JP7190458B2 - 反射防止フィルム - Google Patents

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本発明は、反射防止フィルムに関する。
タブレットデバイスや各種テレビなどにおけるディスプレイの表面には、表面硬度を確保する機能と外光反射を低減する機能とを併有する反射防止フィルムが設けられる場合がある。反射防止フィルムは、例えば、透明な基材と、基材上に設けられたハードコート層と、ハードコート層上に設けられた反射防止層との積層構造を有する。このような反射防止フィルムについては、例えば下記の特許文献1~3に記載されている。
特開2009-75417号公報 特開2010-92003号公報 特開2010-191144号公報
反射防止フィルムには、その用途によっては一定以上の耐屈曲性、即ち、屈曲変形してもクラックが生じない性質が求められる。フレキシブルディスプレイの表面に設けられる反射防止フィルムは特に、耐屈曲性に優れることが求められる。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、高い反射防止性とともに高い耐屈曲性を実現するのに適した反射防止フィルムを提供することを目的とする。
本発明により提供される反射防止フィルムは、基材と、反射防止層と、これらの間に位置するハードコート層とを含む積層構造を有する。ハードコート層は、その硬度を確保するための硬化型樹脂を少なくとも含み、例えばウェットコーティング法により基材上に形成されるものである。反射防止層は、硬度確保のための硬化型樹脂と低屈折率化のための低屈折率粒子とを少なくとも含み、例えばウェットコーティング法によりハードコート層上に形成されるものである。本発明において、低屈折率粒子とは、屈折率1.10~1.45を示す粒子をいうものとする。屈折率は、JIS K 7142に準拠して測定することができる。このような積層構成を有する本反射防止フィルムの反射防止層側の視感反射率は、2%以下であり、好ましくは1.7%以下、より好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.3%以下である。本発明において、視感反射率とは、JIS Z 8701に準拠して測定される値とする。また、本反射防止フィルムの試験片についてその反射防止層側を内側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験(第1屈曲試験)において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、6mm以下の範囲にあり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある。これと共に或いはこれに代えて、本反射防止フィルムの試験片についてその反射防止層側を外側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験(第2屈曲試験)において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、10mm以下の範囲にあり、好ましくは8mm以下の範囲にある。耐屈曲性とは、屈曲箇所にクラックが生じない性質を意味するものとする。円筒形マンドレル法による屈曲試験は、JIS K5600-5-1に準拠して行われるものとする。この屈曲試験では、試験対象物であるフィルムについて、所定の直径を有する芯棒であるマンドレルの周面に沿ったマンドレル周りの180°折り曲げ変形が行われる。第1屈曲試験では、具体的には、ハードコート層および反射防止層が基材に対して内側に位置する態様で反射防止フィルムの屈曲が行われる。第2屈曲試験では、具体的には、ハードコート層および反射防止層が基材に対して外側に位置する態様で反射防止フィルムの屈曲が行われる。
本発明の反射防止フィルムは、上述のように、基材と、ハードコート層と、低屈折率粒子の配合によって低屈折率化の図られた反射防止層とを含む積層構造を有し、反射防止層側の視感反射率が2%以下であって好ましくは1.7%以下、より好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.3%以下である。反射防止フィルムの当該視感反射率がこのような程度に抑えられているという構成は、反射防止フィルムの機能としての高い反射防止性を実現するのに適する。
また、本反射防止フィルムでは、上述のように、反射防止フィルム試験片についてその反射防止層側を内側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、6mm以下の範囲にあり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にあり、これと共に或いはこれに代えて、反射防止フィルムの試験片についてその反射防止層側を外側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、10mm以下の範囲にあり、好ましくは8mm以下の範囲にある。円筒形マンドレル法による屈曲試験で示す耐屈曲性がこのような程度に確保されているという構成は、反射防止フィルムの機能としての高い耐屈曲性を実現するのに適する。
加えて、本反射防止フィルムにおいては、上述のように、ハードコート層は硬化型樹脂を含み、且つ、反射防止層は硬化型樹脂および低屈折率粒子を含む。このような構成は、ハードコート層および反射防止層をそれぞれ樹脂組成物からウェットコーティング法によって形成するのに適する。そして、このようなハードコート層と反射防止層との積層構造を本反射防止フィルムが含むという構成は、高い耐屈曲性を実現するのに適する。例えば、ウェットコーティング法により樹脂組成物から形成されるハードコート層と、ドライコーティング法によりハードコート層上に無機物が堆積されて形成される反射防止層との積層構造を有する反射防止フィルムでは、フィルム屈曲時において、無機材料よりなって柔軟性に乏しい反射防止層が、有機系材料よりなって柔軟な傾向にあるハードコート層の屈曲変形に追従できないために(即ち、フィルム屈曲時にその屈曲箇所に作用する張力による反射防止層伸び率がハードコート層伸び率より有意に小さいために)、反射防止層においてクラックが生じやすい。これに対し、本発明の反射防止フィルムでは、フィルム屈曲時にその屈曲箇所に作用する張力による伸び率について反射防止層とハードコート層の差を小さく設定して反射防止層におけるクラックの発生を抑制するのに適し、従って、高い耐屈曲性を実現するのに適するのである。これとともに、ハードコート層および反射防止層をそれぞれ樹脂組成物からウェットコーティング法によって形成するのに適した上記構成は、円筒形マンドレル法による屈曲試験での耐屈曲性に関する上記構成の実現に資する。
以上のように、本発明の反射防止フィルムは、高い反射防止性とともに高い耐屈曲性を実現するのに適する。
本反射防止フィルムにおいて、スチールウール#0000を擦り材として用いて荷重200g/cm2、擦りストローク長10cm、および往復動回数1000の条件で反射防止層の前記表面に対して行われる擦り試験の後のヘーズ値(%)の、当該擦り試験より前のヘーズ値(%)に対する差は、0.1以下であり、好ましくは0または0以下である。本発明において、ヘーズとは、JIS K 7136に準拠して測定される値とする。擦り材としてスチールウール#0000を用いて反射防止フィルムについて行われる擦り試験によって試験対象面に形成されるキズが多いほど、反射防止フィルムにおける当該擦り試験前のヘーズ値からの当該擦り試験後のヘーズ値への上昇の程度は、大きい傾向にある。反射防止フィルムについて上記条件で行われる擦り試験後における反射防止フィルムのヘーズ値(%)の上昇が0.1以下であって好ましくは0または0以下に抑えられているという構成は、反射防止フィルムの機能としての高い耐擦傷性を実現するのに適する。例えば後記の実施例および比較例をもって示すとおりである。
本反射防止フィルムの反射防止層側の表面の鉛筆硬度は、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上である。反射防止層側表面の鉛筆硬度がこのような程度に確保されているという構成は、反射防止フィルムの機能としての高硬度を実現するうえで好適である。
本反射防止フィルムでは、その試験片について反射防止層側を内側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値が、好ましくは5mm未満、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下の範囲にある。すなわち、同屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値は、好ましくは10mm未満、より好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある。また、本反射防止フィルムでは、その試験片について反射防止層側を外側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値が、好ましくは8mm未満、より好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある。すなわち、同屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値は、好ましくは16mm未満、より好ましくは12mm以下、より好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下の範囲にある。これら構成は、反射防止フィルムの機能としての高い耐屈曲性を実現するのに適する。
本反射防止フィルムのヘーズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。上記擦り試験後の本反射防止フィルムのヘーズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。本反射防止フィルムにおいて、ヘーズがこれらの程度に抑えられているという構成は、良好な透明性を確保するうえで好ましい。
本反射防止フィルムのハードコート層は、その硬化型樹脂成分として好ましくはポリオルガノシルセスキオキサンを含む。このような構成は、反射防止フィルムの機能としての高硬度を実現するうえで好適である。
反射防止層は、上記低屈折率粒子として好ましくは中空シリカ粒子を含む。中空シリカ粒子の平均粒子径は、好ましくは50~70nmである。これら構成は、反射防止層ないし反射防止フィルムにおいて良好な反射防止性を実現するうえで好ましい。低屈折率粒子の平均粒子径とは、動的光散乱法で測定される微粒子粒径分布より得られる当該微粒子の平均粒子径をいうものとする。
反射防止層は、好ましくはナノダイヤモンド粒子を含む。本発明において、ナノダイヤモンド粒子は、ナノダイヤモンドの一次粒子であってもよいし、ナノダイヤモンドの二次粒子であってもよい。ナノダイヤモンド一次粒子とは、粒径10nm以下のナノダイヤモンドをいうものとする。機械的強度の極めて高いダイヤモンドの微粒子であるナノダイヤモンド粒子を反射防止層が含むという構成は、反射防止層ないし本反射防止フィルムにおいて高い耐擦傷性を実現するうえで好適である。
反射防止層は、好ましくはフッ素含有硬化性化合物を含む。このような構成は、反射防止層の露出面における防汚性や、撥水性、撥油性、滑り性、指紋の拭き取りやすさ等の観点から好ましい。また、反射防止層がフッ素含有硬化性化合物を含むという構成は、反射防止層の表面における動摩擦係数や静止摩擦係数の低下を図るうえで好適であり、従って、当該反射防止層ないし本反射防止フィルムにおいて高い耐擦傷性を実現するうえで好適である。
本発明の一の実施形態に係る反射防止フィルムの部分断面図である。 本発明に係る反射防止フィルムの反射防止層の構成成分として用いられうる表面修飾ナノダイヤモンド粒子の作製方法の一例の工程図である。
図1は、本発明の一の実施形態に係る反射防止フィルムXの部分断面図である。反射防止フィルムXは、基材11と、ハードコート層12と、反射防止層13とを含む積層構造を有する。反射防止フィルムXは、その積層構造中に他の層を有してもよい。このような反射防止フィルムXは、例えば、光学部材の表面における硬度の確保および外光反射の低減のために当該表面に設けられて使用されるものである。光学部材としては、例えば、液晶ディスプレイや、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ用の透明基板、および、タッチパネル用透明パネルが、挙げられる。
基材11は、透明基材であり、例えば、光が透過することが可能な透明な樹脂フィルムよりなる。基材11のための透明な樹脂フィルムとしては、例えば、セルロースアセテート系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリノルボルネン系フィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアリレートフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、およびポリエーテルエーテルケトンフィルムが挙げられる。セルロースアセテート系フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、ジアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム、およびセルロースアセテートブチレートフィルムが挙げられる。ポリエステル系フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルムおよびポリエチレンナフタレートフィルムが挙げられる。基材11は、単一の樹脂フィルムから構成されてもよいし、複数の樹脂フィルムの積層構造を有してもよい。反射防止フィルムXにおいて充分な透明性を実現するという観点からは、基材11の厚さは、好ましくは400μm以下、より好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
