JP7189101B2 - 超音波センサ、形状推定方法、膜剥離検査方法及び超音波検査システム - Google Patents

超音波センサ、形状推定方法、膜剥離検査方法及び超音波検査システム Download PDF

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Description

本発明は、超音波センサ、形状推定方法、膜剥離検査方法及び超音波検査システムに関する。
特許文献1には、超音波を送信する送信振動子と、送信振動子から送信された超音波が検査対象の内部領域に存在する欠陥で反射することにより生成される反射超音波を受信する受信振動子と、超音波を送信する送信部及び送信部から送信された超音波が検査対象の表面領域に存在する欠陥で反射することにより生成される反射超音波を受信する受信部を含む送受信振動子と、送信振動子、受信振動子及び送受信振動子を保持するくさびと、を備えた超音波センサが開示されている。
特開2018-116049号公報
超音波センサは、金属等の母材に膜が被覆された検査対象において、膜が母材から剥離しているか否かを検査するために用いられることがある。しかしながら、特許文献1に記載の超音波センサでは、断面が台形状の膜に対しては、超音波の受信感度が低くなってしまうおそれがある。その結果、膜の形状を推定することができず、膜の剥離の有無を精度よく検査することができないおそれがある。
本発明は、検査対象の断面が台形状の場合において、超音波の受信感度を向上することを目的とする。
本発明の一態様である超音波センサは、検査対象に超音波を送信する3つ以上の送信素子と、送信素子から送信された超音波の反射波を受信する1つ以上の受信素子と、送信素子及び受信素子を保持する保持面並びに検査対象に当接する当接面を有するシューと、を備え、シューは、受信素子に近い送信素子から遠い送信素子にかけて、送信素子を保持する保持面の当接面に対する角度であるシュー角が大きくなるように多角形状に形成される。
本発明によれば、検査対象の断面が台形状の場合において、超音波の受信感度を向上することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る超音波検査システムの構成を示すブロック図である。 図2は、検査対象上に配置された超音波センサの構成を示す図である。 図3は、超音波センサのシューの形状について説明する図である。 図4は、反射波の波形データの模式図である。 図5Aは、膜の断面が矩形状の場合のみを想定した第1実施形態の比較例に係る超音波センサを示す図である。 図5Bは、図5Aの超音波センサの送信素子から断面が台形状の膜内に送信される超音波の主音軸と受信素子の位置関係を示す図である。 図6は、本発明の第1実施形態に係る超音波センサの送信素子から膜内に送信される超音波の主音軸と受信素子の位置関係を示す図である。 図7は、第1実施形態の別の比較例として、複数の送信素子を保持する保持面のシュー角が全て同じであるシューを備える超音波センサを示す図である。 図8は、膜の形状の推定方法について説明する図である。 図9は、多重反射波の伝搬経路を示す図である。 図10は、本発明の第1実施形態に係る制御装置により実行される膜剥離検査プログラムによる処理の一例を示すフローチャートである。 図11は、本発明の第1実施形態の変形例に係る制御装置により実行される膜剥離検査プログラムによる処理の一例を示すフローチャートである。 図12は、本発明の第2実施形態に係る超音波センサの構成を示す図である。 図13Aは、膜の表面の傾斜角がθt1である場合の送信素子から受信素子に到達する超音波の主音軸を示す図である。 図13Bは、膜の表面の傾斜角がθt2である場合の送信素子から受信素子に到達する超音波の主音軸を示す図である。 図13Cは、膜の表面の傾斜角がθt3である場合の送信素子から受信素子に到達する超音波の主音軸を示す図である。
<第1実施形態>
図面を参照して、本発明の第1実施形態に係る超音波検査システム1について説明する。図1は超音波検査システム1の構成を示すブロック図であり、図2は検査対象120上に配置された超音波センサ110の構成を示す図である。
図1に示すように、超音波検査システム1は、超音波センサ110、超音波センサ110に接続されるUT装置100、UT装置100に接続される表示装置3及び制御装置150、並びに、制御装置150に接続される入力装置4及び報知装置5を備える。
制御装置150及びUT装置100は、動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及び入出力インタフェース(I/Oインタフェース)、その他の周辺回路を備えたマイクロコンピュータで構成される。制御装置150及びUT装置100は、複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。また、制御装置150及びUT装置100を個別に設けることに代えて、制御装置150及びUT装置100の機能を併せ持つ単一の装置を設けるようにしてもよい。なお、動作回路としては、CPUに代えてまたはCPUとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
入力装置4は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどであり、超音波検査を行う検査員等により操作され、操作に応じた入力信号を制御装置150に出力する。表示装置3は、例えば、液晶パネル等から構成され、UT装置100からの表示制御信号に基づき、所定の表示画像を表示画面に表示させる。報知装置5は、後述する超音波による膜剥離検査の検査結果を検査員に対して報知する装置であり、制御装置150からの報知制御信号に基づき、所定の情報を報知する。報知装置5は、例えば、検査結果を表す表示画像を表示する液晶パネル等の表示装置、検査結果を表す音声を出力するスピーカ等の音声出力装置、検査結果を表す情報を紙媒体に印刷する印刷装置等である。
超音波センサ110は、検査対象120の表面に耐熱性接着剤(接触媒質)を介して当接される。
図2に示すように、超音波センサ110は、検査対象120に超音波を送信する3つ以上の送信用超音波素子である送信素子111(本実施形態では3つの送信素子111)と、送信素子111から送信された超音波の反射波を受信する1つ以上の受信用超音波素子である受信素子112(本実施形態では1つの受信素子112)と、送信素子111及び受信素子112を保持する保持面131,132並びに検査対象120に当接する当接面(底面)139を有するシュー130と、を備える。
本実施形態では、3つの送信素子111のうち、最も受信素子112からの距離が近い送信素子111を第1送信素子111aとし、最も受信素子112からの距離が遠い送信素子111を第3送信素子111cとし、第1送信素子111aよりも受信素子112からの距離が遠く、第3送信素子111cよりも受信素子112からの距離が近い送信素子111を第2送信素子111bとする。
送信素子111及び受信素子112には、ジルコン酸鉛(PbZrO)とチタン酸鉛(PbTiO)との固溶体(PZT)を含むPZT系圧電セラミックス、ニオブ酸リチウム(LiNbO)結晶(LN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の圧電素子が用いられる。送信素子111及び受信素子112は、例えば円板状に形成される。
検査対象120は、例えば、配管のフランジであり、炭素鋼、ステンレス鋼等の金属により形成される母材121と、母材121に被覆される樹脂製の膜122と、を有する。シュー130は、アクリル、ポリスチレン等により形成される。
