JP7189171B2 - 湿式摩擦材及びその使用方法 - Google Patents
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Description
そして、このような構造の湿式クラッチでは、非締結時に、湿式摩擦材とセパレータプレートとが離間されて相対回転されているが、上述の通り、湿式摩擦材とセパレータプレートとの間のクリアランスが小さく、潤滑油が介在されているため、湿式クラッチでは、非締結時にトルクを生じてしまう。このトルクは、引摺りトルクと称され、エネルギー効率の観点からは、クラッチの空転時の不要なエネルギー消費となっている。このため、近年、急速に進展されている低燃費化対策として、引摺りトルクの低減が望まれている。このような湿式摩擦材に起因した引摺りトルクの低減を課題とする技術として下記特許文献1及び2が知られている。
また、上記特許文献2には、引摺りトルク低減と伝達トルクとのバランスを得る観点から、外周幅が狭く内周幅が広いセグメントピースと、内周幅が狭く外周幅が広いセグメントピースと、を交互に配設した態様([0039]~[0040]、図7b及び図8e)が開示されている。
〔1〕本発明の湿式摩擦材は、平板なリング形状をなすコアプレートと、前記コアプレートの主面にリング状に配置された摩擦部と、を有する湿式摩擦材であって、
前記摩擦部は、下記形態を有する第1セグメントピース(G1)と、下記形態を有する第2セグメントピース(G2)と、前記セグメントピース同士の間隙として設けられた油溝と、を有し、
前記第1セグメントピース(G1)及び前記第2セグメントピース(G2)が、前記油溝を介して交互に配置されていることを特徴とする。
G1:内周側と外周側とに貫通された1条の凹溝を左右中央部に有し、且つ、6以上8以下の辺を有する略多角形の平面形状を有するセグメントピース
G2:内周側と外周側とに貫通された1条の凹溝を左右中央部に有し、且つ、略台形の平面形状を有するセグメントピース
〔2〕本発明の湿式摩擦材では、前記第1セグメントピース(G1)は、前記内周側に沿って配置された下辺L11と、
前記下辺L11に略平行に対向し、且つ、前記外周側に沿って配置された上辺L12と、
前記下辺L11と前記上辺L12とをこれらの左側で繋ぐ左側辺L13と、
前記下辺L11と前記上辺L12とをこれらの右側で繋ぐ右側辺L14と、を有し、
前記左側辺L13は、内周側に位置して左傾した左下斜辺L133を含む2以上3以下の辺が連接されてなり、
前記右側辺L14は、内周側に位置して右傾した右下斜辺L143を含む2以上3以下の辺が連接されたものにできる。
〔3〕本発明の湿式摩擦材では、前記第2セグメントピース(G2)は、下底L21と、前記下底L21よりも長さが短い上底L22と、
前記下底L21及び前記上底L22をこれらの左側で繋ぐ左側辺L23と、
前記下底L21及び前記上底L22をこれらの右側で繋ぐ右側辺L24と、を有し、
前記左側辺L23は、外周側に位置して右傾した左上斜辺L231を含む2つの辺が連接されてなり、
前記右側辺L24は、外周側に位置して左傾した右上斜辺L241を含む2つの辺が連接されてなり、
前記下底L21を前記内周側へ向け、前記上底L22を前記外周側へ向けて配置されたものにできる。
〔4〕本発明の湿式摩擦材では、前記第1セグメントピース(G1)の前記右下斜辺L143と、前記第2セグメントピース(G2)の前記左上斜辺L231と、が略平行であるとともに、前記右下斜辺L143に対する法線と、左上斜辺L231に対する法線と、が重なる領域を有し、且つ、
前記第1セグメントピース(G1)の前記左下斜辺L133と、前記第2セグメントピース(G2)の前記右上斜辺L241と、が略平行であるとともに、前記左下斜辺L133に対する法線と、前記右上斜辺L241に対する法線と、が重なる領域を有するものにできる。
〔5〕本発明の湿式摩擦材では、前記第1セグメントピース(G1)の前記左下斜辺L133が、前記第1セグメントピース(G1)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ133とした場合に、20°≦θ133≦30°であり、
前記第1セグメントピース(G1)の前記右下斜辺L143が、前記第1セグメントピース(G1)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ143とした場合に、20°≦θ143≦30°であり、
前記第2セグメントピース(G2)の前記左上斜辺L231が、前記第2セグメントピース(G2)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ231とした場合に、20°≦θ231≦30°であり、
前記第2セグメントピース(G2)の前記右上斜辺L241が、前記第2セグメントピース(G2)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ241とした場合に、20°≦θ241≦30°であるものにできる。
〔6〕本発明の湿式摩擦材では、前記第1セグメントピース(G1)が有する前記左側辺L13は、外周側に位置して右傾した左上斜辺L131を有し、且つ、
前記第1セグメントピース(G1)が有する前記右側辺L14は、外周側に位置して左傾した右上斜辺L141を有するものにできる。
〔7〕本発明の湿式摩擦材では、前記第1セグメントピース(G1)の前記凹溝の中心線の高さをH1とした場合に、
前記左下斜辺L133の高さH133は、H133/H1≧0.5であり、