ハードコート層12は、基材11および反射防止層13の間に位置する。ハードコート層12は、硬化型樹脂を含む。この硬化型樹脂としては、例えば、硬化型ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂および硬化型アクリル樹脂が挙げられる。硬化型ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂としては、例えば、エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンが挙げられる。ハードコート層12ないし反射防止フィルムXの高硬度化の観点から、ハードコート層12をなすための硬化型樹脂としては、エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンが好ましい。
ハードコート層12ないしこれを形成するための組成物に硬化型樹脂としてエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンが含まれる場合のそのエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、本実施形態では、シロキサン構成単位として、下記の式(1)で表される構成単位を少なくとも含む第1構成単位[RSiO3/2]、および、下記の式(2)で表される構成単位を少なくとも含む第2構成単位[RSiO2/2(OR')]を含む(第2構成単位におけるRとR'は同じであってもよいし異なってもよい)。これら構成単位はシロキサン構成単位におけるいわゆるT単位に属し、本実施形態では、構成単位[RSiO3/2]をT3体とし、構成単位[RSiO2/2(OR')]をT2体とする。T3体において、そのケイ素原子は、それぞれが他のシロキサン構成単位中のケイ素原子とも結合する三つの酸素原子と結合している。T2体において、そのケイ素原子は、それぞれが他のシロキサン構成単位中のケイ素原子とも結合する二つの酸素原子と結合し、且つアルコキシ基の酸素と結合している。このようなT3体およびT2体は、いずれも、上述のようにシロキサン構成単位としてのT単位に属し、加水分解性の三つの官能基を有するシラン化合物の加水分解とその後の縮合反応によって形成されうる、ポリシルセスキオキサンの部分構造である。
Figure 0007190458000001
式(1)におけるR1および式(2)におけるR1は、それぞれ、エポキシ基を含有する基を表す。式(2)におけるR2は、水素原子、または、炭素数1~4のアルキル基を表す。
式(1)および式(2)における各R1、即ち、エポキシ基含有基としては、例えば、下記の式(3)~(6)で表される基が挙げられる。式(3)~(6)におけるR3,R4,R5,R6のそれぞれは、炭素数が例えば1~10の直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基を表す。そのようなアルキレン基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、およびデカメチレン基が挙げられる。ハードコート層12における高い耐熱性の実現や硬化時収縮の抑制の観点からは、式(1)におけるR1および式(2)におけるR1は、それぞれ、好ましくは、式(3)で表されるエポキシ基含有基または式(4)で表されるエポキシ基含有基であり、より好ましくは、式(3)で表される基であってR3がエチレン基である2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基である。
Figure 0007190458000002
上記式(2)におけるR2は、上述のように、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、従って、式(2)におけるOR2は、ヒドロキシ基、または、炭素数1~4のアルコキシ基を表す。炭素数1~4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、およびイソブチルオキシ基が挙げられる。
ハードコート層12ないしこれを形成する組成物に含まれるポリシルセスキオキサンは、上記式(1)で表される構成単位として、一種類を含むものでもよいし、二種類以上を含むものでもよい。当該ポリシルセスキオキサンは、上記式(2)で表される構成単位として、一種類を含むものでもよいし、二種類以上を含むものでもよい。
ハードコート層12ないしハードコート層12形成用組成物に含まれる上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、上記のT3体として、式(1)で表される構成単位に加えて、下記の式(7)で表される構成単位を含んでもよい。式(7)におけるR7は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のアラルキル基を表す。式(7)におけるR7は、好ましくは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、または置換もしくは無置換のアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
Figure 0007190458000003
7に関して上記したアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、およびイソペンチル基が挙げられる。R7に関して上記したアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、およびイソプロペニル基が挙げられる。R7に関して上記したシクロアルキル基としては、例えば、シクロブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。R7に関して上記したアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、およびナフチル基が挙げられる。R7に関して上記したアラルキル基としては、例えば、ベンジル基およびフェネチル基が挙げられる。
7に関して上記したアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、およびアラルキル基の置換基としては、例えば、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シロキサン基、フッ素原子などハロゲン原子、アクリル基、メタクリル基、メルカプト基、アミノ基、および水酸基が挙げられる。
ハードコート層12ないしハードコート層12形成用組成物に含まれる上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、上記のT2体として、式(2)で表される構成単位に加えて、下記の式(8)で表される構成単位を含んでもよい。式(8)におけるR7は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または、置換もしくは無置換のアラルキル基を表し、具体的には上記式(7)におけるR7と同様である。式(8)におけるR2は、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表し、具体的には上記式(2)におけるR2と同様である。
Figure 0007190458000004
ハードコート層12ないしハードコート層12形成用組成物に含まれる上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、そのシロキサン構成単位中に、T単位である上述の第1および第2構成単位に加えて、いわゆるM単位である構成単位[RSiO1/2]、いわゆるD単位である構成単位[R2SiO2/2]、及びいわゆるQ単位である構成単位[SiO4/2]からなる群より選択される少なくとも一種を含んでもよい。ハードコート層12における高い耐熱性の実現や硬化時収縮の抑制の観点からは、ハードコート層12ないしハードコート層12形成用組成物に含まれるポリシルセスキオキサンの全シロキサン構成単位におけるT単位の割合は、好ましくは55モル%以上、より好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上である。
ポリシルセスキオキサンとしては、例えば、シロキサン構成単位としてT2体を含まない完全かご型シルセスキオキサン、不完全かご型シルセスキオキサン、ラダー型シルセスキオキサン、および、ランダム型シルセスキオキサンが知られている。ハードコート層12形成用組成物に含まれる上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、好ましくは、完全かご型シルセスキオキサンおよび不完全かご型シルセスキオキサンからなる群より選択される少なくとも一種である。不完全かご型シルセスキオキサンは、その硬化物における熱線膨張係数と硬度と硬化時収縮とのバランスに優れることから、ハードコート層12形成用組成物に含まれるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンとして好ましい。
ハードコート層12形成用組成物には有意量の不完全かご型シルセスキオキサンが含まれることが好ましく、当該組成物中のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの全シロキサン構成単位において、T2体に対するT3体のモル比の値(即ち、T3体/T2体)は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、より好ましくは6以上、より好ましくは7以上である(ラダー型シルセスキオキサンそれ自体における同モル比の値は0.5~3程度である)。また、同モル比の値は、例えば20以下、好ましくは18以下、より好ましくは16以下である。
エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンにおける上記モル比の値(T3体/T2体)は、例えば、29Si-NMRスペクトル測定により求めることができる。29Si-NMRスペクトルにおいて、上述の第1構成単位(T3体)におけるケイ素原子と、上述の第2構成単位(T2体)におけるケイ素原子とは、異なるケミカルシフトのピークないしシグナルを示す。これらピークの面積比から、上記モル比の値を求めることができる。エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの29Si-NMRスペクトルは、例えば、下記の装置および条件により測定することができる。
測定装置:商品名「JNM-ECA500NMR」(日本電子株式会社製)
溶媒:重クロロホルム
積算回数:1800回
測定温度:25℃
ハードコート層12を形成するための組成物に含まれるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)は、形成されるハードコート層12における高い耐熱性の実現の観点からは、好ましくは500以上、より好ましくは700以上、より好ましくは800以上、より好ましくは900以上、より好ましくは1000以上、より好ましくは1000以上である。ハードコート層12形成用組成物中の他の成分との相溶性の観点からは、当該数平均分子量は、好ましくは10000以下、より好ましくは5000以下、より好ましくは3000以下、より好ましくは2800以下、より好ましくは2600以下、より好ましくは2000以下である。
ハードコート層12を形成するための組成物に含まれるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンについての分子量分散度(Mw/Mn)は、当該組成物の塗工性の観点からは、好ましくは1以上、より好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上、より好ましくは1.45以上である。形成されるハードコート層12における高い耐熱性の実現や硬化時収縮の抑制の観点からは、当該分子量分散度は、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、より好ましくは1.9以下、より好ましくは1.8以下である。
エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により測定してポリスチレン換算により算出される値とする。ポリシルセスキオキサンの数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、例えば、HPLC装置(商品名「LC-20AD」,株式会社島津製作所製)を使用して下記の条件により測定することができる。
カラム:2本のShodex KF-801(上流側,昭和電工株式会社製)と、Shodex KF-802(昭和電工株式会社製)と、Shodex KF-803(下流側,昭和電工株式会社製)とを直列に接続
測定温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
試料濃度:0.1~0.2質量%
流量:1mL/分
標準試料:ポリスチレン
検出器:UV-VIS検出器(商品名「SPD-20A」,株式会社島津製作所製)
ハードコート層12を形成するための組成物に含まれるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンのエポキシ当量は、当該組成物の硬化時収縮の抑制や塗工性の観点からは、好ましくは200g/eq以上、より好ましくは205g/eq以上である。形成されるハードコート層12において高い耐熱性を実現するという観点からは、当該エポキシ当量は、好ましくは2000g/eq以下、より好ましくは1500g/eq以下、より好ましくは1200g/eq以下、より好ましくは1000g/eq以下である。
