JP2022020594A - コンデンサ電解液用のゲル化剤、およびそれを用いた電解コンデンサ用電解液ならびに電解コンデンサ - Google Patents

コンデンサ電解液用のゲル化剤、およびそれを用いた電解コンデンサ用電解液ならびに電解コンデンサ Download PDF

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周平 松下
Shuhei Matsushita
幸香 平澤
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亮二 保田
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Abstract

【課題】本発明は、耐電圧特性の高温安定性に優れ、且つインピーダンス特性および低温特性に優れた電解コンデンサを得るためのコンデンサ電解液用ゲル化剤を提供することを課題とする。【解決手段】ポリオキシアルキレンポリグリセリルエーテル(メタ)アクリレートを含む重合性モノマーをコンデンサ用電解液のゲル化剤として用いることにより、耐電圧特性の高温安定性に優れたゲル状電解液が得られ、且つ前記ゲル状電解液を用いることでインピーダンス特性および低温特性に優れた電解コンデンサが得られる。【選択図】なし

Description

本発明は、コンデンサ電解液用のゲル化剤、およびそれを用いた電解コンデンサ用電解液ならびに電解コンデンサに関するものである。
アルミニウム電解コンデンサは、粗面化処理を施したアルミニウムの表面に絶縁性の酸化皮膜層を形成した陽極電極箔と、集電用の陰極電極箔とを電解紙を介して巻回してコンデンサ素子を形成するとともに、電解液を含浸し、外装ケースに収納した構成から成る。電解液は、陽極箔上に形成された誘電体層と集電用の陰極箔の間に介入して、その抵抗分が電解コンデンサに直列に挿入され、電解液の特性がコンデンサの特性を左右させる大きな要因となることが知られている。
一般に、アルミニウム電解コンデンサ用の電解液は、エチレングリコールやγ-ブチロラクトンなどの有機溶媒に、ホウ酸やリン酸などの無機酸や高級ジカルボン酸などの有機酸、又はそのアンモニウム塩からなる電解質を溶解したものである。ポリエチレングリコール(PEG)やポロビニルアルコール(PVA)を電解液に添加することで耐電圧が向上することが知られている(特許文献1、2)。しかしながら、近年、アルミニウム電解コンデンサの需要が増加している車載用途では、アルミニウム電解コンデンサの高耐電圧化や高温安定性に対する要求が高まっている。また、サーバーや電波基地局などの情報通信分野の用途では、アルミニウム電解コンデンサの安全性(耐電圧)の向上のほかに、インピーダンス特性、特に低温環境下におけるインピーダンス特性(低温特性)の向上が求められている。耐電圧向上剤としてPEGやPVAを用いた場合、添加量の増加により耐電圧は向上するものの、電解液の電導度や粘度の上昇により電解コンデンサのインピーダンス特性の低下、特に低温環境下での性能低下が顕著であり、耐電圧とインピーダンス特性の両立は困難であった。
特開昭62-268121号公報 特開平04-073922号公報
本発明は、耐電圧特性の高温安定性に優れ、且つインピーダンス特性および低温特性に優れた電解コンデンサを得るためのコンデンサ電解液用ゲル化剤を提供することを課題とする。
ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテル(メタ)アクリレートを含む重合性モノマーをコンデンサ用電解液のゲル化剤として用いることにより、耐電圧特性に優れ、且つ高温安定性に優れたゲル状電解液を得られることを見出した。また、前記ゲル状電解液を用いて作製した電解コンデンサが従来の耐電圧向上剤を用いたものよりもインピーダンス特性ならびに低温特性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。なお、本明細書において「(ポリ)グリセリン」とは「グリセリン」及び/又は「ポリグリセリン」を意味するものである。
本発明のコンデンサ電解液用のゲル化剤を使用することにより、耐電圧特性に優れ、且つ高温安定性に優れたアルミニウム電解コンデンサ用の電解液を製造することができる。
以下に本説明を実施するための形態をより詳細に説明するが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で、変更等が加えられた形態も本発明に属する。なお、範囲を表す「~」は上限と下限を含むものである。
本発明のゲル化剤に用いられる(メタ)アクリロイル基を持つ重合性モノマーは、少なくとも1種以上のポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテル(メタ)アクリレート(以下、(メタ)アクリレートという)を含む。その他の重合性モノマーとして、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-(3-ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドなどの単官能モノマー、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの多官能モノマーを含んでもよい。
前記(メタ)アクリレートは、ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルとアクリル酸またはメタクリル酸がエステル結合した化合物である。
