JP6250524B2 - 湿式摩擦材 - Google Patents

湿式摩擦材 Download PDF

Info

Publication number
JP6250524B2
JP6250524B2 JP2014235986A JP2014235986A JP6250524B2 JP 6250524 B2 JP6250524 B2 JP 6250524B2 JP 2014235986 A JP2014235986 A JP 2014235986A JP 2014235986 A JP2014235986 A JP 2014235986A JP 6250524 B2 JP6250524 B2 JP 6250524B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
friction
virtual line
outer peripheral
edge
wet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014235986A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016098901A (ja
Inventor
一成 浅井
一成 浅井
広樹 岡村
広樹 岡村
義宮 大津賀
義宮 大津賀
亮平 星野
亮平 星野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Chemical Co Ltd
Original Assignee
Aisin Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Family has litigation
First worldwide family litigation filed litigation Critical https://patents.darts-ip.com/?family=56076640&utm_source=google_patent&utm_medium=platform_link&utm_campaign=public_patent_search&patent=JP6250524(B2) "Global patent litigation dataset” by Darts-ip is licensed under a Creative Commons Attribution 4.0 International License.
Application filed by Aisin Chemical Co Ltd filed Critical Aisin Chemical Co Ltd
Priority to JP2014235986A priority Critical patent/JP6250524B2/ja
Publication of JP2016098901A publication Critical patent/JP2016098901A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6250524B2 publication Critical patent/JP6250524B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D13/00Friction clutches
    • F16D13/58Details
    • F16D13/60Clutching elements
    • F16D13/64Clutch-plates; Clutch-lamellae
    • F16D13/648Clutch-plates; Clutch-lamellae for clutches with multiple lamellae
    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D13/00Friction clutches
    • F16D13/58Details
    • F16D13/74Features relating to lubrication