図3は、超音波センサ110のシュー130の形状について説明する図である。シュー130は、検査対象120の膜122の表面に当接される平面状の当接面(底面)139と、第1送信素子111aを保持する保持面131aと、第2送信素子111bを保持する保持面131bと、第3送信素子111cを保持する保持面131cと、受信素子112を保持する保持面132と、を有する。
シュー130は、受信素子112に近い送信素子111から遠い送信素子111にかけて送信素子111を保持する保持面131の当接面139に対する角度であるシュー角θpが大きくなるように多角形状に形成される。本実施形態では、第1送信素子111aを保持する保持面131aのシュー角をθp(1)、第2送信素子111bを保持する保持面131bのシュー角をθp(2)、第3送信素子111cを保持する保持面131cのシュー角をθp(3)としたとき、各シュー角θpの大小関係は、θp(1)<θp(2)<θp(3)となる。
図1に示すように、UT装置100は、各送信素子111に接続される複数のパルサ103と、受信素子112に接続されるレシーバ104と、信号処理部102と、記憶部101と、を有している。信号処理部102は、プログラムに従って処理を実行するプロセッサ等で構成され、記憶部101は、ハードディスクやメモリ等で構成されている。
超音波センサ110の送信素子111は、UT装置100のパルサ103からの駆動信号(電気信号)によって厚さ方向に振動して、シュー130及び検査対象120に超音波を送信する。図2に示すように、受信素子112は、送信素子111から膜122内に送信され、膜122の底面(母材121との境界面、あるいは剥離面)129で反射された反射波、及び、膜122の底面129から母材121内に伝搬し、母材121の底面で反射された反射波を受信する。受信素子112は、受信した反射波を波形信号(電気信号)に変換して、図1に示す制御装置150のレシーバ104へ出力する。
制御装置150の信号処理部102は、レシーバ104を介して得られた波形信号に対し、所定の処理(アナログ信号からデジタル信号への変換処理等)を実行する。これにより、信号処理部102は、図4に示すように、反射波の波形データを取得する。図4は、反射波の波形データの模式図であり、横軸が時間を表し、縦軸が信号強度(エコー高さ)を表す。信号処理部102は、取得した反射波の波形データを記憶部101へ出力して記憶させると共に、表示装置3へ出力して表示装置3の表示画面に表示させる。また、信号処理部102は、取得した反射波の波形データを制御装置150にも出力する。制御装置150は取得した反射波の波形データを記憶部159に記憶させる。
ところで、母材121がその製造過程で反るなどして母材121の表面が水平面に対して傾いた状態で、樹脂材が母材121の表面に塗布されると、樹脂材の膜厚は一定とはならず、図2に示すように、断面が台形状の膜122が形成されることがある。
図5Aは、本実施形態の比較例に係る超音波センサ910Aを示す図である。超音波センサ910Aは、母材121と膜922の境界面と、膜922の表面(外表面)とが平行である場合、すなわち膜922の断面が矩形状である場合において、膜922の剥離を検査するために用いられる。図5Aに示すように、超音波センサ910Aは、単一の送信素子111と単一の受信素子112とを有する。超音波センサ910Aでは、膜922の断面が矩形状である場合には、膜922の底面で反射した反射波を受信素子112において受信することができる。このため、反射波の波形データに基づいて膜922の剥離の有無を検査することができる。
しかしながら、図5Bに示すように、膜122の断面が台形状である場合には、超音波センサ910Aの送信素子111から膜122内に送信され、膜122の底面で反射した超音波の主音軸980が受信素子112を指向していない。つまり、主音軸980上に受信素子112が配置されていない。このため、上記超音波センサ910Aでは、膜122の底面で反射した反射波を受信素子112において受信することができないおそれがある。また、このような超音波センサ910Aでは、仮に受信素子112が超音波の反射波を受信することができたとしても、受信感度が低いため、膜122の形状を精度よく推定することができない。その結果、膜122の剥離の有無を精度よく検査することができない。
これに対して、第1実施形態に係る超音波センサ110は、図6に示すように、膜122の断面が台形状である場合に、各送信素子111(111a,111b,111c)から送信され膜122の底面129において反射する超音波の主音軸180(180a,180b,180c)上に受信素子112が位置するように、シュー130の形状が定められている。なお、超音波は、ある程度の広がりをもって特定の方向へ伝搬する。主音軸とは、最も強い強度で超音波が伝搬する方向を表す軸のことであり、主音線ともいう。
図7は、本実施形態の別の比較例として、複数の送信素子111を保持する保持面931のシュー角が全て同じであるシュー930を備える超音波センサ910Bを示す図である。この超音波センサ910Bでは、所定の送信素子111(例えば、第2送信素子111b)から送信された超音波の主音軸980bは、受信素子112上に位置している。このため、受信素子112では、第2送信素子111bから送信された超音波の反射波を高感度で検出することができる。しかしながら、第1送信素子111aと第3送信素子111cから送信された超音波の主音軸980a,980cは、受信素子112を指向していない。つまり、第1送信素子111a及び第3送信素子111cから送信される超音波の主音軸980a,980c上に受信素子112が位置していない。このため、第1送信素子111a及び第3送信素子111cから送信された超音波の反射波に対する受信素子112の感度は、第2送信素子111bから送信された超音波の反射波に対する受信素子112の感度に比べて低くなる。
これに対して、本実施形態では、図6に示すように、3つの送信素子111を保持する保持面131ごとに、シュー角が調整されている。シュー130は、断面が台形状の検査対象120の膜122に当接面139が当接した状態で、少なくとも3つの送信素子111(本実施形態では、第1送信素子111a、第2送信素子111b、第3送信素子111c)から送信される超音波が1つの受信素子112によって受信されるように形成されている。
具体的には、第1送信素子111aの保持面131aは、図7に示す比較例に比べてシュー角を小さくすることで第1送信素子111aから送信される超音波の主音線を受信素子112に到達させるように構成されている。また、第3送信素子111cの保持面131cは、図7に示す比較例に比べてシュー角を大きくすることで第3送信素子111cから送信される超音波の主音線を受信素子112に到達させるように構成されている。このように、本実施形態では、受信素子112に近い送信素子111から遠い送信素子111にかけて、送信素子111を保持する保持面131のシュー角を徐々に大きくしていくことにより、受信素子112での受信強度を向上することができる。なお、シュー角を調整することにより、超音波の主音軸180の位置を調整することができるので、シュー130は、主音軸調整ジグとしての機能を有する。
各送信素子111を保持するシュー130の保持面131のシュー角の調整範囲について説明する。第1送信素子111aを保持する保持面131aのシュー角をθp(1)、第1送信素子111aから送信される超音波の膜122の底面129に対する入射角をφp(1)とし、第2送信素子111bを保持する保持面131bのシュー角をθp(2)、第2送信素子111bから送信される超音波の膜122の底面129に対する入射角をφp(2)とし、第3送信素子111cを保持する保持面131cのシュー角をθp(3)、第3送信素子111cから送信される超音波の膜122の底面129に対する入射角をφp(3)とし、受信素子112を保持する保持面132のシュー角をθrとしたとき、次の第1条件を満たすとともに第2条件を満たすように、シュー130が形成されていることが好ましい。
