以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比及び形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される車両10のエンジン12から駆動輪24までの動力伝達経路の概略構成を説明する図である。図1において、例えば走行用の駆動力源として用いられるエンジン12により出力された動力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14、前後進切換装置16、ベルト式の無段変速機(CVT)18、減速歯車装置20、差動歯車装置22などを順次介して、左右の駆動輪24へ伝達される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸12aに連結されたポンプ翼車14p、及びトルクコンバータ14の出力側部材に相当するタービン軸30を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14p及びタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、このロックアップクラッチ26が完全係合させられることによってポンプ翼車14p及びタービン翼車14tは一体回転させられる。
ポンプ翼車14pには、機械式のオイルポンプ28が連結されている。機械式のオイルポンプ28は、無段変速機18を変速制御したり、無段変速機18におけるベルト挟圧力を発生させたり、ロックアップクラッチ26のトルク容量を制御したり、前後進切換装置16における動力伝達経路を切り換えたり、車両10の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧を、エンジン12により回転駆動されることにより発生させる。
前後進切換装置16は、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1とダブルピニオン型の遊星歯車装置16pとを主体として構成されており、サンギヤ16sにはトルクコンバータ14のタービン軸30が一体的に連結され、キャリア16cには無段変速機18の入力軸32が一体的に連結されている。また、キャリア16cとサンギヤ16sとは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介して非回転部材としてのハウジング34に選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1は、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
このように構成された前後進切換装置16では、前進用クラッチC1が係合されると共に後進用ブレーキB1が解放されると、前後進切換装置16は一体回転状態とされることによりタービン軸30が入力軸32に直結され、前進用動力伝達経路が成立させられて、前進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、後進用ブレーキB1が係合されると共に前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立させられて、入力軸32はタービン軸30に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
エンジン12は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関にて構成されている。このエンジン12の吸気配管36には、スロットルアクチュエータ38を用いてエンジン12の吸入空気量Qairを電気的に制御する為の電子スロットル弁40が備えられている。
無段変速機18は、入力軸32に設けられた入力側部材である有効径が可変のプライマリプーリ42と、出力軸44に設けられた出力側部材である有効径が可変のセカンダリプーリ46と、プライマリプーリ42とセカンダリプーリ46との間に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、プライマリプーリ42及びセカンダリプーリ46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
プライマリプーリ42は、入力軸32に固定された入力側固定回転体としての固定シーブ42aと、入力軸32に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた入力側可動回転体としての可動シーブ42bと、それらの間のV溝幅を変更する為のプライマリプーリ42におけるプライマリ推力Win(=プライマリ圧Pin×可動シーブ42bの受圧面積)を付与する油圧アクチュエータとしてのプライマリ側油圧シリンダ42cとを備えて構成されている。
また、セカンダリプーリ46は、出力軸44に固定された出力側固定回転体としての固定シーブ46aと、出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた出力側可動回転体としての可動シーブ46bと、それらの間のV溝幅を変更する為のセカンダリプーリ46におけるセカンダリ推力Wout(=セカンダリ圧Pout×可動シーブ46bの受圧面積)を付与する油圧アクチュエータとしてのセカンダリ側油圧シリンダ46cとを備えて構成されている。
