JP7184519B2 - 毛髪用組成物 - Google Patents
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Description
そのような低温による毛髪用組成物の性状変化は、品質管理上好ましいものではない。さらに、毛髪用組成物の外観の変化が起こった場合、消費者に対して不安を抱かせることがある。
本実施形態の毛髪用組成物は、ステアリルトリメチルアンモニウム塩が1種又は2種以上配合されたものである。本実施形態の毛髪用組成物にステアリルトリメチルアンモニウム塩が配合されることで、毛髪に柔軟性を与える。
[一般式(1)における、X-はハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素等)、硫酸エステル(例えば、メトサルフェート、エトサルフェート等)、サッカリン等の陰イオンを表す。]
本実施形態に係る毛髪用組成物は、ステアリルアルコールが配合されたものである。
本実施形態の毛髪用組成物にステアリルアルコールが配合されることで、毛髪にしっとりとした感触を付与する。
本実施形態に係る毛髪用組成物は、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合されたものである。なお、「及び/又は」とは、両方或いはいずれか一方をいう。
本実施形態の毛髪用組成物にポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルが配合されたものとすることで、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できる。
ここで、上記(C)成分の配合量は、本実施形態の毛髪用組成物に、(C)成分として、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及びポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルの両方が配合された場合は両方の配合量の合計を意味し、本実施形態の毛髪用組成物に、(C)成分として、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルのいずれかが配合された場合はそのいずれかの配合量を意味する。
本実施形態に係るポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステルは、脂肪酸とソルビトールのポリエチレングリコールエーテル(酸化エチレンを付加重合したソルビトール)とのエステルであり、下記一般式(2)で表される。
[一般式(2)における、R1、R2、R3、R4、R5、R6は、H又はCOR´であり、R´は炭素数12以上24以下の直鎖又は分岐鎖を有する飽和又は不飽和の炭化水素基である。なお、R1、R2、R3、R4、R5、R6の2つ以上がCOR´である場合には、R´はそれぞれ同一又は異なっていても良い。a、b、c、d、e、fは0~100の整数であり、a+b+c+d+e+f=1~100を表す。]
本実施形態の毛髪用組成物に配合されるポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルは、炭素数12~14のアルキル基を有するアルコールに酸化エチレンが付加重合されたものである。
そのようなポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(3E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-3]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(5E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-5]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(7E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-7]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(9E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-9]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(11E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-11]、ポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル(12E.O.)[化粧品表示名称:(C12-14)パレス-12]等が挙げられる。
本実施形態に係る毛髪用組成物は、水が配合されたものである。本実施形態において、水は、(A)成分、(B)成分、(C)成分を分散させる媒体である。
本実施形態の毛髪用組成物は、上記の(A)成分~(D)成分以外の任意成分が配合されたものとしても良い。任意成分は、公知の毛髪用組成物に配合される成分から、毛髪用組成物の用途、目的に応じて適宜に選定される。
毛髪用組成物に配合される任意成分としては、アニオン界面活性剤、上記(A)成分以外のカチオン界面活性剤、両性界面活性剤、上記(C)成分以外のノニオン界面活性剤、上記(B)成分以外の高級アルコール、アルコール、多価アルコール、糖類、エステル油、油脂、脂肪酸、炭化水素、ロウ、シリコーン、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤などである。
前記液状油脂としては、例えば、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、ククイナッツ油、コメヌカ油、コーン油、サフラワー油、パーシック油、パーム核油、ヒマワリ油、ハイブリッドヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、ローズヒップ油等が挙げられる。前記液状油脂の配合量は、例えば、0.1質量%以上10質量%以下である。
本実施形態の毛髪用組成物の剤型は、特に限定されず、例えば、乳液状、クリーム状、ワックス状、ゲル状が挙げられる。剤型は、毛髪の塗布を容易にする観点から、クリーム状とすることが好ましい。