第1条件は、以下のとおりである。
φp(1)+90°-送信素子の半値角≦θp(1)≦φp(1)+90°+送信素子の半値角
φp(2)+90°-送信素子の半値角≦θp(2)≦φp(2)+90°+送信素子の半値角
φp(3)+90°-送信素子の半値角≦θp(3)≦φp(3)+90°+送信素子の半値角
なお、本実施形態では、各送信素子111a,111b,111cの半値角は同じである。
第2条件は、以下のとおりである。
Min(φp(1),φp(2),φp(3))<θr<Max(φp(1),φp(2),φp(3))
ここで、Min(φp(1),φp(2),φp(3))は、入射角φp(1),φp(2),φp(3)のうちの最小値であり、Max(φp(1),φp(2),φp(3))は、入射角φp(1),φp(2),φp(3)のうちの最大値である。
これにより、超音波センサ110における送受信強度を高めることができるので、膜122の形状の推定が容易となる。
次に、本実施形態に係る超音波センサ110を用いて母材121に被覆された膜122の断面の形状を推定する方法、及びこの形状推定方法により推定された結果を用いて母材121に対する膜122の剥離の有無を検査する方法について説明する。超音波検査システム1による膜剥離検査方法の工程の概要は、以下のとおりである。
(工程1)
シュー角θpの異なる3つ以上の送信素子111から送信される超音波が、膜122と母材121の境界面で1回のみ反射した伝搬経路についての方程式に、当該伝搬経路の実測値を代入することにより作成される3つ以上の連立方程式に基づいて、膜122の形状を表す未知数(台形の短辺、長辺、幅)を演算する。これにより、膜122の形状が推定される。
(工程2)
工程1で推定した膜122の形状に基づいて、母材121から膜122が剥離している(膜122の底面129と母材121の表面との間に空気層がある)と仮定して、膜内122の多重反射波の伝搬経路長を推定する。
(工程3)
工程2で推定された多重反射波の伝搬経路長(推定値)と、母材121から膜122が剥離していると仮定して、反射波の波形データから得られる反射波の伝搬経路長(実測値)とを比較する。伝搬経路長の推定値と実測値とが一致した場合、仮定どおり、母材121から膜122が剥離していると判定する。伝搬経路長の推定値と実測値とが一致しない場合、実測値は、母材121に入射し、母材121の底面で反射した底面反射波の伝搬経路長であるため、母材121から膜122は剥離していない健全な状態であると判定する。
以上が超音波検査システム1による膜剥離検査方法の工程の概要であり、以下、超音波検査システム1による膜剥離検査方法の具体例について詳しく説明する。
図1に示すように、制御装置150は、3つ以上(本実施形態では3つ)の送信素子111のそれぞれから送信され受信素子112で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定する経路長測定部151と、測定された3つ以上(本実施形態では3つ)の伝搬経路長L(1),L(2),L(3)に基づいて、断面が台形で表される検査対象120における膜122の形状を推定する形状推定部152と、各種情報を記憶する記憶部159と、を有する。なお、経路長測定部151で測定される超音波の伝搬経路長のことをエコー実測値とも記す。
経路長測定部151は、記憶部159に記憶されている超音波の波形データから得られる反射エコー(図4参照)の伝搬時間(送受信の時間差)に基づき、送信素子111から送信される超音波の伝搬経路の長さである伝搬経路長を測定する。
膜122の形状の推定には、第1送信素子111aから膜122内に送信され、膜122の底面129において1回だけ鏡面反射してから受信素子112に受信される超音波の伝搬経路長L(1)と、第2送信素子111bから膜122内に送信され、膜122の底面129において1回だけ鏡面反射してから受信素子112に受信される超音波の伝搬経路長L(2)と、第3送信素子111cから膜122内に送信され、膜122の底面129において1回だけ鏡面反射してから受信素子112に受信される超音波の伝搬経路長L(3)を用いる。
経路長測定部151は、図4に示す波形データにおいて、時点t1における反射エコーを膜122の底面129において1回だけ反射してから受信素子112に受信される超音波(1回反射波)として、当該反射エコー(超音波)の伝搬時間(受信時点t1-送信時点t0)に基づいて、その伝搬経路長L(1),L(2),L(3)を測定する。
図8を参照して、膜122の形状の推定方法について詳しく説明する。膜122の形状の推定は、図8に示すように所定の断面内において行う。本実施形態では、超音波センサ110による膜剥離検査の対象となる膜122の形状として、図中、点P1,P2,P3,P4で囲まれる台形の断面形状を推定する。
説明の便宜上、図8に示す断面内において、シュー130の当接面(底面)139に平行な軸をx軸、x軸に垂直な軸をy軸とし、膜122の底面129に平行な軸をx´軸、x´軸に垂直な軸をy´軸として説明する。なお、図8では、後述する第n送信素子111に対応する距離であることを表す記号(n)については図示を省略している。また、シュー130の材料には、当該材料内の音速が膜122内の音速と略同一となるような材料が選定された場合を想定し、シュー130の当接面139に入射する超音波の入射角と、シュー130から膜122内へ伝搬する超音波の屈折角(出射角)と、が略同一である場合を例に説明する。
点P1は、膜122の表面128に配置されるシュー130の当接面139の一端(図示左端)であり、以下、第1基準点P1と記す。点P2は、膜122の表面128に配置されるシュー130の当接面139の他端(図示右端)であり、以下、第2基準点P2と記す。
点P3は、膜122の底面129と、第2基準点P2から膜122の底面129に下した垂線との交点である。点P4は、膜122の底面129と、第1基準点P1から膜122の底面129に下した垂線との交点である。
図中の各記号は、それぞれ以下のとおりである。なお、(n)は、第n送信素子111(n=1,2,3)に対応する距離であることを表す記号である。
wp(n):第1基準点P1から第n送信素子111までのx軸方向の距離
wr:第1基準点P1から受信素子112までのx軸方向の距離
hp(n):第1基準点P1から第n送信素子111までのy軸方向の距離
hr:第1基準点P1から受信素子112までのy軸方向の距離
wp(n)´:第1基準点P1から第n送信素子111までのx´軸方向の距離
wr´:第1基準点P1から受信素子112までのx´軸方向の距離
hp(n)´:第1基準点P1から第n送信素子111までのy´軸方向の距離
hr´:第1基準点P1から受信素子112までのy´軸方向の距離
φp(n):第n送信素子111から送信される超音波の膜122の底面129に対する入射角(母材121に対する入射角)
h1:基準点P1~P4を頂点とする台形の平行の2本の対辺のうちの短い方の辺である短辺(第1基準点P1から第4基準点P4までのy´軸方向の距離)
h2:基準点P1~P4を頂点とする台形の平行な2本の対辺のうちの長い方の辺である長辺(第2基準点P2から第3基準点P3までのy´軸方向の距離)
w:基準点P1~P4を頂点とする台形の幅(第1基準点P1から第2基準点P2までのx´軸方向の距離)
θt:膜122の表面128の底面129に対する傾斜角(x軸とx´軸とのなす角、すなわちy軸とy´軸とのなす角)
距離wp(n),wr,hp(n),hrは、シュー端からの距離を表す既知の幾何学情報であり、予め記憶部159に記憶されている。
