JP7187993B2 - 抵抗溶接装置を用いた抵抗溶接方法 - Google Patents

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Description

本発明は、抵抗溶接装置及びそれを用いた抵抗溶接方法に関し、特に、電極に超音波を印加可能に構成された抵抗溶接装置に関する。
互いに重ね合わせられた金属板を溶接するにあたって、従来、抵抗溶接方法が広く行われている。この方法では、対向する電極間に溶接対象物(以下、ワークという)を挟んで、電極間に所定の電流を流すことでワークの所定の部位を加熱溶融させて、溶接を行う。また、一部が重ね合わせられた2つの金属板の同じ面側に所定の間隔をあけて一対の電極を配置し、2つの金属板間に通電して溶接を行う、いわゆるインダイレクト抵抗溶接方法も広く行われている。
しかし、上記のインダイレクト抵抗溶接においては、同じ面側に2つの電極を配置するため、電極間隔を所定値以上にあける必要があり、狭いスペースを溶接することは困難であった。また、電極間隔が大きくなるため、電流経路が長くなり、ワーク内での電流の分流が起こりやすく溶接効率を下げる要因となっていた。
そこで、特許文献1には、内側電極と、これと所定の間隔をあけて配置された外側電極とを有する電極を用いてワークをインダイレクト抵抗溶接する構成が記載されている。このような抵抗溶接装置では、ワーク内での電流の分流を小さくでき、溶接効率を向上させることができる。
特開2011-031269号公報
ところで、近年、抵抗溶接の対象となるワークの構造か多様化してきている。鋼板同士を重ね合わせた構造だけでなく、例えば、アルミ板材同士、あるいはアルミ板材とこれと異なる異種金属部材とを重ね合わせた構造のワークを抵抗溶接する場合が増えてきている。
しかし、アルミ板材では、常温大気中で表面に安定した酸化物が形成され、この酸化物がワーク内を流れる電流に対する抵抗となり、極端な場合には、ワークに所望の電流を通電できない場合があった。また、重ね合わせられた部材の界面に当該酸化物が介在することで、接合強度が低下するおそれがあるとともに、極端な場合は接合不良を引き起こすおそれがあった。
また、上記に限らず、重ね合わせられた金属部材間に異種材料が介在した状態でワークの抵抗溶接を行う場合も増えてきている。
本発明はかかる点に鑑みてなされたもので、その目的は、ワークの表面やワークを構成する部材間の界面の状態を改質可能な抵抗溶接方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る抵抗溶接方法は、抵抗溶接装置を用いた抵抗溶接方法であって、前記抵抗溶接装置は、先端同士が所定の間隔をあけて対向して配置され、溶接対象物を挟み込んで通電可能に構成された第1電極及び第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極に接続されて、前記第1電極及び前記第2電極の両方に超音波を発生させ、所定の溶接条件に応じて、前記溶接対象物に前記超音波を印加する超音波発生部と、前記第1電極と前記第2電極との間で流れる通電電流の電流量及び通電時間と、前記溶接対象物に印加される前記超音波の印加時間をそれぞれ制御する制御部と、を少なくとも備え、前記溶接対象物は、互いに重ね合わされた第1の薄板と第2の薄板とを含み、前記第1電極と前記第2電極との間に溶接対象物を配置する溶接対象物配置ステップと、前記第1電極及び前記第2電極をそれぞれ前記溶接対象物に当接させて加圧した状態で、前記溶接対象物に超音波を印加する超音波印加ステップと、前記超音波印加ステップの後に、前記溶接対象物に所定の電流量の電流を所定時間通電させる通電ステップと、を備え、前記超音波印加ステップでは、前記第1の薄板と前記第2の薄板との界面が接合されて接合部が形成されるように、前記溶接対象物に前記超音波を印加することを特徴とする。
この方法によれば、互いに重ね合わされた第1の薄板と第2の薄板とを含む溶接対象物の表面及び第1の薄板と第2の薄板との界面に対して、超音波を印加した上で通電することにより、第1の薄板と第2の薄板との界面が接合された接合部を形成することができる。さらに、溶接対象物内での電流導通状態を改善し、接合部を確実に溶接することができる。また、当該接合部の接合強度を安定化させ、高品質の抵抗溶接を行うことができる。
以上説明したように、本発明の抵抗溶接装置及び抵抗溶接方法によれば、溶接対象物内での電流導通状態を改善し、所定の部位を確実に溶接することができる。また、溶接部位の接合強度を安定化させ、高品質の抵抗溶接を行うことができる。
本発明の実施形態1に係る抵抗溶接装置の機能構成を示す模式図である。 ワークの抵抗溶接手順を示すフローチャートである。 ワークの表面及び界面の状態変化を示す模式図である。 抵抗溶接時にワークに加わる電磁力を説明するための模式図である。 本発明の実施形態2に係るワークの界面での状態変化及びワーク内での電流経路の変更過程を示す模式図である。 本発明の実施形態3に係るワークの界面の状態変化を示す模式図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
[抵抗溶接装置の構成]
図1は、本実施形態に係る抵抗溶接装置の機能構成の模式図を示す。なお、説明の便宜上、図1において、第1電極10及び第2電極20の要部以外の機械的構造は図示を省略している。また、第1内側電極11,第1外側電極12,第2内側電極21及び第2外側電極22の形状は簡略化して図示しており、実際の形状とは異なっている。また、抵抗溶接装置100は、図1に示す以外にも多くの構成要素、例えば、第1電極10及び第2電極20の支持部である溶接ガン本体や第1~第4加圧部31~34を駆動させるためのエアチューブ等を備えているが、これらについても図示及びその詳細な説明を省略する。また、以降の説明において、第1電極10の長手方向を「軸方向」と、半径方向を「径方向」と、外周方向を「周方向」とそれぞれ呼ぶことがある。また、軸方向において、第1電極10の先端側、つまり、ワーク200に当接する側を「下」または「下側」と、その反対側を「上」または「上側」とそれぞれ呼ぶことがある。
