JP7198060B2 - 水性樹脂組成物、塗膜および塗装物品 - Google Patents
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(B)溶解性パラメータδ(SP値)が5.0~8.0であるアルキルエーテル化メラミン樹脂、
(C)アニオン系界面活性剤、
(D)有機溶剤、および
(E)水
を含有し、前記アクリル樹脂(A)および前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(B)が水に分散されている水性樹脂組成物。
[2] 前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(B)が、エチルエーテル化メラミン樹脂およびプロピルエーテル化メラミン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、項[1]に記載の水性樹脂組成物。
[3](F)Paulingの電気陰性度が1.31~2.02の金属からなるカチオンと、酸解離定数pKaが1.0以下のプロトン酸の脱プロトン化体である対アニオンとからなるルイス酸触媒をさらに含有する、項[1]または[2]に記載の水性樹脂組成物。
[4] 前記有機溶剤(D)が、沸点が50~200℃、かつ、20℃における水への溶解度が10g/100ml以下の有機溶剤(Da)を含む、項[1]~[3]のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物。
[5] 前記アニオン系界面活性剤(C)が、炭素数8~16のアルキルスルホコハク酸塩である、項[1]~[4]のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物。
[6] 項[1]~[5]のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物から形成された塗膜。
[7] 項[6]に記載の塗膜を含む塗装物品。
[8] 項[1]に記載の水性樹脂組成物の製造方法であって、
溶解性パラメータδ(SP値)が5.0~8.0であるアルキルエーテル化メラミン樹脂(B)、アニオン系界面活性剤(C)および有機溶剤(D)を含む混合物(G)を、
重量平均分子量が10万~80万であり、かつ、水酸基価が40~130mgKOH/gであるアクリル樹脂(A)が水に分散しているアクリル樹脂エマルション(A”)に添加する工程を含む、水性樹脂組成物の製造方法。
[9] 前記混合物(G)が、Paulingの電気陰性度が1.31~2.02の金属からなるカチオンと、酸解離定数pKaが1.0以下のプロトン酸の脱プロトン化体である対アニオンとからなるルイス酸触媒(F)をさらに含む、項[8]に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
[水性樹脂組成物]
本発明の水性樹脂組成物(以下、単に「本発明の組成物」ともいう。)は、
(A)重量平均分子量が10万~80万であり、かつ、水酸基価が40~130mgKOH/gであるアクリル樹脂、
(B)溶解性パラメータδ(SP値)が5.0~8.0であるアルキルエーテル化メラミン樹脂、
(C)アニオン系界面活性剤、
(D)有機溶剤、および
(E)水
を含有し、前記アクリル樹脂(A)および前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(B)が水に分散されている。本発明の組成物は、必要に応じてルイス酸触媒(F)をさらに含有してもよい。
本発明で用いられる、アクリル樹脂(A)(以下、単に「樹脂(A)」ともいう。)としては、重量平均分子量(Mw)が10万~80万であり、かつ、固形分の水酸基価が40~130mgKOH/gであれば特に限定されない。前記樹脂(A)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよく、2種以上のアクリル樹脂を使用する場合は、用いた樹脂のMwおよび水酸基価の平均値が上記範囲になるように組み合わせてもよい。Mwは、ポリスチレン標準サンプル基準を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定することができる。
前記樹脂(A)の市販品としては、例えば、DSM製「NeoCryl XK-103」などが挙げられる。
本発明の組成物では、前記樹脂(A)は水に分散されている。これにより良好な塗膜を形成することができるとともに、貯蔵安定性にも優れる。
