円筒状のロールからシート状の長尺の基材が巻き出され、その基材の表面上にインクジェット方式の印刷等によって画像が形成される画像形成装置には、例えば、コロナ処理等によって基材の表面を印刷に適した状態に改質するものがある。このような画像形成装置は、例えば、1つの印刷ジョブに応じて、基材の搬送を開始して、基材の搬送速度を上昇させて基材の搬送を安定化させた後に、基材の表面上に画像を形成し、基材の搬送速度を減じて、基材の搬送を停止させる、一連の印刷処理を行う。この一連の印刷処理では、基材の表面上に、同一の図柄が繰り返されている画像が形成されてもよいし、相互に異なる図柄が連続している画像が形成されてもよい。この一連の印刷処理には、例えば、数十メートルから数千メートル程度の画像が形成されるものがある。
図8は、第1参考例に係る画像形成装置における印刷処理によって画像を形成する動作の一例を説明するための模式図である。この第1参考例に係る画像形成装置は、例えば、第1印刷ジョブに応じた一連の印刷処理(第1印刷処理ともいう)を行う。この第1印刷処理では、図8(a)で示されるように、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を開始し、この基材Bm1の搬送速度が安定化した後に、この基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された領域(1回表面改質領域ともいう)Rf1上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで画像(第1画像ともいう)Pc1を形成する。図8では、基材Bm1のうちの1回表面改質領域Rf1に斜線のハッチングを付している。次に、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を維持した状態で、第2印刷ジョブに応じた印刷処理(第2印刷処理ともいう)を行う。この第2印刷処理では、図8(a)で示されるように、基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された1回表面改質領域Rf1上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで画像(第2画像ともいう)Pc2を形成する。そして、基材Bm1の搬送速度を減じ、図8(b)で示されるように、基材Bm1の搬送を停止する。その後、第1参考例に係る画像形成装置は、例えば、第3印刷ジョブに応じた一連の印刷処理(第3印刷処理ともいう)を行う。この第3印刷処理では、図8(c)で示されるように、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を開始し、この基材Bm1の搬送速度が安定化した後に、この基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された1回表面改質領域Rf1上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで画像(第3画像ともいう)Pc3を形成する。このとき、第2印刷処理の最後と第3印刷処理の最初とにおいて、基材Bm1の搬送の減速および加速が行われるため、図8(c)で示されるように、基材Bm1の表面Su1上において、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間に画像が形成されていない、いわゆるヤレとなる空白Bk0が大きく生じる。ここで、例えば、基材Bm1の表面Su1上に第1画像Pc1および第2画像Pc2を形成した後に、第1画像Pc1および第2画像Pc2に対してUV光の照射等の後処理が施される場合には、このようなヤレの長さL0はさらに大きくなり得る。この長さL0が、例えば、数メートルから数十メートルになる場合も考えられる。
そこで、例えば、第2印刷処理を行った後に、基材Bm1を、逆向きの搬送(バックフィード)によってある程度巻き戻した上で第3印刷処理を行うことで、ヤレの長さを低減することが考えられる。
図9は、第2参考例に係る画像形成装置における印刷処理によって画像を形成する動作の一例を説明するための模式図である。この第2参考例に係る画像形成装置は、例えば、第1印刷ジョブに応じた第1印刷処理を行う。この第1印刷処理では、図9(a)で示されるように、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を開始し、この基材Bm1の搬送速度が安定化した後に、この基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された1回表面改質領域Rf1上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで第1画像Pc1を形成する。図9でも、基材Bm1のうちの1回表面改質領域Rf1に斜線のハッチングを付している。次に、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を維持した状態で、第2印刷ジョブに応じた第2印刷処理を行う。この第2印刷処理では、図9(a)で示されるように、基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された1回表面改質領域Rf1上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで第2画像Pc2を形成する。そして、基材Bm1の搬送速度を減じ、図9(b)で示されるように、基材Bm1の搬送を停止する。その後、第2参考例に係る画像形成装置は、例えば、図9(c)で示されるように、第1搬送方向D1とは逆の第2搬送方向D2に基材Bm1を搬送するバックフィードを行う。その次に、第2参考例に係る画像形成装置は、例えば、第3印刷ジョブに応じた第3印刷処理を行う。この第3印刷処理では、図9(d)で示されるように、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を開始し、この基材Bm1の搬送速度が安定化した後に、この基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された領域Rf1,Rf3上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで第3画像Pc3を形成する。次に、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を維持した状態で、第4印刷ジョブに応じた第4印刷処理を行う。この第4印刷処理では、図9(e)で示されるように、基材Bm1の表面Su1のうち、表面改質部17によるコロナ処理で印刷に適した状態に改質された1回表面改質領域Rf1上に、画像形成部18に含まれる複数の印刷ヘッドからインクを吐出することで画像(第4画像ともいう)Pc4を形成する。そして、基材Bm1の搬送速度を減じ、基材Bm1の搬送を停止する。ここでは、図9(d)および図9(e)で示されるように、第2印刷処理の後に基材Bm1のバックフィードを行ったため、いわゆるヤレとなる空白Bk0が減じられている。