検査対象120の膜122上に配置された超音波センサ110の第n送信素子111(n=1,2,3)から送信され、膜122の底面129において1回だけ鏡面反射してから受信素子112に到達する超音波の伝搬経路長L(n)は、第n送信素子111から膜122の底面129までの超音波の伝搬経路長をLa(n)とし、膜122の底面129から受信素子112までの超音波の伝搬経路長をLb(n)としたとき、式(1)で表される。
L(n)=La(n)+Lb(n) ・・・(1)
伝搬経路長La(n)は式(2)で表され、伝搬経路長Lb(n)は式(3)で表される。
La(n)=(hp(n)´+h1)/cosφp(n) ・・・(2)
Lb(n)=(hr´+h1)/cosφp(n) ・・・(3)
図中、点A、点B、点Cを頂点とする三角形ABCのX´軸に平行な底辺ACの長さをΔwpとすると、入射角φp(n)は、式(4)により表される。なお、点Aは膜122の底面129における超音波の反射点であり、点Bは第n送信素子111の位置であり、点Cは第n送信素子111から膜122の底面129に下した垂線と膜122の底面129との交点である。
φp(n)=tan-1(Δwp/(hp(n)´+h1)) ・・・(4)
図中、点A、点D、点Eを頂点とする三角形ADEと、三角形ABCは相似形状である。このため、長さΔwpは、式(5)により表される。なお、点Dは受信素子112の位置であり、点Eは受信素子112から膜122の底面129に下した垂線と膜122の底面129との交点である。
Δwp=((hp(n)´+h1)×(wr´-wp(n)´))/(hp(n)´+2×h1+hr´) ・・・(5)
距離hp(n)´は式(6)で表され、距離wp(n)´は式(7)で表される。
hp(n)´=hp(n)cosθt+wp(n)sinθt ・・・(6)
wp(n)´=wp(n)cosθt-hp(n)sinθt ・・・(7)
距離hr´は式(8)で表され、距離wr´は式(9)で表される。
hr´=hrcosθt+wrsinθt ・・・(8)
wr´=wrcosθt-hrsinθt ・・・(9)
また、θtは、式(10)で表される。
θt=tan-1(h2-h1)/w ・・・(10)
第n送信素子111から膜122内に送信され、膜122の底面129で1回だけ鏡面反射し、受信素子112に到達する超音波の伝搬経路長L(n)は、経路長測定部151により測定される。経路長測定部151は、第1送信素子111aからの超音波の伝搬経路長L(1)、第2送信素子111bからの超音波の伝搬経路長L(2)、及び、第3送信素子111cからの超音波の伝搬経路長L(3)を測定し、記憶部159に記憶させる。
形状推定部152は、記憶部159に記憶されている伝搬経路長L(1),L(2),L(3)のエコー実測値と、上述の式(1)~(10)に基づいて、3つの連立方程式を作成し、連立方程式を解くことにより、膜122の形状を表す未知数である台形状の膜122の短辺h1、長辺h2及び幅wを演算し、記憶部159に記憶させる。このように、形状推定部152は、経路長測定部151で測定された3つの伝搬経路長L(1),L(2),L(3)のエコー実測値と、上述の式(1)~(10)に基づいて、台形で表される膜122の形状を推定することができる。
次に、推定した膜122の形状データに基づいて、膜122の底面129で複数回反射される多重反射波の伝搬経路長ΣLを推定する方法について説明する。伝搬経路長ΣLiの推定は、制御装置150により行われる。図1に示すように、制御装置150は、推定された膜122の形状に基づいて、送信素子111から膜122内に送信され膜122の底面129と表面128において鏡面反射する多重反射波の伝搬経路長を推定する経路長推定部153を有する。
図9は、送信素子111から送信された超音波が膜122の底面129で反射された後、膜122の表面128で反射され、再び膜122の底面129で反射された後、受信素子112に到達する超音波の多重反射波の伝搬経路を示す図である。
多重反射波の伝搬経路長ΣLiは、送信素子111から送信される超音波の1回目の反射点における母材121への入射角φを変数として、各反射点を順次計算していき、受信素子112に到達したときにおける入射角φを求める。このように複数回の反射後に受信素子112で受信される超音波の入射角φの条件は、式(11),(12)を満たす。φが求まると伝搬経路が決まるため、伝搬経路長ΣLも決定される。
φ=φk-1+ξ(mod(k-1))×2×θt (11)
ΣL×sin(φ)=wr´-wp(n)´ (12)
ここで、mは、膜122内での反射回数+1であり、本実施形態ではm=4である。Lは、送信素子111から1回目の反射点までの距離であり、Lは、(m-1)回目の反射点(すなわち最後の反射点)から受信素子112までの距離である。L(k=2から(m-1)までの整数)は、膜122の底面129での反射点と膜122の表面128での反射点との間の距離である。φは、kが奇数の場合にはk回目の反射点における超音波の入射角であり、kが偶数の場合には(k-1)回目の反射点における超音波の反射角である。ξ(x)は、括弧内の変数xが0のときには1となり、変数xが0でないときには0となる、2値関数である。mod(x)は、括弧内の変数xを2で割ったときの剰余である。Σはk=1からmまでの値を積算する積算記号である。
図1に示す経路長測定部151は、送信素子111から膜122内に送信され受信素子112で受信される超音波の波形データに基づいて、膜122の底面129と表面128において反射する多重反射波の伝搬経路長を測定する。多重反射波の伝搬経路長は、図4に示す反射波の波形データのうち、膜122の底面129で1回だけ反射する1回反射波の反射エコー(時点t1)の次以降の反射エコーに基づき決定する。
超音波センサ110では、母材121から膜122が剥離してない健全な状態では、母材121に超音波が入射し母材121の底面で反射する反射波(底面反射波)が検出される。超音波センサ110では、母材121から膜122が剥離している場合、母材121の底面で反射する反射波(底面反射波)は検出されない。本実施形態では、経路長測定部151は、母材121から膜122が剥離していることを仮定して測定を行う。つまり、経路長測定部151は、図4に示す波形データにおける時点t2における反射エコーを膜122の底面129で2回反射した多重反射波の反射エコーと仮定して、その反射エコーの伝搬時間に基づいて伝搬経路長Lcを測定する。
図1に示すように、制御装置150は、経路長推定部153で推定された多重反射波の伝搬経路長ΣLと、多重反射波として測定された超音波(反射エコー)の伝搬経路長Lcとを比較することにより、母材121に対する膜122の剥離の有無を検査する比較検査部154を有する。なお、本実施形態では、多重反射波の伝搬経路長の実測値と推定値の比較は、複数の送信素子111のうちのいずれか一つから送信される多重反射波に対して行われる。
制御装置150としては、上述の各種演算が実行可能なプログラムがインストールされたPC(パーソナルコンピュータ)を用いることができる。制御装置150の記憶部159には、上述の各種演算が実行可能なプログラムが格納されている。すなわち、制御装置150の記憶部159は、本実施形態の機能を実現するプログラムを読み取り可能な記憶媒体である。なお、PCの形態は、デスクトップ型、ノート型、タブレット型等、種々の形態を採用することができる。
UT装置100は、制御装置150、各送信素子111及び受信素子112に接続されている。入力装置4が操作され、制御装置150から検査開始指令がUT装置100に入力されると、UT装置100は各パルサ103を制御する。これにより、送信素子111は、パルサ103から短時間(一定時間)出力される電圧信号によって励振されることで超音波を送信する。
