JP7189482B2 - フルオロポリエーテル基含有シラン化合物 - Google Patents

フルオロポリエーテル基含有シラン化合物 Download PDF

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Description

本開示は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物に関する。
ある種の含フッ素シラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを提供し得ることが知られている。含フッ素シラン化合物を含む表面処理剤から得られる層(以下、「表面処理層」とも言う)は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、建築資材など種々多様な基材に施されている。
そのような含フッ素化合物として、フルオロポリエーテル基を分子主鎖に有し、Si原子に結合した加水分解可能な基を分子末端又は末端部に有するフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が知られている(特許文献1)。
特開2000-327772号公報
上記のような表面処理層は、さらに高い摩擦耐久性が求められる。
本開示は、下記の態様を含む。
[1] 下記式(A1)又は(A2):
Figure 0007189482000001
[式中:
F1は、Rf-R-O-で表され;
F2は、-Rf -R-O-で表され;
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
で表される基であり;
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e、又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり;
pは、0又は1であり;
qは、独立して、0又は1であり;
は、それぞれ独立して、-X1a r1-Z-X1b r2-で表される基であり;
1aは、2価の有機基であり;
は、ヘテロアリーレン基であり;
1bは、2価の有機基であり;
r1は、0又は1であり;
r2は、0又は1であり;
Siは、それぞれ独立して、下記式(S1):
Figure 0007189482000002
(式中:
は、単結合、酸素原子、又は2価の有機基であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
nは、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(A1)及び(A2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのnは1である。)
で表される基であり;
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ベンジル基、メトキシフェニルベンジル基、ベンゾイル基、トリチル基、-SiR71 、又は-(R72-O)n7-R73であり、
71は、それぞれ独立して、C1-4アルキル基であり、
72は、それぞれ独立して、C1-4アルキレン基であり、
n7は、それぞれ独立して、1~10の整数であり;
73は、それぞれ独立して、水素原子、又は環構造を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。]
で表される、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[2] Rは、それぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
[式中:
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である、上記[1]に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[3] Rは、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)又は(f5):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは、0又は1である。]
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される、上記[1]又は[2]に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[4] Zは、N原子を含む5員のヘテロ環である、上記[1]~[3]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[5] Zは、2つ以上のヘテロ原子を有する5員のヘテロ環である、上記[1]~[4]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[6] 前記ヘテロ原子は、2つ以上のN原子を含む、上記[1]~[5]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[7] 前記ヘテロ原子は、少なくとも1つのN原子及び少なくとも1つのN原子以外のヘテロ原子である、上記[5]又は[6]に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[8] 前記N原子以外のヘテロ原子は、O原子である、上記[7]に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[9] X1a及びX1bは、それぞれ独立して、-(R51p5-(X51q5
[式中:
51は、-(CHs5-を表し;
s5は、1~20の整数であり;
51は、-(X52l5-を表し;
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-C(O)O-、-CONR54-、-O-CONR54-、及び-NR54-からなる群から選択される基を表し;
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し;
l5は、1~10の整数であり;
p5は、0又は1であり;
q5は、0又は1であり;
ただし、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される2価の有機基である、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[10] X1a及びX2bは、それぞれ独立して、C1-20アルキレン基である、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[11] r1は0であり、r2は1である、上記[1]~[10]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[12] r1は0であり、r2は1であり、X1bは-(CHs5-であり、s5は1~3の整数である、上記[1]~[11]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物。
[13] 上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、及び、該フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、表面処理剤。
[14] 上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する、表面処理剤。
[15] 基材と、該基材の表面に、上記[1]~[12]のいずれか1項に記載のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、又は上記[13]又は[14]に記載の表面処理剤から形成された層とを含む物品。
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、優れた摩擦耐久性を有する表面処理層を形成することができる。
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基又はその誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。
本明細書において用いられる場合、「2価の有機基」としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素及び水素を含む基であって、分子から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つ又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素原子数1~20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状又は環状のいずれであってもよく、飽和又は不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つ又はそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端又は分子鎖中に、1つ又はそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個又はそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基及び5~10員のヘテロアリール基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において、アルキル基及びフェニル基は、特記しない限り、非置換であっても、置換されていてもよい。かかる基の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において、「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
(フルオロポリエーテル基含有シラン化合物)
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(A1)又は(A2):
Figure 0007189482000003
で表される化合物である。
式(A1)において、RF1は、Rf-R-O-で表される。
式(A2)において、RF2は、-Rf -R-O-で表される。
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
上記Rfは、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF、又は-CFCFCFである。
Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
上記1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
上記Rfは、好ましくは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖又は分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF-、-CFCF-、又は-CFCFCF-である。
上記式において、pは、0又は1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
上記式において、qは、各出現においてそれぞれ独立して、0又は1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
上記式(A1)及び(A2)において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、以下の式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
[式中:
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり、
a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上である。a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表されるフルオロポリエーテル基である。尚、Rとして記載される構造は、式(A1)においては左側がRfで表される構造に結合し、式(A2)においては左側がRfで表される構造に結合する。
Faは、好ましくは、水素原子又はフッ素原子であり、より好ましくは、フッ素原子である。
a、b、c、d、e及びfは、好ましくは、それぞれ独立して、0~100の整数であってもよい。
a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは60以下であり、例えば50以下又は30以下であってもよい。
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。例えば、-(OC12)-は、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等であってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCFCFCF)-である。-(OC10)-は、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等であってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び-(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-及び-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCF)-である。また、-(OC)-は、-(OCFCF)-及び-(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
一の態様において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)又は(f5):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0又は1、好ましくは1である。]
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、e及びfの和は2以上であり、
添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCF又はOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である。
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。一の態様において、eは、1である。別の態様において、eは0である。上記式(f1)において-(OC-は、好ましくは、-(OCFCFCF-又は-(OCF(CF)CF-で表される基であり、より好ましくは、-(OCFCFCF-で表される基である。