そして、プライマリプーリ42における入力側圧力すなわちプライマリ側油圧シリンダ42c内の油室への油圧であるプライマリ圧Pin、及び、セカンダリプーリ46における出力側圧力すなわちセカンダリ側油圧シリンダ46c内の油室への油圧であるセカンダリ圧Poutが、後述の油圧制御回路90によって各々独立に調圧制御されることにより、プライマリ推力Win及びセカンダリ推力Woutが各々直接的に或いは間接的に制御される。
これにより、プライマリプーリ42及びセカンダリプーリ46におけるV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、変速比γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変化させられると共に、伝動ベルト48が滑りを生じないようにプライマリプーリ42及びセカンダリプーリ46と伝動ベルト48との間の摩擦力(ベルト挟圧力)が制御される。このように、プライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutが各々制御されることで伝動ベルト48の滑りが防止されつつ実際の変速比(実変速比)γが目標変速比γ*とされる。尚、入力軸回転速度Ninは入力軸32の回転速度であり、出力軸回転速度Noutは出力軸44の回転速度である。また、本実施例では図1から判るように、入力軸回転速度Ninはプライマリプーリ42の回転速度と同一であり、出力軸回転速度Noutはセカンダリプーリ46の回転速度と同一である。
無段変速機18では、例えばプライマリ圧Pinが高められると、プライマリプーリ42のV溝幅が狭くされて変速比γが小さくされるすなわち無段変速機18がアップシフトされる。また、プライマリ圧Pinが低められると、プライマリプーリ42のV溝幅が広くされて変速比γが大きくされるすなわち無段変速機18がダウンシフトされる。従って、プライマリプーリ42のV溝幅が最小とされるところで、無段変速機18の変速比γとして最小変速比γmin(最高速側変速比)が形成される。また、プライマリプーリ42のV溝幅が最大とされるところで、無段変速機18の変速比γとして最大変速比γmax(最低速側変速比)が形成される。尚、プライマリ圧Pin(プライマリ推力Winも同意)とセカンダリ圧Pout(セカンダリ推力Woutも同意)とにより伝動ベルト48の滑りが防止されつつ、それらプライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとの相互関係にて目標変速比γ*が実現されるものであり、一方のプーリ圧(推力も同意)のみで目標の変速が実現されるものではない。車両10は油圧供給先に油圧を供給する油圧制御回路90を備える車両用油圧装置100と、油圧制御回路90などを電気的に制御する電子制御装置50を備えている。
図2は、エンジン12や無段変速機18などを制御する為に車両10に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。図2において、電子制御装置50は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置50は、エンジン12の出力制御、無段変速機18の変速制御やベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチ26のトルク容量制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用、無段変速機18及びロックアップクラッチ26の油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置50には、エンジン回転速度センサ52により検出されたクランク軸12aの回転角度(位置)Acr及びエンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Neを表す信号、タービン回転速度センサ54により検出されたタービン軸30の回転速度(タービン回転速度)Ntを表す信号、入力軸回転速度センサ56により検出された無段変速機18の入力回転速度である入力軸回転速度Ninを表す信号、出力軸回転速度センサ58により検出された車速Vに対応する無段変速機18の出力回転速度である出力軸回転速度Noutを表す信号、スロットルセンサ60により検出された電子スロットル弁40のスロットル弁開度θthを表す信号、冷却水温センサ62により検出されたエンジン12の冷却水温THwを表す信号、吸入空気量センサ64により検出されたエンジン12の吸入空気量Qairを表す信号、アクセル開度センサ66により検出された運転者の加速要求量としてのアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、フットブレーキスイッチ68により検出された常用ブレーキであるフットブレーキが操作された状態を示すブレーキオンBonを表す信号、CVT油温センサ70により検出された無段変速機18等の作動油FLの油温THoilを表す信号、レバーポジションセンサ72により検出されたシフトレバー74のレバーポジション(操作位置)Pshを表す信号、バッテリセンサ76により検出されたバッテリ温度THbatやバッテリ入出力電流(バッテリ充放電電流)Ibatやバッテリ電圧Vbatを表す信号、セカンダリ圧センサ78により検出されたセカンダリプーリ46への供給油圧であるセカンダリ圧Poutを表す信号等が、それぞれ供給される。