本発明で用いられるアルキルエーテル化メラミン樹脂(B)(以下、単に「メラミン樹脂(B)」ともいう。)は、メラミン樹脂(該メラミン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドとから得られる熱硬化性樹脂のことを指す。)のメチロール基の少なくとも一部がアルキルエーテル化された樹脂を指し、溶解性パラメーター(SP値)が5.0~8.0であれば特に限定されない。メラミン樹脂のSP値が上限を上回ると塗膜にした場合の低温硬化性が低下し、下限を下回ると水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する。
メラミン樹脂(B)は、GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、好ましくは800~15000であり、より好ましくは1000~7000であり、さらに好ましくは1100~5000である。メラミン樹脂(B)の重量平均分子量が前記範囲にあることで、適度な粘性を有する樹脂組成物を得ることができ、機械特性、平滑性、外観などに優れる塗膜(硬化物)を得ることができる。
本発明で用いられるアニオン系界面活性剤(C)は、前記メラミン樹脂(B)を乳化できるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アシル化アミノ酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N-アシル-N-メチルタウリン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ヤシ油脂肪酸メチルタウリン塩;ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸カリウム等の脂肪酸石ケン、アルキルリン酸エステル塩、N-ラウロイルグルタミン酸塩、N-パルミトイルグルタミン酸塩、N-ラウロイル-N-エチルグリシン塩、N-ラウロイルザルコシン塩、N-ミリストイル-β-アラニン塩、又はこれらのポリオキシエチレン付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中では、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩が好ましく、炭素数が8~16のアルキルスルホコハク酸塩が特に好ましい。また、これらの塩の対イオンとしては、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩などが挙げられる。前記アニオン系界面活性剤(C)は、より好ましくは、炭素数が8~16のアルキルスルホコハク酸金属塩、特に好ましくは、炭素数が8~16のアルキルスルホコハク酸アルカリ金属塩である。アルキル基の炭素数が前記範囲外であると、水性樹脂組成物の貯蔵安定性が低下する恐れがある。
本発明で用いられる有機溶剤(D)は、前記メラミン樹脂(B)を乳化できるものであれば特に限定されるものではないが、沸点が50~200℃、かつ、20℃における水への溶解度が10g/100ml以下の有機溶剤(Da)を含むことが好ましい。沸点が上限を上回ると塗膜にした場合に溶剤が残存し硬化性が低下する恐れがある。また、沸点が下限を下回る、あるいは有機溶剤の水への溶解度が上限を上回ると、水性塗料組成物の貯蔵安定性が低下する恐れがある。
本発明で用いられる水(E)は、特に限定されるものではなく、一般的に使用されているイオン交換水、蒸留水などを使用することができる。本発明の組成物全量に対する水(E)の含有割合は、好ましくは20~95質量%、より好ましくは30~90質量%、更に好ましくは40~90質量%である。水(E)の含有割合が前記範囲内であることにより、低温硬化性および貯蔵安定性に優れ、VOC排出量の少ない水性樹脂組成物が得られる。
本発明で必要に応じて用いられるルイス酸触媒(F)(以下、単に「触媒(F)」ともいう。)としては、例えば、Paulingの電気陰性度が1.31~2.02の金属からなるカチオンと、酸解離定数pKaが1.0以下のプロトン酸の脱プロトン化体である対アニオンとからなるルイス酸触媒が挙げられる。
前記ルイス酸触媒(F)の具体例としては、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸アルミニウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸銅、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ビスマスなどが挙げられる。
本発明の組成物は、必要に応じて、上述した成分以外の添加剤を含有してもよい。このような添加剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知の添加剤を用いることができる。具体的には、顔料、染料、レベリング剤、安定向上剤、発泡抑制剤、耐候性向上剤、ワキ防止剤、酸化防止剤、分散剤および紫外線吸収剤などが挙げられる。添加剤は1種単独で用いても、2種以上を用いてもよい。
