以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る熱交換器について説明する。
<1.第1実施形態>
<1-1.熱交換器の全体構成>
図1は、本実施形態に係る熱交換器10の平面図である。熱交換器10は、熱交換媒体を介して熱交換対象物を冷却または加温するために用いられる。熱交換対象物の冷却または加温とは、熱交換対象物の冷却および加温を繰り返し実施することによって、熱交換対象物の温度を所定温度範囲内に維持することを含む。熱交換対象物は、例えば、電池である。電池は、例えば、リチウムイオン電池である。本実施形態では、熱交換器10は、リチウムイオン電池の複数のセルまたはモジュールの間に挿入されるように配置される。本実施形態では、熱交換器10は、熱交換対象物を冷却することによって、熱交換対象物の温度を所定温度以下に維持するために使用される。このため、本実施形態では、熱交換媒体は、例えば、冷却水または不凍液等である。熱交換器10が、熱交換対象物を加温するために使用される場合、熱交換媒体は、例えば、温水である。熱交換器10が、熱交換対象物の温度を所定温度範囲内に維持するために使用される場合、熱交換媒体は、例えば、冷却水および温水である。
熱交換器10は、例えば、パウチ型である。このため、形状の自由度が高められる。また、熱交換器10を軽量に構成できる。パウチの種類は、例えば、三方シールタイプ、四方シールタイプ、ピロータイプ、または、ガセットタイプ等である。熱交換器10は、容器20と、供給部材30と、排出部材40と、プレート50とを含む。なお、図1では、本来外部から視認できない構成要素が、参考のため、部分的に破線で示されている。以下では、説明の便宜のため、特に断らない限り、図1の上下方向を幅方向と称し、平面視において幅方向と直交する方向を左右方向と称し、幅方向および左右方向と直交する方向を高さ方向と称する。
<1-2.容器の構成>
容器20は、内部空間S1および周縁シール部90を備える。容器20は、シート21およびシート22を含んで構成される。平面視における容器20の外周部分においては、シート21、22がヒートシールされ、互いに融着しており、これにより、周縁シール部90が形成されている。そして、この周縁シール部90によって、外部空間から遮断された容器20の内部空間S1が形成される。周縁シール部90は、容器20の内部空間S1の周縁を画定する。なお、ここでいうヒートシールの態様には、熱源からの加熱融着、超音波融着等の態様が想定される。いずれにせよ、周縁シール部90とは、シート21、22が融着され、一体化している部分を意味する。
シート21、22は、例えば、樹脂成形品またはフィルムから構成される。ここでいう樹脂成形品とは、射出成形や圧空成形、真空成形、ブロー成形等の方法により製造することができ、意匠性や機能性を付与するためにインモールド成形を行ってもよい。樹脂の種類は、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、ABS等とすることができる。また、ここでいうフィルムとは、例えば、インフレーション法やTダイ法等の方法により製造することができる樹脂フィルムや、このような樹脂フィルムを金属箔に積層したものである。また、ここでいうフィルムは、延伸されたものであってもなくてもよく、単層のフィルムであっても多層フィルムであってもよい。また、ここでいう多層フィルムは、コーティング法により製造されてもよいし、複数枚のフィルムが接着剤等により接着されたものでもよいし、多層押出法により製造されてもよい。
以上のとおり、シート21、22は様々に構成することができるが、本実施形態では、シート21、22は、例えば、図2に示されるラミネートフィルムから構成される。ラミネートフィルムは、基材層1、接着剤層2、バリア層3、熱融着性樹脂層4、および、接着層5を積層した積層体とすることができる。基材層1は、シート21、22の基材として機能し、典型的には、容器20の外層側を形成し、絶縁性を有する樹脂層である。バリア層3は、シート21、22の強度向上の他、内部空間S1に少なくとも水分等が侵入することを防止する機能を有し、典型的には、アルミニウム合金箔等からなる金属層である。熱融着性樹脂層4および接着層5は、典型的には、ポリオレフィン等の熱融着可能な樹脂からなり、容器20の最内層を形成する。以下では、シート21、22を構成するラミネートフィルムの各層の具体的な構成の例について説明する。
<1-2-1.基材層>
本実施形態において、基材層1は、シート21、22の基材としての機能を発揮させることなどを目的として設けられる層である。基材層1は、シート21、22の外層側に位置する。
基材層1を形成する素材については、基材としての機能、すなわち少なくとも絶縁性を備えるものであることを限度として特に制限されない。基材層1は、例えば樹脂を用いて形成することができ、樹脂には後述の添加剤が含まれていてもよい。
基材層1が樹脂により形成されている場合、基材層1は、例えば、樹脂により形成された樹脂フィルムであってもよいし、樹脂を塗布して形成したものであってもよい。樹脂フィルムは、未延伸フィルムであってもよいし、延伸フィルムであってもよい。延伸フィルムとしては、一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムが挙げられ、二軸延伸フィルムが好ましい。二軸延伸フィルムを形成する延伸方法としては、例えば、逐次二軸延伸法、インフレーション法、同時二軸延伸法等が挙げられる。樹脂を塗布する方法としては、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、押出コーティング法などがあげられる。
基材層1を形成する樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン、珪素樹脂、フェノール樹脂などの樹脂や、これらの樹脂の変性物が挙げられる。また、基材層1を形成する樹脂は、これらの樹脂の共重合物であってもよいし、共重合物の変性物であってもよい。さらに、これらの樹脂の混合物であってもよい。
基材層1を形成する樹脂としては、これらの中でも、好ましくはポリエステル、ポリアミドが挙げられる。
ポリエステルとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等が挙げられる。また、共重合ポリエステルとしては、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体とした共重合ポリエステル等が挙げられる。具体的には、エチレンテレフタレートを繰り返し単位の主体としてエチレンイソフタレートと重合する共重合体ポリエステル(以下、ポリエチレン(テレフタレート/イソフタレート)にならって略す)、ポリエチレン(テレフタレート/アジペート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムスルホイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/ナトリウムイソフタレート)、ポリエチレン(テレフタレート/フェニル-ジカルボキシレート)、ポリエチレン(テレフタレート/デカンジカルボキシレート)等が挙げられる。これらのポリエステルは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、ポリアミドとしては、具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン6とナイロン66との共重合体等の脂肪族ポリアミド;テレフタル酸および/またはイソフタル酸に由来する構成単位を含むナイロン6I、ナイロン6T、ナイロン6IT、ナイロン6I6T(Iはイソフタル酸、Tはテレフタル酸を表す)等のヘキサメチレンジアミン-イソフタル酸-テレフタル酸共重合ポリアミド、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)等の芳香族を含むポリアミド;ポリアミドPACM6(ポリビス(4-アミノシクロヘキシル)メタンアジパミド)等の脂環式ポリアミド;さらにラクタム成分や、4,4'-ジフェニルメタン-ジイソシアネート等のイソシアネート成分を共重合させたポリアミド、共重合ポリアミドとポリエステルやポリアルキレンエーテルグリコールとの共重合体であるポリエステルアミド共重合体やポリエーテルエステルアミド共重合体;これらの共重合体等のポリアミドが挙げられる。これらのポリアミドは、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1は、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、およびポリオレフィンフィルムのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、延伸ポリエステルフィルム、および延伸ポリアミドフィルム、および延伸ポリオレフィンフィルムのうち少なくとも1つを含むことが好ましく、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、延伸ナイロンフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムのうち少なくとも1つを含むことがさらに好ましく、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリブチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムのうち少なくとも1つを含むことがさらに好ましい。
基材層1は、単層であってもよいし、2層以上により構成されていてもよい。基材層1が2層以上により構成されている場合、基材層1は、樹脂フィルムを接着剤などで積層させた積層体であってもよいし、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体であってもよい。また、樹脂を共押出しして2層以上とした樹脂フィルムの積層体を、未延伸のまま基材層1としてもよいし、一軸延伸または二軸延伸して基材層1としてもよい。
基材層1において、2層以上の樹脂フィルムの積層体の具体例としては、ポリエステルフィルムとナイロンフィルムとの積層体、2層以上のナイロンフィルムの積層体、2層以上のポリエステルフィルムの積層体などが挙げられ、好ましくは、延伸ナイロンフィルムと延伸ポリエステルフィルムとの積層体、2層以上の延伸ナイロンフィルムの積層体、2層以上の延伸ポリエステルフィルムの積層体が好ましい。例えば、基材層1が2層の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムとポリエステル樹脂フィルムの積層体、ポリアミド樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体、またはポリエステル樹脂フィルムとポリアミド樹脂フィルムの積層体が好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの積層体、ナイロンフィルムとナイロンフィルムの積層体、またはポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムの積層体がより好ましい。また、ポリエステル樹脂は、例えば電解液が表面に付着した際に変色し難いことなどから、基材層1が2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、ポリエステル樹脂フィルムが基材層1の最外層に位置することが好ましい。