以上のようなエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、加水分解性の三つの官能基を有するシラン化合物の加水分解とこれに続く縮合反応によって製造することができる。その製造に用いられる原料は、下記の式(9)で表される化合物を少なくとも含み、下記の式(10)で表される化合物を必要に応じて含む。式(9)で表される化合物は、上記式(1)で表される構成単位と上記式(2)で表される構成単位を形成するためのものである。式(10)で表される化合物は、上記式(7)で表される構成単位と上記式(8)で表される構成単位を形成するためのものである。
Figure 0007190458000005
式(9)におけるR1は、エポキシ基を含有する基を表し、具体的には上記式(1)(2)におけるR1と同様である。式(9)におけるX1は、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す。そのアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基など炭素数1~4のアルコキシ基が挙げられる。X1としてのハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。X1は、好ましくはアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。式(9)において、三つのX1は互いに同じであってもよいし異なってもよい。
式(10)におけるR7は、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルキル基、または、置換もしくは無置換のアルケニル基を表し、具体的には上記式(7)(8)におけるR7と同様である。式(10)におけるX2は、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、具体的には上記式(9)におけるX1と同様である。
上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの製造に用いられる原料は、更に他の加水分解性シラン化合物を含んでもよい。そのような化合物としては、例えば、上記式(9)(10)で表される両化合物以外の加水分解性三官能シラン化合物、M単位を形成することとなる加水分解性単官能シラン化合物、D単位を形成することとなる加水分解性二官能シラン化合物、および、Q単位を形成する加水分解性四官能シラン化合物が挙げられる。
上記原料としての加水分解性シラン化合物の使用量や組成は、製造目的物であるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの構造に応じて適宜に調整される。例えば、上記式(9)で表される化合物の使用量は、使用する加水分解性シラン化合物全量に対して、例えば55~100モル%であり、好ましくは65~100モル%である。上記式(10)で表される化合物の使用量は、使用する加水分解性シラン化合物全量に対して、例えば0~45モル%であり、好ましくは0~35モル%である。使用する加水分解性シラン化合物全量に対する、式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物との総使用量は、例えば60~100モル%であり、好ましくは70~100モル%、より好ましくは80~100モル%である。
上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの製造において二種類以上の加水分解性シラン化合物を用いる場合、加水分解性シラン化合物の種類ごとの加水分解および縮合反応は、同時に行うこともできるし、順次に行うこともできる。
上述の加水分解および縮合反応は、好ましくは、一種類の又は二種類以上の溶媒の存在下で行われる。好ましい溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどエーテル、および、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどケトンが挙げられる。溶媒の使用量は、加水分解性シラン化合物100質量部あたり例えば2000質量部以下の範囲内で反応時間等に応じて適宜に調整される。
上述の加水分解および縮合反応は、好ましくは、一種類の又は二種類以上の触媒および水の存在下で進行される。触媒は、酸触媒であってもよいし、アルカリ触媒であってもよい。触媒の使用量は、加水分解性シラン化合物1モルあたり例えば0.002~0.2モルの範囲内で適宜に調整される。水の使用量は、加水分解性シラン化合物1モルあたり例えば0.5~20モルの範囲内で適宜に調整される。
上記モル比の値(T3体/T2体)が5以上であるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンを製造する場合には例えば、上述の加水分解および縮合反応の反応温度は、例えば40~100℃であり、好ましくは45~80℃である。上述の加水分解および縮合反応の反応時間は、例えば0.1~10時間であり、好ましくは1.5~8時間である。また、上述の加水分解および縮合反応は、常圧下、加圧下、または減圧下で行うことができる。上述の加水分解および縮合反応は、好ましくは、窒素やアルゴンなど不活性ガスの雰囲気下で行われる。
以上のような加水分解性シラン化合物の加水分解および縮合反応により、上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンが得られる。反応終了後には、好ましくは、エポキシ基の開環を抑制するための触媒の中和を行う。こうして得られたエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンは、必要に応じて精製される。
ハードコート層12形成用組成物は、例えば以上のようにして製造されるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンに加えて、好ましくは少なくとも一種類の硬化触媒を含む。また、ハードコート層12形成用組成物におけるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの含有割合は、形成されるハードコート層12の硬度の観点からは、溶媒を除く硬化性組成物全量に対して、例えば70質量%以上であり、好ましくは80~99.8質量%、より好ましくは90~99.5質量%である。
ハードコート層12形成用組成物が硬化触媒を含む場合の当該硬化触媒としては、例えば光カチオン重合開始剤および熱カチオン重合開始剤が挙げられる。ハードコート層12形成用組成物における硬化触媒の含有量は、エポキシ基含有ポリシルセスキオキサン100質量部あたり、好ましくは0.1~3.0質量部、より好ましくは0.3~1質量部である。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、スルホニウム塩(スルホニウムイオンとアニオンとの塩)、ヨードニウム塩(ヨードニウムイオンとアニオンとの塩)、セレニウム塩(セレニウムイオンとアニオンとの塩)、ホスホニウム塩(ホスホニウムイオンとアニオンとの塩)など各タイプの光カチオン重合開始剤が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としての上記スルホニウム塩としては、例えば、モノアリールスルホニウム塩、ジアリールスルホニウム塩、トリアリールスルホニウム塩、およびトリアルキルスルホニウム塩が挙げられる。モノアリールスルホニウム塩としては、例えば、フェニルメチルベンジルスルホニウム塩、4-ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩、および4-メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム塩が挙げられる。ジアリールスルホニウム塩としては、例えば、ジフェニルフェナシルスルホニウム塩、ジフェニル4-ニトロフェナシルスルホニウム塩、ジフェニルベンジルスルホニウム塩、およびジフェニルメチルスルホニウム塩が挙げられる。トリアリールスルホニウム塩としては、例えば、トリフェニルスルホニウム塩、トリ-p-トリルスルホニウム塩、トリ-o-トリルスルホニウム塩、トリス(4-メトキシフェニル)スルホニウム塩、1-ナフチルジフェニルスルホニウム塩、2-ナフチルジフェニルスルホニウム塩、トリス(4-フルオロフェニル)スルホニウム塩、トリ-1-ナフチルスルホニウム塩、トリ-2-ナフチルスルホニウム塩、トリス(4-ヒドロキシフェニル)スルホニウム塩、4-(p-トリルチオ)フェニルジ-(p-フェニル)スルホニウム塩、商品名「HS-1PC」(サンアプロ株式会社製)、商品名「LW-S1」(サンアプロ株式会社製)、およびジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩が挙げられる。このジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩としては、例えば、商品名「CPI-100P」(サンアプロ株式会社製)、商品名「CPI-101A」(サンアプロ株式会社製)、および商品名「CPI-210S」(サンアプロ株式会社製)が挙げられる。また、上記のトリアルキルスルホニウム塩としては、例えば、ジメチルフェナシルスルホニウム塩、フェナシルテトラヒドロチオフェニウム塩、およびジメチルベンジルスルホニウム塩が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としての上記ヨードニウム塩としては、例えば、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、ジフェニルヨードニウム塩、ビス(4-ドデシルフェニル)ヨードニウム塩、およびビス(4-メトキシフェニル)ヨードニウム塩が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としての上記セレニウム塩としては、例えば、トリフェニルセレニウム塩、トリ-p-トリルセレニウム塩、トリ-o-トリルセレニウム塩、トリス(4-メトキシフェニル)セレニウム塩、1-ナフチルジフェニルセレニウム塩、ジフェニルフェナシルセレニウム塩、ジフェニルベンジルセレニウム塩、ジフェニルメチルセレニウム塩、およびフェニルメチルベンジルセレニウム塩が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としての上記ホスホニウム塩としては、例えば、テトラフェニルホスホニウム塩、テトラ-p-トリルホスホニウム塩、テトラキス(2-メトキシフェニル)ホスホニウム塩、トリフェニルベンジルホスホニウム塩、トリエチルベンジルホスホニウム塩、トリブチルベンジルホスホニウム塩、テトラエチルホスホニウム塩、テトラブチルホスホニウム塩、およびトリエチルフェナシルホスホニウム塩が挙げられる。
以上の各種塩を形成するためのアニオン(対イオン)としては、例えば、SbF6-、PF6-、BF4-、(CF3CF2)3PF3-、(CF3CF2CF2)3PF3-、(C65)4-、(C65)4Ga-、(CF3SO2)3-、(CF3SO2)2-、過ハロゲン酸イオン、ハロゲン化スルホン酸イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、アルミン酸イオン、ヘキサフルオロビスマス酸イオン、カルボン酸イオン、アリールホウ酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、およびスルホン酸アニオンが挙げられる。このスルホン酸アニオンとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、ペンタフルオロエタンスルホン酸アニオン、ノナフルオロブタンスルホン酸アニオン、メタンスルホン酸アニオン、ベンゼンスルホン酸アニオン、およびp-トルエンスルホン酸アニオンが挙げられる。
上述の熱カチオン重合開始剤としては、例えば、アリールスルホニウム塩、アルミニウムキレート、三フッ化ホウ素アミン錯体など各タイプの熱カチオン重合開始剤が挙げられる。アリールスルホニウム塩としては、例えばヘキサフルオロアンチモネート塩が挙げられる。アルミニウムキレートとしては、例えば、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、およびアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が挙げられる。三フッ化ホウ素アミン錯体としては、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、および三フッ化ホウ素ピペリジン錯体が挙げられる。
形成されるハードコート層12の硬度の観点から、ハードコート層12形成用組成物に含まれる硬化触媒は、好ましくは光カチオン重合開始剤であり、より好ましくは上記スルホニウム塩であり、より好ましくは上記トリアリールスルホニウム塩であり、より好ましくは上記ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウム塩である。
ハードコート層12形成用組成物は、上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンに加えて、一種類の又は二種類以上の他の硬化性化合物ないしカチオン硬化性化合物を含んでもよい。当該硬化性化合物としては、例えば、上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物、オキセタン化合物、およびビニルエーテル化合物が挙げられる。