また、電子制御装置50からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機18の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号Scvt等が、それぞれ出力される。具体的には、上記エンジン出力制御指令信号Seとして、スロットルアクチュエータ38を駆動して電子スロットル弁40の開閉を制御する為のスロットル信号や燃料噴射装置80から噴射される燃料の量を制御する為の噴射信号や点火装置82によるエンジン12の点火時期を制御する為の点火時期信号などが出力される。また、上記油圧制御指令信号Scvtとして、プライマリ圧Pinを調圧するリニアソレノイドバルブSLPを駆動する為の指令信号、セカンダリ圧Poutを調圧するリニアソレノイドバルブSLSを駆動する為の指令信号、ライン油圧PLを制御するリニアソレノイドバルブSLT(不図示)を駆動する為の指令信号などが油圧制御回路90へ出力される。
シフトレバー74は、例えば運転席の近傍に配設され、順次位置させられている5つのレバーポジション「P」、「R」、「N」、「D」、及び「L」のうちの何れかへ手動操作されるようになっている。図3は、油圧制御回路90のうち、無段変速機18の変速制御に関わる油圧制御、及びシフトレバー74の操作に伴う前進用クラッチC1或いは後進用ブレーキB1の係合作動の関わる油圧制御に関する要部を示す油圧回路図である。
図3において、油圧制御回路90は、例えばオイルポンプ28、クラッチアプライコントロールバルブ102、マニュアルバルブ104、プライマリ圧Pinを調圧するプライマリ圧コントロールバルブ110、セカンダリ圧Poutを調圧するセカンダリ圧コントロールバルブ112、リリーフ型のプライマリレギュレータバルブ114、ライン油圧モジュレータバルブ116、モジュレータバルブ118、チェックバルブ(逆止弁、逆止め弁)120、モジュレータ油圧Pmを元圧として切替油圧Pscを出力するオンオフソレノイドバルブである切替バルブSC、モジュレータ油圧Pmを元圧として切替油圧Pslを出力するオンオフソレノイドバルブである切替バルブSL、出力油圧LPmを元圧として電子制御装置50から供給される駆動電流に対応した制御油圧Pslp、制御油圧Psls、制御油圧Pslt、制御油圧Psluをそれぞれ出力するリニアソレノイドバルブSLP、リニアソレノイドバルブSLS、リニアソレノイドバルブSLT(不図示)、リニアソレノイドバルブSLU(不図示)等を備えている。
クラッチアプライコントロールバルブ102は、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1へ供給される作動油FLを切替える。マニュアルバルブ104は、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が選択的に係合或いは解放されるようにシフトレバー74の操作に従って流路を機械的に切り換える。プライマリレギュレータバルブ114は、オイルポンプ28から出力される作動油圧を元圧として制御油圧Psltに基づいてエンジン負荷等に応じた値にライン油圧PLを調圧する。ライン油圧モジュレータバルブ116は、ライン油圧PLを元圧として制御油圧Psltに基づいてエンジン負荷等に応じた一定圧の出力油圧LPmを出力する。モジュレータバルブ118は、出力油圧LPmを元圧として一定圧に調圧したモジュレータ油圧Pmを出力する。チェックバルブ120は、プライマリ圧Pinがセカンダリプーリ46側の流路へ流入することを防止すると共にセカンダリ圧Poutがプライマリプーリ42側の流路へ流入することを許容する。また、クラッチアプライコントロールバルブ102は、マニュアルバルブ104を介して前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1へ供給される作動油FLの供給状態を、切替バルブSC及び切替バルブSLの出力状態に従って切替える切替弁として機能する。
クラッチアプライコントロールバルブ102は、軸方向へ移動可能に設けられることにより、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1に供給される作動油FLを出力油圧LPmとするnormal/ノーマル位置(図3において左側)、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1に供給される作動油FLを制御油圧Psluとするfail/ガレージ位置(図3において右側)の何れかに位置させられるスプール弁子102aを備えている。
