本発明の各実施形態に係る情報処理システムは、移動体の乗員の行動を考慮した方法で乗り物酔いを予防または改善するためのシステムである。以降、移動体の乗員のことを、単に乗員とも称する。
情報処理システムは、乗員が現在、乗り物酔いの状態であると推定される場合に、または、後に乗り物酔いの状態になると予測される場合に、該乗員に乗り物酔いを改善または予防するための刺激を与える。これにより、乗員の乗り物酔いを改善または予防することができる。また、情報処理システムは、現在乗り物酔いの状態であると推定される乗員、または、後に乗り物酔いの状態になると予測される乗員が、何らかの行動中か否かを判定する。
本発明において「行動」とは、乗員が覚醒状態で行う種々の動作全般を指す。例えば、乗員の行動とは、移動体の運転、読書、携帯端末または車載装置等の操作、書き物等の事務作業、他の乗員との会話等である。一方、睡眠、または横になって略動かない状態は、本発明において「行動」とは称さないこととする。
情報処理システムは、刺激の付与対象となる乗員が、何らかの行動を起こしているか否かに応じて、該乗員に異なる刺激を与える。例えば、乗員が読書中である、すなわち行動中である場合と、睡眠中である、すなわち行動中でない場合とで、異なる刺激を与える。これにより、乗員の状況に応じた方法で、乗り物酔いを改善または予防することができる。以下、実施形態1~3および変形例を挙げ、本発明に係る情報処理システムについて説明する。
〔実施形態1〕
≪要部構成≫
本発明の第1の実施形態について、図1~図3を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム100の要部構成の一例を示すブロック図である。情報処理システム100は、情報処理装置10、生体センサ20、および刺激付与装置30を含む。
(移動体1)
情報処理システム100を構成する装置の少なくとも一部は、移動体1に搭載された装置である。移動体1は、自動車、電車、航空機等、内部に所定空間を有する移動体である。以降、単に「所定空間」と称する場合は、移動体1の内部の所定空間のことを示すこととする。
(生体センサ20)
生体センサ20は、移動体1の内部空間に配置されたセンサであって、乗員の生体情報を測定または取得するものである。生体情報とは、例えば、ユーザの表情、動作、姿勢、および発話音声等を示すデータ、ならびに、脈拍・呼吸・体温・血圧・意識・反射等を示すデータである。生体センサ20は、所定の時間間隔で生体情報を測定または取得し、該生体情報を生体情報取得部11へ出力する。なお、ここで言う「所定の時間間隔」の具体的な値は特に限定しないが、時間とともに変化する乗員の生体情報をリアルタイムで測定または取得できることがより好ましい。
(刺激付与装置30)
刺激付与装置30は、装置制御部14の制御に従って動作する装置であって、乗り物酔いを予防または改善するための刺激を乗員に与える装置である。刺激付与装置30は情報処理装置10と有線または無線で接続しており、装置制御部14の制御に従って自装置を駆動させて、乗員へ刺激を与える。
例えば、刺激付与装置30は、エアコン、バイブレータ、ライト、およびスピーカ等の出力装置であってもよい。これらの出力装置からの送風、振動の付与、発光、および音声出力等によって、乗員に刺激を与えることができる。
また例えば、刺激付与装置30は、移動体1の一部の駆動機構、または移動体1に備えられた外部機器の駆動機構であってもよい。具体的には、刺激付与装置30は、移動体1に設置された座席シートのリクライニング機構、または座席シートに内蔵されている冷却装置やバイブレータであってもよい。
情報処理システム100は、複数台および複数種類の刺激付与装置30を含んでいてもよい。そして、該複数台の刺激付与装置30が共働することで、乗員に対して刺激の付与を実現してもよい。より望ましくは、異なる種類の刺激を付与する複数台の刺激付与装置30が、共働して刺激付与を行うことが望ましい。例えば、情報処理システム100は、エアコンからの冷風による乗員への刺激と、座席シートに内蔵された冷却装置による乗員頭部への冷却刺激とを組み合わせて実施してよい。
また、刺激付与装置30の移動体1内での配置位置は特に限定しない。しかしながら、刺激付与装置30は、刺激の供与対象となる乗員が、刺激付与装置30それぞれによる刺激を適切に体感可能な位置に配置されることが望ましい。
(情報処理装置10)
情報処理装置10は、刺激付与装置30を制御することで、乗員に乗り物酔いを予防または改善するための刺激を与える装置である。情報処理装置10は、生体情報取得部11と、酔い判定部12と、行動判定部13と、装置制御部14と、を含む。
生体情報取得部11は、生体センサ20から、移動体1の乗員の生体情報を取得する。生体情報取得部11は、取得した生体情報を酔い判定部12へ出力する。なお、生体情報取得部11は、生体センサ20から所定の時間間隔で生体情報を取得する。生体情報取得部11における生体情報の取得周期は、酔い判定部12における判定の実行周期と略同一であることが望ましい。また、生体情報取得部11から酔い判定部12への生体情報の出力タイミングも、酔い判定部12における判定の実行周期と略同一であることが望ましい。