上述のエポキシ基含有ポリシルセスキオキサン以外のエポキシ化合物としては、例えば、脂環式エポキシ化合物(脂環式エポキシ樹脂)、芳香族エポキシ化合物(芳香族エポキシ樹脂)、および脂肪族エポキシ化合物(脂肪族エポキシ樹脂)が挙げられる。脂環式エポキシ化合物としては、例えば、3,4,3',4'-ジエポキシビシクロヘキサン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)エタン、2,3-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)オキシラン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、および、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、株式会社ダイセルの商品名「EHPE3150」)が挙げられる。
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、エピビスタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂やノボラック・アルキルタイプグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が挙げられる。
上記脂肪族エポキシ化合物としては、例えば、環状構造を有しないq価のアルコール(qは自然数である)のグリシジルエーテル、一価カルボン酸または多価カルボン酸のグリシジルエステル、および、二重結合を有する油脂のエポキシ化物が挙げられる。二重結合を有する油脂のエポキシ化物としては、例えば、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化大豆油、およびエポキシ化ひまし油が挙げられる。
上述のオキセタン化合物としては、例えば、3,3-ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(ヒドロキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3-エチル-3-(ヘキシルオキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-(クロロメチル)オキセタン、および3,3-ビス(クロロメチル)オキセタンが挙げられる。
上述のビニルエーテル化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2-ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシブチルビニルエーテル、3-ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2-ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1-メチル-3-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-メチル-2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1-ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,8-オクタンジオールジビニルエーテル、p-キシレングリコールモノビニルエーテル、p-キシレングリコールジビニルエーテル、m-キシレングリコールモノビニルエーテル、m-キシレングリコールジビニルエーテル、o-キシレングリコールモノビニルエーテル、o-キシレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、およびトリエチレングリコールジビニルエーテルが挙げられる。
ハードコート層12形成用組成物は、形成されるハードコート層12の強度や平滑性を確保するという観点から、フッ素含有硬化性化合物を含有するのが好ましい。そのようなフッ素含有硬化性化合物としては、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート、フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、フッ素含有エポキシ樹脂、およびフッ素含有ウレタン樹脂が挙げられる。フッ化アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、およびトリフルオロエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、フルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびフルオロプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。このようなフッ素含有硬化性化合物の市販品としては、例えば、Omnova Solutionの「Polyfox3320」、信越化学工業株式会社の「KY-1203」、DIC株式会社の「メガファック RS-90」、および、ダイキン工業株式会社の「オプツールDSX」が挙げられる。
ハードコート層12形成用組成物は、その塗工性等を調整するうえでは溶剤を含むのが好ましい。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、3-メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、3-メトキシブタノール、エトキシエタノール、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、およびテトラヒドロフランが挙げられる。
ハードコート層12ないしハードコート層12形成用組成物は、更に、消泡剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、界面活性剤、増量剤、顔料、染料、防錆剤、帯電防止剤、可塑剤など、各種の添加剤を含んでもよい。
反射防止フィルムXにおける透明性とハードコート層12の硬さとのバランスの観点からは、ハードコート層12の厚さは、好ましくは1~30μm、より好ましくは3~10μmである。
反射防止フィルムXにおける反射防止層13は、本実施形態では、硬化型樹脂と、低屈折率粒子と、ナノダイヤモンド粒子とを含み、且つ、ハードコート層12とは反対の側に表面13aを有する。また、反射防止層13の正味の屈折率は、ハードコート層12の正味の屈折率より低く、例えば1.3~1.4である。屈折率の測定は、JIS K 7142に準拠して行うことができる。
反射防止層13中の硬化型樹脂は、本実施形態では、(メタ)アクリロイル基含有化合物の重合物である。このような硬化型樹脂を形成するための成分は、好ましくは、光照射や加熱によって重合反応を進行させて硬化型アクリル樹脂を形成するためのモノマーおよび/またはオリゴマーを含む。そのようなモノマーや、オリゴマーをなすためのモノマーとしては、多官能(メタ)アクリレートを用いることができる。多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、二官能(メタ)アクリレート、三官能(メタ)アクリレート、および四官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。二官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、およびノナンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。三官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、およびジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。四官能以上の多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、およびジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。硬化型樹脂形成成分中のモノマーや、硬化型樹脂形成成分中のオリゴマーをなすためのモノマーとしては、一種類の多官能(メタ)アクリレートを用いてもよいし、二種類以上の多官能(メタ)アクリレートを用いてもよい。硬化型樹脂形成成分における多官能(メタ)アクリレートの割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上である。
硬化型樹脂形成成分は、(メタ)アクリロイル基を一つ有する単官能(メタ)アクリレートを含んでもよい。そのような単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、EO変性フェノール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、およびEO変性2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。硬化型樹脂形成成分は、一種類の単官能(メタ)アクリレートを含んでもよいし、二種類以上の単官能(メタ)アクリレートを含んでもよい。また、硬化型樹脂形成成分は、アクリル系のオリゴマーとして、エポキシ(メタ)アクリレートや、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどを含んでもよい。
硬化型樹脂形成成分は、反射防止層13の強度や表面滑り性を確保するという観点から、フッ素含有硬化性化合物を含有するのが好ましい。反射防止層13の強度や表面滑り性が高いことは、反射防止層13ないし反射防止フィルムXにおいて高い耐擦傷性を実現するのに資する。反射防止層13のためのフッ素含有硬化性化合物としては、例えば、フッ化アルキル(メタ)アクリレート、フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、フッ素含有エポキシ樹脂、およびフッ素含有ウレタン樹脂が挙げられる。フッ化アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、およびトリフルオロエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。フッ化(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、フルオロエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびフルオロプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。このようなフッ素含有硬化性化合物の市販品としては、例えば、Omnova Solutionの「Polyfox3320」、信越化学工業株式会社の「KY-1203」、DIC株式会社の「メガファック RS-90」、および、ダイキン工業株式会社の「オプツールDSX」が挙げられる。
硬化型樹脂形成成分は、好ましくは重合開始剤を含む。重合開始剤としては、ハードコート層12形成用組成物中の重合開始剤として上述した各種の光重合開始剤および各種の熱重合開始剤が挙げられる。
反射防止層13中の低屈折率粒子は、本実施形態では、屈折率1.10~1.45を示す粒子である。屈折率は、JIS K 7142に準拠して測定することができる。低屈折率粒子の構成材料としては、例えば、MgF2、LiF、AlF、3NaF・AlF、およびNa3AlF6が挙げられる。また、低屈折率粒子としては、中空粒子など、粒子内部に空隙を有する粒子を用いてもよい。粒子内部に空隙を有する粒子は、構成材料部分の屈折率と空隙部分の空気の屈折率(約1)とがあいまって、正味の屈折率が低い。反射防止層13において硬さを確保しつつ効率よく低屈折率化を図るという観点からは、低屈折率粒子は中空シリカ粒子であるのが好ましい。低屈折率粒子の市販品としては、例えば、日揮触媒化成株式会社の「スルーリア4320」「スルーリア5320」および日鉄鉱業株式会社の「シリナックス」が挙げられる。
反射防止層13中の低屈折率粒子の平均粒子径は、反射防止層13ないし反射防止フィルムXにおいて良好な反射防止性を実現するという観点からは、好ましくは50~70nmである。低屈折率粒子の平均粒子径とは、動的光散乱法で測定される微粒子粒径分布より得られる当該微粒子の平均粒子径をいうものとする。
反射防止層13における低屈折率粒子の含有割合は、例えば10~90質量%であり、好ましくは30~70質量%である。
反射防止層13中のナノダイヤモンド粒子は、ナノダイヤモンドの一次粒子であってもよいし、ナノダイヤモンドの二次粒子であってもよい。ナノダイヤモンド一次粒子とは、粒径10nm以下のナノダイヤモンドをいうものとする。また、ナノダイヤモンド粒子は、好ましくは、後述のように爆轟法によって生成したナノダイヤモンド粒子(爆轟法ナノダイヤモンド粒子)である。爆轟法によると、一次粒子径が10nm以下のナノダイヤモンド粒子を適切に合成することが可能である。
反射防止層13中のナノダイヤモンド粒子は、分散安定性の観点からは、表面にシランカップリング剤が結合している表面修飾ナノダイヤモンド粒子であるのが好ましい。シランカップリング剤とは、無機材料との間で化学結合を生じることとなる、ケイ素を含む反応性基と、当該ケイ素に結合している有機鎖とを併有する有機ケイ素化合物であるところ、上記表面修飾ナノダイヤモンド粒子のシランカップリング剤は、その反応性基にてナノダイヤモンド粒子の表面との間で共有結合を生じてナノダイヤモンド粒子に結合している。ナノダイヤモンド粒子に結合しているシランカップリング剤をなすこととなるシランカップリング剤の反応性基としては、シラノール基(-SiOH)、および、シラノール基を生じ得る加水分解性基が挙げられる。そのような加水分解性基としては、例えば、ケイ素に結合しているメトキシ基やエトキシ基などアルコキシシリル基、ケイ素に結合している塩素や臭素などハロシリル基、および、ケイ素に結合しているアセトキシ基が挙げられる。これら加水分解性基は、加水分解反応を経てシラノール基を生じ得る。当該シランカップリング剤のシラノール基とナノダイヤモンド表面の例えば水酸基との間での脱水縮合反応を経て、当該シランカップリング剤とナノダイヤモンド表面との間に化学結合が生じ得る。シランカップリング剤の有機鎖は、好ましくは、(メタ)アクリロイル基またはアルキル基を含む。このような構成によると、反射防止層13において表面修飾ナノダイヤモンド粒子の分散安定化を図りやすい。(メタ)アクリロイル基含有有機鎖は、好ましくは、アクリル酸プロピルおよび/またはメタクリル酸プロピルである。シランカップリング剤の有機鎖をなすアルキル基は、好ましくは炭素数1~18のアルキル基であり、より好ましくはメチル基である。このような表面修飾ナノダイヤモンド粒子におけるシランカップリング剤としては、例えば、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(メチルジメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(メチルジエトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(トリエトキシシリル)プロピル、およびトリメトキシ(メチル)シランが挙げられる。
