がんの処置における有効性を確実にするが、同時に、ある特定の有害事象、例えば、眼毒性の発生のリスクを低下させる用量の投与を可能にする、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投薬スケジュールが発見された。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独療法として、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って投与され、各投薬サイクルが、(a)化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与される、投薬期間および(b)化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1は、遊離塩基として投与される。一実施形態では、化合物1は、化合物1-HClとして投与される。
化合物1は、化学名(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドによって知られており、次の構造を有する:
化合物1およびその薬学的に許容できる塩を調製する方法は、その開示全体を参照により本明細書に組み込む、WO2020/047184(A1)として2020年3月5日に公開されたPCT/US2019/048701に記載されている。一実施形態では、化合物1は、遊離塩基である。一実施形態では、化合物1は、薬学的に許容できる塩の形態である。一実施形態では、化合物1は、化合物1 HClである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1は、遊離塩基として投与される。一実施形態では、化合物1は、化合物1 HClとして投与される。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1は、遊離塩基として投与される。一実施形態では、化合物1は、化合物1 HClとして投与される。
がんの処置のための化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与のためのある特定の間欠投薬スケジュールの使用が、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与が原因で生じ得る眼毒性を低下させることも発見された。特に、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の間欠投薬が、抗腫瘍有効性にマイナスの影響を与えることなく、網膜毒性の発生率および重症度を排除するおよび/または減少させることができることが発見された。一実施形態では、化合物1は、遊離塩基として投与される。一実施形態では、化合物1は、化合物1 HClとして投与される。
一実施形態では、間欠投薬スケジュールに従って化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独療法として患者に投与することにより、がんを有する前記患者への化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与が原因の眼毒性を低下させるための方法が本明細書に提供される。一実施形態では、化合物1は、遊離塩基として投与される。一実施形態では、化合物1は、化合物1 HClとして投与される。
一実施形態では、間欠投薬スケジュールに従って化合物1またはその薬学的に許容できる塩をPD-1阻害剤と組み合わせて投与することにより、がんを有する患者への化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与が原因の眼毒性を低下させるための方法が本明細書に提供される。
一実施形態では、間欠投薬スケジュールに従って化合物1またはその薬学的に許容できる塩をPD-L1阻害剤と組み合わせて投与することにより、がんを有する患者への化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与が原因の眼毒性を低下させるための方法が本明細書に提供される。
一般定義
本発明をより容易に理解できるように、ある特定の技術および科学用語を下に特に定義する。本文書の他の箇所で特に定義されていない限り、本明細書で使用されている他のあらゆる技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
「約」は、数値的に定義されたパラメーター(例えば、化合物1もしくはその薬学的に許容できる塩またはPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤の用量、または本明細書に記載される併用療法による処置時間の長さ)の修飾に使用される場合、パラメーターが、当該パラメーターの記述される数値的な値を10%もの多さだけ下回ってまたは上回って変動し得ることを意味する。例えば、約5mg/kgの用量は、4.5mg/kg~5.5mg/kgの間で変動し得る。「約」とは、パラメーターのリストの初めで使用される場合、各パラメーターを修飾することを意味する。例えば、約0.5mg、0.75mgまたは1.0mgは、約0.5mg、約0.75mgまたは約1.0mgを意味する。同様に、約5%以上、10%以上、15%以上、20%以上および25%以上は、約5%以上、約10%以上、約15%以上、約20%以上および約25%以上を意味する。
用語「投薬スケジュール」は、各治療剤の投与の用量およびタイミングを指す。
用語「間欠投薬スケジュール」は、1または複数日連続で1種または複数の薬物が投与される1種または複数の薬物の投与(「投薬期間」)に続く、1種または複数の薬物が投与されない1または複数日連続の休止(「休止期間」)の投薬サイクルを反復することを指す。サイクルは、各サイクルにおけるオンの日およびオフの日のパターンが同じであるという点において、定期的であり得る、またはサイクルは不定期であり得る。
用語「投薬サイクル」は、投与(投薬)日および休止日を含む1つの処置スキームを構成する日の数および順序を指し示し、その後次いで、この処置スキームが再度反復される。
「投薬期間」は、本明細書において使用される場合、患者が、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独でまたはPD-1阻害剤もしくはPD-L1阻害剤と組み合わせて投与される、1または数日間の期間を指す。患者は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を、当該日における1回の単一用量として服用することができる、または1日用量は、より小さい部分へと、例えば、朝に1日用量の半分を、夜に残りの半分へと分割することができる。
「休止期間」は、本明細書において使用される場合、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が単独で投与される場合は、患者が、化合物1またはその薬学的に許容できる塩を投与されない日、または投薬スケジュールが、それぞれPD-1またはPD-L1阻害剤と組み合わせた化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与を含む場合は、患者が、化合物1もしくはその薬学的に許容できる塩またはPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤を投与されない日を指す。
語句「期間」は、患者が、化合物1またはその薬学的に許容できる塩単独でまたはPD-1もしくはPD-L1阻害剤と組み合わせて処置される、1回または複数の投薬サイクルを指す。
語句「ある期間に先立ち」または「ある期間の前に」は、(1)本明細書に記載される方法に従った化合物1またはその薬学的に許容できる塩の単独でのまたはPD-1もしくはPD-L1阻害剤と組み合わせた第1の投与前の、対象への外科手術および/または放射線処置の投与の完了、および/または(2)化合物1またはその薬学的に許容できる塩の単独でのまたはPD-1もしくはPD-L1阻害剤と組み合わせた第1の投与前の、対象への1種または複数の治療剤(例えば、化合物1またはその薬学的に許容できる塩単独以外の1種または複数の抗がん剤)の投与を指す。一実施形態では、1種または複数の以前に投与された治療剤は、本明細書に記載される方法に従った化合物1またはその薬学的に許容できる塩の単独でのまたはPD-1もしくはPD-L1阻害剤と組み合わせた第1の投与が行われるときに、対象において治療量に満たない(subtherapeutic)および/または検出不能レベルで存在する。
語句「薬学的に許容できる」は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分とおよび/またはそれで処置されている哺乳類と化学的におよび/または毒性学的に適合性でなければならないことを指し示す。一部の実施形態は、本明細書に記載される化合物の薬学的に許容できる塩に関する。ある特定の実例では、薬学的に許容できる塩は、化合物1を塩酸等の酸と反応させることにより得られる。
「投与」、「投与すること」、「処置すること」および「処置」は、患者、個体、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器または生体液に適用する場合、動物、ヒト、対象、細胞、組織、臓器または生体液への外来性医薬品、治療剤、診断剤または組成物の接触を指す。細胞の処置は、細胞への試薬の接触と共に、細胞と接触した流体への試薬の接触を包含する。「投与」および「処置」は、試薬、診断、結合化合物または別の細胞による、例えば細胞の、in vitroおよびex vivo処置も意味する。
「処置」および「処置すること」は、臨床設定において使用される場合、有益なまたは所望の臨床結果を得ることが意図される。本発明の目的のため、有益なまたは所望の臨床結果として、次のうち1種または複数が挙げられるがこれらに限定されない:新生物もしくはがん性細胞の増殖を低下させること(または新生物もしくはがん性細胞を破壊すること)、新生物細胞の転移を阻害すること、腫瘍のサイズを縮小もしくは減少させること、疾患(例えば、がん)の寛解、疾患(例えば、がん)に起因する症状を減少させること、疾患(例えば、がん)を患う者のクオリティオブライフ(例えば、FACT-GまたはEORTC-QLQC30を使用して評価)を増加させること、疾患(例えば、がん)の処置に要求される他の薬物療法の用量を減少させること、疾患(例えば、がん)の進行を遅延させること、および/または疾患(例えば、がん)を有する患者の生存を延長すること。例えば、処置は、がん等の障害の1種または数種の症状の減弱であり得る。本発明の意味の内で、用語「処置する」は、疾患の発症または悪化を停止する、その開始(即ち、疾患の臨床所見に先立つ期間)を遅延する、および/またはそのリスクを低下させることも意味する。「処置」は、処置を受けていない場合に予想される生存と比較して生存を延長すること、例えば、本明細書に記載される処置を受けていない対象と比較した全生存(OS)の増加、および/または本明細書に記載される処置を受けていない対象と比較した無進行生存(PFS)の増加を意味することもできる。用語「処置すること」は、がんを有する対象の状態における改善、例えば、対象における1種または複数の腫瘍のサイズの減少、対象における1種または複数の腫瘍の成長速度の減少または実質的な変化なし、対象における転移の減少、および対象のための寛解の期間の増加(例えば、処置を受けていないもしくは異なる処置を受けている同様のがんを有する対象における1種もしくは複数の測定基準と比較して、または処置に先立つ同じ対象における1種もしくは複数の測定基準と比較して)のうち1種または複数を意味することもできる。本明細書において使用される場合、用語「処置すること」および例えば、がんの処置を参照する場合の「処置すること」は、絶対的な用語であることは意図されない。例えば、「がんの処置」および「がんを処置すること」は、臨床設定において使用される場合、有益なまたは所望の臨床結果を得ることを含むことが意図され、がんを有する対象の状態における改善を含むことができる。有益なまたは所望の臨床結果として、次のうち1種または複数が挙げられるがこれらに限定されない:新生物もしくはがん性細胞の増殖を低下させること(または新生物もしくはがん性細胞を破壊すること)、新生物細胞の転移を阻害すること、対象における転移の減少、腫瘍のサイズを縮小もしくは減少させること、対象における1種または複数の腫瘍の成長速度の変化、対象のための寛解の期間の増加(例えば、処置を受けていないもしくは異なる処置を受けている同様のがんを有する対象における1種もしくは複数の測定基準と比較して、または処置に先立つ同じ対象における1種もしくは複数の測定基準と比較して)、疾患に起因する症状を減少させること、疾患を患う者のクオリティオブライフ(例えば、FACT-GまたはEORTC-QLQC30を使用して評価)を増加させること、疾患の処置に要求される他の薬物療法の用量を減少させること、疾患の進行を遅延させること、および/または疾患を有する対象の生存を延長すること。「処置」は、処置を受けていない場合に予想される生存と比較して生存を延長すること、例えば、本明細書に記載される処置を受けていない対象と比較した全生存(OS)の増加、および/または本明細書に記載される処置を受けていない対象と比較した無進行生存(PFS)の増加を意味することもできる。
用語「対象」は、いずれかの生物、好ましくは、動物、より好ましくは、哺乳類(例えば、ラット、マウス、イヌ、ネコおよびウサギ)、最も好ましくは、ヒトを含む。
本発明に従って処置されるべき「患者」は、これらに限定されないが、ヒト、サルまたは他の下等(lower-order)霊長類、ウマ、イヌ、ウサギ、モルモットまたはマウス等のいずれかの温血動物を含む。一実施形態では、患者は、ヒトである。一実施形態では、患者は、小児患者である。医療技術分野の当業者であれば、がんに苦しみ、処置を必要とする個体を容易に同定することができる。
用語「小児患者」は、本明細書において使用される場合、診断または処置時に16歳未満の患者を指す。用語「小児」は、新生児(出生から生後1カ月);乳児(1カ月齢から2歳まで);子供(2歳から12歳まで);および青年期(12歳から21歳(22回目の誕生日まで、但し22回目の誕生日を含まない))を含む様々な亜集団へとさらに分けることができる。Berhman RE、Kliegman R、Arvin AM、Nelson WE.Nelson Textbook of Pediatrics、15th Ed.Philadelphia:W.B.Saunders Company、1996;Rudolph AMら、Rudolph’s Pediatrics、21st Ed.New York:McGraw-Hill、2002;およびAvery MD、First LR.Pediatric Medicine、2nd Ed.Baltimore:Williams&Wilkins;1994。
「緩解すること」は、処置を投与しない場合と比較した、1種または複数の症状の低減または改善を意味する。「緩解すること」は、症状の持続時間の短縮または低下も含む。
用語「規制機関」は、国による医薬品の医学的使用の承認のための、国の機関である。例えば、規制機関の非限定的な例は、米国食品医薬品局(FDA)である。
「抗体」は、免疫グロブリン分子の可変領域に配置される少なくとも1個の抗原認識部位を介して、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチド等の標的に特異的結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書において使用される場合、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体のみならず、その抗原結合断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv等)、単鎖(scFv)およびドメイン抗体(例えば、サメおよびラクダ類抗体を含む)、ならびに抗体を含む融合タンパク質、ならびに抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の他のいずれかの修飾された構成も包含する。抗体は、IgG、IgAまたはIgM(またはそのサブクラス)等のいずれかのクラスの抗体を含み、抗体は、いずれか特定のクラスのものである必要はない。その重鎖の定常領域の抗体アミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンを異なるクラスに割り当てることができる。免疫グロブリンの5種の主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMが存在し、これらのうちいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2へとさらに分けることができる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマおよびミューと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造および三次元構成は、よく知られている。
抗体の「抗原結合断片」または「抗原結合部分」という用語は、本明細書において使用される場合、所与の抗原(例えば、PD-1)に特異的に結合する能力を保持する、インタクトな抗体の1種または複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、インタクトな抗体の断片によって果たされ得る。抗体の「抗原結合断片」という用語の内に包含される結合断片の例として、Fab;Fab’;F(ab’)2;VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;抗体の単一アーム(arm)のVLおよびVHドメインからなるFv断片;単一ドメイン抗体(dAb)断片(Wardら、Nature 341:544~546、1989)、ならびに単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
標的(例えば、PD-1タンパク質)に「優先的に結合する」または「特異的に結合する」(本明細書で互換的に使用される)抗体、抗体コンジュゲートまたはポリペプチドは、当技術分野で十分に理解される用語であり、斯かる特異的または優先的結合を決定するための方法もまた、当技術分野でよく知られている。分子は、特定の細胞または物質と、代替的な細胞または物質とよりも高頻度で、より迅速に、より大きい持続時間でおよび/またはより大きい親和性で反応または会合する場合、「特異的結合」または「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、他の物質に結合する場合よりも大きい親和性、アビディティーで、より容易におよび/またはより大きい持続時間で結合する場合、標的に「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、PD-1エピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のPD-1エピトープまたは非PD-1エピトープに結合する場合よりも大きい親和性、アビディティーで、より容易におよび/またはより大きい持続時間で、このエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的に特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第2の標的に特異的にまたは優先的に結合しても結合しなくてもよいことも理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を必ずしも要求しない(但し、これを含むことができる)。一般に、結合の参照は、優先的結合を意味するが、必ずしもそうであるとは限らない。
抗体の「可変領域」は、いずれか単独でのまたは組み合わせた、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。当技術分野で公知の通り、重鎖および軽鎖の可変領域はそれぞれ、高頻度可変領域としても知られている、3個の相補性決定領域(CDR)によって接続された4個のフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖におけるCDRは、FRによってごく接近して一体に保持され、他の鎖由来のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するために少なくとも2種の技法が存在する:(1)異種間配列可変性に基づくアプローチ(即ち、Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(5th ed.、1991、National Institutes of Health、Bethesda MD));および(2)抗原-抗体複合体の結晶学研究に基づくアプローチ(Al-lazikaniら、1997、J.Molec.Biol.273:927~948)。本明細書において使用される場合、CDRは、いずれか一方のアプローチによってまたは両方のアプローチの組合せによって定義されたCDRを指すことができる。
可変ドメインの「CDR」は、Kabat、Chothia、KabatとChothiaの両方の蓄積、AbM、接触および/または高次構造定義、または当技術分野でよく知られているCDR決定のいずれかの方法の定義に従って同定される、可変領域内のアミノ酸残基である。抗体CDRは、元はKabatらによって定義された高頻度可変領域として同定することができる。例えば、Kabatら、1992、Sequences of Proteins of Immunological Interest、5th ed.、Public Health Service、NIH、Washington D.C.を参照されたい。CDRの位置は、元はChothiaおよび他の研究者らによって記載された構造的ループ構造として同定することもできる。例えば、Chothiaら、Nature 342:877~883、1989を参照されたい。CDR同定の他のアプローチは、KabatとChothiaの間の折衷であり、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェア(現在はAccelrys(登録商標))を使用して得られる「AbM定義」、またはMacCallumら、J.Mol.Biol.、262:732~745、1996に表記される観察された抗原接触に基づくCDRの「接触定義」を含む。CDRの「高次構造定義」と本明細書で称される別のアプローチでは、CDRの位置は、抗原結合にエンタルピー上の(enthalpic)寄与を生じる残基として同定することができる。例えば、Makabeら、Journal of Biological Chemistry、283:1156~1166、2008を参照されたい。さらに他のCDR境界定義は、上述のアプローチのうち1種に厳密には従わない場合があるが、にもかかわらず、Kabat CDRの少なくとも部分と重複するであろうが、特定の残基または残基の群またはさらにはCDR全体が、抗原結合に有意に影響を与えないという予測または実験知見を踏まえて短縮または延長されていてよい。本明細書において使用される場合、CDRは、アプローチの組合せを含む、当技術分野で知られたいずれかのアプローチによって定義されるCDRを指すことができる。本明細書で使用される方法は、これらのアプローチのいずれかに従って定義されるCDRを利用することができる。1個より多くのCDRを含有するいずれか所与の実施形態のため、CDRは、Kabat、Chothia、拡大版、AbM、接触および/または高次構造定義のいずれかに従って定義することができる。
「モノクローナル抗体」または「mAb」または「Mab」は、本明細書において使用される場合、実質的に均質な抗体の集団を指す、即ち、集団を構成する抗体分子が、少量存在し得る可能な天然起源の突然変異を除いて、アミノ酸配列が同一であることを指す。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体調製物は典型的に、異なるエピトープに特異的であることが多い、それらの可変ドメイン、特に、それらのCDRに異なるアミノ酸配列を有する数多くの異なる抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から得られるものとしての抗体の特徴を指し示し、いずれか特定の方法による抗体の産生を要求するものとして解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるべきモノクローナル抗体は、Kohlerら(Nature(1975)256:495)によって最初に記載されたハイブリドーマ方法によって作製することができる、または組換えDNA方法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)によって作製することができる。「モノクローナル抗体」は、例えば、Clacksonら、Nature 352:624~628(1991))およびMarksら(J.Mol.Biol.222:581~597(1991))に記載されている技法を使用してファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。Presta(J.Allergy Clin.Immunol.116:731(2005))も参照されたい。
「キメラ抗体」は、重鎖および/または軽鎖の部分が、特定の種(例えば、ヒト)に由来するまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である一方、鎖(複数可)の残りは、別の種(例えば、マウス)に由来するまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または相同である抗体、ならびに所望の生物活性を示す限りにおいて斯かる抗体の断片を指す。
「ヒト抗体」は、ヒト免疫グロブリンタンパク質配列のみを含む抗体を指す。ヒト抗体は、マウス、マウス細胞またはマウス細胞に由来するハイブリドーマにおいて産生された場合に、マウス炭水化物鎖を含有することができる。同様に、「マウス抗体」または「ラット抗体」は、それぞれマウスまたはラット免疫グロブリン配列のみを含む抗体を指す。
「ヒト化抗体」は、非ヒト(例えば、マウス)抗体およびヒト抗体由来の配列を含有する抗体の形態を指す。斯かる抗体は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含有する。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1個、典型的には2個の可変ドメインの実質的に全てを含むであろうが、その場合、高頻度可変ループの全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリン配列のものである。ヒト化抗体は、典型的にはヒト免疫グロブリンの、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも部分を含んでいてもよいであろう。接頭語「hum」、「hu」または「h」は、親齧歯類抗体からヒト化抗体を区別することが必要な場合に、抗体クローン命名に加えられる。齧歯類抗体のヒト化形態は一般に、親齧歯類抗体の同じCDR配列を含むであろうが、ヒト化抗体の親和性を増加させ、安定性を増加させるためにまたは他の理由から、ある特定のアミノ酸置換が含まれてよい。
「保存的に修飾されたバリアント」または「保存的置換」は、抗原親和性および/または特異性等のタンパク質の生物活性または他の所望の特性を変更することなく変化が高頻度で生じ得るような、タンパク質におけるアミノ酸の、同様の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、骨格高次構造および強剛性等)を有する他のアミノ酸による置換を指す。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換が、生物活性を実質的に変更しないことを認識する(例えば、Watsonら(1987)Molecular Biology of the Gene、The Benjamin/Cummings Pub.Co.、p.224(4th Ed.)を参照)。加えて、構造的にまたは機能的に同様のアミノ酸の置換は、生物活性を破壊する可能性が低い。例示的な保存的置換は、下の表Aに表記されている。
用語「PD-1阻害剤」は、本明細書において使用される場合、PD-1に特異的に結合し、PD-1と、PD-L1および/またはPD-L2等のその結合パートナーのうち1種または複数との相互作用を減少させる分子を指す。例えば、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、アプタマー、融合タンパク質およびオリゴペプチドを含む。一実施形態では、PD-1阻害剤は、PD-1を介したシグナリングを媒介する、Tリンパ球で発現される細胞表面タンパク質によってまたはこれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低下させて、機能障害性T細胞の機能障害性を低減する。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、抗PD-1抗体である。一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、ペムブロリズマブのバイオシミラー、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、ニボルマブのバイオシミラー、セミプリマブ(cemiplimab)(Libtayo(登録商標))、ピディリズマブまたは1141PDCA-170である。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ササンリマブ(sasanlimab)、ニボルマブのバイオシミラー、ペムブロリズマブのバイオシミラー、およびササンリマブのバイオシミラーから選択される抗PD-1抗体である。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
本明細書に記載される抗PD-1抗体は、ニボルマブもしくはそのバイオシミラーの抗原結合抗体断片、またはペムブロリズマブもしくはそのバイオシミラーの抗原結合抗体断片、またはササンリマブ(RN888としても知られている)もしくはそのバイオシミラーの抗原結合抗体断片であってもよい。一部の実施形態では、抗PD-1抗体は、ニボルマブのバイオシミラーまたはペムブロリズマブのバイオシミラーまたはササンリマブのバイオシミラーであり得る。
下の表Bは、本発明の処置方法における使用、医薬および使用のための例示的なPD-1阻害剤のアミノ酸配列のリストを提供する。mAb7およびmAb15について、CDRに下線を引く。mAB7は、RN888またはPF-6801591としても知られている。mAb7(別名RN888)およびmAb15は、国際特許公開番号WO2016/092419に開示されており、その開示全体を、ここに参照により本明細書に組み込む。
抗PD-1抗体のさらなる例として、CT-011(WO09/101611に記載されているピディリズマブ)、IBI-308、mDX-400、BGB-108、MEDI-0680、SHR-1210、PF-06801591、PDR-001、GB-226、STI-1110、MEDI-0680(AMP-514)、PDR001、REGN2810、BGB-108およびBGB-A317、またはこれらの抗体のいずれかのバイオシミラーが挙げられる。