本発明の組成物の製造方法は、前記メラミン樹脂(B)、前記アニオン性界面活性剤(C)および前記有機溶剤(D)を含む混合物(G)を、前記アクリル樹脂(A)が水に分散しているアクリル樹脂エマルション(A”)に添加する工程を含む。前記混合物(G)は、必要に応じて、前記触媒(F)をさらに含んでもよい。
本発明の組成物は、塗料(コーティング材)用途に好適に用いることができる。すなわち、本発明の塗膜は、本発明の組成物からなることを特徴とし、通常、硬化膜の形態である。また、本発明の塗装物品は、本発明の組成物からなる塗膜を含むことを特徴とする。
前記塗膜(硬化膜)の厚さは、特に限定されず、所望の用途に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは5~50μmであり、より好ましくは10~20μmである。
下記実施例および比較例において、組成物(コーティング材)を調製する際に用いた原料および組成物を塗布する際に用いた被覆体(基材)は以下のとおりである。
・(A-1)DSM製「NeoCryl XK-102」
固形分:40%
重量平均分子量:20万
水酸基価:52mgKOH/g
・(A-2)DSM製「NeoCryl XK-103」
固形分:45%
重量平均分子量:43万
水酸基価:106mgKOH/g
・(A'-1)DSM製「NeoCryl XK-110」
固形分:46.5%
重量平均分子量:2万
水酸基価:84mgKOH/g
還流冷却器、撹拌器、温度計および滴下ロートを装備した反応容器に、脱イオン水122.2部およびアニオン性乳化剤(花王(株)社製「ラテムルPD-104」、固形分20%)0.46部を加え、窒素置換後、80℃に保った。これに過硫酸アンモニウム0.025部を添加し、添加15分後から下記組成をエマルション化してなるプレエマルションを3時間にわたって滴下した。
脱イオン水 142.8部
メチルメタクリレート 45.0部
n-ブチルアクリレート 33.0部
2-エチルヘキシルアクリレート 10.0部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 7.0部
アクリル酸 5.0部
ラテムルPD-104 9.0部
過硫酸アンモニウム 0.10部
滴下終了後、さらに2時間80℃に保持した。その後40~60℃に温度を下げ、アンモニア水でpH7~8に調整し、重量平均分子量30万、水酸基価34mgKOH/g、不揮発分40.4%のアクリル樹脂水分散体(A'-2)を得た。
還流冷却器、撹拌器、温度計および滴下ロートを装備した反応容器に、脱イオン水122.2部およびアニオン性乳化剤(花王(株)社製「ラテムルPD-104」、固形分20%)0.46部を加え、窒素置換後、80℃に保った。これに過硫酸アンモニウム0.025部を添加し、添加15分後から下記組成をエマルション化してなるプレエマルションを3時間にわたって滴下した。
脱イオン水 142.8部
メチルメタクリレート 40.0部
n-ブチルアクリレート 15.0部
2-エチルヘキシルアクリレート 5.0部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 35.0部
アクリル酸 5.0部
ラテムルPD-104 9.0部
過硫酸アンモニウム 0.10部
滴下終了後、さらに2時間80℃に保持した。その後40~60℃に温度を下げ、アンモニア水でpH7~8に調整し、重量平均分子量30万、水酸基価169mgKOH/g、不揮発分40.4%のアクリル樹脂水分散体(A'-3)を得た。
還流冷却器、撹拌器、温度計および滴下ロートを装備した反応容器に、脱イオン水122.2部およびアニオン性乳化剤(花王(株)社製「ラテムルPD-104」、固形分20%)0.46部を加え、窒素置換後、80℃に保った。これに過硫酸アンモニウム0.025部を添加し、添加15分後から下記組成をエマルション化してなるプレエマルションを3時間にわたって滴下した。
脱イオン水 142.8部
メチルメタクリレート 40.0部
n-ブチルアクリレート 30.0部
2-エチルヘキシルアクリレート 10.0部
2-ヒドロキシエチルアクリレート 15.0部
アクリル酸 5.0部
ラテムルPD-104 9.0部
過硫酸アンモニウム 0.03部
滴下終了後、さらに2時間80℃に保持した。その後40~60℃に温度を下げ、アンモニア水でpH7~8に調整し、重量平均分子量100万、水酸基価72mgKOH/g、不揮発分40.4%のアクリル樹脂水分散体(A'-4)を得た。
≪エチル化メラミン樹脂≫
・(B-1)エチル化メラミン樹脂溶液
