以下、本発明の実施形態の例を、図面を参照して具体的に説明する。参照される各図において、同一の部分には同一の符号を付し、同一の部分に関する重複する説明を原則として省略する。尚、本明細書では、記述の簡略化上、情報、信号、物理量又は部材等を参照する記号又は符号を記すことによって、該記号又は符号に対応する情報、信号、物理量又は部材等の名称を省略又は略記することがある。例えば、後述の“M1”によって参照されるスイッチングトランジスタは(図8参照)、スイッチングトランジスタM1と表記されることもあるし、トランジスタM1と略記されることもあり得るが、それらは全て同じものを指す。
まず、本実施形態の記述にて用いられる幾つかの用語について説明を設ける。レベルとは電位のレベルを指し、任意の信号又は電圧についてハイレベルはローレベルよりも高い電位を有する。周期的にレベルがローレベルとハイレベルとの間で切り替わる任意の信号又は電圧について、当該信号又は電圧の1周期分の区間の長さに対する、当該信号又は電圧のレベルがハイレベルとなる区間の長さの割合を、デューティと称する。
FET(電界効果トランジスタ)として構成された任意のトランジスタについて、オン状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が導通状態となっていることを指し、オフ状態とは、当該トランジスタのドレイン及びソース間が非導通状態(遮断状態)となっていることを指す。以下、任意のトランジスタについて、オン状態、オフ状態を、単に、オン、オフと表現することもある。また、任意のトランジスタ又はスイッチについて、オフ状態からオン状態への切り替わりをターンオンと表現し、オン状態からオフ状態への切り替わりをターンオフと表現する。
<<第1実施形態>>
本発明の第1実施形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態に係るドライブ装置100の概略的な内部構成図である。図2はドライブ装置100の外観図である。
ドライブ装置100は、半導体集積回路を樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品(半導体装置)であり、ドライブ装置100を構成する各回路が半導体にて集積化されている。ドライブ装置100としての電子部品の筐体には、ドライブ装置100の外部に対して露出した外部端子が複数設けられている。尚、図2に示される外部端子の数は例示に過ぎない。
ドライブ装置100に設けられる複数の外部端子の一部として、図1には外部端子TM1~TM3が示されている。外部端子TM1は、出力端子であり、ドライブ装置100によりゲートが駆動されるトランジスタ(図1において不図示)などが外部端子TM1に外付け接続される。外部端子TM2は、電源端子であり、図示されない電源回路から直流の電源電圧VCCの入力を受ける。外部端子TM3は、グランド端子であってグランドGNDに接続される。グランドは、0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部(所定電位点)を指す又は基準電位そのものを指す。
ドライブ装置100は、内部電源回路110、制御回路120、ドライブ回路130及び保護回路140を備える。
内部電源回路110は電源端子TM2に入力された電源電圧VCCを直流-直流変換することにより、1以上の他の直流電圧を生成する。ここでは、内部電源回路110により生成される直流電圧に、内部電源電圧Vreg及び駆動用電圧VDRVが含まれると考える。内部電源電圧Vreg及び駆動用電圧VDRVは所定の電圧値を有した正の直流電圧である。例えば、電源電圧VCCは14V以上の電圧である一方で、電圧Vreg及びVDRVは、夫々、4V、12Vである。制御回路120及び保護回路140は内部電源電圧Vregに基づき駆動する。ドライブ回路130は駆動用電圧VDRVに基づき駆動する。
制御回路120は、ロジック回路にて構成される、又は、アナログ回路及びロジック回路にて構成される。制御回路120は駆動制御信号SCNTを生成してドライブ回路130に供給する。駆動制御信号SCNTはローレベル又はハイレベルをとる二値信号であり、矩形波状のパルス信号であって良い。パルス信号としての駆動制御信号SCNTは、例えばPWM変調(パルス幅変調)又はPFM変調(パルス周波数変調)された信号であって良く、その信号レベルがローレベル及びハイレベル間で切り替わる。
ドライブ回路130は出力ラインOLを介して出力端子TM1に接続され、駆動制御信号SCNTに従い、出力端子TM1の電圧レベルを制御する。換言すれば、ドライブ回路130は、制御回路120の制御の下で出力端子TM1の電圧レベルを調整する。以下、出力端子TM1における電圧を“VG”にて表し、出力端子電圧と称することがある。ドライブ回路130は、駆動制御信号SCNTのレベルがローレベルであるときには出力端子電圧VGのレベルがローレベルとなるように、駆動制御信号SCNTのレベルがハイレベルであるときには出力端子電圧VGのレベルがハイレベルとなるように動作する。
出力端子電圧VGにおけるローレベルは、実質的にグランドGNDのレベルと一致し、グランドGNDのレベルよりも若干電位が高いレベルを含む。例えば、出力端子電圧VGにおけるローレベルは、グランドGNDの電位以上であって且つ電位(GND+ΔV1)以下のレベルである。電位(GND+ΔV1)は、グランドGNDの電位よりも所定の正の電圧ΔV1(例えば0.5V)だけ高い電位を指す。尚、グランドGNDからドライブ回路130及び出力端子TM1を通じて電流が流れ出すケースにおいては、出力端子電圧VGにおけるローレベルは、グランドGNDのレベルよりも若干電位が低いレベルを含みうる。
出力端子電圧VGにおけるハイレベルは実質的に駆動用電圧VDRVのレベルと一致し、駆動用電圧VDRVのレベルよりも若干電位が低いレベルを含む。例えば、出力端子電圧VGにおけるハイレベルは、駆動用電圧VDRV以下であって且つ電位(VDRV-ΔV2)以上のレベルである。電位(VDRV-ΔV2)は、駆動用電圧VDRVの電位よりも所定の正の電圧ΔV2(例えば0.5V)だけ低い電位を指す。尚、出力端子TM1からドライブ回路130を通じ、駆動用電圧VDRVが加わるラインに電流が流れ込むケースにおいては、出力端子電圧VGにおけるハイレベルは、駆動用電圧VDRVのレベルよりも若干電位が高いレベルを含みうる。
何れにせよ、出力端子電圧VGにおけるハイレベルは出力端子電圧VGにおけるローレベルよりも高い。故に、電位(VDRV-ΔV2)は電位(GND+ΔV1)よりも高い。
保護回路140は、出力端子電圧VGを監視する機能を有し、ドライブ回路130の状態と出力端子電圧VGとに基づき天絡又は地絡といった異常の発生の有無を検出する。このため、保護回路を異常検出回路と読み替えても良い。保護回路140は、ドライブ回路130の状態を知るために駆動制御信号SCNTを参照することができる。
天絡とは、図3(a)に示す如く、正の電圧を相当に低い出力インピーダンスで出力する電圧源が出力端子TM1に短絡されるような状況を指す。例えば、電源端子TM2が出力端子TM1に短絡する状況は天絡に属する。天絡の発生時には、ドライブ回路130の状態によるが、出力端子TM1から出力ラインOLを通じドライブ回路130に向けて過大な電流が継続的に流れ込むおそれがある。