また、生体情報取得部11は、生体センサ20から受動的に生体情報を取得してもよいし、生体センサ20に生体情報の送信をリクエストすることで、能動的に生体情報を取得してもよい。生体情報取得部11から生体センサ20に生体情報の送信をリクエストする場合、該リクエストのタイミングは、酔い判定部12における判定の実行周期に応じて定められてよい。
酔い判定部12は、生体情報取得部11から入力された生体情報に基づいて、乗員が乗り物酔いの状態であるか否かを判定する。酔い判定部12は、判定結果を装置制御部14に出力する。酔い判定部12における判定は、生体情報取得部11から酔い判定部12へと生体情報が入力される度に、もしくは、所定の時間間隔で、逐次行われる。
酔い判定部12における判定方法は特に限定されない。例えば、酔い判定部12は、乗員の表情やしぐさを示す生体情報を参照し、乗員が、乗り物酔いの時特有の表情またはしぐさをしているか否かを分析することで、該乗員が乗り物酔いの状態であるか否かを特定してもよい。また例えば、乗員の脈拍、体温を示す生体情報から、該乗員の体調を推定することで、該乗員が乗り物酔いの状態であるか否かを特定してもよい。
なお、酔い判定部12は、酔いレベルを算出することで、乗員が乗り物酔い状態であるか否かを特定してもよい。「酔いレベル」とは、乗り物酔いの程度の強さを示す指標値である。この場合、酔い判定部12は、生体情報取得部11から生体情報が入力されると、酔いレベルを算出する。酔いレベルの値は、装置制御部14に出力される。
酔いレベルの区分は、適宜定められてよい。例えば、酔い判定部12は、酔いレベルの値を以下に示す2段階の閾値で定性的に管理してもよい。なお、第1閾値<第2閾値である。
第1閾値:乗員に乗り物酔いの兆候が現れるか否かの境界レベル
第2閾値:乗員に乗り物酔いの症状が明確に現れるか否かの境界レベル
例えば、酔いレベルが第1閾値以上の場合、乗員に乗り物酔いの兆候として、一般的にめまい、軽い頭痛、生あくび、生つばをのむ等の動作または症状が現れる。また、酔いレベルが第2閾値以上の場合、一般的に頭痛、顔面蒼白になる、冷や汗、吐き気、胃の不快感等の明確な症状が現れる。
さらに、酔い判定部12は、酔いレベルを以下に示す第3閾値を含む3段階の閾値で管理してもよい。なお、各閾値の大きさは第1閾値<第2閾値<第3閾値である。
第3閾値:乗員に、より重い乗り物酔いの症状が現れるか否かの境界レベル
酔いレベルが第3閾値以上の場合、一般的に嘔吐、ふらつき等の症状が現れる。
行動判定部13は、生体情報取得部11から入力された生体情報に基づいて、乗員が行動中か否かを判定する。行動判定部13における判定方法は特に限定されない。例えば、行動判定部13は、生体情報として入力された、カメラの撮影画像から乗員の動きやしぐさの有無を特定し、特定のパターンに当てはまる動きやしぐさが有る場合は、乗員が行動中であると判定すればよい。行動判定部13は、判定結果を装置制御部14に出力する。
なお、行動判定部13は、乗員が行動中か否かだけでなく、乗員がどのような行動をしているか、行動の種類まで特定してもよい。例えば、行動判定部13は、作業、読書、運転、会話等、行動の種類を特定してもよい。
そして、行動判定部13は、乗員が行動中か否かを示す情報、および、特定している場合は該行動の種類を、酔い判定部12に出力してもよい。酔い判定部12は、乗員が車酔いしている状態か否かを判定するとき、もしくは、酔いレベルを算出するときに、行動判定部13から取得した情報を考慮してもよい。
例えば、行動判定部13が、乗員が「読書」という行動中だと判定したとする。この場合、酔い判定部12は、乗員が行動中でない場合に比べて、酔いレベルを高く算出してもよい。また、酔い判定部12は、乗員が読書中である場合、会話等の他の行動中である場合に比べて、酔いレベルを高く算出してもよい。一般的に、読書は車酔いを引き起こしやすい行動であると言われているためである。
装置制御部14は、酔い判定部12および行動判定部13の判定結果に応じて刺激付与装置30を制御する。具体的には、装置制御部14は、酔い判定部12が、乗員が乗り物酔いの状態であると判定した場合に、乗り物酔いを予防または改善するための刺激を前記乗員に与えるよう、刺激付与装置30を制御する。また、装置制御部14は、行動判定部13の判定結果、すなわち、乗員が行動中か否かに応じて、乗員に異なる刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する。
装置制御部14による刺激付与装置30の制御方法は特に限定されない。また、刺激付与装置30が複数台存在する場合、装置制御部14は、いずれの刺激付与装置30をどのように制御することで乗員に刺激を付与するかを、適宜決定してよい。例えば、装置制御部14は、複数の刺激付与装置30からそれぞれ異なる方法で、乗員に刺激を付与することが望ましい。
