクリル酸塩、スチレン-アクリル酸共重合物、ビニルナフタレン-マレイン酸共重合物等が挙げられる。
溶剤系インク(1)中における分散剤の含有量は、特に限定されないが、好ましくは0.10重量%以上7.5重量%以下であり、より好ましくは0.50重量%以上5.0重量%以下であり、さらに好ましくは1.0重量%以上2.5重量%以下である。
溶剤系インク(1)の物性は特に限定されない。インク粘度が小さ過ぎると、ミストが発生して画像形成が困難になるおそれがある。一方、インク粘度が大き過ぎると、吐出不良が発生するおそれがある。したがって、溶剤系インク(1)のインク粘度は、好ましくは25℃で3mPa・s以上12mPa・s以下である。
記録媒体への浸透性および記録媒体表面での濡れ拡がり性の観点から、溶剤系インク(1)の表面張力は、好ましくは25℃で25mN/m以上40mN/m以下である。
当該インクは、公知方法に従って調製することができる。例えば、顔料および有機溶剤、ならびに分散剤等の任意成分を混合した後、ボールミル、ビーズミル、超音波、またはジェットミル等で顔料分散液を調製する。続いて、定着樹脂、有機溶剤、およびその他の添加剤(例えば、粘度調整剤)を撹拌下、顔料分散液に加えてインクを得ることができる。
〔蛍光発光インクセット〕
蛍光発光インクセットは、紫外線照射により赤色発光する蛍光発光インク(以下、「蛍光発光インク(R)」と称することがある)、紫外線照射により緑色発光する蛍光発光インク(以下、「蛍光発光インク(G)」と称することがある)、および紫外線照射により青色発光する蛍光発光インク(以下、「蛍光発光インク(B)」と称することがある)を少なくとも含む。
本明細書において、紫外線とは、波長が10nm以上400nm未満の光のことを指す。一般的な紫外線照射器により射出される光の波長を考慮すると、紫外線としては、励起ピーク波長が350nm以上400nm未満の光が好ましい。
赤色発光は、発光ピーク波長が、通常570nm以上、好ましくは580nm以上、より好ましくは590nm以上の範囲にあり、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の範囲にある。緑色発光は、発光ピーク波長が、通常495nm以上、好ましくは500nm以上、より好ましくは505nm以上の範囲にあり、また、通常570nm未満、好ましくは560nm以下、より好ましくは550nm以下の範囲にある。青色発光は、発光ピーク波長が、通常400nm以上、好ましくは410nm以上、より好ましくは420nm以上の範囲にあり、また、通常は495nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、さらに好ましくは470nm以下の範囲にある。
蛍光発光インクセットを構成する各インクとしては、水性インク、溶剤系インク、およびUV硬化型インク等であってもよい。なかでも、記録媒体が平滑な表面を有する難吸収性基材である場合であっても、印刷部分に凸部が形成しにくいことから、溶剤系インクが好ましい。以下、蛍光発光インクセットを構成する各インクが、溶剤系インクジェットインクであった場合の例について説明する。
蛍光発光インクセットに用いられる溶剤系インク(以下、「溶剤系インク(2)」と称することがある)は、典型的には、有機溶剤、蛍光色材、および定着樹脂を含有する。当該溶剤系インク(2)は、分散剤、界面活性剤等をさらに含有していてもよい。
溶剤系インク(2)に用いられる有機溶剤は、上記溶剤系インク(1)に用いられる有機溶剤と同様であり、したがって、グリコールエーテル類を好適に用いることができる。
蛍光色材は、紫外線照射によって発光する成分である。蛍光色材は、蛍光顔料および蛍光染料のいずれであってもよく、公知のものを使用することができる。また、蛍光顔料および蛍光染料として公知でなくても、顔料に適した粒子径と発光強度を有する蛍光材料を、蛍光顔料として使用することができる。同様に、有機溶剤に溶解可能であり、染料に適した発光強度を有する蛍光材料を、蛍光染料として使用することができる。蛍光色材としては、溶剤系インク(2)に溶解して均一に分散可能なことから、蛍光染料が好ましい。有機溶剤に対する良好な溶解性の観点から、蛍光染料のSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が、4(cal/cm1/2以下であることが好ましく、2.5(cal/cm1/2以下であることがより好ましく、2(cal/cm1/2以下であることがさらに好ましい。なお、SP値の計算には、例えば、Fedorsの推算法(R.F.Fedors,「Polymer Engineering and Science」,1974年,第14巻,第2号,p147-154参照)を用いることができる。
