JP7189894B2 - 暗色又は黒色の投影スクリーン - Google Patents

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Description

本発明は、反射で動作する前方投影スクリーンとして使用することができる黒色又は暗色の物品に関する。本発明はまた、当該物品を使用する前方投影システム及び前方投影方法にも関する。
前方投影スクリーンは、スクリーンの面で映像を見ることを可能にする。映像は、スクリーンの当該面に向き合って位置する投映機、あるいはより一般的には光源により出力される。前方投影の場合、後方投影とは対照的に、光源から発する映像が投影される面は、光源と同じ空間領域に位置する。
物品が前方投影スクリーンとして使用できるためには、それが光を拡散反射することが必要である。通常、物品による反射は、所定の入射角で入射した放射線が物品によって複数の方向に反射される場合に、拡散すると言われる。対照的に、物品による反射は、所定の入射角で入射した放射線が物品によって入射角と等しい反射角で反射される場合に、正反射であると言われる。同じように、物品を通り抜ける透過は、所定の入射角で入射した放射線が入射角と等しい透過角で物品を透過する場合に、正透過であると言われる。
現時点で、黒色又は暗色の前方投影スクリーンには多くの需要がある。黒色又は暗色媒体は、ほとんど光を反射しないため、一般に貧弱な前方投影スクリーンを形成する。前方投影された映像の強度は低い。黒色媒体上に投影された映像の白色の輝度は、十分なコントラストを得るのには低すぎる。
黒色及び白色の輝度の測定は、前方投影スクリーンとして使用される物品の品質を評価することを可能にする。輝度は、面上にそれと直角な方向に垂直に投影された単位面積当たりの光度(これはcd/cmで表される)に対応する。このパラメーターは、表面による光の反射又は放射に起因する明るさの視感度に相当する。
本願においては、輝度の値は、Konica-Minolta(登録商標) LS-110輝度計で測定される。投影映像は、Canon(登録商標) XEED SX80ビデオプロジェクター(明るさ3000ルーメン、コントラスト900:1)で作られる。構成機器の配置は次のとおりである。ビデオプロジェクターは、スクリーンとして使用する物品に面してそれから1.5mのところに位置する。投影方向は、スクリーンに対して垂直である。観測者、輝度計、及び任意選択的にカメラは、物品から2mのところに位置する。
スクリーンとして使用する特定の物品は、プロジェクターと第1の散乱性要素との間に位置する第1の平らな面を含むことができる。この平らな面は、正反射を生じさせることができる。本願との関連で言えば、輝度を測定する場合、目標とする用途に関係しない正反射は、意図的に除外される。したがって、輝度を正反射の方向と一致する方向で測定しなければならない場合、正反射の方向に対し角度を3°ずらせて輝度の測定を行い、それによりこの正反射を除外するようにする。
正反射の方向は、投影方向とスクリーンに対する垂線とにより規定される。上述の配置において、投影方向は、スクリーンに対する垂線と一致する。したがって、正反射の方向も、スクリーンに対して垂直である。
別段の記載がない限り、輝度の測定は、正反射を除外するために、350ルクスに照明される環境でスクリーンの垂線に対応する正反射の方向に対して3°の角度で行われる。
例えばPlanilaque(登録商標)、Decolaque(登録商標)又はFeeling(登録商標)の商標名でサン-ゴバン社により販売されている、ラッカー処理した装飾ガラスが知られている。これらのグレージングは、ラッカーに対応する不透明塗料が背面に塗布されたガラス基材からなる。本発明によれば、「ラッカー」という用語は、着色した、黒色の、又は白色の、不透明な塗料を意味するものと理解される。この種の黒色ラッカーを塗布したガラスは、詳しく言えば、350ルクスに照明された環境において前面での正反射の方向に対して3°の角度で測定して、5cd/cm未満の黒色輝度、及び30cd/cm未満、特に約20cd/cmの白色輝度を有する。
ラッカーを塗布した暗色のガラスは、前方投影スクリーンとして使用する場合には不満足である。上述の理由から、ラッカーを塗布したこれらの暗色ガラスの光学的特性は、映像の投影には適合しない。
その上、ラッカーを塗布したこれらの暗色ガラス、及び特にラッカーを塗布した黒色基材には、指跡及び汚れをとてもよく目に見えるようにするという欠点がある。
国際公開第2012/104547号及び国際公開第2013/175129号には、前方投影スクリーンとして使用される、正透過且つ拡散反射する層状要素を含む透明グレージングが開示されている。正透過且つ拡散反射する層状要素は、当該要素に入射する放射線を正透過させ且つ拡散反射させる要素である。これらの特許出願が的を絞る目的は、透明度を維持し、それによりグレージングを通してはっきりと見えるのを保証することである。この種のグレージングは、350ルクスに照明される環境で正反射の方向に対して3°の角度で測定して、5cd/cmと17cd/cmの間の黒色輝度、及び300cd/cmと2300cd/cmの間の白色輝度を有する。
品質の良好な映像を良好な明るさ且つ良好なコントラストで投影するのを可能にする黒色又は暗色の物品を開発することが、必要とされている。
本発明は、第1の散乱性要素及び第2の散乱性要素と称する、平行なシート又は面の形をした、拡散反射する2つの別個の散乱性要素を含む、前方投影スクリーンとして使用される物品であって、
・第1の散乱性要素が半透明であるか又は透明であり、且つ
・第2の散乱性要素が暗色である、
ことを特徴とする、物品に関する。
本発明によれば、シート又は面の形をした散乱性要素は、端面によって切り離された2つの主面を含む要素である。「散乱性要素」という用語は、基材を包含するが、フィルム及び層も、自立しておらずに支持基材を必要とする非常に薄いフィルム及び層さえも包含する。
本発明によれば、シート又は面の形をした散乱性要素は、不浸透性又は密封性であり、すなわちそれらは流体の浸透、及び特に空気の浸透を防止する。
一つの好ましい実施形態によれば、第1の散乱性要素は、構造化した表面を含む。この実施形態では、散乱を引き起こすのがこの表面構造である。したがって、粗面が散乱面に相当する。この場合、散乱性要素は面の形を取る。
本発明によれば、「半透明」の要素は、光を拡散透過させる要素であり、「透明」な要素は、光を正透過させる要素である。第1の散乱性要素は、30%より高い、あるいは更には50%より高い光透過率と、4%より高い光反射率を有する。
本発明によれば、「拡散反射性散乱性要素」という表現は、光をあらゆる方向に反射する要素を意味するものと理解される。反射があらゆる方向でほとんど一様である場合に、反射は均一であると見なされる。理想的な場合には、ランバート反射のことを言う。光が、反射率がより大きい優勢な方向を伴ってあらゆる方向に散乱される場合、反射は非ランバート又は不均一であると見なされる。
様々な観測角での黒色及び白色輝度の測定が、表面による散乱が均一であるかそれとも不均一であるかを評価するのを可能にする。
本発明によれば、スクリーンの垂線に対して0°と60°の間で測定した観測角の関数として正規化した利得の、絶対値での最大の偏差が0.15より小さく、あるいは更には0.10より小さく、好ましくは0.05より小さい場合に、拡散反射又は拡散散乱は均一であると見なされる。
本発明によれば、スクリーンの垂線に対して0°と60°の間で測定した観測角の関数として正規化した利得の最大の偏差が次の場合に、拡散反射又は拡散散乱は不均一であると見なされる。
・絶対値で、0.2より大きく、あるいは更には0.5より大きく、更には1より大きく、あるいは更には5より大きい、及び
・百分率で、30%より大きく、あるいは更には50%より大きく、好ましくは80%より大きく、あるいは更には90%より大きい。
正規化した利得は、次のようにして求められ:
G=(Lbx-Lnx)/(Lbrefx-Lnrefx
ここでは、
Lbx: 白色輝度、
Lnx: 黒色輝度、
Lbrefx: 基準ランバート拡散体の白色輝度、
Lnrefx: 基準ランバート拡散体の黒色輝度、
である。
これらの輝度の値は全て、スクリーンの垂線に対してx°に相当する同じ観測角で測定される。
理想的又はランバート拡散体は、その表面のいずれの箇所でも完全に反射性であり、どんな観測角でも一定の利得を有する。
正規化した利得の最大の偏差は、次のようにして求められ:
・絶対値では、ΔG=|Gmax-Gmin
・百分率では、ΔG=|Gmax-Gmin|/Gmax×100
ここでは、
Gmax: スクリーンの垂線に対して0°と60°の間で測定した最大の正規化利得、
Gmin: スクリーンの垂線に対して0°と60°の間での最小の正規化利得、
である。
好ましくは、第1の散乱性要素は、不均一な拡散反射率を有し、すなわちそれは放射線をあらゆる方向に均一に反射しない。第2の散乱性要素は、均一な拡散反射率を有し、すなわちそれは放射線をあらゆる方向に均一に反射する。
本物品を前方投影スクリーンとして使用する場合には、第1の散乱性要素の側から映像を投影する。したがって、映像は、第1の散乱性要素の反射性「表面」に生じる。
第1の散乱性要素が不均一な拡散反射率を有する場合には、それを取り入れている物品も、第1の散乱性要素の側で測定して不均一な拡散反射率を有する。