前記右下斜辺L143の高さH143は、H143/H1≧0.5であるものにできる。
〔8〕本発明の湿式摩擦材では、前記第2セグメントピース(G2)の前記凹溝の中心線の高さをH2とした場合に、
前記左上斜辺L231の高さH231は、H231/H2≧0.5であり、
前記右上斜辺L241の高さH241は、H241/H2≧0.5であるものにできる。
〔9〕本発明の湿式摩擦材では、潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境で使用される態様とすることができる。
〔10〕本発明の湿式摩擦材の使用方法は、本発明の湿式摩擦材を、潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境で使用することを特徴とする。
本発明の湿式摩擦材の使用方法によれば、低油量下において低い引摺りトルクを達することができる。
本発明の湿式摩擦材(1)は、平板なリング形状をなすコアプレート(2)と、コアプレート(2)の主面(2a)にリング状に配置された摩擦部(3)と、を有する。
このうち、摩擦部(3)は、第1セグメントピース(G1)及び第2セグメントピース(G2)を含む複数のセグメントピース(4)と、これらセグメントピース(G1)及び(G2)の間隙として設けられた油溝(5)と、を有する。更に、セグメントピース(G1)及び(G2)は、油溝(5)を介して交互に配置されていることを特徴とする(図1~図7参照)。
上記コアプレート2は、平板なリング形状を呈する。即ち、板体中央が開孔された環形状である。コアプレート2は、リング形状の中心を回転中心Pとしている。コアプレート2が有する主面2aは、その面にセグメントピース4が接合されて摩擦部3が形成される面である。主面2aは、コアプレート2の一面のみに有してよいし、両面に有してもよい。即ち、摩擦部3は、コアプレート2の一面のみに形成されてもよいし、コアプレート2の両面に形成されていてもよい。
また、コアプレート2の厚さをD(mm)とした場合、厚さDは限定されないが、例えば、0.1≦D(mm)≦10mmとすることができ、0.3≦D(mm)≦7とすることができ、0.5≦D(mm)≦5とすることができる。
更に、コアプレート2は、どのような材料から形成されてもよいが、例えば、各種炭素鋼(S35C、S55C等)、冷間圧延鋼板(SPCC、SPCCT等)、低炭素ハイテン鋼(NCH780等)などを用いることができる。
摩擦部3は、セグメントピース4と油溝5とから構成される。具体的には、複数のセグメントピース4が油溝5を介してリング状に配置されて形成される。
そして、摩擦部3は、湿式摩擦材1と、これに隣接された相手材(セパレータプレート等)と、の接触の程度によって、湿式摩擦材1と相手材との連動具合を調節する機能を有する。即ち、相手材に対するブレーキ機能(制動機能)やトルク伝達機能を有する。
この摩擦部3は、コアプレート2の表側の主面2aと裏側の主面2aとで、同じ形態であってもよいし、異なる形態であってもよい。
セグメントピース4は、上述のように摩擦部3を構成しており、その表面が摩擦面とされている。油溝5は、セグメントピース4によって区画形成されるため、セグメントピース4の外形と、その並び方により油溝5の形状も決定されることとなる。
本発明の湿式摩擦材1(図1参照)で用いるセグメントピース4には、第1セグメントピースG1(以下、単に「第1ピースG1」ともいう)及び第2セグメントピースG2(以下、単に「第2ピースG2」ともいう)が含まれる。セグメントピース4は、通常、これら2種のみからなるが、本発明の目的を阻害しない範囲で必要に応じて、これら2種以外のセグメントピースを含んでもよい。
第1ピースG1は、6以上8以下の辺を有する略多角形の平面形状(即ち、外周の形状)を有する。これらの平面形状は、図2~図4に示す形状等として例示される。
ここで、略多角形には、(1)図2a、図3a及び図4aに例示するように、直線辺のみが接続されてなる多角形状、(2)図2b、図3b及び図4bに例示するように、コアプレート2の外周縁や内周縁に対応した湾曲辺を有する多角形状、(3)図2c、図3c及び図4cに例示するように、直線辺同士の接続部に曲線が介在された多角形状、更には、(4)上述した直線辺、湾曲辺及び直線辺同士の接続部に介在された曲線の全てを備えた多角形状等が含まれる。
即ち、第1ピースG1が備える各辺のうち、内周側SIに沿って配置された下辺をL11とし、下辺L11に略平行に対向し、且つ、外周側SOに沿って配置された上辺をL12と、下辺L11と上辺L12とをこれらの左側で繋ぐ左側辺をL13とし、下辺L11と上辺L12とをこれらの右側で繋ぐ右側辺をL14とした場合に、左側辺L13は、内周側SIに位置して左傾した左下斜辺L133を含む2以上3以下の辺が連接されてなり、右側辺L14は、内周側に位置して右傾した右下斜辺L143を含む2以上3以下の辺が連接されてなる。
具体的に位は、図2a~図2c、図3a~図3c及び図4a~図4cに例示される辺L133及び辺L143を有することができる。
上述のうち、図2に例示される平面形状は、長方形を原形として、内周側SIの左右両方の角が切り欠かれた形状であり、摩擦面の面積が内周側によりも外周側へ多く偏って配置された形状にすることができる。
この平面形状を有することにより、内周側SIから軸心供給される潤滑油を、左下斜辺L133及び右下斜辺L143を介して、摩擦面へと供給し、摩擦面で効率的に利用させることができる。加えて、第1ピースG1は、凹溝T1を備えるために、摩擦面で利用された潤滑油を外周側SOへ効率よく排出でき、摩擦面での潤滑油の不要な滞留を抑制できる。