前記ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルは、(ポリ)グリセリンの水酸基に対してアルキレンオキサイドを付加した化合物である。アルキレンオキサイドはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2-ブチレンオキサイド、2,3-ブチレンオキサイドなどが挙げられ、特にエチレンオキサイド、ならびにプロピレンオキサイドから選ばれる1種以上を用いることが好ましく、アルキレンオキサイド中のエチレンオキサイドのモル比率を50%以上とすることがさらに好ましい。
前記ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルを構成する(ポリ)グリセリンは、グリセリンの水酸基が脱水縮合によりエーテル結合した構造であり、エーテル結合は直鎖状、または分岐状のいずれでもよく、また、分子内で縮合した環状化合物を含有してもよい。使用する(ポリ)グリセリンは平均重合度が1~20であることが好ましく、2~15がより好ましく、3~10がさらに好ましい。ここで、平均重合度は、末端基分析法によるヒドロキシル価(OHV)から算出されるポリグリセリンの平均重合度(n)である。詳しくは、次式(式1)、及び(式2)から平均重合度(n)が算出される。
(式1)分子量=74n+18
(式2)OHV=56110(n+2)/分子量
上記(式2)中のOHVとは、(ポリ)グリセリンに含まれるヒドロキシル基(OH基)数の大小の指標となる数値であり、1gの(ポリ)グリセリンに含まれる遊離OH基をアセチル化するために必要な酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。水酸化カリウムのミリグラム数は、社団法人日本油化学会編集、「日本油化学会制定、基準油脂分析試験法、2013年度版」に準じて算出される。(ポリ)グリセリンの具体例としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリンなどが挙げられ、市販品としては、ジグリセリンS、PGL-S、ポリグリセリン#310、ポリグリセリン#500、ポリグリセリン#750(いずれも阪本薬品工業株式会社製)を使用することができる。
前記ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルは、(ポリ)グリセリンのOH基1つに対して、アルキレンオキサイド(AO)の平均付加数が5~30であることが好ましく、5~15がより好ましい。OH基当たりのAOの平均付加数を5~30とすることで優れた耐電圧特性が得られる。ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルの具体例としては、ポリオキシエチレン(40)グリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(40)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(80)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(100)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(120)ジグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(120)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(60)デカグリセリルエーテル、ポリオキシエチレン(120)デカグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(24)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(14)ポリオキシエチレン(100)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(25)ポリオキシエチレン(45)ジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(24)ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(24)ポリオキシエチレン(240)デカグリセリルエーテルなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の(メタ)アクリレートの製造方法には特に制限はない。例えば、特定の(ポリ)グリセリンに任意の量のアルキレンオキサイドを公知の方法で付加反応させたポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルの末端水酸基に(メタ)アクリル酸を反応させて生成水を系外に抜き出しながらエステル化物を得る脱水エステル化法、末端水酸基に低級アルコールの(メタ)アクリル酸エステルを反応させて生成した低級アルコールを系外に抜き出しながらエステル化物を得るエステル交換法が挙げられる。
本発明の電解液は、(メタ)アクリレートの含有量が好ましくは1重量%から30重量%であり、より好ましくは5重量%から25重量%であり、最も好ましくは10重量%から20重量%である。(メタ)アクリレートの含有量が1重量%から30重量%であることにより、耐電圧が高く、且つインピーダンス特性が良好なアルミニウム電解コンデンサが得られる。
