JP7196534B2 - 冷凍パン生地の製造方法およびパンの製造方法 - Google Patents
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Description
中種法は、老化が遅く、日持ちがするパンを製造することができ、また、大量生産に向いているので、主に大手の製パン工場で使用されている。
さらに、中種法の改良技術も研究されており、その1つとして、別途小麦粉に熱水を加えて湯種を作り、これを中種と混捏する技術(特許文献1)が報告されている。
また、上記冷凍生地法の特徴を活かした新たなビジネスも誕生した。すなわち、パン製造会社が冷凍パン生地まで製造し、その後、当該パン生地を各店舗に配送し、店舗で解凍および2次発酵させ、最終的に焼成して顧客に提供するというものである。当該ビジネスは欧州に起源を有するものであるが、日本においても着実に成長している。
しかし、冷凍生地法を用いた場合、冷凍処理によりパン生地が冷凍障害を受けることから、製造されたパンの品質が、ストレート法や中種法で製造されたパンに比べて若干劣るという課題がある。詳細に述べると、冷凍処理により、酵母の多くが失活し、また、小麦やライ麦の胚乳から生成される蛋白質であるグルテンが冷凍変性を受けて損傷し、網目状構造の断裂が生じる。かかる冷凍障害がパンの食感の低下やボリューム感の低下を招き、最終的に品質の低下を生じる。
上述したような品質面での課題が、製パン業界における冷凍生地法の普及を妨げているといわれている。
しかし、現時点では、いずれの方法を用いても、十分な品質改善効果が得られるには至っておらず、上記した品質面での課題の解決された冷凍生地法の開発が望まれている。
[1](A)穀物粉に温水を加えて混捏し、生地を調製する工程、(B)穀物粉に水と酵母もしくはパン種、または酵母およびパン種を加えて混捏し、生地を調製する工程、(C)前記(B)の工程で調製した生地を-1℃~7℃で12時間~36時間保存する工程、および、(D)前記(A)の工程で調製した生地と、前記(C)の工程で保存した生地とを混捏する工程を含む、冷凍パン生地の製造方法。
[2](A)および(B)の工程で用いる穀物粉が小麦粉である、[1]に記載の製造方法。
[3](B)の工程における水の添加量が、穀物粉100重量部に対し60重量部~75重量部である、[1]または[2]に記載の製造方法。
[4](B)の工程において、さらにキシラナーゼもしくはアミラーゼ、またはキシラナーゼおよびアミラーゼを添加して混捏する、[1]~[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5](B)の工程において、食塩を添加せず、油脂を添加して混捏する、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6](C)の工程において、0℃~4℃で20時間~30時間保存する、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7](A)の工程で調製した生地と、(C)の工程で保存した生地との混合比[(A)の工程で調製した生地:(C)の工程で保存した生地]が、重量比にして2:8~4:6である、[1]~[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8](D)の工程において食塩を添加する、[1]~[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9](D)の工程の後に発酵させて冷凍する、[1]~[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の製造方法により製造された冷凍パン生地を解凍し、2次発酵させた後に加熱することを含む、パンの製造方法。
[11]加熱する手段として焼成する、[10]に記載の製造方法。
また、本発明により、従来の冷凍生地法では達成することができなかった優れた食感と豊かなボリューム感を有するパンを提供することができる。
さらに、本発明は、従来の中種法を冷凍生地法に応用できるように改良したものであるので、大量生産にも適する。
本発明の冷凍パン生地の製造方法は、(A)穀物粉に温水を加えて混捏し、生地を調製する工程、(B)穀物粉に水と酵母もしくはパン種、または酵母およびパン種を加えて混捏し、生地を調製する工程、(C)前記(B)の工程で調製した生地を-1℃~7℃で12時間~36時間保存する工程、および、(D)前記(A)の工程で調製した生地と、前記(C)の工程で保存した生地とを混捏する工程を含む。
本発明における冷凍パン生地は、生地を発酵させて膨らませ、さらに加熱して製造されるパンにおいて、特に限定されることなく利用することができ、食パン、フランスパン、菓子パン、蒸しパン、デニッシュペーストリー、イーストドーナツ等、パンの種類を問うことなく用いられる。
本工程の主な目的は、穀物粉に含まれる澱粉を、温水で部分的にα化することである。澱粉をα化することで、後述する発酵工程で酵母等による澱粉の利用を容易にし、本発明により製造される冷凍パン生地を用いて調製されるパンに、自然な甘味や風味を付与することができる。
また、澱粉をα化しておくことで、後述する発酵工程において酵母等が澱粉を資化しやすくなり、酵母等の生育が進み、最終的に、生地中に存在する酵母等が増加する。その結果、発酵させた後にパン生地を冷凍しても、酵母等の生存率が高くなり、最終的に製造されるパンにボリューム感を付与できるという効果が得られる。
本工程において、生地の調製に用いられる穀物粉の量は特に限定されないが、通常は、パンの製造に用いられる全穀物粉量の5重量%~45重量%、好ましくは10重量%~35重量%である。