一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、融合タンパク質(例えば、イムノアドヘシン、例えば、AMP-224、これは、B7-DCIgとも呼ばれ、WO10/027827およびWO11/066342に記載されている)であり得る。例えば、イムノアドヘシンは、抗体定常領域(例えば、免疫グロブリン(例えば、ヒト免疫グロブリン)配列のFc領域)に融合された、PD-L1またはPD-L2の細胞外またはPD-1結合部分を含むことができる。
一部の実施形態では、PD-1阻害剤は、アプタマーであり得る。アプタマーであるPD-1阻害剤の非限定的な例は、例えば、US2017/0218369に記載されている。PD-1阻害剤であるアプタマーの追加的な例は、Prodeusら、Mol.Ther.Nucleic Acids 4:e237、2015;Wangら、doi:10.1016/j.biochi.2017.09.006 Biochimieに記載されている。例えば、アプタマーであるPD-1阻害剤は、GCTACTGTACATCACGCCTCTCCCC(配列番号40)、CTACTGTACATCACGCCTCTCCCC(配列番号41)、GTACAGTTCCCGTCCCTGCACTACA(配列番号42)、またはGTACAGTTCCCGTCCTGCACTACA(配列番号43)のうち1種の配列を含むことができる。
用語「PD-L1阻害剤」は、本明細書において使用される場合、PD-L1と、PD-1、B7-1等のその結合パートナーのうち1種または複数のいずれかとの相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、これを遮断する、これを阻害する、これを抑止するまたはこれに干渉する分子を指す。一部の実施形態では、PD-L1阻害剤は、PD-L1のその結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特異的な態様では、PD-L1阻害剤は、PD-L1のPD-1および/またはB7-1への結合を阻害する。一部の実施形態では、PD-L1阻害剤は、PD-L1と、PD-1、B7-1等のその結合パートナーのうち1種または複数との相互作用に起因するシグナル伝達を減少させる、これを遮断する、これを阻害する、これを抑止するまたはこれに干渉する、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチドおよび他の分子を含む。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、PD-L1を介したシグナリングを媒介する、Tリンパ球で発現される細胞表面タンパク質によってまたはこれを介して媒介される負の共刺激シグナルを低下させて、機能障害性T細胞の機能障害性を低減する。
本明細書において使用される場合、抗ヒトPD-L1抗体は、成熟ヒトPD-L1に特異的に結合する抗体を指す。成熟ヒトPD-L1分子は、次の配列のアミノ酸19~290からなる:MRIFAVFIFMTYWHLLNAFTVTVPKDLYVVEYGSNMTIECKFPVEKQLDLAALIVYWEMEDKNIIQFVHGEEDLKVQHSSYRQRARLLKDQLSLGNAALQITDVKLQDAGVYRCMISYGGADYKRITVKVNAPYNKINQRILVVDPVTSEHELTCQAEGYPKAEVIWTSSDHQVLSGKTTTTNSKREEKLFNVTSTLRINTTTNEIFYCTFRRLDPEENHTAELVIPELPLAHPPNERTHLVILGAILLCLGVALTFIFRLRKGRMMDVKKCGIQDTNSKKQSDTHLEET(配列番号44)。
一部の実施形態では、PD-L1阻害剤は、抗PD-L1抗体である。一部の実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブ(Tecentriq(登録商標))もしくはそのバイオシミラー、またはデュルバルマブ(Imfinzi(商標))もしくはそのバイオシミラーである。
「バイオシミラー」は、参照抗体(例えば、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アテゾリズマブまたはデュルバルマブ)と比較して、同じ一次アミノ酸配列を有する抗体または抗原結合断片を意味し、場合により、参照抗体(例えば、異なるグリコフォーム)と比較して、翻訳後修飾(例えば、グリコシル化および/またはリン酸化)に検出可能な差を有することができる。
一部の実施形態では、バイオシミラーは、参照抗体(例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ)と比較して同じ一次アミノ酸配列を有する軽鎖、および参照抗体と比較して同じ一次アミノ酸配列を有する重鎖を有する、抗体またはその抗原結合断片である。一部の例では、バイオシミラーは、参照抗体(例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ)と同じ軽鎖可変ドメイン配列を含む軽鎖、および参照抗体と同じ重鎖可変ドメイン配列を含む重鎖を有する、抗体またはその抗原結合断片である。一部の実施形態では、バイオシミラーは、参照抗体(例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ)と比較して、同様のグリコシル化パターンを有することができる。他の実施形態では、バイオシミラーは、参照抗体(例えば、ニボルマブまたはペムブロリズマブ)と比較して、異なるグリコシル化パターンを有することができる。
用語「がん」は、本明細書において使用される場合、調節されない細胞成長によって典型的に特徴付けられる、哺乳類における生理的状態を指すまたは記載する。本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、TAM関連がんである。本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、c-Met関連がんである。
一実施形態では、がんは、TAM関連がんである。用語「TAM関連がん」は、本明細書において使用される場合、がん細胞または免疫細胞におけるTAMキナーゼのうち1種または複数の発現および/または活性の増加に関連するまたはこれを有するがんを指す(例えば、対照、例えば、非がん性組織もしくは細胞、またはがんを有しない対照対象由来の対応する組織もしくは細胞と比較して)。TAM関連がんの非限定的な例は、本明細書に記載される。一部の実施形態では、TAM関連がんは、TMEM87B-MERTK融合タンパク質(例えば、TMEM87Bのアミノ酸1~55およびMERTKのアミノ酸433~1000)またはAXL-MBIP融合タンパク質の発現をもたらす染色体転座を有するがんである。TMEM87B-MERTK融合タンパク質の発現をもたらす例示的な染色体転座の記載は、Shaverら(Cancer Res.76(16):4850~4860、2016)に提供される。AXL-MBIP融合タンパク質の発現をもたらす例示的な染色体転座の記載は、Seoら(Genome Res.22:2109~2119、2012)に提供される。染色体転座またはその結果生じるTMEM87B-MERTKもしくはAXL-MBIP融合タンパク質の発現は、In Situハイブリダイゼーション(例えば、蛍光In Situハイブリダイゼーション(FISH))を使用して検出することができる。TMEM87B-MERTKまたはAXL-MBIPの発現をもたらす染色体転座は、対象から得られる試料(例えば、対象から得られる血液、血漿、尿、脳脊髄液、唾液、痰、気管支肺胞洗浄、胆汁、リンパ液、嚢胞液、糞便、腹水または腫瘍生検)由来のDNAを配列決定することにより検出することができる。DNAの配列決定に使用することができる例示的な方法は、当技術分野で知られており、例えば、次世代配列決定(NGS)、伝統的PCR、デジタルPCRおよびマイクロアレイ解析を含む。TMEM87B-MERTKもしくはAXL-MBIP融合タンパク質の発現またはTMEM87B-MERTKもしくはAXL-MBIP融合タンパク質の発現をもたらす染色体転座の検出に使用することができる追加的な方法は、当技術分野で知られている。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞外環境から細胞の細胞質および核へとシグナルを伝達して、生存、成長、増殖、分化、接着および遊走等の細胞事象を調節する細胞表面タンパク質である。全てのRTKが、細胞外リガンド結合ドメインおよび細胞質タンパク質チロシンキナーゼドメインを含有する。リガンド結合は、RTKの二量体化を生じ、これは、細胞質キナーゼの活性化を誘発し、下流シグナル伝達経路を惹起する。RTKは、その配列類似性に基づき別個のサブファミリーへと分類することができる。
TAM受容体チロシンキナーゼ(TYRO3、AXL(UFOとしても知られている)およびMER)は、抗腫瘍免疫の鍵となるステップに関与する自然免疫チェックポイントの新しく出現したクラスである(Akalu、Tら、Immunological Reviews 2017;276:165~177)。TAMキナーゼは、2個の免疫グロブリン様ドメインおよび2個のフィブロネクチンIII型ドメインからなる細胞外リガンド結合ドメインによって特徴付けられる。2種のリガンドである成長停止特異的6(GAS6)およびプロテインS(ProS)が、TAMキナーゼのために同定された。GAS6は、全3種のTAMキナーゼに結合し、これを活性化することができる一方、ProSは、MERおよびTYRO3のリガンドである(Grahamら、2014、Nature Reviews Cancer 14、769~785)。
TAMキナーゼは、乳、結腸、腎、皮膚、肺、肝臓、脳、卵巣、前立腺および甲状腺悪性病変を含む多種多様ながんにおいて異所的に発現または過剰発現され(Grahamら、2014、Nature Reviews Cancer 14、769~785;およびLingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)、腫瘍惹起および維持において重要な役割を果たす。活性化されると、AXLおよびMERは、腫瘍細胞生存、増殖、遊走および浸潤、血管新生ならびに腫瘍-宿主相互作用を調節することができる(Schoumacher、M.ら、Curr.Oncol.Rep.2017;19(3);19)。したがって、TAMシグナリングの遮断は、適応免疫の関与および補体T細胞チェックポイント遮断を促進することができる(Akalu、Tら、Immunological Reviews 2017;276:165~177)。したがって、TAM阻害は、発癌性RTKの別のクラスを標的化するための魅力的なアプローチを表す(Grahamら、2014、Nature Reviews Cancer 14、769~785;およびLingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)。
AXLは、慢性骨髄性白血病患者のDNA由来のトランスフォーミング遺伝子として当初同定された(O’Bryanら、1991、Molecular and Cellular Biology 11、5016~5031)。GAS6は、AXLに結合し、AXLチロシンキナーゼのその後の自己リン酸化および活性化を誘導する。AXLは、PI3K-AKT、RAF-MAPK、PLC-PKCを含むいくつかの下流シグナリング経路を活性化する(Feneyrollesら、2014、Molecular Cancer Therapeutics 13、2141~2148;Lingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)。AXLタンパク質の過剰発現または過剰活性化は、複数の腫瘍原性過程の促進との相関が示されている。高レベルのAXL発現は、多形神経膠芽腫(Hutterer、M.ら、Clin.Caner Res.2008、14、130~138)、乳がん(Wang、X.、Cancer Res.2013、73、6516~6525)、肺がん(Niederst、M.ら、Sci.Signaling、2013、6、re6)、骨肉腫(Han、J.、Biochem.Biophys.Res.Commun.2013、435、493~500)および急性骨髄性白血病(Ben-Batalla、L.ら、Blood 2013、122、2443~2452)等の異なるがんにおける予後不良と関連した。AXLは、肺がん、前立腺がん、結腸がん、乳がん、メラノーマおよび腎細胞癌を含む種々の悪性病変において過剰発現または増幅され(Lingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)、AXLの過剰発現は、予後不良と関連付けられている(Lingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)。AXL活性化は、がん細胞生存、増殖、血管新生、転移、ならびに化学療法および標的化療法に対する抵抗性を促進する。AXLノックダウンまたはAXL抗体は、in vitroでの乳がんおよびNSCLCがんの遊走を阻害することができ、異種移植腫瘍モデルにおける腫瘍成長を遮断した(Liら、2009、Oncogene 28、3442~3455)。膵がん細胞において、AXLの阻害は、細胞増殖および生存を減少させた(Koorstraら、2009、Cancer Biology&Therapy 8、618~626)。前立腺がんにおいて、AXL阻害は、細胞遊走、浸潤および増殖を減少させた(Taiら、2008、Oncogene 27、4044~4055)。トリプルネガティブ乳がんにおいて、患者は典型的に、RTK活性化の明らかな欠如が原因で様々な標的化がん療法に応答しないため、有意な臨床課題を提示する。しかし、トリプルネガティブ乳がんの患者は、タキサンに基づく化学療法に対しある程度の応答を示し、研究は、有糸分裂阻害薬(例えば、ドセタキセル)とAXL阻害剤との組合せが、有糸分裂阻害薬に対しがん細胞を感作し、有糸分裂阻害薬と組み合わせたAXLが、この疾患設定において適切な併用療法となり得ることを示唆した(Wilsonら、Cancer Res.2014、74(20)、5878~5890)。
TAMキナーゼは、次の少なくとも3種の機構によって治療抵抗性に寄与することができる:腫瘍細胞における内在性生存シグナリング、癌遺伝子を標的とする薬剤で処置された腫瘍のためのエスケープ機構としてのTAMキナーゼの誘導、および腫瘍微小環境における免疫抑制(Grahamら、Nature Reviews Cancer、2014、14、769~785)。
TAMキナーゼは、白血病細胞および固形腫瘍細胞における細胞傷害性化学療法に対する抵抗性(化学療法抵抗性)を促進することが見いだされた(Grahamら、Nature Reviews Cancer、2014、14、769~785)。MERを異所的に発現するトランスジェニックリンパ球は、野生型リンパ球よりもデキサメタゾンに対して抵抗性であることが見いだされ(Keating、A.K.ら、Oncogene、2006、25、6092~6100)、GAS6によるB-ALL細胞の刺激は、シタラビンに対する抵抗性を増加させた(Shiozawa、Y.ら、Neoplasia、2010、12、116~127)。AXLは、細胞傷害性化学療法で処置された急性骨髄性白血病(AML)細胞において誘導され、化学療法抵抗性の増加を媒介する(Hong、C.C.ら、Cancer Lett.、2008、268、314~324)。化学療法抵抗性慢性骨髄性白血病(CML)細胞株は、上方調節されたレベルのAXLを有し、AXLのshRNA媒介性ノックダウンは、CML細胞および異種移植モデルにおける化学療法感受性を増加させる(Zhao、Y.ら、Cancer Invest.2012、30、287~294)。同様に、shRNA媒介性MERノックダウンは、B細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)およびT細胞系列急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)細胞を、ある範囲の化学療法に対して感作させる(Linger、R.M.ら、Blood、2013、122、1599~1609;Brandao、L.N.ら、Blood Cancer J.、2013、3、e101)。非小細胞肺がん、膵管腺癌、星状細胞腫、肺腺癌、卵巣がん、メラノーマおよび多形神経膠芽腫等の固形腫瘍において、AXLまたはMERの過剰発現は、化学療法抵抗性を促進し、shRNA媒介性阻害は、細胞を、細胞傷害性化学療法による処置に対して感作させる(Linger、R.N.ら、Oncogene、2013、32、3420~3431;Song、X.ら、Cancer、2011、117、734~743;Keating、A.K.ら、Mol.Cancer Ther.2010、9、1298~1307;Lay、J.D.ら、Cancer Res.2007、67、3878~3887;Zhao、Y.ら、Cancer Invest.2012、30、287~294;Macleod、K.、Cancer Res.2005、65、6789~6800;Zhu、S.ら、Proc.Natl Acad.Sci.USA、2009、106、17025~17030;Wang、Y.ら、Oncogene 2013、32、872~882)。
化学療法抵抗性とは対照的に、TAMキナーゼのための獲得された抵抗性の例は現在、AXLに限定されている。AXLは、イマチニブ抵抗性CMLおよび消化管間質腫瘍(GIST)細胞株および腫瘍試料において上方調節され(Mahadevan、D.ら、Oncogene、2007、26、3909~3919;Dufies、M.ら、Oncotarget 2011、2、874~885;Gioia、R.ら、Blood、2011、118、2211~2221)、AXLのsiRNA媒介性ノックダウンは、抵抗性細胞株にイマチニブ感受性を回復させた(Dufies、M.ら)。同様に、AXLは、ラパチニブ抵抗性HER2(ERBB2としても知られている)陽性乳がん細胞株において誘導され、AXL阻害は、ラパチニブ感受性を回復した(Liu、L.ら、Cancer Res.2009、69、6871~6878)。AXLは、トリプルネガティブ乳がん(Meyer、A.S.ら、Sci.Signal 2013、6、ra66)、結腸直腸がん(Brandら、Cancer Res.2014、74:5152~5164)、頭頸部がん(Kiles、K.Mら、Mol.Cancer Ther.2013、12、2541~2558)細胞株および非小細胞肺がん(Zhang、Nat.Genet.2013、44(8)、852~860)における上皮成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、ラパチニブおよびエルロチニブ)および治療用抗体(例えば、セツキシマブ)に対する獲得された抵抗性と関連付けられている。AXLは、頭頸部および食道扁平上皮癌におけるアルペリシブ(BYL719)等のPI3Kα阻害剤(Elkabetsら、Cancer Cell 2015、27:533~546)、トリプルネガティブ乳がん細胞株およびメラノーマ細胞株におけるMEK阻害剤(例えば、U0126(1,4-ジアミノ-2,3-ジシアノ-1,4-ビス(o-アミノフェニルメルカプト)ブタジエン)およびPD 325901(1,4-ジアミノ-2,3-ジシアノ-1,4-ビス(o-アミノフェニルメルカプト)ブタジエン)(Millerら、Cancer Discovery 2016、6:382~39)を含む、他のキナーゼを標的とする阻害剤、線維芽細胞成長因子(FGFR)(Ware、K.E.、Oncogenesis 2013、2、e39)、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)(Kim、H.R.ら、Mol.Oncol.2013、7、1093~1102)ならびにインスリン様成長因子1受容体(IGF1R)(Huang、R.、Cancer Res.2010、70、7221~7231)に対する獲得された抵抗性とも関連付けられており、AXL阻害は、これらの阻害剤に対する抵抗性を克服または遅延させることが実証された。AXLは、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤(エルロチニブ)および抗体薬物(セツキシマブ)に対して抵抗性であるNSCLC細胞株および異種移植片において上方調節され(Brad、T.M.ら、Cancer Res.2014、74、5152~5164;Zhang、Z.ら、Nature Genet.2012、44、852~860)、これは、EGFR阻害剤エルロチニブに対する抵抗性の発症後にNSCLCの患者から採取されたマッチした腫瘍試料の20%において誘導される。
MERおよびAXL二重阻害剤に関して、自然免疫媒介性炎症およびナチュラルキラー(NK)細胞応答の防止または終結におけるMERおよびAXLの正常な役割は、腫瘍微小環境において妨害される。MERおよびAXLは、NK細胞抗腫瘍活性を減少させ、これにより転移が増加する。
MERは、リンパ芽球様発現ライブラリー由来のリン酸化タンパク質として当初同定された(Grahamら、1995、Oncogene 10、2349~2359)。GAS6およびProSは両者共に、MERに結合し、MERキナーゼのリン酸化および活性化を誘導することができる(Lewら、2014.eLife、3:e03385)。AXLと同様に、MER活性化も、PI3K-AktおよびRaf-MAPKを含む下流シグナリング経路を伝える(Lingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)。MERは、多発性骨髄腫、胃、前立腺、乳、メラノーマおよび横紋筋肉腫を含む多くのがんにおいて過剰発現される(Lingerら、2008、Oncogene 32、3420~3431)。MERノックダウンは、in vitroおよび異種移植モデルにおいて多発性骨髄腫細胞成長を阻害する(Waizeneggerら、2014、Leukemia、1~9)。急性骨髄性白血病において、MERノックダウンは、アポトーシスを誘導し、コロニー形成を減少させ、マウスモデルにおける生存を増加させた(Lee-Sherickら、2013、Oncogene 32、5359~5368)。MER阻害は、NSCLCにおいてアポトーシスを増加させ、コロニー形成を減少させ、化学療法感受性を増加させ、腫瘍成長を減少させた(Lingerら、2013、Oncogene 32、3420~3431)。メラノーマ(Schlegelら、2013)および神経膠芽腫(Wangら、2013、Oncogene 32、872~882)において、MERノックダウンについて同様の効果が観察される。
TYRO3は、PCRに基づくクローニング研究により当初同定された(LaiおよびLemke、1991、Neuron 6、691~704)。両方のリガンドであるGAS6およびProSは、Tyro3に結合し、これを活性化することができる。TYRO3は、がん成長および増殖における役割も果たす。TYRO3は、メラノーマ細胞において過剰発現され、TYRO3のノックダウンは、このような細胞においてアポトーシスを誘導する(Demarestら、2013、Biochemistry 52、3102~3118)。
TAMキナーゼは、潜在的免疫-腫瘍学標的として現れた。がん患者において観察される免疫チェックポイント遮断に対する耐久性がある臨床応答は、免疫系が、腫瘍惹起および維持において決定的な役割を果たすことを明らかに指し示す。がん細胞由来の遺伝的突然変異は、免疫細胞が、腫瘍細胞をその正常対応物から区別するために使用することができる、抗原の多様なセットを提供することができる。しかし、がん細胞は、宿主免疫監視を逃れるために複数の機構を進化させた。実際に、ヒトがんの1種の特質は、免疫破壊を回避するその能力である。がん細胞は、M2腫瘍関連マクロファージ、骨髄系由来サプレッサー細胞(MDSC)および調節性T細胞の形成を促進することにより免疫抑制性微小環境を誘導することができる。がん細胞は、PD-L1等、高レベルの免疫チェックポイントタンパク質を産生して、T細胞アナジーまたは消耗を誘導することもできる。現在、腫瘍が、免疫抵抗性の主要な機構としてある特定の免疫チェックポイント経路を利用することが明らかである(Pardoll、2012、Cancer 12、252~264)。抗体によるT細胞機能のこれらの負の調節因子のアンタゴナイズは、進行型メラノーマ、非小細胞肺および膀胱がんを含むいくつかの悪性病変の臨床治験において著しい有効性を示した。これらの治療法は、心強い結果を示したが、全ての患者が、抗腫瘍応答を開始した訳ではなく、他の免疫抑制性経路が重要な場合もあることを示唆する。
TAMキナーゼは、腫瘍環境における免疫活性化のためのチェックポイントとして機能することが示された。全てのTAMキナーゼが、NK細胞において発現され、TAMキナーゼは、NK細胞の抗腫瘍活性を阻害する。低分子TAMキナーゼ阻害剤であるLDC1267は、異なる組織学による腫瘍モデルにおいて、NK細胞を活性化し、転移を遮断する(Paolinoら、2014、Nature 507、508~512)。加えて、MERキナーゼは、ILIOおよびIL4等の免疫抑制性サイトカインの分泌の増加、ならびにIL12等の免疫活性化サイトカインの産生の減少を介して、腫瘍関連マクロファージの活性を減少させる(Cookら、2013、The Journal of Clinical Investigation 123、3231~3242)。MER阻害は、この効果を反転することが示された。結果として、MERノックアウトマウスは、PyVmT腫瘍形成に対して抵抗性である(Cookら、2013、Journal of Clinical Investigation 123、3231~3242)。免疫応答におけるTAMキナーゼの役割も、ノックアウトマウス研究によって支持される。TAM三重ノックアウトマウス(TKO)は、生存可能である。しかし、このようなマウスは、肥大した脾臓およびリンパ節、自己抗体産生、腫脹した足蹠および関節、皮膚病変、ならびに全身性エリテマトーデスを含む自己免疫性疾患の徴候を呈した(LuおよびLemke、2001、Science 293、306~311)。これは、CTLA4およびPD-1等の承認された免疫-腫瘍学標的に関するノックアウト表現型と一致する。CTLA-4およびPD-1ノックアウトマウスは両者共に、自己免疫性疾患の徴候を示し、これらのマウスは、出生後数週間以内に死ぬ(Chambersら、1997、Immunity 7、885~895;およびNishimuraら、2001、Science 291、319~322)。したがって、TAMキナーゼの阻害は、単独でまたは他の免疫療法と組み合わせて、がんに対する治療上有益な免疫応答を生じる免疫系の能力を増加させることができる。
本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、c-Met関連がんである。MET受容体チロシンキナーゼ(例えば、c-Met)は、がん細胞における成長、浸潤および転移を制御する。c-Metは、種々の異なる分子機構によってヒトがんにおいて活性化される(例えば、Zhangら、Carcinogenesis 4:345~355、2016を参照)。例えば、c-Met関連疾患または状態(例えば、c-Met関連がん)は、次のものを含む:(i)c-Metキナーゼの配列を変更し、その活性を増加させる突然変異;(ii)c-Metの発現の増加を付与する、c-Met発現を制御する調節配列もしくはc-Met発現の調節因子における突然変異;(iii)c-Metポリペプチド配列を変更して、c-Metキナーゼ半減期の増加を付与する突然変異(例えば、哺乳類細胞におけるc-Metのレベルの増加をもたらす、mRNAスプライシングの際にエクソン14スキッピングをもたらすMET遺伝子における突然変異);(iv)MET遺伝子のメチル化(例えば、Nonesら、Int.J.Cancer 135:1110~8、2014を参照);(v)エクソン2とエクソン3との間のMETイントロンに存在する長鎖散在反復配列(L1)のメチル化(Weberら、Oncogene 29:5775~5784、2010);(vi)MET遺伝子増幅;または(vii)がん細胞の自己分泌刺激をもたらす、受容体およびリガンドの同時発現による(Birchmeierら、Nat.Rev.Mol.Cell.Biol.4:915~925、2003)。
c-Metキナーゼの配列を変更し、c-Metキナーゼの活性を増加させる(例えば、野生型c-Metキナーゼと比較して)MET遺伝子における例示的な突然変異として、表Dに収載されている突然変異が挙げられるがこれらに限定されない。
c-Metポリペプチド配列を変更して、c-Metキナーゼ半減期の増加を付与する(野生型c-Metキナーゼと比較して)例示的な突然変異として、mRNAスプライシングの際にMETエクソン14のスキッピングを促進する、表Eに収載されている突然変異が挙げられるがこれらに限定されない。mRNAスプライシングの際にMETエクソン14のスキッピングを促進することが予測される他の例示的な突然変異として、Framptonら、Cancer Discovery 5(8):850~9、2015;およびHeistら、Oncologist 21(4):481~6、2016に開示されている突然変異が挙げられるがこれらに限定されない。最も顕著にはDpYRモチーフにおけるY1003である、エクソン14によってコードされるc-Metタンパク質の部分が、ユビキチン媒介性分解のためにMETを標的とするE3ユビキチンタンパク質リガーゼCBLの効率的なリクルートメントに要求される(Leeら、J.Biol.Chem.269:19457~61、1994;Leeら、Exp.Mol.Med.38:565~73、2006;Leeら、Oncogene 33:34~43、2014)。mRNAスプライシングにおけるMETエクソン14のスキッピングは、読み枠を維持し、c-Metタンパク質安定性の増加およびHGF刺激によるシグナリングの延長を実証し、発癌能の増加を生じる、c-Metキナーゼをもたらす(Peschardら、Mol.Cell 8:995~1004、2001; Abellaら、Mol.Cell.Biol.25:9632~45、2005)。c-Metポリペプチド配列を変更して、c-Metキナーゼ半減期の増加を付与する他の例示的な突然変異として、Y1003におけるアミノ酸置換(例えば、Y1003Fアミノ酸置換)が挙げられるがこれに限定されない(Peschardら、Mol.Cell 8:995~1004、2001)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、腫瘍およびがん(例えば、TAM関連がんおよび/またはc-Met関連がん)の処置に有用である。処置されるTAM関連がんおよび/またはc-Met関連がんは、原発性腫瘍または転移性腫瘍であり得る。一態様では、本明細書に記載される方法は、とりわけ、固形TAM関連腫瘍、例えば、メラノーマ、肺がん(肺腺癌、基底細胞癌、扁平上皮癌、大細胞癌、細気管支肺胞癌、気管支原性癌、非小細胞癌、小細胞癌、中皮腫を含む);乳がん(腺管癌、小葉癌、炎症性乳がん、明細胞癌、粘液性癌、漿膜腔(serosal cavity)乳癌を含む);結腸直腸がん(結腸がん、直腸がん、結腸直腸腺癌);肛門がん;膵がん(膵腺癌、島細胞癌、神経内分泌腫瘍を含む);前立腺がん;前立腺腺癌;尿路がん;卵巣がんまたは癌(漿液性腫瘍、類内膜腫瘍および粘液性嚢胞腺癌を含む卵巣上皮癌または表面上皮間質性腫瘍);肝臓および胆管癌(肝細胞癌、胆管細胞癌、血管腫を含む);食道癌またはがん(食道腺癌および扁平上皮癌を含む);口腔および中咽頭扁平上皮癌;唾液腺腺様嚢胞癌:膀胱がん;膀胱癌;子宮の癌腫(子宮内膜がんまたは子宮内膜腺癌、眼(ocular)、子宮乳頭状漿液性癌、子宮明細胞癌、子宮肉腫および平滑筋肉腫、混合型ミュラー管腫瘍を含む);神経膠腫、神経膠芽腫、髄芽腫および脳の他の腫瘍;腎臓がん(腎がん、腎細胞癌、明細胞癌、ウィルムス腫瘍を含む);下垂体腺腫;頭頸部のがん(扁平上皮癌含む);胃のがん(胃がん、胃腺癌、消化管間質腫瘍(GIST));精巣がん;生殖細胞腫瘍;神経内分泌腫瘍;子宮頸部がん;胃腸管、乳房および他の臓器のカルチノイド;印環細胞癌;肉腫(例えば、カポジ肉腫)、線維肉腫、血管腫、血管腫症、血管外皮腫、偽血管腫様間質過形成(pseudoangiomatous stromal hyperplasia)、筋線維芽細胞腫(myofibroblastoma)、線維腫症、炎症性筋線維芽細胞性腫瘍、脂肪腫、血管脂肪腫、顆粒細胞腫瘍、神経線維腫、シュワン腫、血管肉腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、平滑筋腫、平滑筋肉腫、メラノーマを含む皮膚(例えば、扁平上皮皮膚がん)、子宮頸部、網膜芽細胞腫、頭頸部がん、膵、脳、甲状腺、精巣、腎、膀胱、軟部組織、副腎、尿道、陰茎のがん、粘液肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、悪性線維性組織球腫、リンパ管肉腫、中皮腫、扁平上皮癌を含む間葉腫瘍;類表皮癌、悪性皮膚付属器腫瘍、腺癌、ヘパトーマ、肝細胞癌、腎細胞癌、副腎腫(hypernephroma)、胆管細胞癌、移行細胞癌、絨毛癌、セミノーマ、胚性細胞癌、神経膠腫未分化;多形神経膠芽腫、神経芽細胞腫、髄芽腫、悪性髄膜腫、悪性シュワン腫、神経線維肉腫、副甲状腺癌、甲状腺の髄様癌、気管支カルチノイド、褐色細胞腫、島細胞癌、悪性カルチノイド、悪性傍神経節腫、メラノーマ、メルケル細胞新生物、葉状嚢肉腫、唾液腺(salivary)がん、胸腺癌、ならびに腟のがんの処置に使用される。