本発明の電解液は、(メタ)アクリレートを含有する他に、各種有機溶媒、電解質、添加剤を含有することができる。有機溶媒としては、エチレングリコール、γ-ブチロラクトン、グリセリンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。電解質としては、有機酸、無機酸、又はその塩が挙げられる。有機酸、又はその塩としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,6-デカンジカルボン酸、5,6-デカンジカルボン酸、1,7-オクタンジカルボン酸、7-ビニルヘキサデセン-1,16-ジカルボン酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸ならびにそのアンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。さらに、無機酸、又はその塩としては、炭酸、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ホウ酸、過塩素酸、ならびにそのアンモニウム塩、アミン塩などが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。添加剤としては、マンニトールなどの多価アルコール類、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの親水性高分子化合物、二酸化ケイ素、アルミノケイ酸などの金属酸化物、p-ニトロ安息香酸、p-ニトロフェノールなどのニトロ化合物、水などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
重合性モノマーの重合には、水溶性のラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。公知の水溶性のラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系重合開始剤、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(イミダゾリン-2-イル)-プロパン]などのアゾ系ラジカル重合開始剤を用いることができる。また、酸化性重合開始剤を用いる場合には、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸鉄(II)、L-アスコルビン酸などの還元剤を併用してレドックス重合を行ってもよい。これらの開始剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの熱重合開始剤の添加量は、ゲル状電解液が得られる限り限定されるものではないが、ゲル状電解液の電気特性の観点から重合性モノマー100重量部に対して0.001~20重量部が好ましい。
アゾ系重合開始剤を用いる場合、10時間半減期温度が40~100℃、特に60~90℃のアゾ系重合開始剤を用いるのが好ましい。重合開始剤としては、例えば、2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド]、2,2′-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2′-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]、2,2′-アゾビス(2-メチルプロパンアミドオキシム)、2,2′-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2′-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩、2,2′-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]硫酸塩、2,2′-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′-アゾビス[2-(3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2′-アゾビス[2-[1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリン-2-イル]プロパン]二塩酸塩などが挙げられる。
電解液の調製方法としては、特に制限はない。例えば、重合性モノマーおよび重合開始剤を配合し、加熱または光照射により(メタ)アクリロイル基を重合させることで、ゲル状電解液を得ることができる。電解コンデンサ用の電解液として用いる場合は、一般的に用いられる巻回型のコンデンサ素子にゲル状電解液を含侵させることは困難であるため、重合性モノマーおよび重合開始剤を含有した電解液をコンデンサ素子に含侵させた後、エージング工程の加熱によって重合してゲル化させる方法により、ゲル状電解液を用いた電解コンデンサを製造することができる。この際、重合性モノマーの重合による電解液のゲル化は、電解コンデンサのエージング前に実施しても良いし、エージング後に実施しても良く、或いはエージング前後に段階的に重合させる方法で実施しても良い。また、電解コンデンサ用の陽極化成アルミニウム箔、及び/又は陰極アルミニウム箔に重合性モノマーおよび重合開始剤を含有する電解液を塗布し、加熱または光照射によって重合させてシート状のゲル状電解液を電極箔上に形成した後、積層または巻回によりゲル状電解液を含む電解コンデンサを作製することができる。
次に、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。以下、本発明の実施例及び比較例を示す。ただし、%は重量基準である。
(実施例1)