図10は、本発明の第1実施形態に係る制御装置150により実行される膜剥離検査プログラムによる処理の一例を示すフローチャートである。図10に示すように、ステップS100において、入力装置4によって検査を開始する操作がなされると、制御装置150は、UT装置100に検査開始指令を出力し、ステップS101へ進む。UT装置100は、複数の送信素子111を1つずつ制御し、各送信素子111から送信され、受信素子112で受信される超音波の波形データを取得し、制御装置150に出力する。
ステップS101において、制御装置150は、UT装置100から入力される反射波の波形データに基づき、超音波の伝搬経路長を測定する。制御装置150は、膜122の底面129で1回だけ反射した1回反射波の伝搬経路長L(n)及び膜122の底面129で2回だけ反射した多重反射波の伝搬経路長Lcを測定し、記憶部159に記憶させる。超音波の伝搬経路長の測定処理が完了すると、ステップS106へ進む。
ステップS106において、制御装置150は、膜122の形状の推定を行う。具体的には、制御装置150は、ステップS101で測定された伝搬経路長L(1),L(2),L(3)と上述の式(1)~(10)とに基づいて、膜122の断面における台形の短辺h1、長辺h2及び幅wを演算し、記憶部159に記憶させる。また、ステップS106において、制御装置150は、後述するステップS111の演算に用いるθt,wr(n)´,wp(n)´の演算も行い、記憶部159に記憶させる。
なお、報知装置5が、膜122の形状を表すデータ(例えば、h1,h2,w,θt)を報知するようにしてもよい。例えば、報知装置5が表示装置で構成される場合、表示装置は、表示画面に膜122の形状を表す表示画像を表示させる。これにより、検査員は、台形で表される膜122の形状、膜122の厚みの分布を確認することができる。膜122の形状の推定処理、すなわちh1,h2,wの演算処理が完了すると、ステップS111へ進む。
ステップS111において、制御装置150は、多重反射波である膜122の底面129において2回だけ反射した反射波の伝搬経路長ΣLを推定する。具体的には、ステップS106で演算されたθt,wr´,wp(n)´を用いて、式(11),(12)において入射角φを変数として順次計算することにより、多重反射波の伝搬経路を決定し、その伝搬経路長ΣLを演算する。多重反射波の伝搬経路長ΣLの推定処理が完了すると、ステップS116へ進む。
ステップS116において、制御装置150は、ステップS101で得られた伝搬経路長の実測値Lcと、ステップS111で得られた伝搬経路長の推定値ΣLと、を比較し、一致しているか否かを判定する。伝搬経路長の実測値と推定値とが一致しているか否かの判定は、実測値と推定値の差が予め定められた閾値より小さいか否かにより行う。すなわち、実測値と推定値の差が閾値未満である場合には実測値と推定値とが一致していると判定し、実測値と推定値の差が閾値以上である場合には実測値と推定値とが一致していないと判定する。伝搬経路長の実測値と推定値とが一致していると判定されると、ステップS121へ進み、伝搬経路長の実測値と推定値とが一致していないと判定されると、ステップS126へ進む。
ステップS121において、制御装置150は、剥離有りと判定し、報知装置5を制御して、報知装置5により、検査対象120において膜122の剥離が有ることを表す情報を報知する。ステップS126において、制御装置150は、剥離無し(すなわち健全な状態である)と判定し、報知装置5を制御して、報知装置5により、検査対象120において膜122の剥離が無いこと(すなわち健全な状態であること)を表す情報を報知する。
このように、本実施形態に係る膜剥離検査方法は、制御装置150が、3つ以上の送信素子111のそれぞれから膜122内に送信され膜122の底面129で反射され受信素子112で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し(ステップS101)、1回反射波の伝搬経路長として測定された3つ以上の伝搬経路長L(1),L(2),L(3)に基づいて、断面が台形で表される膜122の形状を推定し(ステップS106)、推定された膜122の形状に基づいて、送信素子111から膜122内に送信され膜122の底面129と表面128において反射する多重反射波の伝搬経路長を推定し(ステップS111)、推定された多重反射波の伝搬経路長と、多重反射波の伝搬経路長として測定された伝搬経路長Lcとを比較することにより、母材121に対する膜122の剥離の有無を検査する(ステップS116,S121,S126)。
このような第1実施形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)超音波センサ110は、検査対象120に超音波を送信する3つ以上の送信素子111と、送信素子111から送信された超音波の反射波を受信する1つ以上の受信素子112と、送信素子111及び受信素子112を保持する保持面131,132並びに検査対象に当接する当接面139を有するシュー130と、を備える。シュー130は、受信素子112に近い送信素子111から遠い送信素子111にかけて、送信素子111を保持する保持面131の当接面139に対する角度であるシュー角θpが大きくなるように多角形状に形成される。シュー130は、断面が台形状の検査対象120の膜122に当接面139が当接した状態で、少なくとも3つの送信素子111(本実施形態では、第1送信素子111a、第2送信素子111b、第3送信素子111c)から送信される超音波が1つの受信素子112によって受信されるように形成されている。
これにより、検査対象120の断面が台形状の場合において、超音波の受信感度を向上することができる。したがって、3つ以上の送信素子111のそれぞれから送信され受信素子112で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、測定された3つ以上の伝搬経路長L(1),L(2),L(3)に基づいて、断面が台形で表される検査対象120の膜122の形状を精度よく推定することができる。
(2)3つ以上の送信素子111には、第1送信素子111aと、第1送信素子111aよりも受信素子112からの距離が遠い第2送信素子111bと、第2送信素子111bよりも受信素子112からの距離が遠い第3送信素子111cと、が含まれる。第1送信素子111aを保持する保持面131aのシュー角をθp(1)、第1送信素子111aから送信される超音波の入射角をφp(1)とし、第2送信素子111bを保持する保持面131bのシュー角をθp(2)、第2送信素子111bから送信される超音波の入射角をφp(2)とし、第3送信素子111cを保持する保持面131のシュー角をθp(3)、第3送信素子111cから送信される超音波の入射角をφp(3)とし、受信素子112を保持する保持面132のシュー角をθrとしたとき、シュー130は、以下の第1条件及び第2条件を満たすように形成されている。
(第1条件)
φp(1)+90°-送信素子の半値角≦θp(1)≦φp(1)+90°+送信素子の半値角
φp(2)+90°-送信素子の半値角≦θp(2)≦φp(2)+90°+送信素子の半値角
φp(3)+90°-送信素子の半値角≦θp(3)≦φp(3)+90°+送信素子の半値角
(第2条件)
Min(φp(1),φp(2),φp(3))<θr<Max(φp(1),φp(2),φp(3))
これにより、超音波センサ110における送受信強度を高めることができるので、膜122の形状の推定が容易となる。