このように、第1ピースG1が左右対称な平面形状である場合には、回転方向に関わらず、同質な引摺りトルク低減作用を得ることができる。即ち、湿式摩擦材が右回転(時計回り)する際の引摺りトルク低減作用と、湿式摩擦材が左回転(反時計回り)する際の引摺りトルク低減作用と、を揃えることができる。
平面形状の左右対称については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
例えば、第1ピースG1の凹溝T1の中心線LCの高さをH1とした場合に、左下斜辺L133の高さH133は、H133/H1≧0.5とすることができる。H133/H1≧0.5である場合には、第1ピースG1の左下斜辺L133と、当該第1ピースG1の左側に配置される第2ピースG2の右斜辺L24又は右上斜辺L241と、が略平行となる領域をより多く確保でき、油溝5の機能を強化できる。
この比は、通常、0.5≦H133/H1≦0.9であり、0.5≦H133/H1≦0.8が好ましく、0.5≦H133/H1≦0.7がより好ましい。
この比は、通常、0.5≦H143/H1≦0.9であり、0.5≦H143/H1≦0.8が好ましく、0.5≦H143/H1≦0.7がより好ましい。
尚、高さH1は、中心線LCと第1ピースG1の外周線との交点と、中心線LCと第1ピースG1の内周線との交点と、の間の距離に等しい。
平面形状の各部の高さについては、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
尚、幅W1は、辺L131と辺L141とによって切り取られる、中心線LCに直交する線分の最大長さである。
平面形状の高さと幅の比については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、θ133=θ143となる。
平面形状の各部の角度については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
凹溝T1の条数及び貫通については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
この比は、0.06≦TW/W1≦0.18が好ましく、0.07≦TW/W1≦0.15がより好ましい。
凹溝T1の幅TWと第1ピースG1の幅W1との相関については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
具体的には、図7aに示すように、凹溝T1の断面形状は角形状にすることができる。即ち、左側壁T13、平坦な溝底面T11及び右側壁T14で囲まれた角形状にすることができる(左側壁T13及び右側壁T14は、第1ピースG1の表面4aに対して略垂直にでき、溝底面T11は、第1ピースG1の表面4aに対して略平行にできる)。
また、図7bに示すように、第1ピースG1の表面4a(摩擦面)と左側壁T13との接続部、左側壁T13と溝底面T11との接続部、溝底面T11と右側壁T14との接続部、第1ピースG1の表面4aと右側壁T14との接続部、の各接続部は、面取り(丸め)態様にすることができる。
また、図7dに示すように、凹溝T1の断面形状は、中央に向かって次第に深くなるように湾曲された溝底面T11のみで形成することもできる。
更に、図7eに示すように、凹溝T1の断面形状は、中央に向かって次第に深くなるように、傾斜された左側壁T13と傾斜された右側壁T14とのみで形成することもできる。
凹溝T1の断面形状については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
この比は、0.3≦Tt2/Tt1≦0.7が好ましく、0.4≦Tt2/Tt1≦0.6がより好ましい。
凹溝T1の深さTt2と第1ピースG1の厚さTt1との相関については、第1ピースG1の形態1~形態3において共通する。
図3に例示される平面形状は、長方形を原形として、内周側の左右両方の角、及び、外周側の左右両方の角、が切り欠かれた形状であり、摩擦面の面積が内周側へも外周側へも偏って配置されない形状とすることができる。
この形状では、内周側SIから軸心供給される潤滑油を、左下斜辺L133及び右下斜辺L143を介して、摩擦面へと供給し、摩擦面で効率的に利用させることができる。加えて、油溝5を通る潤滑油を、左上斜辺L131及び右上斜辺L141を介して、外周側への排出を促がすことができる。更に、第1ピースG1は、凹溝T1を備えるために、摩擦面で利用された潤滑油を外周側SOへ効率よく排出でき、摩擦面での潤滑油の不要な滞留を抑制できる。
例えば、前述した形態1(図2a~図2c)の場合と同様に、第1ピースG1の高さH1に対する左下斜辺L133の高さH133は、H133/H1≧0.5(通常、H133/H1≦0.9)とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1と共通する。
同様に、第1ピースG1の高さH1に対する右下斜辺L143の高さH143は、H143/H1≧0.5(通常、H143/H1≦0.9)とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1と共通する。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、H133/H1=H143/H1となる点も同様である。