本明細書に記載される方法は、リンパ腫またはリンパ球性もしくは骨髄球性増殖障害もしくは異常(例えば、TAM関連リンパ腫またはリンパ球性もしくは骨髄球性増殖障害もしくは異常)の処置にも有用であり得る。例えば、TAM関連がんは、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫であり得る。例えば、対象は、AIDS関連リンパ腫;未分化大細胞リンパ腫;血管免疫芽球性リンパ腫;芽細胞性N細胞(N cell)リンパ腫;バーキットリンパ腫:バーキット様リンパ腫(小型非切れ込み核細胞性リンパ腫);慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫:皮膚性T細胞リンパ腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;腸症型T細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;肝脾ガンマ-デルタT細胞リンパ腫;リンパ芽球性リンパ腫:マントル細胞リンパ腫;辺縁帯リンパ腫;鼻腔T細胞リンパ腫;小児リンパ腫;末梢性T細胞リンパ腫;原発性中枢神経系リンパ腫;T細胞白血病;トランスフォームリンパ腫;処置関連T細胞リンパ腫;またはワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症等が挙げられるがこれらに限定されない、TAM関連非ホジキンリンパ腫を患っている場合がある。
本明細書に記載される方法は、結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫(CHL);混合型細胞型CHL;リンパ球枯渇CHL;リンパ球豊富CHL;リンパ球優勢ホジキンリンパ腫;または結節性リンパ球優勢HL等が挙げられるがこれらに限定されない、TAM関連ホジキンリンパ腫の処置にも有用であり得る。
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、特異的なTAM関連T細胞、B細胞またはNK細胞に基づくリンパ腫、増殖性障害または異常を患う患者の処置に有用であり得る。例えば、患者は、特異的なTAM関連T細胞またはNK細胞リンパ腫、例えば、これらに限定されないが、末梢性T細胞リンパ腫、例えば、末梢性T細胞リンパ腫および末梢性T細胞リンパ腫特定不能(not otherwise specified)(PTCL-NOS);未分化大細胞リンパ腫、例えば、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫もしくは原発性皮膚性未分化大細胞リンパ腫;血管免疫芽球性リンパ腫;皮膚性T細胞リンパ腫、例えば、菌状息肉症、セザリー症候群、原発性皮膚性未分化大細胞リンパ腫、原発性皮膚性CD30+T細胞リンパ増殖性(1ymphoproliferative)障害;原発性皮膚性侵襲性表皮指向性(epidermotropic)CD8+細胞傷害性T細胞リンパ腫;原発性皮膚性ガンマ-デルタT細胞リンパ腫;原発性皮膚性小/中CD4+T細胞リンパ腫およびリンパ腫様丘疹症;成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL);芽細胞性NK細胞リンパ腫:腸症型T細胞リンパ腫;肝脾ガンマ-デルタT細胞リンパ腫:リンパ芽球性リンパ腫;鼻腔NK/T細胞リンパ腫;処置関連T細胞リンパ腫;例えば、実質臓器もしくは骨髄移植後に現れるリンパ腫;T細胞前リンパ球性(prolymphocyte)白血病;T細胞大型顆粒リンパ球性白血病;NK細胞の慢性リンパ増殖性障害;侵襲性NK細胞白血病;小児期の全身性EBV+T細胞リンパ増殖性疾患(慢性活動性EBV感染に関連);種痘様水疱症様リンパ腫;成人T細胞白血病/リンパ腫;腸症関連T細胞リンパ腫;肝脾T細胞リンパ腫;または皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫を患っている場合がある。
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、特異的なTAM関連B細胞リンパ腫または増殖性障害、例えば、これらに限定されないが、多発性骨髄腫;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫;濾胞性リンパ腫;粘膜関連リンパ性組織リンパ腫(MALT);小細胞リンパ球性リンパ腫;マントル細胞リンパ腫(MCL);バーキットリンパ腫;縦隔大細胞型B細胞リンパ腫;ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症;結節性辺縁帯B細胞リンパ腫(NMZL);脾性辺縁帯リンパ腫(SMZL);血管内大細胞型B細胞リンパ腫;原発性浸出液リンパ腫;またはリンパ腫様肉芽腫症;慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫;B細胞前リンパ球性白血病;ヘアリー細胞白血病;脾性リンパ腫/白血病、分類不能;脾臓びまん性赤脾髄小細胞型B細胞リンパ腫;ヘアリー細胞白血病-バリアント;リンパ形質細胞性リンパ腫;重鎖病、例えば、アルファ重鎖病、ガンマ重鎖病、ミュー重鎖病;形質細胞骨髄腫;骨の孤立性形質細胞腫;骨外形質細胞腫;原発性皮膚性濾胞中心リンパ腫;細胞/組織球性豊富大細胞型B細胞リンパ腫;慢性炎症に関連するDLBCL;高齢者のエプスタイン・バーウイルス(EBV)+DLBCL;原発性縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫;原発性皮膚性DLBCL、脚型(leg type);ALK+大細胞型B細胞リンパ腫;形質芽球性リンパ腫;HHV8関連多中心性において生じる大細胞型B細胞リンパ腫;キャッスルマン病;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫とバーキットリンパ腫との間の中間の特色を有するB細胞リンパ腫、分類不能;びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と古典的ホジキンリンパ腫との間の中間の特色を有するB細胞リンパ腫、分類不能;結節硬化型古典的ホジキンリンパ腫;リンパ球豊富古典的ホジキンリンパ腫;混合型細胞型古典的ホジキンリンパ腫;またはリンパ球枯渇古典的ホジキンリンパ腫を患う患者の処置に有用であり得る。
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、TAM関連白血病を患う患者の処置に有用であり得る。例えば、対象は、リンパ球性または骨髄性起源の急性または慢性TAM関連白血病、例えば、これらに限定されないが、急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML);慢性リンパ球性白血病(CLL);慢性骨髄性白血病(CML);若年性骨髄単球性白血病(JMML);ヘアリー細胞白血病(HCL);急性前骨髄球白血病(AMLのサブタイプ);T細胞前リンパ球性白血病(TPLL);大型顆粒リンパ球性白血病;または成人T細胞慢性白血病;大型顆粒リンパ球性白血病(LGL)を患っている場合がある。一実施形態では、患者は、急性骨髄性白血病、例えば、未分化型AML(MO);骨髄芽球白血病(ML;最小細胞成熟を伴う/伴わない);骨髄芽球性白血病(M2;細胞成熟を伴う);前骨髄球性白血病(M3またはM3バリアント[M3V]);骨髄単球性白血病(M4またはM4バリアント、好酸球増加症を伴う[M4E]);単球性白血病(M5);赤白血病(M6);または巨核芽球性白血病(M7)を患う。
一実施形態では、本明細書に記載される化合物および方法は、患者におけるTAM関連がんの処置に有用であり、がんは、例えば、対照非がん性組織または対照細胞(例えば、同じまたは異なる対象に由来する)と比較して、AXL、MERもしくはTYRO3またはこれらの組合せを過剰発現する。一実施形態では、がんは、AXLを過剰発現する。一実施形態では、がんは、MERを過剰発現する。代替的な実施形態では、がんは、MERを異所的に発現する。一実施形態では、TAM関連がんは、乳、結腸、腎、皮膚、肺(非小細胞肺がんを含む)、肝臓、胃、脳(神経膠芽腫を含む)、卵巣、膵、前立腺、多形神経膠芽腫、骨肉腫、甲状腺悪性病変、横紋筋肉腫、メラノーマ、急性骨髄性白血病、T細胞急性リンパ系白血病、B細胞急性リンパ系白血病、シュワン腫およびマントル細胞リンパ腫である。
一実施形態では、TAM関連がんは、乳、結腸、腎、皮膚、肺(非小細胞肺がんを含む)、肝臓、胃、脳(神経膠芽腫を含む)、卵巣、膵、前立腺、多形神経膠芽腫、骨肉腫、甲状腺悪性病変、横紋筋肉腫およびメラノーマから選択される。
一実施形態では、TAM関連がんは、白血病(急性骨髄性白血病および慢性骨髄性白血病、B細胞骨髄性白血病(B-CLL)、B細胞急性リンパ芽球性白血病、赤血球系白血病、ならびにT細胞系列急性リンパ芽球性白血病を含む)、非小細胞肺がん、膵管腺癌、星状細胞腫、肺腺癌、卵巣がん、メラノーマおよび多形神経膠芽腫から選択される。
一実施形態では、TAM関連がんは、慢性骨髄性白血病、消化管間質腫瘍(GIST)、乳がん(例えば、HER2陽性乳がんおよびトリプルネガティブ乳がん)、頭頸部がんおよび非小細胞肺がんから選択される。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、例えば、同じ患者または異なる対象における非がん性組織または細胞と比較して、TAMキナーゼの過剰発現を有するがんである。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、TAMキナーゼの異所的発現を有するがんである。
本明細書において使用される場合、用語「異所的発現」は、当該遺伝子が通常であれば発現されない細胞型、組織型または発生ステージにおける、異常な遺伝子発現を指す。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、TYRO3タンパク質の過剰発現または異所的発現を有するがんである。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、1個または複数のアミノ酸置換を含むTYRO3の発現をもたらす、TYRO3をコードする遺伝子における1個または複数の点突然変異を有する。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、TYRO3のキナーゼドメインおよび融合パートナーを含む融合タンパク質の発現をもたらす染色体転座を有する。TYRO3の過剰発現もしくは異所的発現、または1個もしくは複数の点突然変異を有するTYRO3またはTYRO3融合タンパク質の発現をもたらすTYRO3遺伝子における突然変異を有するTAM関連がんの非限定的な例として、AML、多発性骨髄腫、肺がん、メラノーマ、前立腺がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、シュワン腫、膵がんおよび脳腫瘍が挙げられる。TYRO3の増加した発現および/または活性を有するTAM関連がんの非限定的な側面は、表Gに収載されている。一実施形態では、本明細書に記載される方法は、表Gに収載されているがんから選択されるがんの処置に有用であり得る。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、AXLタンパク質の過剰発現または異所的発現を有するがんである。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、1個または複数のアミノ酸置換を含むAXLの発現をもたらす、AXLをコードする遺伝子における1個または複数の点突然変異を有する。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、AXLのキナーゼドメインおよび融合パートナーを含む融合タンパク質の発現をもたらす染色体転座を有する。AXLの過剰発現もしくは異所的発現、または1個もしくは複数の点突然変異を有するAXLまたはAXL融合タンパク質の発現をもたらすAXL遺伝子における突然変異を有するTAM関連がんの非限定的な例として、AML、CML、B-CLL、肺がん、神経膠芽腫、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、膵がん、食道がん、メラノーマ、扁平上皮皮膚がん、前立腺がん、子宮内膜がん、卵巣がん、口腔扁平上皮癌、甲状腺がん、膀胱がん、腎がん、シュワン腫、中皮腫、カポジ肉腫、骨肉腫、赤血球系白血病、結腸がん、肝臓がん、腎細胞癌、骨肉腫、腎臓がん、PH+CML、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ転移性乳がんおよびHER2+乳がんが挙げられる。AXLの増加した発現および/または活性を有するTAM関連がんの非限定的な側面は、表Hに収載されている。一実施形態では、本明細書に記載される方法は、表Hに収載されているがんから選択されるがんの処置に有用であり得る。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、MERタンパク質の過剰発現または異所的発現を有するがんである。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、1個または複数のアミノ酸置換を含むMERの発現をもたらす、MERをコードする遺伝子における1個または複数の点突然変異を有する。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、TAM関連がんは、MERのキナーゼドメインおよび融合パートナーを含む融合タンパク質の発現をもたらす染色体転座を有する。MERの過剰発現もしくは異所的発現、または1個もしくは複数の点突然変異を有するMERまたはMER融合タンパク質の発現をもたらすMER遺伝子における突然変異を有するTAM関連がんの非限定的な例として、AML、ALL(B-ALL、T-ALL)、肺がん、神経膠腫、メラノーマ、前立腺がん、シュワン腫、マントル細胞リンパ腫、横紋筋肉腫、膵がん、乳がん、胃がん、下垂体腺腫、尿路がん、腎臓がん、肝臓がん、結腸がんおよび乳がんが挙げられる。MERの増加した発現および/または活性を有するMER関連がんの非限定的な側面は、表Iに収載されている。一実施形態では、本明細書に記載される方法は、表Iに収載されているがんから選択されるがんの処置に有用であり得る。
がんを処置するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、TAM関連がんである。
がんを処置するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、TAMキナーゼの過剰発現を有するTAM関連がんである。
がんを処置するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、TAMキナーゼの異所的発現を有するTAM関連がんである。
がんを処置するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、例えば、患者または異なる対象由来の非がん性組織または細胞と比較して、TAMキナーゼのうち1種または複数の異常な(例えば、増加した)発現、レベルおよび/または活性に関連するまたはこれを有するTAM関連がんである。
一実施形態では、TAM関連がんは、消化管間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞慢性骨髄性白血病(B-CLL)、肺がん、神経膠芽腫、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、神経膠腫、膵がん、食道がん、マントル細胞リンパ腫、メラノーマ、扁平上皮皮膚がん、前立腺がん、子宮内膜がん、卵巣がん、口腔扁平上皮癌、甲状腺がん、膀胱がん、腎がん、シュワン腫、中皮腫、カポジ肉腫、骨肉腫、横紋筋肉腫、赤血球系白血病、結腸がん、肝臓がん、腎細胞癌、下垂体腺腫、尿路がん、腎臓がん、頭頸部がん、脳腫瘍および非小細胞肺がんからなる群から選択される。
一実施形態では、TAM関連がんは、急性骨髄性白血病(AML)、多発性骨髄腫、肺がん、メラノーマ、前立腺がん、子宮内膜がん、甲状腺がん、シュワン腫、膵がんおよび脳腫瘍からなる群から選択される。
一実施形態では、TAM関連がんは、子宮頸部がん、胃がん、食道がん、肝細胞癌、メラノーマ(例えば、粘膜性または皮膚性)、メルケル細胞癌、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)腫瘍、非小細胞肺がん、頭頸部扁平上皮癌、小細胞肺がん、腎細胞癌または尿路上皮癌である。
一実施形態では、TAM関連がんは、AXLタンパク質の過剰発現または異所的発現を有するがんである。一実施形態では、TAM関連がんは、消化管間質腫瘍(GIST)、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ球性白血病(ALL)、慢性骨髄性白血病(CML)、B細胞慢性骨髄性白血病(B-CLL)、肺がん、神経膠芽腫、乳がん、結腸直腸がん、胃がん、膵がん、前立腺がん、食道がん、メラノーマ、扁平上皮皮膚がん、子宮内膜がん、卵巣がん、口腔扁平上皮癌、甲状腺がん、膀胱がん、腎がん、シュワン腫、中皮腫、骨肉腫、赤血球系白血病、結腸がん、肝臓がん、腎細胞癌、腎臓がん、非小細胞肺がんおよびトリプルネガティブ転移性乳がんからなる群から選択される。
がんを処置するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、がんは、c-Met関連がんである。一実施形態では、c-Met関連がんとして、表Fに収載されているがんが挙げられるがこれらに限定されない。一実施形態では、c-Met関連がんは、表Fに収載されているがんから選択される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、c-Met阻害剤(例えば、I型c-Met阻害剤)に対して抵抗性である(例えば、少なくともある程度まで、野生型c-Metキナーゼと比較して)c-Metキナーゼを発現するc-Met関連がんの処置に有用である。c-Met阻害剤(例えば、I型c-Met阻害剤)に対するc-Metの抵抗性をもたらすアミノ酸置換の非限定的な例として、位置1092におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるV1092Iアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるV1110Iアミノ酸置換);位置1094におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるH1094Lアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるH1112Lアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるH1094Yアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるH1112Yアミノ酸置換);位置1155におけるアミノ酸置換(例えば、アイソフォーム1におけるV1155Lアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるV1173Lアミノ酸置換);位置1163におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるG1163Rアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるG1181Rアミノ酸置換);位置1195におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるL1195Fアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるL1213Fアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるL1195Vアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるL1213Vアミノ酸置換);位置1200におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるF1200Iアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるF1218Iアミノ酸置換);位置1211におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるM1211Lアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるM1229Lアミノ酸置換);位置1228におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるD1228Aアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるD1246Aアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるD1228Gアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるD1246Gアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるD1228Hアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるD1246Hアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるD1228Nアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるD1246Nアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるD1228Vアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるD1246Vアミノ酸置換;またはc-Metのアイソフォーム1におけるD1228Yアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるD1246Yアミノ酸置換);位置1230におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるY1230Cアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるY1248Cアミノ酸置換;c-Metのアイソフォーム1におけるY1230Hアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるY1248Hアミノ酸置換;またはc-Metのアイソフォーム1におけるY1230Sアミノ酸置換もしくはc-Metのアイソフォーム2におけるY1248Sアミノ酸置換);または位置1250におけるアミノ酸置換(例えば、c-Metのアイソフォーム1におけるM1250Tアミノ酸置換またはc-Metのアイソフォーム2におけるM1268Tアミノ酸置換)が挙げられる。I型阻害剤の非限定的な例として、クリゾチニブ(PF-02341066)、カプマチニブ、NVP-BVU972、AMG 337、ボジチニブ(bozitinib)、グルメチニブ(glumetinib)、サボリチニブ(savolitinib)およびテポチニブ(tepotinib)が挙げられる。一部の実施形態では、1型c-Met阻害剤に対するc-Metの抵抗性をもたらすアミノ酸置換は、L1195V、F1200I、D1228H、D1228N、Y1230C、Y1230HおよびY1230Sを含む。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、c-Metキナーゼドメインを含む融合タンパク質をもたらす染色体転座を有するc-Met関連がんの処置に有用であり、融合タンパク質は、野生型c-Metキナーゼと比較して増加したc-Met活性(例えば、Met-TPR融合タンパク質(Rodriguesら、Mol.Cell.Biol.13:6711~6722、1993)およびCooperら、Nature 311(5981):29~33、1984に記載されている融合タンパク質/染色体転座を有する。
一実施形態では、c-Met関連がんは、胃腸がん(GI)、胃がん、結腸直腸腺癌、結腸直腸癌(CRC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肝細胞癌(HCC)、遺伝性乳頭状腎癌(HPRC)、乳頭状腎癌、メラノーマ、胃腺癌、虫垂腺癌、十二指腸腺癌、膵腺癌、肺腺癌、甲状腺乳頭状癌、甲状腺髄様癌、ユーイング肉腫、前立腺腺癌、頭頸部および頸部の扁平上皮癌、腎細胞癌、褐色細胞腫および複合型褐色細胞腫、卵巣漿液性癌、卵巣明細胞癌、卵巣混合型癌、腹膜漿液性癌、乳管腺癌、子宮平滑筋肉腫、子宮類内膜腺癌、子宮悪性混合型ミュラー管腫瘍、神経膠芽腫、未分化神経膠腫、乏突起神経膠腫、線維形成性小円形細胞腫瘍、直腸の扁平上皮癌、唾液腺癌、心臓血管肉腫、消化管間質腫瘍、浸潤型胸腺腫、ならびに紡錘細胞(spindle)肉腫の群から選択される。
一実施形態では、がんは、進行型または転移性固形腫瘍である。
一実施形態では、がんは、免疫療法に対し応答性であるがんである。
一実施形態では、がんは、標準的治療法に対し抵抗性であるがんである。
一実施形態では、がんは、標準的治療法が利用できないがんである。
一実施形態では、がんは、RECISTバージョン1.1によって定義される、以前に放射線照射されていない測定可能な病変または測定不能な病変である。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、TAM関連がん(例えば、本明細書に記載される例示的なTAM突然変異のいずれかを例えば有する、本明細書に記載されるTAM関連がんのいずれか)を有すると同定または診断される。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、対象は、c-Met関連がん(例えば、本明細書に記載される例示的なc-Met突然変異のいずれかを例えば有する、本明細書に記載されるc-Met関連がんのいずれか)を有すると同定または診断される。
用語「併用療法」は、本明細書において使用される場合、ある期間中の、2種の異なる治療的に活性がある薬剤、即ち、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤の投薬スケジュールを指し、治療的に活性がある薬剤は、本明細書で定義される通り、医療管理者によって処方される様式で、または規制機関に従って、一緒にまたは別々に投与される。一実施形態では、併用療法は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤の組合せを含む。一実施形態では、併用療法は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩、およびニボルマブまたはそのバイオシミラーであるPD-1阻害剤の組合せを含む。一実施形態では、併用療法は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩、およびペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーであるPD-1阻害剤の組合せを含む。一実施形態では、併用療法は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤の組合せを含む。一実施形態では、併用療法は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩、およびササンリマブまたはそのバイオシミラーであるPD-1阻害剤の組合せを含む。
本明細書に開示される方法のいずれかに従った併用療法は、ある期間にわたり、患者に投与することができる。一部の実施形態では、期間は、患者への異なるがん療法的処置/薬剤またはがん療法的処置/薬剤の異なる組合せの投与後となる。一部の実施形態では、期間は、患者への異なるがん療法的処置/薬剤またはがん療法的処置/薬剤の異なる組合せの投与前となる。一部の実施形態では、PD-1阻害剤の投与および化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与は、実質的に同時に行われる。一部の実施形態では、患者へのPD-1阻害剤の投与は、投薬期間中に、患者への化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与に先立ち行われる。一部の実施形態では、患者への化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与は、投薬期間中に、患者へのPD-1阻害剤の投与に先立ち行われる。