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g(1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド130g(4.0モル)およびエタノール276g(6.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエチルエーテル化反応を3時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソブタノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでエチル化メラミン樹脂溶液(B-1)を得た。得られた樹脂のSP値は6.9、Mwは2,000であった。
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g(1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)およびエタノール276g(6.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてエチルエーテル化反応を3時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下でエタノールおよび水を留去した後、イソブタノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでエチル化メラミン樹脂溶液(B-2)を得た。得られた樹脂のSP値は7.3、Mwは2,500であった。
・(B-3)プロピル化メラミン樹脂溶液
撹拌機、温度計、還流コンデンサーおよび窒素導入管を備えた4つ口フラスコにメラミン126g(1.0モル)、ホルマリン濃度が92%のパラホルムアルデヒド196g(6.0モル)および2-プロパノール361g(6.0モル)を仕込み、還流温度まで昇温した。還流温度で1時間メチロール化反応を行った後、パラトルエンスルホン酸の50%水溶液0.180g(0.53ミリモル)を加え、還流状態にてプロピルエーテル化反応を3時間行った。その後、20%水酸化ナトリウム溶液0.160g(0.80ミリモル)で反応生成物を中和し、次いで減圧下で2-プロパノールおよび水を留去した後、イソブタノールで不揮発分70重量%となるまで希釈することでプロピル化メラミン樹脂溶液(B-3)を得た。得られた樹脂のSP値は7.7、Mwは3,000であった。
≪ブチル化メラミン樹脂≫
・(B'-1)三井化学(株)製「ユーバン20SB」
溶剤:キシレン、n-ブタノールの混合溶剤
固形分:50%
SP値:9.6
Mw:5,500
≪メチルブチル化メラミン樹脂≫
・(B'-2)ダイセル・オルネクス社製「サイメル254」
溶剤:iso-ブタノール
固形分:60%
SP値:11.0
Mw:1,000
・(B'-3)ダイセル・オルネクス社製「サイメル202」
溶剤:iso-ブタノール
固形分:80%
SP値:12.0
Mw:1,000
≪メチル化メラミン樹脂≫
・(B'-4)ダイセル・オルネクス社製「サイメル325」
溶剤:iso-ブタノール
固形分:70%
SP値:14.0
Mw:8,00
<アニオン系界面活性剤(C)>
≪アルキルスルホコハク酸ナトリウム≫
・(c-1)花王(株)製「ペレックスTR」
溶剤:メタノール
固形分:70%
・(c-2)花王(株)製「ペレックスOT-P」
溶剤:メタノール
固形分:70%
<有機溶剤(D)>
≪有機溶剤(Da)≫
・(D-1)1-ヘキサノール
沸点:157℃
水への溶解度:0.58g/100ml
・(D-2)2-エチル-1-ヘキサノール
沸点:185℃
水への溶解度:0.07g/100ml
・(D-3)iso-ブタノール
沸点:108℃
水への溶解度:8.5g/100ml
≪有機溶剤(Db)≫
・(D-4)メタノール
沸点:65℃
水への溶解度:∞g/100ml
<触媒(F)>
・(F-1)硝酸カルシウム四水和物
・(F-2)硝酸マグネシウム六水和物
<被覆体(基材)>
・鋼板((株)テストピース製、JIS-G3141(SPCC,SB),5Φ1個 PB-N144、150mm×70mm×厚さ0.8mm)
<実施例1~11>
100mlフラスコに、メラミン樹脂(B)、アニオン系界面活性剤(C)、有機溶剤(D)および触媒(F)を表1に示す割合で加えて混合し、混合物(G)を調製した。次いで、500mlフラスコにアクリル樹脂(A)を表1に示す割合で加え、2,000rpmで撹拌しているところに混合物(G)を加えた後、水(E)で希釈することにより、配合液を得た。
100mlフラスコに、メラミン樹脂(B)、アニオン系界面活性剤(C)、有機溶剤(D)、触媒(F)を表2に示す割合で加えて混合し、混合物(G)を調製した。次いで、500mlフラスコにアクリル樹脂(A)を表2に示す割合で加え、20rpmで撹拌しているところに混合物(G)を加えた後、水(E)で希釈することにより、配合液を得た。しかしながら、本組成物は分離がみられ、すなわち良好な分散体とならず、塗膜を得ることが困難であったため、後述する評価を行うことができなかった。