上記式(f2)において、e及びfは、それぞれ独立して、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上又は20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC-(OCF-で表される基であってもよい。
上記式(f3)において、Rは、好ましくは、OCである。上記(f3)において、Rは、好ましくは、OC、OC及びOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OC及びOCから選択される基である。OC、OC及びOCから独立して選択される2又は3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、及び-OCOCOC-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC、OC、OC、OC10及びOC12は、直鎖又は分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC-OC-又は-(OC-OC-である。
上記式(f4)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
上記式(f5)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、e及びfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f1)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f2)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f3)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f4)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f5)で表される基である。
好ましい態様において、Rは、式(f2):
-(OC-(OC-(OC-(OCF
で表される基である。式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。Rは、より具体的には、-(OC-(OCF-で表される基であり得る。
上記Rにおいて、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、この化合物から得られる硬化層(例えば表面処理層)の滑り性、摩擦耐久性及び耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、表面処理層の滑り性及び摩擦耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、化合物の安定性はより向上する。この場合、fの値は1以上である。
一の態様において、上記e/f比は、好ましくは0.2~0.95であり、より好ましくは0.2~0.9である。
一の態様において、上記e/f比は、好ましくは、0.20以上1.0未満であり、より好ましくは0.20~0.95であり、より好ましくは0.20~0.90、さらに好ましくは、0.40~0.80、特に好ましくは0.50~0.70である。
一の態様において、上記e/f比は、好ましくは0.20~0.80であり、より好ましくは0.30~0.70である。別の態様において、e/f比は0.50~0.80である。
一の態様において、耐熱性の観点から、上記e/f比は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.0~2.0である。
一の態様において、e/f比は、0.2~1.5であり、好ましくは0.5~1.1である。
上記Rにおいて、e/f比は、1.0未満であってもよく、0.95以下であってもよく、0.90以下であってもよく、0.90未満であってもよく、例えば0.8以下、0.70以下であってもよい。e/f比は、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.30以上、さらに好ましくは0.40以上、特に好ましくは0.50以上である。e/f比は、例えば、0.20以上1.0未満、例えば、0.20以上0.95以下、0.20以上0.90未満、具体的には0.40以上0.80以下、より具体的には0.50以上0.70以下を挙げることができる。e/f比が低くなり過ぎると、本開示の化合物を用いて形成される硬化層(あるいは硬化膜。以下においても同様)の加水分解性が高くなり、該硬化層の耐久性が低くなることがある。e/f比が高くなりすぎると、本開示の化合物を用いて形成される硬化層の動摩擦係数が高くなり、十分な摩擦耐久性を有する硬化層が得られないことがある。
好ましい態様において、Rは、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
で表される基であり(式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である)、e/f比は、0.20以上1.0未満であり、より好ましくは0.20~0.95であり、より好ましくは0.20~0.90、さらに好ましくは、0.40~0.80、特に好ましくは0.50~0.70である。Rは、より具体的には、-(OC-(OCF-で表される基であり得る。かかるRを有する化合物を用いることにより、該化合物を用いて形成される硬化層の化学的な耐久性(耐ケミカル性)、摩擦耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、又は表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)等が良好になる。これは、上記のようなRを有する化合物を用いることによって、該化合物から形成される硬化層の表面の動摩擦係数が小さくなるためと考えられる。
一の態様において、Rは、
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中:
c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意であり、
e/f比は、0.20~0.80であり、より好ましくは0.30~0.70である。]
で表される基である。
一の態様において、eは、10以上100以下の整数、かつ、fは、11以上100以下の整数であってもよく、eは、15以上70以下の整数、かつ、fは、21以上95以下の整数であってもよい。
一の態様において、e及びfの和は、好ましくは20以上、より好ましくは30以上、特に好ましくは40以上である。
別の態様において、e及びfの和は、好ましくは100以上、より好ましくは120以上、さらに好ましくは130以上、特に好ましくは140以上である。
一の態様において、e及びfの和は、e及びfの和は、好ましくは200以下、より好ましくは180以下、さらに好ましくは160以下、特に好ましくは150以下である。
F1及びRF2部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,500~30,000、さらに好ましくは4,000~30,000である。RF1及びRF2部分の数平均分子量は、例えば、2,500~20,000、2,500~15,000、3,000~15,000、2,000~10,000であってもよい。本明細書において、RF1及びRF2の数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
別の態様において、RF1及びRF2部分の数平均分子量は、500~30,000、好ましくは1,000~20,000、より好ましくは2,000~15,000、さらにより好ましくは2,000~10,000、例えば3,000~6,000であり得る。
別の態様において、RF1及びRF2部分の数平均分子量は、6,000~30,000、好ましくは6,000~20,000、より好ましくは7,000~20,000、さらに好ましく8,000~15,000、特に好ましくは9,000~15,000、より好ましくは10,000~15,000であり得る。RF1及びRF2部分の数平均分子量は、例えば、6,000~15,000の範囲にあってもよい。
一の態様において、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物において、
F1及びRF2部分の数平均分子量が6,000~20,000、及びe/f比が0.50~0.80の範囲にあり;
好ましくは、RF1及びRF2部分の数平均分子量が6,000~15,000、及びe/f比が0.50~0.70の範囲にあり;
より好ましくは、RF1及びRF2部分の数平均分子量が10,000~15,000、及びe/f比が0.50~0.70の範囲にある。
上記の態様において、好ましくは、Rは、-(OC-(OC-(OC-(OCF-で表される基である。ここで、例えば、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eは、20~70範囲にある整数であり、fは、45~120の範囲にある整数である。このようなフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、極めて高い潤滑性と低い動摩擦係数による滑り性を示す硬化層(例えば表面処理層)の形成に寄与し得る。
本開示において、RF1又はRF2で表される基とCRSi (OR11)で表される基とが、-X-で表される基で結合される。ここで、RF1又はRF2で表される基は、主に撥水性及び表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル基を含有する基であり、CRSi (OR11)で表される基は、基材との結合能を提供するシラン部を含む。
は、それぞれ独立して、-X1a r1-Z-X1b r2-:
[式中:
1aは、2価の有機基であり;
は、ヘテロアリーレン基であり;
1bは、2価の有機基であり;
r1は、0又は1であり;
r2は、0又は1である。]
で表される基である。このようなXを有することにより、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び/又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を用いて形成される硬化層の柔軟性、耐摩耗性、基材へのぬれ広がり性、及び、基材との密着性などが良好になり得る。
なお、本明細書において、Xとして記載する構造の左側がRF1又はRF2で表される基と、右側がCRSi (OR11)で表される基と、それぞれ結合する。
1aは、2価の有機基である。
一の態様において、X1aとしては、例えば、下記式:
-(R51p5-(X51q5
[式中:
51は、-(CHs5-であり、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、
51は、-(X52s5-を表し、
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-C(O)O-、-CONR54-、-O-CONR54-、及び-NR54-からなる群から選択される基を表し、好ましくは、-OC(O)-、-NR54CO-、及び-NR54CO-O-からなる群から選択される基を表し、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、好ましくは水素原子であり、
s5は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p5は、0又は1であり、
q5は、0又は1であり、
ここに、p5又はq5を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意であり、p5及びq5の少なくとも一方は1であってもよい。]
で表される2価の有機基が挙げられる。なお、X1aは、右側がZに、左側がRF1又はRF2に結合する。
上記X1a(典型的にはX1aの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、X1aは、これらの基により置換されていない。
一の態様において、上記X1aは、それぞれ独立して、下記式:
-(R51p5-(X51q5-R52
[式中:
51、X51、p5、及びq5は、上記と同意義であり、
52は、単結合、又は-(CHt5-であり、好ましくは-(CHt5-であり、
t5は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。]
で表される基であってもよい。
好ましくは、上記X1aは、それぞれ独立して、
1-20アルキレン基、
-R51-X52-R52-、
-X52-R52-、又は
-X52
であり得る。式中、R51、R52、及びX52は、それぞれ上記と同意義である。
好ましい態様において、上記X1aは、それぞれ独立して、
1-20アルキレン基、
-(CHs5-X52-、又は
-(CHs5-X52-(CHt5
[式中、
52は、-O-、-CONR54-、又は-O-CONR54-であり、好ましくは-CONR54-、又は-O-CONR54-であり、
54は、それぞれ独立して、水素原子、フェニル基又はC1-6アルキル基を表し、好ましくは、水素原子又はメチル基を表し、
s5は、1~20の整数であり、
t5は、1~20の整数である。]
であり得る。
上記の中では、好ましくは、X1aは、-(CHs5-で表され、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、例えば1であってもよい。
上記X1aは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、X1aは、非置換である。
一の態様において、X1aは、それぞれ独立して、-O-C1-6アルキレン基以外であり得る。
上記X1aの具体的な例としては、例えば:
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CO-、
-CONH-、
-CONH-CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CONH-(CH-、
-CON(CH)-(CH)-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(CH)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH)-、
-CON(Ph)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、
-CON(Ph)-(CH-、
-CONH-(CH)NH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CONH-(CHNH(CH-、
