JP7186081B2 - 押出方式の積層造形用水硬性組成物、水硬性モルタル及びその硬化体 - Google Patents
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Description
-30X+11.0<Y<-30X+29.0 (1)
1.0<Y<10.0 (2)
[式中、Xはポルトランドセメント100質量部に対するセルロース系増粘剤の含有量を示し、Yはポルトランドセメント100質量部に対するシリカフュームの含有量を示す。]
(条件1)セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度0.1s-1における粘度が1Pa・s~20Pa・sである。
(条件2)セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度30s-1における粘度が0.001Pa・s~0.015Pa・sである。
なお、セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の上記粘度はレオストレスメーターMCR101(AntonPaar社製)にて測定される。
本実施形態に係る積層造形用水硬性組成物は、ポルトランドセメントと、セルロース系増粘剤と、シリカフュームと、細骨材とを含む。細骨材の含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して50質量部~250質量部である。セルロース系増粘剤の含有量及びシリカフュームの含有量は、下記式(1)及び式(2)の関係を満たす。
-30X+11.0<Y<-30X+29.0 (1)
1.0<Y<10.0 (2)
[式中、Xはポルトランドセメント100質量部に対するセルロース系増粘剤の含有量を示し、Yはポルトランドセメント100質量部に対するシリカフュームの含有量を示す。]
-30X+12.5<Y<-30X+27.5 (1A)
2.0<Y<9.0 (2A)
3.0<Y<8.0 (2B)
ポルトランドセメントとしては、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント等であってよい、ポルトランドセメントは、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
セルロース系増粘剤は、有機系増粘剤の一種である。セルロース系増粘剤としては、例えば、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。セルロース系増粘剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
(条件1)セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度0.1s-1における粘度が1Pa・s~20Pa・sである。
(条件2)セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度30s-1における粘度が0.001Pa・s~0.015Pa・sである。
条件1に関し、セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度0.1s-1における粘度は、5Pa・s~15Pa・sであることがより好ましく、7Pa・s~13Pa・s又は8Pa・s~12Pa・sであってもよい。条件2に関し、セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度30s-1における粘度は、0.002Pa・s~0.013Pa・sであることがより好ましく、0.003Pa・s~0.01Pa・s又は0.004Pa・s~0.009Pa・sであってもよい。セルロース系増粘剤が条件1,2を満たすことで、押出し性、積層性及び硬化後の層間付着強度の全てをより一層高度に達成し得る。
シリカフュームは、無機系増粘材の一種である。シリカフュームの主成分は、シリカである。シリカフュームとしては、例えば、JIS A 6207-2006「コンクリート用シリカフューム」で規定されるシリカフューム等が挙げられる。本実施形態に係る積層造形用水硬性組成物がシリカフュームを含むことにより、押出し性及び積層性に優れる。
細骨材としては、珪砂、川砂、海砂、山砂及び砕砂等の砂類、ウレタンフォーム、EVA(エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂)フォーム及び発泡樹脂等の粉砕物、並びにアルミナセメントクリンカー細骨材等が挙げられる。
