JP7196590B2 - リアクトルの製造方法 - Google Patents

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本明細書が開示する技術は、リアクトルの製造方法に関する。
コイルにコアが組み付けられ、コイルとコアのアセンブリが樹脂で覆われているリアクトルが知られている。特許文献1に、そのようなリアクトルの製造方法の一例が開示されている。特許文献1は、リング状のコアに一対のコイルが取り付けられているリアクトルの製造方法を開示している。その製造方法は、2回の成形工程を備えている。一次モールド工程(第1成形工程)では、一対のコイルのそれぞれの内側にコアの一部(内側コア)を入れた構造体を第1金型に入れ、内部コアとコイルが樹脂で覆われたコイルモールド体を成形する。二次モールド工程(第2成形工程)では、一対の内側コアの端部同士を磁気的に連結する外側コアをコイルモールド体に組み付けたアセンブリを別の金型に入れ、アセンブリを覆う樹脂カバーを成形する。
特開2013-225688号公報
リアクトルの中には、コイルに一対のE字形状のコアが組み付けられているタイプがある。コイルとコアは樹脂カバーで覆われている。そのようなタイプのリアクトルを製造する際、まず、コイルが樹脂で覆われたコイルモールド体を成形する(一次モールド工程)。次に、一対のE字形状のコアをコイルモールド体に組み付けたアセンブリを組み立てる(組み立て工程)。次に、アセンブリを金型に入れ、コアを覆うとともにコイルモールド体に一体となる樹脂カバーを成形する(二次モールド工程)。二次モールド工程において、溶融樹脂が十分に充填されない箇所が生じるおそれがある。すなわち、樹脂カバーに成形不良箇所が発生するおそれがある。本明細書は、コイルに一対のE字形状のコアが組み付けられており、コイルとコアが樹脂カバーで覆われているリアクトルの製造方法に関し、樹脂カバーの成形不良を防止する技術を提供する。
本明細書が開示する製造方法は、一次モールド工程、組み立て工程、二次モールド工程を備えている。一次モールド工程では、コイルが樹脂で覆われたコイルモールド体を成形する。組み立て方向では、コイルモールド体に一対のE字形状のコアを組み付け、コアがコイルモールド体を囲むとともにコイルの内部を通っているアセンブリを組み立てる。二次モールド工程では、アセンブリを金型に入れ、コアの周囲を覆っているとともに、前記コイルモールド体と一体となる樹脂カバーを成形する。アセンブリは、コイルモールド体のコイル軸線方向の端とコアの間に隙間を備えている。この隙間は、二次モールド工程において溶融樹脂が流れる流路となる。アセンブリにそのような流路を設けることで、金型内で溶融樹脂はコアの周囲だけでなく、コイルモールド体の端とコアの間の隙間を通って金型内に拡がることができる。コイルモールド体の端とコアの間に溶融樹脂が通る隙間を確保することで、樹脂カバーの成形不良を防止することができる。
コイルモールド体は、コイルのコイル軸線方向の端面が樹脂で覆われているとともに、コイルの端面を覆っている樹脂の角部が面取りされている。アセンブリは、コイルの端面を覆っている樹脂のコイル軸線方向を向いている面がコアに当接しているとともに面取りされた部分に上記した隙間が確保される。コイルの端面を覆っている樹脂のコイル軸線方向を向いている面がコアと当接することで、コアとコイルモールド体の相対位置が定まるとともに、面取りされた部分で樹脂が流れることのできる隙間が確保される。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
リアクトルの斜視図である。 コイルモールド体の斜視図である。 コイルモールド体とコアの斜視図である。 コイルモールド体とコアのアセンブリの斜視図である。 金型にセットされたアセンブリの断面図である(図4のV-V線に沿った断面に相当)。 金型にセットされたアセンブリの断面図である(図4のVI-VI線に沿った断面に相当)。
最初に、完成したリアクトル2を説明する。図1に、リアクトル2の斜視図を示す。リアクトル2は、矩形筒状に巻回されたコイル11と、コイル11の周囲を囲むとともにコイル11の内側を通過しているコア20と、コイル11とコア20を覆っている樹脂カバー30を備えている。図1では、コア20は樹脂カバー30に覆われているので見えない。なお、詳しくは後述するが、コイル11を覆う樹脂(コイル保護部12)は、樹脂カバー30の成形に先立って作成される。コイル11がコイル保護部12で覆われた構造体をコイルモールド体10と称する。コイル保護部12と樹脂カバー30は、インサート形成にて成形される。以下、リアクトル2の製造方法を説明する。
(一次モールド工程)コイル11が樹脂(コイル保護部12)で覆われたコイルモールド体10を成形する。図2に、コイルモールド体10の斜視図を示す。コイル11は、平角線をエッジワイズに巻回したものである。コイル11は、矩形筒状をなしている。コイル保護部12は、コイル11の一部を覆っており、コイル11の一部は露出している。コイル保護部12は、矩形筒状のコイル11の側面の角部と、コイル11の内側と、コイル軸線方向のコイル端面を覆っている。図の座標系においてX方向がコイル軸線方向に相当する。X軸の向きは、他の図でもコイル軸線方向に相当する。
コイル保護部12において、コイル端面を覆う部分を端面保護部15と称する。端面保護部15は、コイル11の矩形筒状の4辺の端面のうち、対向する2辺に相当する端面を覆っている。端面保護部15は、コイル11の矩形筒状の辺に沿って面取りされている。面取りされた部分をチャンファ14と称し、残った平面を端平面13と称する。端平面13は、コイル軸線方向(X方向)を向いている。端面保護部15は、コイル11の両方の端面に設けられている。コイルモールド体10は、コイル11を金型に入れて溶融樹脂を射出するインサート成形によって作られる。