基材層1が、2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、2層以上の樹脂フィルムは、接着剤を介して積層させてもよい。好ましい接着剤については、後述の接着剤層2で例示する接着剤と同様のものが挙げられる。なお、2層以上の樹脂フィルムを積層させる方法としては、特に制限されず、公知方法が採用でき、例えばドライラミネート法、サンドイッチラミネート法、押出ラミネート法、サーマルラミネート法などが挙げられ、好ましくはドライラミネート法が挙げられる。ドライラミネート法により積層させる場合には、接着剤としてポリウレタン接着剤を用いることが好ましい。このとき、接着剤の厚みとしては、例えば2~5μm程度が挙げられる。また、樹脂フィルムにアンカーコート層を形成し積層させても良い。アンカーコート層は、後述の接着剤層2で例示する接着剤と同様のものがあげられる。このとき、アンカーコート層の厚みとしては、例えば0.01から1.0μm程度が挙げられる。
また、基材層1の表面および内部の少なくとも一方には、滑剤、難燃剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤、耐電防止剤等の添加剤が存在していてもよい。添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、シート21、22の成形性を高める観点からは、基材層1の表面には、滑剤が存在していることが好ましい。滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。アミド系滑剤の具体例としては、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、メチロールアミド、飽和脂肪酸ビスアミド、不飽和脂肪酸ビスアミド、脂肪酸エステルアミド、芳香族ビスアミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸アミドの具体例としては、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどが挙げられる。置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミドなどが挙げられる。また、メチロールアミドの具体例としては、メチロールステアリン酸アミドなどが挙げられる。飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N'-ジステアリルセバシン酸アミドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアミドの具体例としては、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N'-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N'-ジオレイルセバシン酸アミドなどが挙げられる。脂肪酸エステルアミドの具体例としては、ステアロアミドエチルステアレートなどが挙げられる。また、芳香族ビスアミドの具体例としては、m-キシリレンビスステアリン酸アミド、m-キシリレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、N,N'-ジステアリルイソフタル酸アミドなどが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
基材層1の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、好ましくは約3mg/m2以上、より好ましくは4~15mg/m2程度、さらに好ましくは5~14mg/m2程度が挙げられる。
基材層1の表面に存在する滑剤は、基材層1を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、基材層1の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
基材層1の厚みについては、基材としての機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば、3~50μm程度、好ましくは10~35μm程度が挙げられる。基材層1が、2層以上の樹脂フィルムの積層体である場合、各層を構成している樹脂フィルムの厚みとしては、それぞれ、好ましくは2~25μm程度が挙げられる。
<1-2-2.接着剤層>
本実施形態のシート21、22において、接着剤層2は、基材層1とバリア層3との接着性を高めることを目的として、必要に応じて、これらの間に設けられる層である。
接着剤層2は、基材層1とバリア層3とを接着可能である接着剤によって形成される。接着剤層2の形成に使用される接着剤は限定されないが、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれであってもよい。また、2液硬化型接着剤(2液性接着剤)であってもよく、1液硬化型接着剤(1液性接着剤)であってもよく、硬化反応を伴わない樹脂でもよい。また、接着剤層2は単層であってもよいし、多層であってもよい。
接着剤に含まれる接着成分としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、共重合ポリエステル等のポリエステル;ポリエーテル;ポリウレタン;エポキシ樹脂;フェノール樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、共重合ポリアミド等のポリアミド;ポリオレフィン、環状ポリオレフィン、酸変性ポリオレフィン、酸変性環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリ酢酸ビニル;セルロース;(メタ)アクリル樹脂;ポリイミド;ポリカーボネート;尿素樹脂、メラミン樹脂等のアミノ樹脂;クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム等のゴム;シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの接着成分は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの接着成分の中でも、好ましくはポリウレタン接着剤が挙げられる。また、これらの接着成分となる樹脂は適切な硬化剤を併用して接着強度を高めることができる。前記硬化剤は、接着成分の持つ官能基に応じて、ポリイソシアネート、多官能エポキシ樹脂、オキサゾリン基含有ポリマー、ポリアミン樹脂、酸無水物などから適切なものを選択する。
ポリウレタン接着剤としては、例えば、ポリオール化合物を含有する主剤と、イソシアネート化合物を含有する硬化剤とを含むポリウレタン接着剤が挙げられる。好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびアクリルポリオール等のポリオールを主剤として、芳香族系または脂肪族系のポリイソシアネートを硬化剤とした二液硬化型のポリウレタン接着剤が挙げられる。また、ポリオール化合物としては、繰り返し単位の末端の水酸基に加えて、側鎖にも水酸基を有するポリエステルポリオールを用いることが好ましい。接着剤層2がポリウレタン接着剤により形成されていることでシート21、22に優れた電解液耐性が付与され、側面に電解液が付着しても基材層1が剥がれることが抑制される。
また、接着剤層2は、接着性を阻害しない限り他成分の添加が許容され、着色剤や熱可塑性エラストマー、粘着付与剤、フィラーなどを含有してもよい。接着剤層2が着色剤を含んでいることにより、シート21、22を着色することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
顔料の種類は、接着剤層2の接着性を損なわない範囲であれば、特に限定されない。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴチオインジゴ系、ペリノン-ペリレン系、イソインドレニン系、ベンズイミダゾロン系等の顔料が挙げられ、無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、酸化クロム系、鉄系等の顔料が挙げられ、その他に、マイカ(雲母)の微粉末、魚鱗箔等が挙げられる。
着色剤の中でも、例えばシート21、22の外観を黒色とするためには、カーボンブラックが好ましい。
顔料の平均粒子径としては、特に制限されず、例えば、0.05~5μm程度、好ましくは0.08~2μm程度が挙げられる。なお、顔料の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置で測定されたメジアン径とする。
接着剤層2における顔料の含有量としては、シート21、22が着色されれば特に制限されず、例えば5~60質量%程度、好ましくは10~40質量%が挙げられる。
接着剤層2の厚みは、基材層1とバリア層3とを接着できれば、特に制限されないが、例えば、約1μm以上、約2μm以上である。また、接着剤層2の厚みは、例えば、約10μm以下、約5μm以下である。接着剤層2の厚みの好ましい範囲については、1~10μm程度、1~5μm程度、2~10μm程度、2~5μm程度が挙げられる。
<1-2-3.着色層>
着色層は、基材層1とバリア層3との間に必要に応じて設けられる層である(図示を省略する)。接着剤層2を有する場合には、基材層1と接着剤層2との間、接着剤層2とバリア層3との間に着色層を設けてもよい。また、基材層1の外側に着色層を設けてもよい。着色層を設けることにより、シート21、22を着色することができる。
着色層は、例えば、着色剤を含むインキを基材層1の表面、またはバリア層3の表面に塗布することにより形成することができる。着色剤としては、顔料、染料などの公知のものが使用できる。また、着色剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
着色層に含まれる着色剤の具体例としては、[接着剤層2]の欄で例示したものと同じものが例示される。
<1-2-4.バリア層>
シート21、22において、バリア層3は、少なくとも水分の浸入を抑止する層である
。
バリア層3としては、例えば、バリア性を有する金属箔、蒸着膜、樹脂層などが挙げられる。蒸着膜としては金属蒸着膜、無機酸化物蒸着膜、炭素含有無機酸化物蒸着膜などが挙げられ、樹脂層としてはポリ塩化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)を主成分としたポリマー類やテトラフルオロエチレン(TFE)を主成分としたポリマー類やフルオロアルキル基を有するポリマー、およびフルオロアルキル単位を主成分としたポリマー類などのフッ素含有樹脂、エチレンビニルアルコール共重合体などが挙げられる。また、バリア層3としては、これらの蒸着膜および樹脂層の少なくとも1層を設けた樹脂フィルムなども挙げられる。バリア層3は、複数層設けてもよい。バリア層3は、金属材料により構成された層を含むことが好ましい。バリア層3を構成する金属材料としては、具体的には、アルミニウム合金、ステンレス鋼、チタン鋼、鋼板などが挙げられ、金属箔として用いる場合は、アルミニウム合金箔およびステンレス鋼箔の少なくとも一方を含むことが好ましい。