ところが、例えば、コロナ処理装置によるコロナ処理を行いながら基材Bm1のバックフィードを行うと、基材Bm1の表面Su1には、コロナ処理が1回施された1回表面改質領域Rf1と、コロナ処理が3回施された領域(多重表面改質領域ともいう)Rf3と、が生じる。図9(c)には、基材Bm1のうちの表面改質部17によるコロナ処理で2回目の改質が施された領域(2回表面改質領域ともいう)Rf2に斜線のクロスハッチングを付している。図9(d)および図9(e)には、基材Bm1のうちの表面改質部17によるコロナ処理で3回目の改質が施された領域(3回表面改質領域とも多重表面改質領域ともいう)Rf3に斜線のクロスハッチングと砂地のハッチングとを重ねて付している。図9(e)の例では、第3画像Pc3は、基材Bm1の表面Su1のうちのコロナ処理で3回目の改質が施された多重表面改質領域Rf3の上に形成された部分を有する。具体的には、第3画像Pc3のうちの第2画像Pc2の近くに位置している長さL10の部分は、基材Bm1の表面Su1のうちの3回のコロナ処理が施された多重表面改質領域Rf3の上に形成された状態にある。また、第3画像Pc3のうちの第2画像Pc2から離れて位置している部分は、基材Bm1の表面Su1のうちの1回のコロナ処理が施された1回表面改質領域Rf1の上に形成された状態にある。
このため、例えば、基材Bm1の表面Su1のうちのコロナ処理が施された回数が異なる1回表面改質領域Rf1と多重表面改質領域Rf3との間で、基材Bm1の表面Su1上に形成された画像の品質に違いが生じる場合がある。例えば、第3画像Pc3のうち、多重表面改質領域Rf3上に位置している部分の濃度が、1回表面改質領域Rf1上に位置している部分の濃度よりも低くなる場合がある。
しかしながら、例えば、基材Bm1が長尺のものであれば、基材Bm1の表面Su1上に形成された複数の画像のうちの何れの画像において表面改質処理の回数の違いに起因した画質の違いが生じているのか、区別することは、容易でない。
このような問題は、例えば、基材の表面上に画像を形成する前に基材の表面を改質する画像形成技術一般に共通する。このため、例えば、画像形成技術については、基材を有効に利用しつつ、基材における画像の品質が周囲の部分とは異なる部分を周囲の部分と容易に区別可能とする点で改善の余地がある。
そこで、本発明者らは、画像形成技術について、基材を有効に利用しつつ、基材における画像の品質が周囲の部分とは異なる部分を周囲の部分と容易に区別可能とすることができる技術を創出した。
これについて、以下、一実施形態を図面に基づいて説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分には同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。図面は模式的に示されたものである。図1には、供給部15の回転軸Sh1および回収部19の回転軸Sh2のそれぞれが延びる方向(軸方向ともいう)をY軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。また、図1および図3から図5ならびに上述した図8および図9には、ロールRl1,Rl2の回転方向ならびに基材Bm1の搬送方向が、太線の矢印で示されている。また、図3および図4には、上述した図8および図9と同様に、基材Bm1のうちの1回表面改質領域Rf1に斜線のハッチングを付している。図4には、上述した図9と同様に、基材Bm1のうちの2回表面改質領域Rf2に斜線のクロスハッチングを付しており、基材Bm1のうちの3回表面改質領域Rf3に斜線のクロスハッチングと砂地のハッチングとを重ねて付している。
<1.画像形成装置の構成>
図1は、一実施形態に係る画像形成装置1の概略的な構成の一例を示す図である。図2は、一実施形態に係る画像形成装置1の機能的な構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置1は、例えば、供給部15、搬送機構16、表面改質部17、画像形成部18、回収部19および制御部10を備えている。また、画像形成装置1は、例えば、入力部11、出力部12、記憶部13および通信部14を備えている。また、画像形成装置1は、例えば、検出部20を備えていてもよい。さらに、画像形成装置1は、例えば、第1スプライス部Sp1、第2スプライス部Sp2およびクリーナー部1Clを備えていてもよい。
<1-1.供給部>
供給部15は、所定の搬送経路1Rtに基材Bm1を供給することができる。所定の搬送経路1Rtは、供給部15から回収部19に至るまで基材Bm1が搬送される経路である。供給部15は、例えば、長尺のシート状(帯状)の基材Bm1が円筒状に巻かれたロールRl1から基材Bm1を巻き出すことで、搬送経路1Rtに基材Bm1を供給することができる。基材Bm1としては、例えば、紙およびポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルム等が採用される。図1の例では、供給部15は、回転軸Sh1を有する。回転軸Sh1は、Y軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転可能となるように画像形成装置1の筐体1Bd等に設けられている。回転軸Sh1の外周部には、ロールRl1が装着される。回転軸Sh1にロールRl1が装着される際には、例えば、ロールRl1における巻心の貫通孔に、回転軸Sh1が挿入される。そして、例えば、ロールRl1の外周部から巻き出された基材Bm1が、搬送機構16によって搬送経路1Rtに沿って搬送され、回収部19によって巻き取られることで、ロールRl1が回転軸Sh1とともにY軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転する。これにより、ロールRl1の外周部から基材Bm1が巻き出され、ロールRl1の外周部から1枚の基材Bm1が剥離する。また、供給部15は、例えば、第1モータ15mの駆動力による回転軸Sh1の回転によって、ロールRl1から一旦巻き出された基材Bm1を巻き戻すこともできる。
<1-2.搬送機構>