-CHO-CONH-(CH)-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-CHO-CONH-(CH-、
-S-(CH-、
-C(O)O-(CH)-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-O(CH-、
-OCFHCF
などが挙げられる。
1bは、2価の有機基である。
1bは、X1aとして上記した基であり得る。なお、X1bは、左側がZに、右側がCRSi(OR11)に結合する。
上記の中では、好ましくは、X1bは、-(CHs5-で表され、
s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、例えば1であってもよい。
r1は、0又は1である。一の態様において、r1は0である。別の態様において、r1は1である。
r2は、0又は1である。一の態様において、r2は0である。別の態様において、r2は1である。
一の態様において、r1及びr2のいずれか一方は1である。
好ましい態様において、r1は0であり、かつr2は1である。
好ましい態様において、r1は0、r2は1、かつX1bは-(CHs5-である。ここで、s5は1~3の整数であり、好ましくは1である。
は、ヘテロアリーレン基である。
好まし態様において、Zは、N原子を含む5員のヘテロ環である。該環構造は、置換基により置換されていてもよい。すなわち、Zは、N原子を含む5つの原子によって構成された環構造(5員環)である。上記のような構造を有することにより、Zを構成する原子間の結合距離、結合角度等が適切な範囲になり、その結果、Zの構造が安定に存在し得ると考えられる。さらに、上記のような構造を有するZは、加水分解の影響を受けにくい点からも、安定性の面で有利であると考えられる。
上記置換基としては、例えば、フッ素原子、C1-3アルキル基及びC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)を挙げることができる。
一の態様において、Zは、非置換である。
好ましくは、Zは、2つ以上のヘテロ原子を有する5員のヘテロ環である。換言すれば、Zは、5つの原子によって構成された環構造(5員環)であり、該5つの原子のうち、2つ以上がヘテロ原子であり、該ヘテロ原子のうち少なくとも1つがN原子である。
一の態様において、上記ヘテロ原子は、2つ以上のN原子を含む。
一の好ましい態様において、ヘテロ原子はすべてN原子である。
一の態様において、上記ヘテロ原子は、少なくとも1つのN原子、及び少なくとも1つのN原子以外のヘテロ原子である。N原子以外のヘテロ原子としては、例えば、O原子、S原子等を挙げることができ、好ましくは、N原子以外のヘテロ原子は、O原子である。
の環構造に含まれるヘテロ原子は、好ましくは1~4つであり、より好ましくは1~3つである。
一の態様において、Zの環構造に含まれるヘテロ原子は、3つである。
好ましい態様において、Zの環構造に含まれるヘテロ原子は、3つであり、2つのN原子及び1つのO原子であるか、あるいは、3つのN原子であり得る。
は、不飽和結合を有していてもよい。換言すると、Zは、N原子を含む5員のヘテロ環であり、該ヘテロ環は不飽和結合を有していてもよい。
一の態様において、Zは、環構造内に2つの二重結合を有し得る。ここで、二重結合としては、例えば、炭素-炭素二重結合、炭素-窒素二重結合を挙げることができる。
一の態様において、Zは、以下のB~Bの5つの原子からなる5員環構造である。B~Bは、それぞれ独立して、C、N、及びOから選ばれる原子であり、B~Bのうち1~3つ、好ましくは2~3つが、それぞれ独立してN又はOである。なお、B~Bのいずれか1つがX1aと結合し(r1=0の場合には、RF1又はRF2と結合する)、別の1つがX1bと結合する(r2=0の場合にはCRSi (OR11)と結合する)。
Figure 0007189482000004
好ましい態様において、B~Bのいずれか1つはNである。
好ましい態様において、B原子がX1aと結合し(r1=0の場合には、RF1又はRF2と結合する)、B原子は、X1bと結合する(r2=0の場合にはCRSi (OR11)と結合する)。かかる態様において、好ましくは、B及びBは、両方がC原子であるか、あるいは、一方がC原子であり、他方がN原子である。好ましくは、B及びBは、両方がC原子である。
好ましい態様において、B及びBの少なくとも一方は、N又はOである。好ましくは、Z中に、1~2個、より好ましくは2個の不飽和結合が存在する。
本態様において、B~Bの各原子に結合している水素原子は、置換されていてもよい。
としては、具体的には、以下の構造を挙げることができる。なお、以下において、「*1」を付した原子は、X1a(又は、RF1又はRF2)と結合し、「*2」を付した原子は、X1b(又は、CRSi (OR11))と結合する。
Figure 0007189482000005
上記の中では、以下の構造が好ましい。
Figure 0007189482000006
一の態様において、Xは、以下の構造で表される。なお、以下において、「*1’」及び「*2’」は結合手であり、「*1’」はRF1又はRF2に結合し、「*2’」はCRSi (OR11)に結合する。
Figure 0007189482000007
好ましくは、Xは、以下の構造で表される。なお、以下において、「*1’」及び「*2’」は結合手であり、「*1’」はRF1又はRF2に結合し、「*2’」はCRSi (OR11)に結合する。
Figure 0007189482000008
上記式中、s51及びs52は、それぞれ独立して、1~3の整数、好ましくは1又は2であり;r1は0又は1、好ましくは0であり;r2は0又は1、好ましくは1であり;ただし、r1及びr2のいずれか一方は1であることが好ましい。
一の態様において、r1は0又は1であり、r2は1であり、好ましくは、r1は0であり、r2は1である。
Siは、それぞれ独立して、水酸基、加水分解性基、水素原子又は1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり、以下の式(S1):
Figure 0007189482000009
[式中:
は、単結合、酸素原子、又は2価の有機基であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
nは、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(A1)及び(A2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのnは1である。]
で表される。
式(S1)において、Xは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、又は2価の有機基である。
好ましい態様において、Xは、2価の有機基である。
は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz11-O-(CHz12-又は、-(CHz13-フェニレン-(CHz14-である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、及びC2-6アルキニル基から選択される1個又はそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
上記z11は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、上記z12は、0~6の整数、例えば1~6の整数である。好ましくは、z11とz12との合計は1以上である。
上記z13は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、上記z14は、0~6の整数、例えば1~6の整数である。好ましくは、z13とz14との合計は1以上である。
は、より好ましくは、C1-6アルキレン基であり、例えば、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Xは、-CHCH-であり得る。
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基である。
b1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、又はハロゲン(これら式中、Rは、置換又は非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
c1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
nは、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(A1)及び(A2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのnは1である。換言すれば、式(A1)及び(A2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのRb1が存在する。
nは、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、1~3の整数であり、より好ましくは、2又は3、さらに好ましくは3である。
好ましくは、式(S1)で表される基毎に、少なくとも1つのRb1が存在する。換言すれば、式(A1)及び式(A2)の末端の末端部分において、水酸基又は加水分解可能な基が結合したSi原子が存在する。
好ましくは、式(A1)の末端部分及び式(A2)の末端部分において、Rb1が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ベンジル基、メトキシフェニルベンジル基、ベンゾイル基、トリチル基、-SiR71 、又は-(R72-O)n7-R73である。
-CRSi(OR11)で表される基を有することにより、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む組成物の基材に対する濡れ広がり性が良好になり得る。該組成物を用いて形成された層(例えば表面処理層)の耐摩耗性が良好になり得る。
71は、それぞれ独立して、C1-4アルキル基であり、例えばメチル基である。-SiR71 で表される基は、例えば、トリメチルシリル基である。
72は、それぞれ独立して、C1-4アルキレン基であり、好ましくはC1-2アルキレン基であり、例えば、-CHCH-、又は-CH-である。
n7は、それぞれ独立して、1~10の整数であり、好ましくは1~6の整数である。
73は、それぞれ独立して、水素原子、又は環構造を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。
環構造を含む1価の炭化水素基としては、芳香環、シクロアルキル基、又はヘテロシクロアルキル基を含む1価の炭化水素基を挙げることができる。
芳香環としては、例えば、フェニル基を挙げることができる。
シクロアルキル基としては、例えば、C3-10シクロアルキル基、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基を挙げることができる。
ヘテロシクロアルキル基としては、例えば、酸素原子を含んだシクロアルキル基を挙げることができる。
環構造を含む1価の炭化水素基としては、例えば以下のような構造を挙げることができる。なお、以下において*を付した箇所において-(R72-O)n7-の右側と結合する。
Figure 0007189482000010
73は、好ましくは、C1-4アルキル基であり、より好ましくは、C1-2アルキル基である。
より好ましくは、R11は、各出現においてそれぞれ独立して、-CHO-R11’で表される。R11’は、水素原子、又は1価の有機基である。
好ましくは、R11’は、水素原子、又は-(R72-O)n7’-R73で表される。R72、及びR73は、それぞれ上記と同意義である。n7’は、0~9の整数であり、好ましくは、0~5の整数である。
一の態様において、R11’は水素原子である。一の態様において、R11’は-(R72-O)n7’-R73で表される基である。一の態様において、R11’はR73である(即ち、n7’は0である)。
(フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の製造方法)
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、公知の方法を組み合わせることにより製造することができる。
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の製造方法の一例を以下に説明する。
一の態様において、式(A1)又は(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の製造方法は、
工程(I):
式(a1)又は(a2):
Figure 0007189482000011
で表される化合物をシリル化し、式(A1)又は(A2)で表される化合物を形成することを含み得る。Zは、Zよりも炭素原子数が2つ少ない基であり、換言すれば、Z-CHCHがXに対応する。
式(a1)及び(a2)において、RF1、RF2、R11、及びXは、式(A1)及び(A2)におけるRF1、RF2、R11、及びXとそれぞれ同意義である。
シリル化反応は、公知の方法を用いて行うことができる。公知の方法としては、例えば、特開2014-218639号公報、又は特開2017-82194号公報に記載の方法を挙げることができる。
さらに、本態様の製造方法は、
工程(II):
付加反応及び縮合反応の少なくとも一方を行うことによって、N原子を含む5員のヘテロ環Zを形成し、式(a1)又は(a2)で表される化合物を形成すること
を含み得る。
上記工程(II)の付加反応及び縮合反応としては、具体的には、付加反応、2つの化合物間の縮合反応、1つの化合物の分子内での縮合反応等が挙げられ、より具体的には、以下の工程(II-1)~(II-4)に示すような反応を挙げることができる。
工程(II-1):
式(b1)又は(b2)で表される化合物と、式(b3)で表される化合物とを反応させ、環構造を形成する。
Figure 0007189482000012
上記反応では、環Zとして、以下の構造が形成される。「*1」を付した原子は、X1aと結合し(r1=0の場合には、RF1又はRF2と結合する)、「*2」を付した原子は、X1bと結合する(r2=0の場合にはCと結合する)。
Figure 0007189482000013
上記反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われ得る。適当な触媒としては、特に限定されないが、例えば、ヨウ化銅、臭化銅、塩化銅、硫酸銅等の銅触媒、及びL-アスコルビン酸ナトリウム等の還元剤等を挙げることができる。適当な溶媒としては、特に限定されないが、例えば、フッ素非含有溶媒(ジメチルスルホキシド(DMSO)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、メタノール、エタノール等)、含フッ素溶媒(例えば、メタキシレンヘキサフロライド、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、AK-225:AGC株式会社製)、パーフルオロポリエーテル)等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上を組み合わせて用いる場合には、フッ素非含有溶媒と、含フッ素溶媒とを組み合わせて用いることが好ましい。