有利には、物品は、第1の散乱性要素の側でスクリーンの垂線に対して0°と60°の間で測定して、
・絶対値で、0.2より大きく、あるいは更には0.5より大きく、更には1より大きく、あるいは更には5より大きく、
・百分率で、30%より大きく、あるいは更には50%より大きく、好ましくは80%より大きく、あるいは更には90%より大きい、
観測角の関数として正規化した利得の最大の偏差を有する。
これは、輝度の値が、特に白色輝度の値が、観測角に依存して変動することを意味している。これはまた、拡散反射率が最大になる方向があるということも意味している。この方向は、優勢な散乱方向と称される。
特定の実施形態によれば、物品は、投映機と第1の散乱性要素との間に位置する第1の平面的な面を含むことができる。この平面的な面は、正反射を生じさせることができる。優勢な散乱方向を求めるためには、この正反射を除外しなければならない。優勢な散乱方向が正反射の方向と一致する場合には、輝度の測定は、この正反射を除外するために、3°の角度偏差で行われる。
優勢な散乱方向は、正反射を除外する輝度測定によっても求めることができる。
優勢な散乱方向は、BRDF(双方向反射率分布関数)の測定から得られる拡散反射率プロファイルによって有利に求めることもできる。この測定は、正反射と拡散反射を分離することを可能にする。BRDFは、表面に照射したときに表面により散乱される光の強度特性を調べるのを可能にする。BRDFは、散乱された光の量を、観測方向、光の入射角、波長及び偏光の関数として与える。
第1の散乱性要素の側で測定した物品の拡散反射率は、正反射の方向で最大となり得る。この場合、スクリーンとして用いられるときの物品は、大きな角度でよりも小さな角度でより多くの光を反射する。
第1の散乱性要素の拡散光反射率又は第1の散乱性要素の側で測定した物品の拡散光反射率は、正反射の方向とは別個の方向に少なくとも1つの最大値を有することもある。この場合、散乱が最大の角度は、正散乱の角度と異なる。
正散乱の方向を除き、優勢な散乱方向における輝度の値は、以下の基準に従って測定される:
・優勢な散乱方向と正反射の方向とが一致しない場合は、優勢な散乱方向における測定、又は
・優勢な散乱方向と正反射の方向とが一致する場合は、3°だけ補正した優勢な散乱方向における測定。
光透過率TL、光反射率RL、輝度、及び座標L、a、bなどの光学的特性を物品について「第1の要素の側で」測定する場合、これは、最初に第1の散乱性要素に当たりその後第2の散乱性要素に当たるように物品を通過する垂直入射(別の指示がない限り)の放射線で行われる。第1の散乱性要素の側は、第1の散乱性要素によって第2の散乱性要素から切り離された物品の面に相当する。
黒色又は暗色の散乱性要素と半透明又は透明な散乱性要素との相乗的な相互作用が、物品のために黒色又は暗色の外観を保ちながら、明るさが優れ且つコントラストが優れた前方投影映像を得るのを可能にする。
本発明の解決策は、特に、高い白色輝度値、とりわけ100cd/mより高く、更には1000cd/mよりも高い値、及び30cd/mより低い黒色輝度値を得るのを可能にし、これらの値は、正散乱方向を除き、優勢な散乱方向で測定される。白色輝度値は、詳しく言えば、白色ラッカーで着色したガラス基材で得られるものと同じくらい高い。黒色輝度値は、極めて低いままである。したがって、本発明による物品には、黒色ラッカーで着色したガラスの低い白色輝度の欠点なしに、黒色輝度が低いという有利な特性がある。
本発明は、前方投影スクリーンとして使用することができて、且つ、
・投影映像の申し分のない鑑賞を可能にするのに十分高い白色輝度、
・解像度の良好な投影映像、
・色の非常に良好なレンダリング、
を実現する物品を提供する。
本発明による物品の別の注目に値する利点は、指跡や汚れの可視性の低減に関する。意外にも、物品は黒色又は暗色であるとは言え、特にそれが照射された場合に、傷や汚れの可視性、例えば指跡などの可視性が、実質的に低下する。半透明又は透明な第1の散乱性要素と黒色又は暗色の第2の散乱性要素とを含む本発明による物品を、黒色又は暗色の散乱性要素を含むだけの物品、例えば2つの平滑な主面を含む黒色ラッカーで着色した基材と比較すると、指跡のところで測定したコントラストは、実際に、本発明による物品の方が、黒色ラッカーで着色した基材だけに相当するその他の物品よりも低い。
本発明による物品はまた、乾式消去ボード、例えばブラックボードなどとして使用するために必要とされる全ての特徴も有する。
第1の散乱性要素の側から観測される物品の暗色は、第1の散乱性要素を通して見られる第2の散乱性要素の暗色の認識結果に相当する。
暗色の第2の散乱性要素は、好ましさの増す順に、30cd/mより低い、好ましくは20cd/mより低い、又は10cd/mより低い、黒色輝度を有する。
第2の散乱性要素は、均一な反射面を有する。正規化された利得は、観測の角度に応じて変動しない。
それにひきかえ、第1の散乱性要素が好ましいことに不均一な反射率を有する限り、第1の散乱性要素側で測定した物品の輝度値は、観測の角度に応じて同じにならない。
物品は、第1の散乱性要素側で、正散乱を除外し、優勢な散乱方向で350ルクスに照明された環境で測定して、好ましさの増す順に、30cd/mより低い、20cd/mより低い、10cd/mより低い、又は8cd/mより低い、黒色輝度を有する。
物品は、第1の散乱性要素側で、正散乱を除外し、優勢な散乱方向で350ルクスに照明された環境で測定して、好ましさの増す順に、50cd/mより高い、60cd/mより高い、80cd/mより高い、100cd/mより高い、200cd/mより高い、500cd/mより高い、又は1000cd/mより高い、白色輝度を有する。
コントラストは、黒色輝度に対する白色輝度の比に相当する。輝度値は、潜在的に正反射を除外するために、優勢散乱方向±3°で、先に説明したように測定される。
好ましくは、本発明による物品は、好ましさの増す順に、30より大きい、50より大きい、60より大きい、80より大きい、100より大きい、又は200より大きい、コントラストを有する。
色も、CIE-1931の参照オブザーバーで光源D65のもとで計算された色座標L、a及びbによって評価することができる。成分Lは、黒についての値0から白についての値100までの範囲の、明度を規定する。本発明によれば、「黒色」又は「暗色」が意味するのは、反射で測定したL値が50より小さいような明度を有する要素である。
暗色の第2の散乱性要素は、反射で測定したL値が、好ましさの増す順に、50より小さい、40より小さい、35より小さい、又は30より小さいような明度を有する。
物品は、第1の散乱性要素の側の反射で測定したL値が、好ましさの増す順に、60より小さい、50より小さい、45より小さい、40より小さい、35より小さい、又は30より小さいような明度を有する。
第1の散乱性要素の拡散反射率が不均一な実施形態によれば、優先的な散乱角を調節することが可能である。例えば、散乱性要素が構造化された面を有する要素である場合、構造化された面の表面構造の傾斜の分布を変更することによって優先散乱角を規定することが可能である。この実施形態によれば、拡散反射は、正反射の方向とは別個でよい少なくとも1つの優先的方向を中心とする複数の反射方向により規定される。したがって、観測者にとっての最良の観測角、すなわち観測者が最大の明るさを有する投影映像を観測するのを可能にする観測角は、正反射の方向とは別である。したがって、正反射に起因するぎらつきのリスクが減少し、あるいは回避される。有利なことに、視角が小さい状況において、散乱性要素により拡散反射された放射線を、散乱性要素の構造化した面の適切な表面構造を選択することによって集中させることが可能である。
したがって、本発明は、多数の既存の前方投影の場面との相性がよい、調節可能な視角を有する前方投影スクリーンとして使用可能な物品も提供する。
本発明による物品は、20°~180°の範囲にわたる視角を有することができる。本発明によれば、視覚は、コントラストが4.5未満となる観測角の2倍に相当する。
好ましくは、第2の散乱性要素は、散乱性コーティングである。この散乱性コーティングは、黒色又は暗色である。散乱性コーティングは、追加の基材上に付着させることができる。追加の基材及び第1の散乱性要素は、プラスチック材料製のシートを使用する積層処理によりしっかりと固定される。
一部の有利な実施形態では、黒色又は暗色の散乱性コーティングは、吸収性及び/又は不透明である。第1の散乱性要素を通して伝送された光線は、主として、黒色又は暗色の散乱性コーティングにより吸収することができる。したがって、ゴースト映像が原因の問題が、これらのゴースト映像の形成を防ぎ又は弱めることにより、大幅に回避される。この不透明コーティングは、投影映像のより良好な鮮明度を得ることに関与する。
第1及び第2の散乱性要素は、互いに接触して、好ましくは直接接触して位置する。本発明によれば、「接触して」という用語は、2つの要素が空気又はガスの層によって互いに切り離されていないことを意味する。その一方、「接触して」は、2つの要素が互いに直接接触することを意味しない。
本発明による物品は、好ましさの増す順に、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、1%未満、又は0%の光透過率を有する。