図1に示すように、抵抗溶接装置100は、第1及び第2電極10,20と第1~第4加圧部31~34と溶接用電源(以下、単に電源という)50と制御部60と表示部70と入力部80と超音波発生部90とを備えている。また、抵抗溶接装置100は、電源50に接続された電流経路切替部40を備えている。
第1電極10は、略円柱状の第1内側電極11と、第1外側電極12とで構成された電極である。第1内側電極11の先端部11aの表面は、下に凸形状の曲面であり、その曲率等は、抵抗溶接装置100の使用条件や先端部11aの材質や寿命等によって適宜決められる。また、先端部11aは着脱可能に構成されており、溶接条件に応じた所定の交換周期で交換される。
第1外側電極12は、第1内側電極11の外周側に所定の間隔をあけて配置されており、なお、第1外側電極12の先端部12aも第1内側電極11の先端部11aと同様に着脱可能に構成されている。
第2電極20は、略円柱状の第2内側電極21と、第2内側電極21の外周側に所定の間隔をあけて配置された第2外側電極22とで構成された電極である。第2電極20における個々の部品の形状、材質及び機能は、第1電極10における対応する部品の形状等と同様である。先端部21a,22aが着脱可能に構成されていることも第1電極10と同様である。
なお、図示しないが、第1内側電極11、第1外側電極12,第2内側電極21,第2外側電極22の内部にはそれぞれ水冷管が設けられており、図示しない冷却水循環機構に接続されて、内部に所定の温度の冷却水が流れるように構成されている。各電極をこのように構成することで、通電時の各電極の温度上昇、特に先端部11a,12a,21a,22bの温度上昇を抑制して、ワーク200との溶着を防止している。また、先端部11a,12a,21a,22aの寿命低下を抑制している。なお、通電中または通電終了後、所定の時間を経過するまで各電極は水冷される。
第1電極10と第2電極20とは互いの先端が所定の間隔をあけて対向するように配置されている。また、第1電極10と第2電極20とは、それぞれ図示しない溶接ガン本体に支持され、当該溶接ガン本体のうち軸方向に延びる部分に沿って移動可能に設けられており、第1電極10と第2電極20と溶接ガン本体とで溶接ガン(図示せず)の要部を構成している。
第1~第4加圧部31~34は、第1内側電極11、第1外側電極12,第2内側電極21,第2外側電極22をそれぞれ軸方向に移動させ、各電極をワーク200に当接させて加圧するための加圧機構である。本実施形態において、第1~第4加圧部31~34は、エアシリンダと図示しない圧縮ポンプ等で構成されているが、特にこれに限定されず、例えば、油圧シリンダやサーボモータ等を用いるようにしてもよい。
第1加圧部31は第1内側電極11を軸方向に加圧し、第2加圧部32は第1外側電極12を軸方向に加圧するように構成されている。また、第3加圧部33は第2内側電極21を軸方向に加圧し、第4加圧部34は第2外側電極22を軸方向に加圧するように構成されている。
第1~第4加圧部31~34はそれぞれ制御部60に電気的に接続されている。なお、第1~第4加圧部31~34の加圧力は、それぞれ同じであっても、互いに異なっていてもよい。ただし、後述するように、ワーク200に第1及び第2電極10,20を当接させる場合、ワーク200を安定して保持するために、互いに対向する電極、例えば、第1内側電極11と第2内側電極21とは同じ加圧力でワーク200を加圧するように、つまり、第1加圧部31と第3加圧部33との加圧力が同じになるように制御される。また、第1~第4加圧部31~34として、例えば、サーボモータを使用する場合は、それぞれの加圧力を可変とすることができる。
また、制御部60は、第1~第4加圧部31~34を互いに独立して制御することも、第1~第4加圧部31~34を連動して駆動するように制御することも可能である。また、制御部60は、第1~第4加圧部31~34のうち任意の2以上の加圧部を連動して駆動するように制御することも可能である。
電流経路切替部40は、第1内側電極11、第1外側電極12,第2内側電極21,第2外側電極22のそれぞれに接続されるとともに、電源50と制御部60とに接続されている。電流経路切替部40は、内部に図示しない複数の電気接点及びスイッチを有しており、所定の溶接条件に応じた制御部60からの制御信号によって、対応するスイッチをオンまたはオフすることにより、電源50と接続される電極の組合わせが切り替えられる。例えば、初期に、第1内側電極11と第1外側電極12とが電源50に接続されていたのを、第1内側電極11と第2内側電極21とが電源50に接続されるように切り替える。
電流経路切替部40をこのように構成することで、後述するように、ワーク200内を流れる電流経路を変更することができる。なお、制御部60と電流経路切替部40とによって選択される電極の組は、第1電極10と第2電極20とであってもよい。つまり、その場合は、第1内側電極11と第1外側電極12とが電気的に共通接続されて1つの電極として機能する。同様に、第2内側電極21と第2外側電極22とが電気的に共通接続されて1つの電極として機能する。
なお、電流経路切替部40を設ける代わりに、例えば、電源50を複数準備し、第1内側電極11、第1外側電極12,第2内側電極21,第2外側電極22の間の任意の1組の選択を複数の電源50と各電極との接続を切り替えることで行って、ワーク200内に流れる電流経路を切り替えるようにしてもよい。この場合、配置される電源50の個数に応じて、選択される電流経路の個数が制限されることがある。