アルミニウム合金箔は、シート21、22の成形性を向上させる観点から、例えば、焼きなまし処理済みのアルミニウム合金などにより構成された軟質アルミニウム合金箔であることがより好ましく、より成形性を向上させる観点から、鉄を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。鉄を含むアルミニウム合金箔(100質量%)において、鉄の含有量は、0.1~9.0質量%であることが好ましく、0.5~2.0質量%であることがより好ましい。鉄の含有量が0.1質量%以上であることにより、より優れた成形性を有するシート21、22を得ることができる。鉄の含有量が9.0質量%以下であることにより、より柔軟性に優れたシート21、22を得ることができる。軟質アルミニウム合金箔としては、例えば、JIS H4160:1994 A8021H-O、JIS H4160:1994 A8079H-O、JIS H4000:2014 A8021P-O、またはJIS H4000:2014 A8079P-Oで規定される組成を備えるアルミニウム合金箔が挙げられる。また必要に応じて、ケイ素、マグネシウム、銅、マンガンなどが添加されていてもよい。また軟質化は焼鈍処理などで行うことができる。
また、ステンレス鋼箔としては、オーステナイト系、フェライト系、オーステナイト・フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系のステンレス鋼箔などが挙げられる。さらに成形性に優れたシート21、22を提供する観点から、ステンレス鋼箔は、オーステナイト系のステンレス鋼により構成されていることが好ましい。
ステンレス鋼箔を構成するオーステナイト系のステンレス鋼の具体例としては、SUS304、SUS301、SUS316Lなどが挙げられ、これら中でも、SUS304が特に好ましい。
バリア層3の厚みは、金属箔の場合、少なくとも水分の浸入を抑止するバリア層としての機能を発揮すればよく、例えば9~200μm程度が挙げられる。バリア層3の厚みは、好ましくは約85μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、特に好ましくは約35μm以下である。また、バリア層3の厚みは、好ましくは約10μm以上、さらに好ましくは約20μm以上、より好ましくは約25μm以上である。当該厚みの好ましい範囲としては、10~85μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度、10~35μm程度、20~85μm程度、20~50μm程度、20~40μm程度、20~35μm程度、25~85μm程度、25~50μm程度、25~40μm程度、25~35μm程度が挙げられる。バリア層3がアルミニウム合金箔により構成されている場合、上述した範囲が特に好ましい。また、特に、バリア層3がステンレス鋼箔により構成されている場合、ステンレス鋼箔の厚みとしては、好ましくは約60μm以下、より好ましくは約50μm以下、さらに好ましくは約40μm以下、さらに好ましくは約30μm以下、特に好ましくは約25μm以下が挙げられる。また、ステンレス鋼箔の厚みとしては、好ましくは約10μm以上、より好ましくは約15μm以上が挙げられる。また、ステンレス鋼箔の厚みの好ましい厚みの範囲としては、10~60μm程度、10~50μm程度、10~40μm程度、10~30μm程度、10~25μm程度、15~60μm程度、15~50μm程度、15~40μm程度、15~30μm程度、15~25μm程度が挙げられる。
また、バリア層3が金属箔の場合は、溶解や腐食の防止などのために、少なくとも基材層と反対側の面に耐腐食性皮膜を備えていることが好ましい。バリア層3は、耐腐食性皮膜を両面に備えていてもよい。ここで、耐腐食性皮膜とは、例えば、ベーマイト処理などの熱水変成処理、化成処理、陽極酸化処理、ニッケルやクロムなどのメッキ処理、コーティング剤を塗工する腐食防止処理をバリア層の表面に行い、バリア層に耐腐食性を備えさせる薄膜をいう。耐腐食性皮膜を形成する処理としては、1種類を行ってもよいし、2種類以上を組み合わせて行ってもよい。また、1層だけではなく多層化することもできる。さらに、これらの処理のうち、熱水変成処理および陽極酸化処理は、処理剤によって金属箔表面を溶解させ、耐腐食性に優れる金属化合物を形成させる処理である。なお、これらの処理は、化成処理の定義に包含される場合もある。また、バリア層3が耐腐食性皮膜を備えている場合、耐腐食性皮膜を含めてバリア層3とする。
耐腐食性皮膜は、シート21、22の成形時において、バリア層(例えば、アルミニウム合金箔)と基材層との間のデラミネーション防止、電解質と水分とによる反応で生成するフッ化水素により、バリア層表面の溶解、腐食、特にバリア層がアルミニウム合金箔である場合にバリア層表面に存在する酸化アルミニウムが溶解、腐食することを防止し、かつ、バリア層表面の接着性(濡れ性)を向上させ、ヒートシール時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止、成形時の基材層とバリア層とのデラミネーション防止の効果を示す。
化成処理によって形成される耐腐食性皮膜としては、種々のものが知られており、主には、リン酸塩、クロム酸塩、フッ化物、トリアジンチオール化合物、および希土類酸化物のうち少なくとも1種を含む耐腐食性皮膜などが挙げられる。リン酸塩、クロム酸塩を用いた化成処理としては、例えば、クロム酸クロメート処理、リン酸クロメート処理、リン酸-クロム酸塩処理、クロム酸塩処理などが挙げられ、これらの処理に用いるクロム化合物としては、例えば、硝酸クロム、フッ化クロム、硫酸クロム、酢酸クロム、蓚酸クロム、重リン酸クロム、クロム酸アセチルアセテート、塩化クロム、硫酸カリウムクロムなどが挙げられる。また、これらの処理に用いるリン化合物としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、ポリリン酸などが挙げられる。また、クロメート処理としてはエッチングクロメート処理、電解クロメート処理、塗布型クロメート処理などが挙げられ、塗布型クロメート処理が好ましい。この塗布型クロメート処理は、バリア層(例えばアルミニウム合金箔)の少なくとも内層側の面を、まず、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法、酸活性化法等の周知の処理方法で脱脂処理を行い、その後、脱脂処理面にリン酸Cr(クロム)塩、リン酸Ti(チタン)塩、リン酸Zr(ジルコニウム)塩、リン酸Zn(亜鉛)塩などのリン酸金属塩およびこれらの金属塩の混合体を主成分とする処理液、または、リン酸非金属塩およびこれらの非金属塩の混合体を主成分とする処理液、あるいは、これらと合成樹脂などとの混合物からなる処理液をロールコート法、グラビア印刷法、浸漬法等の周知の塗工法で塗工し、乾燥する処理である。処理液は例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができ、水が好ましい。また、このとき用いる樹脂成分としては、フェノール系樹脂やアクリル系樹脂などの高分子などが挙げられ、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体を用いたクロメート処理などが挙げられる。なお、当該アミノ化フェノール重合体において、下記一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位は、1種類単独で含まれていてもよいし、2種類以上の任意の組み合わせであってもよい。アクリル系樹脂は、ポリアクリル酸、アクリル酸メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸マレイン酸共重合体、アクリル酸スチレン共重合体、またはこれらのナトリウム塩、アンモニウム塩、アミン塩等の誘導体であることが好ましい。特にポリアクリル酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、またはアミン塩等のポリアクリル酸の誘導体が好ましい。本実施形態において、ポリアクリル酸とは、アクリル酸の重合体を意味している。また、アクリル系樹脂は、アクリル酸とジカルボン酸またはジカルボン酸無水物との共重合体であることも好ましく、アクリル酸とジカルボン酸またはジカルボン酸無水物との共重合体のアンモニウム塩、ナトリウム塩、またはアミン塩であることも好ましい。アクリル系樹脂は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
一般式(1)~(4)中、Xは、水素原子、ヒドロキシ基、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、アリル基またはベンジル基を示す。また、R1およびR2は、それぞれ同一または異なって、ヒドロキシ基、アルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。一般式(1)~(4)において、X、R1およびR2で示されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基などの炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。また、X、R1およびR2で示されるヒドロキシアルキル基としては、例えば、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基が1個置換された炭素数1~4の直鎖または分枝鎖状アルキル基が挙げられる。一般式(1)~(4)において、X、R1およびR2で示されるアルキル基およびヒドロキシアルキル基は、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。一般式(1)~(4)において、Xは、水素原子、ヒドロキシ基またはヒドロキシアルキル基であることが好ましい。一般式(1)~(4)で表される繰り返し単位を有するアミノ化フェノール重合体の数平均分子量は、例えば、500~100万程度であることが好ましく、1000~2万程度であることがより好ましい。アミノ化フェノール重合体は、例えば、フェノール化合物またはナフトール化合物とホルムアルデヒドとを重縮合して上記一般式(1)または一般式(3)で表される繰返し単位からなる重合体を製造し、次いでホルムアルデヒドおよびアミン(R1R2NH)を用いて官能基(-CH2NR1R2)を上記で得られた重合体に導入することにより、製造される。アミノ化フェノール重合体は、1種単独でまたは2種以上混合して使用される。
耐腐食性皮膜の他の例としては、希土類元素酸化物ゾル、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有するコーティング剤を塗工するコーティングタイプの腐食防止処理によって形成される薄膜が挙げられる。コーティング剤には、さらにリン酸またはリン酸塩、ポリマーを架橋させる架橋剤を含んでもよい。希土類元素酸化物ゾルには、液体分散媒中に希土類元素酸化物の微粒子(例えば、平均粒径100nm以下の粒子)が分散されている。希土類元素酸化物としては、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ネオジウム、酸化ランタン等が挙げられ、密着性をより向上させる観点から酸化セリウムが好ましい。耐腐食性皮膜に含まれる希土類元素酸化物は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。希土類元素酸化物ゾルの液体分散媒としては、例えば、水、アルコール系溶剤、炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤など各種溶媒を用いることができ、水が好ましい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミンとカルボン酸を有するポリマーからなるイオン高分子錯体、アクリル主骨格に1級アミンをグラフト重合させた1級アミングラフトアクリル樹脂、ポリアリルアミンまたはその誘導体、アミノ化フェノールなどが好ましい。また、アニオン性ポリマーとしては、ポリ(メタ)アクリル酸またはその塩、あるいは(メタ)アクリル酸またはその塩を主成分とする共重合体であることが好ましい。また、架橋剤が、イソシアネート基、グリシジル基、カルボキシル基、オキサゾリン基のいずれかの官能基を有する化合物とシランカップリング剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。また、前記リン酸またはリン酸塩が、縮合リン酸または縮合リン酸塩であることが好ましい。
