JP7190341B2 - トラネキサム酸含有組成物 - Google Patents
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本発明は、このような状況下においてなされたものであり、トラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩を、油性固形組成物に含有させるときに、均一に分散させることを課題とする。
さらに、本発明者らは、トラネキサム酸を含有する油性固形組成物では、時間が経つと硬度が低下することに着目したところ、アシルアミノ酸エステルが共存することにより、経時的な硬度の維持も図れることを見出した。
[1]トラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩と、アシルアミノ酸エステルとを含有する、油性固形組成物。
[2]前記アシルアミノ酸エステルの含有量が、組成物全体の0.1~10質量%である、[1]に記載の組成物。
[3]さらにソルビタン系界面活性剤を含有する、[1]又は[2]に記載の組成物。
[4]さらに、粉体を含有する、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]前記粉体の含有量が、組成物全体の0.5~40質量%である、[4]に記載の組成物。
[6]固形油脂及び/又は半固形油脂を組成物全体の5質量%以上含む、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]皮膚外用剤である、[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
トラネキサム酸は、トランス-4-アミノメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸を指す。
油性固形組成物に該成分をトラネキサム酸類と共に含有させることにより、トラネキサム酸類を組成物に均一に分散させることができ、また経時でもその均一分散性を維持することができる。また、トラネキサム酸類を含有する油性固形組成物においても、経時でも硬度が低下することなく維持することができる。さらに、一般にトラネキサム酸類は析出しやすく、これを含有する化粧料等では保存に難が生じる場合があるところ、アシルアミノ酸エステルの共存により析出を抑制することができる。
アシルアミノ酸部分としては、特に限定されないが、N-アシル酸性アミノ酸が好ましく、N-アシルアスパラギン酸又はN-アシルグルタミン酸がより好ましく、N-アシルグルタミン酸がさらに好ましい。これらのアミノ酸構造は光学活性体又はラセミ体のいずれであってもよい。
アシル基としては炭素数8~22の飽和又は不飽和脂肪酸より誘導されるアシル基であることが望ましく、例えばラウリン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,オレイン酸等の単一組成の脂肪酸によるアシル基の他に、ヤシ油脂肪酸,牛脂脂肪酸,硬化牛脂脂肪酸等の天然より得られる混合脂肪酸あるいは合成により得られる脂肪酸(分枝脂肪酸を含む)のアシル基であってもよい。
0の液状高級アルキル、もしくはアルケニルアルコール、炭素数12~38の固形状高級アルキルアルコールなどが好ましく挙げられる。N-アシル酸性アミノ酸エステルの場合、モノエステル体であってもジエステル体であっても構わないが、2つのエステル生成残基のうち少なくとも一方がステロール残基であるジエステル体であることが特に好ましい。ステロールとしては、動物由来のものであっても植物由来のものであってもよく、例えばコレステロール、フィトステロール又はこれらの水添物等を挙げることができる。また、炭素数8~30の液状高級アルキル、もしくはアルケニルアルコールは炭素数8~30の天然又は合成脂肪族アルコールでかつ常温で液状を呈するものであり、例えば2-オクチルドデシルアルコール等の分枝アルコール、オレイルアルコール等の不飽和アルコールなどが挙げられる。炭素数12~38の固形状高級アルキルアルコールは炭素数12~38の飽和一価アルコールでかつ常温で固形状を呈するもので、例えばセチルアルコール,ベヘニルアルコールなどが挙げられる。
本発明の組成物におけるアシルアミノ酸エステルの含有量は、特に限定されないが、組成物全体に対して0.1~10質量%が好ましく、2~8質量%がより好ましい。かかる範囲で含有させることにより、トラネキサム酸類の均一分散性効果や、組成物の経時での硬度維持の効果を発揮させやすくなる。
ソルビタン系界面活性剤としては、特に限定されないが、モノステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類;POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類;POE-ソルビットモノラウレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類が挙げられる。これらのうち、ソルビタン脂肪酸エステル類がより好ましく、セスキイソステアリン酸ソルビタンがさらに好ましい。
本発明の組成物におけるソルビタン系界面活性剤の含有量は、特に限定されないが、組成物全体に対して0.1~5質量%が好ましく、0.5~3質量%がより好ましい。かかる範囲で含有させることにより、トラネキサム酸類の均一分散性効果をより発揮させやすくなる。
ここで、固形とは、半固形も含み、通常は高い粘度を有し流動性が低い状態のものである。例えば、25℃で流動性がないものが好ましい。また、25℃における粘度が20,000Pa・s以上であることが好ましい。かかる剤型であることにより、トラネキサム酸類が、時間が経っても沈降しにくくなり、経時での分散安定性に優れた組成物となり得
る。
また、「実質的に含まない」とは組成物全体に対して好ましくは0.1質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以下であり、さらに好ましくは0.001質量%以下であることをいう。また、水性成分とは例えば25~65℃のミネラルオイルに懸濁して1時間静置した後にミネラルオイルと相分離する成分をいう。
さらに通常化粧料に用いられる油剤(液状油剤などの流動性のある油剤も含む)も加えられてもよい。
油剤の種類や含有量は特に限定されず、所望の硬度、塗布後の皮膚上での粉末の白さの軽減、皮膚への密着感や塗布時のすべり感などの使用性によって適宜調整してよい。
固形油脂及び/又は半固形油脂としては、植物由来のものとして、カルナウバロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、コメヌカロウ、シアバター、アフリカマンゴバター等が挙げられ、動物由来のものとして、ミツロウ、シェラックロウ、イボタロウ等が挙げられ、石油由来のものとして、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の精製ワックスが挙げられ、鉱物由来のものとしてオゾケライト、セレシン、モンタンワックス等の精製ワックスが挙げられる。これらの固形油脂及び/又は半固形油脂は単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
かかる他の油剤としては、マカデミアナッツ油、アボカド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類