(3)検査対象120における母材121に対する膜122の剥離の有無を検査する方法では、3つ以上の送信素子111のそれぞれから送信され受信素子112で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、1回反射波の伝搬経路長として測定された3つ以上の伝搬経路長L(1),L(2),L(3)に基づいて、断面が台形で表される膜122の形状を推定し、推定された膜122の形状に基づいて、送信素子111から膜122内に送信され膜122の底面129と表面128において反射する多重反射波の伝搬経路長ΣLを推定し、推定された多重反射波の伝搬経路長ΣLと、多重反射波の伝搬経路長として測定された伝搬経路長Lcとを比較することにより、母材121に対する膜122の剥離の有無を検査するようにした。これにより、断面が台形で表される膜122の剥離の検査を精度よく行うことができる。
(4)超音波センサ110は、送信素子111を少なくとも3つ、受信素子112を少なくとも1つ備えることで、上述した検査対象120の形状の推定と、膜122の剥離の検査を精度よく行うことができる。つまり、送信素子111及び受信素子112の数の増加を抑えることにより、超音波センサ110のコストの低減を図ることができるとともに、測定結果のデータ処理量を抑え、膜122の剥離の有無の検査を実行する超音波検査システム1の負荷の低減を図ることができる。
<第1実施形態の変形例>
上記実施形態では、ステップS121において、制御装置150は、剥離有りと判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。図11に示すように、多重反射波の伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一回一致しただけでは、剥離有りと判定しないようにしてもよい。
母材121から膜122が剥離していない健全な状態において、膜122から母材121に入射し、母材121の底面で反射した底面反射波の伝搬経路長と、膜122の底面129と表面128で反射した多重反射波の伝搬経路長とが一致する、あるいは両者の差が小さいことがある。そこで、本変形例では、超音波センサ110の位置を変えた状態で膜122の剥離検査を行い、少なくとも2回、伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一致したと判定された場合に、剥離有りと判定する。以下、図11に示すフローチャートを参照して詳しく説明する。
本変形例では、ステップS116において、多重反射波の伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一致していると判定された場合、ステップS121vへ進む。
ステップS121vにおいて、制御装置150は、ステップS116において比較したエコー実測値(Lc)は、多重反射波の伝搬経路長の可能性があると判定し、待機状態となる。
その後、検査員が超音波センサ110を断面が台形状の膜122の短辺側あるいは長辺側に向かって移動させ、入力装置4によって検査を開始する操作を再び行う。ステップS130~S146までの処理は、ステップS100~S116までの処理と同様であるので説明を省略する。
ステップS146において、多重反射波の伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一致していると判定された場合、ステップS151へ進む。ステップS146において、多重反射波の伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一致していないと判定された場合、ステップS126へ進む。ステップS151において、制御装置150は、剥離有りと判定し、報知装置5を制御して、報知装置5により、検査対象120において膜122の剥離が有ることを表す情報を報知する。
このように、本変形例では、制御装置150は、膜122上における所定の位置に超音波センサ110が配置されている状態で、推定された多重反射波の伝搬経路長(ΣL)と、測定された伝搬経路長(Lc)とを比較する第1の比較を行う(ステップS116)。さらに、制御装置150は、膜122上における上記所定の位置とは異なる位置に超音波センサ110が配置されている状態で、推定された多重反射波の伝搬経路長(ΣL)と、測定された伝搬経路長(Lc)とを比較する第2の比較を行う(ステップS146)。そして、制御装置150は、第1の比較の結果と第2の比較の結果に基づいて、母材121に対する膜122の剥離の有無を検査する。具体的には、第1の比較の結果及び第2の比較の結果のそれぞれにおいて、伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一致したと判定された場合には、剥離有りと判定し、第1の比較の結果及び第2の比較の結果のうち少なくともいずれかにおいて、伝搬経路長の推定値(ΣL)とエコー実測値(Lc)とが一致していないと判定された場合には、剥離無しと判定する。
このような変形例によれば、上記実施形態と同様の効果に加え、1回目の膜剥離検査において、母材121から膜122が剥離していない健全な状態において、膜122から母材121に入射し、母材121の底面で反射した底面反射波の伝搬経路長と、推定した膜内多重反射波の伝搬経路長とが一致する、あるいは両者の差が小さいことに起因して、誤判定がなされることを防止できる。つまり、本変形例によれば、膜剥離検査をより精度よく行うことができる。
<第2実施形態>
図12及び図13A~図13Cを参照して、本発明の第2実施形態に係る超音波センサ210の構成及び母材121に被覆される膜222の形状推定方法について説明する。図12は、本発明の第2実施形態に係る超音波センサ210の構成を示す図である。図13Aは、膜222の表面228の傾斜角がθt1である場合の送信素子111から受信素子112に到達する超音波の主音軸を示す図である。図13Bは、膜222の表面228の傾斜角がθt2である場合の送信素子111から受信素子112に到達する超音波の主音軸を示す図である。図13Cは、膜222の表面228の傾斜角がθt3である場合の送信素子111から受信素子112に到達する超音波の主音軸を示す図である。なお、各傾斜角の大小関係は、θt1<θt2<θt3である。
第2実施形態に係る超音波センサ210は、受信素子112を複数有している。具体的には、超音波センサ210は、複数の送信素子111と、複数の受信素子112とを備える。なお、図では、複数の送信素子111のうち代表して3つの送信素子111を図示しているが、4つ以上の送信素子111が設けられている。
受信素子112に近い送信素子111から遠い送信素子111にかけて送信素子111に連続番号i(iは自然数)を付す。また、送信素子111に近い受信素子112から遠い受信素子112にかけて受信素子112に連続番号j(jは自然数)を付す。
図中の各記号は、それぞれ以下のとおりである。なお、(i)はi番目の送信素子111に対応する距離であることを表す記号であり、(j)はj番目の受信素子112に対応する距離であることを表す記号である。
wp(i):第1基準点P1からi番目の送信素子111までのx軸方向の距離
wr(j):第1基準点P1からj番目の受信素子112までのx軸方向の距離
hp(i):第1基準点P1からi番目の送信素子111までのy軸方向の距離
hr(j):第1基準点P1からj番目の受信素子112までのy軸方向の距離
wp(i)´:第1基準点P1からi番目の送信素子111までのx´軸方向の距離
wr(j)´:第1基準点P1からj番目の受信素子112までのx´軸方向の距離
hp(i)´:第1基準点P1からi番目の送信素子111までのy´軸方向の距離
hr(j)´:第1基準点P1からj番目の受信素子112までのy´軸方向の距離
φp(i,j):i番目の送信素子111から送信され、膜122の底面129において1回だけ反射し、j番目の受信素子112で受信される超音波の膜222の底面129に対する入射角
検査対象120の膜222上に配置された超音波センサ110のi番目の送信素子111から送信され、膜222の底面129において1回だけ鏡面反射してからj番目の受信素子112に到達する超音波の伝搬経路長L(i,j)は、以下の式(13)~(20)で表される。