本発明による物品は、好ましさの増す順に、第1の散乱性要素側で測定して、1%より大きい、4%より大きい、5%より大きい、10%より大きい、20%より大きい、又は30%より大きい光反射率を有する。
本発明による物品は、第1の散乱性要素側から観測したときに、黒色又は暗色に見える。半透明又は透明な第1の散乱性要素の存在が、黒色又は暗色の第2の散乱性要素を透視することを可能にする。しかし、物品の外観は、黒色又は暗色の第2の散乱性要素の外観に正確には対応しない。第1の散乱性要素の存在は、黒色又は暗色の第2の散乱性要素の外観を部分的に変更する。それは特に、観測の角度に応じて多かれ少なかれ目につく金属調の外観又は金属調の効果をそれに与える。このような金属調の効果は、美観上の理由から求められるものである。したがって、本発明による物品は、金属調の効果を有利に有する。
第1の散乱性要素は、構造化された面を少なくとも1つ含む。この第1の散乱性要素は、表面を構造化した基材、又は正透過性且つ拡散反射性の透明な層状要素から選ぶことができる。これらのケースのおのおのにおいて、拡散反射の起源となるのが構造化された面である。
表面を構造化した基材は、構造化した面に付着した反射性の層を含むことができる。この反射性層は、構造化した面にコンフォーマル式に付着させてもよく、あるいは表面構造のプロファイルが、特に傾斜の分布が、下記で明らかにされるようにそのまま残るようにして付着させてもよい。反射性層は、下記で明らかにされる中心層に正確に一致することができ、そして特に単一の層又は積層体を含むことができる。
正透過性且つ拡散反射性の透明な層状要素は、
・実質的に同じ屈折率(n2、n4)を有し且つおのおのが平滑な外側主面(2A、4A)を有する2つの透明な外側層(2、4)、及び
・外側層(2、4)の中間にある中心層(3)であって、屈折率(n3)が外側層のそれとは異なる少なくとも1つの透明層を含む、又は金属層を含む中心層(3)、
を含み、層状要素(1)のうちの、一方が金属層である2つの隣り合った層の間の、又は屈折率が異なる2つの透明層である2つの隣り合った層の間の全ての接触面(S、S、……、S)は、構造化されていて且つ互いに平行である。
層状要素の外側層は、構造化された面を少なくとも1つ含むポリマー、ガラス又はセラミックから選ばれる、表面を構造化した基材により形成することができる。
層状要素の中心層は、単一の層又は積層体を陰極スパッタリングで堆積することにより得ることができる。
本書の以下において、散乱性要素の構造化した面の表面構造の傾斜に言及する。それは、詳しく言えば、表面を構造化した基材の構造化した面の表面構造の傾斜であることができ、あるいは、一方が透明な、特に誘電性の、層であり、他方が金属層である2つの隣り合った層の間に位置する、又は屈折率が異なる2つの透明な、特に誘電性の、層である2つの隣り合った層の間に位置する層状要素の、構造化した各接触面の傾斜であることができる。層状要素の構造化した全ての接触面が互いに平行である限り、これらの構造化した全ての接触面に通用する単一の構造化プロファイル及び単一の傾斜分布が存在する。
散乱性要素の拡散-反射特性は、構造化した面の構造プロファイルに依存する。反射における物品の拡散インディカトリックスの様相は、表面構造の性質、特に傾斜分布に依存する。反射における拡散のこのインディカトリックスの形状を変更することにより、
・正反射と完全に拡散性の又は「理想的な」反射の間の、光を狭く又は広く分散させることができる中間的状態を得ること、
・正反射の方向と区別することができる少なくとも1つの優先方向を中心とする拡散反射を得ること、
が可能である。
本発明の1つの実施形態によれば、表面を構造化した基材の構造化した面の表面構造、又は一方が透明な、特に誘電性の層であり、他方が金属層である2つの隣り合った層の間の各接触面の表面構造、又は屈折率が異なる2つの透明な、特に誘電性の層である2つの隣り合った層の間の各接触面の表面構造は、接触面の全般的平面に関してくぼんだ又は突出した複数の表面構造により形成される。
傾斜分布が下記で説明する特性を有する構造化した面を含む散乱性要素は、直接の投影でもって映像を形成するのに十分な後方散乱をする。これらの散乱性要素は、
・正反射の方向における多かれ少なかれ強い最大の拡散反射を生じさせること、
・正反射の方向とは区別される方向における最大の拡散反射を生じさせること、
ができる。
構造化した表面の、特に表面を構造化した基材又は各接触面の、構造化した面のプロファイルにおける根平均二乗傾斜Rdqは、0.2°よりも厳密に大きい。好ましくは、構造化した面のプロファイルの根平均二乗傾斜Rdqは、好ましさの増す順に、0.5°と40°の間、1.0°と30°の間、2°と20°の間、又は2°と10°の間に含まれる。好ましくは、平滑な面の根平均二乗傾斜Rdqは、0.2°より小さい。本願との関連で言えば、根平均二乗傾斜Rdqは、標準規格ISO 4287で定義されるようなものであって、STIL社から提供されるMICROMESURE 2側面計を使って、1μm×1μmのサンプリングピッチで1mm×1mmの領域で測定される。
粗さの測定は、STIL社から提供されるMICROMESURE 2側面計を使って、次の条件下で行うことができる。測定ヘッドは、開口数0.42、最大測定角25°、Z方向分解能0.04μm、方位分解能4.5μmの特性を有する「拡大鏡」を備えたクロマチックレンズからなる。カットオフ長さが19μmのローパスガウシアンフィルター(これは微小粗さをフィルタリングする)とカットオフ長さが1mmのハイパスガウシアンフィルター(これはうねりをフィルタリングする)を用いて、根平均二乗傾斜Rdqである粗さパラメーターを得る。
更に、表面構造の選択が、物品の外観又は視覚による認識結果、特にその色、その色の純度、及び金属調効果の存在を変更することを可能にする。表面構造の選択も、視角に応じて異なる外観を得ることを可能にする。
例えば、本発明による2つの物品は、第1の散乱性要素の選択だけで相違する。第1の物品は、拡散反射率がほとんど均一な第1の散乱性要素を含み、第2の物品は、拡散反射率が不均一で0°を中心とする最大値のある第1の散乱性要素を含む。これら2つの物品は、不均一に散乱する同じ黒色不透明の第2の散乱性要素を含む。そちらを向いて見ると、第1の物品は第2の物品よりも暗く見える。第1の物品の色は、どんな視角でも均一に見える。その一方、大きな観測角での第2の物品の色は、垂直でよりも暗く見え、且つ第1の物品よりも暗く見える。
観測される映像の明るさは、表面構造とは関係なく、中心層の性質に依存し、あるいは可能性として反射層の性質に依存する。材料及び厚さの選択を変更することによって、その光学的特性、特にその反射特性を適合させることが可能である。
第2の散乱性要素は、黒色又は暗色の散乱性コーティングであることができ、特に、無機又は有機塗料及びエナメルから選択される不透明で吸収性のコーティングであることができる。
塗料は、主に、
・有機樹脂又は無機結合剤、及び
・有機又は無機の色素、
の混合物を含む。
エナメルは、ガラスフリット、無機の色素、及び加熱されると消失する樹脂から得られる。
本発明による黒色又は暗色の散乱性コーティングは、そのようなコーティングで被覆された基材の光透過率が1%未満となるのに十分な厚さを有する。
一例として、黒色又は暗色の散乱性コーティングは、10μmより大きい厚さ、あるいは10μmと500μmの間、更には20μmと100μmの間に含まれる厚さを有することができる。
本発明によれば、黒色又は暗色の散乱性コーティングは、反射で測定したL値が、好ましさの増す順に、60未満、50未満、40未満、35未満、又は30未満であるような明度を有する。
TL、RL、L、a及びbなどの光学的特性が散乱性コーティングだけで測定される場合、これらの測定は、散乱性コーティングの見ようとする面の側において垂線入射の放射線で行われる。したがって、この面は、層状要素を物品に配置したならばそれを通して目に見える面に相当する。
第2の実施形態によれば、第1の散乱性要素は層状の要素であり、第2の散乱性要素は散乱性コーティングである。層状の要素及び散乱性コーティングは、既知の任意の手段で備え付けることができる。
散乱性コーティングは、層状要素の平滑な外側主面のうちの一方に直接付着させることができる。
散乱性コーティングは、追加の基材上に付着させてもよく、追加の基材と第1の散乱性要素は、プラスチック材料製のシートを使用する積層処理によりしっかりと固定される。この場合、散乱性コーティングは、追加基材の、
・透明な層状要素から一番遠い面、又は
・透明な層状要素に一番近い面、
に付着される。
有利には、プラスチック材料製のシートは、層状要素の外側層であることができる。
黒色又は暗色の散乱性コーティングを含む基材が散乱性コーティングの側に積層されている場合には、散乱性コーティングによる入射光の一部の反射によりゴースト映像が見えるリスクが、特にスクリーンを大きな角度(グレージング角)で観測する場合に、低下する。
しかし、この実施形態では、層状要素と散乱性コーティングとの密着性を向上させることが有利であろう。このためには、
・EVA製のプラスチック材料で製作したシートを使用すること、及び/又は
・黒色又は暗色の散乱性コーティングに無色の結合層(密着性プライマー)を適用すること、
が可能である。
本発明による物品は、以下のものをこの順に含む:
・下記のものを含む層状要素を含む第1の散乱性要素、
・表面を構造化した透明基材、好ましくは粗いガラスで製作された基材から選択された外側層、