表面修飾ナノダイヤモンド粒子におけるシランカップリング剤がその有機鎖において(メタ)アクリロイル基を含んでいる場合、硬化型樹脂形成用の上述のモノマーやオリゴマーが重合する過程において、表面修飾ナノダイヤモンド粒子の表面有機鎖中の(メタ)アクリロイル基を当該モノマーやオリゴマーと反応させて、当該ナノダイヤモンド粒子を硬化型樹脂中に取り込ませやすい。このようなシランカップリング剤としては、例えば、アクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(メチルジメトキシシリル)プロピル、メタクリル酸3-(メチルジエトキシシリル)プロピル、およびメタクリル酸3-(トリエトキシシリル)プロピルが挙げられる。
ナノダイヤモンド粒子(表面修飾ナノダイヤモンド粒子である場合を含む)の粒径D50は、好ましくは100nm以下、より好ましくは30nm以下である。このような構成は、反射防止層13について高い透明性を実現するうえで好適であり、従って、反射防止フィルムXについて高い透明性を実現するうえで好適である。
反射防止層13におけるナノダイヤモンド粒子の含有割合は、例えば0.1~15質量%であり、好ましくは0.5~10質量%である。また、反射防止層13における上述の低屈折率粒子とナノダイヤモンド粒子との質量比は、好ましくは99:1~84:16の範囲にある。このような構成は、反射防止フィルムXにおける反射防止性、耐擦傷性、および透明性の間のバランスを図るに適する。
反射防止層13を形成するための組成物は、上述の硬化型樹脂形成成分、低屈折率粒子、およびナノダイヤモンド粒子に加え、塗工性等を調整するうえで溶剤を含むのが好ましい。溶剤としては、ハードコート層12形成用組成物中の溶剤として上記したのと同様のものが挙げられる。
反射防止層13ないし反射防止層形成用組成物は、更に、消泡剤、光増感剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、レベリング剤、界面活性剤、増量剤、顔料、染料、防錆剤、帯電防止剤、可塑剤など、各種の添加剤を含んでもよい。
反射防止層13の厚さは、例えば0.07~0.13μmであり、好ましくは0.8~1.2μmである。
以上のような積層構造を有する反射防止フィルムXのへーズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。また、反射防止フィルムXの全光線透過率は、好ましくは93%以上、より好ましくは93.9%以上、より好ましくは94%以上である。本発明において、全光線透過率とは、JIS K 7105に準拠して測定される値とする。
反射防止フィルムXにおける反射防止層13の側の視感反射率は、2%以下であり、好ましくは1.7%以下、より好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.3%以下、より好ましくは1.1%以下、より好ましくは0.9%以下である。本実施形態において、視感反射率とは、JIS Z 8701に準拠して測定される値とする。反射防止フィルムXの反射防止層13側の視感反射率の調整は、例えば、ハードコート層12および反射防止層13の屈折率差の調整によって行うことが可能である。当該屈折率差の調整は、例えば、組成調整によるハードコート層12の高屈折率化や、組成調整による反射防止層13の低屈折率化によって、行うことが可能である。
反射防止層13の表面13aすなわち反射防止フィルムXの反射防止層13側表面は、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上、より好ましくは5H以上の鉛筆硬度を有する。鉛筆硬度は、JIS K 5400-5-4に準じて測定され得る。
反射防止フィルムXにおいて、スチールウール#0000を擦り材として用いて荷重200g/cm2、擦りストローク長10cm、および往復動回数1000の条件で反射防止層13の表面13aに対して行われる擦り試験の後のヘーズ値(%)の、当該擦り試験より前のヘーズ値(%)に対する差は、0.1以下であり、好ましくは0または0以下である。このような擦り試験後の反射防止フィルムXのヘーズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。当該擦り試験後の反射防止フィルムXの全光線透過率は、好ましくは93%以上、より好ましくは93.9%以上、より好ましくは94%以上である。
反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を内側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験(第1屈曲試験)において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、6mm以下の範囲にあり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある。これと共に或いはこれに代えて、反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を外側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験(第2屈曲試験)において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、10mm以下の範囲にあり、好ましくは8mm以下の範囲にある。円筒形マンドレル法による屈曲試験は、JIS K5600-5-1に準拠して行われるものとする。この屈曲試験では、試験対象物であるフィルムについて、所定の直径を有する軸心であるマンドレルの周面に沿ったマンドレル周りの180°折り曲げ変形が行われる。上述の第1屈曲試験では、具体的には、ハードコート層12および反射防止層13が基材11に対して内側に位置する態様で反射防止フィルムXの屈曲が行われる。上述の第2屈曲試験では、具体的には、ハードコート層12および反射防止層13が基材11に対して外側に位置する態様で反射防止フィルムXの屈曲が行われる。
反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を内側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる連続屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値は、好ましくは5mm未満、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下の範囲にある。すなわち、同屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値は、好ましくは10mm未満、より好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある。また、反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を外側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる連続屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値は、好ましくは8mm未満、より好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある。すなわち、同屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値は、好ましくは16mm未満、より好ましくは12mm以下、より好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下の範囲にある。連続屈曲試験は、例えば、連続屈曲試験機(商品名「無負荷U字伸縮試験機 DLDM111LHB」,ユアサシステム機器株式会社製)を使用して実施することができる。
以上のような反射防止フィルムXは、例えば、基材11上にハードコート層12と反射防止層13とを順次に形成することによって製造することができる。基材11上へのハードコート層12の形成においては、まず、硬化型樹脂として例えばエポキシ基含有ポリシルセスキオキサンを含有する上述のハードコート層12形成用組成物を基材11上に塗布して組成物層を形成する。塗布手段としては、例えば、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ディップコーター、ダイコーター、コンマコーター、およびグラビアコーターが挙げられる。次に、当該組成物内の硬化型樹脂の種類に応じて、当該組成物層に対する紫外線など放射線の照射や所定温度への加熱が行われ、当該組成物層が硬化される。このようにして、ウェットコーティング法により基材11上にハードコート層12が形成される。ハードコート層12上への反射防止層13の形成においては、まず、上述の硬化型樹脂形成成分と低屈折率粒子とナノダイヤモンド粒子とを少なくとも含有する反射防止層形成用組成物をハードコート層12上に塗布して組成物層を形成する。塗布手段としては、例えば、バーコーター、スプレーコーター、スピンコーター、ディップコーター、ダイコーター、コンマコーター、およびグラビアコーターが挙げられる。次に、基材11上の当該組成物層を乾燥および硬化させる。このようにして、ウェットコーティング法により反射防止層13が形成される。例えば以上のようにして反射防止フィルムXを製造することができる。
反射防止フィルムXは、上述のように、基材11と、ハードコート層12と、低屈折率粒子の配合によって低屈折率化の図られた反射防止層13とを含む積層構造を有し、反射防止層13側の視感反射率が2%以下であって好ましくは1.7%以下、より好ましくは1.5%以下、より好ましくは1.3%以下である。反射防止フィルムXの当該視感反射率がこのような程度に抑えられているという構成は、反射防止フィルムXの機能として高い反射防止性を実現するのに適する。
また、反射防止フィルムXでは、上述のように、その試験片について反射防止層13側を内側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、6mm以下の範囲にあり、好ましくは5mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にあり、これと共に或いはこれに代えて、反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を外側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値は、10mm以下の範囲にあり、好ましくは8mm以下の範囲にある。円筒形マンドレル法による屈曲試験で示す耐屈曲性がこのような程度に確保されているという構成は、反射防止フィルムXの機能としての高い耐屈曲性を実現するのに適する。
加えて、反射防止フィルムXにおいては、上述のように、ハードコート層12は硬化型樹脂を含み、且つ、反射防止層13は硬化型樹脂および低屈折率粒子を含む。このような構成は、ハードコート層12および反射防止層13をそれぞれ樹脂組成物からウェットコーティング法によって形成するのに適する。そして、このようなハードコート層12と反射防止層13との積層構造を反射防止フィルムXが含むという構成は、高い耐屈曲性を実現するのに適する。例えば、ウェットコーティング法により樹脂組成物から形成されるハードコート層と、ドライコーティング法により当該ハードコート層上に無機物が堆積されて形成される反射防止層との積層構造を有する反射防止フィルムでは、フィルム屈曲時において、無機材料よりなって柔軟性に乏しい反射防止層が、有機系材料よりなって柔軟な傾向にあるハードコート層の屈曲変形に追従できないために(即ち、フィルム屈曲時にその屈曲箇所に作用する張力による反射防止層伸び率がハードコート層伸び率より有意に小さいために)、当該反射防止層においてクラックが生じやすい。これに対し、上述の反射防止フィルムXでは、フィルム屈曲時にその屈曲箇所に作用する張力による伸び率について反射防止層13とハードコート層12の差を小さく設定して反射防止層13におけるクラックの発生を抑制するのに適し、従って、高い耐屈曲性を実現するのに適するのである。これとともに、ハードコート層12および反射防止層13をそれぞれ樹脂組成物からウェットコーティング法によって形成するのに適した上記構成は、円筒形マンドレル法による屈曲試験での耐屈曲性に関する上記構成の実現に資する。
以上のように、反射防止フィルムXは、高い反射防止性とともに高い耐屈曲性を実現するのに適する。