温水の添加量も特に限定されないが、本工程における生地の調製に用いる穀物粉100重量部に対して、通常は30重量部~200重量部であり、好ましくは50重量部~150重量部であり、より好ましくは70重量部~130重量部である。
また、本工程において、穀物粉に添加されるパン種は、穀物や果実等に付着している酵母や、複数の微生物を利用して調製された液状~生地状のものであり、酵母以外に乳酸菌や麹を含む。
本工程において、酵母は、穀物粉100重量部に対し、通常0.3重量部~3重量部用いられ、好ましくは0.4重量部~2重量部用いられ、より好ましくは0.5重量部~1.2重量部用いられる。
パン種は、酵母の代替として使用してもよく、または酵母と併用してもよい。
本工程において、酵母もしくはパン種、または酵母およびパン種も穀物粉に添加されるが、水と同時に添加してもよく、水を添加する前または後に添加してもよい。
なお、キシラナーゼ活性は、キシランを基質として、キシラナーゼを作用させることで、遊離還元糖を生成させ、生成した遊離還元糖と3,5-ジニトロサリチル酸(3,5-DNS)試薬を混和し、沸騰水中で加熱して発色させ、波長=535nmにおける吸光度を測定して、求められる。1分間に1μmolのキシロースを生成する酵素量を1Uとした。
また、アミラーゼ活性は、可溶性澱粉溶液を基質とし、40℃、pH=4.5で加水分解し、生成される還元糖を、ヨウ素溶液を用いて、波長=660nmにおける吸光度を測定することにより求められる。1分間に1μmolのグルコースに相当する還元糖を生成する酵素量を1Uとした。
また、アミラーゼについては、澱粉を分解して麦芽糖などの少糖類を生成し、それにより最終的に製造されるパンにほのかな甘みを付与する以外に、酵母等の栄養源となり、酵母等の生育を促し、酵母等の生菌数を増加させる効果を奏する。酵母等の生菌数の増加は、冷凍工程における酵母等の生存率の向上に繋がり、その結果、最終的に製造されるパンにボリューム感を付与することができる。
さらに、アミラーゼにより澱粉から生成される少糖類は、生地中の水分を保持する役割も担うと推測される。生地中の水分の多くが結合水として少糖類に保持されるので、生地を冷凍した際に、生地にダメージを与える氷結晶の生成が少なく、冷凍障害が起こりにくいと考えられる。その結果、最終的に製造されるパンに、優れた食感とボリューム感が付与されると考察される。
油脂としては、特に限定されないが、菜種油、キャノーラ油、大豆油、コーン油、オリーブ油、ひまわり油、紅花油、胡麻油、荏胡麻油、亜麻仁油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、綿実油、グレープシード油、カカオバター、サラダ油等の植物性油脂;牛脂、豚脂バター等の動物性油脂を用いることができる。また、これらの油脂に水素添加して調製された水素添加油脂(硬化油)やこれらの油脂をエステル交換して調製したエステル交換油等も用いられる。さらにはこれらの水素添加油脂やエステル交換油を用いたマーガリン、ショートニングも用いることができる。
油脂の添加量は特に限定されないが、本工程で用いられる穀物粉100重量部あたり、通常は3重量部~7重量部であり、好ましくは4重量部~6重量部である。
本工程において、油脂は水と同時に添加してもよく、また、水を添加する前または後に添加してもよい。
これらの添加物も、水と同時に添加してもよく、また、水を添加する前または後に添加してもよい。
生地の捏上温度は、通常10℃~20℃、好ましくは12℃~16℃に調整される。
生地の保存温度は通常-1℃~7℃であり、好ましくは-1℃~5℃であり、より好ましくは0℃~4℃である。
また、上記温度における保存時間は、10時間~40時間内であれば良いが、通常12時間~36時間であり、好ましくは20時間~30時間である。
上記の通り、低温で長時間生地を保存して熟成することにより、水分を生地の隅々まで均一に行きわたらすことができ、その結果、生地中の水分の多くが結合水として保持され、冷凍工程において生成される氷結晶による障害を抑制する効果を生じると思われる。また、この熟成期間中に発酵がゆっくりと進み、酵母等の生菌数も時間の経過とともに増加する。
本工程において、上記(A)の工程で調製した生地と、上記(C)の工程で低温で保存した生地との混合比[(A)の工程で調製した生地:(C)の工程で低温で保存した生地]は、重量比にして、通常2:8~4:6であり、好ましくは2.5:7.5~3.5:6.5である。
本工程における混捏は、パンの製造に通常用いられるパン捏ね機(ニーダー)等を用いて、通常の方法で行うことができる。
また、(A)の工程で調製した生地は、調製した直後に本工程の混捏に供してもよく、4℃~20℃で10分~12時間程度保存した後に、本工程の混捏に供してもよい。
本工程における生地の捏上温度は、通常20℃~27℃であり、好ましくは21℃~25℃である。
なお、上記(B)の工程で食塩を添加し、(D)の本捏工程で食塩を添加しなくてもよいし、(B)および(D)の両工程で食塩を添加してもよいが、本発明の効果をより発揮させるためには、上記(B)の工程では食塩を添加せず、(D)の本捏工程で食塩を添加することが好ましい。
発酵は通常の条件で行えばよく、通常15℃~25℃で10分間~90分間、好ましくは18℃~22℃で20分間~40分間行う。
発酵させる工程の後、生地を分割して所望の形に成形する。丸め成形は手で丸めてもよいし、丸め成形用カップを用いてもよい。また丸め成形用カップについては、生地を丸める作業スペースに接する縁部分の内側に傾斜や突起をつけた形状のものを用いてもよい。
次に、上記の通り成形した生地を冷凍する工程に付す。冷凍する工程も通常の方法で行うことができ、たとえば、-35℃のフリーザー中で一定時間冷却することにより行う。もちろん、他の方法を用いてもかまわない。
また、本発明においては、発酵させた生地を成形する前または後に、あるいはある程度成形した段階で、18℃~22℃で5分間~30分間静置する(本明細書にて「生地を休ませる」ともいう)工程を含んでもよい。