更に、第1ピースG1の左下斜辺L133の角度θ133は、20°≦θ133≦30°とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1と共通する。
同様に、第1ピースG1の右下斜辺L143の角度θ143は、20°≦θ143≦30°とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1と共通する。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、θ133=θ143となる点も同様である。
第1ピースG1が、略八角形の平面形状を有する場合、第1ピースG1は、下辺L11、上辺L12、左側辺L13、及び、右側辺L14を有し、左側辺L13は、左下斜辺L133を含む3つの辺(辺L131、辺L132、辺L133)が連接され、右側辺L14は、右下斜辺L143を含む3つの辺(辺L141、辺L142、辺L143)が連接された平面形状を有することになる。このような平面形状の第1ピースG1は、例えば、図4に例示される。即ち、左側辺L13が、外周側SOに位置して右傾した左上斜辺L131を有し、且つ、右側辺L14が、外周側SOに位置して左傾した右上斜辺L141を有する。尚、右傾は、辺の上端が辺の下端に対して右側に配置された状態を意味し、左傾は、辺の上端が辺の下端に対して左側に配置された状態を意味する。
この形状では、内周側SIから軸心供給される潤滑油を、左下斜辺L133及び右下斜辺L143を介して、摩擦面へと供給し、摩擦面で効率的に利用させることができる。加えて、油溝5を通る潤滑油を、左上斜辺L131及び右上斜辺L141を介して、外周側への排出を促がすことができる。更に、第1ピースG1の外周端面が潤滑油と接する面積を低減することができる。また、第1ピースG1は、凹溝T1を備えるために、摩擦面で利用された潤滑油を外周側SOへ効率よく排出でき、摩擦面での潤滑油の不要な滞留を抑制できる。
例えば、前述した形態1(図2a~図2c)及び形態2(図3a~図3c)の場合と同様に、第1ピースG1の高さH1に対する左下斜辺L133の高さH133は、H133/H1≧0.5(通常、H133/H1≦0.9)とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1及び形態2と共通する。
同様に、第1ピースG1の高さH1に対する右下斜辺L143の高さH143は、H143/H1≧0.5(通常、H143/H1≦0.9)とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1及び形態2と共通する。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、H133/H1=H143/H1となる点も同様である。
同様に、第1ピースG1の高さH1に対する右上斜辺L141の高さH141は、H141/H1<0.5(通常、0.1≦H141/H1)とすることができる。H141/H1<0.5である場合には、第1ピースG1の外周端面が、潤滑油と接する面積を低減しつつ、十分な摩擦面積を確保することができる。この比は、0.2≦H141/H1≦0.4が好ましい。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、H131/H1=H141/H1となる。
更に、第1ピースG1の左下斜辺L133の角度θ133は、20°≦θ133≦30°とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1及び形態2と共通する。
同様に、第1ピースG1の右下斜辺L143の角度θ143は、20°≦θ143≦30°とすることができ、その好ましい範囲は前述した形態1及び形態2と共通する。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、θ133=θ143となる点も同様である。
同様に、第1ピースG1の右上斜辺L141の角度θ141は、30°<θ141≦70°とすることができる。30°<θ141≦70°である場合には、第1ピースG1の外周端面が、潤滑油と接する面積を低減しつつ、十分な摩擦面積を確保することができる。この角度は、35°≦θ141≦65°が好ましく、40°≦θ141≦60°がより好ましい。
また、前述の通り、第1ピースG1が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、θ131=θ141となる。
第2ピースG2は、内周側SIと外周側SOとに貫通された1条の凹溝T2を左右中央部に有し、且つ、略台形の平面形状を有するセグメントピースである。これらの平面形状は、図5及び図6に示す形状等として例示される。
ここで、略台形には、(1)図5a及び図6aに例示するように、直線辺のみが接続されてなる台形状、(2)図5b及び図6bに例示するように、コアプレート2の外周縁や内周縁に対応した湾曲辺(湾曲された上底、湾曲された下底)を有する台形状、(3)図5c及び図6cに例示するように、直線辺同士の接続部に曲線が介在された台形状、更には、(4)上述した直線辺、湾曲辺及び直線辺同士の接続部に介在された曲線の全てを備えた台形状等が含まれる。
