JP6463962B2 - 超音波探傷システム及び検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超音波探傷システム及び検査方法に関する。
鋼材など横波の伝播を許す個体の非破壊検査方法として、超音波による手法(超音波探傷方)が従来から一般に用いられている。この超音波探傷法の一種に、いわゆるフェーズドアレイ方式の超音波探傷法がある。
ここで、このフェーズドアレイ方式とは、電子走査方式または電子スキャン方式とも呼ばれる。例えば、圧電素子からなる複数の超音波発生素子をアレイ状に配置した探触子、いわゆるアレイ探触子が用いられる。超音波発生の契機となる電気信号を、このアレイ探触子の素子ごとに所定の時間だけ遅延させて与えることで、各素子から発生した超音波が重ね合わされ、合成波を形成する。これにより、被検査体への超音波の送信角度と受信角度、焦点位置等の条件を電気的な制御により高速で変化させることができる。
本技術分野の背景技術として、特開2014−77708号(特許文献1)がある。この公報には、検査面と平行方向に振動する横波モード(SH波)を送受信する第1振動子と、SH波および超音波進行方向にたいして直交する方向に振動する横波モード(SV波)を送受信する第2振動子を交互に配列したアレイ探触子を使用し、第1振動子が送受信するSH波の方向、および第2振動子が送受信するSV波の方向を、被検体内で走査させる制御手段について記載がある。
また、特開2001−83125号公報(特許文献2)がある。この公報には、直交する2方向に振動する圧電材を積層させ、これら圧電材が発生させる直交する偏波を重ね合わせることで、探傷面から垂直方向に、任意の偏波方向を持つ横波超音波を発生させることを特徴とする音響異方向性の測定方法および前記音響異方向の測定方法を利用した材料劣化診断装置について記載がある。
特開2014−77708号公報 特開2001−83125号公報
従来から広く用いられている超音波アレイ探触子(ただし、送信と受信で素子を分ける場合は、送受信で各1つの合計2つの場合もある)を用いた超音波探傷法の場合、探触子の条件(送受信角度、送受信位置、焦点位置、偏波方向)も1つの値しか持つことができないため、探傷条件ごとに別の探触子を準備する必要があった。このため、条件の探索、変更に時間がかかり、検査効率が悪かった。
また、フェーズドアレイ方式では、被検査体への超音波の送信角度と受信角度、焦点位置等の条件を電気的な制御により高速で変化させることができるが、一方で、探傷の対象となる鋼材中の欠陥や介在物は、それらの形状の方向性により、偏波(横波振動方向)に依存して反射率が変化し、感度が低下してしまうことが知られている。偏波方向は横波振動子の方向と一致するので、偏波を回転操作するためには探触子を機械的に回転させる必要がある。この時、鋼材と探触子の接触位置がずれることにより、焦点位置が変化してしまい、調整のために多くの時間を要する。また、機械的な回転操作自体にも多くの時間を要する。そこで、焦点位置での偏波状態も電子操作することによって、高い感度で、高速な探傷を実現することが求められている。
特許文献1記載のものは、SH波とSV波と直交する振動方向を持つ2つの横波振動子を交互に配列したアレイ探触子を利用することで、2つの偏波方向の探触子それぞれについて、条件(送受信角度、送受信位置、焦点位置)を変化させて探傷できるようにしているものの、それら2つの横波モードが重なり合わないように制御しており、SH波の探傷とSV波の探傷はそれぞれ独立に実施される。したがって、SH波とSV波の重ね合わせを考慮しないという点で、偏波方向を回転操作するには課題がある。