本実施形態に係る積層造形用水硬性組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、ポルトランドセメント、有機系増粘剤、無機系増粘材及び細骨材以外の成分を更に含んでいてもよい。
本実施形態に係る積層造形用水硬性組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、流動化剤を更に含んでいることが好ましい。流動化剤を含んでいることにより、押出し性及び積層性により優れ、且つ、硬化後の層間接着強度により優れる。
本実施形態に係る積層造形用水硬性組成物は、本発明の効果が損なわれない範囲で、無機系膨張材、消泡剤、収縮低減剤及び凝結調整剤からなる群から選択される少なくとも1種を更に含んでいることが好ましい。無機系膨張材、消泡剤、収縮低減剤及び凝結調整剤の合計含有量は、ポルトランドセメント100質量部に対して、好ましくは0.1質量部~8.5質量部、より好ましくは0.15質量部~7.85質量部、更に好ましくは0.2質量部~7.2質量部である。
無機系膨張材を用いることにより、積層造形用水硬性組成物は、硬化後の層間接着強度がより向上する。無機系膨張材としては、例えば、生石灰-石膏系膨張材、石膏系膨張材、カルシウムサルフォアルミネート系膨張材等であってよく、層間接着強度の観点から、好ましくは生石灰-石膏系膨張材である。無機系膨張材は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
消泡剤を用いることにより、積層造形用水硬性組成物は、硬化後の層間接着強度がより向上する。消泡剤としては、例えば、鉱油系、シリコーン系、アルコール系、ポリエーテル系等の合成物質又は植物由来の天然物質等であってよく、分散性及び持続性の観点から、好ましくはポリエーテル系の消泡剤及び鉱油系の消泡剤である。消泡剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
収縮低減剤を用いることにより、積層造形用水硬性組成物は、硬化後のひび割れが生じにくくなるとともに、硬化後の層間接着強度がより向上する。収縮低減剤としては、例えば、低級・高級アルコールアルキレンオキシド付加物、グリコールエーテル誘導体、ポリエーテル誘導体等であってよく、積層造形用水硬性組成物の寸法安定性を高めて、層間接着強度を更に向上させる観点から、好ましくはポリエーテル誘導体である。収縮低減剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
凝結調整剤を用いることにより、硬化時間を調整することができるため、適度な可使時間を確保することができる。凝結調整剤としては、例えば、ナトリウム塩等が挙げられる。ナトリウム塩としては、例えば、硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム等の無機ナトリウム塩、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム等の有機ナトリウム塩等が挙げられる。凝結調整剤は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
繊維を用いることにより、積層造形用水硬性組成物は、硬化後のひび割れが抑制されるとともに、層間接着強度がより向上する。繊維としては、例えば、合成樹脂繊維、無機系繊維等が挙げられる。合成樹脂繊維は、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコール及びポリ塩化ビニル等の合成樹脂成分を含む合成樹脂繊維を用いることができる。無機系繊維は、鋼繊維、ステンレス繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、炭素繊維等を用いることができる。繊維は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態に係る水硬性モルタルは、上述の積層造形用水硬性組成物及び水を含む。水硬性モルタルは、例えば、積層造形用水硬性組成物と水とを混練することによって、調製することができる。
以下のポルトランドセメント、セルロース系増粘剤、シリカフューム、流動化剤、無機系膨張材、消泡剤及び細骨材を、表1及び表2に示す割合で配合し、実施例1~7及び比較例1~3に係る積層造形用水硬性組成物をそれぞれ調製した。具体的には、各成分をアイリッヒミキサーを用いて10分間混合し、積層造形用水硬性組成物を得た。なお、表1,2中、各成分の含有量は、ポルトランドセメントを100質量部とした含有量を示す。
C:早強ポルトランドセメント(ブレーン比表面積4440cm2/g)
(2)セルロース系増粘剤
O:セルロース系増粘剤(主成分:ヒドロキシプロピルメチルセルロース、せん断速度0.1s-1の粘度9.76Pa・s、せん断速度30s-1の粘度0.00678Pa・s)