・陰極スパッタリングで付着させた中心層、
・熱成形可能な又は感圧接着性のプラスチック材料で製作されたシートから選択された外側層、
・追加の基材上に付着させた散乱性コーティングを含む第2の散乱性要素。
層状要素は、積層した表面構造化フィルムであってもよい。この表面構造化フィルムは、構造化した面にマグネトロンスパッタリングにより付着させた層を含む。この場合、本発明による物品は、以下のものをこの順に含む:
・積層した表面構造化フィルムを含む第1の散乱性要素、
・散乱性コーティング、任意選択的に追加基材上に付着させた散乱性コーティングを含む、第2の散乱性要素。
本発明のもう一つの対象は、反射で動作する前方投影スクリーンとして用いられる物品である。この場合、物品は、黒色面であり、映像が投影される前面を含む。第2の散乱性要素は、少なくとも第1の散乱性要素によって、この前面から切り離される。
反射で動作する前方投影スクリーンとは、観客と投映機が物品の同じ側に位置することを意味する。
本発明のもう一つの対象は、前方投影スクリーンとして用いられる本発明による物品と投映機とを含む前方投影システムであり、映像が投影される前面と背面とを含むこの物品は、第2の散乱性要素が少なくとも第1の散乱性要素によって前面から切り離されていることを特徴とする。
本発明のもう一つの対象は、反射で動作する前方投影スクリーンと投映機とを用意する、反射による前方投影方法であって、この方法は、投映機により前方投影スクリーン上に映像を投影し、前方投影スクリーンが本発明による物品を含んでいるものである方法である。
特に別段の記載がない限り、「付着した(付着された)」という表現は、2つの要素、層、コーティング及び/又はシステムが互いに接して配置されていることを必ずしも意味しない。
本発明による黒色又は暗色の物品は、会議室又は教室で前方投影スクリーンとして使用するのに最もよく適している。この物品は、調理台で使用することもできる。
いずれにせよ、投影スクリーンの機能性とブラックボードの機能性とを組み合わせることが容易である。具体的に言えば、適当なマーカーを用いて、特にホワイトボードマーカー又は容易に除去できるリキッドチョークをベースとしたマーカーを用いて、任意のガラス基材上へと全く同様に、物品上に書きつけることが可能である。
以下で、層状要素をより詳細に説明する。
誘電性の層又は材料とは、導電率が低く、100S/m未満の、層又は材料を意味する。
誘電性の層又は材料は、非金属である層又は材料である。誘電性材料は、無機性のものでも有機性のものでもよい。無機の誘電性層又は材料は、1種以上の遷移金属、非金属又はアルカリ土類金属の酸化物、窒化物又はハロゲン化物から選択することができる。遷移金属、非金属又はアルカリ土類金属は、好ましくは、ケイ素、チタン、スズ、亜鉛、インジウム、アルミニウム、モリブデン、ニオブ、ジルコニウム及びマグネシウムから選ばれる。有機の誘電性層又は材料は、ポリマーから選ばれる。
層状要素の各外側層は、外側層の種々の構成層が、透明な、特に誘電性の、全てが実質的に同じ屈折率を有する材料で製作されるという条件で、積層体により形成することができる。
層状要素の中心層は、透明な、特に誘電性の、屈折率が外側層のそれとは異なる層又は金属層である、単一の層により形成することができる。異なる実施形態として、層状要素の中心層は、透明な、特に誘電性の、屈折率が外側層のそれとは異なる少なくとも1つの層を含み、又は金属層を含む、積層体により形成してもよい。
層状要素に関しては、
・一方では屈折率の値が重要でない金属層、及び
・他方では外側層の屈折率に対する屈折率の差を考慮に入れることが必要な、透明な、特に誘電性の層、
の間に違いがある。
有利には、層状要素の正透過且つ拡散反射の特性を得るために、一方は透明な、特に誘電性の層であり、他方は金属層である、層状要素の2つの隣り合った層の間の、あるいは屈折率を異にする透明な、特に誘電性の2つの層である、層状要素の2つの隣り合った層の間の、全ての接触面が構造化され、且つ互いに平行である。
層状要素のおのおのの側からの拡散反射は、一方は透明な、特に誘電性の層であり、他方は金属層である、層状要素の2つの隣り合った層の間の、あるいは屈折率を異にする透明な、特に誘電性の2つの層である、層状要素の2つの隣り合った層の間の、各接触面が構造化されていることによるものである。こうして、層状要素のどちらかの側から層状要素へ入射する放射線がそのような接触面に到達すると、それは金属層によって、又は2つの透明層間の屈折率差のために反射され、そして接触面が構造化されているので、反射は拡散する。
層状要素を通過する正透過は、その一部分は、2つの外側層が平滑な外側主面を有し、且つ屈折率が実質的に同じ材料で製作されていることによるものであり、また、一方は透明な、特に誘電性の層であり、他方は金属層である、層状要素の2つの隣り合った層の間の、あるいは屈折率を異にする透明な、特に誘電性の2つの層である、層状要素の2つの隣り合った層の間の、全ての接触面が構造化されており、且つ互いに平行であることによるものである。
「屈折率」という用語は、550nmの波長で測定される光学的屈折率を指す。
本発明との関連で言えば、2つの透明な、特に誘電性の材料は、実質的に同じ屈折率を有し、又は550nmにおけるそれらの屈折率の差の絶対値が0.15以下である場合に、実質的に等しい屈折率を有する。好ましくは、層状要素の2つの外側層を製作する材料間の550nmでの屈折率差の絶対値は、0.05未満であり、より好ましくは0.015未満である。本発明との関連で言えば、2つの透明な、特に誘電性の層は、550nmでのそれらの屈折率の差の絶対値が0.15よりも厳密に大きい場合に、異なる屈折率を有する。
本発明との関連において、次の定義が使用される。
・半透明又は透明な要素は、少なくともその要素の目的とする用途にとって有効な波長範囲の放射線が透過する要素である。一例として、要素が自動車用又は建築用のグレージングとして使用される場合、それは少なくとも可視波長範囲で透明である。
・平滑な面は、表面の凹凸がその表面への入射放射線の波長よりも小さい寸法であり、そのため放射線がこれらの表面の凹凸によってそらされることがないような面である。この場合、入射放射線は、その面を正透過するとともにその面により正反射される。
・構造化した面は、表面特性がその面への入射放射線の波長よりも大きいスケールで変動する面である。この場合、入射放射線は、その面を拡散透過するとともにその面により拡散反射される。
透明な層状要素は、その外側層のうちのどちらか一方の側で層状要素へ入射する放射線の正透過及び拡散反射を得るのを可能にする。透明な層状要素の中心層は、拡散反射を増進し、これは、映像が透明な層状要素のどちらかの側から投影されるのを可能にし、映像が中心層上に形成される。
透明な層状要素の構造化した接触面が平行であることは、自身とは性質の異なる、又は自身とは屈折率の異なる、金属性又は非金属性の層に挟まれた中心層のうちの該又は各層について、層の厚さが隣接層との接触面に対して直角に均一であることを意味する。厚さのこの均一性は、表面構造の全範囲にわたって包括的でよく、あるいは表面構造の一部について局所的であってもよい。詳しく言えば、表面構造に傾斜の変動がある場合、2つの連続した構造化接触面間の厚さは、表面構造の傾斜に依存して、表面構造の部分ごとに変化することができるが、しかしながら構造化接触面は、常にお互いに平行のままである。このケースは、陰極スパッタリングにより、特に磁場に支援される陰極スパッタリング(マグネトロン陰極スパッタリング)により堆積される層で生じる。と言うのは、この場合には、層の厚さが、表面構造の傾斜が増加するにつれて減少するからである。したがって、局所的に、所定の傾斜を有する表面構造の各部分では、層の厚さは一定のままであるが、第1の傾斜を有する表面構造の第1の部分と第1の傾斜とは異なる第2の傾斜を有する表面構造の第2の部分との間には、厚さに違いがある。
有利には、透明な層状要素の内側における構造化接触面を平行にするために、中心層の該又は各構成層は、陰極スパッタリングにより堆積された層である。具体的に言えば、陰極スパッタリング、特に磁場に支援される陰極スパッタリング(マグネトロン陰極スパッタリング)は、層の境界となる面が互いに平行となることを保証し、これは、蒸着又は化学気相成長(CVD)、あるいは更にはゾル-ゲル法などのその他の堆積技術には当てはまらない。層状要素の内側における構造化接触面が平行であることは、要素を通り抜ける正透過を得るのに不可欠である。
本発明の1つの実施形態によれば、透明な層状要素の中心層は、外側層の屈折率とは異なる、高屈折率の誘電性材料、例えばSi、SnO、ZnO、AlN、NbO、NbN、TiOなどで製作された少なくとも1つの薄層、又は外側層の屈折率とは異なる、低屈折率の誘電性材料、例えばSiO、Al、MgF、AlFなどで製作された少なくとも1つの薄層を含む。中心層はまた、少なくとも1つの薄い金属層、特に銀、金、チタン、ニオブ、ケイ素、アルミニウム、ニッケル-クロム(NiCr)合金、ステンレス鋼、又はそれらの合金の薄層を含んでもよい。本発明との関連で言えば、薄層は、厚さが1μm未満の層である。
本発明の1つの実施形態では、透明な層状要素の2つの外側層のうちの一方は、主面を構造化された、軟質又は硬質の基材、特にガラス又は有機ポリマー材料製の基材を含む表面構造化外側層である。
本発明の1つの実施形態では、第1の散乱性要素は、主面を構造化された、軟質又は硬質の基材、特にガラス又は有機ポリマー材料製の基材を含む。