地絡とは、図3(b)に示す如く、グランドGNDが出力端子TM1に短絡されるような状況又は負の電圧を相当に低い出力インピーダンスで出力する電圧源が出力端子TM1に短絡されるような状況を指す。地絡の発生時には、ドライブ回路130の状態によるが、ドライブ回路130から出力ラインOLを通じ出力端子TM1に向けて過大な電流が継続的に流れ出すおそれがある。
そこで、保護回路140は、天絡又は地絡が発生していると判断した場合に、ドライブ回路130を駆動制御信号SCNTに依らずにハイインピーダンス状態(以下、Hi-Z状態と称する)とする保護動作を行う。ここにおけるドライブ回路130のインピーダンスとは、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130のインピーダンスを指す。ドライブ回路130をHi-Z状態とすることで、天絡又は地絡が発生していたとしても過大な電流の入出力が抑制され、ドライブ回路130を含むドライブ装置100の破損や劣化を抑制することが可能となる。
第1実施形態は以下の実施例EX1_1~EX1_3を含む。実施例EX1_1~EX1_3の中で、ドライブ回路130及び保護回路140の構成例及び動作例を説明する。
[実施例EX1_1]
実施例EX1_1を説明する。図4に、実施例EX1_1に係るドライブ回路130A及び保護回路140Aの構成を示す。実施例EX1_1では、図4のドライブ回路130A及び保護回路140Aが、図1のドライブ回路130及び保護回路140として用いられる。
図4のドライブ回路130Aは、互いに直列接続されたトランジスタ131及び132と、プリドライバ133と、を備える。トランジスタ131はPチャネル型のMOSFETとして構成され、トランジスタ132はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。但し、トランジスタ131をNチャネル型のMOSFETとして構成する変形も可能である。トランジスタ131及び132の直列回路に対して駆動用電圧VDRVが印加される。より具体的には、トランジスタ131のソースに駆動用電圧VDRVが加えられ、トランジスタ131及び132のドレイン同士が共通接続され、トランジスタ132のソースはグランドGNDに接続される。トランジスタ131及び132のドレイン同士の接続ノードが出力ラインOL及び出力端子TM1に接続される。
プリドライバ133には、制御回路120からの駆動制御信号SCNTと保護回路140Aからの異常判定信号Scとが入力される。ローレベルの異常判定信号Scは天絡又は地絡の発生が検出されていないことを示す。プリドライバ133は、異常判定信号Scがローレベルであるときには、制御回路120からの駆動制御信号SCNTに従って、トランジスタ131及び132のオン、オフを制御する。
即ち、異常判定信号Scがローレベルであって且つ駆動制御信号SCNTがローレベルであるとき、プリドライバ133は、トランジスタ131及び132のゲートにハイレベル信号を供給することで、トランジスタ131、132を、夫々、オフ、オンとする。ドライブ回路130Aにおいて、トランジスタ131、132が夫々オフ、オンである状態を出力ロー状態(第1状態)と称する。ドライブ回路130Aの状態が出力ロー状態であるとき、異常が無ければ出力端子電圧VGのレベルはローレベルとなる(但し過渡状態を無視)。
異常判定信号Scがローレベルであって且つ駆動制御信号SCNTがハイレベルであるとき、プリドライバ133は、トランジスタ131及び132のゲートにローレベル信号を供給することで、トランジスタ131、132の状態を、夫々、オン、オフとする。ドライブ回路130Aにおいて、トランジスタ131、132が夫々オン、オフである状態を出力ハイ状態(第2状態)と称する。ドライブ回路130Aの状態が出力ハイ状態であるとき、異常が無ければ出力端子電圧VGのレベルはハイレベルとなる(但し過渡状態を無視)。
尚、プリドライバ133は、トランジスタ131及び132が同時にオン状態となることを防止するべく、トランジスタ131及び132を共にオフ状態とするデッドタイムを適宜挿入して良い。
保護回路140Aは、比較器141及び143と、電圧源142及び144と、判定部145と、を備える。電圧源142は所定の判定電圧VREF1を生成及び出力する。電圧源144は所定の判定電圧VREF2を生成及び出力する。判定電圧VREF1及びVREF2は所定の正の直流電圧値を有する。図5に、判定電圧VREF1及びVREF2と、出力端子電圧VGにおけるローレベル及びハイレベルと、の高低関係を示す。
判定電圧VREF1は、天絡検出用の判定電圧であって、少なくとも出力端子電圧VGにおけるローレベルよりも高い。即ち、上述の如く、出力端子電圧VGにおけるローレベルがグランドGNDの電位以上であって且つ電位(GND+ΔV1)以下のレベルであるとき、判定電圧VREF1は、少なくとも電位(GND+ΔV1)よりも高い。例えば、電位(GND+ΔV1)が0.5Vであるならば、判定電圧VREF1は1.5Vに設定される。
判定電圧VREF2は、地絡検出用の判定電圧であって、少なくとも出力端子電圧VGにおけるハイレベルよりも低い。即ち、上述の如く、出力端子電圧VGにおけるハイレベルが駆動用電圧VDRV以下であって且つ電位(VDRV-ΔV2)以上のレベルであるとき、判定電圧VREF2は、少なくとも電位(VDRV-ΔV2)よりも低い。例えば、電位(VDRV-ΔV2)が11.5Vであるならば、判定電圧VREF2は10.5Vに設定される。
尚、判定電圧VREF2が判定電圧VREF1よりも高く設定されることが主として想定されるが、本発明はこれに限定されない。またここでは、判定電圧VREF1及びVREF2が互いに異なる電圧であると考えているが判定電圧VREF1及びVREF2は互いに同じであっても良い。この場合には、単一の電圧源を電圧源142及び144として兼用し、単一の電圧源にて生成される判定電圧を判定電圧VREF1及びVREF2として兼用すれば良い。
比較器141の非反転入力端子、反転入力端子には、夫々、出力端子電圧VG、判定電圧VREF1が入力され、比較器141は電圧VG及びVREF1の比較結果に応じた信号Saを出力する。即ち、比較器141は、出力端子電圧VGが判定電圧VREF1よりも高い場合にはハイレベルの信号Saを出力する一方、出力端子電圧VGが判定電圧VREF1よりも低い場合にはローレベルの信号Saを出力する。出力端子電圧VGが判定電圧VREF1とちょうど一致するとき、信号Saはローレベル又はハイレベルとなる。
比較器143の反転入力端子、非反転入力端子には、夫々、出力端子電圧VG、判定電圧VREF2が入力され、比較器143は電圧VG及びVREF2の比較結果に応じた信号Sbを出力する。即ち、比較器143は、出力端子電圧VGが判定電圧VREF2よりも低い場合にはハイレベルの信号Sbを出力する一方、出力端子電圧VGが判定電圧VREF2よりも高い場合にはローレベルの信号Sbを出力する。出力端子電圧VGが判定電圧VREF2とちょうど一致するとき、信号Sbはローレベル又はハイレベルとなる。