特許文献2記載のものは、直交する偏波を持つ2つの超音波を同時に発生させて、底面エコーと被試験体厚みから、直交する2つの横波モードの音速差を測定することによって材料劣化診断を行うものである。検査面に垂直な方向に伝播する横波を発生させる第1振動子上に第1振動子に発生させる横波と直交する方向の振動方向を持つ第2振動子を積層させ、第1および第2振動子に印加する電圧パルスの振幅およびタイミングを制御することで偏波方向を電子的に操作できる。しかし、それぞれの振動子は単一の超音波探触子として利用されるため、送受信角度、送受信位置、焦点位置を変化させることは考慮されていないため、探傷面に設置させた本探触子を機械的に走査させることで探傷条件を変化させる必要があるため検査に時間を要する。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、横波超音波の応答性が偏波方向に依存するような鋼材中の欠陥および介在物を、フェーズドアレイ技術によって集束した横波超音波の偏波方向を回転させることにより、高速に検査することができる検査方法、及び当該検査方法に適用される探傷システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、横波を利用する超音波探傷システムにおいて、少なくとも2方向の振動方向を有する振動子を配列した超音波アレイ探触子を有する偏波送受信手段と、前記偏波送受信手段が送信する超音波の焦点位置、波形、偏波状態、位相差を指定する偏波指定手段と、前記偏波送受信手段の超音波アレイ振動子に含まれるそれぞれの振動子が、前記偏波指定手段で指定した焦点位置で作る偏波方向と振幅を計算する偏波計算手段と、前記偏波計算手段で計算した偏波方向と振幅を前記偏波指定手段で指定した偏波状態に一致させるそれぞれの振動子の発生させる超音波振幅を計算する振幅計算手段と、前記偏波指定手段で指定した位相差を遅延時間に設定する遅延時間設定手段と、前記超音波送受信手段によって受信した超音波波形から被検査体の断面図を表示する表示器と、を備えるようにしたものである。
本発明によれば、フェーズドアレイ探触子から発生する横波超音波の、焦点位置での偏波方向を電子的に回転操作させることによって、短時間で検査を実施できる超音波探傷システム及び検査方法が提供できる。
第1の実施例による超音波探傷システムの全体構成を示すブロック図である。 フェーズドアレイ超音波探傷法の概念図である。 フェーズドアレイ超音波探傷法の探傷結果の表示の一例である。 横波超音波探傷における偏波方向の効果を表した図である。 超音波アレイ探触子の一例を説明する斜視図である。 焦点位置に生じる偏波の合成に関する概念図である 第1の実施例に含まれる偏波計算手段の手順を示すフローチャートである。 第1の実施例に含まれる振幅計算手段の手順を示すフローチャートである。 第2の実施例による超音波探傷システムの全体構成を示すブロック図である。 第2の実施例に含まれる設定保存手段の手順を示すフローチャートである。 第3の実施例による超音波探傷システムの全体構成を示すブロック図である。
以下、実施例を、図面を用いて説明する。
以下、図1〜図8を用いて、第1の実施例による超音波探傷システムについて説明する。
最初に、従来実施されているフェーズドアレイ超音波探傷法について図2〜図4で簡単に説明する。
図2はフェーズドアレイ超音波探傷法の概念図である。
フェーズドアレイ超音波探傷法では、複数の振動子から発生する超音波のタイミング又は位相を制御し、それぞれの波形の波面を合わせることで、合成波面120を形成し、被検査体116の内部の指定した位置に焦点を形成させることができる。焦点と内在欠陥118の位置とがちょうど一致する条件で探傷を実施すれば、感度良く内在欠陥を検出することができる。
超音波送受信手段114(アレイ探触子)を構成しているそれぞれの超音波振動子115からは、超音波が探傷面に垂直方向に発生している。これらの各超音波振動子115に対して、例えば、式(1)で表される遅延時間(ディレイパターン)を与えることで、超音波送受信手段114(アレイ探触子)の中心から距離r0、検査面の垂直方向からθ0度傾いた位置に伝播速度(非検査体中の音速)cで伝播する超音波の焦点が結ばれるような合成波を形成することができる。
ここで、i:振動子に対する通し番号、τi:i番目の振動子に与える遅延時間、τ0:全てのτiが正となるように設定したオフセット時間、di:i番目の振動子から焦点までの距離である。diは、次の式(2)で与えられる。
ここで、xiはi番目の振動子の位置である。これにより、検査範囲を電子的に操作できる。例えば、θ0の変化に応じてτiを変化させることで、探傷方向を走査させることができる。このような走査方法は、一般に、セクタスキャンとして知られる。
図3はフェーズドアレイ超音波探傷法の探傷結果の表示の一例である。