搬送機構16は、供給部15から供給された基材Bm1を搬送経路1Rtに沿って搬送することができる。搬送機構16は、例えば、第1~22ローラR1~R22、蛇行補正部1Pc、第1駆動部D1aおよび第2駆動部D1bを有する。第1~22ローラR1~R22は、それぞれY軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転可能となるように画像形成装置1の筐体1Bd等に設けられている。搬送機構16には、第1モータ15mおよび第2モータ19mが含まれていてもよい。
図1の例では、供給部15から供給された基材Bm1は、第1~3ローラR1~R3のそれぞれの外周部を順に経由して、表面改質部17に到達し得る。また、表面改質部17を通過した基材Bm1は、第4ローラR4および第5ローラR5のそれぞれの外周部を経由して、蛇行補正部1Pcに到達し得る。蛇行補正部1Pcは、例えば、搬送経路1Rtに沿って搬送される基材Bm1の蛇行を低減することができる。蛇行補正部1Pcには、例えば、基材Bm1の幅方向の端部の位置および基材Bm1の幅方向の中心の位置の少なくとも一方を制御する機構が適用され得る。蛇行補正部1Pcを通過した基材Bm1は、第6~8ローラR6~R8のそれぞれの外周部を経由して、第1駆動部D1aに到達し得る。第1駆動部D1aは、例えば、第1駆動モータM1aの駆動力によってY軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転可能である駆動ローラRm1を有し、この駆動ローラRm1の回転によって基材Bm1を搬送経路1Rtに沿って搬送することができる。第1駆動部D1aを通過した基材Bm1は、第9~13ローラR9~R13、複数の第14ローラR14および第15~18ローラR15~R18のそれぞれの外周部を経由して、第2駆動部D1bに到達し得る。第2駆動部D1bは、例えば、第2駆動モータM1bの駆動力によってY軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転可能である駆動ローラRm2を有し、この駆動ローラRm2の回転によって基材Bm1を搬送経路1Rtに沿って搬送することができる。第2駆動部D1bを通過した基材Bm1は、第19~22ローラR19~R22のそれぞれの外周部を経由して、回収部19に到達し得る。
<1-3.表面改質部>
表面改質部17は、例えば、搬送経路1Rtに沿った第1領域Ar1(後述する)において、基材Bm1の表面Su1を改質する処理(表面改質処理ともいう)を行うことができる。ここで、表面改質処理には、例えば、基材Bm1の表面Su1にエネルギーを付与する処理が適用される。ここでは、例えば、エネルギーを付与する処理(前処理)により、画像が形成される前の基材Bm1の表面Su1が活性化され、表面Su1上にインクが定着しやすくなる。
本実施形態では、表面改質部17は、例えば、支持ローラ17aおよび改質処理部17bを有する。支持ローラ17aは、例えば、Y軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転可能であり、この支持ローラ17aの外周部において、表面Su1が改質処理部17bに対向するように基材Bm1を支持することができる。改質処理部17bは、例えば、支持ローラ17aの外周部に支持されている基材Bm1の表面Su1にエネルギーを付与することができる。ここで、改質処理部17bには、例えば、コロナ放電によって生じるイオンの照射によって基材Bm1の表面Su1にエネルギーを付与することで基材Bm1の表面Su1を改質することができる部分(コロナ放電部ともいう)が適用され得る。また、改質処理部17bには、例えば、プラズマの照射によって基材Bm1の表面Su1にエネルギーを付与することで基材Bm1の表面Su1を改質する部分(プラズマ照射部とも言う)が適用されてもよい。
<1-4.画像形成部>
画像形成部18は、例えば、搬送経路1Rtに沿った表面改質部17と回収部19との間に位置している第2領域Ar2(後述する)において、基材Bm1のうちの表面改質部17による表面改質処理で改質された表面Su1上に画像を形成することができる。本実施形態では、第2領域Ar2は、搬送経路1Rtのうちの複数の第14ローラR14によって下方から基材Bm1が支持される部分に位置している。また、本実施形態では、画像形成部18は、例えば、基材Bm1の表面Su1に向けてインクを吐出する部分(吐出部ともいう)18hを有する。これにより、インクジェット方式の印刷によって、基材Bm1の表面Su1上に画像が形成され得る。
画像形成部18は、例えば、1色以上のインクを吐出する1つ以上の吐出部18hを有する。ここで、白色紙上にフルカラーの画像を形成する場合を想定すれば、1色以上のインクには、例えば、4色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のインクが適用される。また、ここで、透明のフィルム上にフルカラーの画像を形成する場合を想定すれば、1色以上のインクには、例えば、5色(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック、ホワイト)のインクが適用される。1色以上のインクには、例えば、ブルーおよびバイオレット等のその他の色のインクが適用されてもよい。図1の例では、第2領域Ar2の上方において、基材Bm1が搬送される方向に8つの吐出部18hが並んでいる。
また、例えば、1色以上のインクが、紫外線(UV)光の照射に応じて硬化するタイプのインク(UV硬化型インクともいう)であれば、画像形成部18には、例えば、1つ以上の吐出部18hによって基材Bm1の表面Su1上に付着された1色以上のUV硬化型インクに、UV光を照射するランプ(UVランプともいう)18uが含まれてもよい。
<1-5.回収部>
回収部19は、例えば、搬送機構16によって搬送経路1Rtに沿って搬送された基材Bm1を回収することができる。回収部19は、例えば、画像形成部18によって画像が形成された帯状の基材Bm1を巻き取ることで、搬送経路1Rtから基材Bm1を回収することができる。図1の例では、回収部19は、回転軸Sh2を有する。回転軸Sh2は、Y軸方向に沿った仮想的な軸を中心として回転可能となるように画像形成装置1の筐体1Bd等に設けられている。ここでは、例えば、回転軸Sh2が第2モータ19mの駆動力による回転によって、この回転軸Sh2の外周部に基材Bm1が巻き取られることで、回転軸Sh2の周りにロールRl2が形成される。
<1-6.制御部>
制御部10は、例えば、中央処理装置(CPU)等の演算部およびメモリ等の電気回路を有する。制御部10は、記憶部13に記憶されているプログラムを演算部によって実行することで、画像形成装置1の各部を統括的に制御することができる。換言すれば、制御部10は、画像形成装置1の機能を実現することができる。例えば、制御部10は、画像データに基づいて、搬送機構16および画像形成部18によって、基材Bm1の表面Su1上に画像を形成させることができる。ここで、画像データは、例えば、記憶部13に記憶された各種データに含まれ得る。