蛍光発光インク(R)に用いられる蛍光染料として、公知の赤色蛍光染料を用いてよい。蛍光発光インク(R)に用いられる蛍光染料の例としては、希土類錯体(例、配位子としてβ-ジケトン誘導体、および金属イオンとしてユウロピウム(Eu)イオンを含む希土類錯体など);ローダミン6Gなどのローダミン系赤色蛍光体;アントラキノン系赤色蛍光体;シアニン系赤色蛍光体;BODIPY誘導体;フルオロセイン誘導体;Alexa Flour(登録商標)546、555、568、594、644、Super Bright 600、645、Qdot(登録商標)565、605、655、Pacific Orange(登録商標)、Texas Red(登録商標)、TRITC、Cy(登録商標)3、5(いずれもThermo Fisher Scientific社製)などが挙げられる。当該希土類錯体としては、特開2000-63682号公報、特開2003-81986号公報等に記載のものが挙げられる。有機溶剤がグリコールエーテル類である場合には、希土類錯体が好ましい。
蛍光発光インク(G)に用いられる蛍光染料として、公知の緑色蛍光染料を用いてよい。蛍光発光インク(G)に用いられる蛍光染料としては、希土類錯体(例、配位子としてβ-ジケトン誘導体、および金属イオンとしてテルビウム(Tb)イオンを含む希土類錯体など);クマリン6、クマリン30などのクマリン系緑色蛍光体;9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン、2-クロロ-9,10-ビス(フェニルエチニル)アントラセン等のアントラセン系緑色蛍光体;キノリン系緑色蛍光体;フルオロセイン誘導体;BODIPY誘導体;チアゾール誘導体;Alexa Flour(登録商標)488、Qdot(登録商標)525、PyMPO、BODIPY(登録商標)FL、Pacific Green(登録商標)、Oregon Green(登録商標)、FITC、Super Bright 436(いずれもThermo Fisher Scientific社製)などが挙げられる。当該希土類錯体としては、特開2000-63682号公報、特開2003-81986号公報等に記載のものが挙げられる。有機溶剤がグリコールエーテル類である場合には、希土類錯体が好ましい。
蛍光発光インク(B)に用いられる蛍光染料として、公知の青色蛍光染料を用いてよい。蛍光発光インク(B)に用いられる蛍光染料としては、例えば、ペリレン系青色蛍光体;9,10-ジフェニルアントラセン、9,10-ビス(4-メトキシフェニル)-2-クロロアントラセン等アントラセン系青色蛍光体;スチルベン系青色蛍光体;クマリン誘導体;チオフェン;ピレン;チアゾール誘導体;Alexa Flour(登録商標)350、405、Marina Blue(登録商標)dye、Pacific Blue(登録商標)(いずれもThermo Fisher Scientific社製);アニリノナフタレン系青色蛍光体;フルオレスカミン;ビマン系青色蛍光体などが挙げられる。
プロセスカラーによる加飾表現を損なうことを防止する観点から、蛍光色材は、可視光下においてその蛍光色が視認できないことが好ましく、無色であることがより好ましい。
溶剤系インク(2)中の蛍光色材の含有量は特に限定されない。しかしながら、当該含有量が小さすぎると、十分な発光強度が得られないおそれがある。そのため、当該含有量は、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。一方、当該含有量の上限については特に制限が無い。蛍光色材が蛍光染料であった場合には、その含有量は、通常、使用温度における蛍光色材の溶解度の上限未満である。分散の容易さ、コスト面等の観点から、当該含有量は、5重量%以下であることが好ましい。
溶剤系インク(2)に用いられる定着樹脂は、上記溶剤系インク(1)に用いられる定着樹脂と同様である。定着樹脂のSP値と有機溶剤のSP値との差の絶対値が、4(cal/cm1/2以下であることが好ましく、2.5(cal/cm1/2以下であることがより好ましく、2(cal/cm1/2以下であることがさらに好ましい。