断面像表示画面121には、探傷結果を2次元表示している。例えば、セクタスキャンの場合、伝播時間軸と走査角θ0を変化させて、扇形の領域の反射波強度をカラーマップで表示している。検査員は、断面像表示画面121を参照することで、内財欠陥118を容易に発見できる。Aスコープ表示画面123には、断面像表示画面121で、例えば、マウスなどのユーザインターフェースを用いて指定したAスコープ表示線122において、伝播時間に沿った反射波強度を表示している。このような表示方法は、一般に、Aスコープと呼ばれる。Aスコープ表示画面123に表示される受信振幅から、検査員は欠陥の有害性を判断できる。
図4は横波超音波を利用した超音波探傷における偏波方向の効果を表した図である。
図4(a)は被検査体中の方向性のある円筒状欠陥201の方向と平行方向に振動する入射平行横波超音波202(偏波)が入射した場合の反射平行横波超音波203(反射波)の応答を表している。図4(b)は円筒状欠陥201の方向と直交方向に振動する入射直交横波超音波204(偏波)が入射した場合の反射直交横波超音波205(反射波)の応答を表している。欠陥方向と偏波方向が直交の時に比べて平行方向の場合の方が、一般には反射率が大きい。その理由は、欠陥に直交な偏波は反射する時、横波超音波からモード変換縦波超音波206が生じ(モード変換)、エネルギー損失が発生するためである。したがって、横波の探傷で感度を向上させる場合、欠陥の方向に応じて適切な偏波を選ぶ必要がある。
しかしながら、偏波の方向は、超音波送受信手段114に含まれる超音波振動子115の振動方向によって一意に定まっており、振動方向を回転させる場合は、超音波送受信手段114(アレイ探触子)自体を回転させる必要がある。SH波を用いたアレイ探触子では、粘性の高い接触媒質を用いて、超音波を被検査体116の中に送信する必要があることから、超音波送受信手段114(アレイ探触子)の回転操作には多大な時間を要してしまう。
本実施例は、横波を用いた超音波探傷において、フェーズドアレイ探触子から発生する横波超音波の、焦点位置での偏波方向を電子的に回転操作させることによって、短時間で検査を実施できる超音波探傷システム及び検査方法を提供する。
次に、図1、図5〜図8を用いて、本実施例による超音波探傷システムの全体構成について説明する。
図1は本発明の第1の実施例に係る超音波送受信手段と超音波探傷装置を使用したシステムの構成を示すブロック図である。
超音波探傷装置101は、少なくとも2方向に振動する超音波振動子115(横波振動子)を配列した超音波アレイ探触子により超音波を送受信する超音波送受信手段114と、指定焦点位置103、指定超音波波形104、指定偏波105、指定位相差106をそれぞれ指定する偏波指定手段102と、指定焦点位置103に指定した焦点位置での偏波117を集束させる遅延時間を計算する遅延時間計算手段107と、各振動子に印加する電圧振幅を計算する振幅計算手段109と、指定した指定位相差106となるように遅延時間を設定する遅延時間設定手段110と、超音波送受信手段114に印加する電圧を増幅させる偏波パルサー111と、超音波送受信手段114から受信信号を増幅する偏波レシーバ112と、探傷結果を表示する表示手段113から構成される。
ここで、偏波指定手段102は、例えばパソコンのキーボード、タブレットに表示されているスライダー、超音波探傷装置101に設置されたボタン或いはつまみを操作することで超音波探傷装置101にデータを入力する。また、アレイを構成する超音波振動子115は例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)などの圧電素子で、電気振動を振動に変換し、逆に振動を電気信号に変換することが可能である。
図5は本実施例における超音波送受信手段としてのアレイ探触子の一例を説明する斜視図である。図5の(a)は、アレイ探触子を構成するそれぞれの振動子が振動方向を回転できるようにしたものである。横波を発生させる第1の方向に振動する横波振動子211と前記振動子に直交する方向に振動する横波を発生させる第2の方向に振動する横波振動子212が積層された構造になっている。図5の(b)は、横波を発生させる第1の方向に振動する横波振動子211と前記振動子に直交する方向に振動する横波を発生させる第2の方向に振動する横波振動子212を、交互に配列した構造になっている。アレイ探触子を構成する全ての振動子は超音波アレイ探触子ケーブル213(信号線)で振動子それぞれが独立に超音波探傷装置101と電気信号を入出力する。第1の方向に振動する横波振動子211と第2の方向に振動する横波振動子212がペアとなってi番目の振動子を構成する。ただし、図5に示す例は、本実施例を限定するものではない。