Description

本発明は、湿式摩擦材に関する。更に詳しくは、油の存在下で利用される湿式摩擦材であって、湿式クラッチ及び湿式ブレーキ等に組み込むことができる湿式摩擦材に関する。
従来、湿式摩擦材を用いた湿式クラッチや湿式ブレーキが、トルク伝達や制動等に利用されている。例えば、自動車等の自動変速機では、湿式油圧クラッチ内に湿式摩擦材が利用されている。
湿式油圧クラッチは、複数枚の湿式摩擦材と複数枚のセパレータプレートとを小さなクリアランスを介して交互に配置され、油圧を利用して両者を圧接・離間させることでトルク伝達・非伝達を行う構造となっている。また、クラッチ内には、この圧接・離間における湿式摩擦材の摩擦低減や摩擦に伴う摩擦熱を吸収する目的等から潤滑油が供給されている。このクラッチは、非締結時には、湿式摩擦材とセパレータプレートとが離間されて相対回転されるが、その際に引き摺りトルクと称されるトルクを生じることが知られている。
この様な引き摺りトルクは、クラッチの空転時に不要なエネルギーを消費してしまうことから、近年、急速に進展されている低燃費化対策として、引き摺りトルクの低減が課題となっている。引き摺りトルクの低減には様々なアプローチがあることが知られているが、例えば、摩擦部の形状工夫により引き摺りトルクを低減する方法が知られている。摩擦部の形状を工夫した技術としては、下記特許文献1が知られている。
実開平01−140029号公報
上記特許文献1には、油溝の溝幅が、湿式摩擦材の内周側へも外周側へも広がるよう、各々側縁が傾斜された摩擦部を利用することが開示されている。
このような摩擦部の採用によって、摩擦力を適切に設定でき、クラッチプレートの離脱を容易にするとともに、摩耗抑制によって寿命を伸ばすことができることが記載されているものの、引き摺りトルクについては言及がない。しかし、特許文献1に開示された図2−図6には、湿式摩擦材の内周側及び外周側の両方へ潤滑油が排出されることが示されており、その形状から考えれば、現在ではこの形状採用により引き摺りトルク低減効果を期待できるものと考えられる。
しかしながら、前述のように、近年、強く求められている低燃費化対策としては、不十分であり、更なる引き摺りトルク低減が望まれる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、更なる引き摺りトルクの低減を達することができる湿式摩擦材を提供することを目的とする。
本発明は以下の通りである。
請求項1に記載の湿式摩擦材は、平板なリング形状をなし、そのリング形状の中心を回転中心とするコアプレートと、
前記コアプレートにリング状に配置された複数の摩擦部と、前記複数の摩擦部間に油溝を備えた湿式摩擦材において、
本湿式摩擦材を平面視した場合に、前記複数の摩擦部は、前記回転中心から近い側に内周縁を有し、前記回転中心から遠い側に外周縁を有し、更に、前記内周縁の一端と前記外周縁の一端とを繋ぐ一端側縁と、前記内周縁の他端と前記外周縁の他端とを繋ぐ他端側縁とを有し、且つ、前記内周縁と前記回転中心とを最短に結ぶ、前記複数の摩擦部の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、前記仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LB1が、他群の仮想線分LB2より長くなるように前記複数の摩擦部が形成されており、
前記他群の仮想線分L B2 を有する摩擦部の内周縁が、前記コアプレートの内周縁よりも外周側に位置されていることを要旨とする。
請求項2に記載の湿式摩擦材は、請求項1に記載の湿式摩擦材において、前記一群の仮想線分LB1を有する摩擦部を第1群の摩擦部Fとし、前記他群の仮想線分LB2を有する摩擦部を第2群の摩擦部Fとした場合に、前記摩擦部Fと、これに隣り合う前記摩擦部Fとの間の前記油溝が、内周側より外周側が広がるように、前記摩擦部Fの前記一端側縁及び/又は前記他端側縁が前記摩擦部Fから遠ざかるように傾斜されていることを要旨とする。
請求項3に記載の湿式摩擦材は、請求項1又は請求項2に記載の湿式摩擦材において、前記一群の仮想線分LB1を有する摩擦部を第1群の摩擦部Fとし、前記他群の仮想線分LB2を有する摩擦部を第2群の摩擦部Fとした場合に、前記摩擦部Fと、これに隣り合う前記摩擦部Fとの間の前記油溝が、内周側より外周側が広がるように、前記摩擦部Fの前記一端側縁及び/又は前記他端側縁が前記摩擦部Fから遠ざかるように傾斜されていることを要旨とする。
請求項4に記載の湿式摩擦材は、請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載の湿式摩擦材において、前記複数の摩擦部の前記外周縁と前記回転中心とを最短に結ぶ、前記複数の摩擦部の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、前記仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LT1が、他群の仮想線分LT2より短くなるように前記複数の摩擦部が形成されていることを要旨とする。
請求項5に記載の湿式摩擦材は、請求項4に記載の湿式摩擦材において、前記一群の仮想線分LB1を有する摩擦部を第1群の摩擦部Fとし、前記他群の仮想線分LB2を有する摩擦部を第2群の摩擦部Fとした場合に、前記第1群の摩擦部Fのうちの1以上の摩擦部が、前記仮想線分LT1を有するように形成されていることを要旨とする。
本発明の湿式摩擦材1は、平面視した場合に、摩擦部3が、回転中心Pから近い側に内周縁3Bを有し、回転中心Pから遠い側に外周縁3Tを有し、これらの内周縁3B及び外周縁3Tの両周縁の一端同士を繋ぐ一端側縁3Sを有し、これらの内周縁3B及び外周縁3Tの両周縁の他端同士を繋ぐ他端側縁3Sを有している。
そして、各摩擦部3の内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ、各摩擦部3の各々に内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ、複数の摩擦部3の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LB1が、他群の仮想線分LB2より長くなる(LB1>LB2)ように複数の摩擦部3が形成されている(図1−図15参照)。
この構成によって、本発明の湿式摩擦材1は引き摺りトルクを低減できる。具体的には、仮想線分LB1を有する摩擦部3を第1群の摩擦部Fとし、仮想線分LB2を有する摩擦部3を第2群の摩擦部Fとした場合に、摩擦部Fの内周縁3Bは、摩擦部Fの内周縁3Bよりも、外周側へシフトして配置される(図1−図15参照)。この摩擦部Fの内周縁3Bが外周側へのシフトされることによって、摩擦部Fの内周側にはスペース(図3、図7及び図13の領域Xを参照)が形成される。また同時に、摩擦部Fの一端側縁3Sに対して、摩擦部Fに隣り合った摩擦部Fの他端側縁3Sは、より内周側へ長く配置されることとなる(図1−図15参照)。
従って、湿式摩擦材1が、図3に示すように、点線矢印の回転方向へ回転しているとした場合、領域Xを通過した潤滑油は、内周側へより長く形成された摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へ誘導され、太線矢印Zに従って油溝4へと誘導され、誘導された潤滑油は油溝4に沿って外周側へ排出が促される。ここで、油溝4へと誘導される潤滑油の一部は摩擦部F表面へ乗り上げた後、外周側へと排出される。このように、本発明の湿式摩擦材1では、仮想線分LがLB1>LB2であることによって、摩擦部Fの内周縁3Bが外周側へシフトされ、それによって内周側から供給された潤滑油を油溝4へ効率よく誘導して、外周側への排出を促がすことで、引き摺りトルクを低減できる。
この点、図18に示すように、従来の形態の湿式摩擦材1では、各摩擦部3に対する全ての仮想線分Lが同じ長さとなっており、内周縁3Bが外周側へシフトした摩擦部Fに相当する摩擦部が存在しない。そのため、点線矢印の回転方向へ回転しているとした場合、潤滑油は内周縁に沿って移動し油溝4へは流入し難い。そのため、内周側から外周側への排出効率を向上させることによって、得られる引き摺りトルク低減の効果を得ることが困難である。
本発明の湿式摩擦材1では、摩擦部Fと摩擦部Fとの間の油溝4が、内周側より外周側が広がる(回転中心Pの側から遠心方向へ向かって広がる)ように、摩擦部Fの一端側縁3S及び/又は他端側縁3Sが摩擦部Fから遠ざかるように傾斜された構成とすることができる(図5−図6における摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3S参照)。
この構成を有する場合には、油溝4が内周側から外周側へ向かって広がるように形成されるため、仮想線分LがLB1>LB2であることによって、油溝4へと誘導された潤滑油や、摩擦部Fの表面から油溝4へ流入された潤滑油を更に効率よく、湿式摩擦材1の外周側へ排出させることができる。その結果、更なる引き摺りトルク低減を達することができる。尚、一端側縁3S及び/又は他端側縁3Sの傾斜は、これらの側縁3Sの全体の傾斜(図5参照)であってもよいし、側縁3Sの一部のみの傾斜(図6参照)であってもよい。
本発明の湿式摩擦材1では、摩擦部Fと摩擦部Fとの間の油溝4が、内周側より外周側が広がる(回転中心Pの側から遠心方向へ向かって広がる)ように、摩擦部Fの一端側縁3S及び/又は他端側縁3Sが摩擦部Fから遠ざかるように傾斜された構成とすることができる(図9及び図12における摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3S参照)。
この構成を有する場合にも、油溝4へと誘導された潤滑油や、摩擦部Fの表面から油溝4へ流入された潤滑油を更に効率よく、湿式摩擦材1の外周側へ排出させることができる。
本発明の湿式摩擦材1では、前述(請求項1)のように、仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LB1が、他群の仮想線分LB2より長くなる(LB1>LB2)ように複数の摩擦部3を形成できる。そのうえで、更に、複数の摩擦部3の外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ、複数の摩擦部3の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LT1が、他群の仮想線分LT2より短くなる(LT1<LT2)ように複数の摩擦部が形成された構成とすることができる。即ち、LB1>LB2且つLT1<LT2の構成とすることができる。ここで、仮想線分Lのうちの一群と仮想線分Lのうちの一群とは、同じであってもよく、異なっていてもよい(図11−図13参照)。