溶剤系インク(2)中の定着樹脂の含有量(重量%)は、蛍光色材の2倍以上であることが好ましい。当該含有量は、例えば1重量%以上である。一方、当該含有量が大きすぎると、溶剤系インク(2)の粘度増大を招くおそれがある。そのため、当該含有量は、20重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
分散剤、界面活性剤等の任意成分については、溶剤系インク(1)と同様である。
溶剤系インク(2)の物性は特に限定されない。溶剤系インク(2)のインク粘度は、溶剤系インク(1)と同様に、好ましくは25℃で3mPa・s以上12mPa・s以下である。溶剤系インク(2)のインクの表面張力は、溶剤系インク(1)と同様に、好ましくは25℃で25mN/m以上40mN/m以下である。
溶剤系インク(2)は、公知方法に従って調製することができる。例えば、定着樹脂および有機溶剤を混合した後、撹拌装置を用いて定着樹脂溶液を調製する。続いて、蛍光色材を定着樹脂溶液に加え、均一に溶解させて蛍光発光インクを得ることができる。
UV硬化型インクによる画像形成は、記録媒体の表面上に付着したインクが、紫外線照射により硬化することによって行なわれる。そのため、特に、記録媒体が平滑な表面を有する難吸収性基材である場合、画像は、当該記録媒体の表面に、厚さを有するインク塗膜として形成される。すなわち、凸部が形成される。水性インクによる画像形成は、記録媒体の表面上で定着樹脂により行われる。よって、特に、記録媒体が平滑な表面を有する難吸収性基材である場合、画像は、当該記録媒体の表面に、厚さを有するインク塗膜として形成される。すなわち、凸部が形成される。すると、蛍光発光インクによる画像形成部分が凸部として形成されると、見る角度次第では、可視光下でも容易に蛍光発光インクによる画像形成部分を視認することが可能である。そうすると、可視光下と紫外線照射時で異なる文字または画像が呈されるという特殊な加飾効果が薄れることになる。
一方、溶剤系インクにより画像形成は、インクの有機溶剤が記録媒体を溶解して記録媒体の内部へ浸透し、有機溶剤が揮発して、色材が定着樹脂によって定着することにより行われる。したがって、記録媒体が平滑な表面を有する難吸収性基材である場合であっても、記録媒体上に凸部として画像が形成されにくい。そのため、見る角度を変えても、蛍光発光インクによる画像形成部分を視認しにくい。よって、可視光下と紫外線照射時で異なる文字または画像が呈されるという特殊な加飾効果に優れることから、蛍光発光インクセットの各蛍光発光インクが、溶剤系インクであることが好ましく、インクジェット用インクセットを構成する各インク(即ち、プロセスカラーインクセットの各インク、および蛍光発光インクセットの各インク)も、溶剤インクであることがより好ましい。また、各インク間のSP値の差の絶対値が4(cal/cm1/2以下であることが好ましい。
プロセスカラーインクには、色の三原色を含む、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、およびブラック(K)が選ばれている。一方、蛍光発光インクには、光の三原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の発光色が選ばれている。蛍光発光インクは、蛍光発光により発色するものであるから、光の三原色である赤色(R)、緑色(G)、青色(B)を用いることによって、ほぼすべての色を作成することができる。したがって、本発明のインクジェット用インクセットによれば、可視光下では、プロセスカラーインクセットによってほぼすべての色を表現することができると共に、紫外線照射時は、蛍光発光インクセットによってほぼすべての色を表現することができる。そして、本発明のインクジェット用インクセットによれば、可視光下と紫外線照射時とで、異なる文字および/または画像を呈することができる。このとき、文字および画像には、様々な色を用いることができるため、可視光下および紫外線照射時においてそれぞれ高度な加飾を行うことができ、従来とは異なる加飾表現が可能である。