また、クラッチアプライコントロールバルブ102は、出力油圧LPmが入力される第1入力ポート102bと、制御油圧Psluが入力される第2入力ポート102cと、マニュアルバルブ104の入力ポート104aに接続され且つスプール弁子102aの切替位置に応じて第1入力ポート102b及び第2入力ポート102cの何れかと連通させられる第1出力ポート102dと、プライマリ圧Pinが入力される第3入力ポート102eと、チェックバルブ120を介してセカンダリ圧Poutが入力される第4入力ポート102fと、プライマリプーリ42に接続され且つスプール弁子102aの切替位置に応じて第3入力ポート102e及び第4入力ポート102fの何れかと連通させられる第2出力ポート102gと、スプール弁子102aをnormal/ノーマル位置側へ付勢するスプリング102hと、スプール弁子102aにfail/ガレージ位置側へ向かう推力を付与する為に切替油圧Pscを受け入れる油室102iと、スプール弁子102aにnormal/ノーマル位置側に向かう推力を付与する為に切替油圧Pslを受け入れる油室102jとを備えている。
クラッチアプライコントロールバルブ102において、例えば切替バルブSCの切替油圧Pscが油室102iに供給されると、スプール弁子102aがスプリング102hの付勢力に抗してfail/ガレージ位置側に移動させられる。このとき、第2入力ポート102cと第1出力ポート102dとが連通させられ、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluがマニュアルバルブ104の入力ポート104aに供給される。すなわち、リニアソレノイドバルブSLUの制御油圧Psluが前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)の係合油圧となる。
この制御油圧PsluはリニアソレノイドバルブSLUの励磁電流のデューティー比に基づいてリニア(線形)に変化させられるので、前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)の係合過程における係合過渡油圧を変化させることができる。例えば、制御油圧Psluは、所定の低車速時や車両停止時等にシフトレバー74が「N」ポジションから「D」ポジション或いは「R」ポジションへ操作されるガレージシフト(N→Dシフト或いはN→Rシフト)の際に、前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)が滑らかに係合させられ、係合ショックが抑制されるように、予め定められた規則に従って調圧される。また、第4入力ポート102fと第2出力ポート102gとが連通させられ、チェックバルブ120を介して流入したセカンダリ圧Poutがプライマリプーリ42に供給される。
一方、切替バルブSCから切替油圧Pscが出力されないか或いは切替バルブSLの切替油圧Pslが油室102jに供給されると、スプール弁子102aがnormal/ノーマル位置側に移動させられる。このとき、第1入力ポート102bと第1出力ポート102dとが連通させられ、出力油圧LPmがマニュアルバルブ104の入力ポート104aに供給される。すなわち、出力油圧LPmが前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)の係合油圧となる。
この出力油圧LPmはエンジン負荷等(例えば入力トルクTin)に応じて調圧された油圧であるので、前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)の係合が完了した後において、係合状態を安定して保持することができる。例えば、出力油圧LPmは、前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)が係合させられたガレージシフト後の定常時等に、前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)が完全係合状態とされるように、少なくとも予め定められた一定圧に調圧されると共に制御油圧Psltに応じた油圧分を加えて調圧される。また、第3入力ポート102eと第2出力ポート102gとが連通させられ、プライマリ圧Pinがプライマリプーリ42に供給される。
マニュアルバルブ104において、入力ポート104aには、クラッチアプライコントロールバルブ102の第1出力ポート102dから出力された係合油圧Pa(制御油圧Pslu又は出力油圧LPm)が供給される。そして、シフトレバー74が「D」ポジション或いは「L」ポジションに操作されると、係合油圧Paが前進用出力ポート104bを経て前進用クラッチC1に供給され、前進用クラッチC1が係合させられる。また、シフトレバー74が「R」ポジションに操作されると、係合油圧Paが後進用出力ポート104cを経て後進用ブレーキB1に供給され、後進用ブレーキB1が係合させられる。また、シフトレバー74が「P」ポジション及び「N」ポジションに操作されると、入力ポート104aから前進用出力ポート104b及び後進用出力ポート104cへの流路が何れも遮断され且つ前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1から作動油FLをドレーン(排出)する為の流路が何れも連通され、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が共に解放させられる。