本明細書において使用される場合、薬物、化合物または医薬組成物の「有効投薬量」または「有効量」または「治療有効量」は、いずれか1種または複数の有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。予防上の使用のため、有益なまたは所望の結果は、疾患の生化学的、組織学的および/または行動学的症状、その合併症、ならびに疾患の発症中に提示される中間病理学的表現型を含む疾患のリスクの排除もしくは低下、その重症度の低減、またはその発端の遅延を含む。治療上の使用のため、有益なまたは所望の結果は、様々な疾患もしくは状態(例えば、がん等)の1種もしくは複数の症状の発生率の低下もしくはその緩解、疾患の処置に要求される他の薬物療法の用量の減少、別の薬物療法の効果の増強、および/または疾患の進行の遅延等の臨床結果を含む。有効投薬量は、1回または複数の投与で投与することができる。本発明の目的のため、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、直接的または間接的のいずれかでの、予防または治療上の処置の達成に十分な量である。臨床の文脈で理解される通り、薬物、化合物または医薬組成物の有効投薬量は、別の薬物、化合物または医薬組成物と併せて達成することができる。よって、「有効量」は、1種または複数の治療剤の投与の文脈で考慮することができ、単一の薬剤は、1種または複数の他の薬剤と併せて望ましい結果が達成され得るまたは達成される場合、有効量で与えられるとみなすことができる。がんの処置を参照すると、有効量は、(1)腫瘍のサイズの低下、(2)腫瘍転移出現の阻害(即ち、ある程度まで遅く、好ましくは、停止すること)、(3)腫瘍成長もしくは腫瘍侵襲性のある程度までの阻害(即ち、ある程度まで遅く、好ましくは、停止すること)、および/または(4)がんに関連する1種もしくは複数の徴候もしくは症状のある程度までの軽減(または好ましくは、排除)の効果を有する量を指すこともできる。用量および投与レジメンの治療的または薬理学的有効性は、疾患進行前の時間の延長として測定され得る、このような特異的な腫瘍を有する患者における疾患制御および/または全生存を誘導、増強、維持または延長する能力として特徴付けることができる。
「腫瘍」は、がんと診断されたまたはそれを有すると疑われる対象に適用する場合、いずれかのサイズの悪性または潜在的に悪性の新生物または組織塊を指し、原発性腫瘍および続発性新生物を含む。固形腫瘍は、嚢胞または液体区域を通常含有しない、組織の異常な成長または塊である。異なる型の固形腫瘍は、それを構成する細胞の型にちなんで命名される。固形腫瘍の例は、肉腫、癌腫およびリンパ腫である。白血病(血液のがん)は一般に、固形腫瘍を構成しない(国立がん研究所(National Cancer Institute)、がん用語の辞書(Dictionary of Cancer Terms))。
用語「進行型」は、本明細書において使用される場合、固形腫瘍に関する場合、局所的に進行型の(非転移性)疾患および転移性疾患を含む。治癒的意図で処置されても処置されなくてもよい局所的に進行型の固形腫瘍、および治癒的意図で処置することができない転移性疾患は、本発明において使用される「進行型」固形腫瘍の範囲内に含まれる。当業者であれば、患者における進行型固形腫瘍を認識および診断することができるであろう。
「腫瘍量」とも称される「腫瘍負荷」は、体全体に分布した腫瘍材料の総量を指す。腫瘍負荷は、リンパ節および骨髄を含む、体全体のがん細胞の総数または腫瘍(複数可)の総サイズを指す。腫瘍負荷は、例えば、対象から除去した後の腫瘍(複数可)の寸法を例えばノギスを使用して測定することにより、または身体内では、イメージング技法、例えば、超音波、骨スキャン、コンピュータ断層撮影(CT)もしくは磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを使用して等、当技術分野で知られた種々の方法によって決定することができる。
用語「腫瘍サイズ」は、腫瘍の長さおよび幅として測定することができる、腫瘍の総サイズを指す。腫瘍サイズは、例えば、対象から除去した後の腫瘍(複数可)の寸法を例えばノギスを使用して測定することにより、または身体内では、イメージング技法、例えば、骨スキャン、超音波、CTもしくはMRIスキャンを使用して等、当技術分野で知られた種々の方法によって決定することができる。
「個体応答」または「応答」は、(1)減速もしくは完全停止を含む、疾患進行(例えば、がん進行)のある程度までの阻害;(2)腫瘍サイズの低下;(3)隣接する末梢性臓器および/もしくは組織へのがん細胞浸潤の阻害(即ち、低下、減速または完全な停止);(4)転移の阻害(即ち、低下、減速または完全な停止);(5)疾患もしくは障害(例えば、がん)に関連する1種もしくは複数の症状のある程度までの軽減;(6)全生存および無進行生存を含む、生存の長さの増加もしくは拡張;ならびに/または(7)処置後の所与の時点での死亡率減少を限定することなく含む、個体に対する利益を指し示すいずれかのエンドポイントを使用して評価することができる。
医薬による処置に対する患者の「有効な応答」または患者の「応答性」および同様の文言は、がん等の疾患または障害のリスクがあるまたはこれを患う患者に与えられた臨床または治療利益を指す。一実施形態では、斯かる利益は、生存(全生存および/または無進行生存を含む)を拡大すること;客観的応答(完全奏功または部分応答を含む)をもたらすこと;完全奏功をもたらすこと;持続した応答をもたらすこと;またはがんの徴候もしくは症状を改善することのうちいずれか1種または複数を含む。
「客観的応答」または「OR」は、完全奏功(CR)または部分応答(PR)を含む、測定可能な応答を指す。「客観的応答率」(ORR)は、予め定義された量および最小の期間での、腫瘍サイズ低下を有する患者の割合を指す。一般に、ORRは、完全奏功(CR)率および部分応答(PR)率の和を指す。
「完全奏功」または「CR」は、本明細書において使用される場合、処置に応答した、がんのあらゆる徴候の消失(例えば、あらゆる標的病変の消失)を意味する。この用語は、必ずしもがんが治癒したことを意味するとは限らない。
本明細書において使用される場合、「部分応答」または「PR」は、処置に応答した、1種もしくは複数の腫瘍もしくは病変のサイズまたは身体におけるがんの程度の減少を指す。例えば、一部の実施形態では、PRは、参照としてベースライン最長直径の和(SLD)を用いた、標的病変のSLDの少なくとも30%減少を指す。
「持続した応答」は、処置の休止後の腫瘍成長の低下における持続した効果を指す。例えば、腫瘍サイズは、医薬投与相の初めのサイズと比較して、同じサイズまたはより小さくてもよい。一部の実施形態では、持続した応答は、処置持続時間と少なくとも同じ、処置持続時間の少なくとも1.5×、2×、2.5×もしくは3×の長さ、またはより長い持続時間を有する。
本明細書において使用される場合、「無進行生存」(PFS)は、処置されている疾患(例えば、がん)が悪化しない、処置中および処置後の時間の長さを指す。無進行生存は、患者が完全奏功または部分応答を経験した時間の量、および患者が安定疾患を経験した時間の量を含むことができる。
本明細書において使用される場合、「全生存」(OS)は、特定の持続時間後に生きている可能性がある、群における個体のパーセンテージを指す。
「応答の持続時間」は、本発明の目的のため、薬物処置による腫瘍モデル成長阻害の記述から、処置前成長速度と同様の回復した成長速度の獲得時点までの時間を意味する。
「生存の拡大」とは、無処置患者と比べた(即ち、医薬で処置されていない患者と比べた)、処置患者における全生存または無進行生存の増加を意味する。
用語「相乗作用」または「相乗的」は、併用療法の2種の治療剤の組合せの効果が、単独で投与された場合の各薬剤の効果の和よりも大きいことを意味するように本明細書で使用される。「相乗的な量」または「相乗的有効量」は、相乗的効果をもたらす2種の組合せパートナーの組合せの量であり、「相乗的」は、本明細書で定義される通りである。2種の組合せパートナーの間の相乗的相互作用、効果に最適な範囲および効果のための各構成成分の絶対的な用量範囲の決定は、処置を必要とする患者への、異なるw/w(重量当たりの重量)比範囲および用量にわたる組合せパートナーの投与によって確定的に測定することができる。しかし、in vitroモデルまたはin vivoモデルにおける相乗作用の観察は、ヒトおよび他の種における効果を予測することができ、本明細書に記載されるin vitroモデルまたはin vivoモデルが存在して、相乗的効果を測定し、斯かる研究の結果を使用して、薬物動態/薬力学的方法の適用により、ヒトおよび他の種において要求される有効な用量および血漿濃度比範囲ならびに絶対的な用量および血漿濃度を予測することもできる。例えば、本明細書に記載されるがんの当技術分野で許容されるin vitroおよび動物モデルは、当技術分野で知られており、実施例に記載されている。例示的な相乗的効果として、増強された治療有効性、等しいまたは増加したレベルの有効性における減少させた投薬量、薬物抵抗性の低下または遅延された発症、ならびに同時の増強または等しい治療作用および望まれない副作用の低下が挙げられるがこれらに限定されない。
例えば、2種の治療剤の相乗的な比は、本明細書に記載されるがんのいずれかの当技術分野で許容されるin vitro(例えば、がん細胞株)またはin vivo(動物モデル)モデルにおいて相乗的効果を決定することにより同定することができる。本明細書に記載されるがんのがん細胞株およびin vivo動物モデルの非限定的な例は、実施例に記載されている。当技術分野で許容されるがん細胞株およびin vivo動物モデルの追加的な例は、当技術分野で知られている。
一部の実施形態では、「相乗的効果」は、本明細書において使用される場合、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤が単独で投与された場合に観察される効果の和よりも大きい効果、例えば、本明細書に記載される臨床結果を含む有益なまたは所望の結果のいずれか、例えば、増殖性疾患、特にがんまたはその症状の症候性進行の遅延を、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤の組合せが生じることを指す。
一部の実施形態では、本明細書に提供される方法は、約1日間~2年間の間(例えば、1日間~22カ月間の間、1日間~20カ月間の間、1日間~18カ月間の間、1日間~16カ月間の間、1日間~14カ月間の間、1日間~12カ月間の間、1日間~10カ月間の間、1日間~9カ月間の間、1日間~8カ月間の間、1日間~7カ月間の間、1日間~6カ月間の間、1日間~5カ月間の間、1日間~4カ月間の間、1日間~3カ月間の間、1日間~2カ月間の間、1日間~1カ月間の間、1週間~2年間の間、1週間~22カ月間の間、1週間~20カ月間の間、1週間~18カ月間の間、1週間~16カ月間の間、1週間~14カ月間の間、1週間~12カ月間の間、1週間~10カ月間の間、1週間~9カ月間の間、1週間~8カ月間の間、1週間~7カ月間の間、1週間~6カ月間の間、1週間~5カ月間の間、1週間~4カ月間の間、1週間~3カ月間の間、1週間~2カ月間の間、1週間~1カ月間の間、2週間~2年間の間、2週間~22カ月間の間、2週間~20カ月間の間、2週間~18カ月間の間、2週間~16カ月間の間、2週間~14カ月間の間、2週間~12カ月間の間、2週間~10カ月間の間、2週間~9カ月間の間、2週間~8カ月間の間、2週間~7カ月間の間、2週間~6カ月間の間、2週間~5カ月間の間、2週間~4カ月間の間、2週間~3カ月間の間、2週間~2カ月間の間、2週間~1カ月間の間、1カ月間~2年間の間、1カ月間~22カ月間の間、1カ月間~20カ月間の間、1カ月間~18カ月間の間、1カ月間~16カ月間の間、1カ月間~14カ月間の間、1カ月間~12カ月間の間、1カ月間~10カ月間の間、1カ月間~9カ月間の間、1カ月間~8カ月間の間、1カ月間~7カ月間の間、1カ月間~6カ月間の間、1カ月間~6カ月間の間、1カ月間~5カ月間の間、1カ月間~4カ月間の間、1カ月間~3カ月間の間、1カ月間~2カ月間の間、2カ月間~2年間の間、2カ月間~22カ月間の間、2カ月間~20カ月間の間、2カ月間~18カ月間の間、2カ月間~16カ月間の間、2カ月間~14カ月間の間、2カ月間~12カ月間の間、2カ月間~10カ月間の間、2カ月間~9カ月間の間、2カ月間~8カ月間の間、2カ月間~7カ月間の間、2カ月間~6カ月間または2カ月間~5カ月間の間、2カ月間~4カ月間の間、3カ月間~2年間の間、3カ月間~22カ月間の間、3カ月間~20カ月間の間、3カ月間~18カ月間の間、3カ月間~16カ月間の間、3カ月間~14カ月間の間、3カ月間~12カ月間の間、3カ月間~10カ月間の間、3カ月間~8カ月間の間、3カ月間~6カ月間の間、4カ月間~2年間の間、4カ月間~22カ月間の間、4カ月間~20カ月間の間、4カ月間~18カ月間の間、4カ月間~16カ月間の間、4カ月間~14カ月間の間、4カ月間~12カ月間の間、4カ月間~10カ月間の間、4カ月間~8カ月間の間、4カ月間~6カ月間の間、6カ月間~2年間の間、6カ月間~22カ月間の間、6カ月間~20カ月間の間、6カ月間~18カ月間の間、6カ月間~16カ月間の間、6カ月間~14カ月間の間、6カ月間~12カ月間の間、6カ月間~10カ月間の間または6カ月間~8カ月間の間)の期間、併用療法による処置後に患者における1個または複数の固形腫瘍の体積の約1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1~85%、1~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、または95%~100%)低下をもたらすことができる(例えば、処置に先立つ患者における1個または複数の固形腫瘍のサイズと比較して)。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれかは、がんを有する患者における転移を発症するリスクまたは追加的な転移を発症するリスクの約1%~99%(例えば、1%~98%、1%~95%、1%~90%、1~85%、1~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、2%~99%、2%~90%、2%~85%、2%~80%、2%~75%、2%~70%、2%~65%、2%~60%、2%~55%、2%~50%、2%~45%、2%~40%、2%~35%、2%~30%、2%~25%、2%~20%、2%~15%、2%~10%、2%~5%、4%~99%、4%~95%、4%~90%、4%~85%、4%~80%、4%~75%、4%~70%、4%~65%、4%~60%、4%~55%、4%~50%、4%~45%、4%~40%、4%~35%、4%~30%、4%~25%、4%~20%、4%~15%、4%~10%、6%~99%、6%~95%、6%~90%、6%~85%、6%~80%、6%~75%、6%~70%、6%~65%、6%~60%、6%~55%、6%~50%、6%~45%、6%~40%、6%~35%、6%~30%、6%~25%、6%~20%、6%~15%、6%~10%、8%~99%、8%~95%、8%~90%、8%~85%、8%~80%、8%~75%、8%~70%、8%~65%、8%~60%、8%~55%、8%~50%、8%~45%、8%~40%、8%~35%、8%~30%、8%~25%、8%~20%、8%~15%、10%~99%、10%~95%、10%~90%、10%~85%、10%~80%、10%~75%、10%~70%、10%~65%、10%~60%、10%~55%、10%~50%、10%~45%、10%~40%、10%~35%、10%~30%、10%~25%、10%~20%、10%~15%、15%~99%、15%~95%、15%~90%、15%~85%、15%~80%、15%~75%、15%~70%、15%~65%、15%~60%、15%~55%、15%~50%、15%~55%、15%~50%、15%~45%、15%~40%、15%~35%、15%~30%、15%~25%、15%~20%、20%~99%、20%~95%、20%~90%、20%~85%、20%~80%、20%~75%、20%~70%、20%~65%、20%~60%、20%~55%、20%~50%、20%~45%、20%~40%、20%~35%、20%~30%、20%~25%、25%~99%、25%~95%、25%~90%、25%~85%、25%~80%、25%~75%、25%~70%、25%~65%、25%~60%、25%~55%、25%~50%、25%~45%、25%~40%、25%~35%、25%~30%、30%~99%、30%~95%、30%~90%、30%~85%、30%~80%、30%~75%、30%~70%、30%~65%、30%~60%、30%~55%、30%~50%、30%~45%、30%~40%、30%~35%、35%~99%、35%~95%、35%~90%、35%~85%、35%~80%、35%~75%、35%~70%、35%~65%、35%~60%、35%~55%、35%~50%、35%~45%、35%~40%、40%~99%、40%~95%、40%~90%、40%~85%、40%~80%、40%~75%、40%~70%、40%~65%、40%~60%、40%~55%、40%~60%、40%~55%、40%~50%、40%~45%、45%~99%、45%~95%、45%~95%、45%~90%、45%~85%、45%~80%、45%~75%、45%~70%、45%~65%、45%~60%、45%~55%、45%~50%、50%~99%、50%~95%、50%~90%、50%~85%、50%~80%、50%~75%、50%~70%、50%~65%、50%~60%、50%~55%、55%~99%、55%~95%、55%~90%、55%~85%、55%~80%、55%~75%、55%~70%、55%~65%、55%~60%、60%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、65%~99%、60%~95%、60%~90%、60%~85%、60%~80%、60%~75%、60%~70%、60%~65%、70%~99%、70%~95%、70%~90%、70%~85%、70%~80%、70%~75%、75%~99%、75%~95%、75%~90%、75%~85%、75%~80%、80%~99%、80%~95%、80%~90%、80%~85%、85%~99%、85%~95%、85%~90%、90%~99%、90%~95%、または95%~100%)低下を提供することができる。
語句「生存の時間」は、医療従事者による哺乳類におけるがん(例えば、本明細書に記載されるがんのいずれか)の同定または診断と、当該哺乳類の死亡時(がんに起因する)との間の時間の長さを意味する。がんを有する哺乳類における生存の時間を増加させる方法は、本明細書に記載される。
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法のいずれかは、患者の生存の時間の増加(例えば、約1%~400%、1%~380%、1%~360%、1%~340%、1%~320%、1%~300%、1%~280%、1%~260%、1%~240%、1%~220%、1%~200%、1%~180%、1%~160%、1%~140%、1%~120%、1%~100%、1%~95%、1%~90%、1%~85%、1%~80%、1%~75%、1%~70%、1%~65%、1%~60%、1%~55%、1%~50%、1%~45%、1%~40%、1%~35%、1%~30%、1%~25%、1%~20%、1%~15%、1%~10%、1%~5%、5%~400%、5%~380%、5%~360%、5%~340%、5%~320%、5%~300%、5%~280%、5%~260%、5%~240%、5%~220%、5%~200%、5%~180%、5%~160%、5%~140%、5%~120%、5%~100%、5%~90%、5%~80%、5%~70%、5%~60%、5%~50%、5%~40%、5%~30%、5%~20%、5%~10%、10%~400%、10%~380%、10%~360%、10%~340%、10%~320%、10%~300%、10%~280%、10%~260%、10%~240%、10%~220%、10%~200%、10%~180%、10%~160%、10%~140%、10%~120%、10%~100%、10%~90%、10%~80%、10%~70%、10%~60%、10%~50%、10%~40%、10%~30%、10%~20%、20%~400%、20%~380%、20%~360%、20%~340%、20%~320%、20%~300%、20%~280%、20%~260%、20%~240%、20%~220%、20%~200%、20%~180%、20%~160%、20%~140%、20%~120%、20%~100%、20%~90%、20%~80%、20%~70%、20%~60%、20%~50%、20%~40%、20%~30%、30%~400%、30%~380%、30%~360%、30%~340%、30%~320%、30%~300%、30%~280%、30%~260%、30%~240%、30%~220%、30%~200%、30%~180%、30%~160%、30%~140%、30%~120%、30%~100%、30%~90%、30%~80%、30%~70%、30%~60%、30%~50%、30%~40%、40%~400%、40%~380%、40%~360%、40%~340%、40%~320%、40%~300%、40%~280%、40%~260%、40%~240%、40%~220%、40%~200%、40%~180%、40%~160%、40%~140%、40%~120%、40%~100%、40%~90%、40%~80%、40%~70%、40%~60%、40%~50%、50%~400%、50%~380%、50%~360%、50%~340%、50%~320%、50%~300%、50%~280%、50%~260%、50%~240%、50%~220%、50%~200%、50%~180%、50%~160%、50%~140%、50%~140%、50%~120%、50%~100%、50%~90%、50%~80%、50%~70%、50%~60%、60%~400%、60%~380%、60%~360%、60%~340%、60%~320%、60%~300%、60%~280%、60%~260%、60%~240%、60%~220%、60%~200%、60%~180%、60%~160%、60%~140%、60%~120%、60%~100%、60%~90%、60%~80%、60%~70%、70%~400%、70%~380%、70%~360%、70%~340%、70%~320%、70%~300%、70%~280%、70%~260%、70%~240%、70%~220%、70%~200%、70%~180%、70%~160%、70%~140%、70%~120%、70%~100%、70%~90%、70%~80%、80%~400%、80%~380%、80%~360%、80%~340%、80%~320%、80%~300%、80%~280%、80%~260%、80%~240%、80%~220%、80%~200%、80%~180%、80%~160%、80%~140%、80%~120%、80%~100%、80%~90%、90%~400%、90%~380%、90%~360%、90%~340%、90%~320%、90%~300%、90%~280%、90%~260%、90%~240%、90%~220%、90%~200%、90%~180%、90%~160%、90%~140%、90%~120%、90%~100%、100%~400%、100%~380%、100%~360%、100%~340%、100%~320%、100%~300%、100%~280%、100%~260%、100%~240%、100%~220%、100%~200%、100%~180%、100%~160%、100%~140%、100%~120%、120%~400%、120%~380%、120%~360%、120%~340%、120%~320%、120%~300%、120%~280%、120%~260%、120%~240%、120%~220%、120%~200%、120%~180%、120%~160%、120%~140%、140%~400%、140%~380%、140%~360%、140%~340%、140%~320%、140%~300%、140%~280%、140%~260%、140%~240%、140%~220%、140%~200%、140%~180%、140%~160%、160%~400%、160%~380%、160%~360%、160%~340%、160%~320%、160%~300%、160%~280%、160%~260%、160%~240%、160%~220%、160%~200%、160%~180%、180%~400%、180%~380%、180%~360%、180%~340%、180%~320%、180%~300%、180%~280%、180%~260%、180%~240%、180%~220%、180%~200%、200%~400%、200%~380%、200%~360%、200%~340%、200%~320%、200%~300%、200%~280%、200%~260%、200%~240%、200%~220%、220%~400%、220%~380%、220%~360%、220%~340%、220%~320%、220%~300%、220%~280%、220%~260%、220%~240%、240%~400%、240%~380%、240%~360%、240%~340%、240%~320%、240%~300%、240%~280%、240%~260%、260%~400%、260%~380%、260%~360%、260%~340%、260%~320%、260%~300%、260%~280%、280%~400%、280%~380%、280%~360%、280%~340%、280%~320%、280%~300%、300%~400%、300%~380%、300%~360%、300%~340%、または300%~320%)をもたらすことができる(例えば、同様のがんを有し、異なる処置を投与されたまたは処置を受けていない患者と比較して)。
本明細書において使用される場合、用語「サイトカイン」は、ある1つの細胞集団によって放出されるタンパク質を総称的に指し、このタンパク質は、細胞間メディエーターとして別の細胞に作用する、または当該タンパク質を産生する細胞に自己分泌効果を有する。斯かるサイトカインの例として、リンホカイン;モノカイン;インターロイキン(「IL」)、例えば、PROLEUKIN(登録商標)rIL-2を含む、IL-1、IL-la、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-17A-F、IL-18からIL-29(IL-23等)、IL-31;腫瘍壊死因子、例えば、TNF-aまたはTNF-β、TGF-l-3;ならびに白血病抑制因子(「LIF」)、毛様体神経栄養因子(「CNTF」)、CNTF様サイトカイン(「CLC」)、カルジオトロフィン(「CT」)およびkitリガンド(「L」)を含む、他のポリペプチド因子が挙げられる。
本明細書において使用される場合、用語「ケモカイン」は、白血球の走化性および活性化を選択的に誘導する能力を有する可溶性因子(例えば、サイトカイン)を指す。これらは、血管新生、炎症、創傷治癒および腫瘍発生の過程も誘発する。ケモカインの例として、IL-8、マウスケラチノサイト化学誘引物質(KC)のヒトホモログが挙げられる。
方法、使用および医薬
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独療法として、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って投与され、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、投薬サイクルは、21日間である。一実施形態では、投薬サイクルは、28日間である。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独療法として、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の21日間投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って投与され、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1~14日目に投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含み、休止期間が15~21日目である、方法が本明細書に提供される。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独療法として、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の28日間投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って投与され、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1~14日目に投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含み、休止期間が15~28日目である、方法が本明細書に提供される。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩を単独療法として、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の28日間投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って投与され、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1~7日目および15~21日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含み、休止期間が8~14および22~28日目である、方法が本明細書に提供される。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩を間欠投薬スケジュールで単独療法として投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、経口投与される。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩を間欠投薬スケジュールで単独療法として投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、1日に1回(QD)投与される。化合物1またはその薬学的に許容できる塩を間欠投薬スケジュールで投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の単一用量は、2つの部分用量(sub-dose)に分けられ、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、1日に2回(BID)投与される。用量が第1および第2の用量に分けられる場合の、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の1日用量の一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第2の用量は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第1の用量とおよそ同時に投与される。用量が第1および第2の用量に分けられる場合の、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の1日用量の一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第2の用量は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第1の用量の約12時間後に投与される。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩を間欠投薬スケジュールで単独療法として投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、経口投与のためのカプセルまたは錠剤として製剤化されている。一部の実施形態では、カプセルまたは錠剤は、25mg、50mg、100mg、200mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む。一部の実施形態では、カプセルまたは錠剤は、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩を間欠投薬スケジュールで単独療法として投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、各投薬期間において、25mg、50mg、100mg、200mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を毎日投薬される。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、25mg、50mg、100mg、200mgもしくは300mgの単一用量として、またはおよそ同時にもしくは調整された時間間隔で(例えば、12時間おいて投与された2つの部分用量として)投与され得る分割用量として投与することができる。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩をPD-1またはPD-L1阻害剤と組み合わせて間欠投薬スケジュールで投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、錠剤またはカプセルとして製剤化されている。一部の実施形態では、カプセルまたは錠剤は、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩をPD-1またはPD-L1阻害剤と組み合わせて間欠投薬スケジュールで投与するための本明細書に開示される方法のいずれかの一部の実施形態では、患者は、各投薬期間において、25mg、50mg、100mg、200mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を毎日投薬される。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、25mg、50mg、100mg、200mgもしくは300mgの単一用量として、またはおよそ同時にもしくは調整された時間間隔で(例えば、12時間おいて投与された2つの部分用量として)投与され得る分割用量として投与することができる。