また、刺激によって、どのように乗り物酔いを予防または改善するかについても、特に限定されない。例えば、刺激付与装置30は乗員の頭部を冷却することで、生理学的観点から、乗員の乗り物酔いを予防または解消させてもよい。また、刺激付与装置30はリラクゼーション音楽等を出力して乗員に快情動を想起させることで、心理的観点から乗り物酔いを予防または解消させてもよい。また、刺激付与装置30は、乗員に振動や弱い電流による刺激を与えて乗員に不快感を想起させる、または驚きを与えることで、心理的観点から乗り物酔いを予防または解消させてもよい。
本実施形態において、装置制御部14は、乗員が乗り物酔いの状態であると判定し、かつ乗員が行動中の場合、乗員の該行動を阻害しない方法で、該乗員に刺激を与えるよう刺激付与装置30を制御する。例えば、乗員が運転中の場合は、バイブレータの振動を用いず、エアコンの冷風等で刺激を付与することが望ましい。運転中に振動を与えると、運転の注意を逸らす危険性があるためである。
また、本実施形態において、装置制御部14は、乗員が乗り物酔いの状態であると判定し、かつ乗員が行動中でない場合、乗員が行動中である場合よりも強い刺激を与えるよう刺激付与装置30を制御する。以降、該強い刺激のことを「強刺激」と称する。
乗員が行動中でない場合に強刺激を与えることが望ましいのは、下記2点の理由からである。1点目は、乗員が行動中でない場合、すなわち、乗員が動いていない場合、刺激を与えることで、乗員の動作を阻害することがないためである。2点目は、乗員が動いていない場合、乗り物酔いの症状を感じてじっとしている可能性もある。このような場合、迅速に乗り物酔いを改善することが重要であるためである。
なお、酔い判定部12が酔いレベルを算出する場合、装置制御部14は、酔い判定部12から入力された酔いレベルに応じた強度の刺激を、乗員に与えてもよい。これにより、乗員に、乗り物酔いの強さに応じた強度の刺激を与えることができる。
より具体的に言えば、装置制御部14は、酔いレベルが高い、すなわち乗り物酔いの程度が重いほど、強い刺激を乗員に与えてもよい。これにより、乗員が重い乗り物酔いの場合は、強い刺激を与えて迅速に乗り物酔いを改善することができる。一方、乗員が軽い乗り物酔いの場合は、弱い刺激で穏やかに乗り物酔いを改善することができる。このように、前述の構成によれば、乗員の状態に適した強度で刺激を与えることができる。
例えば、酔いレベルが第1閾値以上第2閾値未満の場合、装置制御部14は、前述した車酔いの兆候を解消するための刺激を付与するよう、刺激付与装置30を制御する。例えば、装置制御部14は、座席シートの頭部が当たる位置に設けられた冷却装置(刺激付与装置30)により、乗員の頭を冷やしてもよい。また、装置制御部14は、エアコン(刺激付与装置30)の風を乗員に向けてもよい。また、装置制御部14は、バイブレー(刺激付与装置30)で、乗員に振動を与えてもよい。このように、車酔いの兆候が現れている段階では、乗員の行動を阻害せず、また乗員に不快感を与えない、穏やかな刺激を付与することが望ましい。
一方、酔いレベルが第2閾値以上の場合、乗員には車酔いの症状が明確に現れる。この場合、装置制御部14は、酔いレベルが第1閾値以上第2閾値未満の場合よりも強い刺激を乗員に与える。例えば、装置制御部14は、複数の刺激付与装置30を用いて乗員に刺激を与えてもよい。例えば、装置制御部14は、エアコンによる送風と、座席シートに備えられた前述の冷却装置による、乗員頭部の冷却とを併用して乗員に刺激を与えてよい。
また、酔いレベルが第2閾値以上の場合、装置制御部14は、車酔いの症状から乗員の気をそらすような刺激を付与するよう、刺激付与装置30を制御してもよい。例えば、装置制御部14は、バイブレータを制御し、乗員に単発の強い振動を与えてもよい。これにより、乗員の乗り物酔いの症状の進行を迅速に止めることができる。なお、この場合、乗員の気を逸らすことが第一であるため、例えば乗員に不快感を覚えさせるような刺激を与えてもよい。
なお、酔いレベルが第2閾値以上の場合、装置制御部14は、乗員の行動を阻害するような刺激を該乗員に与えてもよい。酔いレベルが第2閾値以上の場合、乗り物酔いの症状が出ているため、これを迅速に改善する方を優先してもよい。もしくは、この場合、乗員の行動の種類に応じて、該行動の種類が、乗り物酔いを悪化させるような特定の行動(例えば、読書等)である場合のみ、該行動を阻害するような刺激を与えることとしてもよい。
さらに、酔いレベルが第3閾値以上の場合、装置制御部14は、酔いレベルが第2閾値以上第3閾値未満の場合に比べ、さらに強い刺激を乗員に与えるよう、刺激付与装置30を制御してもよい。これにより、重い乗り物酔いを迅速に改善することができる。また、この場合、移動体1の運転を停止したり、乗員の座っている座席シートのリクライニング機構(刺激付与装置30)を動作させて座席シートのシートバックを倒したりしてもよい。これにより、重い乗り物酔いの状態である乗員を安静にさせることができる。なお、この場合、乗員が行動中であっても、該行動を妨害したり止めさせたりするような刺激を与えてもよい。