電源50は、所定の溶接条件に応じた制御部60からの制御信号によって、第1電極10と第2電極20との間に、具体的には、制御部60と電流経路切替部40によって選択された電極の組の間に所定の電流を所定時間流すように構成されている。つまり、電源50は、第1内側電極11と第1外側電極12と第2内側電極21と第2外側電極22とにそれぞれ電気的に接続されている。なお、電流経路切替部40は、電源50の内部に組み込まれて両者が一体化していてもよい。このようにすることで、抵抗溶接装置100の構成がコンパクトになる。
制御部60は、第1~第4加圧部31~34,電流経路切替部40,電源50に対して、それぞれ所定の溶接条件に応じて制御信号を送るように構成されている。また、制御部60は、表示部70及び操作部80にも電気的に接続されている。制御部60は、通常、CPU(Central Processing Unit)と外部機器とのインターフェース等から構成される。
制御部60には、ワーク200の構造や材質等に応じて予め設定された溶接プログラムが格納されていてもよい。なお、当該溶接プログラムは、制御部60と別に設けられた図示しない記憶部に格納されていてもよい。その場合は、制御部60が溶接プログラムを記憶部から読み込んで、所定の溶接を実行するように抵抗溶接装置100の各部に制御信号を送る。この溶接プログラムには、ワーク200の構造や材質等に応じた、溶接電流、通電時間、加圧力、加圧時間、溶接期間中に選択される電極の組やその変更タイミング等の溶接条件が設定されている。また、溶接条件には、通電終了後に第1~第4加圧部31~34のいずれかでワーク200を加圧する加圧力や加圧時間が含まれている。なお、記憶部は制御部60の内部に組み込まれていてもよい。また、制御部60の代わりに、図示しない教示装置を用いて溶接条件を設定するようにしてもよい。
表示部70は、制御部60に接続されており、例えば、これから実行しようとする溶接プログラムの内容を表示したり、溶接中の各種情報、例えば、通電電流値の時間変化等を表示したりするように構成されている。なお、表示部70には、上記以外のデータを表示させてもよい。表示部70は、通常、ブラウン管や液晶ディスプレイ等の表示デバイスを含んでいる。
入力部80は、制御部60に接続されており、例えば、溶接プログラムの修正内容等を直接、制御部60に入力できるように構成されている。また、制御部60等から,これから実行しようとする溶接プログラムを呼び出すための指令を入力できるように構成されている。入力部80は、キーボードやタッチパネル等で構成される。また、タッチパネルを使用する場合には、表示部70と入力部80とが共通化されていてもよい。
超音波発生部90は、所定の周波数及び出力を有する超音波を発生するように構成されており、内部に発振器と電源とを有する公知の構成である。また、超音波発生部90から出力された超音波は、第1ホーン91及び第2ホーン92に伝搬される。なお、第1及び第2ホーン91,92として、公知の共振体を用いている。また、第1ホーン91は第1電極10に、第2ホーン92は第2電極20にそれぞれ接続されている。
超音波発生部90は制御部60にも接続されており、制御部60からの所定の溶接条件に応じた制御信号によって、第1電極10の第1内側電極11及び第1外側電極12に対し第1ホーン91を介して超音波を印加可能に構成されている。同様に、第2電極20の第2内側電極21及び第2外側電極22に対し第2ホーン92を介して超音波を印加可能に構成されている。
[溶接対象物の抵抗溶接手順]
図2は、ワークの抵抗溶接手順のフローチャートを示す。
まず、ワーク200を第1電極10と第2電極20との間に配置し(ステップS1:溶接対象物配置ステップ)、第1電極10と第2電極20をそれぞれワーク200に当接させ、第1~第4加圧部31~34によって所定の加圧力で加圧した状態で、所定の出力の超音波を所定時間、第1及び第2電極10,20のそれぞれに印加する(ステップS2:超音波印加ステップ)。
次に、所定の溶接条件に応じて、第1内側電極11、第1外側電極12,第2内側電極21,第2外側電極22のうち、通電電流を流す一対の電極を選択する(ステップS3:電極選択ステップ)。なお、前述したように、第1電極10自体と第2電極20自体を選択するようにしてもよい。第1電極10と第2電極20とがワーク200を加圧する加圧条件を設定し(ステップS4:加圧条件設定ステップ)、ステップS3で選択された一対の電極間を流れる通電電流量及び通電時間を含む通電条件を設定する(ステップS5:通電条件設定ステップ)。なお、ステップS3~S5は、この順で行われる必要はなく、実行される順番は逆でもよい。また、ステップS3~S5は、同時に実行されてもよい。ワーク200の抵抗溶接が所定の溶接プログラムに則って行われる場合は、ステップS3~S5は、ワーク200の構造や材質等を選択した時点で選択された溶接プログラムにおける実行手順の一部に相当する。また、ステップS2における超音波印加時間の設定も当該プログラムにおける実行手順の一部に相当する。
次に、第1電極10及び第2電極20によって、ステップS4で設定された加圧条件でワーク200を加圧するとともに、ステップS3で選択された一対の電極間にステップS5で設定された通電条件でワーク200に通電する(ステップS6:通電ステップ)。なお、ステップS6の実行中に第1~第4加圧部31~34のそれぞれの加圧力を変化させてもよく、通電電流量を変化させてもよい。また、通電を停止する期間を設けるようにしてもよい。なお、ステップS6における通電条件と加圧条件はそれぞれ連動して変化するようにしてもよいし、互いに独立して変化するようにしてもよい。
