JP7181722B2 - 電解コンデンサ用電解液及び前記電解液を用いた電解コンデンサ - Google Patents
電解コンデンサ用電解液及び前記電解液を用いた電解コンデンサ Download PDFInfo
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Description
また、特許文献2でアクリル酸/メタクリル酸共重合体を電解コンデンサ用電解液に含有させることで、耐電圧を向上させる技術が開示されている。
また、車載用途の電気製品に使用される電解コンデンサは高温環境下での使用が想定されるが、高温時に耐電圧が低下する問題もあった。
即ち本発明は、(メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)を必須構成モノマーとする重合体(A)と、溶剤(B)と電解コンデンサ用電解質(C)とを含む電解コンデンサ用電解液であって、前記(メタ)アクリルモノマー(a1)の溶解度パラメータと、溶剤(B)の溶解度パラメータとの差の絶対値が0.0(cal/cm3)1/2以上4.5(cal/cm3)1/2未満であり、前記(メタ)アクリルモノマー(a2)の溶解度パラメータと、溶剤(B)の溶解度パラメータとの差の絶対値が4.5(cal/cm3)1/2以上7.5(cal/cm3)1/2以下であり、前記溶剤(B)が分子量600以下のアルコールを含有する電解コンデンサ用電解液;前記電解コンデンサ用電解液を含む電解コンデンサである。
なお、本発明において、「(メタ)アクリロイル」の表記は、アクリロイル及び/又はメタアクリロイルを意味し、「(メタ)アクリレート」の表記は、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル」の表記は、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリロイロキシ」の表記は、アクリロイロキシ及び/又はメタアクリロイロキシを意味する。
そして、前記(メタ)アクリルモノマー(a1)の溶解度パラメータ(以降、SP値と略記する)と、溶剤(B)のSP値との差の絶対値が0.0(cal/cm3)1/2以上4.5(cal/cm3)1/2未満であり、室温での耐電圧の観点及び溶解性の観点からは、1.0(cal/cm3)1/2以上4.0(cal/cm3)1/2以下であることが好ましく、更に好ましくは、2.0(cal/cm3)1/2以上3.0(cal/cm3)1/2以下である。
また、前記(メタ)アクリルモノマー(a2)のSP値と、溶剤(B)のSP値との差の絶対値が4.5(cal/cm3)1/2以上7.5(cal/cm3)1/2以下である。7.5(cal/cm3)1/2を超える場合には高温時の耐電圧が低下するという問題がある。(メタ)アクリルモノマー(a2)のSP値と、溶剤(B)のSP値との差の絶対値は、好ましくは4.5(cal/cm3)1/2以上7.0(cal/cm3)1/2以下であり、更に好ましくは、5.0(cal/cm3)1/2以上6.5(cal/cm3)1/2以下である。
なお、本発明におけるSP値は、ロバートエフフェイダース(Robert F. Fedors)らの著によるポリマーエンジニアリングアンドサイエンス(Polymerengineering and science)第14巻、147~154ページに記載されている方法で計算したものである。
また、溶剤(B)が、2種以上の溶剤の混合物である場合、溶剤(B)のSP値は、溶剤(B)が含有する各溶剤のSP値をその重量比率に基づいて加重平均した値を用いる。
(メタ)アクリロイル基を2個以上有する単量体として好ましいものとしては、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサジオールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=4)、ポリエチレングリコールジアクリレート(n=7)ポリエチレングリコールジアクリレート(n=14)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=3)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=7)ポリプロピレングリコールジアクリレート(n=12)、トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシド(EO)変性グリセロールトリアクリレート、プロピレンオキシド(PO)変性トリグレセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等が挙げられる。
また、前記の(メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記のモノマー(a3)としては、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、2-ヒロドキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、アセトキシエチルビニルエーテル、アセトキシブチルビニルエーテル、1-ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン及びN-ビニルピロリドン等が挙げられる。