判定部145には、制御回路120からの駆動制御信号SCNTと比較器141及び142からの信号Sa及びSbとが入力され、判定部145は、それらの信号に基づき天絡又は地絡の発生有無を判断して、その判断結果を示す異常判定信号Scを出力する。保護回路140Aにおいて、天絡又は地絡が発生していると判断されていない場合には、異常判定信号Scはローレベルとされる。
天絡が生じていないときにおいてドライブ回路130Aが出力ロー状態とされていたならば、出力端子電圧VGは相応に低いレベル、即ち、ローレベルとなるはずである。仮に、天絡が生じているときにドライブ回路130Aが出力ロー状態であると、天絡に基づく比較的大きな電流がトランジスタ132を通じて流れるため、トランジスタ132のドレイン電流に比例する出力端子電圧VGが判定電圧VREF1以上となることが想定される。これに注目して天絡の検出有無を行う。但し、ノイズや過渡応答の影響を排除するため、判定部145にタイマを設けて天絡検出に利用する。
即ち、判定部145は、駆動制御信号SCNTがハイレベルからローレベルに切り替わってから所定時間TTH1が経過しても信号Saがハイレベルであるときに(即ち、ドライブ回路130Aの状態が出力ハイ状態から出力ロー状態へと切り替わってから所定時間TTH1が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF1以下とならないときに)、天絡が発生していると判断する。判定部145は天絡が発生していると判断したとき、異常判定信号Scをハイレベルとする。
また、地絡が生じていないときにおいてドライブ回路130Aが出力ハイ状態とされていたならば、出力端子電圧VGは相応に高いレベル、即ち、ハイレベルとなるはずである。仮に、地絡が生じているときにドライブ回路130Aが出力ハイ状態であると、地絡に基づく比較的大きな電流がトランジスタ131を通じて流れるため、トランジスタ131のドレイン電流に依存する出力端子電圧VGが判定電圧VREF2以下となることが想定される。これに注目して地絡の検出有無を行う。但し、ノイズや過渡応答の影響を排除するため、判定部145にタイマを設けて地絡検出に利用する。
即ち、判定部145は、駆動制御信号SCNTがローレベルからハイレベルに切り替わってから所定時間TTH2が経過しても信号Sbがハイレベルであるときに(即ち、ドライブ回路130Aの状態が出力ロー状態から出力ハイ状態へと切り替わってから所定時間TTH2が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF2以上とならないときに)、地絡が発生していると判断する。判定部145は地絡が発生していると判断したとき、異常判定信号Scをハイレベルとする。上記の所定時間TTH1と所定時間TTH2は互いに同じであっても良いし、互いに異なっていても良い。
異常判定信号Scが一旦ハイレベルとされると、以後、ドライブ回路130A及び保護回路140Aを含むドライブ装置100に対し所定のリセット信号が入力されるまで、又は、当該ドライブ装置100への電源電圧VCCの入力が遮断されるまで、異常判定信号Scでのハイレベルは維持される。或いは、異常判定信号Scがローレベルからハイレベルへと切り替わった後、所定のクールダウン時間が経過すると、異常判定信号Scがローレベルに戻るようにしても良い。
ドライブ回路130Aは、異常判定信号Scがハイレベルであるとき駆動制御信号SCNTに依らずHi-Z状態とされる。即ち、保護回路140Aは、天絡又は地絡が発生していると判断した場合に、ハイレベルの異常判定信号Scの出力を通じて、ドライブ回路130Aを駆動制御信号SCNTに依らずにHi-Z状態(第3状態)とする保護動作を行う。ドライブ回路130AにおけるHi-Z状態とは、トランジスタ131及び132の双方がオフ状態とされることを指す。
トランジスタ131及び132の何れか一方がオンとなっているとき、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130Aのインピーダンスは十分に低い(例えば数100ミリΩ)。これに対し、トランジスタ131及び132の双方がオフとなっているとき、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130Aのインピーダンスは、トランジスタ131及び132の何れか一方がオンとなっているときよりも遥かに高くなっている(例えば数100メガΩ)。このため、天絡又は地絡が発生していたとしても過大な電流の継続的な入出力が抑制され、ドライブ回路130Aを含むドライブ装置100の破損や劣化を抑制することが可能となる。
図4において、制御回路120及び保護回路140Aはドライブ回路130Aの状態を制御する状態制御部を構成していると言え、状態制御部によりドライブ回路130Aの状態が出力ロー状態(第1状態)、出力ハイ状態(第2状態)及びHi-Z状態(第3状態)の何れかに制御される。ドライブ回路130Aの状態が出力ハイ状態から出力ロー状態へと切り替わってから所定時間TTH1が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF1以下とならないとき、又は、ドライブ回路130Aの状態が出力ロー状態から出力ハイ状態へと切り替わってから所定時間TTH2が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF2以上とならないとき、状態制御部によりドライブ回路130Aの状態がHi-Z状態とされる。
尚、図4では、異常判定信号Scがプリドライバ133に供給される構成が採用されているが、異常判定信号Scをプリドライバ133ではなく制御回路120に出力するようにし、異常判定信号Scがハイレベルであるとき、ドライブ回路130Aの状態をHi-Z状態とする保護動作を制御回路120が主体となって実行するようにしても良い。
また、実施例EX1_1において、天絡保護及び地絡保護の何れか一方だけを行うようにしても良い。天絡保護だけ行う場合には、保護回路140Aにおいて、比較器143及び電圧源144が削除され、信号Sbは常にローレベルであるとみなされる。逆に、地絡保護だけ行う場合には、保護回路140Aにおいて、比較器141及び電圧源142が削除され、信号Saは常にローレベルであるとみなされる。
[実施例EX1_2]
実施例EX1_2を説明する。図6に、実施例EX1_2に係るドライブ回路130B及び保護回路140Bの構成を示す。実施例EX1_2では、図6のドライブ回路130B及び保護回路140Bが、図1のドライブ回路130及び保護回路140として用いられる。
図6のドライブ回路130Bは、互いに直列接続されたプルアップ抵抗134及びトランジスタ135と、プリドライバ136と、を備える。トランジスタ135はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。プルアップ抵抗134の抵抗値(例えば数100Ω~数100キロΩ)はトランジスタ135のオン抵抗の抵抗値(例えば数100ミリΩ)よりも随分と大きい。プルアップ抵抗134及びトランジスタ135の直列回路に対して駆動用電圧VDRVが印加される。より具体的には、プルアップ抵抗134の一端に駆動用電圧VDRVが加えられ、プルアップ抵抗134の他端とトランジスタ135のドレインが互いに共通接続され、トランジスタ135のソースはグランドGNDに接続される。プルアップ抵抗134の他端とトランジスタ135のドレインとの接続ノードが出力ラインOL及び出力端子TM1に接続される。