反射防止フィルムXにおいて、スチールウール#0000を擦り材として用いて荷重200g/cm2、擦りストローク長10cm、および往復動回数1000の条件で反射防止層13の表面13aに対して行われる擦り試験の後のヘーズ値(%)の、当該擦り試験より前のヘーズ値(%)に対する差は、上述のように、0.1以下であり、好ましくは0または0以下である。擦り材としてスチールウール#0000を用いて反射防止フィルムXについて行われる擦り試験によって試験対象面に形成されるキズが多いほど、反射防止フィルムXにおける当該擦り試験前のヘーズ値からの当該擦り試験後のヘーズ値への上昇の程度は、大きい傾向にある。反射防止フィルムXについて上記条件で行われる擦り試験後の反射防止フィルムXのヘーズ値(%)の上昇が0.1以下であって好ましくは0または0以下に抑えられているという構成は、反射防止フィルムXの機能として高い耐擦傷性を実現するのに適する。
反射防止フィルムXにおける反射防止層13側の表面13aの鉛筆硬度は、上述のように、好ましくは2H以上、より好ましくは3H以上、より好ましくは4H以上である。反射防止層13側表面の鉛筆硬度がこの程度に確保されているという構成は、反射防止フィルムXの機能としての高硬度を実現するうえで好適である。
反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を内側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値は、上述のように、好ましくは5mm未満、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下の範囲にある(同屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値は、好ましくは10mm未満、より好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある)。また、反射防止フィルムXの試験片についてその反射防止層13側を外側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値は、上述のように、好ましくは8mm未満、より好ましくは6mm以下、より好ましくは4mm以下、より好ましくは3mm以下の範囲にある(同屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値は、好ましくは16mm未満、より好ましくは12mm以下、より好ましくは8mm以下、より好ましくは6mm以下の範囲にある)。これら構成は、反射防止フィルムXの機能としての高い耐屈曲性を実現するのに適する。
反射防止フィルムXのヘーズは、上述のように、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。上記擦り試験後の反射防止フィルムXのヘーズは、上述のように、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下、より好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以下である。反射防止フィルムXにおいて、ヘーズがこれらの程度に抑えられているという構成は、良好な透明性を確保するうえで好ましい。
反射防止フィルムXの全光線透過率は、上述のように、好ましくは93%以上、より好ましくは93.9%以上、より好ましくは94%以上である。上記擦り試験後の反射防止フィルムXの全光線透過率は、上述のように、好ましくは93%以上、より好ましくは93.9%以上、より好ましくは94%以上である。反射防止フィルムXにおいて、全光線透過率がこれらの程度に確保されているという構成は、高い透明性を実現するうえで好ましい。
反射防止層13は、上述のように、好ましくは低屈折率粒子として中空シリカ粒子を含む。中空シリカ粒子の平均粒子径は、上述のように好ましくは50~70nmである。これら構成は、反射防止層13ないし反射防止フィルムXにおいて良好な反射防止性を実現するうえで好適である。
反射防止層13は、好ましくはナノダイヤモンド粒子を含む。機械的強度の極めて高いダイヤモンドの微粒子であるナノダイヤモンド粒子を反射防止層13が含むという構成は、反射防止フィルムXの反射防止層13ないしその表面13aにおいて高い耐擦傷性を実現するうえで好適である。
反射防止層13は、上述のように、好ましくはフッ素含有硬化性化合物を含む。このような構成は、反射防止層13の露出面における防汚性や、撥水性、撥油性、滑り性、指紋の拭き取りやすさ等の観点から好ましい。また、反射防止層13がフッ素含有硬化性化合物を含むという構成は、反射防止層13の表面13aにおける動摩擦係数や静止摩擦係数の低下を図るうえで好適であり、従って、反射防止層13ないし反射防止フィルムXにおいて高い耐擦傷性を実現するうえで好適である。
図2は、反射防止層13ないし反射防止層形成用組成物の構成成分として用いられうる表面修飾ナノダイヤモンド粒子の作製方法の一例の工程図である。本方法は、生成工程S1、精製工程S2、乾燥工程S3、および表面修飾工程S4を含む。
生成工程S1では、爆轟法が行われてナノダイヤモンドが生成する。まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置し、容器内において大気組成の常圧の気体と使用爆薬とが共存する状態で、容器を密閉する。容器は例えば鉄製で、容器の容積は例えば0.5~40m3である。爆薬としては、トリニトロトルエン(TNT)とシクロトリメチレントリニトロアミンすなわちヘキソーゲン(RDX)との混合物を使用することができる。TNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、例えば40/60~60/40の範囲とされる。爆薬の使用量は、例えば0.05~2.0kgである。
生成工程S1では、次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させる。爆轟とは、化学反応に伴う爆発のうち反応の生じる火炎面が音速を超えた高速で移動するものをいう。爆轟の際、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素を原料として、爆発で生じた衝撃波の圧力とエネルギーの作用によってナノダイヤモンドが生成する。ナノダイヤモンドは、爆轟法により得られる生成物にて先ずは、隣接する一次粒子ないし結晶子の間がファンデルワールス力の作用に加えて結晶面間クーロン相互作用が寄与して非常に強固に集成し、凝着体をなす。
生成工程S1では、次に、室温での例えば24時間の放置により、容器およびその内部を降温させる。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上述のようにして生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体および煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収する。以上のような爆轟法によって、ナノダイヤモンド粒子の粗生成物を得ることができる。また、以上のような生成工程S1を必要回数行うことによって、所望量のナノダイヤモンド粗生成物を取得することが可能である。
精製工程S2は、本実施形態では、原料たるナノダイヤモンド粗生成物に例えば水溶媒中で強酸を作用させる酸処理を含む。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物には金属酸化物が含まれやすいところ、この金属酸化物は、爆轟法に使用される容器等に由来するFe,Co,Ni等の酸化物である。例えば水溶媒中で所定の強酸を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物から金属酸化物を溶解・除去することができる(酸処理)。この酸処理に用いられる強酸としては、鉱酸が好ましく、例えば、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、および王水が挙げられる。酸処理では、一種類の強酸を用いてもよいし、二種類以上の強酸を用いてもよい。酸処理で使用される強酸の濃度は例えば1~50質量%である。酸処理温度は例えば70~150℃である。酸処理時間は例えば0.1~24時間である。また、酸処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸処理の後、例えばデカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。沈殿液のpHが例えば2~3に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行うのが好ましい。
精製工程S2は、本実施形態では、酸化剤を用いてナノダイヤモンド粗生成物(精製終了前のナノダイヤモンド凝着体)からグラファイトを除去するための酸化処理を含む。爆轟法で得られるナノダイヤモンド粗生成物にはグラファイト(黒鉛)が含まれているところ、このグラファイトは、使用爆薬が部分的に不完全燃焼を起こして遊離した炭素のうちナノダイヤモンド結晶を形成しなかった炭素に由来する。例えば上記の酸処理を経た後に、例えば水溶媒中で所定の酸化剤を作用させることにより、ナノダイヤモンド粗生成物からグラファイトを除去することができる(酸化処理)。この酸化処理に用いられる酸化剤としては、例えば、硫酸、硝酸、クロム酸、無水クロム酸、二クロム酸、過マンガン酸、および過塩素酸が挙げられる。酸化処理では、一種類の酸化剤を用いてもよいし、二種類以上の酸化剤を用いてもよい。酸化処理で使用される酸化剤の濃度は例えば3~80質量%である。酸化処理における酸化剤の使用量は、酸化処理に付されるナノダイヤモンド粗生成物100質量部に対して例えば300~500質量部である。酸化処理温度は例えば100~200℃である。酸化処理時間は例えば1~50時間である。酸化処理は、減圧下、常圧下、または加圧下で行うことが可能である。このような酸化処理の後、例えばデカンテーションまたは遠心沈降法により、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。水洗当初の上清液は着色しているところ、上清液が目視で透明になるまで、当該固形分の水洗を反復して行うのが好ましい。水洗を繰り返すことにより、不純物である電解質(NaCl等)が低減ないし除去される。電解質濃度が低いことは、本方法によって得られるナノダイヤモンド粒子について高い分散性および高い分散安定性を実現するうえで好適である。
このような酸化処理の後、ナノダイヤモンドをアルカリ溶液で処理してもよい。当該アルカリ処理により、ナノダイヤモンド表面の酸性官能基(例えばカルボキシ基)を塩(例えばカルボン酸塩)に変換することが可能である。使用されるアルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム水溶液が挙げられる。当該アルカリ処理において、アルカリ溶液濃度は、例えば1~50質量%であり、処理温度は例えば70~150℃であり、処理時間は例えば0.1~24時間である。また、このようなアルカリ処理の後、ナノダイヤモンドを酸溶液で処理してもよい。当該酸処理を経ることにより、ナノダイヤモンド表面の酸性官能基の塩を再び遊離の酸性官能基に戻すことが可能である。使用される酸溶液としては、塩酸が挙げられる。当該酸処理は、室温で行ってもよく、加熱下で行ってもよい。酸化処理後のアルカリ処理や、その後の酸処理を経たナノダイヤモンドについては、例えばデカンテーションまたは遠心沈降法により、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行う。
本方法では、次に、乾燥工程S3が行われる。本工程では、例えば、精製工程S2を経て得られるナノダイヤモンド含有溶液からエバポレーターを使用して液分を蒸発させる(蒸発乾固)。このような蒸発乾固によって生じる残留固形分を乾燥用オーブン内での加熱乾燥によって更に乾燥させてもよい。このような乾燥工程S3を経ることにより、ナノダイヤモンド凝着体の粉体が得られる。
本方法では、次に、表面修飾工程S4が行われる。表面修飾工程S4は、例えば以上のようにして得られるナノダイヤモンド凝着体に含まれるナノダイヤモンド粒子について、所定のシランカップリング剤を結合させることによって表面修飾するための工程である。表面修飾工程S4では、まず、例えば上述のようにして得られる乾燥ナノダイヤモンド(ナノダイヤモンド凝着体)と、シランカップリング剤と、溶媒とを含む混合溶液を、反応容器内で撹拌する。次に、反応容器内の混合溶液に対し、解砕メディアとしてのジルコニアビーズを添加する。ジルコニアビーズの直径は例えば15~500μmである。次に、超音波を発振し得る振動子を備える超音波発生装置を使用して、当該溶液中のナノダイヤモンドについて表面修飾処理を行う。具体的には、超音波発生装置の振動子の先端を反応容器内に挿入して前記の溶液に浸け、当該振動子から超音波を発生させる。この処理は、処理に付される溶液を例えば氷水で冷却しつつ行うのが好ましい。このような表面修飾処理の処理時間は例えば4~10時間である。本処理に供される溶液において、ナノダイヤモンドの含有割合は例えば0.5~5質量%であり、シランカップリング剤の濃度は例えば5~40質量%である。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、1-メトキシプロパノール、メチルイソブチルケトン、イソプロパノール、または2-ブタノールが用いられる。また、溶液中のナノダイヤモンドとシランカップリング剤との質量比は例えば2:1~1:10である。本表面修飾処理においては、超音波照射を受ける溶液内に音響効果に基づきキャビテーションが発生し、そのキャビテーション(微小気泡)崩壊時に生じるジェット噴流によって溶液内のジルコニアビーズが極めて大きな運動エネルギーを獲得する。そして、当該ジルコニアビーズが同一溶液内のナノダイヤモンド凝着体に衝撃エネルギーを与えることにより、ナノダイヤモンド凝着体からナノダイヤモンド粒子が解かれ(解砕)、解離状態にあるナノダイヤモンド粒子にシランカップリング剤が作用して結合する。この結合は、例えば、シランカップリング剤側のシラノール基とナノダイヤモンド粒子側の表面水酸基との間での脱水縮合反応を経て生ずる共有結合である。シランカップリング剤が加水分解性基を有する場合、当該反応系に含まれるわずかな水分によっても当該加水分解性基からシラノール基が生じ得る。以上のような表面修飾工程S4により、ナノダイヤモンド粒子とこれに結合したシランカップリング剤とを含む表面修飾ナノダイヤモンド粒子ないしその分散液を、作製することができる。本工程を経た溶液中に未反応ナノダイヤモンド凝着体が存在する場合には、当該溶液を静置した後にその上清液を採取することにより、未反応ナノダイヤモンド凝着体の含有量の低減された表面修飾ナノダイヤモンド粒子分散液を得ることができる。また、得られる表面修飾ナノダイヤモンド粒子分散液については、表面修飾工程S4で用いた上記の溶媒を他の溶媒に変えるための溶媒置換操作を行ってもよい。