本発明のインクジェット用インクセットは、公知のインクジェット記録装置を用いて、記録媒体に印刷を施すことができる。インクジェット用インクセットの各インクを記録媒体に塗布する場合、各インクの塗布の順序には特に限定はない。しかしながら、インクジェット用インクセットは、プロセスカラーインクセットのインクを記録媒体に塗布した後に、蛍光発光インクセットのインクを記録媒体に塗布することが好ましい。この場合、プロセスカラーのインクの塗膜により、紫外線が遮蔽されて蛍光発光インクに含まれる蛍光材料の発光強度が低下することを抑制することができる。なお、蛍光発光インクを、プロセスカラーインクセットのインクが塗布されていない部分に塗布してもよい。
そこで、別の側面から、本発明のインクジェット記録方法は、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクを含むプロセスカラーインクセットのインクを記録媒体にインクジェット方式で塗布する工程と、蛍光発光インク(R)、蛍光発光インク(G)、および蛍光発光インク(B)を含む蛍光発光インクセットのインクを、当該工程で塗布がなされた記録媒体にインクジェット方式で塗布する工程と、を包含する。
記録媒体の種類は、インクジェット用インクセットの各インクの種類に応じて、適切なものを選択すればよい。記録媒体とインクの種類に関し、蛍光発光インクセットの各インクが溶剤系インクであり、記録媒体が難吸収性基材であることが好ましく、プロセスカラーインクセットおよび蛍光発光インクセットの各インクが溶剤系インクであり、記録媒体が難吸収性基材であることがより好ましい。
本明細書において、難吸収性基材とは、少なくとも記録面が、水を吸収し難い基材のことをいい、水を吸収しない非吸収性基材も含む。具体的には、難吸収基材とは、ブリストー法(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.51-87)により測定した、水に対する吸収係数が0.6ml/m・ms1/2以下(0を含む)である基材のことをいう。難吸収性基材の具体例としては、ポリ塩化ビニルシート、PETフィルム、PPフィルム、アクリル板等のプラスチック媒体;コート紙、アート紙、微塗工紙、キャストコート紙等の紙媒体が挙げられる。難吸収性基材は、少なくとも記録面のみが難吸収性を示すものであってよい。例えば、ガラス、金属、セラミクス等の基板上に難吸収性層が設けられたものであってよい。あるいは、難吸収性層と粘着剤層を有するものであってよい。難吸収性基材は、透明、半透明、不透明のいずれであってもよい。
記録媒体は、難吸収性基材に限定されず、例えば、上質紙、再生紙、コピー用紙、インクジェット用紙、和紙、織布、不織布等であってもよい、
プロセスカラーインクセットのインクの記録媒体への塗布は公知方法に従い行うことができる。具体的に例えば、公知のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドから微細な液滴状にインクを記録媒体表面に吐出することにより、塗布を行うことができる。なお、塗布の前に、記録媒体を予備加熱してもよい。
蛍光発光インクセットのインクの記録媒体への塗布は公知方法に従い行うことができる。具体的に例えば、公知のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドから微細な液滴状にインクを記録媒体表面に吐出することにより、塗布を行うことができる。
また、記録媒体に塗布されたインクの塗膜形成操作が行われる。具体的に例えば、記録媒体に塗布されたインクの乾燥操作が行われる。乾燥の時期は、プロセスカラーインクセットのインクの記録媒体への塗布と同時、あるいは塗布後に行われる限り特に制限はない。例えば、プロセスカラーインクセットのインクを記録媒体に塗布し、インク塗膜を完全にまたは半硬化する程度に乾燥してから、蛍光発光インクセットのインクの記録媒体への塗布を行い、再度乾燥してもよい。例えば、プロセスカラーインクセットのインクと蛍光発光インクセットのインクの両方を記録媒体に塗布してから、乾燥操作を行ってもよい。なお、UV硬化型インクの場合には、塗膜形成操作として、紫外線照射が行なわれる。