即ち、第2ピースG2が備える各辺のうち、内周側SIに沿って配置された下辺をL21とし、下辺L21に略平行に対向し、且つ、外周側SOに沿って配置された上辺をL22と、下辺L21と上辺L22とをこれらの左側で繋ぐ左側辺をL23とし、下辺L21と上辺L22とをこれらの右側で繋ぐ右側辺をL24とした場合、左側辺L23は右傾され、右側辺L24は左傾される(図5参照)。
また、同様に、第2ピースG2が備える各辺を、下辺L21、上辺L22、左側辺L23及び右側辺L24とした場合、左側辺L23は、外周側SOに位置して右傾した左上斜辺L231を含んだ2辺が連接してなる辺とすることができ、右側辺L24は、外周側SOに位置して左傾した右上斜辺L241を含んだ2辺が連接してなる辺とすることができる(図6参照)。
上述のうち、図5に例示される平面形状は、長方形を原形として、外周側SOの左右両方の角が切り欠かれた形状であり、摩擦面の面積が外周側によりも内周側へ多く偏って配置された形状にすることができる。
2つの第1ピースG1同士の間に油溝5を介して、この平面形状を有した第2ピースG2が配置されることで、低油量下における引摺りトルクを低減できる。また、第1ピースG1の右下斜辺L143と第2ピースG2の左側辺L23とで油溝5を形成し、第1ピースG1の左下斜辺L133と第2ピースG2の右側辺L24とで油溝5を形成して、内周側SIから軸心供給される潤滑油を外周側SOへ効率よく排出でき、潤滑油の不要な滞留を抑制できる。
このように、第2ピースG2が左右対称な平面形状である場合には、回転方向に関わらず、同質な引摺りトルク低減作用を得ることができる。即ち、湿式摩擦材が右回転(時計回り)する際の引摺りトルク低減作用と、湿式摩擦材が左回転(反時計回り)する際の引摺りトルク低減作用と、を揃えることができる。
平面形状の左右対称については、第2ピースG2の形態1及び形態2において共通する。
例えば、第2ピースG2の凹溝T2の中心線LCの高さをH2とし、第1ピースG1の幅をW2とした場合に、高さH2と幅W2との比は、0.6≦W2/H2≦2.0とすることができ、0.7≦W2/H2≦1.9とすることが好ましく、0.8≦W2/H2≦1.8とすることがより好ましい。
尚、高さH2は、中心線LCと第2ピースG2の外周線との交点と、中心線LCと第2ピースG2の内周線との交点と、の間の距離に等しい。
また、幅W2は、左側辺L23と右側辺L24とによって切り取られる(図6では、辺L232と辺L242とによって切り取られる)、中心線LCに直交する線分の最大長さである。
平面形状の高さ、幅及びこれらの比については、第2ピースG2の形態1及び形態2において共通する。
同様に、第2ピースG2の右側辺L24が、第2ピースG2の凹溝T2の中心線LCに対してなす角度をθ24とした場合、20°≦θ24≦30°とすることができる。20°≦θ24≦30°である場合には、油溝5を介して潤滑油を効率よく外周側SOへ排出できる。この角度は、21°≦θ24≦29°が好ましく、22°≦θ24≦28°がより好ましい。
また、前述の通り、第2ピースG2が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、θ23=θ24となる。
平面形状の各部の角度については、第2ピースG2の形態1及び形態2において共通する。
凹溝T2の条数及び貫通については、第2ピースG2の形態1及び形態2において共通する。
具体的には、図7aに示すように、凹溝T2の断面形状は角形状にすることができる。即ち、左側壁T23、平坦な溝底面T21及び右側壁T24で囲まれた角形状にすることができる(左側壁T23及び右側壁T24は、第2ピースG2の表面4aに対して略垂直にでき、溝底面T21は、第2ピースG2の表面4aに対して略平行にできる)。
また、図7bに示すように、第2ピースG2の表面4a(摩擦面)と左側壁T23との接続部、左側壁T23と溝底面T21との接続部、溝底面T21と右側壁T24との接続部、第2ピースG2の表面4aと右側壁T24との接続部、の各接続部は、面取り(丸め)態様にすることができる。
この比は、0.06≦TW/W2≦0.18が好ましく、0.07≦TW/W2≦0.15がより好ましい。
凹溝T2の幅TWと第2ピースG2の幅W2との相関については、第2ピースG2の形態1及び形態2において共通する。
また、図7dに示すように、凹溝T2の断面形状は、中央に向かって次第に深くなるように湾曲された溝底面T21のみで形成することもできる。
更に、図7eに示すように、凹溝T2の断面形状は、中央に向かって次第に深くなるように、傾斜された左側壁T23と傾斜された右側壁T24とのみで形成することもできる。
凹溝T2の断面形状については、第2ピースG2の形態1及び形態2において共通する。
この比は、0.3≦Tt2/Tt1≦0.7が好ましく、0.4≦Tt2/Tt1≦0.6がより好ましい。
凹溝T2の深さTt2と第2ピースG2の厚さTt1との相関については、第2ピースG1の形態1及び形態2において共通する。
図6に例示される平面形状は、長方形を原形として、外周側SOの左右両方の角が切り欠かれた形状であり、摩擦面の面積が外周側によりも内周側へ多く偏って配置された形状にすることができる。
2つの第1ピースG1同士の間に油溝5を介して、この平面形状を有した第2ピースG2が配置されることで、低油量下における引摺りトルクを低減できる。また、第1ピースG1の右下斜辺L143と第2ピースG2の左上斜辺L231とで油溝5を形成し、第1ピースG1の左下斜辺L133と第2ピースG2の右上斜辺L241とで油溝5を形成して、内周側SIから軸心供給される潤滑油を外周側SOへ効率よく排出でき、潤滑油の不要な滞留を抑制できる。