例えば以上のようにして作製される表面修飾ナノダイヤモンド粒子分散液を、上述の硬化型樹脂形成成分および低屈折率粒子等と混合することにより、上述の反射防止層形成用組成物を調製することができる。
〔表面修飾ナノダイヤモンド粒子の分散液の作製〕
以下のような過程を経て、表面修飾ナノダイヤモンド粒子の分散液を作製した。
まず、爆轟法によるナノダイヤモンドの生成工程を行った。本工程では、まず、成形された爆薬に電気雷管が装着されたものを爆轟用の耐圧性容器の内部に設置して容器を密閉した。容器は鉄製で、容器の容積は15m3である。爆薬としては、TNTとRDXとの混合物0.50kgを使用した。この爆薬におけるTNTとRDXの質量比(TNT/RDX)は、50/50である。次に、電気雷管を起爆させ、容器内で爆薬を爆轟させた(爆轟法によるナノダイヤモンドの生成)。次に、室温での24時間の放置により、容器およびその内部を降温させた。この放冷の後、容器の内壁に付着しているナノダイヤモンド粗生成物(上記爆轟法で生成したナノダイヤモンド粒子の凝着体と煤を含む)をヘラで掻き取る作業を行い、ナノダイヤモンド粗生成物を回収した。
上述のような生成工程を複数回行うことによって取得されたナノダイヤモンド粗生成物に対し、次に、精製工程の酸処理を行った。具体的には、当該ナノダイヤモンド粗生成物200gに6Lの10質量%塩酸を加えて得られたスラリーに対し、常圧条件での還流下で1時間の加熱処理を行った。この酸処理における加熱温度は85~100℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体と煤を含む)の水洗を行った。沈殿液のpHが低pH側から2に至るまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、精製工程の酸化処理を行った。具体的には、酸処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ナノダイヤモンド凝着体を含む)に、6Lの98質量%硫酸と1Lの69質量%硝酸とを加えてスラリーとした後、このスラリーに対し、常圧条件での還流下で48時間の加熱処理を行った。この酸化処理における加熱温度は140~160℃である。次に、冷却後、デカンテーションにより、固形分(ナノダイヤモンド凝着体を含む)の水洗を行った。水洗当初の上清液は着色しているところ、上清液が目視で透明になるまで、デカンテーションによる当該固形分の水洗を反復して行った。
次に、酸化処理後のデカンテーションを経て得た沈殿液(ナノダイヤモンド凝着体を含む)について乾燥処理に付して乾燥粉体を得た(乾燥工程)。乾燥処理の手法としては、エバポレーターを使用して行う蒸発乾固を採用した。
次に、表面修飾工程を行った。具体的には、まず、上述の乾燥工程を経て得られたナノダイヤモンド粉体0.30gを50mlサンプル瓶に量り取り、当該ナノダイヤモンド粉体と、溶媒であるテトラヒドロフラン(THF)14gと、シランカップリング剤であるアクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピル(東京化成工業株式会社製)1.2gとを混合した溶液を、10分間、撹拌した。次に、当該溶液に対し、ジルコニアビーズ(商品名「YTZ」,直径30μm,東ソー株式会社製)34gを添加した。次に、超音波発生装置たるホモジナイザー(商品名「超音波分散機 UH-600S」,株式会社エスエムテー製)を使用して、前記の混合溶液を表面修飾処理に付した。具体的には、超音波発生装置の振動子の先端を反応容器内に挿入して前記の溶液に浸けた状態で当該振動子から超音波を発生させ、反応容器を氷水で冷やしながら当該反応容器内の前記混合溶液を8時間の超音波処理に付した。本処理において、当初は灰濁色であった溶液は、次第に、黒色化しつつ透明性を増した。これは、ナノダイヤモンド凝着体から順次にナノダイヤモンド粒子が解かれ(解砕)、解離状態にあるナノダイヤモンド粒子にシランカップリング剤が作用して結合し、そのように表面修飾のなされたナノダイヤモンド粒子がTHF溶媒中で分散安定化したためであると考えられる。8時間の表面修飾処理後のナノダイヤモンド分散液の粒径D50を後記のように動的光散乱法によって測定したところ、15nmであった。以上のようにして、表面修飾ナノダイヤモンド粒子(表面修飾ナノダイヤモンド粒子ND1)の分散液を作製した。
[実施例1]
以下のようにして基材上にハードコート層および反射防止層を順次に形成し、実施例1の反射防止フィルムを作製した。
〔ハードコート層の形成〕
後記のようにして得られるエポキシ基含有ポリシルセスキオキサン61.6質量部と、脂環式エポキシ基を有するエポキシ化合物(商品名「EHPE3150」,株式会社ダイセル製)6.9質量部と、メチルイソブチルケトン(MIBK)(関東化学株式会社製)30質量部と、光カチオン重合開始剤(商品名「CPI-210S」,サンアプロ株式会社製)0.5質量部とを混合し、ハードコート層形成用の硬化性樹脂組成物を調製した。次に、透明基材である厚さ50μmのポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(商品名「デオテックス」,帝人デュポンフィルム株式会社製)上に、ワイヤーバー#14を使用して当該ハードコート層形成用組成物を塗布して塗膜を形成した後、80℃で1分間、乾燥機を使用して当該塗膜を乾燥させた。次に、紫外線照射装置(光源は高圧水銀ランプ,ウシオ電機株式会社製)を使用して、当該塗膜付きフィルムに対して紫外線硬化処理を行った。その紫外線照射量は400mJ/cm2である。次に、紫外線硬化処理を経た当該フィルムに対し、乾燥機を使用して、150℃で30分間の加熱処理を行った。このようにして、PENフィルム上にウエット(Wet)コーティング法によって厚さ10μmのハードコート層(ハードコート層HC1)を形成した。
〔ハードコート層用の硬化型樹脂の合成〕
還流冷却器と、窒素ガス導入管と、撹拌装置と、温度計とを備えた300mLのフラスコ内で、窒素ガスを導入しながら、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン161.5mmol(39.79g)と、フェニルトリメトキシシラン9mmol(1.69g)と、溶媒としてのアセトン165.9gとを混合して50℃に昇温した。次に、当該混合物に、5%炭酸カリウム水溶液4.7g(炭酸カリウムとして1.7mmol)を5分かけて滴下し、続いて水1700mmol(30.6g)を20分かけて滴下した。滴下操作の間、混合物に著しい温度上昇は生じなかった。当該滴下操作の後、フラスコ内に窒素ガスを導入しながら、50℃で4時間、重縮合反応を行った。重縮合反応後の反応溶液中の生成物を分析したところ、数平均分子量は1911であり、分子量分散度は1.47であった。また、この生成物について29Si-NMRスペクトルを測定し、当該生成物におけるT2体に対するT3体のモル比の値(T3体/T2体)を29Si-NMRスペクトルに基づき算出したところ、10.3であった。そして、静置されて冷却された反応溶液について、相分離によって生じる下層液(水相)が中性になるまで水洗を繰り返した後、上層液を分取し、1mmHgおよび40℃の条件で溶媒量が25質量%になるまで上層液から溶媒を留去し、無色透明の液状の生成物(エポキシ基含有ポリシルセスキオキサン)を得た。
〔反射防止層の形成〕
表面修飾ナノダイヤモンドND1の上記分散液を一昼夜静置した後に採取した上清液を、トルエン16mlとヘキサン4mlとの混合溶媒に滴下し(総滴下量は10ml)、滴下後の混合溶媒を遠心分離処理(遠心力20000×g,遠心時間10分間)に付して沈降した固形分(表面修飾ナノダイヤモンド粒子ND1)を回収した。このようにして回収した固形分にテトラヒドロフラン(THF)を加えて表面修飾ナノダイヤモンド粒子ND1のTHF溶液(固形分濃度6.5質量%)を調製し、当該溶液について、超音波処理装置(商品名「ASU-10」,アズワン株式会社)を使用して10分間の超音波処理を行った。この超音波処理後のTHF溶液中の表面修飾ナノダイヤモンドND1について、粒径D50を後記のように動的光散乱法によって測定したところ、12nmであった。一方、この超音波処理後のTHF溶液(表面修飾ナノダイヤモンド粒子ND1を含有して固形分濃度は6.5質量%)と、反射防止塗料(商品名「ELCOM P-5062」,低屈折率粒子である中空シリカ粒子の含有割合は1.65質量%,硬化型樹脂成分の含有割合は1.35質量%,総固形分濃度3質量%,日揮触媒化成株式会社製)と、フッ素含有硬化性化合物溶液(商品名「KY-1203」,フッ素含有アクリル化合物,固形分濃度20質量%,信越化学株式会社製)とを、反射防止塗料中の中空シリカ粒子100質量部に対するTHF溶液の固形分が9.09質量部となり且つフッ素含有硬化性化合物溶液の固形分が13.94質量部となる量比で遮光瓶に投入し、侵とう機を使用して1時間の混合を行った。このようにして、表面修飾ナノダイヤモンドND1の分散する第1の反射防止層形成用組成物を調製した。次に、上記のハードコート層HC1付きPENフィルムのハードコート層HC1上に、バーコーター#4を使用して第1の反射防止層形成用組成物を塗布して塗膜を形成した後、80℃で1分間、乾燥機を使用して当該塗膜を乾燥させた。次に、紫外線照射装置(光源は高圧水銀ランプ,ウシオ電機株式会社製)を使用して、当該塗膜付きフィルムに対して窒素雰囲気下での紫外線硬化処理を行った。その紫外線照射量は200mJ/cm2とした。これにより、ハードコート層HC1上に厚さは100nmの反射防止層(反射防止層AR1)を形成した。以上のようにして、PENフィルムとハードコート層HC1と反射防止層AR1との積層構造を有する実施例1の反射防止フィルムを作製した。
[実施例2]
ハードコート層形成過程でワイヤーバー#14に代えてワイヤーバー#34を使用して、形成されるハードコート層HC1の厚さを10μmに代えて30μmとしたこと以外は、実施例1の反射防止フィルムと同様にして、実施例2の反射防止フィルムを作製した。
[実施例3]
ハードコート層形成過程でワイヤーバー#14に代えてワイヤーバー#44を使用して、形成されるハードコート層HC1の厚さを10μmに代えて40μmとしたこと以外は、実施例1の反射防止フィルムと同様にして、実施例3の反射防止フィルムを作製した。
[実施例4]
反射防止塗料(商品名「ELCOM P-5062」,低屈折率粒子である中空シリカ粒子の含有割合は1.65質量%,硬化型樹脂成分の含有割合は1.35質量%,総固形分濃度3質量%,日揮触媒化成株式会社製)と、低屈折率粒子である中空シリカ粒子の分散液(商品名「スルーリア4320」,中空シリカ粒子の含有割合ないし固形分濃度は20質量%,日揮触媒化成株式会社製)と、イソプロピルアルコール(IPA)とを、反射防止塗料中の中空シリカ粒子100質量部に対するスルーリア4320の固形分が30質量部となり且つIPAが798質量部となる量比で混合した。この混合液における、中空シリカ粒子の含有割合は1.83質量%であり、硬化型樹脂成分の含有割合は1.17質量%であり、総固形分濃度は3質量%である。そして、この混合液と、実施例1に関して上述した超音波処理後のナノダイヤモンド含有THF溶液(表面修飾ナノダイヤモンド粒子ND1を含有して固形分濃度は6.5質量%)と、フッ素含有硬化性化合物溶液(商品名「KY-1203」,フッ素含有アクリル化合物,固形分濃度20質量%,信越化学株式会社製)とを、上記混合液中の中空シリカ粒子127.8質量部に対するTHF溶液の固形分が4.92質量部となり且つフッ素含有硬化性化合物溶液の固形分が10.38質量部となる量比で遮光瓶に投入し、侵とう機を使用して1時間の混合を行った。このようにして、表面修飾ナノダイヤモンドND1の分散する第2の反射防止層形成用組成物を調製した。この第2の反射防止層形成用組成物を上述の第1の反射防止層形成用組成物の代わりに用いてハードコート層HC1上に反射防止層AR1の代わりに反射防止層AR2を形成したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の反射防止フィルムを作製した。実施例4の反射防止フィルムは、PENフィルムとハードコート層HC1(厚さ10μm)と反射防止層AR2(厚さ100nm)との積層構造を有する。
[実施例5]
ハードコート層形成過程でワイヤーバー#14に代えてワイヤーバー#34を使用して、形成されるハードコート層HC1の厚さを10μmに代えて30μmとしたこと以外は、実施例4の反射防止フィルムと同様にして、実施例5の反射防止フィルムを作製した。
[実施例6]
ハードコート層形成過程でワイヤーバー#14に代えてワイヤーバー#44を使用して、形成されるハードコート層HC1の厚さを10μmに代えて40μmとしたこと以外は、実施例4の反射防止フィルムと同様にして、実施例6の反射防止フィルムを作製した。
[比較例1]