上記工程は、特に限定されないが、例えば、-78~200℃で行い得る。上記工程における反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.1~168時間であってもよい。上記工程における反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
式(b3)で表される化合物は、例えば、HN-CH30C(ZCH=CH(OR11)をジアゾ化することによって合成し得る。CH30は、式(b3)におけるX1bに対応する。ジアゾ化反応は、通常行い得る方法を用いることができ、例えば、トリフルオロメタンスルホニルアジドと反応させる方法を用いることができる。
上記のように、式(b3)で表される化合物は、本開示の式(A1)又は(A2)で表される化合物の合成において有用な中間体であり得る。
本開示は、一の態様として、式(b3)で表される化合物を提供する。
工程(II-2):
式(3a-2)又は(3b-2)で表される化合物と、式(3c-2)で表される化合物とを反応させ、環構造を形成する。
Figure 0007189482000014
上記反応では、環Zとして、以下の構造が形成される。「*1」を付した原子は、X1aと結合し(r1=0の場合には、RF1又はRF2と結合する)、「*2」を付した原子は、X1bと結合する(r2=0の場合にはCと結合する)。
Figure 0007189482000015
上記反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われ得る。適当な触媒としては、特に限定されないが、例えば、無水トリフルオロメタンスルホン酸、無水トリフルオロ酢酸、メシルクロライド、五酸化二リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル等の脱水剤等を挙げることができる。適当な溶媒としては、特に限定されないが、例えば、含フッ素溶媒(例えば、メタキシレンヘキサフロライド、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、AK-225:AGC株式会社製)、パーフルオロポリエーテル)等を挙げることができる。
上記工程は、特に限定されないが、例えば、-78~200℃で行い得る。上記工程における反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.1~168時間であってもよい。上記工程における反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
工程(II-3):
式(d1)又は(d2)で表される化合物を分子内で縮合させ、環構造を形成する。
Figure 0007189482000016
上記反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われ得る。適当な触媒としては、特に限定されないが、例えば、無水トリフルオロ酢酸、五酸化二リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル等の脱水剤等を挙げることができる。適当な溶媒としては、特に限定されないが、例えば、含フッ素溶媒(例えば、メタキシレンヘキサフロライド、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、AK-225:AGC株式会社製)、パーフルオロポリエーテル)等を挙げることができる。
上記工程は、特に限定されないが、例えば、-78~200℃で行い得る。上記工程における反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.1~168時間であってもよい。上記工程における反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
上記反応では、環Zとして、以下の構造が形成される。「*1」を付した原子は、X1aと結合し(r1=0の場合には、RF1又はRF2と結合する)、「*2」を付した原子は、X1bと結合する(r2=0の場合にはCと結合する)。
Figure 0007189482000017
式(b1)~(b3)、(c1)~(c3)及び(d1)~(d2)において、RF1、RF2、X1a、X1b、r1、及びr2は、それぞれ式(A1)又は(A2)のRF1、RF2、X1a、X1b、r1、及びr2と同意義である。
上記式(d1)又は式(d2)で表される化合物は、特に限定されないが、例えば、以下の反応を含む方法により合成し得る。
式(d1-1):
HC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-1)
で表される化合物を、酸化し、式(d1-2):
HOC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-2)
で表される化合物を合成し(工程1d);
式(d1-2)で表される化合物を、tert-ブトキシカルボニルヒドラジン(即ち、(CHC-O-C(=O)-NHNH)と反応させて、式(d1-3):
(CHC-O-C(=O)NHNHC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-3)
で表される化合物を合成し(工程2d);
式(d1-3)で表される化合物から、式(d1-4):
NHNHC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-4)
で表される化合物を合成し(工程3d);
式(d1-4)で表される化合物に、Rで表される基を有する化合物を導入する(工程4d)。
上記X31は、単結合又は2価の有機基である。X31は、一の態様において単結合である。X31は、一の態様において、2価の有機基である。
上記-CH-X31-で表される基は、式(A1)又は(A2)のX(即ち-X1a r1-Z-X1b r2-)に含まれるX1bで表される基に対応する。
一の態様において、-CH-X31-で表される基は、-(R51p5-(X51q5-で表される2価の有機基であり得る。R51、p5、X51、q5は、それぞれ上記と同意義である。-CH-X31-で表される基は、好ましくは、-(CHs5-で表される。ここで、s5は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1又は2であり、例えば1であってもよい。
上記(工程1d)の反応は、特に限定されないが、例えば、室温で行うことが出来る。反応時間は、特に限定されないが、例えば、1~5時間であってもよい。反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
(工程1d)の反応は、例えば、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、及び酸化銀等の酸化剤の存在下で行い得る。アルカリ金属水酸化物、及び酸化剤の添加量は適宜調整し得る。
上記(工程2d)の反応は、特に限定されないが、例えば、室温で行うことが出来る。反応時間は、特に限定されないが、例えば、1~10時間であってもよい。反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
(工程2d)の反応は、例えば、トリエチルアミン等のアミン化合物、及び1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)等の縮合剤の存在下で行い得る。上記(工程2d)の反応には、必要に応じて、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)をさらに加えてもよい。これらの化合物の添加量は、適宜調整し得る。
上記(工程3d)の反応は、特に限定されないが、例えば、氷浴中で行うことができる。反応時間は、特に限定されないが、例えば、1~10時間であってもよい。反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
(工程3d)の反応は、式(d1-3)で表される化合物から、保護基であるtert-ブトキシカルボニル基を除去(即ち、脱保護)する反応である。上記(工程3d)の反応は、例えば、ジクロロメタン及びトリフルオロ酢酸の存在下で行うことができる。これらの化合物の添加量は、適宜調整し得る。
上記(工程4d)の反応は、特に限定されないが、例えば、氷浴中で行うことができる。反応時間は、特に限定されないが、例えば、1~50時間であってもよい。反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
(工程4d)の反応におけるRで表される基を有する化合物としては、RF1COOH、もしくはHOC(=O)RF2COOH、又はこれらの化合物の酸クロライドを挙げることができる。RF1、及びRF2はそれぞれ上記と同意義である。これらの化合物の添加量は、適宜調整し得る。
上記式(d1-1):
HC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-1)
で表される化合物は、例えば、以下の(工程d1-1)を含む方法により得ることができる。
式(d1-1a):
HC(=O)X31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-1a)
で表される化合物と一炭素増加剤とを反応させたのち、酸性雰囲気下で加水分解反応を行う(工程d1-1)。
上記(工程d1-1)は、例えば、以下のような工程であってもよい。
一炭素増加剤としてメトキシメチルトリフェニルホスホニウムクロライドを用い、式(d1-1a)で表される化合物から、式(d1-1b):
CHOCH=CH-X31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-1b)
で表される化合物を合成し、その後、式(d1-1b)で表される化合物を加水分解反応する。
式(d1-1a)及び(d1-1b)において、X31は上記と同意義である。
上記(工程d1-1)で表される反応は、通常行い得る条件で行うことができる。反応温度は、特に限定されないが、例えば、室温で行うことが出来る。反応時間は、特に限定されないが、例えば、1~168時間であってもよい。反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
上記のように、式(d1-1)~(d1-4)で表される化合物は、本開示の式(A1)又は(A2)で表される化合物の合成において有用な中間体であり得る。従って、本開示は、式(d1-1)、(d1-2)、(d1-3)又は(d1-4)で表される化合物を提供する。
工程(II-4):
式(e1)又は(e2)で表される化合物を分子内で縮合させ、環構造を形成する。
Figure 0007189482000018
上記反応は、適当な触媒の存在下、適当な溶媒中で行われ得る。適当な触媒としては、特に限定されないが、例えば、AuCl、ルイス酸触媒、塩酸等の酸触媒等を挙げることができる。適当な溶媒としては、特に限定されないが、例えば、含フッ素溶媒(例えば、メタキシレンヘキサフロライド、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン(例えば、AK-225、AGC株式会社製)、パーフルオロポリエーテル)等を挙げることができる。
上記工程は、特に限定されないが、例えば、-78~200℃で行い得る。上記工程における反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.1~168時間であってもよい。上記工程における反応圧力は、特に限定されないが、例えば、0~100MPa(ゲージ圧)であり、簡便には常圧である。
上記反応では、環Zとして、以下の構造が形成される。「*1」を付した原子は、X1aと結合し(r1=0の場合には、RF1又はRF2と結合する)、「*2」を付した原子は、X1bと結合する(r2=0の場合にはCと結合する)。
Figure 0007189482000019
上記式(e1)又は(e2)で表される化合物は、例えば、以下の反応を含む方法により得ることができる。
式(e1-1):
H-C≡C-CH32C(Z-CH=CH(OR11) (e1-1)
で表される化合物に、Rで表される基を有する化合物を導入する。X32は、単結合又は2価の有機基であり、例えば、X31として記載した構造であり得る。
上記の反応は、例えば、式(e1-1)で表される化合物に、Rで表される基を有する化合物として、RF1COOH、もしくはHOC(=O)RF2COOH、又はこれらの化合物の酸クロライドを反応させ、その後、酸又は塩基性の条件でヒドロキシルアミンと反応させることによって行い得る。RF1、及びRF2はそれぞれ上記と同意義である。
上記式(e1-1):
H-C≡C-CH32C(Z-CH=CH(OR11) (e1-1)
で表される化合物は、例えば、
OHC-CH32C(Z-CH=CH(OR11
で表される化合物を、大平-Bestmann試薬と反応させることにより得ることができる。大平-Bestmann試薬は、すなわち(1-ジアゾ-2-オキソプロピル)ホスホン酸ジメチルを意味する。上記反応は、例えば、炭酸カリウム及びメタノールの存在下で行うことができる。
上記のように、式(e1-1)で表される化合物は、本開示の式(A1)又は(A2)で表される化合物の合成において有用な中間体であり得る。本開示は、一の態様において、式(e1-1)で表される化合物を提供する。
一の態様において、本開示は、式(b3’)、(d1-1)、(d1-2)、(d1-3)、(d1-4)又は(e1-1)で表される化合物を提供する。式中、各記号はそれぞれ上記のとおりである。
-CH30C(Z-CH=CH(OR11) (b3’)
HC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-1)
HOC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-2)
(CHC-O-C(=O)NHNHC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-3)
NHNHC(=O)CH31C(Z-CH=CH(OR11) (d1-4)
H-C≡C-CH32C(Z-CH=CH(OR11) (e1-1)
本開示は、一の態様として、以下の式(f):
-CH-X-C(Z-CH=CH(OR11) (f)
[式中:
は、ホルミル基、カルボキシ基、アジド基(即ち、N-)、エチニル基、NHNHC(=O)-、又は(CHCOC(=O)NHNHC(=O)-であり;
は、単結合又は2価の有機基であり、具体的には(b3’)、(d1-1)、(d1-2)、(d1-3)、(d1-4)又は(e1-1)においてX30、X31又はX32で表した基であり;