例えば、第2ピースG2の凹溝T2の中心線LCの高さをH2とした場合に、左上斜辺L231の高さH231は、H231/H2≧0.5とすることができる。H231/H2≧0.5である場合には、第2ピースG2の左上斜辺L231と、当該第2ピースG2の左側に配置される第1ピースG1の右下斜辺L143と、が略平行となる領域をより多く確保でき、油溝5の機能を強化できる。
この比は、通常、0.5≦H231/H2<1であり、0.6≦H231/H2≦0.95が好ましく、0.7≦H231/H2≦0.90がより好ましい。
この比は、通常、0.5≦H241/H2<1であり、0.6≦H241/H2≦0.95が好ましく、0.7≦H241/H2≦0.90がより好ましい。
また、前述の通り、第2ピースG2が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、H231/H2=H241/H2となる。
同様に、第2ピースG2の右上斜辺L241が、第2ピースG2の凹溝T2の中心線LCに対してなす角度をθ241とした場合、20°≦θ241≦30°とすることができる。20°≦θ241≦30°である場合には、油溝5を介して潤滑油を効率よく外周側SOへ排出できる。この角度は、21°≦θ241≦29°が好ましく、22°≦θ241≦28°がより好ましい。
また、前述の通り、第2ピースG2が左右対称な平面形状を有する場合、中心線LCは、線LPと重なるため、θ231=θ241となる。
第1ピースG1と第2ピースG2とは、前述の通り、交互に配置されればよいが、更に、以下のように配置することができる。
即ち、第1ピースG1の右下斜辺L143と、第2ピースG2の左上斜辺L231と、が略平行であるとともに、右下斜辺L143に対する法線N143と、左上斜辺L231に対する法線N231と、が重なる領域Aを有するように配置できる(図8参照)。この配置により、油溝5による潤滑油を外周側SOへ排出する作用をより向上させることができる。
更に、第1ピースG1の左下斜辺L133と、第2ピースG2の右上斜辺L241と、が略平行であるとともに、左下斜辺L133に対する法線と、右上斜辺L241に対する法線と、が重なる領域Aを有するように配置できる(図8参照)。この配置により、油溝5による潤滑油を外周側SOへ排出する作用をより向上させることができる。
上述の配置は、別個に行ってもよいが、両配置を同時に行うことが好ましい。
更に、第1ピースG1の幅W1と第2ピースG2の幅W2との比は、0.8≦W1/W2≦1.2にすることができる。
本発明の湿式摩擦材1において、コアプレート2の1つの主面2aに配置されるセグメントピース4の数は限定されないが、例えば、10以上100以下とすることができる。この数は、15以上90以下が好ましく、20以上80以下がより好ましい。
また、第1ピースG1と第2ピースG2とは交互に配置されればよい。即ち、セグメントピース4の全てが、第1ピースG1と第2ピースG2とのみからなってもよいし、これら以外のセグメントピース4を含んでもよい。これら以外のセグメントピース4としては、例えば、第1ピースG1と同じ平面形状を有しつつ、凹溝T1を有さないセグメントピース4や、第2ピースG2と同じ平面形状を有しつつ、凹溝T2を有さないセグメントピース4が挙げられる。
各セグメントピース4の構成は限定されず、例えば、基材繊維及び充填材を含んだ抄紙体を硬化性樹脂によって固めたものを利用できる。
このうち、基材繊維としては、各種の合成繊維、再生繊維、無機繊維、天然繊維等を利用できる。具体的には、セルロース繊維(パルプ)、アクリル繊維、アラミド繊維等が好ましい。更に、充填材としては、摩擦調整剤としてのカシューダスト、固体潤滑剤としてのグラファイト及び/又は二硫化モリブデン、体質顔料としてのケイソウ土等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂及び/又はその変性樹脂を用いることができる。
また、セグメントピース4は、コアプレート2の主面2aに対して、通常、接合して固定されるが、コアプレート2との接合方法は限定されず、熱融着、接着剤等を介した貼着(接着)等の方法を用いることができる。
油溝5は、2つのセグメントピース4が離間して配置されることで、これらの間隙として形成される潤滑油の流路となる溝である。即ち、油溝5は、内周側SI及び外周側SOへ貫通された貫通溝である。
本発明では、少なくとも第1ピースG1と第2ピースG2とが隣り合って配置され、これらのセグメントピース間に設けられた油溝5を有する。
油溝の各部の大きさは限定されないが、例えば、油溝5の幅(L133とL24、L133とL241、L143とL23、L143とL231が平行である場合における、各2辺間の距離)は、0.1mm以上10mm以下が好ましく、0.2mm以上8mm以下がより好ましく、0.3mm以上6mm以下が特に好ましい。
本発明の湿式摩擦材1は、どのような環境で利用してもよいが、軸芯潤滑下で利用することにより、本構成による効果を顕著に得ることができる。即ち、優れた引摺りトルク低減効果をより顕著に得ることができる。更に、非低油量下で利用する場合にくらべて、低油量下で利用することにより、本構成による効果を顕著に得ることができる。即ち、優れた引摺りトルク低減効果をより顕著に得ることができる。より具体的には、潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境が好ましい。この潤滑油の供給量の下限は限定されないが、1分あたり50mL以上であることが好ましい。