この構成を有する場合には、前述したLB1>LB2による作用に加えてLT1<LT2による作用を同時に得ることができる。
即ち、LB1>LB2による作用とは、図13においては、摩擦部Fの内周側にスペース(図13の領域X)が形成されることにより、図13に示す方向に回転を与えたとき、領域Xを通過した潤滑油を、内周側へより長く形成された摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へ誘導(太線矢印Zのように潤滑油を誘導)し、外周側へ排出を促す作用である。
更に、LT1<LT2による作用とは、図13においては、摩擦部Fの外周側にスペース(図13の領域X参照)が形成されると同時に、摩擦部Fに隣り合った摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sは、摩擦部Fの外周縁に対して外周側へ長く形成されることとなり、図13において点線矢印の回転方向へ湿式摩擦材1が回転すると、領域Xを通過した潤滑油の一部は、摩擦部F1の外周縁に対し外周側へ形成された摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へ誘導されて、太線矢印Zに従って油溝4へと誘導され易くなる作用である。
これらの両方の作用を同時に得ることで、領域Xを通る潤滑油は太線矢印Zのように油溝4へ誘導され、領域Xを通る潤滑油は太線矢印Zのように油溝4へ誘導され、潤滑油は油溝4内でぶつかることになる。そして、このぶつかりによって、潤滑油を摩擦部F上に積極的に流出させることができる。
この摩擦部F上への潤滑油の流出は、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの間への潤滑油の介在を促がし、両者間を潤滑油によって引き剥がし、引き摺りトルクを低減する効果を奏するため、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの間に潤滑油が少なくなる状況で威力を発揮する。
また、上述のように、摩擦部F又は摩擦部Fの外周側に部分的にスペースが形成されることで、湿式摩擦材1の外周部に外周縁3Tによる凹凸を形成でき、湿式摩擦材1の回転時に、凹部となる領域Xにおいて潤滑油を流れ易くして、外周縁3Tと潤滑油との間に発生する引き摺りトルクを低減する効果も得ることができる。
本発明の実施の形態1(実験例1)を説明する全体平面図及び一部斜視図である。 本発明の実施の形態1を説明する一部拡大図である。 本発明の実施の形態1での潤滑油の流れを説明する説明図である。 本発明の実施の形態1の変形例を説明する一部拡大図である。 本発明の実施の形態3を説明する一部拡大図である。 本発明の実施の形態3の変形例を説明する一部拡大図である。 本発明の実施の形態3での潤滑油の流れを説明する説明図である。 本発明の実施の形態2(実施例3)を説明する全体平面図である。 本発明の実施の形態4(実施例2)を説明する一部拡大図である。 本発明の実施の形態4での潤滑油の流れを説明する説明図である。 本発明の実施の形態5を説明する全体平面図である。 本発明の実施の形態5の変形例(実施例5)を説明する一部拡大図である。 本発明の実施の形態5の変形例での潤滑油の流れを説明する説明図である。 本発明の実施の形態6(実施例4)を説明する全体平面図である。 本発明の実施の形態1の他の変形例を説明する全体平面図である。 比較例1の湿式摩擦材を説明する一部拡大図である。 比較例2の湿式摩擦材を説明する一部拡大図である。 従来の形態における問題点を説明する説明図である。 実施例及び比較例の各々湿式摩擦材を用いて得られる引き摺りトルクと回転数との相関を示すグラフである。
以下、本発明を、図を参照しながら説明する。ここで示す事項は例示的なもの及び本発明の実施形態を例示的に説明するためのものであり、本発明の原理と概念的な特徴とを最も有効に且つ難なく理解できる説明であると思われるものを提供する目的で述べたものである。この点で、本発明の根本的な理解のために必要で、ある程度以上に本発明の構造的な詳細を示すことを意図してはおらず、図面と合わせた説明によって本発明の幾つかの形態が実際にどのように具現化されるかを当業者に明らかにするものである。
本発明の湿式摩擦材1は、平板なリング形状をなし、そのリング形状の中心を回転中心とするコアプレート2と、コアプレート2にリング状に配置された複数の摩擦部3と、複数の摩擦部3間に油溝4を備えている。
更に、本湿式摩擦材は、これを平面視した場合(図1−図15参照)に、複数の摩擦部3は、回転中心Pから近い側に内周縁3Bを有し、回転中心Pから遠い側に外周縁3Tを有し、更に、内周縁3Bの一端と外周縁3Tの一端とを繋ぐ一端側縁3Sと、内周縁3Bの他端と外周縁3Tの他端とを繋ぐ他端側縁3Sとを有している。即ち、内周縁3B、外周縁3T、一端側縁3S及び他端側縁3Sを有した四角形状又は略四角形状をなしている。
そして、内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ、複数の摩擦部3の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LB1が、他群の仮想線分LB2より長くなる(LB1>LB2)ように各摩擦部3が形成されている(図1−図15参照)。
コアプレート2は、平板リング形状をなす。コアプレート2は、中央部が開孔されたリング形状(環形状)であればよく、例えば、外径D(外周の直径)と内径D(スプライン内歯8を除いた内周の直径)との比D/Dを1.02〜6にできる。この比は、1.07〜4が好ましく、1.1〜1.5がより好ましい。また、コアプレート2は、リング形状であるうえで平板の形態であればよく、例えば、その厚さは0.3〜14.5mmにできる。この厚さは、0.5〜6mmが好ましく、0.7〜2.5mmがより好ましい。
また、コアプレート2は、どのような材料から形成されてもよく、例えば、S35C、S55C、SPCC、NCH780等を用いることができる。
更に、コアプレート2は、主面2aを有する。主面2aは、摩擦部3が配設される面である。主面2aは、コアプレート2の表面及び/又は裏面に備えられている。従って、摩擦部3は、コアプレート2の表面及び裏面のうちのいずれか1面のみに備えてもよく、両面に備えてもよい。
摩擦部3は、コアプレート2の主面2aに配設(図1の一部拡大図参照)され、その表面が摩擦面とされており、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの接触程度によって、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの連動具合を調節する機能を有する。即ち、セパレータプレートに対するブレーキ機能(制動機能)や、トルク伝達機能を有する。
摩擦部3は、コアプレート2の主面2aにどのように形成されていてもよい。例えば、摩擦部3は、コアプレート2の主面2aに接合した複数の摩擦基材(セグメントピース)から形成できる。また、例えば、コアプレート2の表面に摩擦部3となる部位を島状に残してプレス加工することや、摩擦部3となる部位を島状に残して切削加工することで形成できる。コアプレート2と摩擦基材との接合方法は限定されず、熱融着や、接着剤等を介した貼着等の方法が挙げられる。
摩擦部3は、コアプレート2の主面2aに、複数の油溝4を形成してリング状となるように配設されている。
摩擦部3は、平面視した場合に、各々四角形状又は略四角形状をなしている。具体的には、図1のように各縁が接続される角部にR加工又は面取り加工がない場合は四角形状、図4のようにR加工又は面取り加工がなされている場合は略四角形状となる。
摩擦基材の構成は特に限定されないが、例えば、基材繊維と充填材を混ぜて抄造して得られた抄紙体に熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱硬化して得ることができる。
基材繊維としては、セルロース繊維(パルプ)、アクリル繊維、アラミド繊維等を利用できる他、各種の合成繊維、再生繊維、無機繊維、天然繊維等を利用できる。通常、この基材繊維は、平均長さ0.5〜5mm、平均径0.1〜6μmのものが用いられる。
充填材としては、摩擦調整剤としてのカシューダスト、固体潤滑剤としてのグラファイト及び/又は二硫化モリブデン、体質顔料としてのケイソウ土等を用いることができる。これらは1種のみを用いてもよく2種以上を併用してもよい。更に、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂及び/又はその変性樹脂を用いることができる。
〔実施の形態〕
以下では、本発明を実施の形態によって説明する。尚、各実施の形態に共通する説明は省略する。
[実施の形態1]
実施の形態1の湿式摩擦材1(図1−図3参照)は、コアプレート2と、コアプレート2の主面2a(表側の主面2a及び裏側の主面2aの両面)に配設された摩擦部3と、を備える。
コアプレート2は、NCH780製であり、その内周に歯車状に形成されたスプライン内歯8を有する。スプライン内歯8は、湿式摩擦材1に対して回転軸となるハブの外周に配置されたスプラインと噛み合うことができるように配設される。
また、コアプレート2の外径Dと、コアプレート2の内径D(スプライン内歯8を除いたコアプレート2の内周によって規定される直径)との比D/Dは1.02〜6とされている。この形状により、摩擦部3を配置する主面2aの面積を必要十分に確保できる。更に、コアプレート2の厚さは0.3〜14.5mmとされている。
更に、コアプレート2には、その表裏の両面の主面2aに、厚さ0.6〜1.2mmの複数のセグメントピース(摩擦基材)が接合されており、セグメントピースが摩擦部3として機能されている。摩擦部3としてのセグメントピースは、所定の間隔を隔てて、コアプレート2上に全体として環状になるように配列されている。そして、セグメントピースの摩擦部3同士の間に形成された間隙は油溝4として機能されている。
各摩擦部3は、図1に示すように、平面視した場合に、各々四角形状をなしている。即ち、回転中心Pから近い側に内周縁3Bを有し、回転中心Pから遠い側に外周縁3Tを有し、更に、内周縁3Bの一端と外周縁3Tの一端とを繋ぐ一端側縁3Sと、内周縁3Bの他端と外周縁3Tの他端とを繋ぐ他端側縁3Sと、を有している。これらの内周縁3B、外周縁3T、一端側縁3S、及び他端側縁3Sはいずれも略平滑にされている。
内周縁3B及び外周縁3Tは、各々直線形状であってもよいが、図1に示すように、コアプレート2の内外周の円周に沿って緩やかにカーブした曲線であることが好ましい。このような曲線であることにより、潤滑油の流れをスムーズにすることができる。