プリドライバ136には、制御回路120からの駆動制御信号SCNTと保護回路140Bからの異常判定信号Scとが入力される。ローレベルの異常判定信号Scは天絡の発生が検出されていないことを示す。プリドライバ136は、異常判定信号Scがローレベルであるときには、制御回路120からの駆動制御信号SCNTに従って、トランジスタ135のオン、オフを制御する。
即ち、異常判定信号Scがローレベルであって且つ駆動制御信号SCNTがローレベルであるとき、プリドライバ136は、トランジスタ135にハイレベル信号を供給することでトランジスタ135をオンとする。ドライブ回路130Bにおいては、トランジスタ135がオンである状態が出力ロー状態(第1状態)に相当する。ドライブ回路130Bの状態が出力ロー状態であるとき、異常が無ければ出力端子電圧VGのレベルはローレベルとなる(但し過渡状態を無視)。
異常判定信号Scがローレベルであって且つ駆動制御信号SCNTがハイレベルであるとき、プリドライバ136は、トランジスタ135にローレベル信号を供給することでトランジスタ135をオフとする。ドライブ回路130Bにおいては、トランジスタ135がオフである状態が出力ハイ状態(第2状態)に相当する。ドライブ回路130Bの状態が出力ハイ状態であるとき、異常が無ければ出力端子電圧VGのレベルはハイレベルとなる(但し過渡状態を無視)。尚、ここでは、プルアップ抵抗134を介して定常的に電流を引き込まない部品が出力端子TM1に接続されることを想定している(例えば、ドライブ装置100の外部に設けられたMOSFETのゲートが出力端子TM1に接続される)。
保護回路140Bは、比較器141、電圧源142及び判定部146を備える。保護回路140Bにおける比較器141及び電圧源142は、保護回路140A(図4参照)における比較器141及び電圧源142と同じものであり、実施例EX1_1における比較器141及び電圧源142に関する説明は、実施例EX1_2にも適用される。
故に、比較器141は、出力端子電圧VGが判定電圧VREF1よりも高い場合にはハイレベルの信号Saを出力する一方、出力端子電圧VGが判定電圧VREF1よりも低い場合にはローレベルの信号Saを出力する。出力端子電圧VGが判定電圧VREF1とちょうど一致するとき、信号Saはローレベル又はハイレベルとなる。
判定部146には、制御回路120からの駆動制御信号SCNTと比較器141からの信号Saとが入力され、判定部146は、それらの信号に基づき天絡の発生有無を判断して、その判断結果を示す異常判定信号Scを出力する。保護回路140Bにおいて、天絡が発生していると判断されていない場合には、異常判定信号Scはローレベルとされる。
天絡が生じていないときにおいてドライブ回路130Bが出力ロー状態とされていたならば、出力端子電圧VGは相応に低いレベル、即ち、ローレベルとなるはずである。仮に、天絡が生じているときにドライブ回路130Bが出力ロー状態であると、天絡に基づく比較的大きな電流がトランジスタ135を通じて流れるため、トランジスタ135のドレイン電流に比例する出力端子電圧VGが判定電圧VREF1以上となることが想定される。これに注目して天絡の検出有無を行う。但し、ノイズや過渡応答の影響を排除するため、判定部146にタイマを設けて天絡検出に利用する。
即ち、判定部146は、駆動制御信号SCNTがハイレベルからローレベルに切り替わってから所定時間TTH1が経過しても信号Saがハイレベルであるときに(即ち、ドライブ回路130Bの状態が出力ハイ状態から出力ロー状態へと切り替わってから所定時間TTH1が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF1以下とならないときに)、天絡が発生していると判断する。判定部146は天絡が発生していると判断したとき、異常判定信号Scをハイレベルとする。
異常判定信号Scが一旦ハイレベルとされると、以後、ドライブ回路130B及び保護回路140Bを含むドライブ装置100に対し所定のリセット信号が入力されるまで、又は、当該ドライブ装置100への電源電圧VCCの入力が遮断されるまで、異常判定信号Scでのハイレベルは維持される。或いは、異常判定信号Scがローレベルからハイレベルへと切り替わった後、所定のクールダウン時間が経過すると、異常判定信号Scがローレベルに戻るようにしても良い。
ドライブ回路130Bは、異常判定信号Scがハイレベルであるとき駆動制御信号SCNTに依らず出力ハイ状態とされる。即ち、保護回路140Bは、天絡が発生していると判断した場合に、ハイレベルの異常判定信号Scの出力を通じて、ドライブ回路130Bを駆動制御信号SCNTに依らずに出力ハイ状態(第2状態)とする保護動作を行う。
トランジスタ135がオンとなっているとき、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130Bのインピーダンスは十分に低い(例えば数100ミリΩ)。これに対し、トランジスタ135がオフとなっているとき、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130Bのインピーダンスは、トランジスタ135がオンとなっているときよりも遥かに高くなっている(プルアップ抵抗134の抵抗値と一致する)。このため、天絡が発生していたとしても過大な電流の継続的な入力が抑制され、ドライブ回路130Bを含むドライブ装置100の破損や劣化を抑制することが可能となる。
図6において、制御回路120及び保護回路140Bはドライブ回路130Bの状態を制御する状態制御部を構成していると言え、状態制御部によりドライブ回路130Bの状態が出力ロー状態(第1状態)及び出力ハイ状態(第2状態)の何れかに制御される。ドライブ回路130Bの状態が出力ハイ状態から出力ロー状態へと切り替わってから所定時間TTH1が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF1以下とならないとき、状態制御部によりドライブ回路130Bの状態が出力ハイ状態とされる。
尚、図6では、異常判定信号Scがプリドライバ136に供給される構成が採用されているが、異常判定信号Scをプリドライバ136ではなく制御回路120に出力するようにし、異常判定信号Scがハイレベルであるとき、ドライブ回路130Bの状態を出力ハイ状態とする保護動作を制御回路120が主体となって実行するようにしても良い。
[実施例EX1_3]
実施例EX1_3を説明する。図7に、実施例EX1_3に係るドライブ回路130C及び保護回路140Cの構成を示す。実施例EX1_3では、図7のドライブ回路130C及び保護回路140Cが、図1のドライブ回路130及び保護回路140として用いられる。