本発明の湿式摩擦材の使用方法は、前述した本発明の湿式摩擦材1を、潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境で使用することを特徴とする。
湿式摩擦材1については前述した通りである。この湿式摩擦材1は、非低油量下で利用する場合にくらべて、低油量下で利用することにより、より優れた引摺りトルク低減効果を得ることができる。より具体的には、潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境が好ましい。この潤滑油の供給量の下限は限定されないが、1分あたり50mL以上であることが好ましい。
更に、軸芯潤滑以外の環境で利用してもよいが、軸芯潤滑下で利用してもよいが好ましい。
[1]湿式摩擦材の調整
[実施例1]
下記要素を用いて実施例1の湿式摩擦材1を得た(図1及び図9a参照)。
コアプレート2は、平板なリング形状(外径R1=183.8mm、内径R2=173.2mm)をなし、内周から突設されたスプライン歯8(係合歯8)を有する。このコアプレート2の両主面2a(表側の主面2a及び裏側の主面2aの両面)に下記のセグメントピース4を接合して実施例1の湿式摩擦材を得た。
高さH1=5.3mm
高さH131=H141=1.2mm
高さH133=H143=2.4mm
幅W1=8.1mm
角度θ131=角度θ141=55度
角度θ133=角度θ143=25度
凹溝T1幅TW=1mm
凹溝T1深さTt1-Tt2=0.1mm
高さH2=5.3mm
高さH231=H241=4mm
幅W2=8.1mm
角度θ23=角度θ24=25度
凹溝T2幅TW=1mm
凹溝T2深さTt1-Tt2=0.1mm
実施例1における第1ピースG1と同じ平面形状を有するが、凹溝T1を有さないセグメントピースG3と、第2ピースG2と同じ平面形状を有するが、凹溝T2を有さないセグメントピースG4と、が交互に配置された湿式摩擦材91(図9a参照)。即ち、実施例1の湿式摩擦材とは、凹溝T1及び凹溝T2を備えないこと以外は、同じ湿式摩擦材である。
実施例1における第2ピースG2のみを60ピース並べた湿式摩擦材92(図9b参照)。即ち、実施例1の湿式摩擦材とは、第1ピースG1の代わりに第2ピースG2が利用されていること以外は、同じ湿式摩擦材である。
(1)低油量試験(100mL/分)
上記[1]の実施例1及び比較例1-2の各湿式摩擦材による引摺りトルクの大きさを、下記条件下のもとSAE摩擦試験機で測定した。
自動変速機潤滑油(Automatic Transmission Fluid、「ATF」は出光興産株式会社の登録商標であるが、ここでは当該登録商標とは無関係に以下「ATF」と略す。)油温:40℃、ATF油量:100mL/分(軸芯潤滑)、パッククリアランス:0.5mm/枚の環境下で、試験体の湿式摩擦材を4枚セットし、相対回転数が500~2000rpmの範囲を含むよう変化させたうえで、500rpm、1000rpm、1500rpm、2000rpmの4点における引摺りトルクを測定した。
ATF油量を1000mL/分(軸芯潤滑)に変えたこと以外は、上記(1)低油量試験と同様に引摺りトルクを測定した。
上記[2]引摺りトルクの測定の(1)低油量試験及び(2)非低油量試験において得られた結果を図10~図12に示した。各図において、縦軸上側が引摺りトルクがより大きいことを表わし、縦軸下側が引摺りトルクがより小さいことを表わす)
図10は、潤滑油の供給量が100mL/分と少ない環境における引摺りトルク-相対回転数の相関を示すグラフである。即ち、低油量下における引摺りトルク-相対回転数の相関を示すグラフである。
図11は、潤滑油の供給量が1000mL/分と多い環境における引摺りトルク-相対回転数の相関を示すグラフである。即ち、非低油量下における引摺りトルク-相対回転数の相関を示すグラフである。
図12は、実施例1及び比較例1の各々に関して、低油量下における引摺りトルク-相対回転数の相関を示すグラフと、非低油量下における引摺りトルク-相対回転数の相関を示すグラフと、を対比させたグラフである。
更に、図12からは、実施例1及び比較例1の各々の湿式摩擦材において、潤滑油量1000mL/分における引摺りトルクと潤滑油量1000mL/分における引摺りトルクとを比較し、引摺りトルク低減効果を観察すると、比較例1に対して、実施例1では、相対回転数500~1000rpmのより低回転域において、より顕著な引摺りトルク低減効果が発揮されていることが分かる。
2;コアプレート、2a;主面、
3;摩擦部、
4;セグメントピース、4a;セグメントピースの表面、
5;油溝、
8;スプライン歯(係合歯)、
G1;第1セグメントピース(第1ピース)、
G2;第2セグメントピース(第2ピース)、
L11;下辺、
L12;上辺、
L13;左側辺、L131;左上斜辺、L132;辺、L133;左下斜辺、
L14;右側辺、L141;右上斜辺、L142;辺、L143;右下斜辺、
L21;下底(下辺)、
L22;上底(上辺)、
L23;左側辺(左斜辺)、L231;左上斜辺、L232;辺、
L24;右側辺(右斜辺)、L241;右上斜辺、L242;辺、
LC;中心線、
LP;回転中心Pを通る線、
N231、N133、N241、N143;法線、
P;回転中心、
SI;内周側、
SO;外周側、
T1;凹溝、T11;溝底面、T13;左側壁、T14;右側壁、
T2;凹溝、T21;溝底面、T23;左側壁、T24;右側壁。
Claims (9)