なお、装置制御部14は、行動判定部13が行動の種類を特定する場合、特定された行動の種類に応じた刺激が付与されるように、刺激付与装置30を制御することが望ましい。例えば、行動判定部13から入力された行動の種類が「会話」の場合は、刺激付与装置30としてのライトとスピーカ両方を用いて、光と音で乗員に刺激を与える一方、行動の種類が「読書」の場合、ライトを用いないこととしてもよい。これにより、乗員の行動を妨げずに刺激を付与することができる。
なお、情報処理装置10は、図示しない通信部または記憶部を備えていてもよい。通信部は、情報処理装置10と外部装置との通信を行うものである。記憶部は、情報処理装置10が各種処理を実行するために必要なデータを記憶するものである。
≪処理の流れ1≫
図2は、情報処理装置10が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報処理装置10の生体情報取得部11は、生体センサ20から生体情報を取得する(S10)。生体情報取得部11は生体情報を酔い判定部12および行動判定部13に出力する。
行動判定部13は、生体情報に基づいて、乗員が行動中か否かを判定する(S12)。行動判定部13は判定結果を装置制御部14に出力する。また、酔い判定部12は、生体情報に基づいて、乗員が現在乗り物酔いであるか否かを判定する(S14)。酔い判定部12は判定結果を装置制御部14に出力する。なお、S12の処理とS14の処理とは順不同で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
装置制御部14は、酔い判定部12の判定結果と、行動判定部13の判定結果とを考慮して、刺激付与装置30を制御する。具体的には、装置制御部14はまず酔い判定部12の判定結果、すなわち乗員が乗り物酔いの状態か否かの判定を参照する(S16)。
乗客が乗り物酔いでない場合(S16でNO)、装置制御部14は、刺激付与装置30に乗員に対する刺激を付与させずに処理を終了する。一方、乗客が乗り物酔いである場合(S16でYES)、装置制御部14はさらに、行動判定部13の判定結果、すなわち、乗員が行動中か否かの判定を参照する(S18)。
乗員が行動中でない場合(S18でNO)、装置制御部14は、乗員に対し強刺激を与えるよう刺激付与装置30を制御する(S20)。一方、乗員が行動中でない場合(S18でYES)、装置制御部14は、乗員に対し、行動を阻害しない程度の刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S22)。
以上の処理によれば、乗り物酔いの状態である乗員に対し、該乗員が現在行動中であるか否かに応じて異なる刺激が与えられる。これにより、乗員の行動を考慮した方法で乗り物酔いを改善することができる。
例えば、乗員が行動中でない場合、すなわち、乗員の行動を阻害する危険性が無い場合は、乗員が行動中の場合よりも強い刺激が与えられる。これにより、より迅速に乗り物酔いを改善することができる。また例えば、乗員が何らかの行動中である場合、その行動を阻害せずに乗り物酔いを改善することができる。
≪処理の流れ2≫
図3は、情報処理装置10が実行する処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。図3のフローチャートは、酔い判定部12が酔いレベルを算出する場合の処理の流れを示している。
情報処理装置10の生体情報取得部11は、生体センサ20から生体情報を取得する(S30)。生体情報取得部11は生体情報を酔い判定部12および行動判定部13に出力する。
行動判定部13は、生体情報に基づいて、乗員が行動中か否かを判定する(S32)。行動判定部13は判定結果を装置制御部14に出力する。酔い判定部12は、生体情報から乗員の酔いレベルを算出する(S34)。酔い判定部12は、酔いレベルが第1閾値以上である場合は、乗員が乗り物酔いの状態であると判定する(S36でYES)。一方、酔いレベルが第1閾値未満である場合は、乗員が乗り物酔いの状態でないと判定する(S36でNO)。酔い判定部12は判定結果とともに、酔いレベルの値を装置制御部14に出力する。なお、S32~S36の処理とは順不同で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
装置制御部14は、酔い判定部12の判定結果および酔いレベルと、行動判定部13の判定結果とを考慮して、刺激付与装置30を制御する。具体的には、装置制御部14はまず酔い判定部12の判定結果、すなわち乗員が乗り物酔いの状態か否かの判定を参照する。乗客が乗り物酔いでない場合(S36でNO)、装置制御部14は、刺激付与装置30に乗員に対する刺激を付与させずに処理を終了する。一方、乗客が乗り物酔いである場合(S36でYES)、装置制御部14はさらに、行動判定部13の判定結果、すなわち、乗員が行動中か否かの判定を参照する(S38)。