耐腐食性皮膜の一例としては、リン酸中に、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化スズなどの金属酸化物や硫酸バリウムの微粒子を分散させたものをバリア層の表面に塗布し、150℃以上で焼付け処理を行うことにより形成したものが挙げられる。
耐腐食性皮膜は、必要に応じて、さらにカチオン性ポリマーおよびアニオン性ポリマーの少なくとも一方を積層した積層構造としてもよい。カチオン性ポリマー、アニオン性ポリマーとしては、上述したものが挙げられる。
なお、耐腐食性皮膜の組成の分析は、例えば、飛行時間型2次イオン質量分析法を用いて行うことができる。
化成処理においてバリア層3の表面に形成させる耐腐食性皮膜の量については、特に制限されないが、例えば、塗布型クロメート処理を行う場合であれば、バリア層3の表面1m2当たり、クロム酸化合物がクロム換算で例えば0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、リン化合物がリン換算で例えば0.5~50mg程度、好ましくは1.0~40mg程度、およびアミノ化フェノール重合体が例えば1.0~200mg程度、好ましくは5.0~150mg程度の割合で含有されていることが望ましい。
耐腐食性皮膜の厚みとしては、特に制限されないが、皮膜の凝集力や、バリア層や熱融着性樹脂層との密着力の観点から、好ましくは1nm~20μm程度、より好ましくは1nm~100nm程度、さらに好ましくは1nm~50nm程度が挙げられる。なお、耐腐食性皮膜の厚みは、透過電子顕微鏡による観察、または、透過電子顕微鏡による観察と、エネルギー分散型X線分光法もしくは電子線エネルギー損失分光法との組み合わせによって測定することができる。飛行時間型2次イオン質量分析法を用いた耐腐食性皮膜の組成の分析により、例えば、CeとPとOからなる2次イオン(例えば、Ce2PO4
+、CePO4
-などの少なくとも1種)や、例えば、CrとPとOからなる2次イオン(例えば、CrPO2
+、CrPO4
-などの少なくとも1種)に由来するピークが検出される。
化成処理は、耐腐食性皮膜の形成に使用される化合物を含む溶液を、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、浸漬法などによって、バリア層の表面に塗布した後に、バリア層の温度が70~200℃程度になるように加熱することにより行われる。また、バリア層に化成処理を施す前に、予めバリア層を、アルカリ浸漬法、電解洗浄法、酸洗浄法、電解酸洗浄法などによる脱脂処理に供してもよい。このように脱脂処理を行うことにより、バリア層の表面の化成処理をより効率的に行うことが可能となる。また、脱脂処理にフッ素含有化合物を無機酸で溶解させた酸脱脂剤を用いることで、金属箔の脱脂効果だけでなく不動態である金属のフッ化物を形成させることが可能であり、このような場合には脱脂処理だけを行ってもよい。
<1-2-5.熱融着性層>
本実施形態のシート21、22において、熱融着性樹脂層4は、最内層に該当し、熱交換器10の製造時に熱融着性樹脂層同士が熱融着してプレート50を密封する機能を発揮する層(シーラント層)である。
熱融着性樹脂層4は、ポリプロピレンおよびポリエチレンを含んでいる。本実施形態のシート21、22においては、熱融着性樹脂層4のTDに平行な方向かつ厚み方向yの断面について、走査型電子顕微鏡を用いて取得した断面画像に海島構造が観察される。
プロピレンとしては、ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー、プロピレンとブテンのブロックコポリマー、プロピレンとエチレンとブテンのブロックコポリマーであり、好ましくはプロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー、プロピレンとブテンのランダムコポリマー、プロピレンとエチレンとブテンのランダムコポリマーであり、好ましくはプロピレンとエチレンのランダムコポリマー)、プロピレン-αオレフィン共重合体などが挙げられる。また、エチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン-αオレフィン共重合体等が挙げられる。熱融着性樹脂層4に含まれるポリプロピレンおよびポリエチレンは、それぞれ、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
熱融着性樹脂層4は、45質量%以下のポリエチレンを含むポリプロピレン樹脂組成物により形成されていることが好ましい。ポリエチレンの含有率は、例えば約45質量%以下、好ましくは約30質量%以下、より好ましくは約20質量%以下であり、また、好ましくは約5質量%以上、より好ましくは約10質量%以上であり、好ましい範囲としては、5~45質量%程度、5~30質量%程度、5~20質量%程度、10~45質量%程度、10~30質量%程度、10~20質量%程度が挙げられる。また、ポリプロピレンの含有率は、例えば、95質量%以下、90質量%以下である。また、ポリプロピレンの含有率は、例えば、55質量%以上、70質量%以上、80質量%以上である。ポリプロピレンの含有率の好ましい範囲としては、55~95質量%程度、70~95質量%程度、80~95質量%程度、55~90質量%程度、70~90質量%程度、80~90質%程度が挙げられる。また、ポリプロピレン樹脂組成物におけるポリプロピレンとポリエチレンの質量比としては、ポリプロピレン100質量部に対して、ポリエチレンは、好ましくは5~80質量部程度、より好ましくは5~45質量部程度、さらに好ましくは10~30質量部程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、ポリプロピレンおよびポリエチレンに加えて、他の樹脂を含んでいてもよい。他の樹脂としては、例えば、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。
酸変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィンを酸成分でブロック重合またはグラフト重合することにより変性したポリマーである。
酸変性されるポリオレフィンとしては、具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等のポリエチレン;エチレン-αオレフィン共重合体;ホモポリプロピレン、ポリプロピレンのブロックコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのブロックコポリマー)、ポリプロピレンのランダムコポリマー(例えば、プロピレンとエチレンのランダムコポリマー)等のポリプロピレン;プロピレン-αオレフィン共重合体;エチレン-ブテン-プロピレンのターポリマー等が挙げられる。これらの中でも、ポリプロピレンが好ましい。共重合体である場合のポリオレフィン樹脂は、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよい。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、酸変性ポリオレフィンは、前記のポリオレフィンにアクリル酸若しくはメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、または、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。また、酸変性に使用される酸成分としては、例えば、マレイン酸、アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸またはその無水物が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンは、酸変性環状ポリオレフィンであってもよい。酸変性環状ポリオレフィンとは、環状ポリオレフィンを構成するモノマーの一部を、酸成分に代えて共重合することにより、または環状ポリオレフィンに対して酸成分をブロック重合またはグラフト重合することにより得られるポリマーである。酸変性される環状ポリオレフィンについては、前記と同様である。また、酸変性に使用される酸成分としては、前記のポリオレフィンの変性に使用される酸成分と同様である。
好ましい酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、1層のみで形成されていてもよいが、同一または異なる樹脂によって2層以上で形成されていてもよい。
また、熱融着性樹脂層4は、必要に応じて滑剤などを含んでいてもよい。熱融着性樹脂層4が滑剤を含む場合、シート21、22の成形性を高め得る。滑剤としては、特に制限されず、公知の滑剤を用いることができる。滑剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
滑剤としては、特に制限されないが、好ましくはアミド系滑剤が挙げられる。滑剤の具体例としては、基材層1で例示したものが挙げられる。滑剤は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
熱融着性樹脂層4の表面に滑剤が存在する場合、その存在量としては、特に制限されないが、シート21、22の成形性を高める観点からは、好ましくは10~50mg/m2程度、さらに好ましくは15~40mg/m2程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4の表面に存在する滑剤は、熱融着性樹脂層4を構成する樹脂に含まれる滑剤を滲出させたものであってもよいし、熱融着性樹脂層4の表面に滑剤を塗布したものであってもよい。
また、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、熱融着性樹脂層同士が熱融着してプレート50を密封する機能を発揮すれば特に制限されないが、例えば約100μm以下、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~85μm程度が挙げられる。なお、例えば、後述の接着層5の厚みが10μm以上である場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約85μm以下、より好ましくは15~45μm程度が挙げられ、例えば後述の接着層5の厚みが10μm未満である場合や接着層5が設けられていない場合には、熱融着性樹脂層4の厚みとしては、好ましくは約20μm以上、より好ましくは35~85μm程度が挙げられる。
熱融着性樹脂層4は、溶融押出成形により形成されたものであることが好ましい。また、後述の接着層5を有する場合、接着層5と熱融着性樹脂層4とは、溶融共押出成形により形成されたものであることが好ましい。本実施形態においては、熱融着性樹脂層4を形成する溶融樹脂の冷却条件を急冷条件にして、ポリプロピレン中でのポリエチレンの結晶成長を抑制することが好ましい。接着層5と熱融着性樹脂層4とを溶融共押出成形により形成する場合、接着層5の厚さを15~45μmとし、熱融着性樹脂層4の厚さを15~45μmとすることが好ましい。