図6は焦点位置に生じる偏波の合成に関する概念図である。
横波超音波を発生させる超音波振動子115を用いた場合の偏波方向は、各振動子から発生する横波である伝搬する横波119の合成である。図6の(a)に示されるように、SV波の場合、振動方向はSH波および進行方向に直交する方向である。SV波は、振動子ごとに進行方向が異なるため、合成波が焦点につくるSV波の合成波214(偏波方向)も、焦点位置に依存する。図6(b)に示されるようにSH波の場合、振動方向は探傷面に平行なので、全振動子から発生するSH波の合成波215(横波の振動方向)は同じ方向である。
超音波探傷装置101は、偏波指定手段102(入力手段)を用いて、指定焦点位置103、指定超音波波形104、指定偏波105、指定位相差106が指定される。遅延時間計算手段107は前記指定焦点位置103と式(1)に基づいて遅延時間を生成する。
次に、本実施例の偏波計算手段108について、図7のフローチャートを用いて説明する。偏波計算手段108は、例えば、パソコン上でのソフトウェアにより実装することができる。計算結果は、メモリ等、読み出し可能な記録媒体に保存する。
S102では、入力波形104のフーリエ変換F(ω)を計算する。
S103では振動子番号iに初期値を設定する。
S104では、i番目の振動子の指向特性を式(3)に基づき計算する。
ここで、θi:i番目の振動子と焦点位置との角度、a:振動子の幅、ω:送信超音波の各周波数で、その他は式(1)と同様である。式(3)は、図5に例示したように、一片の長い直方体形状の振動子を用いた場合の指向特性で、振動子の形状が異なる場合は、それに合わせて適切な式に変更して良い。
S105では、i番目の振動子から発生する超音波の距離特性(拡散、減衰、位相変化)を式(4)に基づき計算する。
ここで、αは被検査体を伝播する超音波の減衰率、jは虚数単位である。減衰率αは、被検査体自身或いは対比試験体を用いて測定しておくことが好ましいが、高減衰材のように減衰が大きな被検査体でなければ定数あるいは0としても良い。式(4)は、図5に例示したように、一片の長い直方体形状の振動子を用いた場合の距離特性で、振動子の形状が異なる場合は、それに合わせて適切な式に変更して良い。
S106では、焦点位置に形成される偏波への各振動子の寄与を計算する。前記計算ステップS102で計算した結果と前記計算ステップS104で計算した結果と前記計算ステップS105で計算した結果の積を逆フーリエ変換した結果h(t)を計算する。さらに、第i番目の振動子の焦点位置での振幅をhi=h(di/c)で計算する。
S107では振動子の通し番号iを増加させる。
S108で、全振動子数Nよりもiが大きくなった場合は終了し、全振動子数Nよりもiが小さい場合はS104〜S107を繰り返し実行する。ここで、各計算ステップの実行順は、計算結果が変わらない範囲で入れ替えても良い。
以上で、S109に進み、偏波計算手段108の処理は終了する。
次に、本実施例の振幅計算手段109について、図8のフローチャートを用いて説明する。
まず、SV波の振幅を計算する。S202では全振動子が発生させるSV波の超音波振幅の初期値を決める。焦点位置の偏波第i番目のSV波の振動子が発生させる超音波振幅をAiとすると、初期値は、例えば、全振動子に等しいAiとなる電圧とする。
S203では、式(5)に基づき焦点位置での偏波と指定偏波の差を計算する。
ここで、A0は指定偏波の振幅、φ1、φ2は指定偏波の偏波角で、φ1はSV波の合成波が検査面に対して垂直な方向からなす角度、φ2はSV波とSH波の合成波がSV波の方向とがなす角度である
S204では、最適化条件式を計算する。最適化条件は、全振動子が発生させる超音波振幅を決定するための付加的な条件で、例えば、Aiの分散を最小とする条件とすることができる。