本発明に係るインクジェット用インクセットにより印刷が施されている印刷物は、可視光下と紫外線照射時とで、異なる文字および/または画像を呈することができる。可視光下では、プロセスカラーインクセットによってほぼすべての色を表現することができると共に、紫外線照射時は、蛍光発光インクセットによってほぼすべての色を表現することができる。したがって当該印刷物では、可視光下および紫外線照射時においてそれぞれ高度な加飾を行うことができ、そのため、当該印刷物によれば、従来とは異なる加飾表現が可能である。
そこで本発明は、別の側面から、記録媒体に、上記のインクジェット用インクセットにより印刷が施されている印刷物である。上記蛍光発光インクセットの各インクが溶剤系インクであり、当該記録媒体が難吸収性基材であることが好ましく、上記インクジェット用インクセットの各インクが溶剤系インクであり、当該記録媒体が難吸収性基材であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
〔蛍光材料の選定〕
蛍光発光インクに使用する蛍光染料を選択するにあたり、蛍光染料と、有機溶剤として用いるジエチレングリコールジエチルエーテル(DEGDEE)のSP(Solubility Parameter)値を計算した。なお、SP値の計算には、比較的簡便に求められるFedorsの推算法を用いた。計算する際、「添加剤の溶解性パラメータに関する考察」、塗料の研究、No.152、Oct. 2010,41-46頁を参考にし、錯体の中心金属および電荷については考慮していない。一方で、DEGDEEに対する蛍光染料の溶解性を目視で評価した。結果を表1に示す。
計算式:δ=(ΣEcoh/ΣV)1/2 (Ecoh:凝集エネルギー[cal/mol]、V:モル分子容[cm3/mol])
表1より、SP値と溶解性の関係から、インクに用いる蛍光材料は、そのSP値と溶剤のSP値との差の絶対値が、4(cal/cm1/2以下が好ましく、2.5(cal/cm1/2以下がより好ましく、2(cal/cm1/2以下がさらに好ましいことがわかる。検討した蛍光材料の中で、トリス[1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-1,3-ペンタジオナト-O,O’]ビス(トリフェニルホスフィンオキシド-O-)ユウロピウム、トリス1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-1,3-ペンタジオナト-O,O’]ビス(トリフェニルホスフィンオキシド-O-)テルビウム、2-(3-オキソイソインドリン-1-イリデン)メチルキノリン、および4,4’-ビス(2-べンゾオキサゾリル)スチルベンを以下の検討に用いることにした。
Figure 0007198620000001
〔プロセスカラーインクの調製〕
プロセスインクとして、表2に記載の各成分を表2に示す含有割合(重量%)で含有するインク(即ち、シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインク)を用意した。また、ライト系インクとして、表2に記載の各成分を表2に示す含有割合(重量%)で含有するインク(即ち、ライトシアンインク、ライトマゼンタインク、およびライトブラックインク)を用意した。
Figure 0007198620000002
〔蛍光発光インクの調製〕
三角フラスコにジエチレングリコールジエチルエーテル(関東化学社製)および塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体「BR-116」(三菱ケミカル製)を加え、空冷管を取り付けた。次いで60℃に加熱して30分撹拌し、定着樹脂溶液を作製した。得られた定着樹脂溶液に蛍光材料を少量ずつゆっくり加え、さらに撹拌し、蛍光発光インクを調製した。得られた蛍光発光インクを、シリンジを用いて5.00μmのナイロンシリンジフィルターで濾過して不純物を取り除いた。蛍光発光インクの粘度を、円錐平板方式の粘度計「TVE-25L」(東機産業社製)を用いて25℃で測定した。また、蛍光発光インクの表面張力を、表面張力計「DY-300」(協和界面科学社製)を用いて25℃の条件下でWilhelmy法によって測定した。表3にインクの組成(即ち、使用材料と重量割合)と物性(即ち、粘度と表面張力)を示す。
Figure 0007198620000003
〔加飾性評価〕