一実施形態では、がんを含む増殖性疾患を処置する方法であって、ある期間中、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤を含む併用療法を、それを必要とする患者に投与するステップを含み、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、間欠投薬スケジュールで投与され、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤またはPD-L1阻害剤が、合同に治療有効量(例えば、相乗的有効量)で投与される、方法が本明細書に提供される。本発明のこの併用療法の個々の構成成分は、投薬期間中に異なる時点で別々に、およびいずれかの順序で投与することができる。
用語「合同に治療有効量」は、本明細書において使用される場合、本明細書に記載される組合せの治療剤が、同時に、または相互作用(例えば、合同治療効果、例えば、相乗的効果)を示すような時間間隔で別々に(例えば、時差がある様式で、例えば、順番特異的な様式で)患者に与えられる場合を意味する。これが事実であるか否かは、とりわけ、血液レベルを追跡し、少なくともある特定の時間間隔において、処置されるべきヒトの血液中に組合せ構成成分が存在することを示すことによって決定することができる。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、投薬サイクルは、28日間である。一実施形態では、投薬サイクルは、21日間である。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から7日目に投与され、前記PD-1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が16から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から14日目に投与され、前記PD-1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が16から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から21日目に投与され、前記PD-1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が22から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から7日目および15から21日目に投与され、前記PD-1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が8から14および22から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ニボルマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩、およびニボルマブであるPD-1阻害剤を、それを必要とする患者にある期間にわたり投与するステップを含む、がんを処置するための本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、ニボルマブは、約3mg/kgの用量でまたは約240mgの平坦な用量として、30分間にわたり静脈内投与される。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、21日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から7日目に投与され、前記PD-1阻害剤が1日目に投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が8から21日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、21日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から14日目に投与され、前記PD-1阻害剤が1日目に投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が15から21日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ペムブロリズマブまたはそのバイオシミラーである。一実施形態では、PD-1阻害剤は、ササンリマブまたはそのバイオシミラーである。
間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩、およびペムブロリズマブであるPD-1阻害剤を、それを必要とする患者にある期間にわたり投与するステップを含む、がんを処置するための本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、ペムブロリズマブは、約2mg/kgの用量でまたは約200mgの平坦な用量として、30分間にわたり静脈内投与される。
間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を、それを必要とする患者にある期間にわたり投与するステップを含む、がんを処置するための本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、経口投与のためのカプセルまたは錠剤として製剤化されている。一部の実施形態では、カプセルまたは錠剤は、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む。前記実施形態の一部では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、前記投薬期間中に1日に1回投与される。前記実施形態の一部では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の単一用量は、2つの部分用量に分けられ、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、1日に2回(BID)投与される。用量が第1および第2の用量に分けられる場合の、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の1日用量の一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第2の用量は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第1の用量の約12時間後に投与される。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、投薬サイクルは、28日間サイクルである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から7日目に投与され、前記PD-L1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が16から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から14日目に投与され、前記PD-L1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が16から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から21日目に投与され、前記PD-L1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が22から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブまたはそのバイオシミラーである。
一実施形態では、がんを処置するための方法であって、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者に、ある期間にわたり投与するステップを含み、各投薬サイクルが、28日間サイクルであり、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が1から7日目および15から21日目に投与され、前記PD-L1阻害剤が1日目および15日目に投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含み、休止期間が8から14および22から28日目である、方法が本明細書に提供される。一実施形態では、PD-L1阻害剤は、アテゾリズマブまたはそのバイオシミラーである。
間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩、およびアテゾリズマブであるPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者にある期間にわたり投与するステップを含む、がんを処置するための本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、アテゾリズマブは、約840mgの用量で、30または60分間にわたり静脈内投与される。
間欠投薬スケジュールに従って、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-L1阻害剤を、それを必要とする患者にある期間にわたり投与するステップを含む、がんを処置するための本明細書に開示される実施形態のいずれかでは、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、経口投与のためのカプセルまたは錠剤として製剤化されている。一部の実施形態では、カプセルまたは錠剤は、25mg、50mg、75mg、100mg、150mg、200mg、250mgまたは300mgの化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む。前記実施形態の一部では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、前記投薬期間中に1日に1回投与される。前記実施形態の一部では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の単一用量は、2つの部分用量に分けられ、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、1日に2回(BID)投与される。用量が第1および第2の用量に分けられる場合の、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の1日用量の一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第2の用量は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の第1の用量の約12時間後に投与される。
本明細書に記載される併用療法の投薬スケジュールのいずれかの一実施形態では、投薬期間中のPD-1またはPD-L1阻害剤が投与される当日に、PD-1またはPD-L1阻害剤は、治療有効量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与の少なくとも30分後に投与される。本明細書において使用される場合、語句「少なくとも30分後」は、PD-1阻害剤が、投薬期間中に、投薬期間中の化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与の少なくとも5分または少なくとも10分または少なくとも15分または少なくとも20分または少なくとも25分または少なくとも30分または少なくとも35分または少なくとも40分または少なくとも45分または少なくとも50分または少なくとも55分または少なくとも60分または少なくとも65分または少なくとも70分または少なくとも75分または少なくとも80分または少なくとも85分または少なくとも90分後に投与されることを意味する。
本明細書に記載される併用療法の投薬スケジュールのいずれかの一実施形態では、投薬期間中のPD-1またはPD-L1阻害剤が投与される当日に、PD-1またはPD-L1阻害剤は、投薬期間中に、治療有効量または治療有効用量の化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与の少なくとも30分前に投与される。本明細書において使用される場合、語句「少なくとも30分後」は、PD-1またはPD-L1阻害剤が、投薬期間中に、投薬期間中の化合物1またはその薬学的に許容できる塩の用量の投与の少なくとも5分または少なくとも10分または少なくとも15分または少なくとも20分または少なくとも25分または少なくとも30分または少なくとも35分または少なくとも40分または少なくとも45分または少なくとも50分または少なくとも55分または少なくとも60分または少なくとも65分または少なくとも70分または少なくとも75分または少なくとも80分または少なくとも85分または少なくとも90分前に投与されることを意味する。
一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の用量は、投薬期間中に最大耐投薬量に達するまで漸増され、PD-1阻害剤は、投薬期間中に固定された用量として投与される。それに代えて、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、投薬期間中に固定された用量として投与することができ、PD-1阻害剤の用量は、投薬期間中に最大耐投薬量に達するまで漸増させることができる。
一実施形態では、本明細書に記載されるいずれかの併用療法は、投薬期間中に、PD-1またはPD-L1阻害剤の投与に先立ち1種または複数の前薬物療法(pre-medication)の投与をさらに含むことができる。一実施形態では、1種または複数の前薬物療法は、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の投与の1時間後よりも遅くに、投薬期間中に投与される。一実施形態では、1種または複数の前薬物療法は、投薬期間中に、PD-1またはPD-L1阻害剤の投与の30~60分前に投与される。一実施形態では、1種または複数の前薬物療法は、投薬期間中に、PD-1またはPD-L1阻害剤の投与の30分前に投与される。一実施形態では、1種または複数の前薬物療法は、H1アンタゴニスト(例えば、ジフェンヒドラミン等の抗ヒスタミン薬)およびアセトアミノフェンのうち1種または複数から選択される。
本明細書に開示される投薬サイクルのいずれかの一実施形態では、少なくとも2回の投薬サイクルが完了される。本明細書に開示される投薬サイクルのいずれかの一実施形態では、少なくとも5回の投薬サイクルが完了される。本明細書に開示される投薬サイクルのいずれかの一実施形態では、少なくとも10回の投薬サイクルが完了される。本明細書に開示される投薬サイクルのいずれかの一実施形態では、少なくとも20回の投薬サイクルが完了される。
一部の実施形態では、がんの処置のための医薬の製造における、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の使用であって、医薬が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って単独療法として投与され、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含む、使用が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、がんの処置のための医薬の製造における、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の使用であって、医薬が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従ってPD-1阻害剤と組み合わせて使用されるべきであり、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、使用が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、がんの処置のための医薬の製造における、化合物1またはその薬学的に許容できる塩の使用であって、医薬が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従ってPD-L1阻害剤と組み合わせて使用されるべきであり、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、使用が本明細書に提供される。
一部の実施形態では、がんの処置における使用のための化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含むキットであって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従って単独療法として投与され、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与される、投薬期間および(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩が投与されない、休止期間を含む、キットが本明細書に提供される。
一部の実施形態では、がんの処置における使用のための化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含むキットであって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従ってPD-1阻害剤と組み合わせて使用されるべきであり、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、キットが本明細書に提供される。
一部の実施形態では、がんの処置における使用のための化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含むキットであって、化合物1またはその薬学的に許容できる塩が、少なくとも1回の投薬サイクルの間欠投薬スケジュールに従ってPD-L1阻害剤と組み合わせて使用されるべきであり、各投薬サイクルが、(a)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与される、投薬期間ならびに(b)前記化合物1またはその薬学的に許容できる塩および前記PD-L1阻害剤が投与されない、休止期間を含む、キットが本明細書に提供される。
一部の実施形態では、対象は、前記期間に先立ち(即ち、前記第1の投薬サイクルに先立ち)、少なくとも1種の抗がん剤または療法で以前に処置された。前記少なくとも1種の以前の抗がん剤または療法の例として、化合物1もしくはその薬学的に許容できる塩以外のキナーゼ阻害剤、免疫療法、化学療法、放射線療法および/または外科手術が挙げられる。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、期間の前に患者に投与された少なくとも1種の抗がん剤または療法は、不成功(例えば、医師によって決定される通り、治療的に不成功)であった。一部の実施形態では、患者は、少なくとも1種の抗がん剤に対し抵抗性であるがんを有する。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の抗がん剤は、化学療法剤、PI-3キナーゼ阻害剤、EGFR阻害剤、HER2/neu阻害剤、FGFR阻害剤、ALK阻害剤、IGF1R阻害剤、VEGFR阻害剤、PDGFR阻害剤、グルココルチコイド、BRAF阻害剤、MEK阻害剤、HER4阻害剤、MET阻害剤(例えば、I型c-Metキナーゼ阻害剤)、RAF阻害剤、Akt阻害剤、FTL-3阻害剤、MAPキナーゼ経路阻害剤の群から選択される。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の抗がん剤は、キナーゼ阻害剤を含むことができ、患者は、キナーゼ阻害剤に対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の抗がん剤は、クリゾチニブ、カプマチニブ、NVP-BVU972、AMG 337、ボジチニブ、グルメチニブ、サボリチニブ、テポチニブ、フォレチニブ(foretinib)、ボジチニブ、1-(6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジン-3-イル)-N3-[7(S)-(1-ピロリジニル)-6,7,8,9-テトラヒドロ-5H-ベンゾシクロヘプテン-2-イル]-1H-1,2,4-トリアゾール-3,5-ジアミン(BGB324)、(N-[4-(2-アミノ-3-クロロピリジン-4-イルオキシ)-3-フルオロフェニル]-4-エトキシ-1-(4-フルオロフェニル)-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(BMS-777607)、アムバチニブ(amuvatinib)、BMS-796302、カボザンチニブ、グレサチニブ(glesatinib)(MGCD265)、2-(4-フルオロフェニル)-N-[3-フルオロ-4-(3-フェニル-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-4-イルオキシ)フェニル]-1,5-ジメチル-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ピラゾール-4-カルボキサミド(NPS-1034)、N-[4-[(6,7-ジメトキシキノリン-4-イル)オキシ]-3-フルオロフェニル]-4-エトキシ-1-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド塩酸塩(LDC1267)、ギルテリチニブ、[3-(2-[[3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]アミノ]-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)フェニル]アセトニトリル(SGI-7079)、デュベルマチニブ(dubermatinib)(TP-0903)、トランス-4-[2-(ブチルアミノ)-5-[4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-7-イル]シクロヘキサノール(UNC2025)、3-[3-[4-(モルフォリン-4-イルメチル)-1H-ピロール-2-イルメチレン]-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インドール-5-イルメチル]チアゾリジン-2,4-ジオン塩酸塩(S49076)、スニチニブ、12A11、Mab173、YW327.6S2、D9、E8、メレスチニブ(merestinib)、[3-(2-[[3-フルオロ-4-(4-メチルピペラジン-1-イル)フェニル]アミノ]-5-メチル-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-4-イル)フェニル]アセトニトリル(SGI-7079)およびN-[4-[(6,7-ジメトキシキノリン-4-イル)オキシ]-3-フルオロフェニル]-4-エトキシ-1-(4-フルオロ-2-メチルフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド塩酸塩の群から選択されるキナーゼ阻害剤を含む。本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、患者は、がんの処置のために前記キナーゼ阻害剤を投与されており、がんは、前記少なくとも1種の抗がん剤に対して抵抗性になった。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、デキサメタゾンを含み、患者は、デキサメタゾンに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、シタラビンを含み、患者は、シタラビンに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、イマチニブを含み、患者は、イマチニブに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、ラパチニブを含み、患者は、ラパチニブに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、セツキシマブを含み、患者は、セツキシマブに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、エルロチニブを含み、患者は、エルロチニブに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、アルペリシブを含み、患者は、アルペリシブに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、シスプラチンを含み、患者は、シスプラチンに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、スニチニブを含み、患者は、スニチニブに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、メトホルミンを含み、患者は、メトホルミンに対する抵抗性を以前に発症した。
本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、抗PD1抗体を含み、患者は、抗PD1抗体に対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、ドセタキセルを含み、患者は、ドセタキセルに対する抵抗性を以前に発症した。本明細書に記載される方法のいずれかの一部の実施形態では、少なくとも1種の追加的な抗がん剤は、EGFR阻害剤を含み、患者は、EGFR阻害剤に対する抵抗性を以前に発症した。
本明細書に開示される方法のいずれかの一実施形態では、期間の前に患者に投与される1種または複数の治療剤は、化学療法であるまたはこれを含む。一実施形態では、期間の前に患者に投与される1種または複数の治療剤は、白金に基づく化学療法であるまたはこれを含む。一実施形態では、期間の前に患者に投与される1種または複数の治療剤は、フルオロピリミジン含有化学療法であるまたはこれを含む。一実施形態では、期間の前に患者に投与される1種または複数の治療剤は、フォルフィリノックス(FOLFIRINOX)(フォリン酸(ロイコボリン)、フルオロウラシル(5-FU)、イリノテカンおよびオキサリプラチンの化学療法レジメン)であるまたはこれを含む。一実施形態では、期間の前に患者に投与される1種または複数の治療剤は、フォルフォキシリ(FOLFOXIRI)(イリノテカンおよびオキサリプラチンプラス5-フルオロウラシルの化学療法レジメン)であるまたはこれを含む。一実施形態では、がんは、白金に基づく化学療法による処置後に進行した。
一実施形態では、患者は、期間の前に外科手術を投与された。外科手術の非限定的な例として、例えば、直視下外科手術または低侵襲外科手術が挙げられる。外科手術は、例えば、腫瘍全体の除去、腫瘍のデバルキング、または対象において疼痛もしくは圧を引き起こしている腫瘍の除去を含むことができる。がんを有する対象において直視下外科手術および低侵襲外科手術を行うための方法は、当技術分野で知られている。
一実施形態では、患者は、期間の前に照射療法を受けた。放射線療法の非限定的な例として、外放射線照射療法(例えば、キロボルテージX線またはメガボルテージX線を使用した外照射療法)または内照射療法が挙げられる。内照射療法(ブラキセラピーとも呼ばれる)は、例えば、低線量内照射療法または高線量内照射療法の使用を含むことができる。低線量内照射療法は、例えば、対象におけるがん組織内部へのまたはその近位への小型の放射性ペレット(シード(seed)とも呼ばれる)の挿入を含む。高線量内照射療法は、例えば、対象におけるがん組織内部へのまたはその近位への細い管(例えば、カテーテル)またはインプラントの挿入と、放射線装置を使用した細い管またはインプラントへの高線量の放射線の送達を含む。がんを有する対象において放射線療法を行うための方法は、当技術分野で知られている。
化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、投与に先立ち製剤化することができる。製剤は、好ましくは、特定の投与モードに適応されるであろう。化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、当技術分野で公知の薬学的に許容できる担体と共に製剤化し、当技術分野で公知の多種多様な剤形で投与することができる。本発明の医薬組成物の作製において、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、通常、薬学的に許容できる担体と混合される、または担体によって希釈される、または担体の中に封入されるであろう。斯かる担体として、固体希釈剤またはフィラー、賦形剤、滅菌水性培地および様々な無毒性有機溶媒が挙げられるがこれらに限定されない。投薬量単位形態または医薬組成物は、個々の用量への細分に適応された容器に包装された、錠剤、ゼラチンカプセル等のカプセル、丸剤、粉末、顆粒、水性および非水性経口溶液および懸濁液、薬用キャンディー、トローチ、ハードキャンディー、噴霧、クリーム、膏薬、坐剤、ゼリー、ゲル、ペースト、ローション、軟膏、注射用溶液、エリキシル剤、シロップ、ならびに非経口溶液を含む。