及びR11は、上記と同意義である。]
で表される化合物を提供する。
(表面処理剤)
上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、表面処理剤として用いることができる。
本開示の表面処理剤は、良好な紫外線耐久性、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、耐ケミカル性、耐加水分解性、滑り性の抑制効果、高い摩擦耐久性、耐熱性、防湿性等を有する表面処理層の形成に寄与し得る。
一の態様において、表面処理剤は、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含有する。
一の態様において、表面処理剤は、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物、及び、該フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する。ここで、縮合物とは、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の水酸基、及び/又は、加水分解可能な基を予め公知の方法により部分的に加水分解した水酸基を縮合させて得られる部分(加水分解)縮合物である。
表面処理剤には、必要に応じて、加水分解縮合触媒、例えば、有機錫化合物(ジブチル錫ジメトキシド、ジラウリン酸ジブチル錫など)、有機チタン化合物(テトラn-ブチルチタネートなど)、有機酸(酢酸、メタンスルホン酸、フッ素変性カルボン酸など)、無機酸(塩酸、硫酸など)を添加してもよい。これらの中では、特に酢酸、テトラn-ブチルチタネート、ジラウリン酸ジブチル錫、フッ素変性カルボン酸などが望ましい。
加水分解縮合触媒の添加量は触媒量であり、通常、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び/又はその部分(加水分解)縮合物100質量部に対して0.01~5質量部、特に0.1~1質量部である。
別の態様において、本開示の表面処理剤は、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む。本態様の組成物(例えば、表面処理剤)は、摩擦耐久性の良好な硬化層の形成に寄与し得る。本態様の組成物を用いて形成される硬化層の摩擦耐久性が良好になり、硬化層の表面における滑り性が良好になる。また、本態様の組成物では、R部分の二次構造がらせん構造をとりやすく、単位面積当たりのポリマー密度やシランカップリング剤の架橋密度が大きくなるため、硬化層の強度が高くなると考えられる。
一の態様において、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)に含まれる、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計に対する、式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の比(モル比)の下限値は、好ましくは0.001、より好ましくは0.002、さらに好ましくは0.005、さらにより好ましくは0.01、特に好ましくは0.02、特別には0.05であり得る。式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計に対する、式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の比(モル比)の上限値は、好ましくは、0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.40、さらにより好ましくは0.30、例えば0.20、具体的には0.10であり得る。式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計に対する、式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の比(モル比)は、0.001以上0.70以下であってもよく、0.001以上0.60以下であってもよく、0.001以上0.50以下であってもよく、0.002以上0.40以下であってもよく、0.005以上0.30以下であってもよく、0.01以上0.20以下であってもよく、例えば0.02以上0.20以下(具体的には0.15以下)又は0.05以上0.20以下(具体的には0.15以下)である。
一の態様において、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)に含まれる、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計に対する、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の比(モル比)の下限値は、好ましくは0.001、より好ましくは0.002、さらに好ましくは0.005、さらにより好ましくは0.01、特に好ましくは0.02、特別には0.05であり得る。式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計に対する、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の比(モル比)の上限値は、好ましくは、0.70、より好ましくは0.60、より好ましくは0.50、さらに好ましくは0.40、さらにより好ましくは0.30、例えば、0.20、具体的には0.10であり得る。式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計に対する、式(A1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の比(モル比)は、0.001以上0.70以下であってもよく、0.001以上0.60以下であってもよく、0.001以上0.50以下であってもよく、0.002以上0.40以下であってもよく、0.005以上0.30以下であってもよく、0.01以上0.20以下であってもよく、例えば0.02以上0.20以下(具体的には0.15以下)又は0.05以上0.20以下(具体的には0.15以下)である。
上記表面処理剤は、溶媒で希釈されていてもよい。このような溶媒としては、特に限定するものではないが、例えば:
パーフルオロヘキサン、CFCFCHCl、CFCHCFCH、CFCHFCHFC、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン((ゼオローラH(商品名)等)、COCH、COC、CFCHOCFCHF、C13CH=CH、C13OCH、キシレンヘキサフルオリド、パーフルオロベンゼン、メチルペンタデカフルオロヘプチルケトン、トリフルオロエタノール、ペンタフルオロプロパノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、HCFCFCHOH、メチルトリフルオロメタンスルホネート、トリフルオロ酢酸及びCFO(CFCFO)m1(CFO)n1CFCF[式中、m1及びn1は、それぞれ独立して0以上1000以下の整数であり、m1又はn1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり、但しm1及びn1の和は1以上である。]、1,1-ジクロロ-2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2-ジクロロ-1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,2-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1-ジクロロ-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1,2-トリクロロ―3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンからなる群から選択されるフッ素原子含有溶媒等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。
上記溶媒中に含まれる水分含有量は、20質量ppm以下であることが好ましい。上記水分含有量は、カールフィッシャー法を用いて測定することができる。このような水分含有量であることによって、表面処理剤の保存安定性が向上し得る。
上記表面処理剤は、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物に加え、他の成分を含んでいてもよい。かかる他の成分としては、特に限定されるものではないが、例えば、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒、低級アルコール、遷移金属、ハロゲン化物イオン、分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物などが挙げられる。
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(1)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf ・・・(1)
式中、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子又は水素原子を表し、Rf及びRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’及びd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’及びd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’又はd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。上記繰り返し単位中に少なくとも1の分岐構造を有する。すなわち、上記繰り返し単位は、少なくとも1のCF末端(具体的には、-CF、-C等、より具体的には-CF)を有する。分岐構造を有する繰り返し単位としては、-(OC)-としては、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-及び-(OCFCF(C))-;-(OC)-としては、-(OCF(CF)CF)-及び-(OCFCF(CF))-;-(OC)-としては、-(OCF(CF))-を挙げることができる。
上記一般式(1)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(1a)及び(1b)のいずれかで示される化合物(1種又は2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf-(OCF(CF)CFb’’-Rf ・・・(1a)
Rf-(OCa’’-(OCb’’-(OCF(CF))c’’-(OCFd’’-Rf ・・・(1b)
これら式中、Rf及びRfは上記の通りであり;式(1a)において、b’’は1以上100以下の整数であり;式(1b)において、a’’及びb’’は、それぞれ独立して1以上30以下の整数であり、c’’及びd’’はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a’’、b’’、c’’、d’’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。-(OC)--(OC)-は分岐構造を有する。
上記含フッ素オイルは、1,000~30,000の数平均分子量を有していてよい。特に、式(1a)で表される化合物の数平均分子量は、2,000~8,000であることが好ましい。かかる数平均分子量を有することにより、良好な摩擦耐久性を得ることができる。一の態様において、式(1b)で表される化合物の数平均分子量は、3,000~8,000である。別の態様において、式(1b)で表される化合物の数平均分子量は、8,000~30,000である。
上記表面処理剤中、含フッ素オイルは、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物100質量部に対して、例えば0~500質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは1~50質量部、さらに好ましくは1~5質量部で含まれ得る。
上記表面処理剤中、含フッ素オイルは、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物及び含フッ素オイルの合計量に対して、例えば0~30モル%、好ましくは0~20モル%、より好ましくは0~10モル%で含まれ得る。
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf’-F(式中、Rf’はC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。Rf’-Fで表される化合物及びクロロトリフルオロエチレンオリゴマーは、RfがC1-16パーフルオロアルキル基である上記パーフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物と高い親和性が得られる点で好ましい。
含フッ素オイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、式(A1)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
一の態様において、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、式(A2)で表される化合物は0.001~70モル%、及び含フッ素オイルは0.001~50モル%含まれることが好ましく、式(A2)で表される化合物は0.01~60モル%、及び含フッ素オイルは0.01~40モル%含まれることがより好ましく、式(A2)で表される化合物は0.1~50モル%、及び含フッ素オイルは0.1~30モル%含まれることがさらに好ましい。
一の態様において、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、式(A1)で表される化合物が0.001~70モル%、及び含フッ素オイルが0.001~50モル%含まれることが好ましく、式(A1)で表される化合物が0.01~60モル%、及び含フッ素オイルが0.01~40モル%含まれることがより好ましく、式(A1)で表される化合物が0.1~50モル%、及び含フッ素オイルが0.1~30モル%含まれることがさらに好ましい。
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状又は環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイル及び変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