更に、摩擦部3は、図4に示すように、各角部がR加工や面取り加工されていてもよい。
また、本発明の湿式摩擦材1では、摩擦部3の内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ、各摩擦部3の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LB1が、他群の仮想線分LB2より長くなる(LB1>LB2)ように摩擦部3が形成されている。即ち、摩擦部3のうち、摩擦部F(長い仮想線分LB1を有する摩擦部)の内周縁3Bが、摩擦部F(短い仮想線分LB2を有する摩擦部)の内周縁3Bよりも外周側へシフトして配置される。この構成によって、本発明の湿式摩擦材1は引き摺りトルクを低減できる。
即ち、摩擦部Fの内周縁3Bが外周側へシフトすることによって、摩擦部Fの内周側にはスペース(図3の領域Xを参照)が形成される。それと同時に、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sに対して、摩擦部Fに隣り合った摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sは、より内周側へ長く配置されることとなる(図3参照)。
従って、図3に示す点線矢印の回転方向へ湿式摩擦材1が回転している場合、領域Xを通過した潤滑油は、内周側へより長く形成された摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へと誘導される(同様に、上記点線矢印と逆の回転方向へ湿式摩擦材1が回転している場合、領域Xを通過した潤滑油は、内周側へより長く形成された摩擦部Fの一端側縁3Sに沿って油溝4へと誘導される)。即ち、太線矢印Zに示すように潤滑油を油溝4へ誘導し易くなり、潤滑油の外周側へ排出が促される。このように、内周側から供給された潤滑油を油溝4へより効率よく誘導し、外周側への排出を促がすことによって引き摺りトルクを低減できる。
本発明の湿式摩擦材1では、摩擦部Fの内周縁3Bを、摩擦部Fの内周縁3Bよりも外周側へシフトさせる方法は特に限定されないが、本実施の形態1では、摩擦部Fの高さ(LT1−LB1)を、摩擦部Fの高さ(LT2−LB2)に比べて小さくすることによって、内周縁3Bを外周側へシフトさせている。このときの外周側へのシフト距離(LB1−LB2)は、摩擦部Fのコアプレートへの配置位置及び所望のトルク容量を得るのに必要な摩擦面積によって制限を受けるが、この制限内で0.5mm以上が好ましい。0.5mm未満では潤滑油の排出効果が得られ難いためである。そして、最大距離はコアプレートへの配置可能な距離であり、所望のトルク容量が得られる最小の摩擦面積に対する距離である。
尚、仮想線分LT1は、摩擦部Fの外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分であり、仮想線分LT2は、摩擦部Fの外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分である。
また、本実施の形態1では、摩擦部F(仮想線分LB1を有する第1群の摩擦部)と、摩擦部F(仮想線分LB2を有する第2群の摩擦部)とが交互に配置されている。交互の配置されていることにより、油溝4の数の半数において、摩擦部Fに隣り合った摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sを内周側へ長く配置できることとなり、より効率よく潤滑油の外周側への排出を促がすことができる。
尚、この摩擦部F(仮想線分LB1を有する第1群の摩擦部)と、摩擦部F(仮想線分LB2を有する第2群の摩擦部)との配置は、上述のように交互の配置以外にも、例えば、図15に示すように、2つの摩擦部Fが1つの摩擦部Fを間に挟む形態に配置することができる。即ち、摩擦部F、摩擦部F、摩擦部F、摩擦部F、摩擦部F、摩擦部Fの順に摩擦部3が各々配置されることとなる。このような配置では、油溝4の数の1/3において、摩擦部Fに隣り合った摩擦部Fの一端側縁3S又は他端側縁3Sを内周側へ長く配置できることとなる。即ち、潤滑油の排出を促す油溝4の割合を、摩擦部Fと摩擦部Fとを交互に配置した形態に比べて減らすことができる。これによって、潤滑油の排出程度が過剰とならないように、コントロールすることができる。
[実施の形態2]
実施の形態2の湿式摩擦材1(図8参照)は、摩擦部Fの内周縁3Bを、摩擦部Fの内周縁3Bよりも外周側へシフトさせている点では、実施の形態1と共通する。
しかしながら、実施の形態1では、摩擦部Fの高さを、摩擦部Fの高さより小さくすることで内周縁3Bを外周側へシフトさせているのに対し、実施の形態2に示す湿式摩擦材1では、摩擦部Fと摩擦部Fとの形状を違えることなく、コアプレートの内外周の間への配する位置を変えることで摩擦部Fの内周縁3Bを摩擦部Fより外周側へシフトさせている点で相違する。
具体的には、実施の形態2の湿式摩擦材1(図8参照)では、摩擦部Fに対する仮想線分LT1(摩擦部Fの外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分)を、摩擦部Fに対する仮想線分LT2(摩擦部Fの外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分)より長く短くする(LT1>LT2)ように摩擦部3を形成することで、内周縁3Bを外周側へシフトさせている。そのため、摩擦部Fと摩擦部Fとの形状を同じにすることができる。従って、実施の形態2では、LB1>LB2且つLT1>LT2となっている。
このように、LB1>LB2且つLT1>LT2とすることによって、摩擦部Fの外周側にスペースが形成されるこれにより、摩擦部Fの外周端3Tと潤滑油との流通領域が減少することで引き摺りトルクが低減する。そして、摩擦部Fに隣り合った摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sは、摩擦部Fの外周縁に対して外周側へ長く形成されていることによって、摩擦部Fの外周側へのスペース領域(図13のX参照)を流通した潤滑油を油溝4へ引き込みやすくなり、油溝4に引き込まれた潤滑油は摩擦部F上に流入し摩擦部3とセパレータプレートとの離間効果を発揮しやすくなる。また、摩擦部Fの内周側にもスペースが形成され、このスペース領域(図13のX参照)を流通する潤滑油は、内周側へより長く形成された摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へ誘導され、外周側へ排出が促される作用を得ることができる。ここで、外周側へのシフト距離は、摩擦部F及び摩擦部Fのコアプレートへの配置位置によって決まり、実施の形態1と同様に0.5mm以上が好ましく、最大のシフト距離はコアプレートへの配置可能な距離である。
尚、実施の形態1と同様に、各角部にR加工又は面取り加工がされていてもよい。
[実施の形態3]
実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)は、実施の形態1の湿式摩擦材1(図1参照)に対して、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sが内周縁3Bから外周縁3Tに向かって連続して傾斜されている点で異なる。即ち、実施の形態3の湿式摩擦材1では、摩擦部Fとこれに隣り合った摩擦部Fと、の間に形成された油溝4が、内周側から外周側へ向かって(回転中心Pの側から遠心方向)広がるように、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sの少なくとも一部が傾斜されている(一端側縁3Sの外周縁3T側の一端及び他端側縁3Sの外周縁3T側の他端が、各々摩擦部Fから遠ざかるように傾斜されている)。
ここで、摩擦部Fと摩擦部FとはLB1>LB2の構成によって、潤滑油は油溝4に誘導されて外周側へ効率よく排出される。この際、図7に示したように、回転方向に対し摩擦部Fの後部に位置する油溝4は、摩擦部Fの他端側縁3Sが傾斜されていることによって、外周側に向かって広がる形状となっている。これによって、摩擦部Fの内周縁3B側の領域Xを流通し油溝4へ誘導された潤滑油が外周側へより排出されやすくなる。このように湿式摩擦材1の内周側の潤滑油によって引き起こされる引き摺りトルクをより低減させることが可能となる。
この実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)では、図5に示すように、コアプレート2の回転中心Pを通る延長線(直径の延長線)のうち、摩擦部Fの他端側縁3Sと内周縁3Bとの交点、若しくは、他端側縁3Sと内周縁3Bとの角がR加工又は面取り加工がされている場合は一端側縁3SとR加工又は面取り加工との交点を通る延長線をLdとした場合に、摩擦部Fの他端側縁3Sは、延長線Ldに対して、摩擦部Fの一端側縁3Sから遠ざかる方向へθdの角度をもって傾斜されている。角度θdは特に限定されないが、0゜<θd≦45゜が好ましく、5゜≦θd≦20゜がより好ましい。
また、図5に示すように、コアプレート2の回転中心Pを通る延長線(直径の延長線)のうち、摩擦部Fの一端側縁3Sと内周縁3Bとの交点、若しくは、一端側縁3Sと内周縁3Bとの角がR加工又は面取り加工がされている場合は一端側縁3SとR加工又は面取り加工との交点を通る延長線をLaとした場合に、摩擦部Fの一端側縁3Sは、延長線Laに対して、摩擦部Fの他端側縁3Sから遠ざかる方向へθaの角度をもって傾斜されている。角度θaは特に限定されないが、0゜<θa≦45゜が好ましく、5゜≦θa≦20゜がより好ましい。
このように、回転方向に対し摩擦部Fの後部の油溝4を広げることで、図7に示したように摩擦部Fの表面を流動して油溝4に流入した潤滑油は、容易に摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って外側へ排出させることができ、潤滑油の循環がよくなるため効率よく摩擦部Fを冷却することができる。即ち、摩擦部Fは、その両方の側縁3Sが、傾斜された略台形状をなしていることが好ましい。
尚、本実施の形態3では、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sの双方を傾斜させているが、要求仕様によっては、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sのうちのいずれか一方のみを傾斜させることもできる。
更に、実施の形態3における摩擦部Fは、上述のように略台形状をなしているが、摩擦部Fは、図6に示すように、台形と長方形とを組み合わせた略角形状とすることもできる。