<1-2-6.接着層>
本実施形態のシート21、22において、接着層5は、バリア層3(または耐酸性皮膜)と熱融着性樹脂層4を強固に接着させるために、これらの間に必要に応じて設けられる層である。
接着層5は、バリア層3と熱融着性樹脂層4とを接着可能である樹脂によって形成される。接着層5の形成に使用される樹脂としては、例えば接着剤層2で例示した接着剤と同様のものが使用できる。なお、接着層5の形成に使用される樹脂としては、ポリオレフィン骨格を含んでいることが好ましく、前述の熱融着性樹脂層4で例示したポリオレフィン、酸変性ポリオレフィンが挙げられる。接着層5を構成している樹脂がポリオレフィン骨格を含むことは、例えば、赤外分光法、ガスクロマトグラフィー質量分析法などにより分析可能であり、分析方法は特に問わない。また、接着層5を構成している樹脂を赤外分光法で分析すると、無水マレイン酸に由来するピークが検出されることが好ましい。例えば、赤外分光法にて無水マレイン酸変性ポリオレフィンを測定すると、波数1760cm-1付近と波数1780cm-1付近に無水マレイン酸由来のピークが検出される。ただし、酸変性度が低いとピークが小さくなり検出されない場合がある。その場合は核磁気共鳴分光法にて分析可能である。
バリア層3と熱融着性樹脂層4とを強固に接着する観点から、接着層5は、酸変性ポリオレフィンを含むことが好ましい。酸変性ポリオレフィンとしては、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリオレフィン、カルボン酸またはその無水物で変性されたポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。
さらに、シート21、22の厚みを薄くしつつ、成形後の形状安定性に優れたシート21、22とする観点からは、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。酸変性ポリオレフィンとしては、好ましくは、前記のものが例示できる。
また、接着層5は、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが好ましく、酸変性ポリオレフィンと、イソシアネート基を有する化合物およびエポキシ基を有する化合物からなる群より選択される少なくとも1種とを含む樹脂組成物の硬化物であることが特に好ましい。また、接着層5は、ポリウレタン、ポリエステル、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリウレタンおよびエポキシ樹脂を含むことがより好ましい。ポリエステルとしては、例えばアミドエステル樹脂が好ましい。アミドエステル樹脂は、一般的にカルボキシル基とオキサゾリン基の反応で生成する。接着層5は、これらの樹脂のうち少なくとも1種と前記酸変性ポリオレフィンを含む樹脂組成物の硬化物であることがより好ましい。なお、接着層5に、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、エポキシ樹脂などの硬化剤の未反応物が残存している場合、未反応物の存在は、例えば、赤外分光法、ラマン分光法、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)などから選択される方法で確認することが可能である。
また、バリア層3と接着層5との密着性をより高める観点から、接着層5は、酸素原子、複素環、C=N結合、およびC-O-C結合からなる群より選択される少なくとも1種を有する硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることが好ましい。複素環を有する硬化剤としては、例えば、オキサゾリン基を有する硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤などが挙げられる。また、C=N結合を有する硬化剤としては、オキサゾリン基を有する硬化剤、イソシアネート基を有する硬化剤などが挙げられる。また、C-O-C結合を有する硬化剤としては、オキサゾリン基を有する硬化剤、エポキシ基を有する硬化剤、ポリウレタンなどが挙げられる。接着層5がこれらの硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物であることは、例えば、ガスクロマトグラフ質量分析(GCMS)、赤外分光法(IR)、飛行時間型二次イオン質量分析法(TOF-SIMS)、X線光電子分光法(XPS)などの方法で確認することができる。
イソシアネート基を有する化合物としては、特に制限されないが、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高める観点からは、好ましくは多官能イソシアネート化合物が挙げられる。多官能イソシアネート化合物は、2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であれば、特に限定されない。多官能イソシアネート系硬化剤の具体例としては、ペンタンジイソシアネート(PDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、これらをポリマー化やヌレート化したもの、これらの混合物や他ポリマーとの共重合物などが挙げられる。また、アダクト体、ビュレット体、イソシアヌレート体などが挙げられる。
接着層5における、イソシアネート基を有する化合物の含有量としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
オキサゾリン基を有する化合物は、オキサゾリン骨格を備える化合物であれば、特に限定されない。オキサゾリン基を有する化合物の具体例としては、ポリスチレン主鎖を有するもの、アクリル主鎖を有するものなどが挙げられる。また、市販品としては、例えば、日本触媒社製のエポクロスシリーズなどが挙げられる。
接着層5における、オキサゾリン基を有する化合物の割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
エポキシ基を有する化合物としては、例えば、エポキシ樹脂が挙げられる。エポキシ樹脂としては、分子内に存在するエポキシ基によって架橋構造を形成することが可能な樹脂であれば、特に制限されず、公知のエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂の重量平均分子量としては、好ましくは50~2000程度、より好ましくは100~1000程度、さらに好ましくは200~800程度が挙げられる。なお、第1の開示において、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、標準サンプルとしてポリスチレンを用いた条件で測定された、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)により測定された値である。
エポキシ樹脂の具体例としては、トリメチロールプロパンのグリシジルエーテル誘導体、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、変性ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
接着層5における、エポキシ樹脂の割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
ポリウレタンとしては、特に制限されず、公知のポリウレタンを使用することができる。接着層5は、例えば、2液硬化型ポリウレタンの硬化物であってもよい。
接着層5における、ポリウレタンの割合としては、接着層5を構成する樹脂組成物中、0.1~50質量%の範囲にあることが好ましく、0.5~40質量%の範囲にあることがより好ましい。これにより、電解液などのバリア層の腐食を誘発する成分が存在する雰囲気における、バリア層3と接着層5との密着性を効果的に高めることができる。
なお、接着層5が、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1種と、前記酸変性ポリオレフィンとを含む樹脂組成物の硬化物である場合、酸変性ポリオレフィンが主剤として機能し、イソシアネート基を有する化合物、オキサゾリン基を有する化合物、およびエポキシ基を有する化合物は、それぞれ、硬化剤として機能する。
接着層5の厚さは、好ましくは、約50μm以下、約45μm以下、約30μm以下、約20μm以下、約5μm以下である。また、接着層5の厚さは、好ましくは、約0.1μm以上、約0.5μm以上、約5μm以上、約10μm以上、約15μm以上である。当該厚さの範囲としては、好ましくは、0.1~50μm程度、0.1~45μm程度、0.1~30μm程度、0.1~20μm程度、0.1~5μm程度、0.5~50μm程度、0.5~45μm程度、0.5~30μm程度、0.5~20μm程度、0.5~5μm程度、5~50μm程度、5~45μm程度、5~30μm程度、5~20μm程度、10~50μm程度、10~45μm程度、10~30μm程度、10~20μm程度、15~50μm程度、15~45μm程度、15~30μm程度、15~20μm程度などが挙げられる。
より具体的には、特に、接着剤層2で例示した接着剤や、酸変性ポリオレフィンと硬化剤との硬化物である場合は、好ましくは1~10μm程度、より好ましくは1~5μm程度が挙げられる。また、特に、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂(酸変性ポリオレフィンなど)を用いる場合であれば、好ましくは5~50μm程度、5~45μm程度、10~50μm程度、10~45μm程度、15~50μm程度、15~45μm程度が挙げられる。なお、接着層5が接着剤層2で例示した接着剤や、酸変性ポリオレフィンと硬化剤を含む樹脂組成物の硬化物である場合、例えば、当該樹脂組成物を塗布し、加熱等により硬化させることにより、接着層5を形成することができる。また、熱融着性樹脂層4で例示した樹脂を用いる場合、例えば、熱融着性樹脂層4と接着層5との溶融共押出成形により好適に形成することができる。
なお、ラミネートフィルムに含まれる接着層5に関して、ポリオレフィンを用いて具体例を示したが、接着層5を構成する材料は、これに限定されない。熱交換対象物を加温する場合、接着層5を構成する材料としては、耐熱性の観点から、ガラス転移点または融点が高い樹脂等を選択できる。また、プレート50と容器20とは、接合されているほうがより好ましいため、接着層5を構成する材料は、プレート50と接合可能な材料を選択できる。
本実施形態の容器20は、図3のような形状を有し、平坦状のシート21と、トレイ状に成形され、シート21の上から重ね合わされたシート22とを、平面視における外周部分に沿ってヒートシールすることにより製造される。シート22は、平面視における外周部分に相当する角環状のフランジ部22Aと、フランジ部22Aの内縁に連続し、そこから上方に膨出する成形部22Bとを含む。シート21、22は、それぞれの外縁が一致するように重ね合わされる。この状態で、シート21の外縁を含む所定範囲と、シート22のフランジ部22Aとが、一体化するようにヒートシールされることによって、周縁シール部90が形成される。周縁シール部90は、容器20の外周全周に亘って延び、角環状に形成される。なお、容器20は、シート21がトレイ形状であり、シート22が平坦状であってもよく、シート21およびシート22の両方がトレイ形状であってもよい。本実施形態では、例えば、熱交換対象物が発火した場合、内部空間S1が開放されるようにシート21、22のうちの周縁シール部90を含む部分を破断することによって、熱交換媒体を取り出し、熱交換対象物を消火することができる。