ステップS6の終了後に、所定の溶接条件に応じて、ワーク200に通電するための一対の電極の組合わせを変更するか否かを判断する(ステップS7:電極変更ステップ)。なお、ステップS6は、制御部60で実行される。所定の溶接プログラムにステップS7が実行手順として組み込まれていてもよい。
ステップS7での判断が肯定的であれば、ステップS3に戻って、ワーク200に通電するための一対の電極を再選択する。再選択された一対の電極に対し、加圧条件と通電条件とを設定し(ステップS4,S5)、さらにワーク200に再度通電する(ステップS6)。
ステップS7での判断が否定的、つまり、ワーク200に通電するための一対の電極の組合わせを変更する必要が無ければ、ワーク200の抵抗溶接を終了する。
図3は、上記の手順に則って実行された抵抗溶接時のワーク200の表面及び界面の状態変化を模式図として示している。なお、本実施形態において、ワーク200は、第1電極10側にアルミ板210が、第2電極20側にアルミ板220が、互いに重ね合わされた部材である。また、アルミ板210の厚さはアルミ板220の厚さと同程度である。但し、ワーク200の構造は、特にこれに限定されない。また、薄板210,220の上面及び下面にはそれぞれアルミ酸化物からなる酸化皮膜230が形成されている。なお、説明の便宜上、図3において、抵抗溶接装置100における第1電極10と第2電極20以外の構成部品等は図示を省略する。
第1電極10と第2電極20をともにワーク200に当接させて所定の超音波をそれぞれの電極10,20に印加する(図3の(a)図)ことで、第1電極10とアルミ板210との当接面、アルミ板210とアルミ板220との界面及び第2電極20とアルミ板220との当接面にそれぞれ存在する酸化皮膜230が破壊または除去される。また、アルミ板210とアルミ板220との界面では母材であるアルミの新生面が形成され、この新生面同士が接合されて接合部240が形成される(図3の(b)図)。
ワーク200に通電するための電極の組として、第1内側電極11と第2内側電極21とを選択し、これらの電極間に通電してワーク200を加熱する。図3の(c)図に示すように、ワーク200内での通電電流は、ワーク200の厚み方向に直進し、第1内側電極11から第2内側電極21に到達する。
このようにワーク200内に電流が流れることで、アルミ板210とアルミ板220との界面が発熱して接合部250が形成され、アルミ板210とアルミ板220とが強固に接合される。
なお、図3では、接合部240,250の形状や大きさを模式的に図示しており、実際の形状等とは異なっている。
[効果等]
以上説明したように、本実施形態に係る抵抗溶接装置100は、先端同士が所定の間隔をあけて対向して配置され、ワーク200を挟み込んで通電可能に構成された第1電極10及び第2電極20と、第1及び第2電極10,20とに接続され、所定の溶接条件に応じてワーク200に超音波を印加する超音波発生部90と、を備えている。
また、抵抗溶接装置100は、第1電極10と第2電極との間で流れる通電電流の電流量及び通電時間と、ワーク200に印加する超音波の印加時間をそれぞれ制御する制御部60をさらに備えている。
抵抗溶接装置100をこのように構成することで、ワーク200の構造や材質等に応じて、超音波による表面/界面処理を行った上で連続的に抵抗溶接を行うことができる。つまり、ワーク200の表面及び内部の界面での状態を改質し、ワーク200内での電流導通状態を改善することができる。このことにより、ワーク200内を流れる電流経路及び通電電流量を設定された所望の値として、ワーク200における所定の部位を確実に溶接することができる。また、ワーク200内の部材間の界面における接合を安定化させ、高品質の抵抗溶接を行うことができる。
ところで、互いに重ね合わされたアルミ板210,220からなるワーク200において、複数箇所に抵抗溶接を行う場合もあり得る。この場合には、少なくとも最初の溶接箇所は、上記の抵抗溶接方法を用いて抵抗溶接を行うことが好ましい。このことについて図4を用いてさらに説明する。
図4は、抵抗溶接時にワークに加わる電磁力を説明するための模式図を示し、(a)図は比較のための模式図を、(b)図は本実施形態に係る模式図をそれぞれ示す。なお、図3と同様に、図4において、抵抗溶接装置100における第1電極10と第2電極20以外の構成部品等は図示を省略する。また、説明の便宜上、酸化皮膜230の図示を省略している。
図4の(a)図に示すように、第1電極10と第2電極20との間に通電してワーク200に電流を流すと、通電電流の回りには回転磁界が発生し、ワーク200を径方向に移動させるように電磁力(ローレンツ力)が働く。
電流量が大きくなると、それに伴い電磁力も大きくなり、場合によっては、第1及び第2電極10,20によって軸方向にワーク200が加圧されているにも関わらず、ワーク200の一部、例えばアルミ板210が径方向に移動してしまうことがある。このようなことが起こると、ワーク200の所定の箇所に対して適切に溶接が行えず、溶接不良が発生してしまうおそれがあった。
一方、本実施形態によれば、第1電極10と第2電極20との間に通電して抵抗溶接を行う前に、第1電極10と第2電極20との間に超音波を印加して、アルミ板210とアルミ板220との間を接合するため、その後でワーク200に電流を流すことで電磁力が発生したとしても、ワーク200内の各部材が接合固定されているため、上記した径方向への移動を防止できる。このことにより、ワーク200の所定の箇所に対して正確に溶接を行え、溶接不良等の発生を防止できる。
なお、ワーク200に対して複数箇所に溶接を行う場合、初打点、つまり、最初の溶接箇所に、本実施形態の抵抗溶接方法を適用すると、初打点に関してワーク200内の各部材が位置決め固定されるため、ワーク200の種類や構造によっては、2点目以降の溶接において、超音波の印加を省略するようにしてもよい。