本明細書に開示される前記方法のいずれかの一実施形態では、化合物1は、遊離塩基として投与される。本明細書に開示される前記方法のいずれかの一実施形態では、化合物1は、化合物1 HClとして投与される。一実施形態では、化合物1またはその薬学的に許容できる塩は、カプセルとして投与される。一実施形態では、化合物1のカプセル製剤は、約5mg~約50mg(例えば、5mg~約45mg、約5mg~約40mg、約5mg~約35mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約5mg~約20mg、約5mg~約18mg、約5mg~約16mg、約5mg~約14mg、約5mg~約12mg、約5mg~約10mg、約5mg~約8mg、約10mg~約50mg、約10mg~約45mg、約10mg~約40mg、約10mg~約35mg、約10mg~約30mg、約10mg~約25mg、約10mg~約20mg、約10mg~約18mg、約10mg~約16mg、約10mg~約14mg、約10mg~約12mg、約12mg~約50mg、約12mg~約45mg、約12mg~約45mg、約12mg~約40mg、約12mg~約35mg、約12mg~約30mg、約12mg~約25mg、約12mg~約20mg、約12mg~約18mg、約12mg~約16mg、約12mg~約14mg、約14mg~約50mg、約14mg~約45mg、約14mg~約40mg、約14mg~約35mg、約14mg~約30mg、約14mg~約25mg、約14mg~約20mg、約14mg~約18mg、約14mg~約16mg、約16mg~約50mg、約16mg~約45mg、約16mg~約40mg、約16mg~約35mg、約16mg~約30mg、約16mg~約25mg、約16mg~約20mg、約16mg~約18mg、約18mg~約50mg、約18mg~約45mg、約18mg~約40mg、約18mg~約35mg、約18mg~約30mg、約18mg~約25mg、約18mg~約20mg、約20mg~約50mg、約20mg~約45mg、約20mg~約40mg、約20mg~約35mg、約20mg~約30mg、約20mg~約25mg、約25mg~約50mg、約25mg~約45mg、約25mg~約40mg、約25mg~約35mg、約25mg~約30mg、約30mg~約50mg、約30mg~約45mg、約30mg~約40mg、約30mg~約35mg、約35mg~約50mg、約35mg~約45mg、約35mg~約40mg、約40mg~約50mg、約40mg~約45mg、約45mg~約50mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mgまたは約50mg)の化合物1またはその薬学的に許容できる塩を含む。
当業者であれば、年齢、体重、総体的な健康、投与される化合物、投与経路、処置を要求するがんの性質および進展、ならびに他の薬物療法の存在等の因子を考慮に入れて、公知の方法に従って、各化合物の適切な量、用量または投薬量を、本発明の組合せにおいて使用される通りに決定して、患者に投与することができるであろう。
本明細書に開示される方法のいずれかに従った処置は、1種または複数の臨床エンドポイントにより、例えば、とりわけ、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の低下、腫瘍関連の症状の軽減、腫瘍分泌因子(本明細書で同定されたチェックポイントタンパク質の発現レベルを含む)の阻害、原発性または続発性腫瘍の出現遅延、原発性または続発性腫瘍の遅れた発症、原発性または続発性腫瘍の発生減少、疾患の二次的効果の遅れたまたは減少した重症度、腫瘍成長停止および腫瘍退縮、増加した進行までの時間(TTP)、改善された腫瘍応答までの時間(TTR)、増加した応答の持続時間(DR)、増加した無進行生存(PFS)、増加した全生存(OS)、客観的応答率(ORR)によって評価することができる。OSは、本明細書において使用される場合、処置開始から任意の原因による死亡までの時間を意味する。本明細書において使用される場合、TTPは、処置開始から腫瘍進行までの時間を意味する;TTPは、死亡を含まない。本明細書において使用される場合、TTRは、確認された客観的応答(CRまたはPR)を有する患者について、ランダム化の日付または研究処置の第1の用量の日付から、客観的腫瘍応答の最初の記述までの時間として定義される。本明細書において使用される場合、DRは、腫瘍応答の記述から疾患進行までの時間を意味する。本明細書において使用される場合、PFSは、処置開始から腫瘍進行または死亡までの時間を意味する。本明細書において使用される場合、ORRは、予め定義された量のかつ最小の期間における腫瘍サイズ低下を有する患者の割合を意味し、応答持続時間は通常、初期応答時から記述された腫瘍進行まで測定される。極度には、完全阻害は、予防または化学予防と本明細書で称される。
一実施形態では、本明細書に開示される方法のいずれかに従って処置された対象は、本明細書に記載される併用療法によるがんの処置に関連する1種または複数の臨床エンドポイントに従って評価することができる。一実施形態では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される組合せによる処置後に、腫瘍成長の阻害または腫瘍サイズの低下等の肯定的な腫瘍応答を示すことができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される患者は、本明細書に記載される併用療法の有効量の投与後に、完全奏功、部分応答または安定疾患の固形癌効果判定基準(例えば、RECIST 1.1)を達成することができる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載される患者は、腫瘍進行を伴わない生存増加を示すことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される患者は、とりわけ、疾患進行の阻害、腫瘍成長の阻害、原発性腫瘍の低下、腫瘍関連症状の軽減、腫瘍分泌因子(カルチノイド症候群に寄与するホルモン等の腫瘍分泌ホルモンを含む)の阻害、原発性もしくは続発性腫瘍の出現遅延、原発性もしくは続発性腫瘍の遅れた発症、原発性もしくは続発性腫瘍の発生減少、疾患の二次的効果の遅れたもしくは減少した重症度、腫瘍成長停止および腫瘍退縮、減少した腫瘍応答までの時間(TTR)、増加した応答の持続時間(DR)、増加した無進行生存(PFS)、増加した進行までの時間(TTP)、ならびに/または増加した全生存(OS)を示すことができる。
確立された検査モデルによって、本明細書に記載される治療法が、本明細書の先に記載された有益な効果をもたらすことが示され得る。当業者であれば、斯かる有益な効果を立証するために関連する検査モデルを選択することが十分に可能となる。本明細書に記載される併用療法の薬理学的活性は、例えば、動物モデルおよび/もしくは臨床研究においてまたは検査手順で、例えば、後述する通りに、実証することができる。
適した臨床研究は、例えば、増殖性疾患を有する患者におけるオープンラベル、用量漸増研究である。増殖性疾患における有益な効果は、このような研究の結果により直接的に決定することができる。斯かる研究は、特に、化合物1もしくはその薬学的に許容できる塩および/またはPD-1阻害剤を使用した単独療法の効果、対、化合物1またはその薬学的に許容できる塩およびPD-1阻害剤を含む併用療法の効果の比較に適することができる。処置の有効性は、例えば、6、12、18または24週間後に、例えば、6週間毎の症状スコアの評価によって、斯かる研究において決定することができる。
本明細書には、実施形態1~34も提供される。
実施形態1.ポリマー中に分散された、アモルファス(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩を含む固体分散系。
実施形態2.ポリマーが、セルロースに基づくポリマーである、実施形態1に記載の固体分散系。
実施形態3.セルロースに基づくポリマーが、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロースフタル酸エステル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル、およびこれらのコポリマーから選択される、実施形態2に記載の固体分散系。
実施形態4.セルロースに基づくポリマーが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)である、実施形態3に記載の固体分散系。
実施形態5.ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステルが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル-MGである、実施形態4に記載の固体分散系。
実施形態6.(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩が、(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドの遊離塩基として計算される固体分散系の総重量に対して25%~50%w/wの濃度範囲で存在する、実施形態2~5のいずれか一実施形態に記載の固体分散系。
実施形態7.(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドが、約25%、37.5%または50%w/wの量で存在する、実施形態6に記載の固体分散系。
実施形態8.(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミドが、約25%w/wの量で存在する、実施形態6に記載の固体分散系。
実施形態9.固体分散系が、噴霧乾燥された分散系である、実施形態2~8のいずれか一実施形態に記載の固体分散系。
実施形態10.医薬組成物の調製における、実施形態2~8のいずれか一実施形態に記載の固体分散系の使用。
実施形態11.(i)実施形態2~9のいずれか一実施形態に記載の固体分散系と、(ii)1種または複数の粒内賦形剤と、(iii)1種または複数の粒外(extragranular)賦形剤とを含む医薬組成物。
実施形態12.(i)実施形態2~9のいずれか一実施形態に記載の固体分散系と、(ii)そのうち少なくとも1種がpH修飾剤である、1種または複数の粒内賦形剤と、(iii)1種または複数の粒外賦形剤とを含む医薬組成物。
実施形態13.1種または複数の粒内賦形剤が、pH修飾剤、フィラー、崩壊剤および潤滑剤である、実施形態11に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態14.pH修飾剤が、重炭酸ナトリウムである、実施形態13に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態15.フィラーが、マンニトールである、実施形態13または14に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態16.崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、実施形態13~15のいずれか一実施形態に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態17.潤滑剤が、フマル酸ステアリルナトリウム(stearyl fumarate sodium)である、実施形態13~16のいずれか一実施形態に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態18.1種または複数の粒外賦形剤が、フィラーおよび崩壊剤である、実施形態13~17のいずれか一実施形態に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態19.フィラーが、マンニトールである、実施形態18に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態20.崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウムである、実施形態18または19に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態21.(i)HPMCAS-MG中アモルファス化合物1 HClの固体分散系と、(ii)pH修飾剤、フィラー、崩壊剤および潤滑剤を含む粒内賦形剤と、(iii)フィラーおよび崩壊剤を含む粒外賦形剤とを含む、実施形態11に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態22.(i)HPMCAS-MG中アモルファス化合物1 HClの固体分散系であって、約10%~43%w/wの間の量の固体分散系と、(ii)1%~4%w/wの間の量のpH修飾剤、約6%~25%w/wの間の量のフィラー、約1.0%~4%w/wの間の量の崩壊剤、約0.5%~2%w/wの間の量の潤滑剤を含む粒内賦形剤と、(iii)約20%~75%w/wの間の量のフィラーおよび約2%~8%w/wの間の量の崩壊剤を含む粒外賦形剤とを含む、実施形態21に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態23.(i)HPMCAS-MG中アモルファス化合物1 HClの固体分散系であって、約10%~43%w/wの間の量の固体分散系と、(ii)1%~4%w/wの間の量の重炭酸ナトリウムであるpH修飾剤、約6%~25%w/wの間の量のマンニトールであるフィラー、約1.0%~4%w/wの間の量のクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤、および約0.5%~2%w/wの間の量のフマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumarate)である潤滑剤を含む粒内賦形剤と、(iii)約20%~75%w/wの間の量のマンニトールであるフィラー、および約2%~8%w/wの間の量のクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤を含む粒外賦形剤とを含む、実施形態21に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態24.(i)11.1%w/wの、HPMCAS-MG中アモルファス化合物1 HClの固体分散系と、(ii)1%w/wの重炭酸ナトリウムであるpH修飾剤、6.6%w/wのマンニトールであるフィラー、1%w/wのクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤、および0.5%w/wのフマル酸ステアリルナトリウムである潤滑剤を含む粒内賦形剤と、(iii)72.2%のマンニトールであるフィラー、および7.6%w/wのクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤を含む粒外賦形剤とを含む、実施形態21に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態25.遊離塩基として計算される、5mgの化合物1を含む、実施形態24に記載の医薬組成物。
実施形態26.固体分散系が、25%:75%w/wのアモルファス化合物1 HCl:HPMCAS-MGを含む、実施形態24または25に記載の医薬組成物。
実施形態27.(i)28.5%w/wの、HPMCAS-MG中アモルファス化合物1 HClの固体分散系と、(ii)2.6%w/wの重炭酸ナトリウムであるpH修飾剤、16.9%w/wのマンニトールであるフィラー、2.6%w/wのクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤、および1.3%w/wのフマル酸ステアリルナトリウムである潤滑剤を含む粒内賦形剤と、(iii)43.5%のマンニトールであるフィラー、および4.6%w/wのクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤を含む粒外賦形剤とを含む、実施形態21に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態28.遊離塩基として計算される、25mgの化合物1を含む、実施形態27に記載の医薬組成物。
実施形態29.固体分散系が、25%:75%w/wのアモルファス化合物1 HCl:HPMCAS-MGを含む、実施形態27または28に記載の医薬組成物。
実施形態30.(i)42.1%w/wの、HPMCAS-MG中アモルファス化合物1 HClの固体分散系と、(ii)3.8%w/wの重炭酸ナトリウムであるpH修飾剤、24.9%w/wのマンニトールであるフィラー、3.8%w/wのクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤、および1.9%w/wのフマル酸ステアリルナトリウムである潤滑剤を含む粒内賦形剤と、(iii)21.3%のマンニトールであるフィラー、および2.2%w/wのクロスカルメロースナトリウムである崩壊剤を含む粒外賦形剤とを含む、実施形態21に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態31.遊離塩基として計算される、50mgの化合物1を含む、実施形態30に記載の医薬組成物。
実施形態32.固体分散系が、25%:75%w/wのアモルファス化合物1 HCl:HPMCAS-MGを含む、実施形態30または31に記載の医薬組成物。
実施形態33.カプセルの形態である、実施形態11~32のいずれか一実施形態に記載の固体分散系を含む医薬組成物。
実施形態34.それを必要とする患者におけるがんを処置する方法であって、実施形態11~33のいずれか一実施形態に記載の医薬組成物の治療有効量を投与するステップを含む方法。
他に規定がなければ、本明細書に使用されているあらゆる技術および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。矛盾が生じる場合、定義を含む本明細書を優先することとする。文脈によってそうでないことが要求されない限り、単数形の用語は、複数を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本明細書において使用される場合、単数形の形態「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、他に指示がなければ、複数形の参照を含む。例えば、「1つの(an)」賦形剤は、1つまたは複数の賦形剤を含む。
例示的な方法および材料が本明細書に記載されるが、本明細書に記載される方法および材料と同様のまたは均等な方法および材料を、本発明の実施または検査において使用することもできる。材料、方法および実施例は、単に説明的であり、限定を意図するものではない。
合成例
(実施例A)
アモルファス(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩の調製
(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド(14.4g、24.3mmol)をジクロロメタン中10%MeOH(200mL)に溶解し、塩化水素(4.87mL、24.3mmol)(イソプロピルアルコール中5~6M)を添加した。この混合物を10分間撹拌し、次いで撹拌しつつEt2O(1.2L)にゆっくりと添加した。この混合物を20分間撹拌し、その結果得られた固体を濾過によって単離し、高真空で一晩乾燥させて、アモルファス(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩(11.9g、18.9mmol、77.8%収率)を黄色の固体として得た。
(実施例B)
噴霧乾燥された分散系
アモルファス(R)-N-(3-フルオロ-4-((3-((1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-4-イル)オキシ)フェニル)-3-(4-フルオロフェニル)-1-イソプロピル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-カルボキサミド塩酸塩の噴霧乾燥された分散系は、次の手順を使用して調製した。
噴霧溶液は、ジクロロメタンおよびメタノール(60:40のジクロロメタン:メタノール)をステンレススチール混合槽に添加することにより調製した。ポリマーが完全に可溶化されるまで、中程度の(medium)ボルテックスにおいてトップダウン(top down)ミキサーで混合しつつ溶媒系にポリマーを添加した。次いで、アモルファス化合物1 HClを中程度のボルテックスにおいて溶液に添加し、完全に可溶化されるまで混合させた。噴霧中に噴霧溶液をインラインフィルターに通した。乾燥後に、噴霧乾燥された分散系をオーブン内で乾燥させた。噴霧乾燥された分散粒子は、5~20ミクロンの崩壊した球であった。
表Yは、一実施形態に係るアモルファス化合物1 HClの噴霧乾燥された分散系の調製の詳細を提示する。
XRPDおよびSEM解析を試料1、2および3において遂行し、試料毎に両方の解析から得たデータは、噴霧乾燥された分散系が、アモルファスであり、3カ月後にいかなる検出可能なレベルの結晶性材料も含まないことを確認した。試料1の噴霧乾燥された分散系のXRPDスキャンを図2に示す。
(実施例C)
カプセル製剤
HPMCAS-M中アモルファス化合物1 HClの噴霧乾燥された分散系を含むカプセルは、次の手順を使用して調製した。
噴霧乾燥された分散系は、実施例Bに記載されている通りに調製した。粒内構成成分を組み合わせてブレンドし、次いでスクリーンを通した篩にかけた。篩にかけた物質は、乾式造粒および製粉を受けた。粒外構成成分を、造粒および製粉した構成成分と組み合わせ、この混合物をブレンドし、次いでスクリーンを通した篩にかけた。次いで、篩にかけた物質をカプセル封入した。
生物学的実施例
(実施例1)
同一遺伝子MC-38結腸腺癌腫瘍を有するマウスにおける化合物1の用量スケジューリング、活性および眼毒性を評価する探索的研究
目標および研究設計
本研究は、結腸腺癌の免疫適格性モデルにおいて可変投薬スケジュールにより、単独療法としてまたは抗PD-1と組み合わせて投与される化合物1の耐容性、有効性および眼毒性を決定するように設計した。
概要
同一遺伝子MC-38結腸腺癌腫瘍を有する雌C57BL/6(n=8匹/群、0日目に植え込む)に、10日目に開始して、被験物質化合物1または抗PD-1を単独療法としてまたは組合せにおいて投与した。単独療法として、抗PD-1は、200μg/マウスの腹腔内(IP)注射によって2週間連続して週2回(BIW)投与した(10、13、17および20日目)。単独療法として、化合物1は、28日間連続して(10~37日目)経口経管栄養(PO)によって50mg/kgで1日2回(BID)投与した。抗PD-1(上に指し示す用量およびスケジュールで投与)との併用療法として、化合物1は、1)7日間連続(10~16日目);2)14日間連続(10~23日目);3)21日間連続(10~30日目);4)28日間連続(10~37日目);または5)投薬の第1および第3週目に7日間連続(10~16日目および24~30日目)して、50mg/kg POでBID投与した。このコホートセットを使用して、投薬スケジュールにわたる化合物1処置の耐容性および有効性の両方、ならびに66日目における回復後の眼毒性を決定した。
さらに、腫瘍ナイーブ雌C57BL/6マウス(n=5匹/群)に、上に指し示す通りの同一用量およびスケジュールにより、10日目に開始して、被験物質化合物1または抗PD-1を単独療法としてまたは組合せにおいて投与した。このコホートセットを使用して、38日目に化合物1処置の投薬スケジュールにわたる耐容性および眼毒性を決定した。
本研究で用いられる用量およびスケジュールは、全群において耐容性が良かった。腫瘍を有するコホートの中で、最大の体重減少は、<5.2%であり、3例の早期死亡は、被験物質投与におそらく起因した。腫瘍ナイーブコホートの中で、体重減少は観察されず、2例の死亡は、被験物質投与におそらく起因した。
腫瘍体積および体重測定は66日目(任意のコホートの第1の用量の56日後)まで行った。媒体対照治療群(arm)と比較した腫瘍成長阻害(TGI)は、媒体対照治療群がインタクトであった最終日である32日目に計算した。抗PD-1単独療法は、本モデルにおいて効果が最小であり、2週間の処置は、76.1%TGI、45日間の生存期間中央値(媒体対照の31日間の生存期間中央値に対して)をもたらし、0/8匹の動物が66日目に治癒した(媒体対照の0/8匹治癒に対して)。28日間連続して投薬された単独療法としての化合物1は、より効果的であり、1日2回の処置は、95.6%TGI、66日間の生存期間中央値をもたらし、0/6匹の動物が治癒した。しかし、同等な最大の有効性は、特に治癒率において、全併用療法コホートにわたり観察された。抗PD-1と組み合わせて7日間投薬された化合物1は、96.6%TGIおよび6/8匹治癒をもたらした一方、抗PD-1と組み合わせた間隔投薬スケジュール(10~16日目および24~30日目における化合物1)は同様に、96.2%TGIおよび4/8匹の治癒をもたらした。抗PD-1と組み合わせて14日間、21日間または28日間投薬された化合物1は、それぞれ97.1%、98.5%および99.3%TGIをもたらし、これら3種のコホートは、それぞれ3/8、3/8および5/7の治癒率を実証した。最後に、これらの併用療法コホートの中で、66日間の生存期間中央値を生じた、化合物1を14日間投薬した1群を除くいずれの群においても、生存期間中央値に達しなかった。
28日間の投薬期間の最終日である38日目に末端剖検コホートとして腫瘍ナイーブ群から眼を病理組織学評価のために収集した。全ての末端剖検群が、28日間の投薬期間の全体にわたり投薬された訳ではなかったため、一部の群は、1~3週間の回復期間を有効に経験した。28日間の回復期間の最終日である66日目に回復剖検コホートとして腫瘍を有する群から眼を病理組織学評価のために収集した。全ての回復剖検群が、28日間の投薬期間の全体にわたり投薬された訳ではなかったため、これらの群の一部は、さらなる1~3週間の28日間の回復期間を越えた拡大された回復期間を有効に経験した。末端剖検において、化合物1関連の顕微鏡レベルの変化は、化合物1を28日間投与した(単独療法としてまたは抗PD-1と組み合わせて)マウスの網膜における桿体および錐体突起(process)の多巣性腫脹に限定された。この知見は、落射型蛍光照明下でのみ可視化され、自発蛍光が増加した、直径が周囲の突起の最大5倍に増加した散乱した個々の突起によって特徴付けられた。回復屠殺(recovery sacrifice)において、確定的に化合物1関連の変化は観察されず、化合物1で4週間処置した動物から得た末端剖検知見が全て、28日間の回復期間後に回復したことを指し示し、3週間の化合物1処置後の1週間の回復が、蓄積した可能性があるいかなる顕微鏡レベルの変化のクリアランスを可能にするのにも十分であることを示唆する。変性的変化は観察されなかったため、これらの知見が有害であるか否かは、依然として不明確なままであった。この材料が、視覚に影響を与えた場合、有害とみなされたであろう;しかし、本研究は、視覚の変更について検査するように設計されていなかったため、有害性(adversity)を決定することはできなかった。
全体的に見て、これらのデータは、化合物1が、単独療法として、また、抗PD-1と組み合わせて耐容性を示し、免疫適格性バックグラウンドで結腸腺癌のMC-38マウスモデルにおいて単独療法として腫瘍制御を提供し、抗PD-1と組み合わせて有効性を実質的に高めるという結論を支持する。さらに、本研究は、抗PD-1と組み合わせた化合物1処置の7日間から28日間の用量スケジュールにわたる、同等な腫瘍成長阻害、治癒率および生存を実証する。最後に、網膜の病理組織学評価は、化合物1関連の顕微鏡レベルの変化が、1~4週間の回復期間内に回復され得ることを指し示す。
方法
被験物質
・ 経口媒体{0.5%Affinisol(商標)、pH5[ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)ホットメルト押出(hot melt extrusion)(HME)100LVヒプロメロース、Dow Chemical Company ID99015561、ロット番号INR477140、水中]}。調製するために、50mL注射用滅菌水を、継続的に撹拌しつつ250mg Affinisol(商標)に徐々に添加して、清澄な溶液を作製した。
・ 200μg抗マウスPD-1(抗PD-1、クローンRMP1-14、ラットIgG2a、BioXCellカタログ番号BP0146、ロット番号640517M1B) - 6.61mg/mLストック濃度。13.95mL注射用滅菌生理食塩水(Bimeda-MTC Animal Health Inc.、VET ONE(商標))による6.05mLストックの希釈により、RMP1-14を調製した。抗体は、腹腔内注射により200μg/動物(100μLの2mg/mL用量溶液)で投与した。
・ 50mg/kg化合物1[1:3化合物1 HCl:ヒドロキシプロピルメチルセルロース酢酸エステルコハク酸エステル(HPMCAS)噴霧乾燥された分散系(SDD、Seran Bioscience、Bend、ORにより調製)は、0.5%Affinisol(商標)における黄色の懸濁液として調製した。調製するために、234.6mLの0.5%Affinisol(商標)を8500mgのSDDに徐々に添加し、続いてボルテックスおよび超音波処理を行った。その後、156.4mLの0.5%Affinisol(商標)、13.59mM NaOHを添加して、最終体積391mLの投薬溶液50mg/kgにてpH4に調整した。最終用量懸濁液は、4℃で貯蔵し、用量投与に先立ち振盪/超音波処理して再懸濁させた。
実験動物
2019年7月16日に誕生した、Jackson Laboratory(Sacramento、CA)から得た雌C57BL/6マウスを9週齢で得て、4匹の群において収容して、5日間順化させた。
初期腫瘍伸長のため、100μL PBSの体積における1×106個のMC-38細胞の懸濁液を、腋窩領域付近にて、動物の右側腹部の皮下に植え込んだ。次いで、動物を処置群にランダムに割り当てた。MC-38腫瘍細胞接種後10日目に処置を開始して、十分な処置ウィンドウを可能にした(表1)。
抗PD-1は、200μg/マウスの腹腔内(IP)注射によって2週間連続して週2回(BIW)投与した。化合物1は、10mL/kg用量体積における50mg/kgの経口経管栄養(PO)によって28日間連続して1日2回(BID)投与した(上に指し示す用量およびスケジュールで投与される抗PD-1ありまたはなし)。それに代えて、化合物1は、抗PD-1と組み合わせて、7、14もしくは21日間連続して、または10~16日目および24~30日目にBID投与した。同時に、腫瘍ナイーブマウスを含むサテライトコホートのセットは、上に指し示すものと同じスケジュールおよび用量で処置した。