なお、前記の重合体(A)が、2種以上の(メタ)アクリルモノマー(a1)を構成単位として有する場合、(メタ)アクリルモノマー(a1)のSP値は、(メタ)アクリルモノマー(a1)に該当する各(メタ)アクリルモノマーのSP値をその重量比率に基づいて加重平均した値を用いる。前記の重合体(A)が、2種以上の(メタ)アクリルモノマー(a2)を構成単位として有する場合も同様にして、(メタ)アクリルモノマー(a2)のSP値を算出する。
また、(メタ)アクリルモノマー(a1)に該当するモノマーと、(メタ)アクリルモノマー(a2)に該当するモノマーの組み合わせの内、最もSP値の差の絶対値が大きくなる組み合わせについてのSP値の差の絶対値は、1.5~7.0(cal/cm3)1/2であることが好ましく、更にこのましくは3.0~5.0(cal/cm3)1/2である。
装置(一例):東ソー(株)製HLC-8120
カラム(一例):TSK GEL GMH6 2本〔東ソー(株)製〕
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量:100μl
検出装置: 屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(重量平均分子量: 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
また、前記重合体(A)を構成する(メタ)アクリルモノマー(a2)の重量割合は、高温時の耐電圧低下を抑制する観点から、前記重合体(A)を構成する(a1)と(a2)との合計重量を基準として1~50重量%であることが好ましい。
また、前記重合体(A)がモノマー(a3)を構成モノマーとして含む場合、前記重合体(A)を構成するモノマー(a3)の重量割合は、高温時の耐電圧低下を抑制する観点から、前記重合体(A)を構成する全てのモノマーの重量を基準として20重量%以下であることが好ましい。
例えば、前記モノマー(a1)、(a2)及び必要に応じて(a3)を重合用溶剤(トルエン等)中でラジカル開始剤(アゾビスイソブチロニトリル等)とともに反応させる溶液重合法により合成し、その後重合に用いた溶剤を減圧乾燥により留去することで得ることができる。
分子量600以下のアルコールとしては、メチルアルコール(SP値:13.8(cal/cm3)1/2)、エチルアルコール(SP値:12.1(cal/cm3)1/2)、プロピルアルコール(SP値:11.8(cal/cm3)1/2)、ブチルアルコール(SP値:11.3(cal/cm3)1/2)、エチレングリコール(SP値:14.8(cal/cm3)1/2)、ジエチレングリコール(SP値:(cal/cm3)1/2)、プロピレングリコール(SP値:13.5(cal/cm3)1/2)、エチレングリコールモノブチルエーテル(SP値:10.8(cal/cm3)1/2)、ポリエチレングリコール(Mn:600以下)(SP値:11.2~10.1(cal/cm3)1/2)及びグリセリン(SP値:16.4(cal/cm3)1/2)等が挙げられる。
これらのうち、高温時の耐電圧低下を抑制する観点から、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、分子量600以下のポリエチレングリコール及び分子量600以下のポリプロピレングリコールである。
なお、溶剤(B)が、2種以上の溶剤の混合物である場合、溶剤(B)のSP値は、溶剤(B)が含有する各溶剤のSP値をその重量比率に基づいて加重平均した値を用いる。
SP値が上記の好ましい範囲(10.0~16.0(cal/cm3)1/2)にある溶剤(B)としては、エチレングリコール(SP値:14.8(cal/cm3)1/2)、プロピレングリコール(SP値:13.5(cal/cm3)1/2)、ジエチレングリコール(SP値:13.0(cal/cm3)1/2)及びこれらの混合物が挙げられる。
飽和モノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸及びウンデカン酸等);
不飽和モノカルボン酸[(メタ)アクリル酸、クロトン酸及びオレイン酸等];
不飽和脂肪族ポリカルボン酸(マレイン酸、フマール酸、イタコン酸及びシトラコン酸等);
芳香族モノカルボン酸(安息香酸、ケイ皮酸、ナフトエ酸、トルイル酸、エチル安息香酸、プロピル安息香酸、イソプロピル安息香酸、ブチル安息香酸、イソブチル安息香酸、第2ブチル安息香酸、第3ブチル安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、エトキシ安息香酸、プロポキシ安息香酸、イソプロポキシ安息香酸、ブトキシ安息香酸、イソブトキシ安息香酸、第2ブトキシ安息香酸、第3ブトキシ安息香酸、アミノ安息香酸、N-メチルアミノ安息香酸、N-エチルアミノ安息香酸、N-プロピルアミノ安息香酸、N-イソプロピルアミノ安息香酸、N-ブチルアミノ安息香酸、N-イソブチルアミノ安息香酸、N-第2ブチルアミノ安息香酸、N-第3ブチルアミノ安息香酸、N,N-ジメチルアミノ安息香酸及びN,N-ジエチルアミノ安息香酸等);
及び芳香族ポリカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸等)等のカルボン酸のカルボキシ基から水素原子を除いたアニオンが挙げられる。
これらの内、耐電圧の観点から好ましいのは飽和ポリカルボン酸及び不飽和ポリカルボン酸のカルボキシ基から水素原子を除いたアニオンである。