図7のドライブ回路130Cは、互いに直列接続されたトランジスタ137及びプルダウン抵抗138と、プリドライバ139と、を備える。トランジスタ137はPチャネル型のMOSFETとして構成されている。但し、トランジスタ137をNチャネル型のMOSFETとして構成する変形も可能である。プルダウン抵抗138の抵抗値(例えば数100Ω~数100キロΩ)はトランジスタ137のオン抵抗の抵抗値(例えば数100ミリΩ)よりも随分と大きい。トランジスタ137及びプルダウン抵抗138の直列回路に対して駆動用電圧VDRVが印加される。より具体的には、トランジスタ137のソースに駆動用電圧VDRVが加えられ、トランジスタ137のドレインとプルダウン抵抗138の一端とが互いに共通接続され、プルダウン抵抗138の他端はグランドGNDに接続される。トランジスタ137のドレインとプルダウン抵抗138の一端との接続ノードが出力ラインOL及び出力端子TM1に接続される。
プリドライバ139には、制御回路120からの駆動制御信号SCNTと保護回路140Cからの異常判定信号Scとが入力される。ローレベルの異常判定信号Scは地絡の発生が検出されていないことを示す。プリドライバ139は、異常判定信号Scがローレベルであるときには、制御回路120からの駆動制御信号SCNTに従って、トランジスタ137のオン、オフを制御する。
即ち、異常判定信号Scがローレベルであって且つ駆動制御信号SCNTがローレベルであるとき、プリドライバ139は、トランジスタ137にハイレベル信号を供給することでトランジスタ137をオフとする。ドライブ回路130Cにおいては、トランジスタ137がオフである状態が出力ロー状態(第1状態)に相当する。ドライブ回路130Cの状態が出力ロー状態であるとき、異常が無ければ出力端子電圧VGのレベルはローレベルとなる(但し過渡状態を無視)。尚、ここでは、プルダウン抵抗138を介しグランドGNDに向けて定常的に電流を流すことのない部品が出力端子TM1に接続されることを想定している(例えば、ドライブ装置100の外部に設けられたMOSFETのゲートが出力端子TM1に接続される)。
異常判定信号Scがローレベルであって且つ駆動制御信号SCNTがハイレベルであるとき、プリドライバ139は、トランジスタ137にローレベル信号を供給することでトランジスタ137をオンとする。ドライブ回路130Cにおいては、トランジスタ137がオンである状態が出力ハイ状態(第2状態)に相当する。ドライブ回路130Cの状態が出力ハイ状態であるとき、異常が無ければ出力端子電圧VGのレベルはハイレベルとなる(但し過渡状態を無視)。
保護回路140Cは、比較器143、電圧源144及び判定部147を備える。保護回路140Cにおける比較器143及び電圧源144は、保護回路140A(図4参照)における比較器143及び電圧源144と同じものであり、実施例EX1_1における比較器143及び電圧源144に関する説明は、実施例EX1_3にも適用される。
故に、比較器143は、出力端子電圧VGが判定電圧VREF2よりも低い場合にはハイレベルの信号Sbを出力する一方、出力端子電圧VGが判定電圧VREF2よりも高い場合にはローレベルの信号Sbを出力する。出力端子電圧VGが判定電圧VREF2とちょうど一致するとき、信号Sbはローレベル又はハイレベルとなる。
判定部147には、制御回路120からの駆動制御信号SCNTと比較器143からの信号Sbとが入力され、判定部147は、それらの信号に基づき地絡の発生有無を判断して、その判断結果を示す異常判定信号Scを出力する。保護回路140Cにおいて、地絡が発生していると判断されていない場合には、異常判定信号Scはローレベルとされる。
地絡が生じていないときにおいてドライブ回路130Cが出力ハイ状態とされていたならば、出力端子電圧VGは相応に高いレベル、即ち、ハイレベルとなるはずである。仮に、地絡が生じているときにドライブ回路130Cが出力ハイ状態であると、地絡に基づく比較的大きな電流がトランジスタ137を通じて流れるため、トランジスタ137のドレイン電流に依存する出力端子電圧VGが判定電圧VREF2以下となることが想定される。これに注目して地絡の検出有無を行う。但し、ノイズや過渡応答の影響を排除するため、判定部147にタイマを設けて地絡検出に利用する。
即ち、判定部147は、駆動制御信号SCNTがローレベルからハイレベルに切り替わってから所定時間TTH2が経過しても信号Sbがハイレベルであるときに(即ち、ドライブ回路130Cの状態が出力ロー状態から出力ハイ状態へと切り替わってから所定時間TTH2が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF2以上とならないときに)、地絡が発生していると判断する。判定部147は地絡が発生していると判断したとき、異常判定信号Scをハイレベルとする。
異常判定信号Scが一旦ハイレベルとされると、以後、ドライブ回路130C及び保護回路140Cを含むドライブ装置100に対し所定のリセット信号が入力されるまで、又は、当該ドライブ装置100への電源電圧VCCの入力が遮断されるまで、異常判定信号Scでのハイレベルは維持される。或いは、異常判定信号Scがローレベルからハイレベルへと切り替わった後、所定のクールダウン時間が経過すると、異常判定信号Scがローレベルに戻るようにしても良い。
ドライブ回路130Cは、異常判定信号Scがハイレベルであるとき駆動制御信号SCNTに依らず出力ロー状態とされる。即ち、保護回路140Cは、地絡が発生していると判断した場合に、ハイレベルの異常判定信号Scの出力を通じて、ドライブ回路130Cを駆動制御信号SCNTに依らずに出力ロー状態(第1状態)とする保護動作を行う。
トランジスタ137がオンとなっているとき、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130Cのインピーダンスは十分に低い(例えば数100ミリΩ)。これに対し、トランジスタ137がオフとなっているとき、出力端子TM1及び出力ラインOLから見たドライブ回路130Cのインピーダンスは、トランジスタ137がオンとなっているときよりも遥かに高くなっている(プルダウン抵抗138の抵抗値と一致する)。このため、地絡が発生していたとしても過大な電流の継続的な出力が抑制され、ドライブ回路130Cを含むドライブ装置100の破損や劣化を抑制することが可能となる。
図7において、制御回路120及び保護回路140Cはドライブ回路130Cの状態を制御する状態制御部を構成していると言え、状態制御部によりドライブ回路130Cの状態が出力ロー状態(第1状態)及び出力ハイ状態(第2状態)の何れかに制御される。ドライブ回路130Cの状態が出力ロー状態から出力ハイ状態へと切り替わってから所定時間TTH2が経過しても出力端子電圧VGが判定電圧VREF2以上とならないとき、状態制御部によりドライブ回路130Cの状態が出力ロー状態とされる。
尚、図7では、異常判定信号Scがプリドライバ139に供給される構成が採用されているが、異常判定信号Scをプリドライバ139ではなく制御回路120に出力するようにし、異常判定信号Scがハイレベルであるとき、ドライブ回路130Cの状態を出力ロー状態とする保護動作を制御回路120が主体となって実行するようにしても良い。
<<第2実施形態>>
本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態並びに後述の第3~第5実施形態は第1実施形態を基礎とする実施形態であり、第2~第5実施形態において特に述べない事項に関しては、矛盾の無い限り、第1実施形態の記載が第2~第5実施形態にも適用される。第2実施形態において、第1及び第2実施形態間で矛盾する事項については第2実施形態の記載が優先されて良い(後述の第3~第5実施形態についても同様)。矛盾の無い限り、第1~第5実施形態の内、任意の複数の実施形態を組み合わせても良い。