また、ワーク200が、2枚以上の鋼板が互いに重ね合わされた積層体やアルミ板と鋼板とが互いに重ね合わされた積層体である場合にも、同様に、ワーク200内の各部材が径方向へ移動するのを防止し、ワーク200の所定の箇所に対して正確に溶接を行え、溶接不良等の発生を防止できる。
本実施形態に係る抵抗溶接方法は、抵抗溶接装置100の第1電極10と第2電極20との間にワーク200を配置するワーク配置ステップと、第1電極10及び第2電極20をそれぞれワーク200に当接させて加圧した状態で、ワーク200に超音波を印加する超音波印加ステップと、超音波印加ステップの後に、ワーク200に所定量の電流を所定時間通電する通電ステップと、を備えている。
このようにすることで、ワーク200の構造や材質等に応じて、超音波による表面/界面処理を行った上で連続的にワーク200に通電することができる。つまり、ワーク200の表面及び内部の界面での状態を改質し、ワーク200内での電流導通状態を改善することができる。このことにより、ワーク200内を流れる電流経路及び通電電流量を設定された所望の値として、ワーク200における所定の部位を確実に溶接することができる。また、ワーク200内の部材間の界面における接合強度を安定化させ、高品質の抵抗溶接を行うことができる。
また、ワーク200は、第1の厚さを有する第1金属部材であるアルミ板210と、第2の厚さを有する第2金属部材であるアルミ板220とが互いに重ね合わされた積層体であるが、これら以外の部材を含んでいてもよい。
また、従来、アルミ板210,220が積層されたワーク200では、アルミ板210及び220の表面に形成された酸化皮膜230の影響でワーク200内に所望の量の電流が流せなかったり、アルミ板210及び220の界面で接合部250が正常に形成されなくなったりするおそれがあった。
一方、本実施形態によれば、前述したように、アルミ板210,220の表面にそれぞれ形成された酸化皮膜230及びアルミ板210とアルミ板220との界面に形成された酸化皮膜230をともに除去でき、ワーク200の表面及びアルミ板210とアルミ板220との界面での電流導通状態を改善し、ワーク200内を流れる電流経路及び通電電流量を設定された所望の値とすることができる。このことにより、当該界面での接合強度を安定化させ、高品質の抵抗溶接を行うことができる。
(実施形態2)
図5は、本実施形態に係るワークの界面での状態変化及びワーク内での電流経路の変更過程を模式図として示している。なお、図5において、実施形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、図3,4と同様に、図5において、抵抗溶接装置100における第1電極10と第2電極20以外の構成部品等は図示を省略する。ここで、ワーク300は第1の厚さを有する鋼板310と第2の厚さを有するアルミ板320とが積層された積層体である。なお、本実施形態では、鋼板310とアルミ板320との厚さは同じであるが、これらが互いに異なっていてもよい。
このようなワーク300を抵抗溶接するにあたって、(a)図に示すように、第1電極10と第2電極20をともにワーク200に当接させて所定の超音波をそれぞれの電極10,20に印加することで、鋼板310とアルミ板310との界面に存在する酸化皮膜321を除去し、接合部が形成されることは実施形態1に示すのと同様である。また、このとき、制御部60は第1~第4加圧部31~34を連動して制御している。
また、このときに設定された第1~第4加圧部31~34の加圧力に応じて、第1電極10及び第2電極20とワーク300との接触状態が定まる。さらに、鋼板310とアルミ板320との接触状態が定まる。例えば、高い加圧力で第1電極10及び第2電極20がワーク300を加圧する場合は、第1電極10及び第2電極20とワーク300との接触抵抗、また、鋼板310とアルミ板320との接触抵抗が低下する。逆に低い加圧力で第1電極10及び第2電極20がワーク200を加圧する場合は、これらの接触抵抗が上昇する。このことを利用して、ワーク300内での初期の電流経路を定めることができる。例えば、所望の部位で接触抵抗が低下するように第1~第4加圧部31~34を制御し、ワーク300を加圧することで、接触抵抗の低い部分を電流が流れるようになる。
次に、(b)図に示すように、第1内側電極11と第1外側電極12との間に所定量の電流を流して鋼板310に通電する。所定時間、鋼板310に通電することにより、(c)図に示すように、鋼板310が発熱し、その温度が上昇する。また、鋼板310の主材料である鉄はアルミ等と比べて熱伝導率が低く、電流経路近傍の鋼板310(以下、発熱部312という)に熱がたまりやすい。このため、アルミ板320において、発熱部312との界面の温度も上昇する。また、アルミは鉄に比べて融点が低いため、発熱部311の温度が所定値以上に達すると、(d)図に示すように、当該界面においてアルミが溶融し、溶融部321が形成される。また、(b)図に示す状態から所定の時間経過後に、(c)図に示すように、ワーク300に通電する電極の組を切り替えてワーク300に通電する。具体的には、第1外側電極12と第2内側電極21との間で通電するようにする。このようにワーク300に電流を流すことで、溶融部321の近傍において、(b)図に示す場合よりも電流密度が低くなり、鋼板310とアルミ板320との界面の温度は徐々に低下し、溶融部321が固化して接合部322が形成され、鋼板310とアルミ板320とが接合される。なお、(c)図に示す電流経路の切替え時に、ワーク300に流れる通電電流量を低下させるようにしてもよい。また、後述するブローホールの発生を抑制するために、ワーク200への通電開始前から終了後の所定時間にかけて、第1電極10及び第2電極20によってワーク200は加圧される((e)図)。なお、(c)図から(e)図に示す状態において、第1電極10と第2電極20とでワーク200を加圧しつつ、第1内側電極11と第2内側電極21とでワーク200を加圧する加圧力を低減するようにしてもよい。このようにすることで、第1内側電極11及び第2内側電極21を介してワーク200から放熱される放熱量を小さくして、発熱部311及び溶融部321が急激に冷却されるのを防止できる。ただし、当該加圧力は、ブローホールが発生しない程度に維持される必要がある。
