JP7190182B2 - ニット製品の作製方法 - Google Patents
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Description
その結果、従来、容易に作製することは不可能とされていた円形状のプリーツを容易かつ迅速に作製することが可能となり、この円形状のプリーツを利用したデザイン性に富んだ、コンセプチュアルなニット製品を作製することができる。
[第一実施形態]
図1には、第一実施形態のニット製品の作製方法のフローチャートが示されている。
図1に示すように、第一実施形態のニット製品の作製方法は、編立ステップS1、縫合ステップS2、形態変化ステップS3、加熱展開ステップS4及び製品形成ステップS5を有する。
編立ステップS1は、熱収縮率の相違する複数種類の糸材を使用してガーター編みにより基本編成体の編立を行うステップである。使用する複数種類の糸材の材質として、ウール、ナイロン、レーヨンナイロン、ポリエステル等を使用できる。本実施の形態にあっては、「Fujix(king) Polyester woollie S(ソフト)」が使用されている。
矢印Bは編立方向における上流側から下流側方向を示す。
従って、本実施の形態に係る編成体構成地10A、10Bにあっては、図中下端部の部位の方が熱収縮率の程度が大きく、図中上端部の部位の方が熱収縮の程度が小さくなるように形成されている。
縫合ステップS2は、編立ステップS1により作製した二枚の編成体構成地10A、10Bを互いに重ね合わせた状態で、図2(B)中に太線で示すように、両編成体構成地10A、10Bの短辺部11a、11b同士及び、一対の短辺部11a、11bにより挟まれた一方の長辺部12a、12b同士を縫合するステップである。本実施の形態においては、長辺部12a、12bに関しては、編立方向における下流側の長辺部12a、12b同士が縫合されている。
形態変化ステップS3は、縫合ステップS2により作製した図2(B)に示す袋状の基本編成体10の内側面部を外方へ折り返して開放することにより形態変化させ、図2(C)に示すような、平板状編成体40を作製するステップである。
この袋状の基本編成体10の形態変化に関しては、袋状の基本編成体10の編成に用いられたガーター編みの編み特性と繊維の可塑性との相乗効果により、図2(B)に示す袋状の基本編成体10を図2(C)に示す一枚の平板状編成体40に形態変化させることが可能となる。
加熱展開ステップS4は、形態変化ステップS3を経て得られた平板状編成体40を加熱させることにより面方向に展開させるステップである。図2(C)中の矢印Cは、平板状編成体40を展開させる方向を示している。加熱展開ステップS4において繊維は加熱されることにより繊維の有する熱可塑性により繊維は伸長し、平板状編成体40は矢印C方向に伸展する。
平板状編成体40を加熱する際には、公知のスチームアイロンを使用することができる。平板状編成体40を加熱する方法として、アイロン本体の掛け面より噴出するスチームのみを用いる非加圧加熱と、アイロン本体の掛け面による加熱及び加圧とスチームによる加熱とを併用する加熱加圧とが適宜用いられる。
製品形成ステップS5は、加熱展開ステップS4により展開させた平板状編成体40を、図8及び図9に例示するようなニット製品50を形成できる布地80に変化させるステップである。
即ち、製品形成ステップS5においては、平板状編成体40の厚さ方向において、周縁部14を上方へ持ち上げることにより、適宜、図8及び図9に示すような、平面視においてオーバル形状の、夫々の編成領域部21、22が幅方向に沿って上下方向に連続し、着用者Zの体を周囲から包み込むような円筒形状のニット製の布地80を形成することができる。
上記のように、第一実施形態のニット製品の作製方法では、公知の横編機を利用し、熱収縮率の相違する複数種類の糸材を使用して、熱収縮率の相違する二種類の編成領域部21、22が編立方向に交互に形成された長方形の二枚の編成体構成地10A、10Bからなる袋状の基本編成体10をガーター編みにより作製し、編成体構成地10A、10Bを互いに重ね合わせるとともに互いの隣接する三辺同士を縫合して袋状とした後、その袋状の基本編成体10を開口部13から裏返すようにして形態変化させて平板状編成体40を形成する。
そして、布地80にその他の編成体やボタンなどを付加することにより図8及び図9に例示する完成品としてのニット製品50を作製することができる。
図3には、第二実施形態のニット製品の作製方法のフローチャートが示されている。
図3に示すように、第二実施形態のニット製品の作製方法は、編立ステップS1、形態変化ステップS3、加熱展開ステップS4及び製品形成ステップS5を有する。第一実施の形態との相違点は縫合ステップS2が存在しない点である。
編立ステップS1は、熱収縮率の相違する複数種類の糸材を使用してガーター編みにより筒状の基本編成体の編立を行うステップである。使用する複数種類の糸材の材質として、ウール、ナイロン、レーヨンナイロン、ポリエステル等を挙げることができる。本実施の形態にあっても、第一の実施の形態と同様に、糸材としては「Fujix(king) Polyester woollie S(ソフト)」が使用されている点は第一実施の形態と同様である。
即ち、本実施の形態にあっても前記第一の実施の形態と同様に、この横編機はコンピュータ制御により、無縫製で筒型に編まれた編成体、いわゆるホールガーメント(登録商標)を自動的に作製できるように構成されており、所定の記憶装置には予め作製された編成データが記憶されている。このような横編機としては、例えば、株式会社島精機製作所製の横編機「SES183SW12」を使用することができる。