<1-7.その他の構成>
入力部11は、例えば、画像形成装置1を使用するオペレータの動作等に応じた信号を入力することができる。入力部11には、例えば、操作部、マイクおよび各種センサ等が含まれ得る。操作部は、オペレータの操作に応じた信号を入力することができるマウスおよびキーボード等を含み得る。マイクは、オペレータの音声に応じた信号を入力することができる。各種センサは、オペレータの動きに応じた信号を入力することができる。
出力部12は、例えば、画像形成装置1の各種情報を出力することができる。出力部12には、例えば、表示部およびスピーカ等が含まれ得る。表示部は、例えば、各種情報をオペレータが認識可能な態様で可視的に出力することができる。表示部には、例えば、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等が適用され得る。表示部では、表示パネルが、各種情報が可視的に出力される領域(表示領域ともいう)の役割を有する。この表示部は、入力部11と一体化されたタッチパネルの形態を有していてもよい。スピーカは、例えば、各種情報をオペレータが認識可能な態様で可聴的に出力することができる。
記憶部13は、例えば、各種情報を記憶することができる。この記憶部13は、例えば、ハードディスクまたはフラッシュメモリ等の記憶媒体で構成され得る。記憶部13では、例えば、1つの記憶媒体を有する構成、2つ以上の記憶媒体を一体的に有する構成、および2つ以上の記憶媒体を2つ以上の部分に分けて有する構成の何れが採用されてもよい。記憶部13には、例えば、プログラムおよび各種データが記憶され得る。
通信部14は、例えば、通信回線2を介して外部装置3との間でデータ通信を行うことができる。この通信部14は、例えば、外部装置3から通信回線2を介してプログラムおよび画像データ等の各種データを取得することができる。通信部14で取得されたプログラムおよび各種データは、適宜、記憶部13に記憶されてもよい。
検出部20は、例えば、搬送機構16に含まれるローラの回転に係る指標(回転数および回転角度等)を検出することができる。図1の例では、検出部20には、第15ローラR15の回転に係る指標を検出するロータリーエンコーダが適用されている。この場合には、制御部10は、例えば、検出部20によって検出される指標に応じた信号に基づいて、搬送機構16における搬送経路1Rtに沿った基材Bm1の搬送方向および搬送距離等を認識することができる。
第1スプライス部Sp1は、例えば、第1のロールRl1の次に第2のロールRl1が供給部15に装着される際に、搬送経路1Rtに沿ったテーブル部上で、第1のロールRl1から引き出された基材Bm1の末尾の部分と、第2のロールRl1から引き出された基材Bm1の先頭の部分と、を重ね合わせて切断し、つなぎ合わせることができる。
第2スプライス部Sp2は、例えば、第1のロールRl2を回収部19から脱着し、次の第2のロールRl2を回収部19で形成する際に、搬送経路1Rtに沿ったテーブル部上で、第1のロールRl2に巻き取られた基材Bm1の一部分を切断した後に、切断後の基材Bm1の先頭部分と、回転軸Sh2に巻き取られるように位置している帯状の基材Bm1と、を重ね合わせて切断し、つなぎ合わせることができる。
クリーナー部1Clは、例えば、基材Bm1の表面Su1を掃除することができる。図1の例では、クリーナー部1Clは、第1スプライス部Sp1と表面改質部17との間に位置している。
<2.画像形成装置の画像形成動作>
図3および図4は、画像形成装置1における印刷処理によって画像を形成する動作(画像形成動作ともいう)の一例を説明するための模式図である。
図3(a)は、画像形成装置1の初期状態を示している。すなわち、搬送機構16による基材Bm1の搬送、表面改質部17による基材Bm1の改質、および画像形成部18による基材Bm1への画像の形成はいずれも停止している。搬送機構16は基材Bm1を太線の矢印D1で示す方向(第1搬送方向D1という)に基材Bm1を搬送することができる。換言すれば、制御部10は、例えば、搬送機構16によって搬送経路1Rtに沿って基材Bm1を第1搬送方向D1に搬送する動作(第1搬送動作ともいう)を行わせることができる。ここでは、搬送経路1Rt上には、表面改質部17から基材Bm1に向けてエネルギーの付与が可能な領域が設定されている。この領域を第1領域Ar1と言う。ここで、第1領域Ar1のうちの搬送の順方向(第1搬送方向)D1における上流側の端部を第1位置P1とし、第1領域Ar1のうちの第1搬送方向D1における下流側の端部を第2位置P2とする。また、搬送経路1Rt上には、画像形成部18から基材Bm1に向けてインク滴を吐出して画像形成が可能な領域が設定されている。この領域を第2領域Ar2と言う。ここで、第2領域Ar2のうちの第1搬送方向D1における上流側の端部を第3位置P3とし、第2領域Ar2のうちの第1搬送方向D1における下流側の端部を第4位置P4とする。
図3(b)は、搬送機構16により基材Bm1を第1搬送方向D1に搬送しつつ、表面改質部17から基材Bm1に向けてエネルギーの付与を開始した直後の状態を示している。すなわち、基材Bm1には、表面改質部17による表面改質処理が1回だけ行われた領域(1回表面改質領域)Rf1が基材Bm1の搬送と並行して順次形成される。ここで、1回表面改質領域Rf1のうちの第1搬送方向D1における下流側の端部を第1端部t1という。
次の図3(c)は、搬送機構16による基材Bm1の第1搬送方向D1への搬送がさらに行われた状態を示している。より具体的には、画像形成部18による1つ目の画像としての第1画像Pc1の形成を完了した状態を示している。第1画像Pc1は、第1の画像データに応じた画像の形成の指令(例えば、第1印刷ジョブ等)に応答して形成される。画像形成部18は、基材Bm1の第1端部t1が第3位置P3を通過した時点から1回表面改質領域Rf1に向けてインク滴の吐出を開始して第1画像Pc1を形成する。
次の図3(d)は、搬送機構16による基材Bm1の第1搬送方向D1への搬送がさらに行われた状態を示している。より具体的には、画像形成部18による2つ目の画像としての第2画像Pc2の形成を行う状態を示している。第2画像Pc2は、第2の画像データに応じた画像の形成の指令(例えば、第2印刷ジョブ等)に応答して形成される。ここでは、基材Bm1上において、第1画像Pc1と第2画像Pc2との間には、画像が形成されていない領域(第1非画像形成領域ともいう)B1が配置される。換言すれば、この第1非画像形成領域B1は、第1画像Pc1と第2画像Pc2との間の部分を構成している。第1画像Pc1と第2画像Pc2とは、1回表面改質領域Rf1上で第1搬送方向D1において間隔d1だけ離隔している。ただし、例えば、第1画像Pc1と第2画像Pc2とは、第1搬送方向D1において相互に端部を接していてもよい。この場合には、間隔d1はゼロである。換言すれば、第1画像Pc1と第2画像Pc2との間の部分は、第1画像Pc1と第2画像Pc2との単なる境界であってもよい。