第2実施形態では第1実施形態で示したドライブ装置100の用途の例を説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係る絶縁同期整流型DC/DCコンバータ1(以下、DC/DCコンバータ1と略記され得る)の全体構成図である。DC/DCコンバータ1は、フライバック方式のDC/DCコンバータであり、入力端子P1に加わる直流の入力電圧VINから、所望の目標電圧VTGに安定化された直流の出力電圧VOUTを生成する。
DC/DCコンバータ1は、互いに電気的に絶縁された一次側回路と二次側回路とから成り、一次側回路におけるグランドは“GND1”にて参照され、二次側回路におけるグランドは“GND2”にて参照される。一次側回路及び二次側回路の夫々において、グランドは0V(ゼロボルト)の基準電位を有する導電部(所定電位点)を指す又は基準電位そのものを指す。但し、グランドGND1とグランドGND2は互いに絶縁されているため、互いに異なる電位を有し得る。
DC/DCコンバータ1における一対の出力端子P2及びP3の内、出力端子P3はグランドGND2に接続され、出力端子P3の電位(即ちグランドGND2の電位)から見て出力端子P2に出力電圧VOUTが加わる。DC/DCコンバータ1は、出力端子P2及びP3間に接続された任意の負荷(不図示)に出力電圧VOUTを供給することができる。
DC/DCコンバータ1は、一次側巻線W1及び二次側巻線W2を有するトランスTRを備える。トランスTRにおいて、一次側巻線W1と二次側巻線W2とは電気的に絶縁されつつ互いに逆極性にて磁気結合されている。
DC/DCコンバータ1の一次側回路には、一次側巻線W1に加えて、一次側制御回路としての一次側制御IC10と、一次側電源回路11と、入力コンデンサCINと、スイッチングトランジスタM1と、センス抵抗RCSと、が設けられる。スイッチングトランジスタM1はNチャネル型のMOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect transistor)として構成されている。一次側制御IC10は半導体集積回路により形成される。一次側巻線W1の他端はスイッチングトランジスタM1のドレインに接続され、スイッチングトランジスタM1のソースはセンス抵抗RCSを介してグランドGND1に接続される。入力端子P1とグランドGND1との間に入力コンデンサCINが設けられ、入力コンデンサCINの両端間に入力電圧VINが加わる。一次側巻線W1の一端は入力端子P1に接続されて直流の入力電圧VINを受ける。一次側電源回路11は、入力電圧VINを直流―直流変換することで所望の電圧値を有する電源電圧VCCを生成して一次側制御IC10に供給する。一次側制御IC10は電源電圧VCCに基づいて駆動する。
第1実施形態に係るドライブ装置100を一次側制御IC10として用いることができる、又は、第1実施形態に係るドライブ装置100を一次側制御IC10の構成要素に含めることができる。一次側制御IC10は、半導体集積回路を樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで形成された電子部品(半導体装置)であり、一次側制御IC10を構成する各回路が半導体にて集積化されている。一次側制御IC10としての電子部品の筐体には、IC10の外部に対して露出した外部端子が複数設けられている。二次側制御IC20も、図2の一次側制御IC10と同様の構造を有する。
一次側制御IC10に設けられる複数の外部端子の一部として、図8には外部端子TM1~TM5が示されている。一次側制御IC10に設けられる外部端子TM1~TM3は、第1実施形態にて示した外部端子TM1~TM3(図1参照)に相当する。外部端子TM1はスイッチングトランジスタM1のゲートに接続される。故に、図1の出力端子電圧VGがスイッチングトランジスタM1のゲート電圧となる。外部端子TM2は、電源端子であり、一次側電源回路11からの電源電圧VCCの入力を受ける。外部端子TM3はグランドGND1に接続される。グランドGND1は第1実施形態におけるグランドGNDに相当する。外部端子TM4、TM5には、夫々、フィードバック信号VFB、電流検出信号VCSが入力される。
一次側制御IC10に対しては実施例EX1_1の構成(図4)が適用される。但し、原理上は、一次側制御IC10に対し、実施例EX1_2又はEX1_3の構成(図6又は図7)を採用することも可能ではある。
DC/DCコンバータ1の二次側回路には、二次側巻線W2に加えて、二次側制御回路としての二次側制御IC20と、フィードバック回路30と、同期整流トランジスタM2と、ダイオードD2と、分圧抵抗R1~R4と、出力コンデンサCOUTと、が設けられる。二次側制御IC20は半導体集積回路により形成される。分圧抵抗R1及びR2により分圧回路DVAが構成され、分圧抵抗R3及びR4により分圧回路DVBが構成される。同期整流トランジスタM2(以下、SRトランジスタM2と称され得る)はNチャネル型のMOSFETとして構成されている。ダイオードD2はSRトランジスタM2の寄生ダイオードである。故に、SRトランジスタM2のソースからドレインに向かう方向を順方向としてダイオードD2がSRトランジスタM2に並列接続されることになる。ダイオードD2は寄生ダイオードとは別に設けられたダイオードであっても良い。
二次側巻線W2の一端は出力端子P2に接続され、故に二次側巻線W2の一端には出力電圧VOUTが加わる。二次側巻線W2の他端はSRトランジスタM2のドレインに接続される。二次側巻線W2の他端での電圧(換言すればSRトランジスタM2のドレイン電圧)を“VDR”にて表す。二次側巻線W2の他端及びSRトランジスタM2のドレイン間の接続ノードは分圧抵抗R1の一端に接続され、分圧抵抗R1の他端は分圧抵抗R2を介してグランドGND2に接続される。このため、分圧抵抗R1及びR2間の接続ノードND1には、分圧回路DVAによる電圧VDRの分圧VAが加わる。一方、出力電圧VOUTが加わる出力端子P2は分圧抵抗R3の一端に接続され、分圧抵抗R3の他端は分圧抵抗R4を介してグランドGND2に接続される。このため、分圧抵抗R3及びR4間の接続ノードND2には、分圧回路DVBによる出力電圧VOUTの分圧VBが加わる。
SRトランジスタM2のソースはグランドGND2に接続される。また、出力端子P2及びP3間に出力コンデンサCOUTが設けられ、出力コンデンサCOUTの両端間に出力電圧VOUTが加わる。出力コンデンサCOUTとDC/DCコンバータ1の負荷(不図示)との間に、過電流の発生を検知するための抵抗が挿入されても良い。
二次側制御IC20は、出力電圧VOUTを駆動電圧として用い、電圧VAに基づき、又は、電圧VA及びVBに基づき、SRトランジスタM2のゲート電圧を制御することによりSRトランジスタM2のオン、オフを制御する。この際、トランジスタM1及びM2が同時にオンとならないようにSRトランジスタM2のゲート電圧が制御される。SRトランジスタM2の制御方法として公知の方法を含む任意の方法を利用できる。例えば、SRトランジスタM2がオフ状態であることを起点に考えると、二次側制御IC20は、電圧VAが所定の負のターンオン判定電圧(例えば-100mV)以下となったことを受けてSRトランジスタM2をターンオンし、その後、電圧VAが所定の負のターンオフ判定電圧(例えば-10mV)以上となったことを受けてSRトランジスタM2をターンオフする。ターンオフ判定電圧はターンオン判定電圧よりも高い。