上記粘度は、20℃の条件下において、有機系増粘剤の1質量%水溶液をAnton Paar社製レオメーターMCR101に共軸二重円筒治具CC27/P6を用いて、せん断速度0.1s-1及び30s-1の条件で0.1s-1で120秒測定して得られた値である。また、使用原料は粉末状である。
(3)シリカフューム
I:シリカフューム(BET比表面積20.0m2/g)
(4)流動化剤
F:ポリカルボン酸系流動化剤
(5)無機系膨張材
E:生石灰-石膏系膨張材
(6)消泡剤
D:ポリエーテル系消泡剤
(7)細骨材
S:6号珪砂(600μm超の粒子径を有する粗粒分=0.12質量%、粗粒率=1.20%、吸水率=0.79%
得られた積層造形用水硬性組成物6.0kgに、水道水1.11kg(W/(P+S)=0.185)を加え、撹拌機(UM15V、日立工機株式会社製)で、1200rpmで3分間混練することにより、水硬性モルタルを得た。なお、水の含有量をW、細骨材を除く積層造形用水硬性組成物の含有量をPとした。すなわち、ここでのPは、ポルトランドセメント(C)、セルロース系増粘剤(O)、シリカフューム(I)、流動化剤(F)、無機系膨張材(E)及び消泡剤(D)の合計含有量を示す。
押出し性は、ポンプ圧送試験により測定した。具体的には、水硬性モルタルを圧送ポンプ(スネークポンプNVL20、兵神装備社製)で、内径19mm、長さ2mのフレキシブルホースを経由して、長さ6mm、幅50mm(6×50mm)の開口部を備えたノズルから押出して、均一な吐出によって積層体を造形できた場合をAとし、途中でホースやノズル内で閉塞し押出せなかった場合及び材料分離などで水の先流れなどが生じた場合をBとした。
上記ポンプ圧送試験により、ノズルから押し出された後の硬化前の水硬性モルタルの積層体が自重により寸法が変化した量を測定した。長さ6mm、幅50mm(6×50mm)の開口部を備えたノズルを高さ12mmで垂直下向きにセットし、送液量0.54L/minで水硬性モルタルを押し出しながら、ノズルの長さ方向へ30mm/sの一定速度で水平移動させた。任意の点でノズルを垂直上方向へ6mm上昇させて折り返して2層目を積層した。積層体が完全に硬化した後に、積層体の変化量を測定し、下記式(3)に定義する変形率を算出した。
上記ポンプ圧送試験により、ノズルから押し出された水硬性モルタルを積層して硬化させた積層体(硬化体)を用いて、1層目と2層目の層間付着強度を測定した。長さ6mm、幅50mm(6×50mm)の開口部を備えたノズルを高さ12mmで垂直下向きにセットし、送液量0.54L/minで水硬性モルタルを押し出しながら、ノズルの長さ方向へ30mm/sの一定速度で水平移動させた。任意の点でノズルを垂直上方向へ6mm上昇させて折り返して2層目を積層した。なお、1層目を積層した10分後に2層目を積層した。その後、固まらないうちに4cm角に切り出した後、温度23℃湿度50%の養生槽の中で7日間養生したものを層間付着強度用の試験体とした。2層目上面と1層目下面に接着試験用ジグを取り付け、引張速度1.75kN/minにて載荷した際に得られた接着強度を層間付着強度とした。結果を表3に示す。
Claims (4)
- ポルトランドセメントと、
セルロース系増粘剤と、
シリカフュームと、
細骨材と、
流動化剤と、
無機系膨張材と、
消泡剤と、
を含み、
前記細骨材の含有量が前記ポルトランドセメント100質量部に対して50質量部~218.5質量部であり、
前記セルロース系増粘剤の含有量及び前記シリカフュームの含有量が下記式(1)及び式(2)の関係を満たし、
前記セルロース系増粘剤の1質量%水溶液が以下の条件1及び条件2を満たす、押出方式の積層造形用水硬性組成物。
-30X+11.0<Y<-30X+27.5 (1)
1.0<Y<10.0 (2)
[式中、Xはポルトランドセメント100質量部に対するセルロース系増粘剤の含有量を示し、Yはポルトランドセメント100質量部に対するシリカフュームの含有量を示す。]
(条件1)セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度0.1s -1 における粘度が1Pa・s~20Pa・sである。
(条件2)セルロース系増粘剤の1質量%水溶液の温度20℃及びせん断速度30s -1 における粘度が0.001Pa・s~0.015Pa・sである。 - 前記シリカフュームのBET比表面積が15m2/g~25m2/gである、請求項1に記載の押出方式の積層造形用水硬性組成物。
- 請求項1又は2に記載の押出方式の積層造形用水硬性組成物と、
水と、
を含む、水硬性モルタル。 - 請求項3に記載の水硬性モルタルの硬化体。
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