乗員が行動中でない場合(S38でNO)、装置制御部14は、乗員に対し強刺激を与えるよう刺激付与装置30を制御する(S40)。一方、乗員が行動中である場合(S38でYES)、装置制御部14は、酔いレベルが第2閾値以上か否かを判定する(S42)。酔いレベルが第2閾値以上である場合(S42でYES)、装置制御部14は、乗員に行動を止めさせることができるような刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S44)。一方、酔いレベルが第2閾値未満である場合(S42でNO)、装置制御部14は、酔い乗員に対し、行動を阻害しない程度の刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S46)。
前記の処理によれば、乗員に、乗り物酔いの強さに応じた強度の刺激を与えることができる。例えば、乗員がひどく乗り物酔いしている場合は強い刺激を与えて迅速に乗り物酔いを改善することができる。一方、乗員が軽く乗り物酔いしている程度の場合は、弱い刺激で穏やかに乗り物酔いを改善することができる。したがって、乗員の状態に適した強度で刺激を与えることができる。
〔実施形態2〕
本発明の一態様に係る情報処理装置は、生体情報に基づいて、乗員が後に乗り物酔いの状態になるか否かを予測する、酔い予測部を備えていてもよい。そして、装置制御部14は、酔い予測部において乗員が後に乗り物酔いの状態になると予測された場合、乗り物酔いの状態を予防または改善するための刺激を該乗員に与えるよう、刺激付与装置30を制御してもよい。そして、このとき、装置制御部14は、乗員が行動中か否かに応じて乗員に異なる刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御してもよい。
以下、本発明の第2の実施形態について、図4~6を用いて説明する。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。これは、以降の実施形態においても同様である。
≪要部構成≫
図4は、本実施形態に係る情報処理システム200の要部構成の一例を示すブロック図である。情報処理システム200は、情報処理装置50を含む点で、実施形態1に係る情報処理システム100と異なる。また、情報処理システム200は各種機器40を含んでいてもよい。
各種機器40は、移動体1の各種機構、または移動体1に備えられた各種機器である。各種機器40は、図示しない通信部を介して得たデータや、自身の挙動に関する情報を機器情報として、機器情報取得部15に出力する。各種機器40は、例えばシートの向きを特定するためのジャイロセンサおよび加速度センサ等、移動体1の加減速、コーナリング、および振動等の挙動を検出するための機構、ならびに、移動体1の操作履歴を取得する機構であってもよい。各種機器40は、機器情報を所定の時間間隔で検出または取得して、機器情報取得部15に出力する。なお、ここで言う「所定の時間間隔」の具体的な値は特に限定しないが、移動体1の挙動をリアルタイムで検出または取得できることがより好ましい。
情報処理装置50は、酔い予測部16と、装置制御部17とを含む点で情報処理装置10と異なる。また、情報処理装置50は、機器情報取得部15を含んでいてもよい。
機器情報取得部15は、各種機器40から所定の時間間隔で機器情報を取得する。機器情報取得部15は機器情報を随時酔い予測部16に出力する。また、機器情報取得部15は機器情報を随時行動判定部13に出力してもよい。
本実施形態において、行動判定部13は、機器情報取得部15から入力された機器情報を加味して、乗員が行動中か否か判定してもよい。
酔い予測部16は、生体情報取得部11から入力された生体情報に基づいて、乗員が後に乗り物酔いの状態になるか否かを予測する。なお、ここで言う「後に」とは、現時点以後の時点であればいつの時点か特に限定されない。酔い予測部16は、予測結果を装置制御部17に出力する。なお、酔い予測部16における予測は、生体情報取得部11から酔い予測部16へと生体情報が入力される度に、もしくは、所定の時間感覚で、逐次行われる。
酔い予測部16における予測方法は特に限定されない。例えば、酔い予測部16は、生体情報としての乗員の脈拍および体温から該乗員の体調を推定することで、該乗員が乗り物酔いの状態であるか否かを特定してもよい。
また、酔い予測部16は、後で乗員が陥る乗り物酔いの程度の強さを示す指標値を算出してもよい。以降、該指標値を「予測レベル」と称する。本実施形態では、予測レベルは、実施形態1において説明した「酔いレベル」と同様の方法で算出され、該酔いレベルにおける第1~第3閾値と同様の閾値で管理されることとする。
また、酔い予測部16は、機器情報取得部15から入力された機器情報に基づいて、乗員が後に乗り物酔いの状態になるか否かを予測してもよい。また、酔い予測部16は該機器情報に基づいて、予測レベルを算出してもよい。
例えば、移動体1の加速度またはコーナリング速度を示す情報を機器情報として入力された場合、酔い予測部16は、該加速度またはコーナリング速度の絶対値が所定の閾値以上であるか否かを判定してもよい。そして、前記絶対値が所定の上限閾値以上である場合、酔い予測部16は、予測レベルの第1閾値自体を低下させてから、予測レベルの算出を行ってもよい。なお、ここで言う「上限閾値」とは、例えば移動体1において急発進または急ブレーキが行われる際の加速度またはコーナリング速度の絶対値と同程度の値であることが好ましい。