<1-3.供給部材の構成>
供給部材30は、内部空間S1と外部とを連通するように容器20に取り付けられる。供給部材30は、例えば、スパウトである。供給部材30は、入口31および出口32を有する。入口31は、容器20の外部に位置する。出口32は、内部空間S1に位置する。入口31には、熱交換媒体を容器20に供給する供給ホース110が取り付けられる。供給ホース110によって供給される熱交換媒体は、供給部材30の入口31および出口32を通過して内部空間S1に流れる。
<1-4.排出部材の構成>
排出部材40は、内部空間S1と外部とを連通するように容器20に取り付けられる。排出部材40は、例えば、スパウトである。排出部材40は、入口41および出口42を有する。入口41は、内部空間S1に位置する。出口42は、容器20の外部に位置する。出口42には、熱交換媒体を容器20から排出する排出ホース120が取り付けられる。内部空間S1を通過した熱交換媒体は、排出部材40の入口41および出口42を通過して排出ホース120に流れる。
供給部材30および排出部材40を構成する材料は、例えば、合成樹脂または金属である。合成樹脂は、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルテンペン、ポリフェニレンオキサイド、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニルサルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、ポリアリレート等である。なお、ポリオレフィンは、具体的には、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、エチレン-α・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブテン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン-メタクリル酸共重合体、あるいはエチレン-アクリル酸共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸との共重合体等である。金属は、例えば、アルミニウム合金、銅合金、ステンレス鋼、チタン鋼、鋼板などが挙げられる。供給部材30は、周縁シール部90のうちの左端部において、一対の接着フィルム100を介してシート21、22に挟まれている。排出部材40も周縁シール部90のうちの右端部において、一対の接着フィルム100を介してシート21、22に挟まれている。
<1-5.接着フィルムの構成>
接着フィルム100は、シート21、22と、供給部材30と、排出部材40とに接着するように構成されている。接着フィルム100を介することによって、供給部材30および排出部材40と、シート21、22の最内層(熱融着性樹脂層4)とが異素材であっても、これらを固定することができる。なお、接着フィルム100は、供給部材30および排出部材40に予め融着して固定することで一体化しておき、この接着フィルム100が固定された供給部材30および排出部材40をシート21、22で挟んで融着することで一体化される。周縁シール部90のうちの供給部材30と接着フィルム100とを挟む部分は、シート22、供給部材30、一対の接着フィルム100、および、シート21が一体化されている。以下では、周縁シール部90のうちの供給部材30と接着フィルム100とを挟む部分を含む幅方向に延びる部分を左方シール部91と称する場合がある。周縁シール部90の排出部材40と接着フィルム100とを挟む部分は、シート22、排出部材40、一対の接着フィルム100、および、シート21が一体化されている。以下では、周縁シール部90のうちの排出部材40と接着フィルム100とを挟む部分を含む幅方向に延びる部分を右方シール部92と称する場合がある。周縁シール部90のうちの一対の接着フィルム100のみを挟む部分は、シート22、一対の接着フィルム100、および、シート21が一体化されている。以下では、周縁シール部90のうちのシート21およびシート22のみが融着された部分であり、左右方向に延びる部分を側方シール部93と称する場合がある。
接着フィルム100としては、公知の種々のものを採用することができる。接着フィルム100は、例えば、変性ポリプロピレン(PPa)の単層フィルムであってもよいし、PPa、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、PPaの複数層の積層フィルムであってもよい。また、PPa、ポリプロピレン(PP)、PPaの複数層の積層フィルムが適用されてもよい。また、上記のPPa樹脂に替えて、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、変性ポリエチレン、EVA等の金属接着可能な樹脂も適用可能である。本実施形態において、接着フィルム100は、PPa/ポリエステル繊維/PPaからなる、芯材が含まれている三層構造の積層フィルムを採用している。芯材としては、上記したポリエステル繊維以外にも公知の種々の材料を採用することができる。例えば、芯材は、PEN、ポリエチレンテレフタレート、または、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムであってもよいし、ポリアミド繊維であってもよいし、カーボン繊維であってもよい。
<1-6.プレートの構成>
図4は、プレート50の斜視図である。プレート50は、内部空間S1(図1参照)に配置され、内部空間S1における熱交換媒体の流路51が形成される。プレート50を構成する材料は、熱交換器10の通常の使用環境下において想定される大きさの外力が作用した場合であっても、実質的に変形しない材料である。プレート50を構成する材料は、合成樹脂、金属、または、金属酸化物である。合成樹脂および金属の例は、供給部材30および排出部材40に関する説明で例示した材料である。金属酸化物は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、または、ジルコニア等である。
平面視におけるプレート50の形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、平面視におけるプレート50の形状は、長方形である。平面視におけるプレート50の形状は、正方形、三角形、五角形以上の多角形、円、または、楕円であってもよい。
プレート50の厚さ、長さ、および、幅は、任意に選択可能である。本実施形態では、熱交換器10は、複数のモジュールの間に挿入されるように配置されるため、プレート50の厚さは、1mm~2mm程度である。長さおよび幅は、熱交換対象物の大きさに基づいて決められる。
プレート50は、上面50A、下面50B、左右方向に延びる一対の第1側面50CX、50CY、および、幅方向に延びる一対の第2側面50DX、50DYを有する。プレート50は、左右方向および幅方向において、容器20に対して位置がずれないように、上面50Aおよび下面50Bの少なくとも一部が、シート21、22の内面と接合されていることが好ましい。本実施形態では、プレート50の上面50Aの全体がシート22の内面と接合され、プレート50の下面50Bの全体がシート21の内面と接合される。また、上面50Aおよび下面50Bの全体がシート21、22と接合されている場合、換言すれば、上面50Aおよび下面50Bとシート21、22との間に実質的に隙間が存在しない場合、供給部材30の出口32を通過した熱交換媒体がプレート50の流路51に好適に誘導される。
図1に示されるように、幅方向において、プレート50の位置が容器20に対してずれないように、一対の第1側面50CX、50CYと側方シール部93の内縁との間に実質的に隙間が形成されないことが好ましい。プレート50は、第2側面50DXが供給部材30の出口32との間に所定間隔を有するように配置される。プレート50は、第2側面50DYが排出部材40の入口41との間に所定間隔を有するように配置される。
図3に示される流路51は、内部空間S1において、熱交換媒体を供給部材30の出口32から排出部材40の入口41に誘導する。プレート50に形成される流路51の数は、任意に選択可能である。本実施形態では、プレート50に形成される流路51の数は、9個である。プレート50に形成される流路51の数は、1~8個、または、10個以上であってもよい。複数の流路51は、プレート50の左右方向に沿って延び、プレート50を貫通しない溝である。本実施形態では、プレート50の上面50Aに5個の流路51(以下では、「上面流路51A」という)が形成される。プレート50の下面50Bに4個の流路51(以下では、「下面流路51B」という)が形成される。上面流路51Aは、プレート50の幅方向に沿って所定の間隔で並んでいる。上面流路51Aは、第2側面50DXから第2側面50DYまで達している。下面流路51Bは、プレート50の幅方向に沿って所定の間隔で並んでいる。下面流路51Bは、第2側面50DXから第2側面50DYまで達している。上面流路51Aと、下面流路51Bとは、プレート50の幅方向における位置が互いに異なる。プレート50に局所的に薄い部分が形成されないため、プレート50の強度が低下しにくい。上面流路51Aと下面流路51Bとは、プレート50の幅方向において、交互に形成される。
<1-7.熱交換器の作用および効果>
熱交換媒体は、供給部材30の出口32、プレート50の流路51の順に流れ、熱交換対象物から熱を奪い、排出部材40の出口42を通過して外部に排出される。本実施形態では、プレート50に流路51が形成されているため、熱交換器10の使用時に熱交換器10に何らかの外力が作用した場合であっても、流路51が変形しにくい。流路51における熱交換媒体の流量が安定するため、熱交換対象物を好適に冷却または加温できる。なお、熱交換器10の使用時に熱交換器10に作用する外力は、例えば、熱交換対象物が膨張し、熱交換器10に熱交換対象物が押し付けられることによって作用する外力である。
<2.第2実施形態>
第2実施形態の熱交換器200は、拡散部材210を備える点において、第1実施形態と異なり、その他の構成は、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図5は、第2実施形態の熱交換器200の平面図である。熱交換器200は、熱交換媒体を拡散する拡散部材210を備える。拡散部材210を構成する材料は、例えば、スポンジまたは不織布である。拡散部材210の形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、拡散部材210の形状は、直方体である。拡散部材210は、第1拡散部材211および第2拡散部材212を含む。
第1拡散部材211は、供給部材30の出口32を通過した熱交換媒体をプレート50の流路51に向けて拡散する。第1拡散部材211は、左右方向において、供給部材30の出口32と、プレート50の第2側面50DXとの間に配置される。第1拡散部材211は、幅方向において、容器20に対する位置がずれないように、側方シール部93の内縁と実質的に隙間が形成されないように配置される。第1拡散部材211は、プレート50の第2側面50DXと接触するように配置される。第1拡散部材211は、プレート50と接合されていてもよい。第1拡散部材211は、左方シール部91の内縁と所定の隙間が形成されるように配置される。