DC/DCコンバータ1において、一次側回路と二次側回路とに亘ってフォトカプラ31が設けられている。フォトカプラ31は、二次側回路に配置された発光素子と、一次側回路に配置された受光素子と、を有する。フォトカプラ31の発光素子は、出力電圧VOUTにて、又は、出力電圧VOUTの分圧にてバイアスされており、フィードバック回路30は、出力電圧VOUTが所望の目標電圧VTGに追従するようにフォトカプラ31の発光素子を駆動する。例えば、フィードバック回路30は、図8に示す如くノードND2に接続され、出力電圧VOUTの分圧VBに基づき、出力電圧VOUT及び目標電圧VTG間の誤差に応じた電流をフォトカプラ31の発光素子に供給する。フィードバック回路30はシャントレギュレータやエラーアンプ等にて構成される。
一次側制御IC10はフォトカプラ31の受光素子に接続され、フォトカプラ31の受光素子に流れるフィードバック電流IFBに応じたフィードバック信号VFBが一次側制御IC10に入力される。また、センス抵抗RCSでの電圧降下に相当する電流検出信号VCSも一次側制御IC10に入力される。
一次側制御IC10はスイッチングトランジスタM1のゲートに接続され、スイッチングトランジスタM1のゲートにパルス信号を供給することでスイッチングトランジスタM1をスイッチング駆動する。パルス信号は、信号レベルがローレベル及びハイレベル間で切り替わる矩形波状の信号である。トランジスタM1のゲートにローレベル、ハイレベルの信号が供給されているとき、トランジスタM1は、夫々、オフ状態、オン状態となる。一次側制御IC10の構成及び制御方式は特に限定されない。例えば、一次側制御IC10は、PWM変調(パルス幅変調)を利用してフィードバック信号VFBに応じたデューティを有するパルス信号をスイッチングトランジスタM1のゲートに供給しても良いし、PFM変調(パルス周波数変調)を利用してフィードバック信号VFBに応じた周波数を有するパルス信号をスイッチングトランジスタM1のゲートに供給しても良い。また例えば、一次側制御IC10は電流モードの変調器であっても良い。この場合例えば、スイッチングトランジスタM1のゲートに供給されるパルス信号のデューティが電流検出信号VCSに応じて調節される。
第1実施形態に係るドライブ装置100と一次側制御IC10との対応関係について述べると、フィードバック信号VFB又は電流検出信号VCSに基づき駆動制御信号SCNTが生成されることになり、天絡又は地絡が発生していないときには、駆動制御信号SCNTに基づくパルス信号がスイッチングトランジスタM1のゲートに供給されることになる。
<<第3実施形態>>
本発明の第3実施形態を説明する。第2実施形態では、DC/DCコンバータ1が絶縁同期整流型DC/DCコンバータであるとしたが、DC/DCコンバータ1は、一次側巻線W1に加わる入力電圧VINからトランスTRの二次側において(即ち二次側回路において)出力電圧VOUTを生成するものであれば任意である。
例えば、図8に示したDC/DCコンバータ1では、いわゆるローサイドアプリケーションが採用されているが、ハイサイドアプリケーションが採用されても良い。ハイサイドアプリケーションが採用されたDC/DCコンバータ1では、SRトランジスタM2が出力端子P2側に設けられ、出力電圧VOUTが加わる出力端子P2とトランスTRの二次側巻線W2との間にSRトランジスタM2が直列に挿入される。この他、本発明の主旨を損なわない形態で、二次側回路におけるSRトランジスタM2の配置位置を変更することが可能である。
また例えば、DC/DCコンバータ1は、整流ダイオードを用いたDC/DCコンバータ(絶縁ダイオード整流型DC/DCコンバータ)であっても良い。この場合、DC/DCコンバータ1において、図8のSRトランジスタM2及び寄生ダイオードD2の代わりに、整流ダイオードを二次側回路に設ける。整流ダイオードは二次側巻線W2と出力コンデンサCOUTと間に挿入され、一次側巻線W1から二次側巻線W2に伝搬された電力を整流する。
また例えば、DC/DCコンバータ1を、フォワード方式の絶縁型DC/DCコンバータとして構成しても良く、この場合にも、同期整流方式及び整流ダイオード方式の何れが採用されても良い。
<<第4実施形態>>
本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態では、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータの用途を説明する。
図9に示す如く、本発明に係る絶縁型DC/DCコンバータを用いたAC/DCコンバータ300を構成して良い。AC/DCコンバータ300は、フィルタ301、整流回路302、平滑コンデンサ303及び絶縁型DC/DCコンバータ304を備える。フィルタ301は、AC/DCコンバータ300に入力された交流電圧VACのノイズを除去する。交流電圧VACは商用交流電圧であって良い。整流回路302は、フィルタ301を通じて供給された交流電圧VACを全波整流するダイオードブリッジ回路である。平滑コンデンサ303は全波整流された電圧を平滑化することで直流電圧を生成する。絶縁型DC/DCコンバータ304は、平滑コンデンサ303にて生成された直流電圧を入力電圧VINとして受け、入力電圧VINを電力変換(直流-直流変換)することで出力電圧VOUTを生成する。第2又は第3実施形態に示されたDC/DCコンバータ1を絶縁型DC/DCコンバータ304として用いることができる。この場合、図8の入力コンデンサCINは平滑コンデンサ303に相当する。
AC/DCコンバータ300を用いて電源アダプタを構成しても良い。図10は、AC/DCコンバータ300を備える電源アダプタ320を示す図である。電源アダプタ320は、AC/DCコンバータ300、プラグ321、筐体322及び出力コネクタ323を備え、筐体322内にAC/DCコンバータ300が収容及び配置される。プラグ321は図示されないコンセントから商用交流電圧VACを受け、AC/DCコンバータ300はプラグ321を通じて入力された商用交流電圧VACから直流の出力電圧VOUTを生成する。出力電圧VOUTが、出力コネクタ323を通じ、図示されない任意の電気機器に供給される。電気機器としては、ノート型パーソナルコンピュータ、情報端末機、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話機(スマートフォンに分類されるものを含む)、携帯オーディオプレイヤなどが例示される。