基材の主面のうちの一方には、既知の任意の表面構造化法により、例えば、好ましくはコンピュータで作られる表面構造を基にして、変形させるのが可能である温度まで事前に加熱した基材の表面にエンボス加工を施すことにより、特に基材上に形成しようとする表面構造と相補的な構造を表面に有するローラーを用いる圧延加工により、あるいは更には3D印刷により、表面構造を形成することができる。
無機ガラス製の表面構造化基材により形成される表面構造化外側層又は表面構造化基材の場合、ガラスは、好ましくはソーダ石灰シリカガラスであるが、別の実施形態によれば、それはホウケイ酸塩ガラス、アルミノホウケイ酸塩ガラスなどであってもよい。
有機ポリマー材料製の表面構造化基材により形成される表面構造化外側層又は表面構造化基材の場合、好適な材料の例には、特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)及びポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステルや、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのポリアクリレートや、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミドや、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)及びフッ素化エチレン-プロピレンコポリマー(FEP)などのフルオロポリマーや、チオール-エン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン-アクリレート樹脂、ポリエステル-アクリレート樹脂などの光硬化性及び/又は光重合性樹脂や、ポリチオウレタンが含まれる。これらのポリマーは、一般に、550nmで1.30~1.70にかけての屈折率範囲を有する。しかし、これらのポリマーのうちの一部、特にポリチオウレタンのようなイオウ含有ポリマーは、550nmで可能性として1.74程度の高い屈折率を有することができる、ということに注目することが興味深い。
本発明のもう一つの実施形態では、透明な層状要素の表面構造化基材又は2つの外側層のうちの一方は、主面を構造化されていて且つ軟質又は硬質基材に他方の主面を介して追加された、成形可能層により形成された表面構造化外側層である。それは、特に、熱成形可能な層又は光硬化性及び/又は光重合性材料の層でよい。この場合、成形可能な層の主面の一方を構造化するのに非常に適した一つの方法は、特にエンボス加工である。好ましくは、光硬化性及び/又は光重合性材料は、室温で液体であり、そして光照射を受けそして光硬化及び/又は光重合すると、気泡又はその他のいかなる不整もない透明な個体をもたらす。それは、特に、例えば接着剤、糊又は表面コーティングとして広く用いられるなどの樹脂でよい。これらの樹脂は、一般に、エポキシ、エポキシシラン、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸タイプの、モノマー/コモノマー/プレポリマーをベースとしている。一例として、チオール-エン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン-アクリレート樹脂及びポリエステル-アクリレート樹脂を挙げることができる。樹脂の代わりに、それは、ポリアクリルアミドゲルなどのような光硬化性の水性ゲルであってもよい。
透明な層状要素の2つの外側層のうちの一方が表面構造化外側層である場合には、この層の一方の主面が構造化され、他方の主面は平滑であり、中心層が、有利には次のものにより形成される:
・金属材料で製作されるか又は表面構造化外側層の屈折率と異なる屈折率の透明な、特に誘電性の材料で製作され、表面構造化外側層の構造化した主面にコンフォーマル式に付着された、単一層、
・あるいは、金属材料で製作されるか又は表面構造化外側層の屈折率と異なる屈折率の透明な、特に誘電性の材料で細作され、表面構造化外側層の構造化した主面にコンフォーマル式に連続して付着された、積層体。
本発明によれば、表面構造化外側層の構造化した主面への中心層の付着、又は中心層の構成層の連続した付着は、付着後に、中心層の当該又は各層の表面が構造化され、そして表面構造化外側層の構造化した主面と平行である場合に、コンフォーマル式に行われると見なされる。一つの有利な特徴によれば、表面構造化外側層の構造化した主面への中心層のコンフォーマル付着、又は中心層の構成層の連続したコンフォーマル付着は、陰極スパッタリングにより、特に磁場に支援される陰極スパッタリング(マグネトロン陰極スパッタリング)によりなされる。特に金属層の付着のためには、蒸着技術などのその他のコンフォーマル付着技術も想定できる。
本発明の1つの実施形態によれば、透明な層状要素の他方の外側層、すなわち表面構造化外側層に関して中心層の他方の側に位置する外側層は、表面構造化外側層の屈折率に実質的に等しい屈折率の硬化性材料の層であって、表面構造化外側層の反対側の中心層の構造化した主面に、最初に成形操作のために適した粘性、液体又はペースト状の状態にある間に表面構造化外側層の反対側の中心層の構造化した主面に付着させた硬化性材料の層を含む。
最初に粘性、液体又はペースト状の状態にある付着させた層は、詳しくは、透明な層状要素の表面を平坦化するための層であることができる。別の実施形態として、最初に粘性、液体又はペースト状の状態にある付着させた層は、一方では中心層を備えた表面構造化外側層との、そして他方では対応する基材との、結合を確実にする層であることができる。
最初に粘性、液体又はペースト状の状態にある付着させた層は、光硬化性及び/又は光重合性材料の層であってもよい。好ましくは、この光硬化性及び/又は光重合性材料は、室温で液体であって、光照射を受けそして光硬化及び/又は光重合すると、気泡又はその他のいかなる不整もない透明な個体をもたらす。それは、特に、例えば接着剤、糊又は表面コーティングとして広く用いられるなどの樹脂でよい。これらの樹脂は、一般に、エポキシ、エポキシシラン、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸又はメタクリル酸タイプの、モノマー/コモノマー/プレポリマーをベースとしている。一例として、チオール-エン樹脂、ポリウレタン樹脂、ウレタン-アクリレート樹脂及びポリエステル-アクリレート樹脂を挙げることができる。樹脂の代わりに、それは、ポリアクリルアミドゲルなどのような光硬化性の水性ゲルであってもよい。
別の実施形態として、最初に粘性、液体又はペースト状の状態にある付着させた層は、ゾル-ゲル法により付着させた層でよく、特にシリカベースの混成有機/無機マトリックスを含むゾル-ゲル層でよい。このようなゾル-ゲル層は、その屈折率の値を正確に調整して、それによりそれを表面構造化外側層のそれにできる限り近づけるようにすることが可能であることから、特に有利である。本発明によれば、透明な層状要素の2つの外側層の屈折率差は、それらが製作される誘電性材料の550nmでの屈折率の差の絶対値に相当する。屈折率差が小さくなればなるほど、層状要素の透視がより明瞭になる。詳しく言えば、0.050以下の屈折率差、好ましくは0.030以下、より良好には0.015以下の屈折率差で、透視が優れたものとなる。
本発明の一つの実施形態によれば、透明な層状要素の2つの外側層のうちの少なくとも一方は、ポリマーをベースとする、特に熱成形可能な又は感圧接着性のポリマーをベースとする中間層シートであり、すなわち積層グレージングにおいて中間層として用いられるタイプのシートである。それは、特に、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリ塩化ビニル(PVC)をベースとする少なくとも1つのシートでよい。ポリマーをベースとするこの層は、基材上に、例えば透明又は超透明ガラスの基材上に、追加の層を介して積層することができ又はカレンダロール加工することができる積層中間層の役割を果たすことができる。
本発明の一つの実施形態によれば、透明な層状要素は、軟質のフィルム、特に表面を構造化された積層フィルムであることができる。このような軟質フィルムは、その外側主面の一方の上に、このフィルムの接着結合のために取り除くことを予定する保護ストリップで覆われた接着性層を備えているのが有利である。この場合、軟質フィルムの形をした層状要素は、既存の表面に、例えば透明な物品の表面に。接着結合によって加えることができ、それによりこの表面に拡散反射特性を与えながら、グレージングを通り抜ける正透過の特性を維持することができる。軟質フィルムの形をした透明な層状要素を加える物品は、平面的な又は湾曲したグレージングでよい。
一つの実施形態において、物品は更に、透明な層状要素に接して配置される少なくとも1つの追加層であって、好ましくは次のものから選ばれるものを含む:
・2つの平滑な主面を含む、ポリマー、ガラス又はセラミックから選ばれる透明基材、
・成形操作のために好適な、最初に粘性、液体又はペースト状の状態にある硬化性材料、特にゾル-ゲル層、
・ポリマーベースの中間層シート、特に熱成形可能な又は感圧接着性の中間層シート。