調製された本発明の冷凍パン生地は、パンの製造に用いるまで、たとえば-20℃のフリーザー中にて保存することができる。
従って、本発明により、品質の改善されたパンを製造し得る冷凍パン生地を提供することができる。
また、本発明は、従来の中種法を、冷凍生地法に適するように改良した発明であり、大量生産にも適する。
本発明のパンの製造方法は、上記した本発明の冷凍パン生地の製造方法により製造された冷凍パン生地を解凍した後、2次発酵を行い、次いで加熱する工程を含む。
たとえば、焼成の場合、オーブン、コンベクションオーブン、スチームコンベクションオーブン等を用いて、190℃~210℃で8分間~15分間行えばよい。
また、蒸す場合は、蒸し器やスチームオーブン、スチームコンベクションオーブン等を用いて、8分間~15分間蒸すことができる。
油ちょうは、鍋、フライヤー等を用いて、170℃~200℃で4分間~12分間行えばよい。
本発明の(A)、(B)、(C)および(D)の工程をそれぞれ以下のように行った。
工程(A):
小麦粉(強力粉)(「カメリア」(日清製粉株式会社))300gに98℃のお湯300gを加え、縦型ミキサー(「HPI-30M」、関東混合機工業株式会社)で、低速で2分間、中速で2分間、室温(20℃)にて混捏し、捏上温度が55℃の生地を調製した。調製された生地は、後述の工程(C)で保存された生地とすぐに混合した。なお、本工程において使用した水は精製水である。
工程(B):
小麦粉(強力粉)(「カメリア」(日清製粉株式会社))700g、固形油脂(ショートニング)(「プレシャス」(株式会社J-オイルミルズ))30g、酵母(Saccharomyces cerevisiae)(「カネカイーストGA」(株式会社カネカ))5g、キシラナーゼ(「スミチームX」(新日本化学工業株式会社))35U、α-アミラーゼ(「スミチームAS」(新日本化学工業株式会社))52.5U、水500gを縦型ミキサー(「HPI-30M」、関東混合機工業株式会社)で、低速で5分間、中速で2分間、室温(20℃)にて混捏し、捏上温度が15℃の生地を調製した。なお、本工程において使用した水は精製水である。
工程(C):
工程(B)で調製した生地を4℃で24時間保存した。
工程(D):
工程(A)で調製した生地および工程(C)で保存した生地に、グラニュー糖(「クルルマーク グラニュー糖」(伊藤忠製糖株式会社))40g、食塩(「瀬戸のほんじお」(味の素株式会社))16g、固形油脂(ショートニング)(「プレシャス」(株式会社J-オイルミルズ))50g、酵母(Saccharomyces cerevisiae)(「カネカイーストGA」)(株式会社カネカ))50gを加え、縦型ミキサー(「HPI-30M」、関東混合機工業株式会社)で、低速で5分間、中速で6分間、高速で1.5分間、室温(20℃)にて混捏し、捏上温度が24℃の生地を調製した。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において4℃で12時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例2の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加しない以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例3の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において4℃で36時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例4の冷凍パン生地)。
工程(C)において4℃で20時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例5の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において4℃で20時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例6の冷凍パン生地)。
工程(C)において3℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例7の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において3℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例8の冷凍パン生地)。
工程(C)において0℃で20時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例9の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において0℃で20時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例10の冷凍パン生地)。
工程(C)において0℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例11の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において0℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例12の冷凍パン生地)。