L(i,j)=(hp(i)´+h1)/cosφp(i,j)
+(hr(j)´+h1)/cosφp(i,j) ・・・(13)
φp(i,j)=tan-1(Δwp(i,j)/(hp(i)´+h1))
・・・(14)
Δwp(i,j)=((hp(i)´+h1)×(wr(j)´-wp(i)´))/(hp(i)´+2×h1+hr(j)´) ・・・(15)
hp(i)´=hp(i)cosθt+wp(i)sinθt ・・・(16)
wp(i)´=wp(i)cosθt-hp(i)sinθt ・・・(17)
hr(j)´=hr(j)cosθt+wr(j)sinθt ・・・(18)
wr(j)´=wr(j)cosθt-hr(j)sinθt ・・・(19)
θt=tan-1(h2-h1)/w ・・・(20)
第2実施形態に係る制御装置150は、膜222の表面228の傾斜角θtに応じて、4つ以上の送信素子111のうち、以下の選択条件を満たす範囲で、使用する送信素子111を3つ以上選択し、複数の受信素子112のうち、膜内反射波の到達点の送信波の半値角範囲内で、使用する受信素子112を選択する。
(選択条件)
θp(i)-送信素子の半値角<φp(i,j)<θp(i)+送信素子の半値角
ここで、θp(i)は、i番目の送信素子111の保持面131のシュー角である。
制御装置150は、選択された3つ以上の送信素子111のそれぞれから送信され、選択されたj番目の受信素子112で受信される超音波の波形データに基づいて、上記第1実施形態と同様、超音波の伝搬経路長を測定し、1回反射波の伝搬経路長として測定された3つ以上の伝搬経路長と上述の式(13)~(20)に基づいて、断面が台形で表される検査対象の形状を推定する。なお、膜222の形状の推定方法及び膜222の剥離の有無の検査方法については、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。
このような第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、膜222の表面の傾斜角θtが上記第1実施形態と同程度の場合だけでなく、図13B及び図13Cに示すように膜222の表面228の傾斜角θtが大きい場合であっても高い送受信強度で超音波を受信することができ、膜222の形状を推定することが可能である。つまり、本第2実施形態に係る超音波検査システム1によれば、傾斜角θtが様々な膜222の形状を精度よく推定し、膜222の剥離の有無を精度よく検査することができる。
次のような変形例も本発明の範囲内であり、変形例に示す構成と上述の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、上述の異なる実施形態で説明した構成同士を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせることも可能である。
<変形例1>
上記実施形態では、検査員が、入力装置4によって検査開始操作を行うことにより、制御装置150が、伝搬経路長を測定し、膜122の形状の推定し、多重反射波の伝搬経路長を推定し、多重反射波の伝搬経路長の推定値と実測値とを比較することにより膜122,222の剥離の有無を検査する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。上記工程の一部または全部を超音波センサ110とUT装置100と計算機等を用いて、検査員が行ってもよい。
<変形例2>
上記実施形態では、多重反射波の伝搬経路長の推定値と、波形データから得られる伝搬経路長の実測値との比較において、膜122の底面129で2回反射した反射波の推定値と実測値とを比較する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。膜122の底面129で3回以上反射した反射波の推定値と実測値とを比較してもよい。また、膜122の底面129で2回反射した反射波の推定値と、反射波の波形データにおける所定値以上の強度を有する全てのエコーから得られる伝搬経路長の実測値とを比較して剥離の有無を判定するようにしてもよい。この場合、複数回比較判定が行われるが、1回でも推定値と実測値とが一致した場合には、膜122の剥離が有ると判定し、推定値と全ての実測値とが一致しない場合には、膜122の剥離が無いと判定する。
<変形例3>
上記実施形態では、母材121が金属により形成され、膜122が樹脂により形成される例について説明したが、本発明はこれに限らず、母材121及び膜122は種々の材料により形成することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
1・・・超音波検査システム、110,210・・・超音波センサ、111・・・送信素子、111a・・・第1送信素子、111b・・・第2送信素子、111c・・・第3送信素子、112・・・受信素子、120,220・・・検査対象、121・・・母材、122,222・・・膜、128,228・・・表面、129・・・底面、130・・・シュー、131,132・・・保持面、139・・・当接面、150・・・制御装置

Claims (11)

  1. 検査対象に超音波を送信する3つ以上の送信素子と、
    前記送信素子から送信された超音波の反射波を受信する1つ以上の受信素子と、
    前記送信素子及び前記受信素子を保持する保持面並びに前記検査対象に当接する当接面を有するシューと、を備え、
    前記シューは、前記受信素子に近い送信素子から遠い送信素子にかけて、前記送信素子を保持する保持面の前記当接面に対する角度であるシュー角が大きくなるように多角形状に形成される、
    ことを特徴とする超音波センサ。
  2. 請求項1に記載の超音波センサにおいて、
    前記シューは、断面が台形状の前記検査対象に前記当接面が当接した状態で、少なくとも3つの前記送信素子から送信される超音波が1つの受信素子によって受信されるように形成されている、
    ことを特徴とする超音波センサ。
  3. 請求項1に記載の超音波センサにおいて、
    前記検査対象は、母材と、前記母材に被覆される膜とを有し、
    前記3つ以上の送信素子には、第1送信素子と、前記第1送信素子よりも前記受信素子からの距離が遠い第2送信素子と、前記第2送信素子よりも前記受信素子からの距離が遠い第3送信素子と、が含まれ、
    前記第1送信素子を保持する前記保持面のシュー角をθp(1)、前記第1送信素子から前記母材に向かって送信される超音波の進行方向と、前記母材と前記膜の境界面の法線方向との間の角度をφp(1)とし、
    前記第2送信素子を保持する前記保持面のシュー角をθp(2)、前記第2送信素子から前記母材に向かって送信される超音波の進行方向と、前記母材と前記膜の境界面の法線方向との間の角度をφp(2)とし、
    前記第3送信素子を保持する前記保持面のシュー角をθp(3)、前記第3送信素子から前記母材に向かって送信される超音波の進行方向と、前記母材と前記膜の境界面の法線方向との間の角度をφp(3)とし、
    前記受信素子を保持する前記保持面のシュー角をθrとしたとき、
    前記シューは、
    φp(1)+90°-送信素子の半値角≦θp(1)≦φp(1)+90°+送信素子の半値角
    φp(2)+90°-送信素子の半値角≦θp(2)≦φp(2)+90°+送信素子の半値角
    φp(3)+90°-送信素子の半値角≦θp(3)≦φp(3)+90°+送信素子の半値角
    Min(φp(1),φp(2),φp(3))<θr<Max(φp(1),φp(2),φp(3))
    を満たすように形成されている、
    ことを特徴とする超音波センサ。