本発明による層状要素は、例えば、酸エッチングしたサテンガラスのような透明な表面構造化基材をベースとした外側層を含む。中心層は、第1の外側層の構造化した主面にコンフォーマル式に付着させた単一層によるか、あるいは第1の外側層の構造化した主面に連続してコンフォーマル式に付着させた積層体により形成される。この実施形態では、中心層は、既に表面を構造化されている又は前もって表円を構造化されている基材を含む外側層上に付着される。好ましくは、中心層は、陰極スパッタリングにより、特にマグネトロン陰極スパッタリングにより付着される。他方の外側層は、次のものを含む:
・成形操作のために好適な、最初に粘性、液体又はペースト状の状態にある硬化性材料をベースとした層、又は
・熱成形可能な又は感圧接着性のプラスチック材料で製作したシート。
透明な層状要素の平滑な外側主面は、平面状であっても湾曲していてもよい。層状要素の平滑な外側主面は、好ましくは互いに平行であり、これが、光が散乱するのを制限して放射線が層状要素を通過するのに寄与する。
投映機と本発明による物品を含んでいる前方投影システムの模式断面図である。 投映機と本発明による物品を含んでいる前方投影システムの模式断面図である。 前方投影システムの模式断面図である。 前方投影システムの模式断面図である。 前方投影スクリーンとして使用されている比較物品1の写真(3G)及び本発明による物品の写真(3D)である。 投影スクリーンの機能性と組み合わせることができる「ブラックボード」の機能性を説明する、台所用の調理台(4B)、学校のマーカーボード(4C)、会議室(4D)の写真である。
本発明の特徴及び利点は、本発明による物品の複数の実施形態の下記の説明から明らかになるが、その説明は、単なる例として、添付の図1A及び1Bを参照して提示されるものであり、これらの図は、投映機と本発明による物品を含んでいる前方投影システムの模式断面図である。
図面を明瞭にするため、種々の層の相対的な厚さは、厳格に保たれてはいない。更に、第1の要素が表面構造化基材又は層状要素である場合、表面構造の傾斜に依存する中心層の厚さの可能性のある変動は、図面には示しておらず、この厚さの可能性のある変動は、構造化接触面の平行度に影響を与えないと理解される。具体的に言うと、表面構造の所定の傾斜ごとに、構造化接触面は互いに平行になっている。更に、接触面は模式的に示されているに過ぎず、それらの表面構造は本発明の傾斜分布基準を満足している、ということが注目される。
図1A及び2Aは、前方投影システムの模式断面図であり、投映機Pと、次のものを含む物品10とを含んでいる:
・粗いガラス基材のような表面構造化基材を含む第1の散乱性要素1、
・任意選択的に、構造化した表面を有する薄層8、
・散乱性コーティング7を含む第2の散乱性要素。
図1B及び2Bは、前方投影システムの模式断面図であり、投映機Pと、次のものを含む物品10とを含んでいる:
・層状要素1を含む第1の散乱性要素、
・追加の基材6上に付着させた散乱性コーティング7を含む第2の散乱性要素。
層状要素1は、実質的に同じ屈折率n2、n4を有する透明誘電性材料で製作される2つの外側層2及び4を含んでいる。各外側層2又は4は、それぞれ層状要素の外側の方に向けられた平滑な主面2A又は4Aと、それぞれ層状要素の内側の方に向けられた構造化した主面2B又は4Bとを有している。
内側面2B及び4Bの表面構造は、互いに相補的である。構造化した面2B及び4Bは、それらの表面構造が互いに対して厳密に平行である相対的配置でもって、互いに向き合って配置されている。層状要素1は、構造化した面2Bと4Bの間に接触して、中間の中心層3も含んでいる。
中心層3が薄層であるか又は薄層の積層体である場合、中心層3のうちの各層の厚さは、層状要素の各構造化接触面の表面構造の平均高さの約1/10又はそれ未満である。
図1Bに示した例の物品10では、第1の外側層2は、超透明ガラス又は透明ガラス製の表面構造化基材であり、第2の外側層4は、基材2と実質的に同じ屈折率を有し中心層3の構造化面の構造に一致している中間層シート、例えばPVB製の中間層シートにより形成されている。中間層シート4は、追加の層を形成している、超透明ガラス又は透明ガラス製の、例えばサン-ゴバン・グラス社により販売されているSGG Planiluxのようなガラス製の平らな基材6に、外側面4Aを介してカレンダロール加工されている。
もう一つの実施形態によれば、第1の外側層2は、表面を構造化したガラスでなく、中間層シート4と実質的に同じ屈折率を有する、例えばPVB製の、中間層シートである。この第2の例では、中心層3は、軟質フィルム、例えば厚さが約50~250μmのポリメチルメタクリレート(PMMA)のフィルムを含んでおり、その上に、誘電体又は金属で製作された薄層、例えば厚さが約50~75nmのTiOの薄層が付着されている。この軟質フィルムと薄層からなる集成体には波状又はアコーディオン状の形状が与えられており、それにより表面構造化中心層3が作られていて、この場合それは、中間層シート2と4の間に挟まれて、それにより層2、3及び4の間の接触面が互いに平行のままであるようにされている。中間層シート2、4のおのおのは、追加の層を形成している、超透明ガラス又は透明ガラス製の、例えばサン-ゴバン・グラス社により販売されているSGG Planiluxのようなガラス製の平らな基材5(図示せず)又は6に、外側面2A、4Aを介してカレンダロール加工されてもよい。
各構造化接触面S、S、……、Sの本発明による表面構造は、有利には、2つの外側層2及び4のうちの第1の外側層の主面を、好ましくはコンピュータで作られる表面構造を基にして、特にエンボス加工又は3D印刷することにより、構造化し、そして第1の外側層の構造化した主面の上に中心層3をコンフォーマル式に付着させることにより得られる。付着した後に、中心層3の上面が構造化されていて且つ第1の外側層の構造化した主面に平行であれば、中心層3は、第1の外側層の構造化した主面上にコンフォーマル式に付着されていると見なされる。第1の外側層の構造化した主面上への、中心層3のコンフォーマル式付着、又は中心層3の積層体の構成層のコンフォーマル式付着は、好ましくは、陰極スパッタリングにより、特にマグネトロン陰極スパッタリングにより行われる。図1Aの薄層8は、中心層3に相当することができる。
2つの外側層2及び4のうちの第2の外側層は、第1の外側層の反対側の中心層3の構造化した主面上に、屈折率が第1の外側層と実質的に同じであって且つ最初に成形操作に適した粘性状態にある層を付着させることにより形成することができる。したがって、第2の外側層は、例えば、最初は流体状である光硬化性及び/又は光重合性材料の層を付着させ、次いでこの層に照射することにより、あるいはゾル-ゲル法により、形成することができる。別の実施形態として、第2の外側層は、第1の外側層の反対側の中心層3の構造化した主面に接して第1の外側層と実質的に同じ屈折率を有するポリマーベースの層を配置し、次いでこのポリマーベースの層を、圧縮により及び/又は少なくともポリマーのガラス転移温度まで加熱することにより中心層3の構造化した主面に接して一致させることによって形成してもよい。
可視領域の%で表した光透過率TL及び光反射率RLを、垂直入射の放射線を用い標準規格ISO 9050-2003(光源D65、2°オブザーバー)に従って測定する。
I.使用した材料
1,第1の散乱性要素:層状要素
これらの試験は、表1に示したような層状要素で行った。
Figure 0007189894000001
サテンガラスは、透明な粗いガラスのサテン基材とも称される、表面を構造化したガラス基材に相当する。厚さ4mmのこれらの表面構造化基材は、酸エッチングにより得られた構造化した主面を含む。
中心層は、マグネトロン陰極スパッタリング(「マグネトロン堆積」)により表面構造化基材の構造化した面に一致するように堆積させた60nmの酸化チタンの層である。
これらの例で使用した第1の散乱性要素は全て、拡散反射が不均一であって且つ正方向に優勢散乱方向を有する、すなわち正方向に対応する最大の散乱角を有する散乱性要素である。したがって、最大の輝度は、各ケースにおいて、正方向を除いて、優勢散乱方向に対応する正反射の方向に対して3°の角度で測定される。
2.第2の散乱性要素:黒色散乱性コーティング
黒色又は暗色の散乱性コーティングは、黒色ラッカーからなる。この黒色コーティングは、不透明で吸収性のコーティングである。それを、厚さ4mmの平らなSGG PLANICLEAR(登録商標)ガラス基材上に付着させる。ラッカーと基材が一緒になって、Planilaque(登録商標)の商標名でサン-ゴバン社により販売されているラッカー処理した黒色ガラスシートを形成している。
上述の黒色コーティングは、次の特性を有している:
・5%未満の光透過率TL、
・約5%の光反射率RL、
・コーティングを付着させた側と反対側の基材の側の反射で測定して、27におよそ等しいL、及び0と-1の間に含まれるa、b
3.物品
本発明による物品は、層状要素をラッカー処理した黒色ガラスとともに積層して得られる。層状要素のPVB又はEVA製の第2の外側層を、ラッカー処理したガラスと層状要素との集成を可能にする積層中間層として使用する。
発明例1及び発明例2については、ラッカーにより形成された黒色又は暗色の散乱性コーティングが、PVB製のプラスチックシートと接触していない基材の面上に位置する。