即ち、実施の形態3と同様に、摩擦部Fの一端側縁3Sと内周縁3Bとの交点、若しくは、一端側縁3Sと内周縁3Bとの角がR加工又は面取り加工がされている場合は一端側縁3SとR加工又は面取り加工との交点を通る延長線をLaとした場合に、摩擦部Fの一端側縁3Sの外周側の一部のみ(図6参照)が、延長線Laに対して、摩擦部Fの他端側縁3Sから遠ざかる方向へθaの角度をもって傾斜されている。角度θaは特に限定されないが、0゜<θa≦45゜が好ましく、5゜≦θa≦20゜がより好ましい。
また、実施の形態3と同様に、摩擦部Fの他端側縁3Sと内周縁3Bとの交点、若しくは、他端側縁3Sと内周縁3Bとの角がR加工又は面取り加工がされている場合は一端側縁3SとR加工又は面取り加工との交点を通る延長線をLdとした場合に、摩擦部Fの他端側縁3Sの外周側の一部のみ(図6参照)が、延長線Ldに対して、摩擦部Fの一端側縁3Sから遠ざかる方向へθdの角度をもって傾斜されている。角度θdは特に限定されないが、0゜<θd≦45゜が好ましく、5゜≦θd≦20゜がより好ましい。
具体的には、摩擦部Fの一端側縁3Sは、その長さの中央から外周側の一部のみが傾斜させることができる。同様に、摩擦部Fの他端側縁3Sは、その長さの中央から外周側の一部のみが傾斜させることができる。
[実施の形態4]
実施の形態4の湿式摩擦材1(図9参照)は、実施の形態3の湿式摩擦材1(図5参照)に対して、摩擦部Fの両側縁3S(一端側縁3S及び他端側縁3S)が傾斜されていることに加えて、摩擦部Fの両側縁3S両側縁3S(一端側縁3S及び他端側縁3S)も傾斜されている点で異なる。
この実施の形態4の湿式摩擦材1(図9参照)では、図9に示すように、コアプレート2の回転中心Pを通る延長線(直径の延長線)のうち、摩擦部Fの一端側縁3Sと内周縁3Bとの交点、若しくは、一端側縁3Sと内周縁3Bとの角がR加工又は面取り加工がされている場合は一端側縁3SとR加工又は面取り加工との交点を通る延長線をLcとした場合に、摩擦部Fの一端側縁3Sは、延長線Lcに対して、摩擦部Fの他端側縁3Sから遠ざかる方向へθcの角度をもって傾斜されている。角度θcは特に限定されないが、0゜<θc≦45゜が好ましく、5゜≦θc≦20゜がより好ましい。
また、図9に示すように、コアプレート2の回転中心Pを通る延長線(直径の延長線)のうち、摩擦部Fの他端側縁3Sと内周縁3Bとの交点、若しくは、他端側縁3Sと内周縁3Bとの角がR加工又は面取り加工がされている場合は一端側縁3SとR加工又は面取り加工との交点を通る延長線をLbとした場合に、摩擦部Fの他端側縁3Sは、延長線Lbに対して、摩擦部Fの一端側縁3Sから遠ざかる方向へθbの角度をもって傾斜されている。角度θbは特に限定されないが、0゜<θb≦45゜が好ましく、5゜≦θb≦20゜がより好ましい。即ち、摩擦部Fは、その両方の側縁3Sが、傾斜された略台形状をなしていることが好ましい。
この構成によって、油溝4へ潤滑油を効率よく誘導し、湿式摩擦材1の外周側へ潤滑油を効率よく排出できることに加えて、図10における太線矢印Zに示すように、摩擦部F及び摩擦部F上から油溝4へ流入した潤滑油を効率よく排出できる。つまり、摩擦部F及び摩擦部F上の潤滑油が油溝4に流入して油溝4を流通する潤滑油の流動が妨げられる事態が生じても、油溝4の外周域が広く排出しやすい形状となっているため潤滑油の流通は妨げられることなく円滑に潤滑油の循環が得られる。
尚、本実施の形態4では、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sの双方を傾斜させているが、要求仕様によっては、摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sのうちのいずれか一方のみを傾斜させることもできる。
また、実施の形態3の場合と同様に、摩擦部Fにおいても、一端側縁3Sの一部のみ、他端側縁3Sの一部のみ、を傾斜させて、台形と長方形とを組み合わせた略6角形状とすることができる。
[実施の形態5]
実施の形態5の湿式摩擦材1(図11参照)は、2種の摩擦部Fと、1種の摩擦部Fと、を有する。これらの摩擦部に対して、前述と同様に、摩擦部Fの内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LB1」、摩擦部Fの外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LT1」、摩擦部Fの内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LB2」、摩擦部Fの外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LT2」とした場合、本実施の形態5の湿式摩擦材1は、LB1>LB2且つLT1≦LT2の相関を有する。
更に、2種の摩擦部Fは、摩擦部F11と摩擦部F12とを備える。そして、摩擦部F11の内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LB11」、摩擦部F11の外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LT11」とし、摩擦部F12の内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LB12」、摩擦部F12の外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分を「LT12」とした場合、図11に示すように、摩擦部F11は、LB11>LB2且つLT11<LT2の相関を有し、摩擦部F12は、LB12>LB2且つLT12=LT2の相関を各々有する。
従って、上述の2種の摩擦部F11及び摩擦部F12と、1種の摩擦部Fとを備えた、実施の形態5の湿式摩擦材1は、LB11=LB12>LB2且つLT11<LT12=LT2の相関を有することとなる。
この相関によって、実施の形態5の湿式摩擦材1には、摩擦部3の内外周に各々凹部領域を形成できる。即ち、LB11=LB12>LB2の相関により領域Xである凹部(図13参照)が形成され、LT11<LT12=LT2の相関により領域Xである凹部(図13参照)が形成される。
これら2つの凹部領域のうち、領域X(図13参照)を備えることで、図13に示したような回転を与えたとき領域Xを通過した潤滑油を、太線矢印Z(図13参照)のように、摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へ誘導でき、外周側への排出を効率的に促し、引き摺りトルクを低減できる。尚、逆回転のときは摩擦部Fの一端側縁3Sに沿って潤滑油は油溝4へ誘導される。一方、領域X(図13参照)を備えることで、湿式摩擦材1の外周側に外周縁3Tによる凹凸を形成でき、湿式摩擦材1の回転時に、凹部となる領域Xにおいて潤滑油を流れ易くし、外周縁3Tと潤滑油との間に発生する引き摺りトルクを低減できる。
更に、領域Xと領域Xとを同時に備えた摩擦部F11では、上述のように、領域Xによって潤滑油を油溝4へ誘導できることに加えて、領域Xを通過した潤滑油も、太線矢印Z(図13参照)のように、摩擦部Fの他端側縁3Sに沿って油溝4へ誘導できる。そのため、領域Xを通過した潤滑油と、領域Xを通過した潤滑油と、を油溝4内でぶつけることができ、そのぶつかりによって潤滑油を摩擦部F上へ積極的に流出させることができる。この摩擦部F上への潤滑油の流出は、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの間への潤滑油の介在を促がし、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの両者間を潤滑油によって引き剥がし、引き摺りトルクを低減する効果を奏する。このような効果を有するため本実施の形態5は、湿式摩擦材1とセパレータプレート間の潤滑油が少なくて引き摺りトルクが発生する場合に効果的な形状である。
つまり、本実施の形態5の湿式摩擦材1では、これら3種の摩擦部は、摩擦部F11、摩擦部F、摩擦部F12の順に配置しており、摩擦部F11の両隣りには摩擦部Fが配置し、摩擦部F12の両隣りにも摩擦部Fが配置している。
その結果、内周側では、2つに1つの摩擦部の内周縁(摩擦部F11の内周縁3B)が外周側へシフトされ、1/2の周期で凹部(図13における領域X)が形成される。一方、外周側では、4つに1つの摩擦部の外周縁(摩擦部F12の外周縁3T)が内周側へシフトされて、1/4の周期で凹部(図13における領域X)が形成される。即ち、内周側と外周側とで異なる周期で凹部が形成される。本発明の湿式摩擦材1では、このように、凹部が出現する周期は、内周側に対して外周側が少ないことが好ましい。
凹部の出現周期が、内周側に対して外周側が少ないことによって、図13における領域Xからの潤滑油を油溝4へ誘導して排出させる排出流れZを、領域Xからの潤滑油を油溝4へ流入させる流入流れZよりも多くすることができる。その結果、湿式摩擦材1とセパレータプレートとの両者間を潤滑油によって引き剥がすことによる引き摺りトルクの低減に対して、潤滑油を外周側へ効率的よく排出させることによる引き摺りトルクの低減を大きくして、これら両者間のバランスをとることができる。
本実施の形態5の湿式摩擦材1では、LB1>LB2且つLT11<LT2の構成は、摩擦部Fの高さ(LT1−LB1)を、摩擦部Fの高さ(LT2−LB2)より小さくすることで、摩擦部Fの内周縁3Bを外周側へシフトさせるとともに、摩擦部Fの外周縁3Tを内周側へシフトさせることによって、得ている。
尚、実施の形態5では、図12に示したように、各摩擦部Fの角部は、各々R加工又は面取り加工がされていてもよく、実施の形態4のように摩擦部F及び摩擦部Fの一端側縁3S、他端側縁3Sを傾斜させた形状とすることができる。このような傾斜を設けることで実施の形態4と同じ効果が得られる。
[実施の形態6]
実施の形態6の湿式摩擦材1(図14参照)は、実施の形態2における各摩擦部の形状を変形した形態である。即ち、実施の形態2における各摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sが傾斜されていない(図8参照)のに対し、実施の形態6における各摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sは各々傾斜されている(図14参照)。各摩擦部Fの一端側縁3S及び他端側縁3Sの傾斜の設け方及び効果は、実施の形態3及び実施の形態5において前述した通りである。尚、本実施の形態6では、各摩擦部Fの角部をR加工しているが、加工無しとすることもできる。