プライマリ圧コントロールバルブ110は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入力ポート110iを開閉してライン油圧PLを入力ポート110iから出力ポート110tを経てクラッチアプライコントロールバルブ102の第3入力ポート102eへプライマリ圧Pinとして供給可能にするスプール弁子110aと、そのスプール弁子110aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング110bと、そのスプリング110bを収容し且つスプール弁子110aに開弁方向の推力を付与する為に制御油圧Pslpを受け入れる油室110cと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与する為に出力ポート110tから出力されたライン油圧PLを受け入れるフィードバック油室110dと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与する為にモジュレータ油圧Pmを受け入れる油室110eとを備えている。
プライマリ圧コントロールバルブ110は、例えば制御油圧Pslpをパイロット圧としてライン油圧PLを調圧制御し、プライマリ圧Pinをクラッチアプライコントロールバルブ102を介してプライマリ側油圧シリンダ42c内の油室に供給する。例えば、制御油圧Pslpが増大すると、スプール弁子110aが図3の上側に移動することによりプライマリ圧Pinが増大する一方で、制御油圧Pslpが低下すると、スプール弁子110aが図3の下側に移動することによりプライマリ圧Pinが低下する。
セカンダリ圧コントロールバルブ112は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入力ポート112iを開閉してライン油圧PLを入力ポート112iから出力ポート112tを経てセカンダリプーリ46へセカンダリ圧Poutとして供給可能にするスプール弁子112aと、そのスプール弁子112aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング112bと、そのスプリング112bを収容し且つスプール弁子112aに開弁方向の推力を付与する為に制御油圧Pslsを受け入れる油室112cと、スプール弁子112aに閉弁方向の推力を付与する為に出力ポート112tから出力されたセカンダリ圧Poutを受け入れるフィードバック油室112dと、スプール弁子112aに閉弁方向の推力を付与する為にモジュレータ油圧Pmを受け入れる油室112eとを備えている。
セカンダリ圧コントロールバルブ112は、例えば制御油圧Pslsをパイロット圧としてライン油圧PLを調圧制御し、セカンダリ圧Poutをセカンダリ側油圧シリンダ46c内の油室に供給する。例えば、制御油圧Pslsが増大すると、スプール弁子112aが図3の上側に移動することによりセカンダリ圧Poutが増大する一方で、制御油圧Pslsが低下すると、スプール弁子112aが図3の下側に移動することによりセカンダリ圧Poutが低下する。
油圧制御回路90において、例えばリニアソレノイドバルブSLPにより調圧されるプライマリ圧Pin及びリニアソレノイドバルブSLSにより調圧されるセカンダリ圧Poutは、ベルト滑りを発生させず且つ不必要に大きくならないベルト挟圧力をプライマリプーリ42及びセカンダリプーリ46に発生させるように制御される。また、プライマリ圧Pinとセカンダリ圧Poutとの相互関係で、プライマリプーリ42及びセカンダリプーリ46の推力比τ(=Wout/Win)が変更されることにより無段変速機18の変速比γが変更される。例えば、その推力比τが大きくされる程、変速比γが大きくされる(すなわち無段変速機18はダウンシフトされる)。
チェックバルブ120は、入力ポート120aを開閉してセカンダリ圧Poutを入力ポート120aから出力ポート120bを経てクラッチアプライコントロールバルブ102の第4入力ポート102fへプライマリ圧Pinとして供給可能にするポペット120cと、そのポペット120cを入力ポート120aを閉じる方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング120dとを備えている。
このチェックバルブ120において、入力ポート120aからセカンダリ圧Poutが流入し、セカンダリ圧Poutによる押圧力(=Pout×ポペット120cの受圧面積S120)がスプリング120dの付勢力F120を超えると、入力ポート120aと出力ポート120bとが連通してセカンダリ圧Poutが減圧されて出力ポート120bを経て第4入力ポート102fへ供給される。つまり、セカンダリ圧Poutがクラッキング圧力Pk(=F120/S120)を超えると、そのクラッキング圧力Pkを超えた分のセカンダリ圧Poutd(=Pout-Pk)がプライマリ圧Pinとして第4入力ポート102fへ供給される。
チェックバルブ120は、セカンダリ圧Poutに応じた所定の圧力にプライマリ圧Pinを調圧する。また、ここではチェックバルブ120はプライマリ圧Pinを調圧すると表現しているが、ここで言うチェックバルブ120による調圧は、チェックバルブ120自体が持つ機構的なもので決まるチェックバルブ調圧特性によって、プライマリ圧Pin(セカンダリ圧Poutd)をセカンダリ圧Poutに応じた所定の圧力に設定すること、すなわちセカンダリ圧Poutに応じて所定の圧力とされたプライマリ圧Pin(セカンダリ圧Poutd)に減圧して出力すること、を言っている。