温度計、撹拌機、空気吹き込み管、ディーン・スターク還流装置を備えた反応容器に、ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテル637.6g(0.216mol)、トルエン577.0g、p-トルエンスルホン酸28.2g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.7g、塩化銅(II)0.3g、次亜リン酸ナトリウム0.7g、アクリル酸135.2g(1.88mol)を仕込み、空気吹き込み下において撹拌しながら、トルエン還流雰囲気まで昇温し、約6時間かけて脱水エステル化反応を行った。反応終了後、アルカリ水洗、水洗を行い、有機層のトルエンを減圧留去することで、ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテルアクリレート(4G60EO6A)を得た。ゲル化剤として4G60EO6Aを用い、電解質(1,7-オクタンジカルボン酸二アンモニウム)、エチレングリコールおよびイオン交換水を、表1に示した比率で配合し、電解液を調製した。調製した電解液に対して0.5wt%の重合開始剤(2,2′-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)-プロピオンアミド])を添加し、90℃で30分間加熱してアクリロイル基を重合させてゲル状電解液を得た。電解液の性能評価として、調製直後(初期値)、および85℃で500時間保存後の耐電圧と電導度を測定した。耐電圧と電導度の評価結果を表1に示す。
(電解液の耐電圧)
電解液を85℃に加温し、定格皮膜耐電圧が665V、静電容量が0.45μF/cm2の陽極用酸化アルミニウム箔(104HD5B-665Vf:日本蓄電器工業株式会社製)を電解液に浸し、直流安定化電源(PL-650-0.1:松定プレシジョン製)を用いて、電流密度0.6mA/cm2、電圧の上昇速度1.7V/sの条件にて陽極箔に電流を印加した。耐電圧の評価は、電流-電圧曲線をモニタリングし、電流値が5mAを超えた時点の電圧値を破壊電圧として読み取った。
(電解液の電導度)
電解液を25℃に調温し、導電率計(DS-52:堀場製作所製)を用いて電導度を測定した。
(耐電圧および電導度の経時変化)
密閉容器に充填した電解液を85℃の恒温槽に静置し、保存500時間後の耐電圧と電導度を測定した。式3に示した様に、500時間後の測定値から初期値を除した値を経時変化とした。
(式3)経時変化=(500時間後の測定値)-(初期値)
(比較例1)
4G60EO6Aを用いずに電解液を調製し、実施例1と同様の方法で評価した耐電圧と電導度の測定結果を表1に示した。
Figure 2022020594000001
ゲル化剤として10%の4G60EO6Aを用いた実施例1では、電解質と溶媒のみで電解液を調製した比較例1に比べて約40Vの耐電圧の向上が見られた。また、実施例1は高温保存後(500時間後)の電解液の耐電圧、電導度の変化も比較例1と同等以上であった。この結果より、本発明の(メタ)アクリレートを電解液のゲル化剤として用い、重合によりゲル状電解液とすることにより、耐電圧特性に優れ、且つ高温安定性に優れた電解液が得られることが明らかとなった。
(実施例2)
温度計、撹拌機、空気吹き込み管、ディーン・スターク還流装置を備えた反応容器に、ポリオキシエチレン(40)ジグリセリルエーテル269.6g(0.141mol)、トルエン300.0g、p-トルエンスルホン酸15.0g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.3g、塩化銅(II)0.1g、次亜リン酸ナトリウム0.3g、アクリル酸60.8g(0.843mol)を仕込み、空気吹き込み下において撹拌しながら、トルエン還流雰囲気まで昇温し、約6時間かけて脱水エステル化反応を行った。反応終了後、アルカリ水洗、水洗を行い、有機層のトルエンを減圧留去することで、ポリオキシエチレン(40)ジグリセリルエーテルアクリレート(2G40EO4A)を得た。ゲル化剤として2G40EO4Aを用い、電解質(1,7-オクタンジカルボン酸二アンモニウム)、エチレングリコール、およびイオン交換水を、表2に示した比率で配合し、電解液を調製した。調製した電解液に対して0.1wt%の重合開始剤(2,2′-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン])を添加し、コンデンサ含侵液として用いた。
(アルミニウム電解コンデンサの作製)
表2に示した配合比で調製した電解液を25℃に調温し、アルミニウム電解コンデンサ用の巻回素子(φ12mm×20mmH、定格電圧400V、定格容量22μF)に含侵させた。電解液の含侵は、6.7kPaの減圧下で2分間保持後、常圧に戻す操作を4回繰り返した。電解液を含侵させたコンデンサ素子をアルミケースに入れ、素子上部のリード線部分に封止ゴムを通し、ネッキング装置(宝泉株式会社製)を用いて封口した。封口した電解コンデンサを65℃の恒温槽にて30分間の予備加熱を施した後、コンデンサのリード線を直流電源(PL-650-0.1:松定プレシジョン社製)に接続してエージング処理を実施した。エージング処理は、65℃にて2mAの電流を印加し、電圧が420V到達した後、420Vの一定電圧で60分間保持した。なお、実施例に記載のゲル化剤および重合開始剤を含有した電解液は、含侵時は液状を維持するが、エージング工程の加熱によって熱重合してゲル化する。
(コンデンサの電気特性の測定)
前記の方法で作製した電解コンデンサの電気特性を以下の方法で測定した。LCRメーター(ZM2376:エヌエフ回路ブロック社製)を用い、25℃、電圧0.5V、DCバイアス1.0Vの条件にて、周波数120Hzの静電容量、および100kHzのインピーダンスを測定した。測定結果は表2に示した。
(コンデンサの低温特性の評価)
実施例2にて作製した電解コンデンサの低温特性は以下の方法で評価した。電解コンデンサを+20℃および-40℃の恒温槽に静置し、LCRメーター(ZM2376:エヌエフ回路ブロック社製)を用いて、電圧0.5V、DCバイアス1.0Vの条件にて周波数120Hzの静電容量とインピーダンスを測定した。+20℃の静電容量Cn、インピーダンスZn、および-40℃の静電容量Ci、インピーダンスZiから、次式(式4)、(式5)にて容量低下率(%)、およびインピーダンス比を算出し、以下の基準にて低温特性を評価した。
(式4)容量低下率(%)=[1-Ci/Cn]×100