本実施形態の毛髪用組成物の粘度は、特に限定されないが、例えば、1000mPa・s以上60000mPa・s以下である。なお、毛髪用組成物の剤型をクリーム状に調整する場合、B型粘度計で適宜なローターを用いて25℃で計測した60秒後の粘度が、例えば5000mPa・s以上50000mPa・s以下である。
本実施形態の毛髪用組成物のpHは、特に限定されないが、毛髪の柔軟性や毛髪へのしっとりとした感触の付与に優れる観点から、2.5以上7以下が良い。なお、pHの値は25℃における測定値が採用される。
使用時の剤型に応じた公知の毛髪用組成物の製法を採用すれば、本発明の毛髪用組成物を製造できる。例えば、クリーム状の毛髪用組成物を製造する場合の一例としては、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を配合した油相を、当該油相の融点以上に加熱し、(D)成分を配合した水相と混合する方法がある。
本実施形態に係る毛髪用組成物の用途は、トリートメント(例えば、リンス、コンディショナー、洗い流すトリートメント、洗い流さないトリートメント、多剤式トリートメントの一構成剤、パーマの前処理のためのトリートメント、パーマの後処理のためのトリートメント、カラーリングの前処理のためのトリートメント、カラーリングの後処理のためのトリートメント、ブリーチの前処理のためのトリートメント、ブリーチの後処理のためのトリートメント等)、スタイリング剤(例えば、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアジェル、ヘアミスト等)が挙げられる。
本実施形態の毛髪用組成物の使用方法は、その用途に応じた公知の毛髪用組成物の使用方法を採用すればよい。そのため、毛髪用組成物を塗布した後に、洗い流す又は洗い流さない使用方法として良い。
上記洗い流す使用方法の一例として、濡れた毛髪(例えばシャンプー後)に本実施形態の毛髪用組成物を塗布し、塗布した直後又は塗布し一定時間放置した後に洗い流して、毛髪を乾燥させる使用方法が挙げられる。
上記洗い流さない使用方法の一例として、水で濡れた毛髪に本実施形態の毛髪用組成物を塗布し、洗い流さずに毛髪を乾燥させる使用方法が挙げられる。
毛髪用組成物の公知の製造方法により、後記表1~5に示す組成となるように各種配合成分を混合して、実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の毛髪用組成物を製造した。なお、表1~5における各配合成分の数値は質量%を表し(「-」の表記は未配合を示す)、適量とした2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンは0.000333質量%の配合量である。また、表1~5に示す組成中のイソプロパノールは、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム又は臭化ステアリルトリメチルアンモニウムを含有する原料中に含まれるイソプロパノールに由来するものである。
得られた実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の毛髪用組成物はいずれもクリーム状のO/W型エマルジョン形態であった。
本実施例においては低温による毛髪用組成物の性状変化の評価として、凍結解凍による外観変化を評価した。この凍結解凍による外観変化の評価は下記に示す評価方法及び評価基準に従って行った。
なお、凍結解凍による外観変化の評価は、毛髪用組成物の組成に応じて毛髪用組成物が凍結するような温度に適宜設定すればよく(例えば、-5℃~-30℃の設定等)、本実施例の評価においては、毛髪用組成物を凍結させる低温条件を-10℃又は-20℃の設定とした。
下記(1)~(4)の手順により、実施例1~11、比較例1~11、参考例1~5の各毛髪用組成物について、凍結解凍による外観変化を評価した。
(1)凍結前(凍結解凍0回目)の各毛髪用組成物を、それぞれ密閉容器に充填した。
(2)-10℃に設定した恒温機に、各毛髪用組成物が充填された密閉容器を、2~7日間保存し凍結させた。なお、-10℃で凍結しなかった毛髪用組成物は、-20℃で1~2日間保存し凍結させた。
(3)凍結した各毛髪用組成物を、常温で放置して解凍させた(凍結解凍1回目)。
(4)解凍後の各毛髪用組成物を密閉容器から取り出し、次に示す「凍結解凍1回目の外観変化の評価基準」に従って評価した。
(5)上記(2)、(3)の操作を2回繰り返した後、凍結解凍3回目の各毛髪用組成物を密閉容器から取り出し、次に示す「凍結解凍3回目の外観変化の評価基準」に従って評価した。
なお、評価に用いた各毛髪用組成物の外観について、凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の写真をそれぞれ撮影した。
◎ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較してかなり小さい。
○ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較してやや小さい。
同等 :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較してほぼ同等。
× :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍1回目との外観の変化と比較して大きい。
◎ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較してかなり小さい。
○ :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較してやや小さい。
同等 :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較してほぼ同等。
× :凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化が、基準における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目との外観の変化と比較して大きい。
実施例1~8、比較例1~10の毛髪用組成物における凍結前(凍結解凍0回目)と凍結解凍3回目の体積平均粒子径を、日機装社製の測定装置「Microtrac MT3000」を用いて、レーザー回折・散乱法により測定した。
「体積平均粒子径の変化値」 = (凍結解凍3回目の体積平均粒子径)/(凍結前(凍結解凍0回目)の体積平均粒子径)
この数式により算出された「体積平均粒子径の変化値」の数値が大きいほど、凍結解凍による体積平均粒子径の変化が大きいことを示す。