移動体1が急な加速または減速を行った場合、乗員は乗り物酔いの状態になり易いと推測される。したがって、そのような場合に予測レベルの第1閾値、すなわち「後に乗り物酔いの状態になるか否か」の判定基準を緩和することで、乗員が後に乗り物酔いになるケースを逃さずに検出することができる。
また、加速度またはコーナリング速度の絶対値が所定の下限閾値未満である場合、予測レベルの第1閾値を上昇させてから、予測レベルの算出を行ってもよい。なお、下限閾値は上限閾値以下の値である。すなわち、移動体1における加減速が比較的緩やかである場合は、「後に乗り物酔いの状態になるか否か」の判定基準をより厳しくしてもよい。これにより、乗員が後に乗り物酔いになるか否かをより正確に判定することができる。
機器情報の取得は生体情報と同様、所定の時間間隔(望ましくは、リアルタイム)で定期的に行われるため、前述の通り第1閾値を調整することにより、リアルタイムで変化する移動体1の動きに応じて、乗り物酔いになるか否かの予測を行うことができる。したがって、より正確に乗り物酔いになるか否かの予測を行うことができる。
また、酔い予測部16は、図示しない通信部を介して、移動体1の走行中の道路のルート情報または地図データ等を取得してもよい。そして、酔い予測部16は該取得したデータに基づいて、前述の予測または予測レベルの算出を行ってもよい。なお、ここで言うルート情報および地図データは、単なるルートおよび地図ではなく、道路の種類、制限速度等の道路標識、および周辺施設を示す情報を含んでいてもよい。
例えば、ルート情報または地図データに道路の種類を示す情報が含まれている場合、酔い予測部16はルート情報または地図データから、移動体1の走行中の道路が一般道か高速道路であるかを判別することができる。この場合、酔い予測部16は、走行中の道路が一般道である場合は予測レベルの第1閾値を低下させてから、予測レベルの算出を行ってもよい。一般道は、カーブまたは分岐等が多く、頻繁に移動体1の加減速が行われると予測できる。したがって、そのような場合に予測レベルの第1閾値、すなわち「後に乗り物酔いの状態になるか否か」の判定基準を緩和することで、乗員が後に乗り物酔いになるケースを逃さずに検出することができる。
また、酔い予測部16は、走行中の道路が高速道路である場合に、予測レベルの第1閾値を上昇させてから、予測レベルの算出を行ってもよい。加速度またはコーナリング速度の絶対値が所定の下限閾値未満である場合、予測レベルの第1閾値を上昇させてから、予測レベルの算出を行ってもよい。高速道路は、アップダウンおよび分岐が一般道に比べて少ないため、移動体1における加減速も緩やかであると推測できる。
このように、移動体1における加減速が緩やかである場合は、「後に乗り物酔いの状態になるか否か」の判定基準をより厳しくすることで、乗員が後に乗り物酔いになるか否かをより正確に判定することができる。
なお、上述のように、予測レベルの第1閾値を低下または上昇させた場合、第2閾値および第3閾値も、第1閾値の値の変化に応じて変化させてもよい。例えば、第1閾値を低下させた場合、その低下分だけ、第2閾値および第3閾値も低下させてもよい。また、第1閾値を上昇させた場合、その上昇分だけ、第2閾値および第3閾値も上昇させてよい。
装置制御部17は、酔い予測部16および行動判定部13の判定結果に応じて刺激付与装置30を制御する。具体的には、装置制御部17は、酔い予測部16が、乗員が後に乗り物酔いの状態になると判定した場合に、乗り物酔いを予防または改善するための刺激を前記乗員に与えるよう、刺激付与装置30を制御する。また、装置制御部17は、行動判定部13の判定結果、すなわち、乗員が行動中か否かに応じて、乗員に異なる刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する。
装置制御部17による刺激付与装置30の制御方法は、装置制御部14と同様、特に限定されない。また、刺激付与装置30が複数台存在する場合、装置制御部17は、いずれの刺激付与装置30をどのように制御することで乗員に刺激を付与するかを、適宜決定してよい。例えば、装置制御部14は、複数の刺激付与装置30からそれぞれ異なる方法で、乗員に刺激を付与することが望ましい。また、刺激によって、どのように乗り物酔いを予防または改善するかについても、装置制御部14と同様、特に限定されない。
なお、酔い予測部16が予測レベルを算出する場合、装置制御部17は、酔い予測部16から入力された予測レベルに応じた強度の刺激を、乗員に与えてもよい。これにより、乗員に、乗り物酔いの強さに応じた強度の刺激を与えることができる。
より具体的に言えば、装置制御部17は、予測レベルが高い、すなわち後にかかる乗り物酔いの程度が重いほど、強い刺激を乗員に与えてもよい。これにより、乗員が重い乗り物酔いの場合は、強い刺激を与えて迅速に乗り物酔いを改善することができる。一方、乗員が軽い乗り物酔いの場合は、弱い刺激で穏やかに乗り物酔いを予防することができる。このように、前述の構成によれば、乗員の状態に適した強度で刺激を与えることができる。