上記表面処理剤中、かかるシリコーンオイルは、上記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~50質量部、好ましくは0~5質量部で含まれ得る。
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
触媒は、上記含フッ素シラン化合物の加水分解及び脱水縮合を促進し、表面処理層の形成を促進する。
上記他の成分としての低級アルコールとしては、炭素数1~6のアルコール化合物が挙げられる。
上記遷移金属としては、白金、ルテニウム、ロジウム等が挙げられる。
上記ハロゲン化物イオンとしては、塩化物イオン等が挙げられる。
上記分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物しては、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アニリン、ピリジン、ヘキサメチルホスホルアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、テトラメチル尿素、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホキシド、メチルフェニルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド等を挙げられる。これらの化合物の中で、ジメチルスルホキシド、又はテトラメチレンスルホキシドを用いることが好ましい。
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
一の態様において、上記表面処理剤は、上記他の成分である含フッ素オイル、シリコーンオイル、触媒、低級アルコール、遷移金属、ハロゲン化物イオン、分子構造内に非共有電子対を有する原子を含む化合物を含まない。
一の態様において、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、式(A2)で表される化合物は、例えば、70モル%以下含まれていてもよく、60モル%以下含まれていてもよく、50モル%以下含まれていてもよく、0.001モル%以上含まれていてもよく、0.01モル%以上含まれていてもよく、0.1モル%以上含まれていてもよい。式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、式(A2)で表される化合物は、例えば、1~70モル%含まれていてもよく、5~50モル%含まれていてもよい。
一の態様において、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)は、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
本態様において、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、含フッ素オイルは、例えば、0.001モル%以上含まれていてもよく、0.01モル%以上含まれていてもよく、1.0モル%以上含まれていてもよく、50モル%以下含まれていてもよく、40モル%以下含まれていてもよく、30モル%以下含まれていてもよく、10モル%以下含まれていてもよい。式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、含フッ素オイルは、例えば、0.001~50モル%含まれていてもよく、0.01~40モル%含まれていてもよい。
本態様において、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルの合計に対して、式(A2)で表される化合物が0.001~70モル%、及び含フッ素オイルが0.001~50モル%含まれることが好ましく、式(A2)で表される化合物が0.01~60モル%、及び含フッ素オイルが0.01~40モル%含まれることがより好ましく、式(A2)で表される化合物が0.1~50モル%、及び含フッ素オイルが0.1~30モル%含まれることがさらに好ましい。
本態様の組成物(例えば、表面処理剤)は、摩擦耐久性の良好な硬化層の形成に寄与し得る。さらに、本態様の組成物を用いて形成される硬化層の摩擦耐久性が良好になり、硬化層の表面における滑り性が良好になる。また、本態様の組成物では、R部分の二次構造がらせん構造をとりやすく、単位面積当たりのポリマー密度やシランカップリング剤の架橋密度が大きくなるため、硬化層の強度が高くなると考えられる。
一の態様において、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)は、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
本態様において、式(A1)で表される化合物、及び式(A2)で表される化合物の合計に対して、式(A2)で表される化合物が、0.001モル%以上50モル%未満含まれていてもよく、0.1モル%以上50モル%未満含まれていてもよく、1モル%以上50モル%未満含まれていてもよく、例えば、10モル%以上50モル%未満含まれていてもよい。
一の態様において、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)は、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
本態様において、式(A1)で表される化合物、及び式(A2)で表される化合物の合計に対して、式(A1)で表される化合物が、0.001モル%以上50モル%未満含まれていてもよく、0.1モル%以上50モル%未満含まれていてもよく、10モル%以上50モル%未満含まれていてもよく、例えば、20モル%以上50モル%未満、30モル%以上50モル%未満含まれていてもよい。
一の態様において、本開示の組成物(例えば、表面処理剤)は、式(A1)で表される化合物、式(A2)で表される化合物、及び含フッ素オイルを含む。
本態様において、式(A1)で表される化合物、及び式(A2)で表される化合物の合計に対して、式(A2)で表される化合物が、35モル%以上65モル%未満含まれていてもよく、40モル%以上60モル%未満含まれていてもよい。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、式(A1)又は式(A2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含み、上記他の成分である、含フッ素オイルを含まない(例えば、含フッ素オイルの含有量が、表面処理剤100質量部に対して、1質量部以下であり、より具体的には、0質量部である)。
本開示の組成物は、基材の表面処理を行う表面処理剤として用いることができる。
本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
(物品)
以下、本開示の物品について説明する。
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物又はフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理剤(以下、これらを代表して単に「本開示の表面処理剤」という)から形成された層(表面処理層)とを含む。
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然又は合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラス又は透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(又は膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層及び多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、又はこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiO及び/又はSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、及び液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
基材の形状は特に限定されない。また、本開示の表面処理剤によって形成された層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途及び具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜又は熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入又は増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
またあるいは、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
次に、かかる基材の表面に、上記の本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成する。
本開示の表面処理剤の層形成は、上記の表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法及び乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング及び類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVD及び類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビーム及び類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVD及び類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本開示の表面処理剤の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:炭素数5~12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン及びパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、AGC株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、AGC株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))など。これらの溶媒は、単独で、又は、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)及び/又はパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、又は、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解及び脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸又は塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
上記のようにして、基材の表面に、本開示の表面処理剤に由来する層が形成され、本開示の物品が製造される。これにより得られる上記層は、高い表面滑り性と高い摩擦耐久性の双方を有する。また、上記層は、高い摩擦耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(又は潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
すなわち本開示はさらに、本開示の表面処理剤に由来する層を最外層に有する光学材料にも関する。
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイ又はそれらのディスプレイの保護板、又はそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
本開示によって得られる層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
また、本開示によって得られる層を有する物品は、自動車内外装部材であってもよい。外装材の例には、次のものが挙げられる:ウィンドウ、ライトカバー、社外カメラカバー。内装材の例には、次のものが挙げられる:インパネカバー、ナビゲーションシステムタッチパネル、加飾内装材。
また、本開示によって得られる層を有する物品は、医療機器又は医療材料であってもよい。
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、上記層の厚さは、1~50nm、1~30nm、好ましくは1~15nmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性及び防汚性の点から好ましい。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
以下、本開示について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、以下に示される化学式はすべて平均組成を示す。
(実施例1)
(合成例1)
HO-CH-COOMe(3.57g)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)(30.0mL)に溶解後、氷浴で冷却した。10分後、イミダゾール(6.48g)、及びtert-ブチルジメチルシリルクロリド(7.17g)を、この順に添加し、翌朝まで撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルと水とを加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Aを7.79g得た。
化合物A:
Figure 0007189482000020
(式中、Meはメチル基である。)
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.10 (s, 6H), 0.89 (s, 9H), 3.73 (s, 3H), 4.24 (s, 2H)
(合成例2)
化合物A(2.00g)をテトラヒドロフラン(THF)(10.0mL)に溶解後、氷浴で冷やした。10分後、アリルマグネシウムクロライド(20.6mL)を添加し、翌朝まで撹拌した。反応溶液にジエチルエーテルと塩化アンモニウム水溶液とを加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Bを1.51g得た。
化合物B:
Figure 0007189482000021
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.095 (s, 6H), 0.90 (s, 9H), 2.18-2.29 (m, 4H), 3.40 (s, 2H), 5.05-5.10 (m, 4H), 5.78-5.89 (m, 2H).