ハードコート層HC1上に反射防止層AR1の代わりに反射防止層AR3を形成したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の反射防止フィルムを作製した。反射防止層AR3の形成においては、ドライ(Dry)コーティング法の一つとしてのスパッタリング法により、ハードコート層HC1上に二酸化ケイ素層(厚さ15nm)、五酸化ニオブ層(厚さ10nm)、二酸化ケイ素層(厚さ35nm)、五酸化ニオブ層(厚さ100nm)、および二酸化ケイ素層(厚さ80nm)を順次に形成した。この反射防止層AR3の表面には、フッ素含有化合物溶液(商品名「オプツールDSX」,ダイキン工業株式会社製)の塗布とその後の100℃での乾燥により、防汚層(厚さ8nm)を形成した。
[比較例2]
ハードコート層形成過程でワイヤーバー#14に代えてワイヤーバー#34を使用して、形成されるハードコート層HC1の厚さを10μmに代えて30μmとしたこと以外は、比較例1の反射防止フィルムと同様にして、比較例2の反射防止フィルムを作製した。
[比較例3]
ハードコート層形成過程でワイヤーバー#14に代えてワイヤーバー#44を使用して、形成されるハードコート層HC1の厚さを10μmに代えて40μmとしたこと以外は、比較例1の反射防止フィルムと同様にして、比較例3の反射防止フィルムを作製した。
〈粒径D50の測定〉
表面修飾ナノダイヤモンド粒子分散液中に含まれる表面修飾ナノダイヤモンド粒子の粒径D50は、Malvern社製の装置(商品名「ゼータサイザー ナノZS」)を使用して動的光散乱法(非接触後方散乱法)によって測定された粒度分布から得られた積算値50%での粒径である。
〈視感反射率〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて、反射防止層とは反対の側の表面にOCA(光学透明粘着材)を貼り合せて粘着面を形成し、この粘着面に黒色アクリル板を貼り合せて測定用サンプルを作製した。そして、実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムから作製された測定用サンプルの反射防止層側表面について、反射分光光度計(商品名「UH-3900」,日立ハイテク株式会社製)を使用して視感反射率(%)を測定した。本測定は、JIS Z 8701に準拠して行った。その結果を表1に掲げる。
〈全光線透過率〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて、全光線透過率測定装置(商品名「NDH-5000W」,日本電色工業株式会社製)を使用して全光線透過率(%)を測定した。本測定は、JIS K 7105に準拠して行った。同様に、後記の擦り試験を経た実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについても、全光線透過率(%)を測定した。これらの結果を表1に掲げる。
〈ヘーズ〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて、ヘーズ測定装置(商品名「NDH-5000W」,日本電色工業株式会社製)を使用してヘーズ値(%)を測定した。本測定は、JIS K 7136に準拠して行った。同様に、後記の擦り試験を経た実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについても、へーズ値(%)を測定した。これらの結果を表1に掲げる。
〈耐屈曲性:円筒形マンドレル法〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて、円筒形マンドレル屈曲試験機(商品名「屈曲試験機(円筒型マンドレル法)」,TP技研株式会社製)を使用して、JIS K 5600-5-1に準拠する円筒形マンドレル法により、次のようにして耐屈曲性を調べた(使用試験機は取替え可能な12本のマンドレルを備え、それらのマンドレル直径は2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、16mm、20mm、25mm、32mmである)。
反射防止フィルムから切り出された試験片(15mm×150mm)の反射防止層側を内側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験(第1屈曲試験)において、試験片がクラックを生じずに耐屈曲性を示すマンドレル直径(mm)の最小値を調べた。各第1屈曲試験では、試験対象物であるフィルムについて、ハードコート層および反射防止層が基材に対して内側に位置する態様で、所定の直径を有する芯棒であるマンドレルの周面に沿ったマンドレル周りの180°折り曲げ変形が行われる。
また、反射防止フィルムから切り出された試験片(15mm×150mm)の反射防止層側を外側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法による屈曲試験(第2屈曲試験)において、試験片がクラックを生じずに耐屈曲性を示すマンドレル直径(mm)の最小値を調べた。各第2屈曲試験では、試験対象物であるフィルムについて、ハードコート層および反射防止層が基材に対して外側に位置する態様で、所定の直径を有する芯棒であるマンドレルの周面に沿ったマンドレル周りの180°折り曲げ変形が行われる。
〈耐屈曲性:連続屈曲試験〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて、連続屈曲試験機(商品名「無負荷U字伸縮試験機 DLDM111LHB」,ユアサシステム機器株式会社製)を使用して、屈曲が繰り返される場合の耐屈曲性を次のようにして調べた。
反射防止フィルムから切り出された試験片(幅100mm×長さ150mm)について、試験速度50r/min(1分間あたり50サイクル)の条件での100サイクルの屈曲試験を行った(第1連続屈曲試験)。第1連続屈曲試験の各サイクルには、試験片の長さ方向における中央部が反射防止層側を内側にして所定の最小曲率半径で屈曲するまで試験片長さ方向における両端が接近する試験片の屈曲動と、その後に当該両端が離反して試験片が元の平坦フィルム形状に戻る試験片の復帰動とが含まれる。100サイクルを経た時点で試験片がクラックを生じずに耐屈曲性を示す屈曲時最小曲率半径を調べた。その結果を、耐屈曲性を示す屈曲時最小曲率半径(mm)の2倍値(耐屈曲性に係る直径の最小値に相当)として表1に掲げる。
また、反射防止フィルムから切り出された試験片(幅100mm×長さ150mm)について、試験速度50r/min(1分間あたり50サイクル)の条件での100サイクルの屈曲試験を行った(第2連続屈曲試験)。第2連続屈曲試験の各サイクルには、試験片の長さ方向における中央部が反射防止層側を外側にして所定の最小曲率半径で屈曲するまで試験片長さ方向における両端が接近する試験片の屈曲動と、その後に当該両端が離反して試験片が元の平坦フィルム形状に戻る試験片の復帰動とが含まれる。100サイクルを経た時点で試験片がクラックを生じずに耐屈曲性を示す屈曲時最小曲率半径を調べた。その結果を、耐屈曲性を示す屈曲時最小曲率半径(mm)の2倍値(耐屈曲性に係る直径の最小値に相当)として表1に掲げる。
〈鉛筆硬度〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムの反射防止層側表面について、鉛筆引っかき硬度試験機(商品名「No.553-M」,株式会社安田精機製作所製)を使用して鉛筆硬度を測定した。本測定は、JIS K 5600-5-4に準拠して行った。その結果を表1に揚げる。
〈擦り試験〉
実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムの反射防止層側表面について、擦り試験機を使用し、且つ、試験対象面上で往復動させる擦り材としてスチールウール#0000(日本スチールウール株式会社製)を用いて、擦り試験を行った。本試験において、試験環境は23℃および50%RHであり、試験対象面に対する擦り材の荷重は200g/cm2であり、試験対象面上の擦り材の移動長さ(擦りストローク長)は10cmであり、試験対象面に対して擦り材を往復動させる回数は1000回である。
このような擦り試験を経た実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて測定した全光線透過率(%)およびへーズ値(%)は表1に掲げるとおりである。これらの値に関し、擦り試験を経る前の値からの変化も表1に掲げる。
また、擦り試験を経た実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムについて、フィルム裏面を黒マジックで塗りつぶした後、反射光を利用して、反射防止層側表面における擦り部分の擦傷の程度を目視で観察した。そして、注意深く観察しても全く傷が確認されない場合を優(◎)、注意深く観察すると傷が5本まで観察される場合を良(○)、および、明らかに傷があることが分かる場合を不良(×)とする評価基準に基づき、擦り試験を経た実施例1~6および比較例1~3の各反射防止フィルムの反射防止層側表面の外観評価を行った。その結果を表1に掲げる。
[評価]
実施例1~6の反射防止フィルムは、いずれも、94.9%以上の全光線透過率と、0.8%以下のヘーズと、1.1%以下の視感反射率を示すとともに、上述の第1および第2屈曲試験ならびに上述の第1および第2連続屈曲試験において比較例1~3の反射防止フィルムよりも高い耐屈曲性を示した。
Figure 0007190458000006
X 反射防止フィルム
11 基材
12 ハードコート層
13 反射防止層
13a 表面

Claims (10)

  1. 基材と、
    硬化型樹脂および低屈折率粒子を含む反射防止層と、
    前記基材および前記反射防止層の間に位置し且つ硬化型樹脂を含むハードコート層とを含む積層構造を有し、
    前記反射防止層側の視感反射率が2%以下であり、
    前記ハードコート層は、エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンを含む硬化性組成物の硬化物で構成され、前記硬化性組成物中の前記エポキシ基含有ポリシルセスキオキサンの含有割合が、溶媒を除く硬化性組成物全量に対して70質量%以上であり、
    前記ハードコート層厚さが10~40μmであり、
    反射防止フィルム試験片についてその反射防止層側を内側にして屈曲が行われる円筒形マンドレル法によるJIS K5600-5-1に準拠して行われる屈曲試験において耐屈曲性を示すマンドレル直径の最小値が2mmである、反射防止フィルム。
  2. スチールウール#0000を擦り材として用いて荷重200g/cm2、擦りストローク長10cm、および往復動回数1000の条件で前記反射防止層側の表面に対して行われる擦り試験の後のヘーズ値(%)の、当該擦り試験より前のヘーズ値(%)に対する差が0.1以下である、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記反射防止層側の表面の鉛筆硬度が2H以上である、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 反射防止フィルム試験片についてその反射防止層側を内側にして屈曲箇所曲率半径一定の100回の連続屈曲が行われる第1連続屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値が2mm以上10mm未満の範囲にあり、これと共に或いはこれに代えて、反射防止フィルム試験片についてその反射防止層側を外側にして100回の連続屈曲が行われる第2連続屈曲試験において耐屈曲性を示す屈曲箇所曲率半径の最小値の2倍値が5mm以上16mm未満の範囲にある、請求項1から3のいずれか一つに記載の反射防止フィルムであって、
    前記第1連続屈曲試験及び第2連続屈曲試験は、以下の方法により行われるものである、反射防止フィルム。
    ・第1連続屈曲試験
    前記反射防止フィルムから切り出された試験片(幅100mm×長さ150mm)について、試験速度50r/min(1分間あたり50サイクル)の条件での100サイクルの屈曲試験を行う。第1連続屈曲試験の各サイクルには、試験片の長さ方向における中央部が反射防止層側を内側にして所定の最小曲率半径で屈曲するまで試験片長さ方向における両端が接近する試験片の屈曲動と、その後に当該両端が離反して試験片が元の平坦フィルム形状に戻る試験片の復帰動とが含まれる。100サイクルを経た時点で試験片がクラックを生じずに耐屈曲性を示す屈曲時最小曲率半径を調べる。
    ・第2連続屈曲試験
    反射防止フィルムから切り出された試験片(幅100mm×長さ150mm)について、試験速度50r/min(1分間あたり50サイクル)の条件での100サイクルの屈曲試験を行う。第2連続屈曲試験の各サイクルには、試験片の長さ方向における中央部が反射防止層側を外側にして所定の最小曲率半径で屈曲するまで試験片長さ方向における両端が接近する試験片の屈曲動と、その後に当該両端が離反して試験片が元の平坦フィルム形状に戻る試験片の復帰動とが含まれる。100サイクルを経た時点で試験片がクラックを生じずに耐屈曲性を示す屈曲時最小曲率半径を調べる。
  5. ヘーズが1%以下である、請求項1から4のいずれか一つに記載の反射防止フィルム。
  6. 前記ハードコート層は硬化型樹脂として硬化型ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を含む、請求項1から5のいずれか一つに記載の反射防止フィルム。
  7. 前記反射防止層は中空シリカ粒子を含む、請求項1から6のいずれか一つに記載の反射防止フィルム。
  8. 前記反射防止層はナノダイヤモンド粒子を含む、請求項1から7のいずれか一つに記載の反射防止フィルム。
  9. 前記反射防止層はフッ素含有硬化性化合物を含む、請求項1から8のいずれか一つに記載の反射防止フィルム。
  10. 前記ハードコート層は、硬化型樹脂として硬化型ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂を含むとともに、前記硬化型ポリオルガノシルセスキオキサン樹脂以外の硬化性化合物を含む、請求項1から9のいずれか一つに記載の反射防止フィルム。
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