積層散乱性コーティング側のケースでは、機械的強度の理由から、結合層と一体にしたPVB製プラスチックシート又はEVA製プラスチックシートを好ましく使用する。発明例3、4、5については、ラッカーにより形成した黒色又は暗色コーティングが、PVB又はEVAシートと接触する基材の面上に位置している。
Figure 0007189894000002
II.視覚的評価及び光学的特性
図3は、前方投影スクリーンとして使用されている比較物品1の写真及び本発明による物品の写真に相当している。
オフにしたビデオプロジェクターに面したスクリーンの前方に配置した光度計を用いて、350ルクスの測定を行う。スクリーンの主平面(映像の平面)は、垂直である。天井灯だけを使用する。スクリーンの表面に向けられる直接光源は存在しない。
本発明による物品に投影された映像の明るさ及びそのコントラスト(本発明例1、写真3D)は、単に黒色のラッカーで処理しただけのガラスに投影された映像(比較例1、写真3G)に対して、大きく改善されている。
層状要素の黒色側の強度の比較を目的とする目視観測を行った。最小の黒色強度を「1」、最大の黒色強度を「3」として、1~3の点数をつけた。
Figure 0007189894000003
透過光は、黒色ラッカーによって主に吸収される。しかし、投影時には、あまり明るくないゴーストを、75°とグレージング角の間の大きな観測角でのみ、目にすることができる。したがって、この効果は、観客にとって不快ではない。
その上、黒色又は暗色の散乱性コーティングを散乱用表面構造のより近くに配置することによって、この効果の深刻度を軽減することが可能である。この目的達成のために、発明物品3は、ラッカー処理したガラスがガラス側ではなくラッカー側で積層されている点で、発明物品1と異なっている。この実施形態では、及び発明例4及び発明例5の実施形態では、ラッカーは、散乱用表面構造に直ぐ続いて物品の内部に位置している。したがって、ゴースト映像は最小限に抑えられ、スクリーンの通常の観測条件下でほとんど目に見えなくなる。
保護なしでの美的観点からは、物品の外観は、層状要素の上に重ねられていない黒色又は暗色コーティングの外観に関して部分的に変更される。
物品の直接照明が制限される場合、あるいは実際のところ表面構造により散乱された光が観測者の方向に散乱されない場合には、物品は、黒色又は暗色コーティングの色に近い色に見え、特に黒色のPlanilaque(登録商標)シートの場合には暗黒色に見える。
スクリーンの表面に明るい光が照射される場合には、スクリーンは金属調の外観又は金属調の効果を有するダークグレーに見える。これらの特性の全ては、自動車の車体の塗料向けに開発された効果になぞらえることができる見た目を物品に与える。
III.スクリーンの特性
1.コントラストの分析
本発明の前方投影スクリーンを試験するために、コントラストの測定を行った。これらの測定は、平均の照度が350ルクスの人工照明を用いて行った。コントラストは、投映機が白色映像を表示しているときに測定される輝度(白色輝度w.l.)の投映機が黒色映像を表示しているときに測定される輝度(黒色輝度b.l.)に対する比として定義される。
下記の表は、ラッカー処理した黒色ガラスだけ(比較例1)、拡散反射する透明要素だけ(比較例2)、及び発明物品1についての、輝度とコントラストの測定値を示している。
Figure 0007189894000004
投影映像の品質が明るさの点に関して良好であるためには、50cd/cmより高い優勢散乱方向における白色輝度及び大きいコントラストの2つの特性が存在する必要がある。
本発明は、特に被照明環境(昼光及び/又は人工光)で使用される場合に、非常に良好なコントラストの投影映像を得ることを可能にする。白色輝度が非常に高い一方で、黒色輝度は低いままである。並べてみると、350ルクスの照度下での白色Planilaque(登録商況)シートは、0°で1300cd/cmの白色輝度と約55cd/cmの黒色輝度を有している。本発明による物品は、Planilaque(登録商況)タイプのラッカー処理した白色ガラスで得られたのに匹敵する白色輝度と、小さい1/7の黒色輝度を有する。
45°で観測すると、黒色輝度と白色輝度が50cd/mに近いラッカー処理した黒色ガラスだけについてと本発明による物品についてとで、コントラストは同程度である。このようなコントラストは、情報をたやすく読み取るのに十分である。
2.視角
視角は、コントラストが、情報を快適に読み取るのに必要とされる最小限のコントラストである4.5:1に達する角度に相当する。具体的には、観測の角度が増大すると、映像の明るさは低下する。発明物品1は、125°(スクリーンに対する垂線に対して±62.5°)のスクリーン視角を有する。
3.スクリーンの正規化された利得
観測の角度に依存する正規化された利得の変動を、次のようにして計算する:
・絶対値(AV)では:ΔG=|G3°-G45°
・百分率(P)では:ΔG=|G3°-G45°|/G3°×100
ここで、G3°とG45°は、それぞれ3°と45°での利得である。
Figure 0007189894000005
発明物品1の利得は8.8であり、発明物品2の利得は1.4である。
0°で1より大きい利得は、小さい観測角度で明るさが増加していることを意味する。発明物品1について観測されたような高い利得レベルは、良好な映像品質を保持し、映像が明るく且つコントラストをつけて見えるようにしながら、物品を被照明環境においてスクリーンとして使用することを可能にする。
IV.指跡の視認性
材料又は物品の表面の指跡の視認性を、次の手順を使用して測定した。
測定することを予定する表面にラバースタンプを含む装置で指跡を付着させ、転写しようとするパターンは指紋であった。例えばEssilor(登録商標)により供給される人工皮脂溶液(体脂肪+水溶液)を、スタンプに付着させた。
スタンプへの皮脂の適用後、最大限の再現性と完全に同一の指跡を得るように厳密な手順を使用して指紋の転写を行った。
指紋のある又は指紋のない面に、白色LEDの細長い光を照射した(指向性照明)。測定すべき面に対する垂線方向からシーンを撮影した。「測定すべき面」/「光」/「カメラ」の相対的位置は、変更なしにした。
視認性を次のようにして定量化した:
・指紋なしの面の映像の取得、
・指紋の転写、
・指紋ありの同じ面の映像の取得、
・指紋の輪郭の抽出、
・抽出した領域での明るさL1の測定、
・指跡なしの映像中の同じゾーンの抽出と、明るさL0の測定、
・コントラスト用の式=指跡視認性%=100×(L1-L0)/(L1+L0)。
評価すべき面に指跡を転写する。次に、映像を撮影し、指跡の視認性を評価するために分析する。その後、コントラストの値を求める。高いコントラストが高い視認性に相当する。
指跡について測定したコントラストは、発明物品1(コントラスト=5)で、ラッカー処理しただけの黒色基材に相当する比較例1の物品(コントラストは45)よりも低く、1/9である。実際のところ、本発明による物品は、指跡の視認性をかなり低下させることを可能にする。
V.その他の機能性
図4B、4C及び4Dの写真は、投影スクリーンの機能性と組み合わせることができる「ブラックボード」の機能性を説明するものであり、
・図Bは台所用の調理台、
・図Cは学校のマーカーボード、
・図Dは会議室、
のものである。
この物品は、色を非常によく表現し、且つ良好な解像度を有する。解像度は主に、使用する表面構造の特性に関係しており、特にこの表面構造組織の特有の周期(RSm=132μm±50μm)に関係している。
VI.結論
本発明による物品は、実際に以下の利点を有している:
・投影映像の白色輝度が、部屋の照明レベルがどんなであっても、良好なコントラストを得るのを可能とし、その結果として良好な目視品質を得るのを可能とするのに十分高いこと、
・映像の明るさ、コントラスト(180:1)及び解像度が、投影された情報の優れた読み取りやすさを可能にすること、
・高い利得が、被照明環境におけるのを含めて、明るい映像を得ることを可能にすること、
・視角が、多数の既存の投影場面と相性がよいままであること、
・色の表現が非常に良好であること、
・汚れの視認性が低下すること。
前方投影スクリーンとして用いられる本発明による黒色又は暗色の物品は、映像の投影をマーカーボードとしての用途と組み合わせることを可能にする。
本発明の実施態様の一部を以下の項目1~20に記載する。
〈項目1〉平行なシート又は平面の形をしており、第1の散乱性要素及び第2の散乱性要素と称される2つの別個の拡散反射性散乱性要素を含む、前方投影スクリーンとして使用される物品であって、
・前記第1の散乱性要素が、半透明であるか又は透明であり、且つ
・前記第2の散乱性要素が、暗色である、
ことを特徴とする、物品。
〈項目2〉前記第1の散乱性要素の側で、正散乱を除く優勢散乱の方向において350ルクスに照明された環境で測定して30cd/m 未満、好ましくは20cd/m 未満、又は更には10cd/m 未満の黒色輝度を有することを特徴とする、項目1に記載の物品。
〈項目3〉前記第1の散乱性要素の側で、正散乱を除く優勢散乱の方向において350ルクスに照明された環境で測定して100cd/m より高い、好ましくは200cd/m より高い、又は更には500cd/m より高い白色輝度を有することを特徴とする、項目1又は2に記載の物品。
〈項目4〉前記第2の散乱性要素が均一な拡散反射率を有することを特徴とする、項目1~3のいずれか一項に記載の物品。
〈項目5〉前記第1の散乱性要素が不均一な拡散反射率を有することを特徴とする、項目1~4のいずれか一項に記載の物品。