(式5)インピーダンス比 = Zi/Zn
<評価基準>
容量低下率(%) ◎:50未満、○:50~60、△:60~70、×:70以上
インピーダンス比 ◎:10未満、○:10~15、△:15~20、×:20以上
(実施例3)
ゲル化剤として4G60EO6Aを用いた以外は実施例2と同様に電解コンデンサを作製し、25℃の電気特性および低温特性を評価した結果を表2に示した。
(実施例4)
温度計、撹拌機、空気吹き込み管、ディーン・スターク還流装置を備えた反応容器に、ポリオキシエチレン(120)デカグリセリルエーテル242.8g(0.0418mol)、トルエン270.0g、p-トルエンスルホン酸13.5g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.3g、塩化銅(II)0.1g、次亜リン酸ナトリウム0.3g、アクリル酸54.3g(0.753mol)を仕込み、実施例2と同様の条件で反応および精製を実施し、ポリオキシエチレン(120)デカグリセリルエーテルアクリレート(10G120EO12A)を得た。ゲル化剤として10G120EO12Aを用いた以外は実施例2と同様の方法で電解コンデンサを作製し、25℃の電気特性および低温特性を評価した結果を表2に示した。
(実施例5)
温度計、撹拌機、空気吹き込み管、ディーン・スターク還流装置を備えた反応容器に、ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテル200.0g(0.0678mol)、トルエン186.5g、p-トルエンスルホン酸11.4g、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.23g、塩化銅(II)0.09g、次亜リン酸ナトリウム0.23g、メタクリル酸53.0g(0.616mol)を仕込み、実施例2と同様の条件で反応および精製を実施し、ポリオキシエチレン(60)テトラグリセリルエーテルメタクリレート(4G60EO6MA)を得た。ゲル化剤として4G60EO6MAを用いた以外は実施例2と同様の方法で電解コンデンサを作製し、25℃の電気特性および低温特性を評価した結果を表2に示した。
(比較例2)
ゲル化剤の代わりに添加剤として2G40EOを用い、重合開始剤を添加しなかった以外は実施例2と同様の方法で電解コンデンサを作製し、25℃の電気特性および低温特性を評価した結果を表2に示した。
Figure 2022020594000002
本発明の(メタ)アクリレートをゲル化剤として用いた実施例2~5では、ゲル化剤の代わりに添加剤として2G40EOを用いた比較例2に比べ、25℃における電解コンデンサのインピーダンスが有意に低く、良好なインピーダンス特性であることが明らかである。また、低温特性についても実施例2~5が比較例2よりも優れていた。この結果より、本発明の(メタ)アクリレートを電解液のゲル化剤として用い、重合によりゲル状電解液として電解コンデンサを作製することにより、インピーダンス特性に優れ、且つ低温特性に優れた電解コンデンサが得られることが明らかとなった。

Claims (10)

  1. (メタ)アクリロイル基を有する重合性モノマーからなるコンデンサ電解液用のゲル化剤であって、前記重合性モノマーがポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルの末端基を(メタ)アクリレート変性させたポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテル(メタ)アクリレートを含むことを特徴とするコンデンサ電解液用のゲル化剤。
  2. コンデンサ用電解液に重合性開始剤を配合して(メタ)アクリロイル基を重合させることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ電解液用のゲル化剤。
  3. 前記ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルを構成する(ポリ)グリセリンが平均重合度1~20である請求項1または2に記載のコンデンサ電解液用のゲル化剤。
  4. 前記ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルを構成する(ポリ)グリセリンの水酸基1つ当たりのアルキレンオキサイドの平均付加数が5~30である請求項1から3の何れかに記載のコンデンサ電解液用のゲル化剤。
  5. 前記ポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルを構成するアルキレンオキサイドがエチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドから選ばれる1種以上である請求項1から4の何れかに記載のコンデンサ電解液用のゲル化剤。
  6. 請求項1から5の何れかに記載のゲル化剤を用いた電解コンデンサ用の電解液。
  7. 電解質、重合性モノマー、および、重合開始剤を配合した電解コンデンサ用の電解液であって、前記重合性モノマーがポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテルの末端基を(メタ)アクリレート変性させたポリオキシアルキレン(ポリ)グリセリルエーテル(メタ)アクリレートを含む電解コンデンサ用の電解液。
  8. 請求項6もしくは請求項7に記載の電解液を用いたアルミ電解コンデンサ。
  9. 前記重合性モノマー、および、重合開始剤を配合して(メタ)アクリロイル基を重合させることを特徴とする請求項8に記載のコンデンサ用電解液の調製方法。
  10. 請求項9の方法で調製された電解液を用いたアルミ電解コンデンサの製造方法。

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