筒状の基本編成体60は、横編機の適宜の編成操作により、下縁部60cは側面部62と一体に編成されていると共に上端部は開口されて開口部61が形成され、全体として筒状の基本編成体60は下端部が閉じられ上端部が開口された円筒状に形成されている。
その結果、本実施の形態に係る筒状の基本編成体60にあっては、下縁部60c側が熱収縮率が大きく上端部側が熱収縮率が小さくなるように構成されている。
形態変化ステップS3は、編立ステップS1により作製した筒状の基本編成体60を形態変化させることにより、図5に例示するような、平板状編成体70を作製するステップである。
この形態変化に関しては、筒状の基本編成体60の編成に用いられたガーター編みの編み特性と繊維の可塑性との相乗効果により一枚の平板状編成体70に形態変化させることが可能となるものである。
加熱展開ステップS4は、平板状編成体70を加熱して面方向に展開させるステップである。図5中の矢印Cは、平板状編成体70を展開させる方向を示している。加熱展開ステップS4において繊維は加熱されることにより繊維の有する熱可塑性により繊維は伸長し、平板状編成体70は矢印C方向に伸展する。
筒状の基本編成体60を加熱する方法として、アイロン本体の掛け面より噴出するスチームのみを用いる非加圧加熱と、アイロン本体の掛け面による加熱及び加圧とスチームによる加熱とを併用する加熱加圧とが適宜用いられる。非加圧加熱も加熱加圧もともに、平板状編成体70の上方から行われる。
製品形成ステップS5は、加熱展開ステップS4により展開させた平板状編成体70を、図8及び図9に例示するようなニット製品50を形成する布地80に変化させるステップである。
そして、布地80にその他の編成体やボタンなどを付加することにより図8及び図9に例示する完成品としてのニット製品50を作製することができる。
本実施形態のニット製品の作製方法にあっては、編立ステップS1において、コンピュータ制御による横編機を使用して様々なデザインの筒状の基本編成体60の編立を効率良く行うことができる。
その後、筒状の基本編成体60を形態変化させて平板状編成体70とした後、その平板状編成体70を厚さ方向において上下方向に引張することにより展開させて円筒状のニット製の布地80を作製し、このニット製の布地を適宜、製品に加工形成することにより、デザイン性に富む斬新で、コンセプチュアルなニット製品50を容易かつ迅速に製造することができる。
また、上記筒状の基本編成体60は、例えば、横編機により作製されるセーター等の胴部分を切断して利用することもできる。
10A 編成体構成地
10B 編成体構成地
11a 短辺部
11b 短辺部
12a 長辺部
12b 長辺部
13 開口部
14 周縁部
21 編成領域部(熱収縮率大)
22 編成領域部(熱収縮率小)
31 糸材(表目)
32 糸材(裏目)
40 平板状編成体
50 ニット製品
60 筒状の基本編成体
60a 内側面部
60b 外側面部
60c 下縁部
61 開口部
62 側面部
70 平板状編成体
71 周縁部
80 布地
A 編み方向
B 編立方向
C 展開方向
S1 編立ステップ
S2 縫合ステップ
S3 形態変化ステップ
S4 加熱展開ステップ
S5 製品形成ステップ
X 本体形成部
Y 半円部
Z 着用者
Claims (6)
- 熱収縮率の相違する複数種類の糸材を使用してガーター編みにより熱収縮率の相違する二種類の編成領域部が編立方向に交互に形成された開口部を有する袋状又は筒状の基本編成体の編立を行う編立ステップと、
前記袋状又は筒状の基本編成体を開放して平板状に形態変化させて厚さ方向に重なる複数段の編み組織からなる平板状編成体を得る形態変化ステップと、
前記平板状編成体を加熱させて面方向に展開させる加熱展開ステップと、
前記平板状編成体を厚さ方向に展開させて前記編み組織が上下方向に連続する布地を作製する製品形成ステップとを有することを特徴とするニット製品の作製方法。 - 前記平板状編成体は、平面に載置した状態での平面視形状がオーバルであることを特徴とする、請求項1記載のニット製品の作製方法。
- 前記編立ステップにおいて、前記二種類の編成領域部のうち熱収縮率が小さい方の編成領域部を構成する編成組織の段数が、前記編立方向における下流側になるほど多くなるように前記筒状の基本編成体の編立を行い、
前記形態変化ステップにおいて、前記筒状の基本編成体の前記編立方向における、より上流側の部分が前記平板状編成体のより内側の部分になるように前記筒状の基本編成体を塑性変形させることを特徴とする、請求項2記載のニット製品の作製方法。 - 前記編立ステップにおいて、前記二種類の編成領域部のうち熱収縮率が大きい方の編成領域部を構成する編成組織の段数が、前記編立方向における上流側になるほど多くなるように前記袋状の基本編成体の編立を行い、
前記形態変化ステップにおいて、前記袋状の基本編成体の前記編立方向におけるより上流側の部分が前記平板状編成体のより外側の部分になるように前記袋状の基本編成体を塑性変形させることを特徴とする、請求項2記載のニット製品の作製方法。 - 前記編立ステップにおいて、二種類の糸材の一方を表目、他方を裏目にして、表目と裏目とを予め設定した段数毎に切り替えつつガーター編みを行うことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のニット製品の作製方法。
- 前記編立ステップは、横編機を使用して前記筒状の基本編成体の編立を行うステップであり、
前記横編機は、予め作製された編成データに基づいて前記段数を制御することを特徴とする請求項3に記載のニット製品の作製方法。
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