〔試験例〕
以下では、本発明を試験例によって説明する。
[1]湿式摩擦材
各々異なる構成を備えた実施例1−5、比較例1−2の各湿式摩擦材を調製した。
(1)実施例1
前述の実施の形態1(図1−図3参照)の形状を有する。コアプレート2は、NCH780製、板厚0.96mm、外径T158mm、内径T144mmの平板リング状である。このコアプレート2の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図1−図3に示す通りである(LB1>LB2、LT1=LT2、θ(θa〜θd)は全て0度)。摩擦部3のうち、摩擦部Fの径方向の幅(LT1−LB1)は3mmであり、摩擦部Fの径方向の幅(LT2−LB2)は4mmである。
尚、各摩擦基材は、パルプ及びアラミド繊維等の繊維基材と、カシューダスト等の摩擦調整剤と、珪藻土等の充填剤と、を抄造して得られた抄紙体に、熱可硬化性樹脂(樹脂結合剤)を含浸させて加熱硬化したものである。
(2)実施例2
前述の実施の形態4(図9参照)の形状を有する。コアプレート2(実施例1と同様)の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材(実施例1と同様)を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図9に示す通りである(LB1>LB2、LT1=LT2、θa=10度、θb=10度、θc=10度、θd=10度)。摩擦部3のうち、摩擦部Fの径方向の幅(LT1−LB1)は3mmであり、摩擦部Fの径方向の幅(LT2−LB2)は4mmである。
(3)実施例3
前述の実施の形態2(図8参照)の形状を有する。コアプレート2(実施例1と同様)の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材(実施例1と同様)を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図8に示す通りである(LB1>LB2、LT1>LT2、θ(θa〜θd)は全て0度)。摩擦部3のうち、摩擦部Fの径方向の幅(LT1−LB1)は3mmであり、摩擦部Fの径方向の幅(LT2−LB2)は3mmである。
(4)実施例4
前述の実施の形態6(図14参照)の形状を有する。コアプレート2(実施例1と同様)の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材(実施例1と同様)を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図14に示す通りである(LB1>LB2、LT1>LT2、θa=10度、θb=10度、θc=10度、θd=10度)。摩擦部3のうち、摩擦部Fの径方向の幅(LT1−LB1)は3mmであり、摩擦部Fの径方向の幅(LT2−LB2)は3mmである。
(5)実施例5
前述の実施の形態5の変形例(図12参照)の形状を有する。コアプレート2(実施例1と同様)の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材(実施例1と同様)を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図12に示す通りであり(LB11=LB12>LB2且つLT11<LT12=LT2、θa=10度、θb=10度、θc=10度、θd=10度)、2種の摩擦部Fと1種の摩擦部Fとの3種の摩擦部3を備え、更に、2種の摩擦部Fは、摩擦部F11と摩擦部F12とを備える。摩擦部3のうち、摩擦部F11の径方向の幅(LT11−LB11)は2mmであり、摩擦部F12の径方向の幅(LT12−LB12)は3mmであり、摩擦部Fの径方向の幅(LT2−LB2)は4mmである。
(7)比較例1
図16に示す形状の摩擦部3を有する湿式摩擦材。コアプレート2(実施例1と同様)の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材(実施例1と同様)を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図16に示す通りである(LB1=LB2、LT1=LT2、θa=45度、θb=45度、θc=45度、θd=45度)。摩擦部3のうち、摩擦部3の径方向の幅(LT1−LB1)は4mmである。
(8)比較例2
図17に示す形状の摩擦部3を有する湿式摩擦材。コアプレート2(実施例1と同様)の表裏の両主面2aに、下記摩擦基材(実施例1と同様)を加圧加熱により接合して摩擦部3を形成している。各摩擦部3の平面形状は、図17に示す通りである(LB1=LB2、LT1=LT2)。摩擦部3のうち、摩擦部3の径方向の幅(LT1−LB1)は4mmである。
[2]引き摺りトルクと回転数との相関
上記[1]で得られた実施例1−5及び比較例1−2の湿式摩擦材1を、各々4枚用いて、下記条件下でSAE摩擦試験機により、その回転数500−3000rpmの間で測定した。得られた結果を図19(図19は縦軸上側程、引き摺りトルクが大きいことを示す)にグラフにして示した。
自動変速機潤滑油(Automatic Transmission Fluid、「ATF」は出光興産株式会社の登録商標であるが、ここでは当該登録商標とは無関係に以下「ATF」と略す。)油温:40℃、ATF油量:1000mL/分(軸芯潤滑無し)、パッククリアランス:0.20mm/枚の環境下で、試験体の湿式摩擦材1を4枚セットし、回転速度を500〜3000rpmまで変化させ、500rpm、1000rpm、1500rpm、2000rpm、3000rpmの5点において引き摺りトルク(N・m)を測定した。また、測定時間は15秒/各回転、繰返し回数は5回とした。
[3]試験例の効果
図19の結果から、摩擦材の内周側にスペースを設けることにより、低回転から高回転まで幅広い範囲で引き摺りトルクを低減できることが分かる。即ち、比較例1と実施例2とを比較すると、摩擦部Fに対する仮想線分LB1が、摩擦部Fに対する仮想線分LB2よりも長くなるように摩擦部を形成した実施例2の湿式摩擦材1では、この相関を有さない比較例1に比べて、相対回転数500〜3000rpmの広い範囲で大幅な引き摺りトルクの低減を達していることが分かる。このことから、本発明の摩擦部Fに対し摩擦部Fの内周縁を外周側へシフトさせることによる潤滑油の排出性向上が引き摺りトルクの低減に大きく寄与していることが証明された。
また、実施例1(図1)と実施例2(図9)との比較から、油溝が内周側より外周側が広がるように、摩擦部3の一端側縁3S及び他端側縁3Sが傾斜されていることが好ましいことが分かる。即ち、上記傾斜によって、相対回転数のほぼ全域、特に潤滑油量の多い低回転側(500〜1500rpm)において引き摺りトルクが顕著に低減されていることが分かる。この効果は、同様に、実施例3(図8)と実施例4(図14)との比較においても認められる。
ここで実施例2(図9)と実施例4(図14)とを比較すると略同じ効果が得られていることが分かる。従って、摩擦部3の外周縁に設けた領域Xより内周縁に設けた領域Xの効果が大きく寄与しているといえる。
更に、実施例2の摩擦部Fのうち、一部の摩擦部Fの外周縁3Tを内周側へシフトさせた摩擦部F11を形成した実施例5では、低回転の引き摺りトルクを実施例2より低減させている。これは、本発明の湿式摩擦材1は内周側の潤滑油を外周側へ効率よく排出させる効果があるため、摩擦部3の内周縁と潤滑油間に発生する引き摺りトルクには低減効果を発するが、潤滑油の排出効果が高まったことにより湿式摩擦材1表面上への潤滑油の供給が少なくなり、その結果、湿式摩擦材1とセパレータプレート間の引き摺りトルクが発生し易くなっている。そこで、実施例5のように摩擦部3の外周の一部に摩擦部3の外周縁の外周側にスペースを設けて凹部を有する形状とすると、外周側を流動する潤滑油を油溝4に引き込んで積極的に摩擦部F上に供給することが可能となる。そして、この効果は、特に、低回転域ほど潤滑油を油溝へ引き込みやすくなるため顕著に現れる。従って、実施例5では、摩擦部F上に供給された潤滑油による湿式摩擦材1とセパレータプレートの離間効果による引き摺りトルクの低減と、摩擦部3の内周縁の潤滑油の排出による摩擦部3の内周縁での引き摺りトルクの低減と、の総合効果の結果と推定している。
以上、説明してきたように本発明の湿式摩擦材1は、摩擦部3の各々が湿式摩擦材1の回転中心からの内周縁が全て同じ位置になく、摩擦部3のうちの一部の摩擦部F1が他の摩擦部F2より外周側に位置している。これによって、摩擦部3の内周側を流動する潤滑油を効率よく摩擦部3の外周側へ排出し、これによって、摩擦部3の内周縁と潤滑油との間に発生する引き摺りトルクを低減する。そして、摩擦部3とセパレータプレートとの間の潤滑油が不足し離間が不十分なときは、摩擦部3の外周の一部にスペースを設けるよう一部の摩擦部F11の外周縁を内周側へシフトさせた形状とすることで外周側を流動する潤滑油を摩擦部3上へ導き、摩擦部3とセパレータプレート間に十分な離間を与える。これによって、摩擦部3とセパレータプレート間に発生する引き摺りトルクを低減する。このように本発明の湿式摩擦材1は、摩擦部3の内周縁と潤滑油との間に発生する引き摺りトルク、及び、摩擦部3とセパレータプレートとの間に発生する引き摺りトルク、のバランスをとりながら効率よく低減できるものである。
尚、本発明においては、上記の具体的実施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。
本発明の湿式摩擦材の用途は特に限定されず、例えば、自動車(四輪自動車、二輪自動車等)、鉄道車両、船舶、飛行機等において広く適用される。このうち自動車用品としては、自動変速機(オートマチックトランスミッション、AT)に好適に用いられる。本湿式摩擦材は、変速機内で1枚のみ用いられてもよく、複数枚が用いられてもよいが、複数枚が用いられることが好ましい。本湿式摩擦材は、1つの変速機内でより多く用いられる方が、積算的に大きな効果を得ることができる。即ち、湿式摩擦材の利用枚数が多い湿式多板クラッチにおいてより効果的に引き摺りトルクを低減できる。
1;湿式摩擦材、
2;コアプレート、2a;主面、
3;摩擦部、
3B;内周縁、
3T;外周縁、
3S;側端縁、
4;油溝、
8;スプライン内歯、
;内周縁3Bと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分、
B1;より長いL
B2;より短いL
;仮想線分LB1を有する摩擦部、
;仮想線分LB2を有する摩擦部、
;外周縁3Tと回転中心Pとを最短に結ぶ仮想線分、
T1;摩擦部Fの仮想線分L
T2;摩擦部Fの仮想線分L
P;回転中心。