アンモニウムとしては、無置換アンモニウム、第1級アンモニウム(メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム及びイソプロピルアンモニウム等)、第2級アンモニウム(ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、メチルエチルアンモニウム、メチルプロピルアンモニウム及びメチルイソプロピルアンモニウム等)、第3級アンモニウム(トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、ジメチルエチルアンモニウム、ジメチルプロピルアンモニウム及びジメチルイソプロピルアンモニウム等)及び第4級アンモニウム(テトラメチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム及びテトラエチルアンモニウム等)等が挙げられる。
アミジニウムとしては、イミダゾリニウム、イミダゾリニウムが有する水素原子をアルキル基で置換したカチオン(1,2,3,4-テトラメチルイミダゾリニウム、1,3,4-トリメチル-2-エチルイミダゾリニウム、1,3-ジメチル-2,4-ジエチルイミダゾリニウム及び1,2-ジメチル-3,4-ジエチルイミダゾリニウム等)、イミダゾリウム及びイミダゾリウムが有する水素原子をアルキル基で置換したカチオン(1,3-ジメチルイミダゾリウム、1,3-ジエチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム及び1,2,3-トリメチルイミダゾリウム等)等が挙げられる。
前記のホウ酸化合物(D)としては、ホウ酸及びホウ酸エステル等が挙げられる。
前記のホウ酸エステルとしては、ホウ酸アルキル(ホウ酸トリエチル等)及びホウ酸アリール(ホウ酸トリフェニル等)等が挙げられる。
これらの内、耐電圧の観点から好ましいのはホウ酸である。
0.5重量%以上の重合体(A)を含有すると耐電圧が良好であり、40重量%以下であると導電率が良好である。
電解コンデンサ用電解液の合計重量に対する前記の溶剤(B)の重量比率は、耐電圧向上の観点から、50~99重量%であることが好ましく、更に好ましくは60~80重量%である。
電解コンデンサ用電解液の合計重量に対する電解コンデンサ用電解質(C)の重量比率は、導電率の観点から0.5~40重量%であることが好ましく、更に好ましくは5~30重量%である。
例えば、前記の重合体(A)、溶剤(B)及び電解コンデンサ用電解質(C)並びに必要に応じてホウ酸化合物(D)を、20~150℃の温度範囲で、公知の機械的混合方法(例えばメカニカルスターラーやマグネティックスターラーを用いる方法)を用いることによって均一混合することで、製造することができる。
装置:東ソー(株)製 HLC-8120
カラム:TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度:40℃
試料溶液:0.25重量%のTHF溶液
溶液注入量:100μl
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(重量平均分子量: 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
撹拌機、温度計及び冷却管を取り付けたフラスコに、メチルイソブチルケトン[和光純薬工業(株)製]200重量部及びヒドロキシエチルメタクリレート[東京化成工業(株)製]70重量部とメチルメタクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部を投入し、80℃まで加熱した。ここに予め調製しておいたアゾビスイソブチロニトリル[和光純薬工業(株)製]1部をメチルイソブチルケトン5重量部に溶解させた溶液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、更に3時間加熱した。その後100℃、0.5kPaの条件の減圧乾燥によりメチルイソブチルケトンを留去し、重合体(A-1)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ヒドロキシエチルアクリレート[東京化成工業(株)製]70重量部及びn―ブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-2)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ヒドロキシブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]70重量部、メチルメタクリレート[東京化成工業(株)製]15重量部及びt―ブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]15重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-3)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレートに代えて、アクリル酸[東京化成工業(株)製]70重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-4)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、グリセリンモノアクリレート[ブレンマーGLM、日油(株)製]70重量部及び2-エチルヘキシルアクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-5)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート[日本化成(株)製]70重量部及びフェノキシエチルアクリレート[ビスコート♯192、大阪有機化学工業(株)製]30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-6)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、アクリルアミド[東京化成工業(株)製]70重量部及びベンジルアクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-7)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ポリエチレングリコ―ル[n(オキシエチレン基の繰り返し数)=2]モノアクリレート[ブレンマーAE-90、日油(株)製]70重量部及びシクロヘキシルアクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-8)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ポリエチレングリコ―ル[n(オキシエチレン基の繰り返し数)=4]モノアクリレート[ブレンマーAE-200、日油(株)製]70重量部及びシクロヘキシルアクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-9)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ヒドロキシエチルメタクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部、ヒドロキシブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]30重量部及びフェノキシエチルアクリレート[東京化成工業(株)製]40重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-10)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ヒドロキシブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]90重量部及びメチルメタクリレート[東京化成工業(株)製]10重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-11)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ヒドロキシブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]50重量部及びフェノキシエチルアクリレート[東京化成工業(株)製]50重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い重合体(A-12)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、アクリル酸[東京化成工業(株)製]72重量部及びメタクリル酸[東京化成工業(株)製]28重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い比較用の重合体(A’-1)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、ヒドロキシブチルアクリレート[東京化成工業(株)製]100重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い比較用の重合体(A’-2)を合成した。
製造例1において、ヒドロキシエチルメタクリレート及びメチルメタクリレートに代えて、メチルメタクリレート[東京化成工業(株)製]100重量部を用いた以外は製造例1と同様にして行い比較用の重合体(A’-3)を合成した。
また、溶剤(B)がプロピレングリコールである場合における重合体(A-1)を構成する各モノマーのSP値とプロピレングリコールとのSP値との差の絶対値を表2に示す。
また、溶剤(B)がエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合物である場合における重合体(A-1)を構成する各モノマーのSP値とエチレングリコールとプロピレングリコールとの混合物とのSP値との差の絶対値、及び溶剤(B)がグリセリンである場合における重合体(A-1)を構成する各モノマーのSP値とグリセリンのSP値との絶対値を表2に示す。
また、溶剤(B)が、ジエチレングリコール又はグリセリンである場合における重合体(A-3)を構成する各モノマーのSP値とジエチレングリコール又はグリセリンとのSP値との差の絶対値を表3に示す。
また、重合体(A-1)~(A-14)及び比較用の重合体(A’-1)~(A’-3)の数平均分子量を表1~3に示す。
<製造例13>
ビーカーにメタノール200重量部とアゼライン酸48.5重量部を投入し、炭酸アンモニウム29.2重量部を投入し中和した。その後減圧下(0.5kPa)80℃の条件でメタノールを除去し、アゼライン酸アンモニウム(C-1)54.0重量部を得た。