(組み立て工程)図3と図4を参照して組み立て工程を説明する。図3は、コイルモールド体10とコア20の斜視図である。コア20は、一対のE字形状の分割コア21で構成される。図4は、コイルモールド体10に一対のE字形状の分割コア21を組み付けたアセンブリ40の斜視図である。組み立て工程では、コイルモールド体10に一対のE字形状の分割コア21を組み付け、コア20がコイルモールド体10を囲むとともにコイル11の内部を通っているアセンブリ40を組み立てる。
説明の都合上、図3に示すように、E字形状の分割コア21において、E字の上側と下側の梁の部分を側方梁部22と称し、中央の梁の部分を中央梁部23と称する。上側と下側の側方梁部22と中央梁部23を連結する部分を連結部24と称する。
E字形状の一対の分割コア21は、中央梁部23がコイル11の内側を通るとともに、それぞれの側方梁部22の先端面が対向するように、コイルモールド体10に組み付けられる。そうすると、側方梁部22と連結部24が環状になってコイルモールド体10を囲む。また、中央梁部23は、コイル11の内側を通ることになる。すなわち、コア20がコイルモールド体10を囲むとともにコイル11の内部を通っているアセンブリ40が得られる。
(二次モールド工程)アセンブリ40を金型に入れて、コア20を覆うとともにコイルモールド体10と一体となる樹脂カバー30(図1参照)を成形する。すなわち、樹脂カバー30も、アセンブリ40を金型に入れて溶融樹脂を射出するインサート成形によって作られる。
図5と図6に、金型にセットしたアセンブリ40の断面図を示す。図5は、図4のV-V線に沿ったアセンブリ40の断面に相当する。図6は、図4のVI-VI線に沿った断面に相当する。図6は、また、図5(A)のVI-VI線に沿った断面にも相当する。
図6に示すように、金型50は、下型51と上型52で構成される。上型52に、溶融樹脂を流し入れるゲート53が設けられている。図5(A)は、下型51を通る平面でアセンブリ40をカットした断面である。金型50の内部空間がキャビティCaに相当する。キャビティCaの形状が樹脂カバー30の形状に相当する。ゲート53から溶融樹脂を射出する。溶融樹脂が固まると、樹脂カバー30を備えたリアクトル2が完成する(図1参照)。溶融樹脂は、予め作成されたコイルモールド体10のコイル保護部12と一体になる。すなわち、樹脂カバー30は、コイルモールド体10のコイル保護部12の樹脂と一体になる。
図5(A)にて破線矩形Bで囲んだ領域の拡大図を図5(B)に示す。破線矩形Bで囲んだ領域は、コイル11のコイル軸線方向の端面11aを覆う端面保護部15の周辺の拡大図である。先に述べたように、端面保護部15は、コイル11の矩形筒状の辺に沿って面取りされており、面取りされた部分をチャンファ14と称し、残った平面を端平面13と称する。端平面13は、コイルモールド体10のコイル軸線方向(X方向)の端に相当する。端平面13は、コイル軸線方向を向いている。端平面13にコア20が当接している。コイルモールド体10のコイル軸線方向の端に相当する端平面13がコア20に当接することで、コイルモールド体10に対するコア20の相対位置が精度良く定まる。
チャンファ14が面する領域には、隙間Spが確保されている。隙間Spは、端面保護部15の角の面取りされた部分に相当する。
図6の太矢印線が溶融樹脂の流れを示している。ゲート53から注入される溶融樹脂は、コア20の外側を通るとともに、コア20と端面保護部15の間に確保された隙間Spを通り、キャビティCaの全体にいきわたる。特に、隙間Spを通じて溶融樹脂が流れ込むことで、コア20を挟んでゲート53とは反対側に位置するキャビティ溝54へも溶融樹脂がよくいきわたる。コア20と端面保護部15の間に隙間が確保されていないと、キャビティ溝54へは溶融樹脂がいきわたり難くなり、樹脂が十分に満たされない成形不良が生じるおそれがある。コア20と端面保護部15の間に隙間Spを確保することで、樹脂カバー30の成形不良を防止することができる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2:リアクトル
10:コイルモールド体
11:コイル
12:コイル保護部
13:端平面
14:チャンファ
15:端面保護部
20:コア
21:分割コア
22:側方梁部
23:中央梁部
24:連結部
30:樹脂カバー
40:アセンブリ
50:金型
51:下型
52:上型
53:ゲート
54:キャビティ溝
Ca:キャビティ
Sp:隙間

Claims (1)

  1. 矩形筒状のコイルが樹脂で覆われたコイルモールド体を成形する一次モールド工程と、
    前記コイルモールド体に一対のE字形状のコアを組み付け、前記コアが前記コイルモールド体を囲むとともに前記コイルの内部を通っているアセンブリを組み立てる組み立て工程と、
    前記アセンブリを金型に入れ、前記コアを覆うとともに、前記コイルモールド体と一体となる樹脂カバーを成形する二次モールド工程と、
    を備えており、
    前記コイルモールド体は、前記コイルの軸線方向の端面であって前記コイルの矩形筒状の4辺の前記端面のうち平行な2辺に相当する前記端面を前記樹脂で覆っている端面保護部を備えており、
    前記端面保護部は、前記軸線方向を向いている樹脂端面を有しているとともに、前記樹脂端面の縁の角部であって前記2辺に平行な前記縁の角部が面取りされており、
    前記アセンブリは、前記樹脂端面が前記コアに当接しているとともに、前記面取りされた部分と前記コアの内側面との間に隙間が確保されている、リアクトルの製造方法。
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