アルミ板320を含むワーク300を溶接する場合、アルミの溶融後に急激に温度を低下させるとワーク300内にブローホールが発生する場合がある。(c)図に示すように、ワーク300内の電流経路を切り替えて、鋼板310とアルミ板320との界面の温度を徐々に低下させることで、アルミの急激な固化を抑制し、ブローホールの発生及びこれに起因する欠陥の発生を抑制できる。また、(e)図に示すように、通電終了後にさらにワーク300を加圧することで、ワーク300内での欠陥の発生や成長を抑制できる。また、通電終了後に所定時間、第1電極10及び第2電極20がワーク300に当接することで、溶接箇所が急速に冷却され、溶接期間を短縮できる。
なお、本実施形態では、ブローホールの発生を抑制するために、溶接期間中を通じて第1電極10と第2電極20とをワーク300に当接させていたが、例えば、ワーク300が2枚の鋼板310の積層構造である場合、溶接箇所の冷却速度を調整するために通電終了後に、または通電切替え時の通電停止後に、第1内側電極11と第2内側電極21とをワーク300から離しつつ、第1外側電極12と第2外側電極12とでワーク300を加圧するようにしてもよい。また、第1外側電極12と第2外側電極22とをワーク300から離しつつ、第1内側電極11と第2内側電極21とでワーク300を加圧するようにしてもよい。
以上説明したように、抵抗溶接装置100の第1電極10は、第1内側電極11と、第1内側電極11の外周側に所定の間隔をあけて配置された第1外側電極12を有している。第2電極20は、第2内側電極21と、第2内側電極21の外周側に所定の間隔をあけて配置された第2外側電極22を有している。
制御部60は、所定の溶接条件に応じて第1電極10と第2電極とでワーク200を加圧する加圧状態を制御可能であるとともに、第1内側電極11と第1外側電極12と第2内側電極21と第2外側電極22のうち、ワーク200に通電するための一対の電極を所定の溶接条件に応じて選択するように構成されている。
本実施形態の抵抗溶接装置100によれば、種々の構造を有するワーク300に対して、所定の溶接条件に応じて、第1及び第2電極10,20によるワーク300の加圧状態を制御し、また、ワーク300への通電電極を選択することで、ワーク300内を流れる電流経路を変更することができる。このことにより、抵抗溶接時の発熱部位を可変に制御できる。
また、ワーク300に通電することで電流経路上のワーク300が抵抗加熱されて発熱する一方、第1内側電極11及び第1外側電極12の少なくとも一方と第2内側電極21及び第2外側電極22の少なくとも一方とがワーク300を加圧しているため、ワーク300に当接した電極を介してワーク300から外部に熱を放散している。従って、ワーク300への通電電流量及び通電時間とワーク300の加圧状態、例えば、ワーク300を加圧する電極の組合わせや、加圧時の各電極の加圧力やそのバランス等をそれぞれ適切に制御することにより、ワーク300からの放熱量を制御することができる。また、通電によるワーク300の発熱量と第1及び第2電極10,20によるワーク300からの放熱量とをバランスさせて、ワーク300における所望の部位を加熱溶融して接合強度が安定した高品質の抵抗溶接を行うことができる。
また、制御部60は、所定の溶接条件に応じて一対の電極間の通電条件を設定するとともに、第1内側電極11と第1外側電極12と第2内側電極21と第2外側電極22とがそれぞれワーク300を加圧する加圧条件を設定するように構成されている。
制御部60をこのように構成することで、ワーク300の所望の部位に対するトータルの入熱量及び放熱量を制御することができる。また、通電条件と加圧条件とは互いに独立して設定可能なので、例えば、図5の(b)図や(e)図に示すように、溶接箇所の加熱と冷却とを独立して行うことができる。
また、抵抗溶接装置100は、第1内側電極11を軸方向に加圧する第1加圧部31と、第1外側電極12を軸方向に加圧する第2加圧部32と、第2内側電極21を軸方向に加圧する第3加圧部33と、第2外側電極22を軸方向に加圧する第4加圧部34と、をさらに備えている。また、制御部60は、所定の溶接条件に応じて第1~第4加圧部31~34を互いに独立に制御するか、または連動して制御するかを選択可能に構成されている。
このようにすることで、抵抗溶接時の初期の電流経路を調整できるとともに、ワーク300の溶接箇所での放熱量を所定の溶接条件に応じて制御することができる。
また、本実施形態によれば、ワーク300を抵抗溶接する際の制御因子の数を多くして、つまり、第1及び第2電極10,20によってワーク300を加圧する加圧力や加圧時間や内側電極と外側電極との加圧力バランス、また、ワーク300に当接させて通電する電極の組合わせ、通電時間、通電電流量等をそれぞれ制御することで、きめ細かい溶接制御が可能となり、高品質の抵抗溶接を行うことができる。
また、本実施形態に係る抵抗溶接方法は、抵抗溶接装置100の第1電極10と第2電極20との間にワーク200を配置するワーク配置ステップと、第1電極10及び第2電極20をそれぞれワーク200に当接させて加圧した状態で、ワーク200に超音波を印加する超音波印加ステップと、超音波印加ステップの後に、所定の溶接条件に応じて、第1内側電極11と第1外側電極12と第2内側電極21と第2外側電極22のうち、ワーク300に通電する一対の電極を選択する電極選択ステップと、第1内側電極11及び第1外側電極12の少なくとも一方と第2内側電極21及び第2外側電極22の少なくとも一方とでワーク300を加圧する加圧条件を設定する加圧条件設定ステップと、一対の電極間の通電条件を設定する通電条件設定ステップと、ワーク300に通電する通電ステップと、備えている。