- 平板なリング形状をなすコアプレートと、前記コアプレートの主面にリング状に配置された摩擦部と、を有する湿式摩擦材であって、
前記摩擦部は、下記形態を有する第1セグメントピース(G1)と、下記形態を有する第2セグメントピース(G2)と、前記セグメントピース同士の間隙として設けられた油溝と、を有し、
前記第1セグメントピース(G1)及び前記第2セグメントピース(G2)が、前記油溝を介して交互に配置されていることを特徴とする湿式摩擦材。
G1:内周側と外周側とに貫通された1条の凹溝を左右中央部に有し、且つ、6以上8以下の辺を有する略多角形の平面形状を有し、
前記内周側に沿って配置された下辺L 11 と、
前記下辺L 11 に略平行に対向し、且つ、前記外周側に沿って配置された上辺L 12 と、
前記下辺L 11 と前記上辺L 12 とをこれらの左側で繋ぐ左側辺L 13 と、
前記下辺L 11 と前記上辺L 12 とをこれらの右側で繋ぐ右側辺L 14 と、を有し、
前記左側辺L 13 は、内周側に位置して左傾した左下斜辺L 133 を含む2以上3以下の辺が連接されてなり、
前記右側辺L 14 は、内周側に位置して右傾した右下斜辺L 143 を含む2以上3以下の辺が連接されてなるセグメントピース
G2:内周側と外周側とに貫通された1条の凹溝を左右中央部に有し、且つ、略台形の平面形状を有するセグメントピース - 前記第2セグメントピース(G2)は、下底L21と、前記下底L21よりも長さが短い上底L22と、
前記下底L21及び前記上底L22をこれらの左側で繋ぐ左側辺L23と、
前記下底L21及び前記上底L22をこれらの右側で繋ぐ右側辺L24と、を有し、
前記左側辺L23は、外周側に位置して右傾した左上斜辺L231を含む2つの辺が連接されてなり、
前記右側辺L24は、外周側に位置して左傾した右上斜辺L241を含む2つの辺が連接されてなり、
前記下底L21を前記内周側へ向け、前記上底L22を前記外周側へ向けて配置されている請求項1に記載の湿式摩擦材。 - 前記第1セグメントピース(G1)の前記右下斜辺L143と、前記第2セグメントピース(G2)の前記左上斜辺L231と、が略平行であるとともに、前記右下斜辺L143に対する法線と、左上斜辺L231に対する法線と、が重なる領域を有し、且つ、
前記第1セグメントピース(G1)の前記左下斜辺L133と、前記第2セグメントピース(G2)の前記右上斜辺L241と、が略平行であるとともに、前記左下斜辺L133に対する法線と、前記右上斜辺L241に対する法線と、が重なる領域を有する請求項2に記載の湿式摩擦材。 - 前記第1セグメントピース(G1)の前記左下斜辺L133が、前記第1セグメントピース(G1)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ133とした場合に、20°≦θ133≦30°であり、
前記第1セグメントピース(G1)の前記右下斜辺L143が、前記第1セグメントピース(G1)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ143とした場合に、20°≦θ143≦30°であり、
前記第2セグメントピース(G2)の前記左上斜辺L231が、前記第2セグメントピース(G2)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ231とした場合に、20°≦θ231≦30°であり、
前記第2セグメントピース(G2)の前記右上斜辺L241が、前記第2セグメントピース(G2)の前記凹溝の中心線に対してなす角度をθ241とした場合に、20°≦θ241≦30°である請求項3に記載の湿式摩擦材。 - 前記第1セグメントピース(G1)が有する前記左側辺L13は、外周側に位置して右傾した左上斜辺L131を有し、且つ、
前記第1セグメントピース(G1)が有する前記右側辺L14は、外周側に位置して左傾した右上斜辺L141を有する請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材。 - 前記第1セグメントピース(G1)の前記凹溝の中心線の高さをH1とした場合に、
前記左下斜辺L133の高さH133は、H133/H1≧0.5であり、
前記右下斜辺L143の高さH143は、H143/H1≧0.5である請求項2乃至5のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材。 - 前記第2セグメントピース(G2)の前記凹溝の中心線の高さをH2とした場合に、
前記左上斜辺L231の高さH231は、H231/H2≧0.5であり、
前記右上斜辺L241の高さH241は、H241/H2≧0.5である請求項2乃至6のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材。 - 潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境で使用される請求項1乃至7のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材。
- 請求項1乃至8のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材を、潤滑油の供給量が1分あたり200mL以下の環境で使用することを特徴とする湿式摩擦材の使用方法。
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