実施例1~4、比較例1~6の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価の結果と体積平均粒子径の測定の結果を下記表1、2に示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、比較例1を基準とした。
また、実施例1~4、比較例1~6の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を図1~3に示す。
これらの結果から、(A)成分、(B)成分及び(D)成分が配合された毛髪用組成物に、さらに(C)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルを配合させることにより、低温による毛髪用組成物の性状変化(凍結解凍による外観の変化)を改善できることが分かる。
これらの結果から、(A)~(D)成分が配合された実施例1~3の毛髪用組成物は、比較例1の毛髪用組成物((C)成分が未配合)よりも、凍結解凍による体積平均粒子径の変化が小さく、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できることが分かる。
実施例5~8、比較例7~10の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価の結果と体積平均粒子径の測定の結果を下記表3に示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、比較例7を基準とした。
また、実施例5~8、比較例7~10の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を図4、図5に示す。
これらの結果から、(A)成分、(B)成分及び(D)成分が配合された毛髪用組成物に、さらに(C)成分であるポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルを配合させることにより、低温による毛髪用組成物の性状変化(凍結解凍による外観の変化)を改善できることが分かる。
これらの結果から、(A)~(D)成分が配合された実施例5~8の毛髪用組成物は、比較例7((C)成分が未配合)の毛髪用組成物よりも、凍結解凍による体積平均粒子径の変化が小さく、低温による毛髪用組成物の性状変化を改善できることが分かる。
下記表4に、実施例9~11、比較例11の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価の結果を示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、比較例11を基準とした。ここで、表4に示す実施例10、比較例11は、表3における実施例7、比較例7とそれぞれ同じものである。
また、図6に実施例9~11、比較例11の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を示す。
下記表5に、参考例1~5の毛髪用組成物の凍結解凍による外観変化の評価を示す。なお、この凍結解凍による外観変化の評価は、参考例3を基準とした。ここで、表5に示す参考例3は、表1における比較例1と同じものである。
また、図7、図8に参考例1~5の毛髪用組成物の凍結前(凍結解凍0回目)、凍結解凍1回目、凍結解凍3回目の外観写真を示す。
なお、図7に示す外観写真から、参考例3(比較例1)の毛髪用組成物は、凍結前(凍結解凍0回目)の外観に比べて凍結解凍1回目の外観と凍結解凍3回目の外観にそれぞれ変化が見られ、低温による毛髪用組成物の性状変化が認められる。
Claims (5)
- (A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、並びに(D)水が配合され、
前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩の配合量が1.0質量%以上であり、
前記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルの配合量に対する前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩と前記(B)ステアリルアルコールの配合量の合計の質量比[(A)+(B)/(C)]が15.58以上300以下である、
毛髪用組成物。 - (A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、(D)水、並びに(E)液状油脂及び/又はシリコーンが配合され、
前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩の配合量が1.0質量%以上であり、
前記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルとして、少なくとも、(C12-14)パレス-3が配合された、
毛髪用組成物。 - (A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩、(B)ステアリルアルコール、(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテル、並びに(D)水が配合され、
前記(C)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル及び/又はポリオキシエチレンアルキル(12~14)エーテルとして、少なくとも、(C12-14)パレス-3、(C12-14)パレス-5、(C12-14)パレス-7、(C12-14)パレス-9、及び、(C12-14)パレス-11から選ばれる1種以上が配合されており、
洗い流さない使用方法のトリートメントに用いられるか、又は、スタイリング剤に用いられる、
毛髪用組成物。 - 前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩に対する前記(B)ステアリルアルコールの質量比[(B)/(A)]が1.2以上であるか、又は、前記(A)ステアリルトリメチルアンモニウム塩と前記(B)ステアリルアルコールとのモル比(A):(B)が、1:1.9以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
- トリートメント又はスタイリング剤に用いられる請求項1、2、4のいずれか1項に記載の毛髪用組成物。
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