次の図4(a)は、画像形成部18による第2画像Pc2の形成(画像記録)が完了した後に、搬送機構16による基材Bm1の搬送が停止した状態を示している。ここで、第2画像Pc2のうちの第1搬送方向D1における上流側の端部を第2端部t2とする。ここでは、第2画像Pc2の形成の完了後、制御部10は搬送機構16による基材Bm1の搬送速度を徐々に低下させて停止させる。このため、図4(a)の状態で第2端部t2は第4位置P4よりも第1搬送方向D1の下流側に位置する。ここで、このときの第1搬送方向D1における第2端部t2の位置を第5位置P5とする。また、基材Bm1の搬送を停止させた時点での1回表面改質領域Rf1のうちの第1搬送方向D1における上流側の端部を第3端部t3とする。
次に、搬送機構16は、基材Bm1の表面Su1上に第1画像Pc1および第2画像Pc2を形成した際の第1搬送方向D1とは逆向きの第2搬送方向D2における基材Bm1の搬送(逆向きの搬送ともバックフィードともいう)を実現することができる。換言すれば、制御部10は、例えば、搬送機構16によって、画像が形成された部分(画像形成済み部分ともいう)を有する基材Bm1を、搬送経路1Rtに沿って第2搬送方向D2に搬送する動作(第2搬送動作ともいう)を行わせることができる。このため、例えば、基材Bm1の表面Su1上のうちの、既に形成された第2画像Pc2の直ぐ後ろ(第1搬送方向D1の上流側)の領域から、第3の画像データに応じた画像の形成の指令(例えば、第3印刷ジョブ等)に応答して第3画像Pc3を形成することができる。これにより、いわゆるヤレの長さを低減することが可能となる。
ここで、例えば、基材Bm1のバックフィードの距離は、検出部20で検出される回転に係る指標に応じた信号に基づいて認識され得る。この場合には、制御部10は、例えば、検出部20からの回転に係る指標に応じた信号に基づいて、基材Bm1のバックフィードの距離を制御することができる。なお、例えば、搬送機構16の第1駆動モータM1aがパルスモータであれば、制御部10は、第1駆動モータM1aを駆動させるためのパルス数によって、基材Bm1のバックフィードの距離を制御してもよい。
次の図4(b)は、搬送機構16による基材Bm1の第2搬送方向D2への搬送が停止した状態を示している。搬送機構16は、第2端部t2が第6位置P6に達した時点で基材Bm1の第2搬送方向D2への搬送を停止する。すなわち、基材Bm1は、第2端部t2が第1距離L1(第3位置P3と第5位置P5との間隔)と第2距離L2(第3位置P3と第6位置P6との間隔)との和だけ第2搬送方向D2に移動したときに停止する。ここで、第1距離L1とは、第2領域Ar2の第1搬送方向D1における上流側の端部(第3位置P3)と、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送を停止した時点(図4(a)に示す状態)において第1搬送方向D1で最も上流側に位置する画像(第2画像Pc2)の第1搬送方向D1における上流側の端部(第2端部t2)と、の離隔距離である。第2距離L2の意義については後述する。ここでは、基材Bm1の第2搬送方向D2への移動に伴って、表面改質部17は、基材Bm1の1回表面改質領域Rf1に向けてエネルギーを付与する。これにより、表面改質部17は、基材Bm1の表面Su1において表面改質処理を2回行った領域(2回表面改質領域)Rf2を形成する。図4(b)では、2回表面改質領域Rf2のうちの第2搬送方向D1における下流側の端部を第4端部t4として図示している。なお、図4(b)の例では、第2画像Pc2のうちの第1搬送方向D1における上流側の第2端部t2から部分p4まで、第2画像Pc2の上から表面改質処理が行われている。
次の図4(c)は、搬送機構16が基材Bm1を再度、第1搬送方向D1に搬送し始めた状態を示している。ここでは、まず、表面改質部17は、第2画像Pc2のうちの部分p4から第2端部t2に至るまで、第2画像Pc2の上から2回目の表面改質処理を行う。その後、表面改質部17は、第4端部t4を先頭に表面Su1にエネルギーを付与し、2回表面改質領域Rf2に重なるように3回目の表面改質処理を施した領域(3回表面改質領域)Rf3を形成する。3回表面改質領域Rf3は、基材Bm1の表面Su1のうちの表面改質部17による表面改質処理が施された回数が周囲の領域よりも多い改質領域であり、多重表面改質領域ともいう。また、画像形成部18は、第2画像Pc2の後端(第2端部t2)から間隔d2だけ第1搬送方向D1の上流側に離れた位置から画像の形成を開始する。これにより、画像形成の再開後における1つ目の画像(第3画像ともいう)Pc3の形成を開始する。第3画像Pc3は、第3の画像データに応じた画像の形成の指令(例えば、第3印刷ジョブ等)に応答して形成される。ここでは、基材Bm1上において、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間には、画像が形成されていない領域(第2非画像形成領域ともいう)B2が配置される。換言すれば、この第2非画像形成領域B2は、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間の部分を構成している。第2画像Pc2と第3画像Pc3とは、3回表面改質領域(多重表面改質領域)Rf3上で第1搬送方向D1において間隔d2だけ離隔している。ここで、第3画像Pc3のうちの第1搬送方向D1における下流側の端部を第5端部t5とする。
ここでは、搬送機構16は、図4(b)に示す状態(第2端部t2が第6位置P6に位置する状態)から基材Bm1を徐々に加速しながら第1搬送方向D1に搬送する。基材Bm1の搬送速度は、第2端部t2が第3位置P3に達するよりも前に、基材Bm1の表面Su1上に対する画像形成部18による画像の形成に適した速度まで加速されていることが望ましい。この場合には、第3位置P3と第6位置P6との間隔である第2距離L2は、搬送機構16による基材Bm1の加速に必要な距離に設定されればよい。
次の図4(d)は、搬送機構16による基材Bm1の第1搬送方向D1への搬送がさらに行われた状態を示している。より具体的には、画像形成部18による画像形成の再開後における2つ目の画像(第4画像ともいう)Pc4の形成を行う状態を示している。第4画像Pc4は、第4の画像データに応じた画像の形成の指令(例えば、第4印刷ジョブ等)に応答して形成される。ここでは、基材Bm1上において、第3画像Pc3と第4画像Pc4との間には、画像が形成されていない領域(第3非画像形成領域ともいう)B3が配置される。換言すれば、この第3非画像形成領域B3は、第3画像Pc3と第4画像Pc4との間の部分を構成している。第3画像Pc3と第4画像Pc4とは、1回表面改質領域Rf1上で第1搬送方向D1において間隔d1だけ離隔している。ただし、例えば、第3画像Pc3と第4画像Pc4とは、第1搬送方向D1において相互に端部を接していてもよい。この場合には、間隔d1はゼロである。換言すれば、第3画像Pc3と第4画像Pc4との間の部分は、第3画像Pc3と第4画像Pc4との単なる境界であってもよい。