〈項目6〉前記第1の散乱性要素の側で測定される、スクリーンに対する垂線に対し0°と60°の間の観測角度の関数として正規化された利得の最大の変動が、
・絶対値で、0.2より大きく、又は更には0.5より大きく、又は更には1より大きく、又は更には5より大きいこと、及び
・百分率で、30%より大きく、又は更には50%より大きく、好ましくは80%より大きく、又は更には90%より大きいこと、
を特徴とする、項目1~5のいずれか一項に記載の物品。
〈項目7〉前記第1の散乱性要素の側で測定される当該物品の拡散視感反射率に、正反射の方向とは別の方向における少なくとも1つの最大値があることを特徴とする、項目5又は6に記載の物品。
〈項目8〉前記第1の散乱性要素が少なくとも1つの構造化した面を含むことを特徴とする、項目1~7のいずれか一項に記載の物品。
〈項目9〉前記構造化した面のプロファイルの根平均二乗傾斜Rdqが、0.2°より厳密に大きいことを特徴とする、項目8に記載の物品。
〈項目10〉前記第1の散乱性要素が、表面を構造化した基材、又は正透過性で且つ拡散反射性の透明な層状要素から選ばれていることを特徴とする、項目1~9のいずれか一項に記載の物品。
〈項目11〉前記第1の散乱性要素が、
・実質的に同じ屈折率(n2、n4)を有し且つおのおのが平滑な外側主面(2A、4A)を有する2つの透明な外側層(2、4)、及び
・前記外側層(2、4)の中間の中心層(3)であって、屈折率(n3)が前記外側層のそれとは異なる少なくとも1つの透明層を含む、又は金属層を含む、中心層(3)、
を含む透明な層状要素であり、
前記層状要素(1)のうちの、一方が金属層である2つの隣り合った層の間、又は屈折率が異なる2つの透明層である2つの隣り合った層の間の全ての接触面(S 、S 、……、S )が、構造化されていて且つ互いに平行である、
ことを特徴とする、項目1~10のいずれか一項に記載の物品。
〈項目12〉前記層状要素の外側層が、構造化した面を少なくとも1つ含むポリマー、ガラス又はセラミックから選ばれた表面を構造化した基材により形成されていることを特徴とする、項目11に記載の物品。
〈項目13〉前記層状要素の前記中心層が、単一層又は積層体を陰極スパッタリングにより堆積させることにより得られていることを特徴とする、項目11又は12に記載の物品。
〈項目14〉前記第2の散乱性要素が散乱性コーティングであることを特徴とする、項目1~13のいずれか一項に記載の物品。
〈項目15〉前記散乱性コーティングが、無機又は有機塗料及びエナメルから選ばれる不透明で且つ吸収性のコーティングであることを特徴とする、項目14に記載の物品。
〈項目16〉前記散乱性コーティングが追加の基材上に付着されており、且つ、前記追加の基材及び前記第1の散乱性要素が、プラスチック材料製のシートを使用する積層処理によりしっかりと固定されていることを特徴とする、項目14又は15に記載の物品。
〈項目17〉前記散乱性コーティングが、前記追加の基材のうちの、
・前記透明な層状要素から一番遠い面、又は
・前記透明な層状要素に一番近い面、
に付着されていることを特徴とする、項目14又は16に記載の物品。
〈項目18〉プラスチック材料製の前記シートが、前記層状要素の外側層であることを特徴とする、項目14~17のいずれか一項に記載の物品。
〈項目19〉項目1~18のいずれ一項に記載の前方投影スクリーンとして使用される物品と投映機とを含んでおり、前記物品が、映像が投影される前面と、背面とを含んでいる、前方投影システムであって、前記第2の散乱性要素が、少なくとも前記第1の散乱性要素によって、前記前面から切り離されていることを特徴とする、前方投影システム。
〈項目20〉反射で動作する前方投影スクリーンと投映機とが用意される、反射による前方投影方法であって、当該方法は、前記投映機により前記前方投影スクリーン上に映像を投影し、前記前方投影スクリーンが項目1~18のいずれか一項に記載の物品を含んでいるものである、反射による前方投影方法。

Claims (16)

  1. 平行なシート又は平面の形をしており、第1の散乱性要素及び第2の散乱性要素と称される2つの別個の拡散反射性散乱性要素を含む、前方投影スクリーンとして使用される物品であって、
    ・前記第1の散乱性要素が、半透明であるか又は透明であり、少なくとも1つの構造化した面を含み、且つ以下から選ばれること:
    表面を構造化した基材、又は
    下記を有する、正透過性で且つ拡散反射性の透明な層状要素:
    実質的に同じ屈折率(n2、n4)を有し且つおのおのが平滑な外側主面(2A、4A)を有する2つの透明な外側層(2、4)、及び
    前記外側層(2、4)の中間の中心層(3)であって、屈折率(n3)が前記外側層のそれとは異なる少なくとも1つの透明層又は金属層を含む、中心層(3)、
    ここで、前記層状要素(1)のうちの、一方が金属層である2つの隣り合った層の間、又は屈折率が異なる2つの透明層である2つの隣り合った層の間の全ての接触面(S 、S 、……、S )が、構造化されていて且つ互いに平行であり、前記構造化した面のプロファイルの根平均二乗傾斜Rdqが、0.2°より厳密に大きい、
    並びに、
    ・前記第2の散乱性要素が、暗色であること、
    を特徴とする、物品。
  2. 前記第1の散乱性要素の側で、正散乱を除く優勢散乱の方向において350ルクスに照明された環境で測定して30cd/m未満、好ましくは20cd/m未満、又は更には10cd/m未満の黒色輝度を有することを特徴とする、請求項1に記載の物品。
  3. 前記第1の散乱性要素の側で、正散乱を除く優勢散乱の方向において350ルクスに照明された環境で測定して100cd/mより高い、好ましくは200cd/mより高い、又は更には500cd/mより高い白色輝度を有することを特徴とする、請求項1又は2に記載の物品。
  4. 前記第2の散乱性要素が均一な拡散反射率を有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の物品。
  5. 前記第1の散乱性要素が不均一な拡散反射率を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
  6. 前記第1の散乱性要素の側で測定される、スクリーンに対する垂線に対し0°と60°の間の観測角度の関数として正規化された利得の最大の変動が、
    ・絶対値で、0.2より大きく、又は更には0.5より大きく、又は更には1より大きく、又は更には5より大きいこと、及び
    ・百分率で、30%より大きく、又は更には50%より大きく、好ましくは80%より大きく、又は更には90%より大きいこと、
    を特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の物品。
  7. 前記第1の散乱性要素の側で測定される当該物品の拡散視感反射率に、正反射の方向とは別の方向における1つの最大値があることを特徴とする、請求項5又は6に記載の物品。
  8. 前記層状要素の外側層が、構造化した面を少なくとも1つ含むポリマー、ガラス又はセラミックから選ばれた表面を構造化した基材により形成されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の物品。
  9. 前記層状要素の前記中心層が、単一層又は積層体を陰極スパッタリングにより堆積させることにより得られていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
  10. 前記第2の散乱性要素が散乱性コーティングであることを特徴とする、請求項1~のいずれか一項に記載の物品。
  11. 前記散乱性コーティングが、無機又は有機塗料及びエナメルから選ばれる不透明で且つ吸収性のコーティングであることを特徴とする、請求項10に記載の物品。
  12. 前記散乱性コーティングが追加の基材上に付着されており、且つ、前記追加の基材及び前記第1の散乱性要素が、プラスチック材料製のシートを使用する積層処理によりしっかりと固定されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載の物品。
  13. 前記散乱性コーティングが、前記追加の基材のうちの、
    ・前記透明な層状要素から一番遠い面、又は
    ・前記透明な層状要素に一番近い面、
    に付着されていることを特徴とする、請求項12に記載の物品。
  14. プラスチック材料製の前記シートが、前記層状要素の外側層であることを特徴とする、請求項12又は13に記載の物品。
  15. 請求項1~14のいずれ一項に記載の前方投影スクリーンとして使用される物品と投映機とを含んでおり、前記物品が、映像が投影される前面と、背面とを含んでいる、前方投影システムであって、前記第2の散乱性要素が、少なくとも前記第1の散乱性要素によって、前記前面から切り離されていることを特徴とする、前方投影システム。
  16. 反射で動作する前方投影スクリーンと投映機とが用意される、反射による前方投影方法であって、当該方法は、前記投映機により前記前方投影スクリーン上に映像を投影し、前記前方投影スクリーンが請求項1~14のいずれか一項に記載の物品を含んでいるものである、反射による前方投影方法。
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