なお、酔い予測部16は、行動判定部13の判定結果に基づいて、乗員が後に乗り物酔いの状態になるか否かを予測してもよい。すなわち、酔い予測部16は、乗員が行動中か否かに応じて、乗員が後に酔うか否かを予測してよい。
乗員が行動中か否かは、後に該乗員が乗り物酔いを起こすかどうかに関係する可能性が高い。例えば、乗員が読書等の作業をしていた場合、該乗員は乗り物酔いの状態になり易くなるといえる。したがって、乗員の行動を考慮して乗り物酔いの状態になるか否かを予測することで、より正確な予測が行える。
≪処理の流れ1≫
図5は、情報処理装置50が実行する処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。なお、同図の流れでは、情報処理システム100は各種機器40および情報処理装置50の生体情報取得部11は、生体センサ20から生体情報を取得する(S50)。生体情報取得部11は生体情報を酔い予測部16および行動判定部13に出力する。
行動判定部13は、生体情報に基づいて、乗員の行動有無を判定する(S52)。行動判定部13は、判定結果を装置制御部17に出力する。また、酔い判定部12は、生体情報および機器情報に基づいて、乗員が以後、乗り物酔いの状態になる可能性を予測する(S54)。酔い判定部12は判定結果を装置制御部17に出力する。なお、S52の処理とS54の処理とは順不同で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
装置制御部17は、酔い予測部16の判定結果と、行動判定部13の判定結果とを考慮して、刺激付与装置30を制御する。具体的には、装置制御部17はまず酔い予測部16の判定結果、すなわち乗員が後に乗り物酔いするか否かの判定結果を参照する(S56)。
後に乗り物酔いしない場合(S56でNO)、装置制御部17は、刺激付与装置30に乗員に対する刺激を付与させずに処理を終了する。一方、乗客が後に乗り物酔いになる場合(S56でYES)、装置制御部17はさらに、行動判定部13の判定結果、すなわち、乗員が行動中か否かの判定を参照する(S58)。
乗員が行動中でない場合(S58でNO)、装置制御部17は、乗員に対し、乗り物酔い防止または改善のための刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S60)。一方、乗員が行動中である場合(S58でYES)、装置制御部17は、乗員に対し、行動を阻害しない程度の刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S62)。なお、S62で与える刺激の強さは、S60で与える刺激の強さよりも弱いことが望ましい。
以上の処理によれば、後に乗り物酔いの状態になると予測される乗員に、該乗員が現在行動中か否かによって、異なる刺激が与えられる。ここで、刺激とは、乗り物酔いを予防または改善するための刺激である。これにより、乗員の行動に応じた方法で乗り物酔いを予防または改善することができる。
また、乗員が行動中か否かは、後に該乗員が乗り物酔いを起こすかどうかに関係する可能性が高い。したがって、以上の処理によれば、乗員が後に乗り物酔いの状態になるかを、より正確に予測することができる。
≪処理の流れ2≫
図6は、情報処理装置50が実行する処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートは、酔い予測部16が予測レベルを算出する場合の処理の流れを示している。
情報処理装置10の生体情報取得部11は、生体センサ20から生体情報を取得する(70)。生体情報取得部11は生体情報を酔い予測部16および行動判定部13に出力する。
行動判定部13は、生体情報に基づいて、乗員が行動中か否かを判定する(S72)。行動判定部13は判定結果を装置制御部17に出力する。酔い予測部16は、生体情報から乗員の予測レベルを算出する(S74)。酔い予測部16は、予測レベルが第1閾値以上である場合は、乗員が後に乗り物酔いの状態になると判定する(S76でYES)。一方、予測レベルが第1閾値未満である場合は、乗員が乗り物酔いの状態でないと判定する(S76でNO)。酔い判定部12は判定結果とともに、予測レベルの値を装置制御部17に出力する。なお、S72~S76の処理とは順不同で実行されてもよいし、並行して実行されてもよい。
装置制御部17は、酔い予測部16の予測結果および予測レベルと、行動判定部13の判定結果とを考慮して、刺激付与装置30を制御する。具体的には、装置制御部17はまず酔い予測部16の判定結果、すなわち乗員が後に乗り物酔いになるか否かの判定を参照する。乗客が後に乗り物酔いにならないと判定された場合(S76でNO)、装置制御部17は、刺激付与装置30に乗員に対する刺激を付与させずに処理を終了する。一方、乗客が後に乗り物酔いになる可能性がある場合(S76でYES)、装置制御部17はさらに、行動判定部13の判定結果、すなわち、乗員が行動中か否かの判定を参照する(S78)。