ところで、図4(c)および図4(d)に示すように、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送を中断する前に連続して形成される第1画像Pc1と第2画像Pc2との間隔d1と、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送の中断を挟んで連続して形成される第2画像Pc2と第3画像Pc3との間隔d2と、は第1搬送方向D1において異なる大きさ(長さ)とされる。換言すれば、第1画像Pc1と第2画像Pc2との間における第1非画像形成領域B1と、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間における第2非画像形成領域B2と、が異なる大きさ(長さ)とされている。また、図4(d)に示すように、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送の中断を挟んで連続して形成される第2画像Pc2と第3画像Pc3との間隔d2と、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送を再開した後に連続して形成される第3画像Pc3と第4画像Pc4との間隔d1と、は第1搬送方向D1において異なる大きさ(長さ)とされる。換言すれば、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間における第2非画像形成領域B2と、第3画像Pc3と第4画像Pc4との間における第3非画像形成領域B3と、が異なる大きさ(長さ)とされている。
ここで、間隔d1の第1非画像形成領域B1、間隔d2の第2非画像形成領域B2、および間隔d1の第3非画像形成領域B3は、いずれも画像が形成されない空白の領域(空白領域ともいう)である。このため、作業者は、空白領域の大きさ(幅および面積など)の差異に基づいて、各空白領域が1回表面改質領域Rf1の上に形成された領域であるか、3回表面改質領域Rf3の上に形成された領域であるのかを識別することができる。本実施の形態では、比較的面積の小さい空白領域(間隔d1に対応する領域)は、1回表面改質領域Rf1の上に形成された領域であり、比較的面積の大きい空白領域(間隔d2に対応する領域)は、3回表面改質領域Rf3の上に形成された領域である。これにより、画像間に形成される間隔としての空白領域の幅の大きさに基づいて、多重表面改質領域Rf3の上に形成された画像(ここでは、第3画像Pc3)を、1回表面改質領域の上に形成された画像(ここでは、第1画像Pc1、第2画像Pc2および第4画像Pc4)と容易に区別することが可能となる。なお、ここでは、例えば、比較的面積の大きい空白領域を1回表面改質領域Rf1に対応付け、比較的面積の小さい空白領域を3回表面改質領域Rf3に対応付けてもよい。間隔d1および間隔d2の一方をゼロにしてもよい。また、例えば、作業者が、間隔d1に対する間隔d2の大小関係を容易に視認可能である範囲内で、第1非画像形成領域B1の間隔d1と第3非画像形成領域B3の間隔d1とがある程度異なっていてもよい。
また、本実施の形態では、図4(b)および図4(c)で示したように、第2画像Pc2は、第1表面改質領域Rf1の上に形成される。ただし、第2画像Pc2のうちの先端側の部分(第1画像Pc1に近い側の部分)には、第2画像Pc2の上から表面改質処理が施されていないものの、第2画像Pc2のうちの後端側の部分(部分p4から第2部分t2に至る部分)には、第2画像Pc2の上から2回の表面改質処理が施されている。このため、第2画像Pc2の先端側の部分と後端側の部分とで画像の色味が異なるものとなる可能性がある。このような不具合が発生するリスクは、例えば、第2搬送方向D2への基材Bm1の搬送(バックフィード)を停止して、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送を再開するタイミングを図4(b)に図示するタイミングよりも遅らせることで、低減することができる。すなわち、上記不具合が発生するリスクは、距離L2を図4(b)で示す長さよりも延長することで低減することができる。より具体的には、例えば、第2画像Pc2の第1搬送方向D1における下流側の先端が第2位置P2に達した段階で第2搬送方向D2への基材Bm1の搬送を停止し、第1搬送方向D1への基材Bm1の搬送を再開すればよい。
ここで、例えば、第2画像Pc2または第3画像Pc3が、第1搬送方向D1において同一の図柄が隙間なく繰り返し形成される画像または相互に異なる図柄が隙間なく連続して形成される画像であれば、間隔d2は、第1搬送方向D1における1つの図柄の単位長さの自然数倍とされてもよい。1つの図柄の単位長さには、例えば、1ページ分の長さが適用され得る。これにより、例えば、第2画像Pc2または第3画像Pc3において図柄が並んでいるピッチと第2非画像形成領域B2の幅d2との間にずれが生じにくい。その結果、例えば、画像形成装置1からロールRl2を搬出した後に、基材Bm1の表面Su1上に形成された図柄に沿って基材Bm1を裁断する際に、基材Bm1の裁断における作業性が低下しにくい。なお、例えば、第2画像Pc2が1つの図柄で形成されている画像であれば、間隔d2は第1搬送方向D1における第2画像Pc2の長さの自然数倍であってもよいし、第3画像Pc3が1つの図柄で形成されている画像であれば、間隔d2は、第1搬送方向D1における第3画像Pc3の長さの自然数倍であってもよい。
図5は、画像形成装置1において基材Bm1の表面Su1上に形成される画像を例示する平面図である。
図5(a)の例では、基材Bm1の表面Su1において、第1搬送方向D1の下流側から1回表面改質領域Rf1、多重表面改質領域Rf3(幅L3)、および1回表面改質領域Rf1がこの順番に形成されている。最初の1回表面改質領域Rf1の上には第1画像Pc1と第2画像Pc2とが形成され、次の多重表面改質領域Rf3の上には第3画像Pc3が形成され、さらにその次の1回表面改質領域Rf1の上には、第3画像Pc3の一部分と、第4画像Pc4および第5画像Pc5とが形成されている。