  4. 超音波センサを用いて検査対象の形状を推定する方法であって、
    前記超音波センサは、前記検査対象に超音波を送信する3つ以上の送信素子と、前記送信素子から送信された超音波の反射波を受信する1つ以上の受信素子と、前記送信素子及び前記受信素子を保持する保持面並びに前記検査対象に当接する当接面を有するシューと、を備え、前記シューは、前記受信素子に近い送信素子から遠い送信素子にかけて、前記送信素子を保持する保持面の前記当接面に対する角度であるシュー角が大きくなるように多角形状に形成され、
    前記3つ以上の送信素子のそれぞれから送信され前記受信素子で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、
    前記測定された3つ以上の伝搬経路長に基づいて、断面が台形で表される前記検査対象の形状を推定する、
    ことを特徴とする形状推定方法。
  5. 請求項4に記載の形状推定方法において、
    前記検査対象は、母材と、前記母材に被覆される膜とを有し、
    前記超音波センサは、前記受信素子を複数有し、
    前記受信素子に近い送信素子から遠い送信素子にかけて前記送信素子に連続番号i(iは自然数)を付し、前記送信素子に近い受信素子から遠い受信素子にかけて前記受信素子に連続番号j(jは自然数)を付した場合であって、i番目の送信素子を保持する前記保持面のシュー角をθp(i)とし、i番目の送信素子から送信されj番目の受信素子で受信される超音波における前記i番目の送信素子から前記母材に向かって送信される超音波の進行方向と、前記母材と前記膜の境界面の法線方向との間の角度をφp(i,j)としたとき、
    前記複数の送信素子のうち、
    θp(i)-送信素子の半値角<φp(i,j)<θp(i)+送信素子の半値角
    を満たす送信素子を3つ以上選択し、
    前記選択された3つ以上の送信素子のそれぞれから送信され前記受信素子で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、
    前記測定された3つ以上の伝搬経路長に基づいて、断面が台形で表される前記検査対象の形状を推定する、
    ことを特徴とする形状推定方法。
  6. 超音波センサを用いて検査対象の形状を推定し、その推定された結果を用いて前記検査対象における母材に対する膜の剥離の有無を検査する方法であって、
    前記超音波センサは、前記検査対象に超音波を送信する3つ以上の送信素子と、前記送信素子から送信された超音波の反射波を受信する1つ以上の受信素子と、前記送信素子及び前記受信素子を保持する保持面並びに前記検査対象に当接する当接面を有するシューと、を備え、前記シューは、前記受信素子に近い送信素子から遠い送信素子にかけて、前記送信素子を保持する保持面の前記当接面に対する角度であるシュー角が大きくなるように多角形状に形成され、
    前記3つ以上の送信素子のそれぞれから前記膜内に送信され前記受信素子で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、
    前記膜の底面で1回反射した1回反射波の伝搬経路長として測定された3つ以上の伝搬経路長に基づいて、断面が台形で表される前記膜の形状を推定し、
    前記推定された膜の形状に基づいて、前記送信素子から前記膜内に送信され前記膜の底面と表面において反射する多重反射波の伝搬経路長を推定し、
    前記推定された多重反射波の伝搬経路長と、多重反射波の伝搬経路長として測定された伝搬経路長とを比較することにより、前記母材に対する膜の剥離の有無を検査する、
    ことを特徴とする膜剥離検査方法。
  7. 請求項6に記載の膜剥離検査方法において、
    前記膜上における所定の位置に前記超音波センサが配置されている状態で、前記推定された多重反射波の伝搬経路長と、前記測定された伝搬経路長とを比較する第1の比較を行い、
    前記膜上における前記所定の位置とは異なる位置に前記超音波センサが配置されている状態で、前記推定された多重反射波の伝搬経路長と、前記測定された伝搬経路長とを比較する第2の比較を行い、
    前記第1の比較の結果と前記第2の比較の結果に基づいて、前記母材に対する膜の剥離の有無を検査する、
    ことを特徴とする膜剥離検査方法。
  8. 請求項1に記載の超音波センサと、
    前記3つ以上の送信素子のそれぞれから送信され前記受信素子で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、前記測定された3つ以上の伝搬経路長に基づいて、断面が台形で表される前記検査対象の形状を推定する制御装置と、を備える、
    ことを特徴とする超音波検査システム。
  9. 請求項8に記載の超音波検査システムにおいて、
    前記検査対象は、母材と、前記母材に被覆される膜とを有し、
    前記超音波センサは、前記受信素子を複数有し、
    前記制御装置は、
    前記受信素子に近い送信素子から遠い送信素子にかけて前記送信素子に連続番号i(iは自然数)を付し、前記送信素子に近い受信素子から遠い受信素子にかけて前記受信素子に連続番号j(jは自然数)を付した場合であって、i番目の送信素子を保持する前記保持面のシュー角をθp(i)とし、i番目の送信素子から送信されj番目の受信素子で受信される超音波における前記i番目の送信素子から前記母材に向かって送信される超音波の進行方向と、前記母材と前記膜の境界面の法線方向との間の角度をφp(i,j)としたとき、
    前記複数の送信素子のうち、
    θp(i)-送信素子の半値角<φp(i,j)<θp(i)+送信素子の半値角
    を満たす送信素子を3つ以上選択し、
    前記選択された3つ以上の送信素子のそれぞれから送信され前記受信素子で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、
    前記測定された3つ以上の伝搬経路長に基づいて、断面が台形で表される前記検査対象の形状を推定する、
    ことを特徴とする超音波検査システム。
  10. 請求項8に記載の超音波検査システムにおいて、
    前記検査対象は、母材と、前記母材に被覆される膜とを有し
    前記制御装置は、
    前記3つ以上の送信素子のそれぞれから前記膜内に送信され前記受信素子で受信される超音波の波形データに基づいて、超音波の伝搬経路長を測定し、
    前記膜の底面で1回反射した1回反射波の伝搬経路長として測定された3つ以上の伝搬経路長に基づいて、断面が台形で表される前記膜の形状を推定し、
    前記推定された膜の形状に基づいて、前記送信素子から前記膜内に送信され前記膜の底面と表面において反射する多重反射波の伝搬経路長を推定し、
    前記推定された多重反射波の伝搬経路長と、多重反射波の伝搬経路長として測定された伝搬経路長とを比較することにより、前記母材に対する膜の剥離の有無を検査する、
    ことを特徴とする超音波検査システム。
  11. 請求項10に記載の超音波検査システムにおいて、
    前記制御装置は、
    前記膜上における所定の位置に前記超音波センサが配置されている状態で、前記推定された多重反射波の伝搬経路長と、前記測定された伝搬経路長とを比較する第1の比較を行い、
    前記膜上における前記所定の位置とは異なる位置に前記超音波センサが配置されている状態で、前記推定された多重反射波の伝搬経路長と、前記測定された伝搬経路長とを比較する第2の比較を行い、
    前記第1の比較の結果と前記第2の比較の結果に基づいて、前記母材に対する膜の剥離の有無を検査する、
    ことを特徴とする超音波検査システム。
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