S205では、終了条件の判定を行う。焦点位置での偏波と指定偏波の差が適当に定めた許容値以下の条件で、最適化条件を満たしている場合、SV波の振幅計算を終了する。その他の場合、計算を継続する。
S205で、計算継続の判定の場合は、S206で、全振動子が発生させる超音波振幅を更新し、S203〜S205を繰り返し計算する。S206の全振動子が発生させる超音波振幅の更新は一般の制約条件付き最適化アルゴリズムを用いて計算する。例えば、ラグランジュの未定乗数法や勾配法,ニュートン法などのアルゴリズムを用いることができる。
続いて、S207では、全振動子が発生させるSH波の超音波振幅を計算する。焦点位置の偏波第i番目のSH波の振動子が発生させる超音波振幅をBiとすると、Bi=Aitan(φ2)と計算する。
以上で、S208に進み、振幅計算手段109の処理は終了する。
次に、本実施例の遅延時間設定手段110について説明する。
偏波指定手段102で指定した位相差106をφ3とし、遅延時間は基づき計算する。遅延時間計算手段107で式(1)を用いて計算した遅延時間に加え、全ての振動子についてSV波とSH波に(φ3/ω0)の差をτiに与える。ω0は超音波の中心周波数である。φ3が0に等しいの場合は、一般に、直線偏波と呼ばれる偏波状態が焦点位置に生じる。φ3が0と異なる場合は、一般に楕円偏波と呼ばれる偏波状態が焦点位置に生じる。
以上で、各振動子が発生させる超音波振幅と遅延時間が設定されたので、偏波パルサー111は、それぞれの振動子の振動と電気の変換効率を考慮して印加する電圧を決定し、超音波アレイ探触子を含む超音波送受信手段に電圧を印加する。
超音波送受信手段114が被検査体116から受信した超音波振幅し、電圧に変換する。偏波レシーバ112は、受信電圧を増幅し、表示手段113に送る。
表示手段113は、遅延時間設定手段110から送られる遅延時間に基づき、受信信号を処理することで、被検査体116の断面像を表示する。この時、SV波とSH波の信号を、加算することで、指定した指定偏波105に対応する偏波方向への射影信号を用いて合成断面像を表示することもできる。また、SV波に関する断面像とSH波に関する断面像を独立に表示することもできる。
以上で、指定した焦点位置に、指定した偏波状態の超音波を発生させ、その結果を表示させることができる。偏波指定手段102を、コンピュータによって指定させることで、焦点位置、偏波状態を電子的に走査させることができる。
表示手段113はこのように偏波状態を走査した結果の中から、受信強度が最大となる結果を組み合わせて表示することができる。また、偏波状態の異なる複数の断面図を同時に表示しても良い。
本実施例では、超音波アレイ探触子に含まれる全ての振動子を用いた方法を示したが、一部の振動子を用いるようにしても良い。また、超音波アレイ探触子に含まれる振動子が1次元に配列された場合を記載しているが、アレイ探触子の配列方法はこれに限定されるものではなく振動子を2次元に配列した超音波振動子による、3次元超音波探傷と呼ばれる手法にも、本実施例を適用できる。
このように、偏波方向を電子的に回転操作させることによって、探触子を回転させる必要が無いので、検査員は、短時間で検査を実施し、欠陥或いは介在物の性状を評価することができる。
次に、図9〜図10を用いて、第2の実施例による超音波探傷システムについて説明する。図9は、本発明の第2の実施例による超音波探傷システムの全体構成を示すブロック図である。
この実施例は、第1の実施例において図1に示した構成に加えて、外部からの設定ファイル301の情報を読み出し、遅延時間計算手段107、偏波計算手段108、振幅計算手段109、遅延時間設定手段110であらかじめ計算した結果を設定保存手段302に保存しておくことを可能とするものである。図9の探傷装置のうち、既に説明した図1に示された同一の符号を付された構成と、同一の機能を有する部分については、説明を省略する。
遅延時間設定ファイルは、例えば、超音波探傷装置にケーブルで接続されたパソコン内に設置されたハードディスク等に保存しておく。
図10のフローチャートを用いて、本実施例の動作手順を説明する。探傷条件は焦点位置、偏波、波形、位相差ごとに番号が付加されている。
S302では、探傷条件番号メモリ303に保存された探傷条件の通し番号kを初期化する。
S303では、設定ファイルから探傷条件を読み出す。