伸長動態に基づき1週間に2~3回、腫瘍成長および体重に関して動物をモニターした。腫瘍直径をデジタルノギスで測定し、mm3単位の腫瘍体積を次式により計算した:体積=((幅)2×長さ)/2。瀕死で見つかった場合、または腫瘍体積が1500mm3を超えた場合、動物を研究から除去した。研究結果は、腫瘍体積および体重の平均変化または生存として示す。食物、水、温度および湿度は、1996年実験動物の管理および使用に関する指針(Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)(NRC)およびAAALAC-インターナショナルに従った、薬理学検査施設(Pharmacology Testing Facility)実施基準(SOP)に従った。
腫瘍を有さないコホートからの末端剖検は、投薬開始から28日目に行われ、各群4~5匹の動物から眼を病理組織学評価のために収集した。全ての末端剖検群が、28日間の投薬期間の全体にわたり投薬された訳ではなかったため、一部の群は、1~3週間の回復期間を有効に経験した。腫瘍を有するコホートからの回復屠殺は、28日間の投薬期間後28日目に行われ、各群5匹の動物から眼を病理組織学評価のために収集した。全ての回復剖検群が、28日間の投薬期間の全体にわたり投薬された訳ではなかったため、一部の群は、1~3週間の28日間の回復期間を越えた拡大された回復期間を有効に経験した。簡潔に説明すると、動物をCO2吸入によって安楽死させ、眼をピンセットで収集し、1.5mL改変ダビッドソン(Davidson)固定液(Electron Microscopy Science、カタログ番号64133-50、ロット番号190621-08)中に最大24時間、室温で置いた。次いで、組織を室温の1.5mlの10%中性緩衝ホルマリン(Thermo Scientific、カタログ番号9400-5、ロット番号435456)に移した。固定された組織は、組織学的処理および顕微鏡レベルの評価のためにVet Path Services,Inc.(Mason、Ohio)に提出した。
Provantis(商標)病理学ソフトウェアv10.1.0.1をデータ収集および表作成に利用した。病理組織学グレードは、他に指定がなければ、変化の増加する程度に基づき、グレード1(最小)、グレード2(軽度)、グレード3(中等度)、グレード4(著明)またはグレード5(重度)として割り当てた。H&E染色したスライドを、標準光学顕微鏡検査および落射蛍光(450~490nm励起)により評価した。
腫瘍モデル
マウスMC-38結腸腺癌細胞株を、ジメチルヒドラジンの皮下注射によりC57BL/6マウスにおいて発達させた(Corbett,T.H.、Griswold,D.P.ら(1975)、Cancer Research 35、2434~2439)。この細胞株において大規模免疫ゲノム(immunogenomic)、トランスクリプトームおよび治療バックグラウンドを利用できる(Yadav,M.、Jhunjhunwala,S.ら(2014)Nature、515、572~576;およびEfremova,M.、Rieder,D.ら(2018)Nat.Commun.9、32)。MC-38細胞株は、TP53、PTEN、SMAD2、SMAD4、ACVR2A、TGFB2、BRAF、AXIN、SOX9およびARID1Aにおいてドライバー突然変異を有することが報告されている。さらに、MMR遺伝子MSH3における突然変異は、この細胞株が、ヒトMSI/高頻度突然変異した結腸直腸がんのモデルであることを指し示す。全エクソーム配列決定はまた、変種(参照C57BL/6ゲノムと比較)をコードする1290種の転写物を同定し、そのうち170種は、MHCクラスI提示ネオエピトープであることが予測された。
MC-38(国立がん研究所 - Frederick Tumor Repository、Frederick、MD)細胞は、10%ウシ胎仔血清(HyClone SH30071.03、Logan、UT)および100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン(Gibco Life Technologies、15140-122)を補充したDMEM成長培地(Gibco Life Technologies、11965-092)を使用して、5%CO2の加湿雰囲気下で育成した。細胞は、植え込みに先立ちマウスウイルスおよびマイコプラズマ陰性を確認した(IDEXX Laboratories Inc、Columbia、MO)。
研究所見およびプロトコール逸脱
・ 媒体対照治療群がインタクトであった最終日である32日目にTGIを計算した。
・ 腫瘍を有するコホートの中で、投薬の第1週目の内に、群3における動物4および8は死んでいるのが見つかり、群7における動物8は瀕死であった;これらの動物は、解析から編集した。
・ 腫瘍ナイーブコホートの中で、群5における動物5および群6における動物5は、投薬の第1週目の内に死んでいるのが見つかった。
・ 66日目に研究を終結した。触知できる腫瘍がない、残っているいずれの動物も、治癒としてスコア化した。
抗腫瘍有効性および耐容性の解析
データ解析:実験群毎の研究日による腫瘍体積の平均値(図1)をプロットした(エラーバー、SEM)。
次の研究測定基準を評価し、これを表2および表3に要約する:
・ 最大%体重減少(%BWL):%BWL=100(1-BWt/BW0);BW0は、研究開始時の群平均体重であり、BWtは、最大の体重減少が観察された日の体重の群平均または中央値である。
・ %腫瘍成長阻害(%TGI):%TGI=100(1-Wt/Wc);Wtは、X日目の処置群の平均腫瘍体積である;Wcは、X日目の対照の平均腫瘍体積であり、Xは、対照群の全体が利用できる最終日である。
・ 生存期間中央値:積極限方法(カプラン・マイヤー)を利用するPrism Graphソフトウェアにより、生存分率を計算した。生存は、罹患率、死亡率、または1500mm3を超える腫瘍サイズとして定義された。腫瘍または研究薬投与とは無関係の理由(例えば、経管栄養外傷等)で瀕死のまたは死んでいるのが見つかった動物は打ち切った。
・ 治癒:66日目に触知できる腫瘍がない動物は、治癒としてスコア化した。
結果
耐容性
本研究で用いられる用量およびスケジュールは、全群において耐容性が良かった。腫瘍を有するコホートの中で、最大の体重減少は、<5.2%であり、3例の死亡は、被験物質投与におそらく起因した。腫瘍ナイーブコホートの中で、体重減少は観察されず、2例の死亡は、被験物質投与におそらく起因した。これらのデータは、化合物1が、結腸腺癌のMC-38マウスモデルにおいてこれらの用量およびスケジュールで耐容性を示すという結論を支持する。
有効性
抗PD-1単独療法は、本モデルにおいて効果が最小であり、2週間の処置は、76.1%TGI、45日間の生存期間中央値(媒体対照の31日間の生存期間中央値に対して)をもたらし、0/8匹の動物が66日目に治癒した(媒体対照の0/8匹治癒に対して)(図1)。28日間連続して投薬された単独療法としての化合物1は、より効果的であり、1日2回の処置は、95.6%TGI、66日間の生存期間中央値をもたらし、0/6匹の動物が治癒した。しかし、同等な最大の有効性は、特に、治癒率において、全併用療法コホートにわたり観察された。抗PD-1と組み合わせて7日間投薬された化合物1は、96.6%TGIおよび6/8匹治癒をもたらした一方、抗PD-1と組み合わせた間隔投薬スケジュール(10~16日目および24~30日目における化合物1)は同様に、96.2%TGIおよび4/8匹治癒をもたらした。抗PD-1と組み合わせて14日間、21日間または28日間投薬された化合物1は、それぞれ97.1%、98.5%および99.3%TGIをもたらし、これら3種のコホートは、それぞれ3/8、3/8および5/7の治癒率を実証した。最後に、これらの併用療法コホートの中で、66日間の生存期間中央値を生じた、化合物1を14日間投薬した1群を除くいずれの群においても、生存期間中央値に達しなかった。
病理学
末端剖検は、投薬開始から28日目に行われた。全ての末端剖検群が、28日間の投薬期間の全体にわたり投薬された訳ではなかったため、一部の群は、1~3週間の回復期間を有効に経験した。媒体対照マウスにおいて、メラニン顆粒および稀な自発蛍光顆粒は、網膜色素上皮細胞細胞質内に存在した。外顆粒層(ONL)の厚さは、8~10個の核であり、内顆粒層の厚さは、3~5個の核であった。桿体および錐体は、450~490nmの落射型蛍光照明下で、隣接する神経網膜よりも自発蛍光を発さなかった。
末端剖検において、被験物質関連の顕微鏡レベルの変化は、単独療法としてまたは抗PD-1と組み合わせて化合物1を4週間投与されたマウスの網膜における桿体および錐体突起の多巣性腫脹に限定された。この知見は、落射型蛍光照明下でのみ可視化され、自発蛍光が増加した、直径が周囲の突起の最大5倍に増加した散乱した個々の突起によって特徴付けられた。最小の影響を受けた動物において、影響を受けた数個の突起が観察された一方、軽度に影響を受けた動物において、腫脹した軸索がより一般的であった。単独療法として化合物1で4週間処置した群において、3匹の動物が最小の影響を受け、2匹の動物が軽度に影響を受けた。抗PD-1と組み合わせて化合物1で4週間処置した群において、5匹の動物のうち4匹が最小の影響を受けた。外顆粒層、内顆粒層または網膜色素上皮に明らかな効果はなかったが、網膜色素上皮におけるメラニンの存在は、不明瞭な知見を有し得る。
回復屠殺は、28日間の投薬期間後28日目に行われた。全ての回復剖検群が、28日間の投薬期間の全体にわたり投薬された訳ではなかったため、一部の群は、1~3週間の28日間の回復期間を越えた拡大された回復期間を有効に経験した。回復屠殺において、確定的に被験物質関連の変化は観察されなかった。唯一の異常観察は、抗PD-1と組み合わせて化合物1を4週間投与された動物4における外顆粒層の片側性限局性萎縮であった。この知見は、末梢性網膜に位置し、1~2個の核への外顆粒層の低下によって特徴付けられた。この変化の限局性および片側性の分布を考慮すると、被験物質に関連する可能性は低かった。
(実施例2)
スプラーグドーリーラットにおける28日間の回復期間による化合物1の28日間の反復用量経口毒性および毒物動態学研究
本研究の目標は、ラットに経口経管栄養QDによって28日間連続して与えた場合の、化合物1の毒性学的効果を試験し、毒物動態学プロファイルを評価し、化合物1の投与からの回復を評価することであった。本研究において190匹のスプラーグドーリーラット(性別毎に95匹)を利用した。性別毎に15匹の動物の4種の用量群が存在し、各動物は、プラセボ(0.5%Affinisol(商標)におけるHPMCAS)または化合物1 HClの30、100もしくは300/200mg/kg/日の経口QD用量を28日間受けた。その上、10匹のラット/性別/用量レベルおよび5匹のラット/性別/プラセボ対照群を毒物動態学動物とし、主要研究群と同じ様式および投薬体積でプラセボまたは化合物1 HClを受けた。
28日間の投薬期間後に、選択された動物を28日間の回復期間において観察した。回復動物を評価して、いずれかが観察された場合、化合物1誘導性変化の可逆性を評価した。評価されたパラメーターは、臨床観察、死亡率および瀕死チェック、体重、食物消費、毒物動態学、眼試験、血清化学、血液学、凝固、検尿、肉眼的病理学、臓器重量、ならびに顕微鏡レベルの病理学を含む。
化合物1(30、100または300/200mg/kg)の28日間の1日1回経口投与後に、毒性学的応答は、とりわけ、眼の構造的/機能的変化(網膜外側萎縮;≧100mg/kg雄および≧30mg/kg雌;回復不能)によって特徴付けられた。眼および検査の変化は、有害であるとみなされた。
(実施例3)
可変回復期間による雌スプラーグドーリーラットにおける化合物1の7または14日間の眼毒性学研究
目標および研究設計
本研究は、雌スプラーグドーリーラットにおける化合物1のスケジュール依存性眼毒性を評価し、用量投与が、それぞれ3週間および2週間回復による1週間または2週間に限定された場合に(28日目の毒性エンドポイント)、眼毒性知見があるかおよび/または可逆的であるか決定するように設計された。全体的な耐容性は、臨床観察および体重によって評価し、眼の病理組織学のために56日目までの追加的な回復期間も評価した。
概要
雌スプラーグドーリー(N=68)ラットを、10mL/kg用量体積の経口経管栄養によりプラセボまたは化合物1 HClを受ける4種の処置群に割り当てた。プラセボ、100mg/kgまたは200mg/kg化合物1 HClを、7または14日間にわたり1日1回投与し、28または56日目に眼を病理組織学評価のために収集した。処置は、耐容性が良く、被験物質に関する体重への効果、有害臨床観察または死亡はなかった。
28日目に100または200mg/kgの1日1回化合物1の7日間処置を受ける動物の眼において病理組織学的効果は観察されなかった。56日目に、5匹の動物のうち1匹が、100mg/kg群において片側性の曖昧な変化を有し、200mg/kg群において変化は観察されなかった。これらの結果に基づき、7日間にわたる化合物1の1日1回投与のNOAELは、200mg/kgである。
14日間の1日1回の化合物1を受ける動物において用量関連の眼変化が存在した。100mg/kgの用量投与は、回復不可能な眼変化を有する1/9匹の動物をもたらした(56日目に1/5匹)。高用量では、8/9匹の動物が、回復不可能な眼変化を有した(56日目に3/5匹)。これらの結果に基づき、14日間の1日1回の用量投与のSTD10は、100mg/kgである。
方法
被験物質
・ 媒体 - 0.5%HPMC、pH5(Affinisol HPMC HME 100 LVヒプロメロース(HPMC、Dow Chemical Company ID99015561、ロット#INR477140))。調製するために、注射用滅菌水を、継続的に撹拌しつつHPMCに徐々に添加して、清澄な溶液を作製した。
・ プラセボ - 媒体中9.6%HPMCAS-M。HPMCAS-Mは、Seran BioScience、Bend、Oregon、ロット番号DEV-009-037プラセボにより、プラセボとして使用するために単独で噴霧乾燥させた。媒体に白色の粉末を懸濁することにより、用量製剤を調製した。用量懸濁液は、使用1日前に作製した。pHを使用前にチェックし、pHが6以上の場合は1N HClで下方に調整した。
・ 被験物質化合物1 HCl(化合物1 HClバッチ28、1:3の化合物1 HCl:HPMCAS-M噴霧乾燥された分散系(SDD)、Seran BioScience、Bend、Oregon、Seranロット番号DEV-009-037、22.9%(化合物1 HCl塩として)にて調製)。SDDは、媒体における黄色の懸濁液として調製した。用量懸濁液は、使用1日前に作製した。pHを使用前にチェックし、pHが6以上の場合は1N HClで下方に調整した。
・ 200mg/kg(20mg/mL活性=87mg/mL SDD)
・ 必要とされる近似量:
・ 1週間目 - 30匹の雌ラット×0.3kg/ラット×200mg/kg×1 QD×7日間×1.2余分/0.23活性=65.74g化合物1-28
・ 2週間目 - 15匹の雌ラット×0.3kg/ラット×200mg/kg×1 QD×7日間×1.2余分/0.23活性=32.87g化合物1-28
・ 100mg/kg化合物1 HCl SDD用量懸濁液はpH5.3である
・ 100mg/kg(10mg/mL活性=43.5mg/mL SDD)
・ 必要とされる近似量:
・ 1週間目 - 30匹の雌ラット×0.3kg/ラット×100mg/kg×1 QD×7日間×1.2余分/0.23活性=32.87g化合物1-28
・ 2週間目 - 15匹の雌ラット×0.3kg/ラット×100mg/kg×1 QD×7日間×1.2余分/0.23活性=16.44g化合物1-28
・ 200mg/kg化合物1 HCl SDD用量懸濁液はpH4.97である
実験動物
2019年7月09日に誕生したEnvigo(Greenfield、IN)から得た雌スプラーグドーリーラット(N=68)をおよそ7週齢で得て、2~3匹の群において収容した。食物、水、温度および湿度は、1996年実験動物の管理および使用に関する指針(NRC)およびAAALAC-インターナショナルに従った薬理学検査施設実施基準(SOP)に従う。動物を1週間順化させ、次いでプロトコールに従った用量投与のための群にランダム化した。
研究所見およびプロトコール逸脱
群4 - ラ音によって証明される経管栄養過誤のせいで、1匹の動物を失った。群5 - 組織学検査室において1セットの眼を失った。
組織調製
所定の時点で、終結後に眼を採取してダビッドソン固定液に入れ、次いで24時間後に中性緩衝ホルマリンに移した。眼は、切片作製およびH&E染色のため、終結後にVet Path Services,Inc.に提出した。獣医学の眼科医は、切片を試験し、有害効果を報告した。
結果
耐容性
雌スプラーグドーリーラットに、経口経管栄養によって単一の薬剤としてプラセボまたは被験物質の化合物1を1日1回投与した(表4)。
薬物レジメンは、耐容性が良かった。体重効果または有害臨床観察は記述されず、薬物関連の死亡は観察されなかった。ラ音によって証明される経管栄養過誤が原因で、1匹の動物は早期に終結した。
病理学結果
末端剖検は、毒性学(「生存中」)群のために研究28日目に行われた。末端剖検から、群1(5匹の対照ラット)、群2(スケジュール1で被験物質1を投与した10匹のラット)、群3(スケジュール1で被験物質2を投与した10匹のラット)、群4(スケジュール2で被験物質1を投与した9匹のラット)および群5(スケジュール2で被験物質2を投与した9匹のラット)から眼を評価した。対照ラットにおいて、いくつかの散乱した小さい円形の自発蛍光顆粒が、網膜色素上皮細胞細胞質内に存在した。外顆粒層(ONL)の厚さは8~10個の核であり、内顆粒層の厚さは3~5個の核であった。桿体および錐体は、450~490nmの落射型蛍光照明下で、隣接する神経網膜よりも自発蛍光を発さなかった。
スケジュール1で被験物質1(群2)または被験物質2(群3)を投与されたラットに関して、被験物質関連の観察は為されなかった。
スケジュール2で被験物質1(群4)を投与された動物において、1匹の動物(4F-7)は、桿体および錐体突起の最小びまん性変性ならびに顆粒を含んだマクロファージによる桿体および錐体突起の最小多巣性組織球性浸潤による、網膜の外顆粒層(ONL)の中等度萎縮を有した。ONLの中等度萎縮は、およそ4~5個の核へと層が薄くなることにより特徴付けられた。桿体および錐体層の最小変性は、視細胞外節の直径増加によって特徴付けられ、落射型蛍光照明下で最も良好に可視化された。顆粒を含んだマクロファージによる桿体および錐体層の最小浸潤は、自発蛍光した色の淡い好酸球性材料の顆粒で満たされた膨張した細胞質を有する桿体および錐体層内の個々のマクロファージによって特徴付けられた。
スケジュール2で被験物質2(群5)を投与された動物において、8匹の動物で網膜変化が観察された。これらの変化は、網膜のONLの最小~中等度萎縮、桿体および錐体突起の最小または中等度変性、ならびに顆粒を含んだマクロファージによる桿体および錐体層の最小~軽度組織球性浸潤からなった。ONLの最小萎縮は、2匹の動物において起こり、およそ7~8個の核へと層が薄くなることにより特徴付けられた。ONLの軽度萎縮は、1匹の動物において起こり、およそ6~7個の核へと層が薄くなることにより特徴付けられた。ONLの中等度萎縮は、5匹の動物において起こり、以前に記載された通りであった。6匹の動物における桿体および錐体層の最小変性は、以前に記載された通りであった。桿体および錐体突起の中等度変性は、2匹の動物において観察され、桿体および錐体層の多巣性部分的または完全な崩壊および解体、ならびに視細胞外節の直径増加によって特徴付けられた。桿体および錐体層の最小浸潤は、以前に記載された通りであり、軽度浸潤は、桿体および錐体層内のおよそ2~4個のマクロファージの蓄積によって特徴付けられた。
回復剖検は、毒性学(「生存中」)群のために研究56日目に行われた。回復剖検から、群1(3匹の対照ラット)、群2(スケジュール1で被験物質1を投与された5匹のラット)、群3(スケジュール1で被験物質2を投与された5匹のラット)、群4(スケジュール2で被験物質1を投与された5匹のラット)および群5(スケジュール2で被験物質2を投与された5匹のラット)から眼を評価した。回復剖検において、眼における被験物質関連の変化は、網膜に限定され、ONLの萎縮、桿体および錐体突起の萎縮、ならびに顆粒を含んだマクロファージによる網膜の組織球性浸潤からなった。被験物質関連の網膜変化は、スケジュール2で被験物質1(群4)を投与された動物、およびスケジュール2で被験物質2(群5)を投与された動物のみにおいて観察された。群4における5匹の動物のうち1匹および群5における5匹の動物のうち3匹で、網膜変化が観察された。注目すべきことに、群2由来の1匹の動物は、知見が片側性であったことを考慮して曖昧な変化とみなされた、ONLの片側性最小びまん性萎縮を有した。
スケジュール2で被験物質1(群4)を投与された1匹の動物(4F-11)において、両側性ONLの中等度びまん性中心萎縮が、唯一の観察であった。
スケジュール2で被験物質2(群5)を投与された動物において、両側性ONLの中等度びまん性中心萎縮が、ONLもしくは桿体および錐体の最小もしくは軽度組織球性浸潤、ならびに/または両側性網膜の中心部分における桿体および錐体突起の限局性中等度萎縮ありまたはなしで、3匹の動物において観察された。
スケジュール2での被験物質1(群4)の投与は、低い発生率で網膜変化をもたらした。これらの知見は反転しなかった。
スケジュール2での被験物質2(群5)の投与は、高い発生率で網膜変化をもたらした。これらの知見は反転しなかった。
(実施例4)
選択された進行型または転移性固形腫瘍悪性病変を有する参加者における、化合物1の第1相、オープンラベル、多施設、用量設定、薬物動態、安全性および耐容性研究
理論的根拠
本研究は、標準的治療法を利用できない、または参加者およびその処置担当医師の見解において標準的治療法が適切でない、または標準的治療法を拒否した、選択された進行型または転移性固形腫瘍を有する成人参加者のコホートにおける、化合物1の第1相、オープンラベル、多施設、複数用量、用量漸増、安全性、PKおよびバイオマーカー研究である。参加者の連続的コホートは、25mg QDから開始する外来患者基盤で、漸増用量の化合物1を受けるであろう。
背景
頑強なT細胞依存性抗腫瘍免疫が見られる、複数の同一遺伝子腫瘍モデルを使用して、化合物1が、免疫活性化の閾値を低減させ、抗腫瘍免疫を促進することが実証された(実施例1および2)。加えて、化合物1による処置後に治癒された腫瘍を有するマウスは、同じ同一遺伝子腫瘍によるその後の再負荷に対して抵抗性であることが示され、AXL/MERTK阻害が、長期抗腫瘍T細胞メモリーエフェクターの生成をもたらすことを実証する。したがって、化合物1によるMERTKおよびAXLの阻害は、免疫療法に対し応答性であることが知られている固形腫瘍型において抗腫瘍免疫を増加させ、単一の薬剤活性を有する潜在力を有し、これは、ある特定の併用療法レジメンにおいて加えられた臨床利益を実証することができる。
研究設計
本ファーストインヒューマン研究の目的は、選択された進行型または転移性固形腫瘍を有する参加者における、化合物1の安全性、耐容性、PKおよび予備的活性を評価することである。
参加者の連続的コホートは、25mg QDから開始する外来患者基盤で、漸増用量の化合物1を受けるであろう。
MTD/RP2D決定について評価可能なおよそ27名の参加者が登録されるであろう。参加者の総数は、MTDの決定に必要とされる用量レベルの数、および各用量レベルでDLTについて評価可能な参加者の数に依存するであろう。参加者がDLTを経験する場合、または参加者が、DLTの非存在下で、サイクル1および2のそれぞれにおいて研究介入の計画された用量の少なくとも75%を受け、DLTウィンドウにおいてスケジュールに入れられた安全性評価を全て完了した場合、参加者は、評価可能として分類される。用量漸増の目的のため、DLT観察期間は、参加者毎に処置の最初の2サイクル(即ち、42日間)を包含するであろう。
研究介入による処置は、疾患進行、参加者拒否または許容できない毒性のいずれかが起こるまで(いずれが最初に起こるとしても)続けられるであろう。
投与の初期スケジュールの1つが調査されるであろう。各サイクルは、21日間の持続時間となり、14日間スケジュールにおける化合物1のQD投薬(1日目~14日目)と、それに続く7日間投薬休日(15日目~21日目;即ち、2週間オン/1週間オフ)となるであろう。
提案される用量、スケジュールおよびPK時点は、新しく出現した安全性およびPKデータに基づき、研究の間に再考および修正することができる。
本臨床研究は、用量漸増からなる。データが獲得されると、プロトコールは、用量拡大部分を含むように修正することができる。用量漸増は、選択された進行型または転移性固形腫瘍を有する参加者において、用量漸増コホートにおける単一の薬剤の化合物1のMTD/RP2Dを推定するであろう。
用量漸増において、BLRMは、化合物1の用量とDLTとの関係性のモデル化に使用されるであろう。本モデルは、EWOCと共に、MTDの決定まで、各コホートのDLT観察期間の完了後に化合物1の用量漸増をガイドするであろう。コホートにおける全患者が、DLT観察期間を完了した後に、スポンサーによって治験責任医師との用量漸増ミーティングがスケジュールに入れられるであろう。DLTは、安全性、PKおよび他の関連するデータと共に、詳細に審査され、次のコホートの用量に関する決断が下されるであろう。最小3名の評価可能な参加者のコホートが、MTDの決定まで、化合物1の各用量レベルで処置されるであろう。MTDコホートの拡大は、RP2Dを決定/確認し、選択された進行型または転移性固形腫瘍を有する最小6名の参加者が、MTD/RP2Dで処置されることが予想される。
毒性は、最初の2サイクル(42日間)のDLTウィンドウ内で起こる場合のみ、DLTとみなされるであろう;しかし、後のサイクルを含む全体的な安全性およびPKデータが、RP2D決定のために評価されるであろう。MTDよりも低い用量がRP2Dのために考慮中である場合、追加的な参加者をこの潜在的なRP2Dで投薬して、安全性およびバイオマーカー/PKデータが、十分な数の参加者で評価されることを確実にすることができる。
バイオマーカー研究は、研究される薬剤(複数可)のin vivo作用機構、および抵抗性の潜在的な機構の理解を助けるために使用されるであろう。研究は、単一の薬剤としてのまたは他の化合物と組み合わせた化合物1の将来的な開発に役立つことができ、研究介入に応答し得る腫瘍サブタイプに関する情報を提供することができる。
研究設計のための科学的理論的根拠
AXL/MERTKを介して作用する化合物1は、IOエンハンサーとして機能する。骨髄系および樹状細胞によるMERTKおよびAXLの発現を介して、化合物1によるこれらの受容体の阻害は、1)T細胞プライミング(免疫原性細胞死)を増加させ、2)免疫抑制性腫瘍微小環境(M2マクロファージおよびMDSC)を反転することにより、抗腫瘍免疫を誘導することが予想される。
免疫療法に対する公知の応答性に基づき、子宮頸部、胃、食道、HCC、メラノーマ(粘膜性または皮膚性)、メルケル細胞、MSI-H腫瘍、NSCLC、HNSCC、SCLC、RCCおよび尿路上皮の腫瘍型が選択された。化合物1の公知の作用機構を考慮すると、これらの腫瘍型を有する患者は、化合物1から利益を受ける可能性が最も高い。
非臨床研究(例えば、実施例1および2)は、より短い間欠持続時間の用量投与が、イヌ、ラットおよびマウスにおけるオンターゲット網膜毒性の発生率および重症度を排除するおよび/または減少させることを実証し、抗腫瘍研究は、より短い間欠持続時間の用量投与が、同一遺伝子腫瘍モデルにおいて同等な抗腫瘍免疫を提供することを示した。よって、本ファーストインヒューマン研究における提案される投薬持続時間の化合物1(2週間オン/1週間オフの間欠スケジュール)は、最大抗腫瘍活性の潜在力を維持しつつ、眼知見の実質的に低下したリスクを提供することが意図される。
化合物1は、in vitroでCYP3A4およびCYP2D6によって主に代謝されることが同定された。CYP2D6基質の不十分なおよび大規模な代謝因子(metabolizer)を同定するためのCYP遺伝子型判定が、事後解析のために本研究において含まれるであろう。
網膜外側萎縮が、ヒトにおける計画された初期用量よりもおよそ12~39倍大きいHEDで化合物1の継続的毎日投薬を受けるラットにおいて起こった。同様の知見が、イヌにおいて出現したが、重症度は、ラットデータと比較して中程度であった。1週間の回復期間による間欠投薬(より短い用量投与間隔[1~3週間])を用いた場合、治療倍数は、25mg QDの出発用量における予想される曝露と比較して、39~78であった。本研究における臨床考慮のため、参加者は、日中に屋外に出るときは、UV低下コーティングされたサングラスをかけて、眼を保護するように助言されるであろう。眼の試験は、定期的な間隔で行われるであろう。眼の評価は、臨床的に必要と指示されれば、処置期間中のいずれかの時点で反復されるべきである。参加者は、新たな視覚的変化を直ちに報告するように指導されるであろう。
用量漸増の判断基準
EWOC(過量投与制御を伴う漸増)原理によってガイドされるベイジアンロジスティック回帰モデル(BLRM)が、用量漸増において使用されるであろう。全検査用量レベルにおけるDLTデータおよびモデルパラメーターの予め指定された事前分布を使用して、3種の投薬間隔(過少量投薬、標的投薬、過剰量投薬)に該当するDLTを有する確率の事後確率が、全用量レベルのために計算されるであろう。当該用量における過剰な毒性、即ち、0.33よりも高い毒性のリスクが、25%未満である場合、用量は、新たに登録された参加者のみに使用することができる。
評価されるべき暫定的用量レベルを表5に収載する。表5に収載されているものを越えた用量および投薬スケジュールは、スポンサーの裁量において許可することができる。停止判断基準が満たされた場合;即ち、少なくとも15名の参加者が処置され、少なくとも6名の参加者がMTD/RP2Dで処置された場合、用量漸増は停止するであろう。
用量規制毒性(DLT)定義
参加者が、DLTを経験する場合、または参加者がさもなければ、DLTの非存在下で、サイクル1および2のそれぞれにおいて研究介入の計画された用量の少なくとも75%を受け、DLTウィンドウにおいて全てのスケジュールされた安全性評価を受けた場合、参加者は、DLT評価可能として分類される。参加者が、これらの判断基準を満たすことができない場合、参加者を交換することができる。用量漸増の目的のため、DLT観察期間は、各参加者において処置の最初の2サイクル(即ち、42日間)の間となるであろう。
現在進行中の参加者からの蓄積された安全性およびPKデータによる示唆がある場合、DLT観察期間を1サイクル(21日間)に低下させることができ、DLT評価可能性の定義は、したがって、サイクル1のみにおける計画された用量の75%の要求の変更により適応されるであろう。設計のこの特色を変更する意図は、参加者に、より高く、潜在的により有効な用量でより迅速に処置される機会を提供することができることである。21日間のDLT観察期間へのこの移行後に、サイクル1を完了する前に処置を中止するまたはこの新たなDLTウィンドウにおいて計画された用量の75%未満を受ける参加者が交換されるであろう。新たなDLTウィンドウへのこの潜在的な変更は、新たな用量漸増コホートの初めでのみ行われるであろう。
同様に、DLT観察期間後に起こる、検討中の研究介入または処置に関連するとみなされる有意な有害事象(AE)は、利用できる全安全性データの文脈において審査されるであろう。当該審査は、投薬レベルまたはレジメンの再評価をもたらすことができる。
両方の状況において、スポンサーは、治験責任医師とのミーティングのスケジュールを入れ、DLT観察期間を低下させるべきか、または遅発性毒性の場合は、登録を保留するべきか続けるべきか、または現在進行中の参加者全員のために用量低下を実行するべきかを決定するであろう。
AEの重症度は、CTCAEバージョン5.0に従ってグレード付けされるであろう。
DLTは次の通りである:
血液学的:
・ >7日間持続する、グレード4好中球減少症;
・ 感染を伴う、グレード≧3好中球減少症;