Claims (5)

  1. 平板なリング形状をなし、そのリング形状の中心を回転中心とするコアプレートと、
    前記コアプレートにリング状に配置された複数の摩擦部と、前記複数の摩擦部間に油溝を備えた湿式摩擦材において、
    本湿式摩擦材を平面視した場合に、前記複数の摩擦部は、前記回転中心から近い側に内周縁を有し、前記回転中心から遠い側に外周縁を有し、更に、前記内周縁の一端と前記外周縁の一端とを繋ぐ一端側縁と、前記内周縁の他端と前記外周縁の他端とを繋ぐ他端側縁とを有し、且つ、前記内周縁と前記回転中心とを最短に結ぶ、前記複数の摩擦部の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、前記仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LB1が、他群の仮想線分LB2より長くなるように前記複数の摩擦部が形成されており、
    前記他群の仮想線分L B2 を有する摩擦部の内周縁が、前記コアプレートの内周縁よりも外周側に位置されていることを特徴とする湿式摩擦材。
  2. 前記一群の仮想線分LB1を有する摩擦部を第1群の摩擦部Fとし、前記他群の仮想線分LB2を有する摩擦部を第2群の摩擦部Fとした場合に、前記摩擦部Fと、これに隣り合う前記摩擦部Fとの間の前記油溝が、内周側より外周側が広がるように、前記摩擦部Fの前記一端側縁及び/又は前記他端側縁が前記摩擦部Fから遠ざかるように傾斜されていることを特徴とする請求項1に記載の湿式摩擦材。
  3. 前記一群の仮想線分LB1を有する摩擦部を第1群の摩擦部Fとし、前記他群の仮想線分LB2を有する摩擦部を第2群の摩擦部Fとした場合に、前記摩擦部Fと、これに隣り合う前記摩擦部Fとの間の前記油溝が、内周側より外周側が広がるように、前記摩擦部Fの前記一端側縁及び/又は前記他端側縁が前記摩擦部Fから遠ざかるように傾斜されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の湿式摩擦材。
  4. 前記複数の摩擦部の前記外周縁と前記回転中心とを最短に結ぶ、前記複数の摩擦部の各々に対応した仮想線分Lを想定した場合に、前記仮想線分Lのうちの一群の仮想線分LT1が、他群の仮想線分LT2より短くなるように前記複数の摩擦部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちのいずれか1項に記載の湿式摩擦材。
  5. 前記一群の仮想線分LB1を有する摩擦部を第1群の摩擦部Fとし、前記他群の仮想線分LB2を有する摩擦部を第2群の摩擦部Fとした場合に、前記第1群の摩擦部Fのうちの1以上の摩擦部が、前記仮想線分LT1を有するように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の湿式摩擦材。
JP2014235986A 2014-11-20 2014-11-20 湿式摩擦材 Active JP6250524B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014235986A JP6250524B2 (ja) 2014-11-20 2014-11-20 湿式摩擦材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014235986A JP6250524B2 (ja) 2014-11-20 2014-11-20 湿式摩擦材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016098901A JP2016098901A (ja) 2016-05-30
JP6250524B2 true JP6250524B2 (ja) 2017-12-20