S304では、第1の実施例で説明した方法と同様に、探傷条件ごとに各振動子が発生させる振幅と遅延時間を計算する。
S305では、第k番目の設定保存手段302に計算結果を保存する。
S306では、探傷条件の通し番号kを増加させる。
S307では、ファイルを読み終わったかどうかを判定する。ファイルを読み終わった場合、手順を終了する。ファイルが読み終わっていない場合、S303〜S307の手順を繰り返す。
探傷時は、設定保存手段302から探傷条件を偏波レシーバ111に順次読み出して、超音波送受信手段114に電圧を印加して被検査体116に超音波を生じさせる。
本実施例における設定ファイルおよび設定保存手段を使用して、探傷を始める前に探傷条件をあらかじめ印加電圧を計算しておくことで計算時間が短時間となるため、検査員は、短時間で検査を実施できる。
次に、図11を用いて、第3の実施例による超音波探傷システムについて説明する。図11は、第3の実施例による超音波探傷システムの全体構成を示すブロック図である。
本実施例は、超音波送受信手段の位置情報を記録しながら自動的に走査するための走査手段312を備えている。本走査手段312は、位置指定手段310からの信号に基づいて超音波送受信手段114の位置を走査する。走査手段312は例えば3次元スキャナなどの機構を使用できる。測定位置ごとの探傷結果は探傷結果保存手段311に一旦保存される。この探傷結果保存手段は、例えば、パソコンのメモリまたはハードディスク等の記録媒体を利用できる。位置指定手段310に従って探傷結果は指定された位置とともに探傷結果保存手段に記憶される。記憶された波形は表示手段に送られ、表示される。表示手段113は探傷結果保存手段に記憶された被検査体の断面像をもとに、2次元または3次元の探傷画像を表示する。
以上により、広範囲を短時間に探傷し、検査員が欠陥あるいは介在物を容易に発見することができる。
101 超音波探傷装置
102 偏波指定手段
103 指定焦点位置
104 指定超音波波形
105 指定偏波
106 指定位相差
107 遅延時間計算手段
108 偏波計算手段
109 振幅計算手段
110 遅延時間設定手段
111 偏波パルサー
112 偏波レシーバ
113 表示手段
114 超音波送受信手段
115 超音波振動子
116 被検査体
117 焦点位置での偏波
118 内在欠陥
118A 欠陥信号
119 伝播する横波
120 合成波面
121 断面像表示画面
122 Aスコープ表示線
123 Aスコープ表示画面
124 Aスコープ信号
201 円筒状欠陥
202 入射平行横波超音波
203 反射平行横波超音波
204 入射直交横波超音波
205 反射直交横波超音波
206 モード変換縦波超音波
211 第1の方向に振動する横波振動子
212 第2の方向に振動する横波振動子
213 超音波アレイ探触子ケーブル
214 SV波の合成波
215 SH波の合成波
301 設定ファイル
302 設定保存手段
303 探傷条件番号メモリ
310 位置指定手段
311 探傷結果保存手段
312 走査手段
S101〜S109 偏波計算手段の計算ステップ
S201〜S209 振幅計算手段の計算ステップ
S301〜S309 偏波保存手段の計算ステップ

Claims (9)

  1. 横波を利用する超音波探傷システムにおいて、
    少なくとも2方向の振動方向を有する振動子を配列した超音波アレイ探触子を有する偏波送受信手段と、
    前記偏波送受信手段が送信する超音波の焦点位置、波形、偏波状態、位相差を指定する偏波指定手段と、
    前記偏波送受信手段の超音波アレイ振動子に含まれるそれぞれの振動子が、前記偏波指定手段で指定した焦点位置で作る偏波方向と振幅を計算する偏波計算手段と、
    前記偏波計算手段で計算した偏波方向と振幅を前記偏波指定手段で指定した偏波状態に一致させるそれぞれの振動子の発生させる超音波振幅を計算する振幅計算手段と、
    前記偏波指定手段で指定した位相差を遅延時間に設定する遅延時間設定手段と、
    前記波送受信手段によって受信した超音波波形から被検査体の断面図を表示する表示器と、
    を有することを特徴とする超音波探傷システム。
  2. 請求項1記載の超音波探傷システムにおいて、
    前記波送受信手段は、