第2拡散部材212は、プレート50の流路51を通過した熱交換媒体を排出部材40に向けて拡散する。第2拡散部材212は、左右方向において、排出部材40の入口41と、プレート50の第2側面50DYとの間に配置される。第2拡散部材212は、幅方向において、容器20に対する位置がずれないように、側方シール部93の内縁と実質的に隙間が形成されないように配置される。第2拡散部材212は、プレート50の第2側面50DYと接触するように配置される。第2拡散部材212は、プレート50と接合されていてもよい。第2拡散部材212は、右方シール部92の内縁と所定の隙間が形成されるように配置される。
熱交換器200によれば、第1実施形態の熱交換器10と同様の効果が得られる。また、熱交換器200によれば、第1拡散部材211を備えるため、供給部材30の出口32を通過した熱交換媒体をプレート50の流路51に向けて好適に拡散できる。さらに、熱交換器200によれば、第2拡散部材212を備えるため、プレート50の流路51を通過した熱交換媒体を排出部材40の入口41に向けて好適に拡散できる。
<3.第3実施形態>
第3実施形態の熱交換器300は、第1実施形態と比較して、供給部材30および排出部材40の構成が異なる。他の構成は、基本的に第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図6は、第3実施形態の熱交換器300の平面図である。熱交換器300は、供給部材330および排出部材340を備える。
供給部材330は、プレート50と一体的に形成される。供給部材330の形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、供給部材330は、偏平の板状である。幅方向において、供給部材330の長さは、プレート50の長さよりも短い。供給部材330は、熱交換媒体が通過する通路331を含む。供給部材330に形成される通路331の数は、任意に選択可能である。本実施形態では、供給部材330は、5つの通路331を有する。供給部材330に形成される通路331の数は、1~4つ、または、6つ以上であってもよい。通路331は、熱交換媒体の入口332および出口333を有する。入口332は、容器20の外部に位置し、供給ホース110(図1)が接続される。出口333は、内部空間S1に位置し、例えば、上面流路51Aのうちの第2側面50DX側の端部とする。
排出部材340は、プレート50と一体的に形成される。排出部材340は、本体部341、一対の羽根部342、および、熱交換媒体が通過する通路343を有する。本体部341の形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、本体部341は、偏平の板状である。幅方向において、本体部341の長さは、プレート50の長さよりも短い。羽根部342は、本体部341と一体的に形成され、幅方向における本体部341の端部から張り出す。羽根部342の形状は、任意に選択可能である。本実施形態では、羽根部342は、偏平の板状である。通路343は、本体部341に形成される。排出部材340に形成される通路343の数は、任意に選択可能である。本実施形態では、排出部材340は、5つの通路343を有する。排出部材340に形成される通路343の数は、1~4つ、または、6つ以上であってもよい。通路343は、熱交換媒体の入口344および出口345を有する。入口344は、内部空間S1に位置し、例えば、上面流路51Aのうちの第2側面50DY側の端部と面する。出口345は、容器20の外部に位置し、排出ホース120(図1参照)が接続される。
熱交換器200によれば、第1実施形態の熱交換器10と同様の効果が得られる。また、熱交換器200によれば、供給部材330および排出部材340がプレート50と一体的に形成されているため、熱交換器200を容易に製造できる。また、供給部材330および排出部材340が偏平の板状であるため、シート21、22と供給部材330および排出部材340とを容易にヒートシールすることができる。
<4.第4実施形態>
第4実施形態の熱交換器400は、第1実施形態と比較して、プレート50の構成、供給部材30の数、および、排出部材40の数が異なる。他の構成は、基本的に第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略し、第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図7は、第4実施形態の熱交換器400の平面図である。熱交換器400は、内部空間S1に配置される複数のプレート450を備える。複数のプレート450は、例えば、左右方向に延びるバー状であり、内部空間S1を区画することによって、熱交換媒体の流路460を形成する。熱交換器400が備えるプレート450の数は、2つ以上であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、熱交換器400は、6つのプレート450を備える。熱交換器400は、2~5つ、または、7つ以上のプレート450を備えていてもよい。複数のプレート450は、内部空間S1において、幅方向に沿って所定間隔毎に並べられる。複数のプレート450のうちの、幅方向の最も外側に配置される2つのプレート450は、側方シール部93の内縁と実質的に隙間が存在しないように配置される。
図8に示されるように、複数のプレート450は、上面451および下面452を有する。複数のプレート450は、左右方向および幅方向において、容器20に対して位置がずれないように、上面451および下面452の少なくとも一部が、シート21、22の内面と接合されていることが好ましい。本実施形態では、プレート450の上面451の全体がシート22の内面と接合され、プレート50の下面452の全体がシート21の内面と接合される。上面451および下面452の全体がシート21、22と接合されている場合、換言すれば、上面451および下面452とシート21、22との間に実質的に隙間が存在しない場合、供給部材30の出口32を通過した熱交換媒体が流路460に好適に誘導される。
流路460は、複数のプレート450のうちの幅方向において隣り合うプレート450の間に形成される。このため、熱交換器400が備える流路460の数は、内部空間S1に配置されるプレート450の数に依存する。本実施形態では、熱交換器400は、5つの流路460を有する。
供給部材30は、例えば、出口32が流路460と面するように配置される。このため、出口32を通過した熱交換媒体が流路460に好適に誘導される。熱交換器400が備える供給部材30の数は、任意に選択可能である。熱交換器400が備える供給部材30の数は、流路460の数と一致していることが好ましい。本実施形態では、熱交換器400は、5つの供給部材30を備える。
排出部材40は、例えば、入口41が流路460と面するように配置される。このため、流路460を通過した熱交換媒体が入口41に好適に誘導される。熱交換器400が備える排出部材40の数は、任意に選択可能である。熱交換器400が備える排出部材40の数は、流路460の数と一致していることが好ましい。本実施形態では、熱交換器400は、5つの排出部材40を備える。熱交換器400によれば、第1実施形態の熱交換器10と同様の効果が得られる。
<5.第5実施形態>
第5実施形態の熱交換器500は、第4実施形態と比較して、容器20の構成、および、スペーサ530を備える点が異なる。他の構成は、基本的に第4実施形態と同様である。以下では、第4実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略し、第4実施形態と異なる部分を中心に説明する。
<5-1.熱交換器の構成>
図9は、第5実施形態の熱交換器500の平面図である。図10は、図9のD10-D10線に沿う断面図である。熱交換器500は、容器520およびスペーサ530を備える。
容器520は、第1シート521および第2シート522を含む。第1シート521および第2シート522を構成する材料は、第1実施形態で例示した材料と同様である。第2シート522は、第1シート521との間に熱交換媒体が流れる複数の流路540が形成されるように第1シート521と接合される。第2シート522は、複数の折曲部522Aを有する。複数の折曲部522Aは、第1シート521と接合されていない部分であり、折曲部522Aの内面と第1シート521の内面とによって囲まれる空間に流路540が形成される。折曲部522Aは、幅方向に所定の間隔毎に形成される。折曲部522Aは、左右方向に延びる。このため、流路540も左右方向に延びる。
第2シート522に形成される折曲部522Aの数は、2つ以上であれば任意に選択可能である。本実施形態では、第2シート522は、5つの折曲部522Aを有する。第2シート522に形成される折曲部522Aの数は、2~4つ、または、6つ以上であってもよい。断面視における折曲部522Aの形状は、任意に選択可能である。図9に示されるように、本実施形態では、断面視における折曲部522Aの形状は、長方形である。断面視における折曲部522Aの形状は、正方形、三角形、五角形以上の多角形、または、半円であってもよい。
周縁シール部90の内縁よりも内側において、第2シート522のうちの折曲部522A以外の部分は、第1シート521と接合される。第1シート521と第2シート522との接合方法は、任意に選択可能である。本実施形態では、第1シート521と第2シート522との接合方法は、ヒートシールである。以下では、周縁シール部90の内縁よりも内側において、第1シート521と第2シート522とが接合されている部分を、内方シール部550と称する。
内方シール部550は、第1内方シール部551および第2内方シール部552を有する。第1内方シール部551は、幅方向において最も外側に形成される折曲部522Aと側方シール部93の内縁との間に位置する。第2内方シール部552は、幅方向において隣り合う折曲部522Aの間に位置する。本実施形態では、幅方向における第1内方シール部551の幅と、第2内方シール部552の幅は、概ね等しい。本実施形態では、幅方向における折曲部552Aの幅は、第1内方シール部551の幅、および、第2内方シール部552の幅よりも広い。
スペーサ530は、例えば、第2シート522に外力が作用した場合であっても、折曲部522Aが変形しないように、内方シール部550上に配置される。換言すれば、スペーサ530は、第2シート522に外力が作用した場合であっても、流路540の形状を保持する機能を有する。
スペーサ530は、例えば、左右方向に延びるバー状である。スペーサ530を構成する材料は、例えば、第1実施形態で例示した、プレート50を構成する材料と同様である。スペーサ530は、上面531および下面532を有する。高さ方向におけるスペーサ530の上面531の位置は、第2シート522の表面と面一、または、第2シート522の表面よりも高い。スペーサ530の下面532は、第2シート522の表面と接合される。このため、スペーサ530の位置が、容器20に対してずれにくい。熱交換器500が備えるスペーサ530の数は、第1内方シール部551および第2内方シール部552の数に基づいて決められる。スペーサ530は、全ての第1内方シール部551および第2内方シール部552に配置されることが好ましい。本実施形態では、熱交換器500は、6つのスペーサ530を備える。
供給部材30は、例えば、出口32が流路540と面するように配置される。このため、出口32を通過した熱交換媒体が流路540に好適に誘導される。熱交換器400が備える供給部材30の数は、任意に選択可能である。熱交換器400が備える供給部材30の数は、流路540の数と一致していることが好ましい。本実施形態では、熱交換器400は、5つの供給部材30を備える。