調製したプロセスカラーインクおよび蛍光発光インクをローランドディー.ジー.社製インクジェットプリンタ「LEF-20」にインストールして、解像度900×600dpi、10pass、889mm/sec、単方向の条件で、透明アクリル板「アクリライト」(三菱化学社製)の上に印刷し、塗膜を形成した。このとき、プロセスカラーインクを吐出した後に、蛍光発光インクを吐出した。蛍光発光インクで形成した塗膜については、加飾性を評価した。結果を表4に示す。なお、評価内容は以下に示す4項目である。
(1)可視光下/透明度:可視光下での塗膜が透明であるか(色が見えないか)どうか
(判断基準)
◎:基材の透明度が保たれていて、発光の色味が全く分からない
○:基材の透明度が保たれているが、発光の色味がわずかに分かる
△:わずかに基材に着色し、発光の色味が分かる
×:基材に着色し、発光の色味もはっきり分かる
(2)可視光下/耐光性:可視光(屋内想定の光)に当てて、紫外光照射時の発光色の退色が無いか
(判断基準)
◎:屋内1ヶ月想定の放射照度で発光強度が初期の20%以上保たれる
○:屋内1ヶ月想定の放射照度で発光強度が初期の5%以上保たれる
△:屋内1ヶ月想定の放射照度で発光強度が初期の1%以上保たれる
×:屋内1ヶ月想定の放射照度で消光する
(3)紫外光下/発光強度:紫外光照射下での発光強度
(判断基準)
◎:明るく、良く光る
○:光る
×:光らない
(4)紫外光下/発光ムラ:紫外光照射下で発光にムラが無いか
(判断基準)
◎:ムラが全く無い
○:塗膜の一部に発光ムラがある
×:塗膜全体に発光ムラがある
Figure 0007198620000004
各評価項目において◎、○および△が実用可能なレベルである。以上の結果より、実施例1および実施例2において、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色について、加飾用途に実用可能なレベルであることが確認できた。
したがって、本発明のインクジェット用インクセットによれば、従来とは異なる加飾表現を実現可能であることがわかる。
本発明に係るインクジェット用インクセットは、インクジェット方式による加飾用途に好適である。本発明に係るインクジェット用インクセットは、セキュリティ用途に用いることもできる。

Claims (6)

  1. シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクを含むプロセスカラーインクセットと、
    紫外線照射により赤色発光する蛍光発光インク、紫外線照射により緑色発光する蛍光発光インク、および紫外線照射により青色発光する蛍光発光インクを含む蛍光発光インクセットと、
    を含み、
    前記蛍光発光インクセットを構成する各蛍光発光インクが、溶剤系インクであり、
    前記蛍光発光インクセットを構成する各蛍光発光インクが、蛍光染料、および有機溶剤を含有し、前記蛍光染料のSP値と、前記有機溶剤のSP値の差の絶対値が4(cal/cm 1/2 以下である、インクジェット用インクセット。
  2. 前記有機溶媒が、グリコールエーテル類であり、前記赤色発光する蛍光発光インクの蛍光染料および前記緑色発光する蛍光発光インクの蛍光染料が、希土類錯体である、請求項1に記載のインクジェット用インクセット。
  3. シアンインク、マゼンダインク、イエローインク、およびブラックインクを含むプロセスカラーインクセットのインクを記録媒体にインクジェット方式で塗布する工程と、
    紫外線照射により赤色発光する蛍光発光インク、紫外線照射により緑色発光する蛍光発光インク、および紫外線照射により青色発光する蛍光発光インクを含む蛍光発光インクセットのインクを、前記工程で塗布がなされた記録媒体にインクジェット方式で塗布する工程と、
    を包含し、
    前記蛍光発光インクセットを構成する各蛍光発光インクが、溶剤系インクであり、
    前記蛍光発光インクセットを構成する各蛍光発光インクが、蛍光染料、および有機溶剤を含有し、前記蛍光染料のSP値と、前記有機溶剤のSP値の差の絶対値が4(cal/cm 1/2 以下である、インクジェット記録方法。
  4. 記記録媒体が、難吸収性基材である、請求項に記載のインクジェット記録方法。
  5. 記録媒体に、請求項1または2に記載のインクジェット用インクセットにより印刷が施されている印刷物。
  6. 記記録媒体が、難吸収性基材である、請求項に記載の印刷物。
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