ここで、本実施例の油圧制御回路90では、クラッチアプライコントロールバルブ102を備えており、プライマリプーリ42へ供給する油圧を、プライマリ圧Pinとチェックバルブ120を介したセカンダリ圧Poutdとの何れかに切り替えることが可能である。従って、プライマリ圧Pinが正常に出力されないフェール時(故障発生時)には、切替油圧Pscを出力してクラッチアプライコントロールバルブ102のスプール弁子102aをfail/ガレージ位置側へ切り替え、チェックバルブ120を介して第4入力ポート102fへ供給されたセカンダリ圧Poutdを第2出力ポート102gからプライマリプーリ42へ供給するフェールセーフ作動を実行することができる。尚、上記フェール時としては、例えば制御油圧Pslpの出力異常やプライマリ圧コントロールバルブ110のバルブスティック(弁固着)などが想定される。また、特に、意図しないダウンシフトを発生させるようなフェール時にこのフェールセーフ作動を実行することが効果的である。
このように、クラッチアプライコントロールバルブ102は、前進用クラッチC1(或いは後進用ブレーキB1)へ供給する係合油圧を、定常時には出力油圧LPmへ切り替える一方で、ガレージシフト時には制御油圧Psluへ切り替えるガレージシフト弁として機能する。加えて、クラッチアプライコントロールバルブ102は、プライマリプーリ42へ供給する油圧を、正常時にはプライマリ圧Pinへ切り替える一方で、フェール時にはチェックバルブ120を介したセカンダリ圧Poutへ切り替えるフェールセーフ弁としても機能する。
図4は、油圧制御回路90を構成するバルブボデー150の要部を示す断面図である。図5は、従来の単一のオリフィスの場合における油圧、比較例である孔径が同じ3個のオリフィスの場合における油圧及び等価オリフィス径の計算結果、及び、図4に示す本実施例である3個のオリフィスの場合における油圧及び等価オリフィス径の計算結果を示す表であり、図6は、図5の計算結果とオリフィスの位置とを示す図である。図5及び図6において、#1は図4のバルブボデー150における第1オリフィス164aと同じ位置のオリフィスを示し、#2は第2オリフィス164bと同じ位置のオリフィスを示し、#3は第3オリフィス164cと同じ位置のオリフィスを示している。なお、図5の計算結果は、例えばCFD(Computational Fluid Dynamics)解析などにより求められる。図5に示すように、比較例である孔径が同じ3個のオリフィスと、図4に示す本実施例である3個のオリフィスとは、等価オリフィスがほぼ同じ値である。
図4に示すように、バルブボデー150は、上流側の第1バルブボデー152と下流側の第2バルブボデー156と、第1バルブボデー152と第2バルブボデー156との間に挟まれたバルブボデープレート154とを備えている。バルブボデー150は、アルミダイカストなどにより製造される。油圧制御回路90を構成するバルブボデー150には、図3の油圧制御回路90に示すように複数の絞りが形成されているが、図4では、一例として、切替バルブSLとクラッチアプライコントロールバルブ102の油室102jとの間を接続する流路の一部である流路160、及び、流路160に設けられた絞り164の断面を示す。なお、他例として、図3に示す切替バルブSCとクラッチアプライコントロールバルブ102の油室102iとの間を接続する流路の一部である流路170、及び、流路170に設けられた絞り174も、流路160及び絞り164と同様の構成を備えている。
図4において、第1バルブボデー152には、切替バルブSLと連通する第1油室162aが形成されている。第2バルブボデー156には、クラッチアプライコントロールバルブ102と連通する第4油室162dが形成されている。流路160は、切替バルブSLからクラッチアプライコントロールバルブ102に通じる流路の一部であって、第1油室162aから第4油室162dへ向かう流路である。流路160には、第2油室162b及び第3油室162cと絞り164とが設けられている。第2油室162bは第2バルブボデー156に形成され、第3油室162cは第1バルブボデー152に形成されている。第1油室162aから第4油室162dは、例えば、第1バルブボデー152又は第2バルブボデー156におけるバルブボデープレート154側の面に掘られた溝に、バルブボデープレート154が重ねられることにより形成されている。絞り164は、バルブボデープレート154に形成された第1オリフィス164a、第1オリフィス164aより大径の第2オリフィス164b、及び、第2オリフィス164bより大径の第3オリフィス164cから構成されている。第1オリフィス164a、第2オリフィス164b、第3オリフィス164cは、バルブボデープレート154が厚み方向に貫通されて形成されており、本発明における第1貫通孔、第2貫通孔、第3貫通孔に相当する。
第1油室162aから第3油室162cは、切替バルブSLからクラッチアプライコントロールバルブ102に通じる流路内に直列に設けられて連通しており、第1油室162aと第2油室162bとの間に第1オリフィス164aが設けられている。また、第2油室162bと第3油室162cとの間には、第2オリフィス164bが設けられ、第3油室162cと第4油室162dとの間には、第3オリフィス164cが設けられている。これにより、第1オリフィス164cから第3オリフィス164cは、流路160内において相互に離されて直列に配置されている。