100mlフラスコに、メラミン樹脂(B)もしくは(B')、アニオン系界面活性剤(C)、有機溶剤(D)および触媒(F)を表2に示す割合で加えて混合し、混合物(G)を作製した。次いで、500mlフラスコにアクリル樹脂(A)もしくは(A')を表2に示す割合で加え、2,000rpmで撹拌しているところに混合物(G)を加えた後、水(E)で希釈することにより、配合液を得た。
<配合液の外観>
実施例および比較例で得られた組成物を、透明なガラス製のサンプル瓶に入れて蓋をして25℃で30分静置した。外観を目視で観察し、析出物や未溶解物がない場合を「〇」、析出物や未溶解物がある場合を「×」と判定した。
ガラス製のサンプル瓶に入れた組成物を40℃で8時間静置した後、サンプル瓶を傾けて外観を目視で観察し、流動性がみられるもの(組成物が流れるもの)を「〇」、流動性がみられない又は分離がみられるものを「×」とした。
実施例および比較例で得られた塗膜付試験板の塗膜を目視で観察し、異物などがなく表面が平滑な場合を「〇」、全面に異物や凹凸が見られる場合または光沢が損なわれている場合を「×」と評価した。
実施例および比較例で得られた塗膜付試験板の塗膜表面を、ガーゼにキシレンを浸したもので、荷重500gでこすり、被塗装材の表面が現れるまでの往復回数の一桁目を四捨五入し、往復回数を評価した。80℃×20分で硬化させた場合においては、100回以上を「〇」、99~50回を「△」、49~0回を「×」と判定し、80℃×30分で硬化させた場合においては、200回以上を「◎」、100~199回を「〇」、30~90回を「△」、0~20回を「×」と判定した。
JIS K 5600-5-4に準じて、試験塗板面に対し約45°の角度に鉛筆の芯を当て、芯が折れない程度に強く試験塗板面に押し付けながら前方に均一な速さで約10mm動かした。塗膜に傷が生じなかった最も硬い鉛筆の硬度記号を鉛筆硬度とした。
Claims (10)
- (A)重量平均分子量が10万~80万であり、かつ、水酸基価が40~130mgKOH/gであるアクリル樹脂、
(B)溶解性パラメータδ(SP値)が5.0~8.0であるアルキルエーテル化メラミン樹脂、
(C)アニオン系界面活性剤、
(D)有機溶剤、および
(E)水
を含有し、前記アクリル樹脂(A)および前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(B)が水に分散されている水性樹脂組成物。 - 前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(B)が、エチルエーテル化メラミン樹脂およびプロピルエーテル化メラミン樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の水性樹脂組成物。
- (F)Paulingの電気陰性度が1.31~2.02の金属からなるカチオンと、酸解離定数pKaが1.0以下のプロトン酸の脱プロトン化体である対アニオンとからなるルイス酸触媒をさらに含有する、請求項1または2に記載の水性樹脂組成物。
- 前記有機溶剤(D)が、沸点が50~200℃、かつ、20℃における水への溶解度が10g/100ml以下の有機溶剤(Da)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物。
- 前記アニオン系界面活性剤(C)が、炭素数8~16のアルキルスルホコハク酸塩である、請求項1~4のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の水性樹脂組成物から形成された塗膜。
- 請求項6に記載の塗膜を含む塗装物品。
- 請求項1に記載の水性樹脂組成物の製造方法であって、
溶解性パラメータδ(SP値)が5.0~8.0であるアルキルエーテル化メラミン樹脂(B)、アニオン系界面活性剤(C)および有機溶剤(D)を含む混合物(G)を、
重量平均分子量が10万~80万であり、かつ、水酸基価が40~130mgKOH/gであるアクリル樹脂(A)が水に分散しているアクリル樹脂エマルション(A”)に添加して前記アクリル樹脂(A)および前記メラミン樹脂(B)を水に分散させる工程を含む、水性樹脂組成物の製造方法。 - 前記混合物(G)が、Paulingの電気陰性度が1.31~2.02の金属からなるカチオンと、酸解離定数pKaが1.0以下のプロトン酸の脱プロトン化体である対アニオンとからなるルイス酸触媒(F)をさらに含む、請求項8に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
- 前記工程が、前記アクリル樹脂エマルション(A”)を1,000~10,000rpmの範囲で撹拌しながら前記混合物(G)を添加する工程である、請求項8または9に記載の水性樹脂組成物の製造方法。
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