Family

ID=56076640

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014235986A Active JP6250524B2 (ja) 2014-11-20 2014-11-20 湿式摩擦材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6250524B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6310883B2 (ja) * 2015-04-28 2018-04-11 アイシン化工株式会社 湿式摩擦材
KR101841540B1 (ko) * 2016-07-12 2018-03-23 국민대학교산학협력단 드래그토크 저감용 습식클러치 마찰패드 및 이를 구비한 습식 다판 클러치
KR101870349B1 (ko) * 2016-11-09 2018-06-22 국민대학교산학협력단 드래그토크 저감용 웨이브형 습식클러치 마찰패드 및 이를 구비한 습식 다판 클러치
CN111094779A (zh) * 2017-09-29 2020-05-01 爱信艾达株式会社 摩擦板、以及具备该摩擦板的摩擦接合装置
JP6585318B1 (ja) 2018-04-10 2019-10-02 アイシン化工株式会社 湿式摩擦材
JP7074649B2 (ja) 2018-11-16 2022-05-24 アイシン化工株式会社 湿式摩擦材

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5929429U (ja) * 1982-08-18 1984-02-23 株式会社大金製作所 クラツチデイスクのフエ−シング取付構造
JP2003090370A (ja) * 2001-09-20 2003-03-28 Honda Motor Co Ltd 湿式多板クラッチ、湿式多板ブレーキ等の湿式フリクションプレート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016098901A (ja) 2016-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6250524B2 (ja) 湿式摩擦材
JP6085579B2 (ja) 湿式摩擦材
KR101875936B1 (ko) 건식 클러치용 환형 마찰 라이닝
JP5913249B2 (ja) 湿式摩擦材
WO2018047414A1 (ja) 湿式摩擦材
JP2007132362A (ja) 摩擦板及び摩擦板を備えた湿式多板クラッチ
JP2009047229A (ja) 湿式摩擦材
JP2017503132A (ja) 車両の変速機用摩擦型シフト要素
JP2016023754A (ja) 摩擦板及び摩擦板を備えた湿式多板クラッチ
JP4450837B2 (ja) 湿式多板クラッチのフリクションプレート
US20080223687A1 (en) Friction Plate for Wet-Type Multiplate Clutch
JP5047123B2 (ja) 湿式摩擦材
JP6151420B2 (ja) 湿式摩擦材
JP6310883B2 (ja) 湿式摩擦材
JP6783213B2 (ja) 湿式摩擦材
CN102667208B (zh) 离合器盘和包括胶接在金属箔片上的具有减小的惯性的摩擦材料的摩擦衬片
US10962065B2 (en) Wet friction member
US11371566B2 (en) Wet friction member
JP6261297B2 (ja) 湿式摩擦材
JP6930954B2 (ja) 湿式摩擦材
JP4385056B2 (ja) 湿式多板クラッチのフリクションプレート
JP2019184008A (ja) コアプレート及び湿式摩擦材
JP2015031382A (ja) 湿式摩擦材
JP2023067526A (ja) 湿式摩擦材
JP6782740B2 (ja) 摩擦板及び摩擦板を備えた湿式多板クラッチ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160525

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170327

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170601

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20171114

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20171122

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6250524

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R157 Certificate of patent or utility model (correction)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R157