(合成例3)
化合物B(0.77g)をジクロロメタン(5.0mL)に溶解後、アリルジイソプロピルエチルアミン(1.51mL)、ジメチルアミノピリジン(0.01g)、及びメトキシメチルクロリド(0.45mL)を添加し、3日間、37℃で撹拌した。反応溶液に水を加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行うことで化合物Cを0.77g得た。
化合物C:
Figure 0007189482000022
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.067 (s, 6H), 0.89 (s, 9H), 2.29-2.39 (m, 4H), 3.37 (s, 3H), 3.54 (s, 2H), 4.79 (s, 2H), 5.05-5.10 (m, 4H), 5.78-5.89 (m, 2H).
(合成例4)
化合物C(0.77g)をTHF(5.0mL)に溶解後、テトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(2.94mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液に塩化アンモニウム水溶液及びクロロホルムを加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Dを0.36g得た。
化合物D:
Figure 0007189482000023
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.30-2.37 (m, 4H), 3.43 (s, 3H), 3.48 (m, 2H), 4.75 (s, 2H), 5.09-5.12 (m, 4H), 5.74-5.85 (m, 2H).
(合成例5)
化合物D(0.36g)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解後、モレキュラーシーブス4Å(3.62g)、及び二クロム酸ピリジニウム(PDC,1.02g)の順に添加し、次いで、室温で一晩撹拌した。反応溶液をろ過し、濃縮乾固して、化合物Eを0.39g得た。
化合物E:
Figure 0007189482000024
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.45-2.50 (m, 4H), 3.43 (s, 3H), 4.74 (s, 2H), 5.10-5.15 (m, 4H), 5.68-5.77 (m, 2H), 9.54 (s, 1H).
(合成例6)
化合物E(0.39g)をエタノール(10.0mL)に溶解後、酸化銀(1.13g)、及び1Nの水酸化ナトリウム水溶液(9.75mL)を、この順に添加後、室温で一晩撹拌した。反応溶液に8%クエン酸水溶液及びクロロホルムを加えた後、分液し、ろ過後、濃縮乾固して、化合物Fを0.22g得た。
化合物F:
Figure 0007189482000025
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.57-2.68 (m, 4H), 3.45 (s, 3H), 4.84 (s, 2H), 5.13-5.17 (m, 4H), 5.69-5.80 (m, 2H).
(合成例7)
化合物F(0.22g)をアセトニトリル(3.0mL)に溶解後、カルボジイミダゾール(0.2g)を添加し、2時間攪拌した。2時間後、ヒドラジン一水和物(0.1mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液に水とクロロホルムを加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Gを0.12g得た。
化合物G:
Figure 0007189482000026
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.56-2.67 (m, 4H), 3.42 (s, 3H), 4.82 (s, 2H), 5.07-5.12 (m, 4H), 5.68-5.75 (m, 2H).
(合成例8)
化合物G(0.12g)をアサヒクリンAK225(5.0mL,登録商標、AGC株式会社)に溶解後、CF-O-(CFCFO)-(CFO)-CFCOOCH-(n=25,m=25)で示されるメチルエステル(1.72g)、及びトリエチルアミン(0.30mL)を、この順に添加し、室温で3日間撹拌した。反応溶液にパーフルオロヘキサンを加えた後、8%クエン酸水溶液、水、メタノールの順に洗浄後、濃縮乾固して、化合物Hを1.72g得た。
化合物H:
Figure 0007189482000027
1H NMR (mXHF, 400 MHz) δ:2.95-3.00 (m, 4H), 3.45 (s, 3H), 5.16 (s, 2H), 5.38-5.44 (m, 4H), 6.10-6.20 (m, 2H).
(合成例9)
化合物H(1.72g)をAK225(10.0mL)に溶解後、トリエチルアミン(0.144mL)、及びトシルクロライド(0.131g)を、この順に添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液にパーフルオロヘキサンを加えた後、メタノール、アセトンの順に洗浄後、濃縮乾固し、カラム精製を行って、化合物Iを0.59g得た。
化合物I:
Figure 0007189482000028
1H NMR (mXHF, 400 MHz) δ:3.16-3.30 (m, 4H), 3.57 (s, 3H), 5.04 (s, 2H), 5.44-5.50 (m, 4H), 6.05-6.12 (m, 2H) ; 19F NMR (mXHF, 400 MHz) δ: -54.2, -55.8, -56.5, -57.5, -58.3, -60.0, -70.9, -72.6, -85.8, -87.5, -91.5, -92.8, -93.2.
(合成例10)
化合物I(0.59g)をHFE7200(1.1mL)に溶解後、カールシュテット触媒(28.1μl)、アニリン(4.6μl)を添加した。室温で30分撹拌後、トリメトキシシラン(0.08μl)を添加し、室温で3時間撹拌した。濾過した後、濃縮乾固して、化合物Jを0.6g得た。
化合物J:
Figure 0007189482000029
1H NMR (mXHF, 400 MHz) δ: 1.03-1.07 (m, 4H), 1.80-2.10 (m, 4H), 2.58-2.66 (m, 4H), 3.57 (s, 3H), 3.90-4.00 (m, 18 H), 5.02 (s, 2H); 19F NMR (mXHF, 400 MHz) δ: -54.2, -55.6, -56.4, -57.5, -58.3, -60.0, -70.6, -72.5, -85.8, -87.5, -91.2, -92.8, -93.2.
(実施例2)
(合成例11)
化合物K(0.56g)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解後、アリルジイソプロピルエチルアミン(1.09mL)、ジメチルアミノピリジン(0.01g)、及びメトキシエトキシメチルクロリド(0.49mL)を添加し、3日間、37℃で撹拌した。反応溶液に水を加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Lを0.76g得た。
化合物K
Figure 0007189482000030
化合物L:
Figure 0007189482000031
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 0.024 (s, 6H), 0.88 (s, 9H), 2.29-2.39 (m, 4H), 3.38 (s, 3H), 3.50-3.78 (m, 4H), 4.89 (s, 2H), 5.05-5.10 (m, 4H), 5.78-5.87 (m, 2H).
(合成例12)
化合物L(0.76g)をテトラヒドロフラン(THF,5.0mL)に溶解後、テトラブチルアンモニウムフルオライドのTHF溶液(2.53mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液に塩化アンモニウム水溶液とクロロホルムとを加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Mを0.47g得た。
化合物M:
Figure 0007189482000032
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.17-2.36 (m, 4H), 3.39 (s, 3H), 3.50 (s, 2H), 3.56 (t, 2H), 3.78 (t, 2H), 4.81 (s, 2H), 5.08-5.12 (m, 4H), 5.74-5.85 (m, 2H).
(合成例13)
化合物M(0.47g)をジクロロメタン(10.0mL)に溶解後、モレキュラーシーブス4Å(4.68g)、及びPDC(1.08g)を、この順に添加後、室温で一晩撹拌した。反応溶液をろ過し、濃縮乾固して、化合物Nを0.46g得た。
化合物N:
Figure 0007189482000033
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.48-2.50 (m, 4H), 3.37 (s, 3H), 3.52 (t, 2H), 3.76 (t, 2H), 4.84 (s, 2H), 5.09-5.14 (m, 4H), 5.67-5.76 (m, 2H), 9.56 (s, 1H).
(合成例14)
化合物N(0.46g)をエタノール(10.0mL)に溶解後、酸化銀(1.11g)、1Nの水酸化ナトリウム水溶液(9.54mL)を、この順に添加後、室温で一晩撹拌した。反応溶液に8%クエン酸水溶液とクロロホルムとを加えた後、セライトろ過した後分液し、濃縮乾固して、化合物Oを0.45g得た。
化合物O:
Figure 0007189482000034
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.56-2.67 (m, 4H), 3.38 (s, 3H), 3.55 (t, 2H), 3.80 (t, 2H), 4.91 (s, 2H), 5.12-5.16 (m, 4H), 5.69-5.80 (m, 2H).
(合成例15)
化合物O(0.45g)をアセトニトリル(3.0mL)に溶解後、カルボジイミダゾール(0.34g)を添加し、1.5時間攪拌した。1.5時間後、ヒドラジン一水和物(0.1mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液に水とクロロホルムを加えた後、分液し、濃縮乾固後、カラム精製を行って、化合物Pを0.30g得た。
化合物P:
Figure 0007189482000035
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:2.59-2.67 (m, 4H), 3.35 (s, 3H), 3.50-3.86 (m, 4H), 4.81 and 4.93 (s×2, 2H), 5.09-5.18 (m, 4H), 5.68-5.79 (m, 2H).