第1画像Pc1と第2画像Pc2との間には第1非画像形成領域B1(幅d1)が介在し、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間には第2非画像形成領域B2(幅d2)が介在し、第3画像Pc3と第4画像Pc4との間には第3非画像形成領域B3(幅d1)が介在し、第4画像Pc4と第5画像Pc5との間には第4非画像形成領域B4(幅d1)が介在している。
図5(a)の例では、第2非画像形成領域B2の幅d2の長さと第3非画像形成領域B3の幅d1の長さとを異ならせている。これにより、第3画像Pc3が多重表面改質領域Rf3の上に形成され、第4画像Pc4が1回表面改質領域Rf1の上に形成されたことを示すことができる。
図5(b)は、多重表面改質領域Rf3の幅L3が図5(a)の例よりも長くなった場合を示している。多重表面改質領域Rf3の幅L3が長くなったことで、図5(b)の例では第4画像Pc4の一部分が多重表面改質領域Rf3の上に形成されるようになる。図5(b)の例では、これを受けて第3非画像形成領域B3の幅をd1からd2に変更している。これにより、第4画像Pc4の一部分が多重表面改質領域Rf3の上に形成されたことを示すことができる。この場合には、作業者等が、幅d1に対する幅d2の大小関係を容易に視認可能である範囲内で、第2非画像形成領域B2の幅d2の長さと第3非画像形成領域B3の幅d2の長さとがある程度異なっていてもよい。
図5(a)および(b)の例では、連続する複数の画像Pc(具体的には、第X画像PcX(Xは自然数))の間に異なる幅の非画像形成領域B(具体的には、第Y非画像形成領域BY(Yは自然数))を介在させることで多重表面改質領域Rf3の上に形成された第X画像PcXを他の第X画像PcXと区別可能とした。しかし、第Y非画像形成領域BYを介在させる代わりに特定の画像を形成することで多重表面改質領域Rf3の上に形成された第X画像PcXを他の第X画像PcXと区別可能としてもよい。
例えば、図5(c)の例では、第2画像Pc2が1回表面改質領域Rf1の上に形成され、第3画像Pc3が多重表面改質領域Rf3の上に形成されている。そこで、図5(c)の例では、第2画像Pc2と第3画像Pc3との間の領域(特定画像領域ともいう)B2Aに特定の絵柄を形成することで第3画像Pc3が多重表面改質領域Rf3の上に形成されていることを示す。特定の絵柄は他の第X画像PcX間の領域(第1画像Pc1と第2画像Pc2との間の領域B1、第3画像Pc3と第4画像Pc4との間の領域B3、および第4画像Pc4と第5画像Pc5との間の領域B4)と区別可能な絵柄であれば特に限定されない。例えば、色、濃淡またはコントラスト等を異ならせてもよい。これら4つの領域B1~領域B4の幅は同一でもよいし異ならせてもよい。但し、同一長さの幅であれば第1画像Pc1~第5画像Pc5のピッチを維持することができる利点がある。
あるいは、図5(d)に示すように、領域B2Aには、第1搬送方向D1において殆ど幅を有さない破線等が描かれた領域が適用されてもよい。ここで、例えば、第2画像Pc2または第3画像Pc3が、第1搬送方向D1において同一の図柄が隙間なく繰り返し形成される画像または相互に異なる図柄が隙間なく連続して形成される画像である場合に、第1搬送方向D1における領域B2Aの幅d3が、第1搬送方向D1における1つの図柄の単位長さの自然数倍であれば、第2画像Pc2または第3画像Pc3において図柄が並んでいるピッチと特定画像領域B2Aとの間にずれが生じにくい。
また、例えば、図6(a)および図6(b)で示されるように、多重表面改質領域Rf3のうちの第1搬送方向D1における上流側の第3端部t3に沿って、第2非画像形成領域B2と同様な幅d2を有する非画像形成領域が形成されてもよい。例えば、図6(c)および図6(d)で示されるように、多重表面改質領域Rf3のうちの第1搬送方向D1における上流側の第3端部t3に沿って、特定画像領域B2Aが形成されてもよい。第3端部t3の位置は、例えば、制御部10によって、検出部20で検出される指標に応じた信号に基づいて認識される、搬送機構16における搬送経路1Rtに沿った基材Bm1の搬送方向および搬送距離等から認識され得る。これにより、第3端部t3に合わせた非画像形成領域および特定画像領域B2Aの形成が可能となる。このような構成が採用されれば、例えば、多重表面改質領域Rf3の存在領域をより詳細に認識することが可能となる。
図7は、画像形成装置1における画像形成方法に係る動作フローの一例を示す流れ図である。この動作フローは、例えば、制御部10の制御によって画像形成装置1の各部が制御されることで、長尺の帯状の基材Bm1に対して、第1画像Pc1および第2画像Pc2が形成された後に、第3画像Pc3および第4画像Pc4が順に形成される場合における動作フローの一例である。この動作フローでは、第1ステップS1の処理と、第2ステップS2の処理と、第3ステップS3の処理と、がこの記載の順に行われることで、基材Bm1の表面Su1上に、第1画像Pc1と、第2画像Pc2と、第3画像Pc3と、第4画像Pc4と、が順に形成され得る。
第1ステップS1では、図3(c)(d)で示されたように、搬送機構16によって搬送経路1Rtに沿って基材Bm1を第1搬送方向D1に搬送しつつ、表面改質部17によって搬送経路1Rtに沿った第1領域Ar1において基材Bm1の表面Su1を改質する表面改質処理を行うとともに、画像形成部18によって搬送経路1Rtに沿った第2領域Ar2において基材Bm1の表面改質処理で改質された表面Su1上に第1画像Pc1および第2画像Pc2を形成する第1画像形成処理を行う。
第2ステップS2では、図4(a)および図4(b)で示されたように、搬送機構16によって、第1ステップS1において表面Su1上に第1画像Pc1および第2画像Pc2が形成された形成済み部分を有する基材Bm1を、搬送経路1Rtに沿って第1搬送方向D1とは逆の第2搬送方向D2に搬送する。
第3ステップS3では、図4(c)および図4(d)で示されたように、第2ステップS2の後に、搬送経路1Rtに沿って第1画像Pc1および第2画像Pc2が形成された形成済み部分を有する基材Bm1を第1搬送方向D1に搬送しつつ、表面改質部17による表面改質処理と画像形成部18による画像形成処理とを行うときに、基材Bm1の表面Su1のうちの第1領域Ar1において表面改質処理が施された回数が周囲の領域よりも多い多重表面改質領域Rf3が区別可能な態様となるように、第2領域Ar2において基材Bm1の表面Su1に第2画像Pc2を形成する第2画像形成処理を行う。ここでは、制御部10は、例えば、画像形成部18によって基材Bm1の上に第1搬送方向D1に並ぶように複数の画像(例えば、第1~4画像Pc1~Pc4)を形成させるときに、表面改質処理が施された回数が1回である1回表面改質領域Rf1の上における画像間の部分の第1搬送方向D1における幅d1と、多重表面改質領域Rf3の上における画像間の部分の第1搬送方向D1における幅d2と、を異ならせてもよいし、多重表面改質領域Rf3の上における画像間の部分に特定画像領域B2Aを形成させてもよい。なお、制御部10は、例えば、1回表面改質領域Rf1の上における画像間の部分に特定画像領域B2Aを形成させ、多重表面改質領域Rf3の上における画像間の部分に特定画像領域B2Aを形成させなくてもよい。