<実施例1~21、比較例1~7>
上記製造例で合成した重合体(A)としての重合体(A-1)~(A-14)及び比較製造例で合成した比較用の重合体(A’-1)~(A’-3)と、電解コンデンサ用電解質(C)と、溶剤(B)としてのエチレングリコール(SP値:14.8(cal/cm3)1/2)、プロピレングリコール(SP値:13.5(cal/cm3)1/2)、ジエチレングリコール(SP値:13.0(cal/cm3)1/2)及びグリセリン(SP値:16.4(cal/cm3)1/2)、ホウ酸化合物(D)としてのホウ酸とを表1に示した部数で配合し、実施例1~21の電解液の電解コンデンサ用電解液及び比較例1~7の比較用電解コンデンサ用電解液を調製した。
電気伝導率計CM-40S[東亜電波工業(株)製]を用いて、実施例及び比較例の電解液の30℃での導電率を測定した。
陽極として10cm2の高圧用化成エッチングアルミニウム箔を、陰極として10cm2のプレーンなアルミニウム箔を、電解液として実施例及び比較例の各電解液を用いた。次に、25℃又は85℃にて定電圧・定電流直流電源装置[(株)高砂製作所製、GP0650-05R]を用いて定電流法(2mA)による負荷をかけ、電圧を測定した。横軸に時間を、縦軸に電圧をプロットし、時間経過に伴う電圧の上昇カーブを観測し、初めにスパーク又はシンチレーションによる上昇カーブの乱れが生じた時点での電圧を火花電圧とした。火花電圧が高いほど、耐電圧が高いことを示す。
比較例1の比較用電解コンデンサ用電解液は、室温環境下及び降温環境下において耐電圧が低い。
一方、比較例2~4の比較用電解コンデンサ用電解液は、重合体(A)未添加の比較例1に比べて、室温環境下における耐電圧が向上するものの、85℃の高温環境下においては耐電圧が大きく低下する。これは重合体(A’-1)及び重合体(A’-2)が、溶剤との極性の差が比較的大きい(メタ)アクリルモノマー(a2)を構成単位として有していないためであると考えられる。
比較例5及び6の比較用電解コンデンサ用電解液は、室温環境下及び降温環境下において耐電圧が低い。 また、比較例7の比較用電解コンデンサ用電解液において、重合体(A’-3)は溶剤に不溶であり、コンデンサ用添加剤として使用することができない。これは重合体(A’-3)が、(メタ)アクリルモノマー(a1)を構成単位として有しておらず、溶剤との極性の差が大きいためであると考えられる。
また、本発明の電解コンデンサ用電解液は、高温時にも高い耐電圧を有するため、駆動時に高温になりやすいノートパソコン等のモバイル用途、特に車載用途の電解コンデンサ用電解液として好適である。
Claims (5)
- (メタ)アクリルモノマー(a1)及び(メタ)アクリルモノマー(a2)を必須構成モノマーとする重合体(A)と、溶剤(B)と電解コンデンサ用電解質(C)とを含む電解コンデンサ用電解液であって、
前記(メタ)アクリルモノマー(a1)の溶解度パラメータと、溶剤(B)の溶解度パラメータとの差の絶対値が0.0(cal/cm3)1/2以上4.5(cal/cm3)1/2未満であり、前記(メタ)アクリルモノマー(a2)の溶解度パラメータと、溶剤(B)の溶解度パラメータとの差の絶対値が4.5(cal/cm3)1/2以上7.5(cal/cm3)1/2以下であり、前記溶剤(B)が分子量600以下のアルコールを含有し、前記重合体(A)を構成する(メタ)アクリルモノマー(a1)の重量割合が、前記重合体(A)を構成する(a1)と(a2)との合計重量を基準として50~99重量%であり、前記重合体(A)を構成する(メタ)アクリルモノマー(a2)の重量割合が、前記重合体(A)を構成する(a1)と(a2)との合計重量を基準として1~50重量%である電解コンデンサ用電解液(但し、無機イオン交換体を含有しない)。 - 前記(メタ)アクリルモノマー(a1)が、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミド基及び炭素数2~3のオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する(メタ)アクリルモノマーである請求項1に記載の電解コンデンサ用電解液。
- 前記重合体(A)の数平均分子量が1,000~100,000である請求項1又は2に記載の電解コンデンサ用電解液。
- 前記(メタ)アクリルモノマー(a1)の溶解度パラメータと、前記(メタ)アクリルモノマー(a2)の溶解度パラメータとの差の絶対値が、1.0~7.0(cal/cm3)1/2である請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ用電解液を含む電解コンデンサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022066041A JP7340650B2 (ja) | 2017-08-04 | 2022-04-13 | 電解コンデンサ用電解液及び前記電解液を用いた電解コンデンサ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017151970 | 2017-08-04 | ||
JP2017151970 | 2017-08-04 |
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