;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等の前記のシリコーンに分類されないシリコーン油等の油剤類が挙げられる。
粉体の含有量は、組成物全体の0.5~40質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
また、その形状は、特に限定されないが、一般に化粧料等の皮膚外用剤に用いられる球状、半球状、板状などが挙げられ、また多孔性であってもよい。
また、その粒子径は、一般に化粧料等の皮膚外用剤に用いられる程度であればよいが、とくに煙霧状の微細な粒子径(例えば5nm~20nm)が好ましい。
これらのうち、本発明においては、組成物の分散安定性の観点から、煙霧状シリカ(フュームドシリカ)が特に好ましく挙げられ、市販品を用いてもよい。
本発明の組成物がオイルゲル剤型である場合は、前述の固形油脂や半固形油脂に加えて又は替えて、油性ゲル化剤を含有することが好ましい。油性ゲル化剤を含有することで組成物の粘度が大きくなるため、組成物に分散したトラネキサム酸類が、時間が経っても沈降しにくくなり、経時での分散安定性に優れた組成物となり得る。
ここで油性ゲル化剤とは、油剤等の油性成分と相溶性のあるゲル化剤をいい、特に限定されないが、12-ヒドロキシステアリン酸、パルミチン酸デキストリン、(パルミチン
酸/オクタン酸)デキストリン、ジブチルラウロイルグルタミド、ジメチコンクロスポリ
マー等を例示できる。
油性ゲル化剤の含有量は、組成物全体の0.5~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%がさらに好ましい。
%中と下方95v/v%中との該化合物の濃度の差が、好ましくは10%以内、より好ま
しくは5%以内、さらに好ましくは0.5%以内である。
他の美白成分としては、一般的に化粧料に用いられているものであれば特に限定はない。例えば、4-n-ブチルレゾルシノール、アスコルビン酸グルコシド、3-О-エチルアスコルビン酸、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、リノール酸、ニコチン酸アミド、5,5'-ジプロピルビフェニル-2,2'-ジオール、5'-アデニル酸二ナトリウム、ト
ラネキサム酸セチル、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、ハイドロキノン、パントテン酸等が挙げられる。
、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、ブドウ種子エキス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マヨナラエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モズクエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ユリエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、緑茶エキス、リンゴエキス、ルイボス茶エキス、レイシエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンギョウエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、ワレモコウエキス等のエキスが好ましいものとして挙げられる。
セスキイソステアリン酸ポリグリセリル、グリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸グリセリル等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、等が挙げられる。
トリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類
、等が挙げられる。
下記の表1に示す処方に従い、乳化剤形の皮膚外用剤を製造した。すなわち、成分ロを95℃にて加熱溶解させ、混合した。さらに95℃下で3000rpm1分間ディスパーを用いて撹拌しながら、前記混合物に成分イを添加した。その後脱泡を行い、容器に充填し、冷却固化させ、油性固形化粧料を得た。
(1)分散安定性の評価
調製した各油性固形化粧料を40℃で1日間静置した後、トラネキサム酸の沈降の有無を目視により観察し、均一に分散している場合に分散安定性が○、わずかに沈降が認めらるが凝視しないとわからない場合に分散性が△、沈降が認められた場合に分散安定性が×と評価した。結果を表1に併せて示す。
調製した各油性固形化粧料を0℃から40℃まで24時間で変化させるよう設定したエイジングボックスに1ヶ月間放置した後、さらに20℃の恒温室に2時間放置し、その後カードメーター(アイテクノエンジニアリング株式会社製)を用いて硬度を測定した。調製直後の硬度を100%とした場合の3ヶ月放置後の硬度を維持率とした。硬度の経時での維持率が80%以上の場合は○、51~79%の場合は△、経時での変化が50%以下の場合は×と評価した。結果を表1に併せて示す。
調製した各油性固形化粧料を40℃で1ヵ月静置し、油性固形化粧料の表面にトラネキサム酸の析出の有無を目視で確認した。結果を表1に併せて示す。
Claims (7)
- トラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩と、アシルアミノ酸エステルとを含有し、
前記トラネキサム酸もしくはその誘導体またはその塩の含有量が、組成物全体の0.01~5質量%であり、
前記アシルアミノ酸エステルの含有量が、組成物全体の0.1~10質量%であり、
前記トラネキサム酸の誘導体が、トラネキサム酸のエステル体又はアミド体であり、
前記アシルアミノ酸エステルが、アシルアミノ酸とアルコールとのエステルであり、前記アルコールが少なくともフィトステロールを含む、油性固形組成物。 - 前記アシルアミノ酸エステルが、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)及び/又はN-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル/2-オクチルドデシル)を含む、請求項1に記載の組成物。
- さらにソルビタン系界面活性剤を含有する、請求項1又は2に記載の組成物。
- さらに、粉体を含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記粉体の含有量が、組成物全体の0.5~40質量%である、請求項4に記載の組成物。
- 固形油脂及び/又は半固形油脂を組成物全体の5質量%以上含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
- 皮膚外用剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
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Ultra Restorative Capsules, Uni-President Biotech, 2015年3月, Mintel GNPD [online],[検索日 2022.09.01], インターネット<URL:https://www.gnpd.com>, ID:3079015 |
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