AC/DCコンバータ300を備える電気機器を構成しても良い。図11(a)及び(b)は、AC/DCコンバータ300を備える電気機器340を示す図である。図11(a)及び(b)に示される電気機器340はディスプレイ装置であるが、電気機器340の種類は特に限定されず、オーディオ機器、冷蔵庫、洗濯機、掃除機など、AC/DCコンバータを内蔵する機器であれば任意である。電気機器340は、AC/DCコンバータ300、プラグ341、筐体342及び負荷343を備え、筐体322内にAC/DCコンバータ300及び負荷343が収容及び配置される。プラグ341は図示されないコンセントから商用交流電圧VACを受け、AC/DCコンバータ300はプラグ341を通じて入力された商用交流電圧VACから直流の出力電圧VOUTを生成する。生成された出力電圧VOUTは負荷343に供給される。負荷343は、出力電圧VOUTに基づいて駆動する任意の負荷であって良く、例えば、マイコンコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)、電源回路、照明機器、アナログ回路又はデジタル回路である。
<<第5実施形態>>
本発明の第5実施形態を説明する。第5実施形態では、第1~第4実施形態に対する幾つかの変形技術等を説明する。
上述したように、一次側制御IC10の各回路素子は半導体集積回路の形態で形成され、当該半導体集積回路を樹脂にて構成された筐体(パッケージ)内に封入することで半導体装置が構成される。但し、複数のディスクリート部品を用いて一次側制御IC10内の回路と同等の回路を構成するようにしても良い。ドライブ装置100についても同様である。一次側制御IC10内に含まれるものとして上述した任意の幾つかの回路素子は、一次側制御IC10外に設けられて一次側制御IC10に外付け接続されても良い。逆に、一次側制御IC10外に設けられるものとして上述した幾つかの回路素子を、一次側制御IC10内に設けるようにしても良い。
任意の信号又は電圧に関して、上述の主旨を損なわない形で、それらのハイレベルとローレベルの関係を逆にしても良い。
FETの型をNチャネル型及びPチャネル型間で入れ替える変形も可能である。
ドライブ装置100又は一次側制御IC10は、出力端子TM1の電圧レベルをハイレベル及びローレベル間で切り替える必要のある任意の用途に利用可能である。特に例えば、ドライブ装置100又は一次側制御IC10は対象トランジスタのゲートを駆動するためのゲートドライブ装置として機能して良い。図8の構成における対象トランジスタは、絶縁型DC/DCコンバータ1の一次側回路に設けられたスイッチングトランジスタM1であるが、本発明において、対象トランジスタは、これに限定されない。
例えば、図12に示す如く、所定の直流電源電圧V1が加わるライン401と負荷402との間に直列に挿入された出力トランジスタ403を制御することで出力トランジスタ403を通じ負荷402に電力する負荷駆動装置400において、出力トランジスタ403を対象トランジスタとして取り扱うことができる。当該負荷駆動装置400において、ドライブ装置100又は一次側制御IC10と同等の構成をゲートドライブ装置404に持たせて、ゲートドライブ装置404を用いて出力トランジスタ403のゲートを駆動すると良い。ゲートドライブ装置404の出力端子TM1が出力トランジスタ403のゲートに接続され、ゲートドライブ装置404は出力トランジスタ403のゲートにパルス信号(電圧VG)を供給することで出力トランジスタ403をスイッチング駆動することができる。
図12の構成においては、対象トランジスタ(403)と負荷(402)とが直列接続され、対象トランジスタ(403)がオンであるときに対象トランジスタを通じて直流電源電圧V1に基づく電流が負荷(402)に供給されることになる。
或いは例えば、非絶縁型のスイッチング電源回路におけるスイッチングトランジスタを対象トランジスタとして、当該対象トランジスタに対し、ドライブ装置100又は一次側制御IC10と同等の構成を有するゲートドライブ装置を適用しても良い。
例として、図13に非絶縁昇圧型DC/DCコンバータ420を示す。非絶縁昇圧型DC/DCコンバータ420は、符号421~427によって参照される各部位を備える。非絶縁昇圧型DC/DCコンバータ420では、インダクタ421の一端に所定の直流入力電圧V1が印加され、インダクタ421の他端がNチャネル型のMOSFETとして構成されたスイッチングトランジスタ422のドレインに接続されると共にダイオード423のアノードに接続される。ダイオード423のカソードは平滑コンデンサ424の一端に接続される。平滑コンデンサ424の他端及びスイッチングトランジスタ422のソースは0Vの基準電位を有するグランドに接続される。ダイオード423のカソードと平滑コンデンサ424との接続ノードに直流の出力電圧V2が表れる。分圧抵抗425及び426を用いて出力電圧V2に応じたフィードバック電圧がゲートドライブ装置427に供給される。ゲートドライブ装置427は、フィードバック電圧に基づき、出力電圧V2が電圧V1よりも高い所望の目標電圧にて安定化するようにスイッチングトランジスタ422のゲートにパルス信号を供給してスイッチングトランジスタ422をスイッチング駆動する。この際、スイッチングトランジスタ422を対象トランジスタとして取り扱い、ドライブ装置100又は一次側制御IC10と同等の構成をゲートドライブ装置427に適用する。故に、ゲートドライブ装置427の出力端子TM1がトランジスタ422のゲートに接続されて、トランジスタ422のゲートに出力端子電圧VGが加わることになる。
図8の構成及び図13の構成においては、対象トランジスタ(M1又は422)とコイル(W1又は421)とが直列接続され、対象トランジスタがオンであるときに、対象トランジスタ及びコイルを通じて、直流電圧(VIN又はV1)に基づく電流が流れる。ここにおけるコイルは、図8の構成では一次側巻線W1に相当し、図13の構成ではインダクタ421に相当する。
また、本発明に係るドライブ装置100の出力端子TM1に対し、モータ等の負荷を接続するようにしても良い。
上述の各トランジスタは、任意の種類のトランジスタであって良い。例えば、MOSFETとして上述されたトランジスタを、接合型FET、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)又はバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。任意のトランジスタは第1電極、第2電極及び制御電極を有する。FETにおいては、第1及び第2電極の内の一方がドレインで他方がソースであり且つ制御電極がゲートである。IGBTにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がゲートである。IGBTに属さないバイポーラトランジスタにおいては、第1及び第2電極の内の一方がコレクタで他方がエミッタであり且つ制御電極がベースである。
但し、上述の対象トランジスタとしては、MOSFETを含むFET又はIGBTなどの電圧制御型の出力トランジスタ(即ち、制御電極における電圧に応じて第1及び第2電極間に流れる電流が制御されるトランジスタ)が好適であるが、バイポーラトランジスタも対象トランジスタになり得る。
本発明の実施形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。以上の実施形態は、あくまでも、本発明の実施形態の例であって、本発明ないし各構成要件の用語の意義は、以上の実施形態に記載されたものに制限されるものではない。上述の説明文中に示した具体的な数値は、単なる例示であって、当然の如く、それらを様々な数値に変更することができる。