第1油室162aは、切替バルブSLから送られた作動油FLが第1オリフィス164aに流れる油路(第1油路)として機能し、第2油室162bは、第1オリフィス164aと第2オリフィス164bとの間の油路(第3油路)として機能し、第3油室162cは、第2オリフィス164bと第3オリフィス164cとの間の油路(第4油路)として機能し、第4油室162dは、第3オリフィス164cから作動油FLが通りクラッチアプライコントロールバルブ102に向かう油路(第2油路)として機能している。
切替バルブSLから流れてきた作動油FLは、第1バルブボデー152に設けられた第1油室162aを通り、バルブボデープレート154に設けられた第1オリフィス164aを通過して、第2バルブボデー156に設けられた第2油室162bに流れ込む。第1オリフィス164aの孔径は、例えば0.900mmであり、作動油FLの油圧は第1油室162aにおける油圧(すなわち第1オリフィスの入口圧)1.8MPaから第2油室162bにおける油圧(すなわち第1オリフィスの出口圧)0.75MPaまで減圧される。図4における2つの白い矢印は、作動油FLの流れる方向を示している。
第2油室162bに流れ込んだ作動油FLは、バルブボデープレート154に設けられた第2オリフィス164bを通過して、第1バルブボデー152に設けられた第3油室162cに流れ込む。第2オリフィス164bの孔径は、例えば1.200mmであり、作動油FLの油圧は第2油室162bにおける油圧(すなわち第2オリフィス164bの入口圧)0.75MPaから第3油室162cにおける油圧(すなわち第2オリフィス164bの出口圧)0.4MPaまで減圧される。
第3油室162cに流れ込んだ作動油FLは、バルブボデープレート154に設けられた第3オリフィス164cを通過して、第2バルブボデー156に設けられた第4油室162dに流れ込む。第3オリフィス164cの孔径は、例えば1.250mmであり、作動油FLの油圧は第3油室162cにおける油圧(すなわち第3オリフィス164cの入口圧)0.4MPaから第4油室162dにおける油圧(すなわち第3オリフィス164cの出口圧)0.1MPaまで減圧される。
図6に示す実線は、#1の入口圧が1.8MPaであって#3の出口圧が0.1MPaであり、#1の孔径が0.900mm、#2の孔径が1.200mm、#3の孔径が1.250mmの場合、すなわち、第1オリフィス164a~第3オリフィス164cと同じ孔径の場合の計算結果である。図6に示す1点鎖線は、#1の入口圧が1.8MPaであって#3の出口圧が0.1MPaであり、#1~3の孔径が1.053mm、すなわち3個のオリフィスの孔径が全て同じ場合の計算結果である。図4から図6から明らかなように、本実施例では、第1オリフィス164aにより油圧が1.8MPaから0.75MPaと50%以下まで減圧されている。また、第1オリフィス164aの入口圧と出口圧との差圧は1.05MPaであり、第1オリフィス164aの入口圧と第3オリフィス164cの出口圧との差圧1.7MPaの約60%以上を占めている。また、第1オリフィス164a及び第2オリフィス164bにより油圧が1.8MPaから0.4MPaまで減圧されているので、第1オリフィス164aの入口圧と第2オリフィス164bの出口圧との差圧は1.4MPaであり、第1オリフィス164aの入口圧と第3オリフィス164cの出口圧との差圧1.7MPaの約80%以上を占めている。
一般に絞りとして機能するオリフィスに作動油FLが流れると、流速が高い場合にオリフィスの内部で負圧が発生し、キャビテーションが起きてしまう。これに対し、本願発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、オリフィスの入口圧と出口圧との差圧の寄与がキャビテーションの発生に対して大きいこと、さらに、オリフィスの出口圧が低い場合にキャビテーションが発生しやすいという事実を見出した。図7ではこの知見に基づいて、キャビテーションが発生しない領域の例を、オリフィスの入口圧と出口圧との差圧が縦軸、オリフィスの出口圧が横軸のグラフに太い破線で示している。このキャビテーションが発生しない領域は、実験や解析などの結果により適宜求められる領域である。
図7のグラフ中の×印は従来の例である単一のオリフィス、すなわち1個の貫通孔のみで油圧を1.8MPaから0.1MPaから減圧した場合を示しており、出口圧が0.1MPaと低く差圧が1.7MPaと高いため、キャビテーションが発生しない領域から外れている。グラフ中の□印は、図6に示す比較例の1点鎖線と同じ条件である同径のオリフィスの場合、すなわち3個のオリフィスの孔径が全て1.053mmの場合を示している。この場合は、#1、#2、#3で同じ差圧であるが、(□印の)#3は、出口圧が0.1MPaと低いために、キャビテーションが発生しない領域から外れている。グラフ中の●印は、図6に示す本実施例の実線と同じ条件である異径のオリフィスの場合、すなわち#1の孔径が0.900mm、#2の孔径が1.200mm、#3の孔径が1.250mmの場合を示している。この場合は、(●印の)#1は、出口圧が0.75MPaと高いため、差圧が1.05MPaと高いにもかかわらずキャビテーションが発生しない領域に位置している。また、(●印の)#2は、出口圧が0.4MPaと比較的低いが差圧も0.35MPaと低いため、キャビテーションが発生しない領域に位置している。また、(●印の)#3は、出口圧が0.1MPaと最も低いが差圧が0.3MPaと低いため、キャビテーションが発生しない領域に位置している。