排出部材40は、例えば、入口41が流路540と面するように配置される。このため、流路540を通過した熱交換媒体が入口41に好適に誘導される。熱交換器400が備える排出部材40の数は、任意に選択可能である。熱交換器400が備える排出部材40の数は、流路540の数と一致していることが好ましい。本実施形態では、熱交換器400は、5つの排出部材40を備える。
<5-2.熱交換器の製造方法>
図11~図13を参照して、熱交換器500の製造方法の一例を説明する。
熱交換器500の製造方法は、例えば、容器成形工程、スペーサ成形工程、および、スペーサ取付工程を含む。
容器成形工程では、折曲部522Aが形成されるように第2シート522が折り曲げられ、周縁シール部90および内方シール部550が形成されるように、第1シート521と第2シート522とが接合される。
図11に示されるように、スペーサ成形工程では、平板状のスペーサ基材560と連結シート570とが接合される。連結シート570を構成する材料は、任意に選択可能である。本実施形態では、連結シート570を構成する材料は、ポリエチレンテレフタレートである。
図12に示されるように、連結シート570に接合されたスペーサ基材560に切削加工が施されることにより、所定の大きさの複数のスペーサ530が製造される。複数のスペーサ530は、連結シート570に接合された状態が維持される。
図13に示されるように、スペーサ取付工程では、連結シート570に接合された状態の複数のスペーサ530の下面532が内方シール部550と接合される。複数のスペーサ530の下面532と内方シール部550とが接合された後、連結シート570は、複数のスペーサ530から剥がされる。なお、複数のスペーサ530の下面532と内方シール部550とが接合された後、連結シート570が複数のスペーサ530と接合された状態のまま、熱交換器500を使用してもよい。この場合、第2シート522の上面の概ね全体が連結シート570によって覆われるため、容器20が保護される。
熱交換器500によれば、スペーサ530を備えるため、熱交換器500の使用時に熱交換器500に何らかの外力が作用した場合であっても、流路540が変形しにくい。流路540における熱交換媒体の流量が安定するため、熱交換対象物を好適に冷却できる。
<6.第6実施形態>
第6実施形態の熱交換器600は、第5実施形態と比較して、供給部材30および排出部材40の構成、ならびに、スペーサ530を備えていない点が異なる。他の構成は、基本的に第5実施形態と同様である。以下では、第5実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略し、第5実施形態と異なる部分を中心に説明する。
図14は、第6実施形態の熱交換器600の平面図である。図15は、図14のD15-D15線に沿う断面図である。熱交換器600は、供給部材630および排出部材640を備える。本実施形態では、左方シール部91および右方シール部92のシール性を良好にするため、供給部材630および排出部材640の構成に工夫が施されている。
供給部材630は、流路540と外部とを連通するように第1シート521および第2シート522に取り付けられる。供給部材630は、周縁シール部90のうちの左端部において、第1シート521および第2シート522に挟まれている。供給部材630は、第1シート521および第2シート522と接合される本体部631、および、本体部631に形成され、熱交換媒体が通過する複数の通路632を有する。
本体部631の形状は、第1シート521および第2シート522と接合しやすい形状であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、本体部631は、偏平の板状である。本実施形態では、本体部631と、第1シート521および第2シート522とは、ヒートシールによって接合される。本実施形態では、本体部631と、第1シート521および第2シート522とのシール性を良好にするため、本体部631の4つの角631Xには、R加工が施されている。
複数の通路632は、左右方向において、本体部631を貫通している。複数の通路632は、幅方向において、所定の間隔毎に並んで形成される。本体部631に形成される複数の通路632の数は、2つ以上であれば任意に選択可能である。本実施形態では、本体部631は、5つの通路632を有する。本体部631に形成される通路632の数は、2~4つ、または、6つ以上であってもよい。通路632は、熱交換媒体の入口632Aおよび出口632Bを有する。入口632Aは、容器520の外部に位置し、供給ホース110(図1)が接続される。出口632Bは、内部空間S1に位置する。出口632Bは、流路540と面する。このため、出口632Bを通過した熱交換媒体が流路540に好適に誘導される。
排出部材640は、供給部材630と同じ構成である。排出部材640は、流路540と外部とを連通するように第1シート521および第2シート522に取り付けられる。排出部材640は、周縁シール部90のうちの右端部において、第1シート521および第2シート522に挟まれている。排出部材640は、第1シート521および第2シート522と接合される本体部641、および、本体部641に形成され、熱交換媒体が通過する複数の通路642を有する。
本体部641の形状は、第1シート521および第2シート522と接合しやすい形状であれば、任意に選択可能である。本実施形態では、本体部641は、偏平の板状である。本実施形態では、本体部641と、第1シート521および第2シート522とは、ヒートシールによって接合される。本実施形態では、本体部641と、第1シート521および第2シート522とのシール性を良好にするため、供給部材630と同様に、本体部641の4つの角には、R加工が施されている。
複数の通路642は、左右方向において、本体部641を貫通している。複数の通路642は、幅方向において、所定の間隔毎に並んで形成される。本体部641に形成される複数の通路642の数は、2つ以上であれば任意に選択可能である。本実施形態では、本体部641は、5つの通路642を有する。本体部641に形成される通路642の数は、2~4つ、または、6つ以上であってもよい。通路642は、熱交換媒体の入口642Aおよび出口642Bを有する。入口642Aは、内部空間S1に位置する。入口642Aは、流路540と面する。このため、流路540を通過した熱交換媒体が入口642Aに好適に誘導される。出口642Bは、容器520の外部に位置し、排出ホース120(図1参照)が接続される。
熱交換器600によれば、供給部材630は、1つの本体部631に複数の通路632が形成されるため、例えば、複数の供給部材と第1シート521および第2シート522とをヒートシールする場合よりも、左方シール部91のシール性が良好になる。また、熱交換器600によれば、排出部材640は、1つの本体部641に複数の通路642が形成されるため、例えば、複数の排出部材と第1シート521および第2シート522とをヒートシールする場合よりも、右方シール部92のシール性が良好になる。
<7.変形例>
上記各実施形態は本発明に関する熱交換器が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に関する熱交換器は、各実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、各実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、各実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に各実施形態の変形例の幾つかの例を示す。なお、以下の変形例の要旨は、第1実施形態に加えて、第2実施形態~第5実施形態にも同様に適用可能である。
<7-1>
プレート50の構成は、各実施形態で示したものに限定されず、任意に変更可能である。例えば、第1実施形態~第3実施形態において、プレート50のうちの上面流路51Aまたは下面流路51Bの一方を省略してもよい。
<7-2>
第3実施形態において、供給部材330および排出部材340の構成は、任意に変更可能である。例えば、供給部材330は、1つの入口332と、1つの入口332から分岐するように構成される通路331を有していてもよい。この変形例では、供給部材330に接続される供給ホース110が1本であるため、構成を簡素化できる。また、例えば、排出部材340は、1つの出口345と、1つの出口345から分岐するように構成される通路343を有していいてもよい。この変形例では、排出部材340に接続される排出ホース120が1本であるため、構成を簡素化できる。
<7-3>
第6実施形態において、供給部材630の構成は、任意に変更可能である。
図16に示されるように、例えば、供給部材630の本体部631は、幅方向の端部に、幅方向の外側に向かうにつれて先細りとなるテーパ加工部631Yが形成されていてもよい。本体部631にテーパ加工部631Yが形成されていることにより、本体部631と、第1シート521および第2シート522とのシール性がより良好となる。
図17に示されるように、例えば、供給部材630の本体部631は、テーパ加工部631Yと繋がり、幅方向に沿って延びる羽根部631Zを有していてもよい。羽根部631Zは、例えば、偏平の板状である。図17に示される変形例によれば、本体部631と、第1シート521および第2シート522とのシール性がより良好となる。なお、図16および図17に示される変形例は、排出部材640、ならびに、第3実施形態の供給部材330および排出部材340にも同様に適用できる。
図18に示されるように、例えば、供給部材630は、1つの入口632Aと、1つの入口632Aから分岐するように構成される複数の通路632を有していてもよい。この変形例では、供給部材630に接続される供給ホース110が1本であるため、構成を簡素化できる。また、供給部材630と同様に、例えば、排出部材640は、1つの出口642Bと、1つの出口642Bから分岐するように構成される複数の通路642を有していてもよい。この変形例では、排出部材640に接続される排出ホース120が1本であるため、構成を簡素化できる。
<7-4>
第6実施形態において、供給ホース110の構成は、任意に変更可能である。図19に示されるように、供給ホース110は、1つの基部111と、基部111と繋がり、供給部材630の複数の入口632Aと繋がる拡張部112とを有するように構成してもよい。基部111を通過した熱交換媒体は、拡張部112を介して複数の入口632Aに供給される。この変形例によれば、複数の入口632Aのそれぞれに供給ホース110を接続する構成と比較して、構成を簡素化できる。この変形例は、排出ホース120にも適用可能である。すなわち、排出ホース120は、1つの基部と、基部と繋がり、排出部材640の複数の出口642Bと繋がる拡張部とを有するように構成してもよい。なお、図19に示される変形例は、第3実施形態にも同様に適用可能である。
<7-5>
第6実施形態において、熱交換器600は、5つの流路540を有していたが、熱交換器600は、少なくとも1つの流路540を有していればよい。例えば、熱交換器600が1つの流路540を有する場合、第1シート521と第2シート522とは、周縁シール部90のみで接合される。換言すれば、熱交換器600が1つの流路540を有する場合、折曲部522Aが省略される。また、第6実施形態において、内部空間S1において、熱交換媒体の流路を形成する構成は、第1実施形態~第4実施形態の構成を任意に採用できる。また、第6実施形態において、第5実施形態と同様に、熱交換器600の内方シール部550上にスペーサ530を配置してもよい。
<7-6>
容器20は、シート21とシート22とがヒートシールされることによって構成されたが、容器20を1枚のシートを折り畳み、周縁部をヒートシールすることによって構成してもよい。