乗員が行動中でない場合(S78でNO)、装置制御部17は、乗員に対し刺激を与えるよう刺激付与装置30を制御する(S80)。一方、乗員が行動中である場合(S78でYES)、装置制御部17は、予測レベルが第2閾値以上か否かを判定する(S82)。予測レベルが第2閾値以上である場合(S82でYES)、装置制御部17は、乗員に行動を止めさせることができるような刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S84)。一方、予測レベルが第2閾値未満である場合(S82でNO)、装置制御部17は、乗員に対し、行動を阻害しない程度の刺激を与えるよう、刺激付与装置30を制御する(S86)。
〔実施形態3〕
実施形態1に係る情報処理システム100と、実施形態2に係る情報処理システム200とは、組み合わせて実施してもよい。
≪要部構成≫
図7は、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システム300の要部構成の一例を示すブロック図である。情報処理システム300は図示の通り、情報処理システム100に含まれる機能ブロックと、情報処理システム200に含まれる機能ブロックとの両方を含む。なお、実施形態2の場合と同様、本実施形態においても、各種機器40および機器情報取得部15は必須の構成ではない。
本実施形態に係る生体情報取得部11は、取得した生体情報を、酔い判定部12、行動判定部13、および酔い予測部16に出力する。また、本実施形態に係る装置制御部19は、装置制御部14の機能と装置制御部17の機能とを併せ持つ。
また、本実施形態に係る酔い判定部12は、乗員が乗り物酔いの状態でないと判定した場合、酔い予測部16に判定結果を伝える。酔い予測部16は、酔い判定部12から判定結果を通知されると、乗員が後に乗り物酔い状態になるか否かを予測する。
≪処理の流れ≫
図8は、情報処理装置60が実行する処理の流れの他の一例を示すフローチャートである。なお、図8のフローチャートは、酔い判定部12が酔いレベルを算出する場合、かつ酔い予測部16が予測レベルを算出する場合の処理の流れを示している。
情報処理装置10の生体情報取得部11は、生体センサ20から生体情報を取得する(100)。生体情報取得部11は生体情報を酔い判定部12、行動判定部13、および酔い予測部16に出力する。
行動判定部13は、生体情報に基づいて、乗員が行動中か否かを判定する(S102)。行動判定部13は判定結果を装置制御部19に出力する。酔い判定部12は、生体情報から、乗員の酔いレベルを算出する(S104)。
酔い判定部12は、酔いレベルが第1閾値以上である場合は、乗員が乗り物酔いの状態であると判定する(S106でYES)。この場合、酔い判定部12は、判定結果とともに、酔いレベルの値を装置制御部19に出力する。以降のS108~S116の処理は、図3のS38~S46と同様である。
一方、酔いレベルが第1閾値未満である場合、酔い判定部12は乗員が乗り物酔いの状態でないと判定する(S106でNO)。この場合、酔い判定部12は判定結果を、酔い予測部16に通知する。酔い予測部16は該通知を受けると、乗員が後に車酔いの状態になるか否かを予測する(S118)。以降のS120~S130の処理は、図6のS76~86と同様である。
以上の処理によれば、現在乗員が乗り物酔いの状態である場合は、該乗員に対し、該乗員の行動の有無に応じて、乗り物酔いを改善するための刺激を与えることができる。また、以上の処理によれば、現在乗員が乗り物酔いの状態ではないが、後に乗り物酔いの状態になると予測される場合、該乗員に乗り物酔い予防のための刺激を与えることができる。これにより、乗員の乗り物酔いを改善および予防することができる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
情報処理装置10、50、および60の制御ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、情報処理装置10、50、および60は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、前記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、前記コンピュータにおいて、前記プロセッサが前記プログラムを前記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。前記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。前記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、前記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、前記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して前記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、前記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。