(合成例16)
化合物P(0.13g)をAK225(5.0mL)に溶解後、CFO-(CFCFO)-(CFO)-CFCOOCH(n=25,m=25)で示されるメチルエステル(1.64g)、及びトリエチルアミン(0.21mL)を、この順に添加し、室温で3日間撹拌した。反応溶液にパーフルオロヘキサンを加えた後、8%クエン酸水溶液、水、メタノールの順に洗浄後、濃縮乾固して、化合物Qを1.8g得た。
化合物Q:
Figure 0007189482000036
1H NMR (mXHF, 400 MHz) δ:2.96-2.99 (m, 4H), 3.45-3.50 (m, 2H), 3.69 (s, 3H), 3.89 (t, 2H), 4.13 (t, 2H), 5.25 (s, 2H), 5.38-5.46 (m, 4H), 6.10-6.20 (m, 2H).
(合成例17)
化合物Q(1.8g)をAK225(10.0mL)に溶解後、トリエチルアミン(0.15mL)、及びトシルクロライド(0.137g)を、この順に添加し、室温で一晩撹拌した。反応溶液にパーフルオロヘキサンを加えた後、メタノール、アセトンの順に洗浄後、濃縮乾固し、カラム精製を行って、化合物Rを0.8g得た。
化合物R:
Figure 0007189482000037
1H NMR (mXHF, 400 MHz) δ:3.17-3.35 (m, 4H), 3.57 (s, 3H), 3.69 (t, 2H), 3.95 (t, 2H), 5.19 (s, 2H), 5.43-5.50 (m, 4H), 6.05-6.12 (m, 2H) ; 19F NMR (mXHF, 400 MHz) δ: -54.2, -55.6, -56.4, -57.5, -58.3, -60.0, -70.6, -72.5, -85.8, -87.5, -91.5, -92.8, -93.2.
(合成例18)
化合物R(0.8g)をHFE7200(1.6mL)に溶解後、カールシュテット触媒(35.8μl)、アニリン(5.9μl)を添加した。室温で30分撹拌後、トリメトキシシラン(0.11μl)を添加し、室温で3時間撹拌した。濾過した後、濃縮乾固して、化合物Sを0.81g得た。
化合物S:
Figure 0007189482000038
1H NMR (mXHF, 400 MHz) δ: 1.03-1.07 (m, 4H), 1.80-2.20 (m, 4H), 2.58-2.66 (m, 4H), 3.57 (s, 3H), 3.70 (t, 2H), 3.90-4.00 (m, 20H), 5.17 (s, 2H); 19F NMR (mXHF, 400 MHz) δ: -54.2, -55.6, -56.4, -57.5, -58.3, -60.0, -70.6, -72.5, -85.8, -87.5, -91.2, -92.8, -93.2.
(比較例1)
WO2017/212850の実施例1に記載の方法に従って、化合物C-1を得た(n:m=53:47、n+m=43)。
(化合物C-1)
Figure 0007189482000039
<表面処理層の形成>
実施例1~2、及び比較例1で得られたフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を、濃度20質量%となるようにNovec 7200(3M社製、エチルパーフルオロブチルエーテル)で希釈し、表面処理剤を調製し、それぞれ化学強化ガラス(コーニング社製 Gorilla 3)上に真空蒸着した。真空蒸着の処理条件は、圧力3.0×10-3Paとし、化学強化ガラス表面に5nmの二酸化ケイ素膜を形成し、続いて、化学強化ガラス1枚(55mm×100mm)あたり、表面処理剤4mg(すなわちフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を0.8mg含有)を蒸着させた。次に、表面処理剤が処理された基材を大気圧下、150℃で30分間加熱処理し、表面処理層を形成した。
<水の静的接触角の測定方法>
静的接触角の測定は、全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学社製)を用いた。具体的には、測定対象の表面処理層を有する基材を水平に静置し、その表面にマイクロシリンジから水を2μL滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより静的接触角を測定した。水の静的接触角は、基材の表面処理層の異なる5点において測定し、その平均値を算出した値を用いた。
<消しゴム耐久性評価>
(初期評価)
初期評価(消しゴム摩擦回数0回)として、表面処理層の形成後、表面上の余剰分を拭き上げたのちに、水の静的接触角を測定した。
(消しゴム耐久性試験後の評価)
形成された表面処理層に対して、ラビングテスター(新東科学社製)を用いて、下記条件で往復回数2500回毎に水の静的接触角を測定し、10,000回まで測定した。なお、水の静的接触角が100度を切った時点で試験は完了とした。試験環境条件は25℃、湿度40%RHであった。
消しゴム:Raber Eraser(Minoan社製)
接地面積:6mmφ
移動距離(片道):40mm
移動速度:3,600mm/分
荷重:1kg/6mmφ
結果を表1に示す。
Figure 0007189482000040

上記の結果から、パーフルオロポリエーテル基とシラン基との間にヘテロアリーレン基を有する実施例の化合物は、優れた摩擦耐久性を有する表面処理層を形成することができることが確認された。
本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、種々多様な基材、特に摩擦耐久性が求められる光学部材の表面に、表面処理層を形成するために好適に利用され得る。

Claims (14)

  1. 下記式(A1)又は(A2):
    Figure 0007189482000041
    [式中:
    F1は、Rf-R-O-で表され;
    F2は、-Rf -R-O-で表され;
    Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
    Rfは、1個又はそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
    -(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
    で表される基であり;
    a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e、又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
    Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又は塩素原子であり;
    pは、0又は1であり;
    qは、独立して、0又は1であり;
    は、それぞれ独立して、-X1a r1-Z-X1b r2-で表される基であり;
    1aは、C1-20アルキレン基であり;
    は、下記B~Bを含む五員環構造:
    Figure 0007189482000042
    [式中:
    ~Bは、それぞれ独立して、C、N、及びOから選ばれる原子であり、
    ~Bのうち1~3つは、それぞれ独立してN又はOであり、
    ~Bのいずれか1つがX1aと結合し、別の1つがX1bと結合する。]
    であり;
    1bは、C1-20アルキレン基であり;
    r1は、0又は1であり;
    r2は、0又は1であり;
    Siは、それぞれ独立して、下記式(S1):
    Figure 0007189482000043
    (式中:
    は、単結合、酸素原子、又は2価の有機基であり;
    b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基又は加水分解可能な基であり;
    c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子又は1価の有機基であり;
    nは、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    ただし、式(A1)及び(A2)のそれぞれにおいて、少なくとも1つのnは1である。)
    で表される基であり;
    11は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、ベンジル基、メトキシフェニルベンジル基、ベンゾイル基、トリチル基、-SiR71 、又は-(R72-O)n7-R73であり、
    71は、それぞれ独立して、C1-4アルキル基であり、
    72は、それぞれ独立して、C1-4アルキレン基であり、
    n7は、それぞれ独立して、1~10の整数であり;
    73は、それぞれ独立して、水素原子、又は環構造を含んでいてもよい1価の炭化水素基である。]
    で表される、フルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  2. は、それぞれ独立して、式:
    -(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF
    [式中:
    a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~200の整数であって、a、b、c、d、e及びfの和は1以上であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
    で表される基である、請求項1に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  3. は、それぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)又は(f5):
    -(OC-(OC- (f1)
    [式中、dは、1~200の整数であり、eは、0又は1である。]
    -(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
    [式中、c及びdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、e及びfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
    c、d、e及びfの和は2以上であり、
    添字c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
    -(R-R- (f3)
    [式中、Rは、OCF又はOCであり、
    は、OC、OC、OC、OC10及びOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2又は3つの基の組み合わせであり、
    gは、2~100の整数である。]
    -(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
    [式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
    -(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
    [式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、d及びeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であり、a、b、c、d、e又はfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
    で表される、請求項1又は2に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  4. は、N原子を含む5員のヘテロ環である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  5. は、2つ以上のヘテロ原子を有する5員のヘテロ環である、請求項1~4のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  6. 前記ヘテロ原子は、2つ以上のN原子を含む、請求項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  7. 前記ヘテロ原子は、少なくとも1つのN原子及び少なくとも1つのN原子以外のヘテロ原子である、請求項5又は6に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  8. 前記N原子以外のヘテロ原子は、O原子である、請求項7に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  9. は、下記の基:
    Figure 0007189482000044
    から選択される基である、請求項1~3のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  10. r1は0であり、r2は1である、請求項1~9のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  11. r1は0であり、r2は1であり、X1bは-(CHs5-であり、s5は1~3の整数である、請求項1~10のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、及び、該フルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合物からなる群から選択される少なくとも1つを含有する、表面処理剤。
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物を含有する、表面処理剤。
  14. 基材と、該基材の表面に、請求項1~11のいずれか1項に記載のフルオロ(ポリ)エーテル基含有シラン化合物、又は請求項12又は13に記載の表面処理剤から形成された層とを含む物品。
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