・ 熱性好中球減少症(>38.3℃[101°F]の単一の温度または1時間を超えた≧38℃[100.4°F]の持続した温度を伴う、ANC<1000/mm3として定義);
・ ≧グレード2(臨床的に有意な)出血を伴う、グレード3血小板減少症。グレード分けを利用できない出血事象について、臨床的に有意な出血は、入院または緊急医療介入を要求するものと定義される;
・ グレード2の臨床的に有意な出血。グレード分けを利用できない出血事象について、臨床的に有意な出血は、入院または緊急医療介入を要求するものと定義される。
・ グレード4血小板減少症。
非血液学的:
・ 最大限に処置されていないもの(例えば、悪心、嘔吐、下痢)または容易に処置することができるもの(例えば、電解質異常)を除く、臨床的に有意なグレード≧3毒性;
・ 肝臓転移または骨転移の結果としてベースライン時にグレード2肝トランスアミナーゼまたはアルカリホスファターゼレベルを有する参加者のため、肝トランスアミナーゼまたはアルカリホスファターゼレベル>10×ULN;
・ Hyの法則の判断基準を満たす確認されたDILI(ALT/AST>3×ULNとビリルビン>2×ULN、別の説明(例えば、胆汁うっ滞)なし;
・ ≧5日間持続するグレード3疲労;
・ 止痢薬療法の最適な使用にもかかわらず、≧48時間にわたるグレード3下痢、制吐療法の最適な使用にもかかわらず、≧48時間にわたるグレード4下痢、グレード3悪心/嘔吐、またはグレード4悪心および嘔吐;
・ 最大限の皮膚毒性処置(現地の慣行に従う)にもかかわらず、>14日間連続したグレード3皮膚毒性(例えば、発疹、皮膚炎、手足皮膚反応)、またはグレード4発疹および/もしくは手足皮膚反応;
・ 21日以内に不可逆的または局所的治療法に対して無応答性であると評価され、眼の評価によって確認されたグレード2眼障害、または眼の評価によって確認されたグレード≧3眼障害;
・ 無症候性参加者において、グレード3 QTc延長は先ず、反復検査、有資格者による再評価、および確認のための電解質異常または低酸素症等の可逆的な原因の補正を要求するであろう。いずれかの可逆的な原因の補正後に、グレード3 QTc延長が持続する場合;
・ 上述の判断基準に含まれない、臨床的に重要なまたは持続する毒性(例えば、≧2週間の用量遅延の原因となる毒性)も、治験責任医師およびスポンサーによる審査後にDLTとみなすことができる。全DLTは、ベースラインからの臨床的に有意なシフトを表す必要がある。
次のAEは、DLTとして裁定されないであろう:
・ 臨床的続発症を伴わず、その開始の72時間以内に補給/適切な管理により補正される、単離されたグレード3または4の検査室で見いだされた異常。
DLT後に、研究処置から臨床利益を引き出す患者は、治験責任医師とスポンサーとの間で話し合った後でのみ、グレード≦1またはベースラインへのAEの回復後に、低下した用量(表7を参照)で研究を続けることができる。
最大耐用量(MTD)定義
MTDは、標的毒性間隔からのDLTの確率を有する最高用量として定義される。DLT率の標的間隔は、(0.16、0.33)として定義される。
MTDを上回るとその後にみなされる用量レベルで処置中のいずれか所与の参加者のため、用量低下するための選択肢について話し合うことになる。参加者が、上述のMTD用量レベルに耐容性を示し、治療法から利益を得ている場合、上述のMTD用量レベルにおける処置の継続は、再度の同意を要求するであろう。
推奨される第2相用量定義
RP2Dは、第1相研究結果に基づくさらなる検討のために選ばれる用量である。MTDが、合理的な数の参加者における長期投与のために臨床的に実行可能であることを立証する場合、この用量が通常、RP2Dとなる。MTDによるさらなる経験は、MTDよりも低いRP2D用量をもたらすことができる。漸増中かつMTDに達する前に、スポンサーは、特に(ただし排他的にではなく)潜在的な将来の組合せコホートを考慮する場合、MTDよりも低い用量をRP2Dとして選ぶことができる。この決断は、安全性、PKおよび/または有効性に基づき下すことができる。
算入判断基準
参加者は、次の判断基準が全て当てはまる場合にのみ、研究算入に適格となる:
1.女性および/または男性参加者≧16歳。
2.標準的治療法に対して抵抗性であるまたは標準的治療法を利用できない、子宮頸部がん、胃がん、食道がん、HCC、メラノーマ(粘膜性または皮膚性)、メルケル細胞癌、MSI-H腫瘍、NSCLC、HNSCC、SCLC、RCCまたは尿路上皮癌の組織学的または細胞学的診断。
3.RECISTバージョン1.1によって定義される、以前に放射線照射されたことがない、測定可能なまたは測定不能な病変(複数可)を有する参加者。
4.ECOG PS 0または1。
5.次のものを含む、適切な骨髄機能:
a.ANC≧1,500/mm3または≧1.5×109/L;
b.血小板≧100,000/mm3または≧100×109/L;≧HCCについて60×109/L
c.ヘモグロビン≧9g/dL(計画される投薬開始の>1カ月前に完了した場合、輸血サポートは許可される)。
6.次のものを含む、適切な腎機能:
a.施設に標準的な方法を使用して計算される、推定クレアチニンクリアランス≧60mL/分。曖昧な場合、24時間尿採取検査を使用して、クレアチニンクリアランスをより正確に推定することができる。
7.次のものを含む、適切な肝臓機能:
b.参加者がジルベール症候群について記述していない限り、総血清ビリルビン≦1.5×ULN;HCCについて≦2.5×ULN;
c.ASTおよびALT≦2.5×ULN;腫瘍による肝臓合併症が存在する場合、≦5.0×ULN;HCCについて≦5.0×ULN;
d.アルカリホスファターゼ≦2.5×ULN(骨転移の場合は≦5×ULN)。
8.HCCのみについて:
a.最大スコア7による、チャイルド・ピュー硬変状態AまたはB。
b.処置されていない臨床的に明らかな腹水または活動性脳症および/または静脈瘤の証拠なし。制御された腹水または脳症を有する参加者は、チャイルド・ピュースコア判断基準を満たす限りにおいて適格である。制御された腹水および脳症は、チャイルド・ピュースコアを計算した場合、それぞれ2のスコアを要求する。
9.治験責任医師判断およびスポンサーとの話し合いによる安全性リスクを構成しないAEを除いて、ベースライン重症度またはCTCAEグレード≦1への、いずれか以前の治療法の回復された急性効果。注記:回復すると予想されない安定した慢性状態(≦グレード2)(例えば、ニューロパチー、筋肉痛、脱毛症、以前の治療法関連の内分泌疾患)は例外であり、これらの状態を有する参加者は登録することができる。
10.スケジュールされた来院、処置計画、検査室での検査、生活習慣の考慮および他の研究手順の全てに応じる意思がありそれが可能な参加者。
11.中央検査室での検査のために原発性または転移性病変由来のアーカイブ腫瘍組織(FFPE腫瘍組織ブロックまたは10枚の未染色スライド)を提供することができる。腫瘍組織を利用できない場合;参加者は、スポンサーによる承認により登録することができる。
12.化合物1カプセルを嚥下することができる。
13.ICDおよび本プロトコールに収載されている要求および制限のコンプライアンスを含む、付録1に記載されている署名されたインフォームドコンセントを提出することができる。
除外判断基準
参加者は、次の判断基準のいずれかが当てはまる場合、研究から除外される:
1.ステロイドを要求する既知の症候性脳転移を有する参加者。以前に診断された脳転移を有する参加者は、処置を完了しており、研究エントリーに先立ち放射線療法または外科手術の急性効果から回復しており、このような転移のためのコルチコステロイド処置を少なくとも4週間中止しており、3カ月間神経学的に安定している(MRI確認を要求)場合に適格である。
2.適切に処置された基底細胞もしくは扁平上皮皮膚がんまたは上皮内癌を除いて、登録に先立つ2年以内に他のいずれかの活動性悪性病変を有する参加者。
3.研究エントリーに先立つ6週間以内の大手術。
4.研究エントリーに先立つ4週間以内の放射線療法。
5.最後の直近の抗がん処置が、抗体に基づく薬剤(複数可)(承認済または治験用)を含有していない限り、2週間または5半減期(いずれか短い方)以内の最後の抗がん処置。その後、研究介入を受ける前に4週間または5半減期(いずれか短い方)の間隔が要求される。研究登録に先立つ4週間または5半減期(いずれか短い方)以内の治験薬(複数可)が関与する他の研究への参加。
6.骨髄の>25%への以前の放射線照射。
7.免疫抑制性処置を要求する活動性自己免疫性疾患、または免疫抑制療法を要求する自己免疫性疾患の病歴(例えば、>10mg/日プレドニゾン当量による全身性治療法の要求)、または他のいずれかの免疫抑制療法の同時使用。
8.HBV、HCV、既知のHIVまたはAIDS関連疾病を含む、活動性の制御されない細菌、真菌またはウイルス感染を有する参加者。HBV、HCV、既知のHIVまたはAIDS関連疾病を有する参加者は、次の判断基準に関するがこれらに限定されないスポンサーの医療モニターとの話し合いの後に、ケースバイケース基盤で許容される:
a.参加者の全体的な免疫状態;例えば、HIV陽性対象に関して、現在および過去のCD4およびT細胞数、AIDSを定義する状態(例えば、日和見感染)の病歴(あるとすれば)、ならびにHIV処置の状態;
b.参加者は、中等度または強いCYP3AおよびCYP2D6誘導物質/阻害剤である抗ウイルス剤を受けるべきではなく、他の薬物-薬物相互作用の潜在力が考慮に入れられるであろう。
9.次のものを含む、次の眼科関連の判断基準のいずれかを満たす参加者:
a.活動性網膜色素上皮/光受容体障害(例えば、網膜色素変性症、錐体-桿体ジストロフィー、黄斑変性等)。
b.既知の以前のまたは現在の重篤な眼科疾患、<8日以内の白内障外科手術の病歴、重篤な眼外傷、屈折矯正外科手術(即ち、レーシック、白内障)以外の眼内または眼外科手術。
c.緑内障、緑内障の病歴または遺伝性網膜もしくは視神経障害の家族歴を有する参加者。
d.OCTに影響を与え得る薬物療法中(例えば、クロロキンまたは縮瞳薬)。
e.いずれか一方の眼における20/40よりも悪い最良矯正視力。
f.+6D(球)または+2.5D(円柱)を超えるいずれか一方の眼における屈折異常。
g.弱視を有する参加者。
h.外眼部の試験、生体顕微鏡検査、IOP>22mm Hg、眼底検査、眼底自発蛍光、OCTまたは視野を含む眼科的評価での、いずれか一方の眼における臨床的に有意な異常知見。不確実な知見が存在する場合、いずれかの検査を反復する。
10.参加者の安全性または研究結果の解釈に影響を与え得る、臨床的に関連する異常を実証するベースライン12誘導ECG(例えば、ベースラインQTc間隔>470ミリ秒、完全LBBB、急性もしくは発症時期不明(indeterminate age)心筋梗塞の徴候、活動性心筋虚血を示唆するST-T間隔変化、第2度もしくは第3度AVブロック、または重篤な徐脈性不整脈もしくは頻脈性不整脈)。ベースライン無補正QT間隔が>470ミリ秒である場合、この間隔は、フリデリシア方法を使用して補正された比率となるべきであり、その結果得られるQTcFは、決断および報告に使用されるべきである。QTcが、470ミリ秒を超える場合、またはQRSが、120ミリ秒を超える場合、ECGは、さらに2回反復されるべきであり、3つのQTcまたはQRS値の平均が、参加者の適格性の決定に使用されるべきである。コンピュータ解釈されたECGは、参加者を除外する前に、ECGを読む経験がある医師によって熟読される(overread)べきである。症例は、スポンサーの医療モニターと詳細に話し合って、適格性を判断する必要がある。
11.以前の6カ月間における次のいずれか:心筋梗塞、長いQT症候群、トルサードドポアント、不整脈(持続した心室頻脈性不整脈および心室細動を含む)、重篤な伝導系異常(例えば、左前ヘミブロック)、不安定狭心症、冠/末梢動脈バイパス移植術、症候性CHF、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association)クラスIIIもしくはIV、脳血管発作、一過性脳虚血発作、症候性肺塞栓症、および/または血栓塞栓性疾患の他の臨床的有意なエピソード。NCI CTCAE≧グレード2の現在進行中の心臓リズム障害、任意のグレードの心房細動(無症候性孤立性心房細動の場合は≧グレード2)。参加者が、心調律デバイス/ペースメーカーを設置されており、QTcF>470ミリ秒である場合、参加者は、適格とみなすことができる。心調律デバイス/ペースメーカーを有する参加者は、スポンサーの医療モニターと詳細に話し合って、適格性を判断する必要がある。
12.ビタミンKアンタゴニストまたは第Xa因子阻害剤による抗凝固は許容されない。皮下ヘパリンによる抗凝固は許容される。
13.最適な医学的治療法にもかかわらず、薬物療法によって制御することができない高血圧(即ち、>150/90mmHg)。
14.研究処置または賦形剤のいずれかの構成成分に対する既知のまたは疑われる過敏症。
15.いずれかの禁止された同時薬物療法を服用している参加者、または許可された同時薬物療法に切り替える意思がない/それが不可能な参加者。
16.活動性炎症性胃腸疾患、慢性下痢、既知の憩室性疾患または以前の胃切除もしくは膝帯(lap band)外科手術。プロトンポンプ阻害剤により処置中の胃食道逆流疾患は許容される(薬物相互作用潜在力がないと仮定)。
17.過去6カ月間における吐血、著しい喀血またはメレナによって証明される、胃腸出血を含む活動性出血障害。
18.研究参加のリスクを増加させ得る、または治験責任医師の判断において参加者を研究に不適切なものにする、最近の(この1年以内)または活発な自殺観念化/行為または検査室で見いだされた異常を含む、他の医学的または精神医学的状態。
19.研究遂行に直接的に関与する、治験責任医師現場スタッフまたはPfizer社従業員、治験責任医師によって監督されるその他の現場スタッフ、および彼らそれぞれの家族。
生活習慣の考慮
参加者は、いかなる視覚的変化も直ちに報告するように助言されるであろう。加えて、太陽光、ならびにタンニングベッド、タンニングブースおよび太陽灯等の高強度UVB光源を含む光への参加者の曝露を最小化することにより、いかなる潜在的な眼刺激作用も限定するために、特別な注意が払われるであろう。参加者は、日中に屋外に出るときはUV低下コーティングされたサングラスをかけて眼を保護することを奨励されるべきである。
避妊
治験責任医師またはその被指名人(designee)は、参加者と相談して、参加者が、避妊方法の許可されたリストから、個々の参加者とそのパートナー(複数可)に適切な避妊方法を選択したことを確認し、参加者が、その一貫したかつ正しい使用を指導されたことを確認するであろう。ある時点において、治験責任医師または被指名人は、参加者に、一貫してかつ正しく高度に有効な避妊を使用する必要を通知し、参加者のカルテに会話および参加者の確約を記述するであろう(参加者は、選択された避妊方法のうち少なくとも1種のその一貫したかつ正しい使用を確認する必要がある)。加えて、治験責任医師または被指名人は、選択された避妊方法が中止される場合、または参加者もしくはパートナーの妊娠が分かったもしくは疑われる場合に、直ちに電話するように参加者を指導するであろう。
スクリーニング失敗
スクリーニング失敗は、臨床研究の参加に同意したが、その後に研究に登録されなかった参加者として定義される。スクリーニング失敗情報の最小セットが、スクリーニング失敗参加者の透明な報告を確実にして、CONSORT公開要件を満たし、規制当局からの問い合わせに応じるために要求される。最小情報は、人口動態、スクリーニング失敗詳細、適格性判断基準および任意のSAEを含む。
本研究参加の判断基準を満たさない個体(スクリーニング失敗)は、治験責任医師の裁量において1回再スクリーニングすることができる、および/または個々のスクリーニング評価を必要に応じて反復することができる。特定のスクリーニング評価が反復される場合、研究介入の第1の用量に最も近い得られた結果を使用して、適格性を評価するべきである。
研究介入
研究介入は、研究プロトコールに従った研究参加者への投与が意図される、いずれかの治験用介入(複数可)、市販の製品(複数可)、プラセボ、医療デバイス(複数可)または研究手順(複数可)として定義される。
本プロトコールの目的のため、研究介入は、化合物1を指す。
化合物1は、経口投与のためのカプセルとして提供されるであろう。5mg、25mgおよび50mgカプセルが、別々のボトルに供給され、現地の規制要件に従ってラベルを付けられるであろう。
投与
参加者は、登録時に割り当てられた用量コホートに従って化合物1を受けるであろう。参加者は、処置中止のためのプロトコールに定義された判断基準を満たすまで、化合物1を受け続けるであろう。個々の参加者のため、研究処置の用量は、プロトコールに定義された処置修正に基づき、必要に応じて低下または中断することができる。
・ 化合物1投薬は、サイクル1の1日目に始まるであろう。
・ サイクルは、1日目の用量から次の1日目用量までの時間として定義される。処置遅延がない場合、サイクルは、21日間となるであろう。
・ 参加者は、化合物1 QDを14日間(2週間)服用し、続いて1週間オフにするであろう。
・ 研究来院日に、およびPK試料が採取される日に、化合物1は、研究会場で参加者に投与されるであろう。
・ 上述の研究来院以外に、参加者は、化合物1を自己投与するであろう。
・ 参加者は、化合物1全体を嚥下し、嚥下前にカプセルを操作しないまたはかみ砕かないように指導されるべきである。参加者は、カプセルを開けないように指導されるべきである。
・ 経口化合物1は、空腹時に少なくとも8-oz(240mL)の水によりQD投与されるであろう。水以外の食物または液体は、研究を通して各用量の≧2時間前(サイクル1および2におけるPK日に≧8時間前)および2時間後に消費されないであろう。化合物1は、毎日およそ同じ時間に(±2時間)朝に毎日服用されるべきである。
・ 参加者が、処置日を逃した場合、参加者は、「埋め合わせ」をすることなく、処方通りに次の暦日に毎日の投薬を再開するように指導される必要がある。
・ 参加者が、用量服用後のいずれかの時点で嘔吐した場合、参加者は、当該暦日に第2の用量を服用することなく、処方通りに次の暦日に毎日の投薬を再開するように指導される必要がある。
・ 参加者が、ある日に1回余分な用量を不注意に服用した場合、参加者は、化合物1の次にスケジュールされた用量を服用するべきではない。
同時治療法
参加者の福祉に必要とみなされる同時処置は、処置担当医師の裁量で与えることができる。
スクリーニング時から処置来院の終わりまでに参加者によって受けられるあらゆる同時処置、血液製品、および非薬物介入(例えば、穿刺)は、CRFに記録されるであろう。
あらゆる同時処置は、研究エントリー時およびサイクル1中にスポンサーによって承認される必要がある。
CYP基質および阻害剤
CYP3A4/5アイソエンザイムの阻害は、化合物1曝露を増加させ、潜在的な毒性増加をもたらし得るため、公知の強いまたは中等度阻害剤の使用は、研究介入の第1の用量に先立ち、CYP3A4/5阻害剤の10日間または5半減期以内に許可されない(いずれか長い方)。強いCYP3A4/5阻害剤の例として、グレープフルーツジュースまたはグレープフルーツ/グレープフルーツ近縁の柑橘類果実(例えば、セビリアオレンジ、ザボン)、ケトコナゾール、ミコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、クラリスロマイシン、テリスロマイシン、インジナビル、サキナビル、リトナビル、ネルフィナビル、アンプレナビル、ホスアンプレナビル、ネファゾドン、ロピナビル、トロレアンドマイシン、ミベフラジルおよびコニバプタンが挙げられる。中等度CYP3A4/5阻害剤の例として、アプレピタント、シプロフロキサシン、コニバプタン、クリゾチニブ、シクロスポリン、ジルチアゼム、ドロネダロン、エリスロマイシン、フルコナゾール、フルボキサミン、イマチニブ、トフィソパムおよびベラパミルが挙げられる。
CYP3A4/5アイソエンザイムの誘導は、化合物1曝露を減少させ、潜在的な有効性減少をもたらし得るため、強いCYP3A4/5誘導物質の使用は、研究介入の第1の用量に先立ち、CYP3A4/5誘導物質の28日間または5半減期以内に許可されない(いずれか長い方)。強いCYP3A4/5誘導物質の例として、フェノバルビタール、リファンピン、フェニトイン、カルバマゼピン、リファブチン、リファペンチン、クレビジピンおよびセントジョーンズワートが挙げられる。
CYP2D6アイソエンザイムの阻害は、化合物1曝露を増加させ、潜在的な毒性増加をもたらし得るため、公知の強いまたは中等度阻害剤の使用は、研究介入の第1の用量に先立ち、CYP2D6阻害剤の10日間または5半減期以内に許可されない(いずれか長い方)。強いCYP2D6阻害剤の例として、キニジン、フルオキセチン、パロキセチンおよびブプロピオンが挙げられる。中等度CYP2D6阻害剤の例として、シメチジン、シナカルセト、デュロキセチン、フルボキサミンおよびミラベグロンが挙げられる。
化合物1およびCYP2C9基質の同時使用は、CYP2C9基質の曝露を増加させ得る。狭い治療指数を有するCYP2C9基質の例として、ワルファリン、フェニトイン、グリメピリド、グリピジド、グリブリド、イブプロフェン、ジクロフェナク、インドメタシン、ナプロキセン、ロシグリタゾン、スルファメトキサゾール(sulfamethaxazole)、トルブタミド、カンデサルタン、イルベサルタン、ロサルタン(lasartan)およびバルサルタンが挙げられる。したがって、これらのおよび他のCYP2C9基質の同時投与により注意が認められる。
化合物1およびCYP3A4/5基質の同時使用は、CYP3A4/5基質の曝露を増加させ得る。狭い治療指数を有するCYP3A4/5基質の例として、アステミゾール、テルフェナジン、シサプリド、ピモジド、キニジン、タクロリムス、シクロスポリン、シロリムス(アルフェンタニルおよびフェンタニル、経皮パッチを除外)および麦角アルカロイド(エルゴタミン、ジヒドロエルゴタミン)が挙げられる。したがって、これらのCYPA4/5基質の同時投与により注意が認められる。
ホルモン避妊薬
化合物1およびCYP3A4/5基質であるホルモン避妊薬の同時使用は、ホルモン避妊薬への曝露減少をもたらし得、有効性を低下させ得る。CYP3A4/5基質であるホルモン避妊薬の例として、エチニルエストラジオールおよびプロゲスチンが挙げられる。ホルモンに基づくインプラントおよび子宮内デバイスを含む、低いユーザー依存度を有するホルモンに基づく高度に有効な避妊方法を使用する参加者のため、有効なバリア方法を使用する必要もある。
制酸薬薬物療法
化合物1の水性溶解度は、pH依存性である。したがって、制酸薬薬物療法(プロトンポンプおよびH2アンタゴニストを含む)は、化合物1の吸収を減少させ得る。制酸薬薬物療法の使用は禁止される。
トランスポーター基質および阻害剤
化合物1は、in vitroにおけるP-gpおよびBCRPの基質である。これらのトランスポーターの阻害剤および誘導物質は、注意して使用されるべきである。P-gp阻害剤は、アミオダロン、カルベジロール、クラリスロマイシン、ドロネダロン、イトラコナゾール、ラパチニブ、ロピナビル、プロパフェノン、キニジン、ラノラジン、リトナビル、サキナビル、テラプレビル、チプラナビルおよびベラパミルを含む。BCRP阻害剤は、クルクミン、シクロスポリンAおよびエルトロンボパグを含む。化合物1もまた、P-gpの阻害剤である;したがって、感受性P-gp基質は、注意して使用されるべきである。
他の抗腫瘍/抗がんまたは実験薬物
参加者が研究処置を受けている間に、追加的な抗腫瘍処置は許可されないであろう。その上、選択ビタミンまたはハーブ系サプリメントの同時使用は許可されない。
造血成長因子
処置の最初の2サイクル(即ち、42日間)において、コロニー刺激因子の一次予防上の使用は許可されないが、現在のASCOガイドライン8によって指し示される通り、処置により発現した好中球減少症の処置に使用することができる。スクリーニングウィンドウ(即ち、1日目に先立つ28日間)において、顆粒球コロニー刺激因子は、少ないWBC数を有する参加者の認定に許可されない。
貧血の支持的処置のために、治験責任医師の裁量においてエリスロポエチンを使用することができる。
止痢薬、制吐療法
第1のサイクル越えた一次予防法は、治験責任医師の裁量にある。予防的薬物および処置持続時間の選択は、公知のまたは予想される薬物-薬物相互作用がないことを仮定し、薬物が、本実施例における見出し「同時治療法」の下の薬物のリストに含まれないことを仮定した上で、スポンサー承認により治験責任医師次第である。
抗炎症性治療法
抗炎症性または麻薬性鎮痛薬使用は、公知のまたは予想される薬物-薬物相互作用がないことを仮定し、薬物が、本実施例における見出し「同時治療法」の下の薬物のリストに含まれないことを仮定した上で、必要に応じて提供され得る。
コルチコステロイド
対症的または支持的目的のための慢性全身性コルチコステロイド使用(プレドニゾン>10mg/日または当量)は許可されない。短期低用量コルチコステロイド(例えば、5mg QDのプレドニゾンまたは当量を2週間)使用は、個別基盤でのおよびスポンサーとの話し合いによる対症処置として許可される。コルチコステロイドの急性投与、外用塗布、吸入噴霧、点眼または局所的注射は許容される。研究介入の保留を要求するAEの条件下で、ステロイド使用は、要求されるのであれば、AEが回復するまで、AEの処置に許容される。ステロイド用量が、低用量またはオフまで減らされたら、表7に従って許可されるのであれば、研究介入を再開することができる。
外科手術
研究中のいずれかの外科的手順に関する注意が助言される。創傷治癒低下および出血のリスクの最小化に要求される、外科手術と化合物1投与との間の時間の適切な間隔は決定されていない。外科手術の少なくとも7日前に、化合物1の停止が推奨される。手術後に、化合物1処置を再開する決断は、良好な創傷治癒および外科手術からの回復の臨床評価に基づくべきである。
用量修正
計画された用量およびスケジュールで研究介入を投与するために、あらゆる努力を為すべきである。有意な毒性の場合には、後述する通りに投薬を遅延および/または低下させることができる。複数の毒性の場合には、用量修正は、観察される最も悪い毒性に基づくべきである。参加者は、任意の有害症状を最初の発生で治験責任医師に通告するように指導されるべきである。
用量修正は、3つの仕方のうち1つで行われ得る:
・ サイクル内で:適切な回復までの投薬中断、および要求されるのであれば、所与の処置サイクルにおける用量低下;
・ サイクル間で:持続する毒性のため、新たなサイクルが開始する筈のときに、次のサイクル投与を遅延させることができる;
・ 次のサイクルにおいて:以前のサイクルにおいて経験された毒性に基づき、その後のサイクルにおいて用量低下を要求することができる。
投薬中断
研究介入に関して、表7におけるAEを経験する参加者は、それに応じて提示される投薬ガイドラインに従うべきである。
治験責任医師によって評価される適切な回復が起こるまで、適切な経過観察評価を行うべきである。処置を再開できる前に要求される判断基準は、用量低下セクションに記載されている。
用量は、毒性解消まで最大3週間保留することができる。いつ有害事象が解消したかに応じて、処置中断は、参加者に、この同じサイクル内のその後の計画された用量の全てを失わせ、またはさらにはその後のサイクルの開始を遅延させる可能性がある。投薬サイクル(2週間オン/1週間オフ)内の≧1週間の用量中断は、投薬再開後に、その後のサイクルの開始をもたらすであろう。
処置中断をもたらした有害事象が、<1週間で回復する場合、当該サイクルにおける再投薬が許容される。毒性のために省略された用量は、同じサイクル内で交換されない。処置再開時における用量低下の必要は、治験責任医師とスポンサーとの間の話し合いの後にそれ以外が明確に合意されない限り、用量低下セクションにおいて定義される判断基準に基づくべきである。同じサイクルにおいて用量低下が適用される場合、参加者は、新たな薬物供給を受けるためにクリニックに戻る必要があるであろう。
>3週間持続する処置関連毒性以外の理由による処置中断の場合には(例えば、待機的外科手術)、スポンサーと相談して処置再開が決断されるであろう。
用量低下
毒性による投薬中断またはサイクル遅延後に、化合物1用量を、処置が再開されるときに低下させることが必要とされる場合がある。
治験責任医師は、特定の臨床状況に基づくその医療判断に従って、参加者を常に管理するべきである。
反復性および耐えられないグレード2毒性を経験する参加者は、グレード≦1またはベースラインへの回復が達成されたら、次のより低い用量レベルで投薬を再開することができる。
1用量レベル、また、必要とされかつ容認できるのであれば、2用量レベル(表6)による化合物1の用量低下が、遭遇した毒性の型および重症度に応じて許容されるであろう。10mgを下回る用量(Does)低下(用量レベル -1)は許可されない。2を超える用量低下または10mgを下回る用量低下(用量レベル -1)を要求する参加者は、治験責任医師とスポンサーとの間でそれ以外のことが合意されない限り、処置を中止され、経過観察相へと進むであろう。あらゆる用量修正/調整は、参加者のソースノート(source note)およびCRFに明確に記述されなければならない。
所与の参加者のために用量を低下させたら、さらなる用量低下が要求されない限り、その後のサイクルは全て、この用量レベルで投与するべきである。参加者内用量再漸増は許容されない。
DLTを経験する参加者は、適切な回復が達成され、治験責任医師およびスポンサーの見解において、参加者が治療法から利益を得ているとされたら、次のより低い用量レベルで投薬を再開することができる(該当する場合)。
研究介入に推奨される用量修正を表7に記載する。
腫瘍応答評価
腫瘍評価は、あらゆる既知のまたは疑われる疾患部位を含むであろう。イメージングは、造影胸部、腹部および骨盤コンピュータ断層撮影またはMRIスキャン;既知のまたは疑われる脳転移を有する参加者のための脳コンピュータ断層撮影またはMRIスキャン;既知のまたは疑われる骨転移を有する参加者のための骨スキャンおよび/または骨X線を含むであろう。既知のコンピュータ断層撮影造影剤アレルギーを有する参加者のため、胸部の非造影コンピュータ断層撮影と造影腹部および骨盤MRIを使用することができる。ベースライン時に同定および報告された病変のそれぞれの特徴付けに使用された同じイメージング技法が、次の腫瘍評価において用いられるであろう。
抗腫瘍活性は、ベースライン時に、処置中に、疾患進行が疑われるときに随時(例えば、症候性増悪)、および処置休薬時に(以前の6週間に行われなかった場合)遂行された放射線学的腫瘍評価により評価されるであろう。
応答の評価は、RECISTバージョン1.19(表8および表9)を使用して行われるであろう。
全参加者のファイルおよび放射線画像は、原資料(source)検証および潜在的なピアレビューのために利用できなければならない。
眼科的評価
眼の試験(最良矯正視力、生体顕微鏡検査、眼内圧、眼底検査、眼底撮影、眼底自発蛍光撮影およびOCTを含む)は、眼科医により、好ましくは、各時点において個々の参加者毎に同じ眼科医により行われるであろう。眼科的評価は、研究登録のための適格性判断基準において指定される通りに、スクリーニング時にパラメーターを満たさなければならない。眼科的評価は、臨床的に必要と指示されれば、処置期間中のいずれかの時点で反復されるべきである。参加者は、新たな視覚的変化を直ちに報告し、次にスケジュールされたクリニック来院まで待たないように指導されるであろう。あらゆる画像および結果は、スポンサーに利用できるようになるであろう。
眼科医に加えて、独立した中心的読者(central reader)が、OCT画像に利用されるであろう。OCTにおける指名された中心的読者から報告される異常知見は、眼科医、治験責任医師およびスポンサーによる審査に基づき合意される場合、AEとして報告されるべきである。
眼科的評価のタイミングおよび程度は、新しく出現した安全性データに基づき修正することができる。