工程(C)において4℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例13の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において4℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例14の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において0℃で12時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例15の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において0℃で36時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(実施例16の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において20℃で24時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(比較例1の冷凍パン生地)。
実施例1の工程(A)を行わず、工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、工程(D)において小麦粉300g、水200g(水の全添加量を700gとした)を添加して、冷凍パン生地を調製した(比較例2の冷凍パン生地)。
実施例1の工程(B)および工程(C)を行わず、工程(D)で小麦粉700g、水500gを添加して、冷凍パン生地を調製した(比較例3の冷凍パン生地)。
実施例1の工程(A)、工程(B)および工程(C)を行わずに、工程(D)で小麦粉1000g、水700g(水の全添加量を700gとした)を添加して冷凍パン生地を調製した(比較例4の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において14℃で12時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(比較例5の冷凍パン生地)。
工程(B)においてキシラナーゼとα-アミラーゼを添加せず、かつ、工程(C)において14℃で30時間保存した以外は、実施例1と同様にして、冷凍パン生地を調製した(比較例6の冷凍パン生地)。
なお、酵素の添加量は、重量に換算すると極めて微量であるので、表1、2中の「(C)で保存した生地」の合計量には含めていない。
実施例1~16および比較例1~6の各冷凍パン生地を用いて製造したパンについて、以下の通り、官能評価を実施した。
官能評価における評価点は、パンの試食後にパネラー全員で協議して決した。また、食感およびボリューム感についてのコメントも、パンの試食後にパネラー全員で協議してまとめた。
結果を表4に示した。
特に、(B)の工程でキシラナーゼおよびα-アミラーゼを添加して生地を調製し、かつ(C)の工程における保存を0℃~4℃で20時間~30時間行って得た冷凍パン生地(実施例1、5、7、9、11、13の冷凍パン生地)を用いた場合には、非常にボリュームがあり、かつ非常に好ましい食感を有するパンが得られた。
(A)の工程を含まない比較例2の製造方法で調製された冷凍パン生地を用いて製造したパンは、ボリューム感は普通であるが、食感はやや好ましくないと評価された。
(B)の工程および(C)の工程を含まない比較例3の製造方法で調製された冷凍パン生地を用いて製造したパンは、ボリューム感がなく、食感もやや好ましくないと評価された。
(A)~(C)の工程を含まない比較例4の製造方法で調製された冷凍パン生地を用いて製造したパンは、ボリューム感がなく、もちもち感や弾力性がなく、ボソボソした好ましくない食感であると評価され、冷凍障害が顕著に認められた。
また、本発明により、従来の冷凍生地法では達成することができなかった優れた食感と豊かなボリューム感を有するパンを提供することができる。
さらに、本発明により、従来の中種法を冷凍生地法に応用することが可能となり、大量生産にも適する冷凍パン生地の製造方法およびパンの製造方法を提供することができる。
Claims (10)
- (A)穀物粉に温水を加えて混捏し、生地を調製する工程、(B)穀物粉に水と酵母もしくはパン種、または酵母およびパン種を加えて混捏し、生地を調製する工程、(C)前記(B)の工程で調製した生地を0℃~4℃で20時間~30時間保存する工程、および、(D)前記(A)の工程で調製した生地と、前記(C)の工程で保存した生地とを混捏する工程を含む、冷凍パン生地の製造方法。
- (A)および(B)の工程で用いる穀物粉が小麦粉である、請求項1に記載の製造方法。
- (B)の工程における水の添加量が、穀物粉100重量部に対し60重量部~75重量部である、請求項1または2に記載の製造方法。
- (B)の工程において、さらにキシラナーゼもしくはアミラーゼ、またはキシラナーゼおよびアミラーゼを添加して混捏する、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
- (B)の工程において、食塩を添加せず、油脂を添加して混捏する、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
- (A)の工程で調製した生地と、(C)の工程で保存した生地との混合比[(A)の工程で調製した生地:(C)の工程で保存した生地]が、重量比にして2:8~4:6である、請求項1~5のいずれか1項に記載の製造方法。
- (D)の工程において食塩を添加する、請求項1~6のいずれか1項に記載の製造方法。
- (D)の工程の後に発酵させて冷凍する、請求項1~7のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の製造方法により製造された冷凍パン生地を解凍し、2次発酵させた後に加熱することを含む、パンの製造方法。
- 加熱する手段として焼成する、請求項9に記載の製造方法。
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