    伝播方向に直交し、検査面に平行に振動する横波超音波を生成する第1の振動子と第1の超音波振動子の振動方向と直交する横波超音波を生成する第2の振動子とを積層した超音波振動子を配列した超音波アレイ探触子と、
    前記超音波アレイ探触子に含まれるそれぞれの振動子に電気信号を入出力する入出力ケーブルと、
    を有することを特徴とする超音波探傷システム。
  3. 請求項1記載の超音波探傷システムにおいて、
    前記波送受信手段は、
    伝播方向に直交し、検査面に平行に振動する横波超音波を生成する第1の振動子と第1の超音波振動子の振動方向と直交する横波超音波を生成する第2の振動子とを交互に配列した超音波アレイ探触子と、
    前記超音波アレイ探触子に含まれるそれぞれの振動子に電気信号を入出力する入出力ケーブルと、
    を有することを特徴とする超音波探傷システム。
  4. 請求項1記載の超音波探傷システムにおいて、
    前記偏波計算手段は、
    前記偏波指定手段で指定した波形をフーリエ変換する手段と、
    前記波送受信手段に含まれるそれぞれの振動子の前記偏波指定手段で指定した焦点位置方向への指向特性を計算する手段と、
    前記波送受信手段に含まれるそれぞれの振動子の前記偏波指定手段で指定した焦点位置方向への超音波の距離特性を計算する手段と、
    前記フーリエ変換した波形と前記指向特性と前記距離特性とを逆フーリエ変換した結果から、それぞれの振動子の焦点位置での振幅を計算する手段と、
    を有することを特徴とする超音波探傷システム。
  5. 請求項1記載の超音波探傷システムにおいて、
    前記振幅計算手段は、
    前記偏波計算手段と前記超音波アレイ探触子に含まれるそれぞれの振動子に印加する偏波状態を利用して前記偏波指定手段で指定した焦点位置で作られる偏波状態を計算する手段と、
    前記偏波指定手段で指定した偏波状態と、計算した偏波状態を一致させる最適化手法により、それぞれの振動子に印加する振幅を計算する手段と、
    を有することを特徴とする超音波探傷システム。
  6. 請求項1記載の超音波探傷システムにおいて
    前記表示は、
    遅延時間設定手段から送られる遅延時間に基づき受信信号を処理することで、前記偏波指定手段で指定した偏波状態への射影信号を用いて合成断面像を表示する手段と、
    前記偏波送受信手段の超音波アレイ振動子に含まれる第1の振動子の受信信号を用いて断面像を表示する手段と、
    前記偏波送受信手段の超音波アレイ振動子に含まれる第2の振動子の受信信号を用いて断面像を表示する手段と、
    を有することを特徴とする超音波探傷システム。
  7. 横波を利用する検査方法において、
    焦点位置と波形と偏波状態と位相差を指定し、
    前記焦点位置に焦点を形成する遅延時間を計算し、
    前記焦点位置につくる超音波振幅を計算し、
    前記焦点位置につくる偏波状態を、指定した偏波状態と一致するようにそれぞれの振動子に与える振幅を計算し、
    計算した振幅の超音波を送信し、
    被検査体からの超音波信号を受信し、
    受信信号を表示することを特徴とする検査方法。
  8. 横波を利用する検査方法において、
    設定ファイルから設定を逐次読み出し、
    前記設定ファイルから読みだした焦点位置と波形と偏波状態と位相差を指定し、
    前記焦点位置に焦点を形成する遅延時間を計算し、
    前記焦点位置につくる超音波振幅を計算し、
    前記焦点位置につくる偏波状態を、指定した偏波状態と一致するようにそれぞれの振動子に与える振幅を計算し、
    計算した振幅をあらかじめ保存し、
    あらかじめ保存した振幅を逐次読み出して超音波を送信し、
    被検査体からの超音波信号を受信し、
    受信信号を表示することを特徴とする検査方法。
  9. 請求項7又は請求項8記載の検査方法において、
    探傷面を走査させ、
    前記走査位置情報を記録しながら検査を実施し、
    検査結果を、前記位置情報をもとに合成して表示することを特徴とする検査方法。
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