このような画像形成方法によれば、例えば、基材Bm1において形成された画像の品質が周囲の部分とは異なる部分が周囲の部分とは容易に区別可能となる。したがって、例えば、基材Bm1の無駄使い(ヤレ)を低減することで基材Bmを有効に利用しつつ、基材Bm1における画像の品質が周囲の部分とは異なる部分を周囲の部分と容易に区別可能とすることができる。
<3.一実施形態のまとめ>
以上のように、一実施形態に係る画像形成装置1は、例えば、第1搬送方向D1に基材Bm1を搬送しつつ第1画像Pc1および第2画像Pc2を基材Bm1の表面Su1上に形成し、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を停止させた後に、第2搬送方向D2に基材Bm1を搬送する基材Bm1のバックフィードを行った上で、第1搬送方向D1における基材Bm1の搬送を再開して、第3画像Pc3を基材Bm1の表面Su1上に形成する。これにより、例えば、基材Bm1の無駄使い(ヤレ)を低減することで基材Bmを有効に利用することができる。また、例えば、基材Bm1のバックフィードの後に、第3画像Pc3を基材Bm1の表面Su1上に形成する際に、基材Bm1の表面Su1のうちの表面改質処理が施された回数が周囲の領域とは異なる多重表面改質領域Rf3が区別可能な態様となるように基材Bm1の表面Su1に第3画像Pc3を形成する。これにより、基材Bm1において形成された画像の品質が周囲の部分とは異なる部分が周囲の部分と容易に区別可能となる。したがって、例えば、基材Bm1の無駄使い(ヤレ)を低減することで基材Bmを有効に利用しつつ、基材Bm1における画像の品質が周囲の部分とは異なる部分を周囲の部分と容易に区別可能とすることができる。
また、例えば、表面改質部17にコロナ放電部が適用される構成において、コロナ放電の実施および不実施を自由に制御することができない場合にも、基材Bm1における画像の品質が周囲の部分とは異なる部分が周囲の部分と容易に区別可能となる。
また、例えば、画像形成部18に、基材Bm1の表面Su1に向けてインクを吐出する吐出部18hが適用される構成において、表面Su1に対するインクの定着を促進させるための表面改質処理の回数に応じて基材Bm1における画像の品質が異なる場合に、基材Bm1における画像の品質が周囲の部分とは異なる領域が周囲の部分と容易に区別可能となる。
<4.変形例>
本発明は上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
上記一実施形態において、改質処理部17bは、例えば、基材Bm1の表面Su1に前処理液を塗布することで基材Bm1の表面を改質する前処理部であってもよい。前処理液には、例えば、基材Bm1の表面Su1に対するインクの定着を促進するための液が適用される。これにより、例えば、前処理液の塗布によって基材Bm1の表面Su1を改質する場合にも、基材Bm1における画像の品質が周囲の部分とは異なる部分が周囲の部分と容易に区別可能となる。このような場合には、第1領域Ar1は、搬送経路1Rt上に設定された領域であって、表面改質部17から基材Bm1に前処理液の塗布が可能な領域である。すなわち、第1領域Ar1は、搬送経路1Rt上に設定された領域であって、表面改質部17によって基材Bm1の表面を改質することが可能な領域であればよい。
上記一実施形態において、例えば、基材Bm1は、搬送経路1Rtに沿った長手方向において細長い長尺のものであれば、ロールRl1から巻き出されて、ロールRl2の形態で巻き取られるものでなくてもよい。このような基材Bm1としては、例えば、画像形成装置1が、他の装置と連結されており、他の装置から長尺の基材Bm1が供給され、他の装置によって画像形成装置1から長尺の基材Bm1が回収されるような構成が考えられる。
上記一実施形態において、例えば、画像形成部18の吐出部18hから吐出されるインクがUV硬化型インクでない場合には、画像形成部18は、UVランプ18uを有していなくてもよい。
上記一実施形態において、例えば、間隔d2の非画像形成領域(例えば、第2非画像形成領域B2など)および特定画像領域B2Aは、基材Bm1の幅方向における少なくとも一部分に形成されてもよい。
上記一実施形態において、例えば、1つの図柄の単位長さには、予め設定された所定の長さが適用されてもよい。
上記一実施形態において、多重表面改質領域Rf3が周囲の領域とは区別可能な態様としては、例えば、第1非画像形成領域B1の幅d1と第2非画像形成領域B2の幅d2とが相違する態様および特定画像領域B2A等が形成される態様のように、人間が視認可能な態様であってもよいし、磁性体等のような特定のセンサで検出可能である物質が塗布または添付された領域が形成される態様のように人間が視認可能な態様でなくてもよい。
上記一実施形態において、例えば、搬送経路1Rtに沿って基材Bm1が第1搬送方向D1に搬送されている状態で、第2画像Pc2の最も上流側の第2部分t2の通過を検出することができる所定のセンサを表面改質部17と画像形成部18との間の所定の位置に設けてもよい。この場合には、制御部10は、所定のセンサによって第2部分t2の通過が検出されたタイミングおよび基材Bm1の搬送速度等に応じて、画像形成部18によって、第2非画像形成領域B2および特定画像領域B2Aの少なくとも一方を形成させてもよい。所定のセンサには、例えば、カメラ等で得られる画像に基づいて第2部分t2の位置を検出する画像センサ、基材Bm1における光の反射状態または透過状態を検出する光センサ、および第2部分t2に合わせて基材Bm1に形成された特定の部分を検出する特定のセンサ等が適用され得る。特定の部分には、例えば、ミシン目が形成された部分、パンチ孔が形成された部分ならびに磁性体が塗布または添付された部分等が適用される。特定のセンサには、例えば、光センサおよび磁気センサ等が適用される。
上記一実施形態において、例えば、画像形成部18には、基材Bm1にインクを転写するオフセット印刷の構成が適用されてもよい。この場合には、第2領域Ar2は、搬送経路1Rt上に設定された領域であって、画像形成部18によって基材Bm1の表面Su1上にインクの転写によって画像の形成が可能な領域であればよい。すなわち、第2領域Ar2は、搬送経路1Rt上に設定された領域であって、画像形成部18によって基材Bm1の表面Su1上に画像の形成が可能な領域であればよい。
上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。