通電ステップでは、加圧条件設定ステップで設定された加圧条件に従いワーク300を加圧するとともに、通電条件設定ステップで設定された通電条件に従いワーク300に通電する。
本実施形態の抵抗溶接方法によれば、実施形態1に示すのと同様の効果を奏するとともに、所定の溶接条件に応じて、第1電極10及び第2電極20の各電極11,12,21,22の中から一対の電極を選択し、所定の加圧条件及び通電条件でワーク300に通電することで、種々の構造を有するワーク300に対して、所定の部位に適切に入熱して抵抗溶接を行うことができる。
また、通電ステップの後に、所定の溶接条件に応じて、ワーク300に当接させる一対の電極の組合わせを変更するか否かを判断する電極変更ステップをさらに備え、電極変更ステップでの判断結果が肯定的であれば、一対の電極の組合わせを変更し、変更された一対の電極に関して、加圧条件設定ステップと通電条件設定ステップと通電ステップとを再度実行する。
このようにすることで、ワーク300内を流れる電流経路を変更できるため、抵抗溶接時の発熱部位を可変に制御できる。このことにより、ワーク300における所望の部位を加熱して接合強度が安定した高品質の抵抗溶接を行うことができる。また、例えば、電流経路の切替え後にワーク300を溶融するに到らない量の電流を流すことで、ワーク300内の発熱部311や溶融部321の温度を徐々に低下させて接合部230を安定に形成することができる。
(実施形態3)
図6は、本実施形態に係るワークの界面の状態変化を模式図として示している。なお、図6において、実施形態1と同様の箇所については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。また、図3~5と同様に、図6において、抵抗溶接装置100における第1電極10と第2電極20以外の構成部品等は図示を省略する。
本実施形態に示す方法と実施形態1,2に示す方法とではワークの構造が異なり、具体的に、本実施形態のワーク400は、鋼板からなる厚板420の上面及び下面に鋼板からなる薄板410,430がそれぞれ積層された構造となっている。また、薄板410と厚板420との間及び厚板420と薄板430との間には、それぞれ接着材500が介在している。ここで、接着材500は、例えば、樹脂からなる。ただし、特にこれに限定されない。
近年、ワーク400の剛性を高めるために、溶接点以外の領域も補強する必要が生じており、図6に示すように、各鋼板410~430の間に接着材500をそれぞれ介在させることで剛性に関する要求仕様を満足させることが多くなっている。このようなワーク400は、例えば、車両の外装パネルに用いられる。
しかし、ワーク400において、抵抗溶接後に接着材500を介在させることは困難である。そこで、通常、予め各鋼板410~430の間に接着材500を介在させておき、その後に所定の部位を抵抗溶接するようにしている。
しかし、接着材500を介在させた状態で各鋼板410~430の間を溶接しようとすると、接着材500が電流経路における抵抗となり、所定の電流を流すことが難しくなる。また、電源が大型化し、抵抗溶接装置100のコストが増大することがあった。また、電流が流れることで、樹脂からなる接着材500は炭化してしまう。このため、溶接不良を生じたり、あるいは、接着材500に含まれる炭素が鋼板410~430に熱拡散して、当該部位の強度を低下させたりするおそれがあった。
一方、本実施形態によれば、通電加熱による抵抗溶接の前に、ワーク400に対して所定の超音波を印加することにより、上記の不具合を解消することができる。図6を用いてさらに説明する。
まず、第1電極10と第2電極20をともにワーク400に当接させて所定の超音波をそれぞれの電極10,20に印加する(図6の(a)図)ことで、薄板410と厚板420との界面及び厚板420と薄板430との界面でそれぞれ摩擦を生じさせる。このことにより、厚板420の上面及び下面にそれぞれ設けられた接着材500が第1電極10と第2電極20との間から外方に押し出されて一部が除去される。この状態で、薄板410と厚板420との界面に接合部440が形成される。同様に、厚板420と薄板430との界面で接着材500が除去されて接合部441が形成される(図6の(b)図)。
ワーク400に当接される電極の組として、第1内側電極11と第2内側電極21とを選択し、これらの電極間に通電してワーク400を加熱する。図6の(c)図に示すように、ワーク300内での通電電流は、ワーク300の厚み方向に直進し、第1内側電極11から第2内側電極21に到達する。
このようにワーク400内に電流が流れることで、薄板410と厚板420との界面及び厚板420と薄板430との界面に接合部450,451がそれぞれ形成され、ワーク400内の各部材が強固に接合される。
このように、本実施形態によれば、ワーク400が、接着材500を介して互いに重ね合わされた複数の金属部材である場合にも、ワーク400内部での電流導通状態を改善し、ワーク400内を流れる電流経路及び通電電流量を設定された所望の値とすることができる。また、ワーク400内の部材間の界面における接合を安定化させ、高品質の抵抗溶接を行うことができる。特に、接着材500が予め設けられた状態でワーク400を抵抗溶接できるため、溶接工程が簡素化される。
なお、図6の(b)図に示すステップにおいて、確実に接着材500が溶接部位から除去されるように、予め超音波の出力及び印加時間を実験等で求めて設定しておく必要がある。