図7の×印の従来の例、□印の比較例、●印の本実施例は、全て油圧を1.8MPaから0.1MPaから減圧した場合を示しており、単位時間当たりの作動油FLの通過流量、すなわち全体の流通抵抗は変化していない。しかし、従来1個であったオリフィスを2つ以上のオリフィスとすることで中間圧が生まれ、各々のオリフィスの入口圧と出口圧との差圧を小さくできる。また、2つ以上のオリフィスにおける、最も上流側のオリフィスの孔径をできるだけ小さくすることで、キャビテーションの発生しない出口圧の高い領域を効果的に使うことができる。
上述のように、本実施例の車両用油圧装置100によれば、第1油室(第1油路)162aが形成された第1バルブボデー152と、第1油室162aと連通する第4油室(第2油路)162dが形成された第2バルブボデー156と、第1バルブボデー152と第2バルブボデー156との間に挟まれたバルブボデープレート154とから構成されるバルブボデー150を備え、第1油室162aから第4油室162dへ向かう流路160には絞り164が設けられている車両用油圧装置100であって、絞り164は、流路160内に相互に離されて設けられた複数個のオリフィス(貫通孔)164a~164cから構成され、バルブボデープレート154には、複数個のオリフィス164a~164cが設けられ、複数個のオリフィス164a~164cは、下流ほど孔径が大きく形成されている。このため、例えば、上流側のオリフィス164aにおける入口圧と出口圧との差圧が比較的大きくなるが下流側のオリフィス164cにおける入口圧が下がるため、出口圧が低くキャビテーションが発生しやすい下流側のオリフィス164cにおける入口圧と出口圧との差圧を比較的小さくでき、キャビテーションの発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施例の車両用油圧装置100によれば、前記複数個のオリフィス(貫通孔)は、流路160内に直列に配置された第1オリフィス(第1貫通孔)164a及び第2オリフィス(第2貫通孔)164bであり、第1オリフィス164aと第2オリフィス164bとの間には第2油室(第3油路)162bが形成され、バルブボデープレート154には、複数個のオリフィスのうち少なくとも1個が設けられている。このようにすれば、比較的簡便に第1油室162aから第4油室162dへ向かう流路内に複数個のオリフィスを相互に離して設けることができ、キャビテーションの発生を効果的に抑制することができる。
また、本実施例の車両用油圧装置100によれば、前記複数個のオリフィスは、流路160内に直列に配置された第1オリフィス(第1貫通孔)164a、第2オリフィス(第2貫通孔)164b及び第3オリフィス(第3貫通孔)164cであり、第1オリフィス164aと第2オリフィス164bとの間には第2油室(第3油路)162bが形成され、第2オリフィス164bと第3オリフィス164cとの間には第3油室(第4油路)162cが形成され、第1油室(第1油路)162a及び第3油室162c(第4油路)は前記第1バルブボデー152に形成され、第2油室162b(第3油路)及び第4油室(第2油路)162dは第2バルブボデー156に形成され、第1オリフィス164a、第2オリフィス164b及び第3オリフィス164cは、バルブボデープレート154に形成されている。このようにすれば、第1油室162aから第4油室162dへ向かう流路に比較的簡便に複数個のオリフィスを設けることができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例において、オリフィスは3個設けられていたが、2個でもよく、4個以上設けられていてもよい。また、オリフィスは全てバルブボデープレート154に設けられていたが、少なくとも1個のオリフィスがバルブボデープレート154に設けられていればよい。また、例えば、第1オリフィス164a、第2オリフィス164b、及び、第2油室162bを無くし、第1バルブボデー152に形成された第1油室162aと第3油室162cとが第1バルブボデー152に形成された新たなオリフィス(貫通孔)により連通されていてもよい。
また、前述の実施例において、オリフィス(貫通孔)は全てバルブボデープレート154が厚み方向に貫通されて形成されていたが、バルブボデープレート154の表面に掘られた溝に第1バルブボデー152又は第2バルブボデー156が重ねられることでオリフィス(貫通孔)が形成されていてもよい。
また、前述の実施例において、第1油室162a及び第3油室162cは第1バルブボデー152に形成され、第2油室162b及び第4油室162dは第2バルブボデー156に形成されていたが、第2油室162b及び第3油室162cは、両方が第1バルブボデー152又は第2バルブボデー156に設けられていてもよく、両方がバルブボデープレート154に設けられていてもよい。また、第1油室162a~第4油室162dは、それぞれが接するオリフィス(貫通孔)の孔径より大きい内径を備える箇所を有するものであればよく、長い油路であってもよい。
また、前述の実施例では、バルブボデー150はベルト式の無段変速機18を制御する油圧制御回路90に設けられていたが、例えば、有段の自動変速機を制御する油圧制御回路に設けられていてもよい。
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。