また、本実施形態において、薄板410、430をそれぞれ軟鋼板とし、厚板420を高張力鋼板としてもよい。ただし、軟鋼板に比べて高張力鋼板は抵抗率が高いため、図7に示す電流経路以外の経路でワーク400に通電してもよい。
また、本実施形態では、ワーク400内の各部材をすべて鋼板としたが、例えば、薄板410,430を鋼板とし、厚板420をアルミまたはアルミ系合金からなる板材としてもよい。ワーク400がこのような構造の場合、例えば、図5に示す方法を用いて、薄板410と厚板420との界面及び/または厚板420と薄板430との界面に存在する酸化皮膜を除去して、各部材を超音波接合するとともに、その後の通電加熱により各接合部を強化することができる。
(その他の実施形態)
なお、実施形態1,2において、第1及び第2電極10,20の両方に超音波が印加されるようにしたが、抵抗溶接装置100で溶接されるワークの種類が固定されていれば、例えば、薄板と厚板とが重ね合わされた2層構造の場合等では、第1及び第2電極10,20のいずれか一方に超音波が印加されるようにしてもよい。その場合は、第1及び第2電極10,20のいずれか一方に超音波発生部90が接続される。
また、実施形態1においてアルミ板210,220の材質をアルミ合金としてもよい。
本発明の抵抗溶接装置は、ワークの表面及び内部の界面での電流導通状態を改善し、高品質の溶接を行える抵抗溶接装置として産業上有用である。
10 第1電極
11 第1内側電極
12 第1外側電極
20 第2電極
21 第2内側電極
22 第2外側電極
31~34 第1~第4加圧部
40 電流経路切替部
50 溶接用電源
60 制御部
70 表示部
80 入力部
90 超音波発生部
100 抵抗溶接装置
200~400 ワーク(溶接対象物)
500 接着材

Claims (6)

  1. 抗溶接装置を用いた抵抗溶接方法であって、
    前記抵抗溶接装置は、
    先端同士が所定の間隔をあけて対向して配置され、溶接対象物を挟み込んで通電可能に構成された第1電極及び第2電極と、
    前記第1電極及び前記第2電極に接続されて、前記第1電極及び前記第2電極の両方に超音波を発生させ、所定の溶接条件に応じて、前記溶接対象物に前記超音波を印加する超音波発生部と、
    前記第1電極と前記第2電極との間で流れる通電電流の電流量及び通電時間と、前記溶接対象物に印加される前記超音波の印加時間をそれぞれ制御する制御部と、を少なくとも備え、
    前記溶接対象物は、互いに重ね合わされた第1の薄板と第2の薄板とを含み、
    前記第1電極と前記第2電極との間に前記溶接対象物を配置する溶接対象物配置ステップと、
    前記第1電極及び前記第2電極をそれぞれ前記溶接対象物に当接させて加圧した状態で、前記溶接対象物に前記超音波を印加する超音波印加ステップと、
    前記超音波印加ステップの後に、前記溶接対象物に所定の電流量の電流を所定時間通電させる通電ステップと、を備え
    前記超音波印加ステップでは、前記第1の薄板と前記第2の薄板との界面が接合されて接合部が形成されるように、前記溶接対象物に前記超音波を印加することを特徴とする抵抗溶接方法。
  2. 請求項に記載の抵抗溶接方法であって、
    前記第1電極は、第1内側電極と、前記第1内側電極の外周側に所定の間隔をあけて配置された第1外側電極を有し、
    前記第2電極は、第2内側電極と、前記第2内側電極の外周側に所定の間隔をあけて配置された第2外側電極を有し、
    前記抵抗溶接装置は、
    前記第1内側電極を軸方向に加圧する第1加圧部と、前記第1外側電極を軸方向に加圧する第2加圧部と、前記第2内側電極を軸方向に加圧する第3加圧部と、前記第2外側電極を軸方向に加圧する第4加圧部と、をさらに備え、
    前記超音波印加ステップと前記通電ステップとの間に、所定の溶接条件に応じて、前記第1内側電極及び前記第1外側電極と前記第2内側電極及び前記第2外側電極の4つの電極から、前記溶接対象物に通電する一対の電極を選択する電極選択ステップと、
    前記第1内側電極及び前記第1外側電極の少なくとも一方と前記第2内側電極及び前記第2外側電極の少なくとも一方とで前記溶接対象物を加圧する加圧条件を設定する加圧条件設定ステップと、
    前記一対の電極間の通電条件を設定する通電条件設定ステップと、をさらに備え、
    前記通電ステップでは、前記加圧条件設定ステップで設定された加圧条件に従い前記溶接対象物を加圧するとともに、前記通電条件設定ステップで設定された通電条件に従い前記溶接対象物に通電することを特徴とする抵抗溶接方法。
  3. 請求項またはに記載の抵抗溶接方法において、
    前記通電ステップの実行中に前記溶接対象物が抵抗溶接されることを特徴とする抵抗溶接方法。
  4. 請求項ないしのいずれか1項に記載の抵抗溶接方法において、
    前記第1の薄板及び前記第2の薄板のうち少なくとも一方の材質はアルミまたはアルミ合金であることを特徴とする抵抗溶接方法。
  5. 請求項に記載の抵抗溶接方法において、
    前記第1の薄板及び前記第2の薄板の材質は、それぞれ、アルミまたはアルミ合金であり、
    前記超音波印加ステップでは、前記第1の薄板と前記第2の薄板との界面にアルミまたはアルミ合金の新生面が形成されるとともに、前記第1の薄板に形成された前記新生面と前記第2の薄板に形成された前記新生面とが接合されて、前記接合部が形成されることを特徴とする抵抗溶接方法。
  6. 前記溶接対象物における複数箇所に抵抗溶接を行うにあたって、少なくとも最初の溶接箇所は、請求項ないしのいずれか1項に記載の抵抗溶接方法を用いて抵抗溶接を行うことを特徴とする抵抗溶接方法。
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