本発明を実施する実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る対象システム101が有する構成について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る対象システム101が有する構成の一例を示すブロック図である。
対象システム101は、搬送制御装置201と、搬送装置301と、通信ネットワーク151と、検知装置156とを有する。対象システム101は、要求情報記憶部152と、移動情報記憶部153と、レイアウト情報記憶部154と、搬送経路情報記憶部155とを有してもよい。
なお、要求情報記憶部152については、図8を参照しながら後述する。移動情報記憶部153については、図9を参照しながら後述する。レイアウト情報記憶部154については、図10を参照しながら後述する。搬送経路情報記憶部155については、図12を参照しながら後述する。
搬送制御装置201と、搬送装置301と、要求情報記憶部152と、移動情報記憶部153と、レイアウト情報記憶部154と、搬送経路情報記憶部155と、検知装置156とは、通信ネットワーク151を介して通信可能に接続されている。
搬送制御装置201は、判定部202と、決定部203と、指示部204とを有する。
図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置301が有する構成について詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る搬送装置301が有する構成の一例を示すブロック図である。
搬送装置301は、搬送部302と、移動部303と、制御部304とを有する。搬送装置301は、検知部305と、回転部306とを有していてもよい。
移動部303は、搬送装置301の移動を可能にする。移動部303は、たとえば、車輪、無限軌道(たとえば、クローラ)、エアクッション、または、プロペラ等を用いて実現することができる。移動部303は、搬送装置301が目標位置に近づくように搬送装置301を移動する。あるいは、移動部303は、搬送装置301が目標状態(たとえば、向き)に近づくよう、搬送装置301を移動する。移動部303は、車輪、または、クローラ等の動作速度を調整することができる。移動部303は、移動部303のアクチュエータとして、空気圧、油圧、電気等の動力を用いることができる。移動部303は、空気圧を動力に用いることによって、過負荷状態での安全性の心配が小さいという効果を奏する。移動部303は、油圧を動力に用いることによって、大きな動力を得ることができるという効果を奏する。移動部303は、電気を動力に用いることによって、制御が容易であるという効果を奏する。
移動部303は、搬送装置301の下部に設置される。移動部303は、搬送装置301の側面に設置されてもよい。
以降の説明においては、説明の便宜上、移動部303は、搬送装置301の下部に設置されるとする。
検知部305は、他の搬送装置301の位置、及び、他の搬送装置301の状態(たとえば、向き)、搬送物の位置、搬送物の状態、及び、搬送物の動き等を、センサやカメラ等によって検知する。検知部305は、たとえば、搬送装置301の上部に設置されている。図2に例示されているように、検知部305は、複数の車輪の中心や、複数の無限軌道の中心等、搬送物と接しない位置に設置されている。検知部305は、必ずしも、搬送装置301に設置される必要はなく、搬送装置301や搬送物等を外部から検知するよう設置されてもよい。
制御部304は、検知部305によって得られた情報に基づき、図6及び図7を参照しながら後述するような制御を、搬送部302及び移動部303に実施する。制御部304は、たとえば、検知部305によって検知された搬送物の動きに基づき搬送部302を制御する。制御部304は、たとえば、検知部305によって検知された、搬送装置301の周囲を表す情報に基づき移動部303を制御する。
回転部306は、搬送部302が搬送可能な向きを調整する。
搬送部302は、搬送物を搬送する。搬送部302は、搬送物が搬送先に近づく方向に該搬送物を搬送することができる。搬送可能な方向は、1方向であってもよいし、複数の方向であってもよい。搬送部302は、たとえば、ベルト、タイヤ、フラッパー、空気噴射、車輪、ベルトコンベア、チェーンコンベア、駆動式ローラ等を用いて実現することができる。
移動部303と、搬送部302とは、図13A乃至図13Fに例示されているように、相互に独立した構成を有していてもよい。図13A乃至図13Fは、移動部303と、搬送部302とが相互に独立した構成の例(第1の例乃至第6の例)を表す図である。図13A乃至図13Fにおいて、移動部303は、搬送装置301の下部に設置される。搬送部302は、搬送装置301の上部に設置される。
移動部303と、搬送部302とは、共通した部によって制御されていてもよい。移動部303と、搬送部302とは、たとえば、1つのモーターからの動力によって制御されてもよい。搬送部302が、ベルトコンベアのように搬送物を搬送できる方向が限定される場合であっても、移動部303が搬送装置301の向きを変えることによって搬送物を様々な方向に搬送することができる。
搬送装置301において、検知部305は、搬送物が搬送装置301に近づくこと、または、搬送物が搬送装置301から離れることを、センサを用いて検知してもよい。センサは、たとえば、赤外線センサ、画像センサ、接触センサ、超音波センサ等の少なくとも1つセンサである。検知部305は、該センサを用いて、他搬送装置の状態、自搬送装置の状態、自搬送装置と他搬送装置との関係(たとえば、相対位置、相対角度等)を検知してもよい。
移動部303、搬送部302、及び、検知部305は、上述した例に限定されない。
搬送制御装置201は、たとえば、要求情報(図8に例示)、移動情報(図9に例示)、レイアウト情報(図10に例示)、及び、搬送経路情報(図12に例示)のうち、少なくとも、いずれかを受け取る。
要求情報(図8に例示)は、搬送元から搬送先に搬送物を搬送する必要があることを表す情報である。図8に例示するように、要求情報は、たとえば、次のような情報が関連付けされている情報である。
・搬送元を識別可能な搬送元識別子(以降、「ID(Identifier)」と表す)、
・搬送先を表す搬送先ID、
・搬送物の内容を識別可能な搬送物ID、
・該搬送要求を発行するタイミング、
・該搬送物を搬送先に搬送する搬送期限。
図8は、要求情報記憶部152に格納される要求情報の一例を概念的に表す図である。要求情報は、さらに、搬送物の形状、搬送物の大きさ、及び、搬送物の量等が関連付けされている情報であってもよい。
たとえば、要求情報は、要求ID「Req1」と、搬送元ID「(17,0)」と、搬送先ID「(20,24)」と、要求タイミング「10:32:54」と、搬送物ID「P1」と、搬送期限「10:45」とが関連付けされた要求を含む。これは、要求ID「Req1」によって識別される要求が、搬送物ID「P1」によって識別される搬送物を、搬送元ID「(17,0)」によって識別される搬送元から、搬送先ID「(20,24)」によって識別される搬送先に搬送する要求であることを表す。また、該要求は、タイミング「10:32:54」に発行され、搬送期限「10:45」までに該要求に関する処理を完了する要求である。
要求情報は、必ずしも、上述した情報を含んでいなくともよく、または、上述した情報とは異なる情報を含んでいてもよい。要求情報は、上述した例に限定されない。
移動情報(図9に例示)は、搬送元から搬送先に搬送物を搬送した履歴を表す情報である。図9に例示されているように、移動情報は、搬送物を識別する搬送物IDと、搬送物の位置と、搬送経路を識別する搬送経路IDと、タイミングと、該搬送処理についての搬送要求を識別する要求IDとが関連付けされている情報である。図9は、移動情報記憶部153に格納される移動情報の一例を概念的に表す図である。該タイミングは、たとえば、搬送物が搬送先に到着するタイミング、または、現在のタイミングを表す。
たとえば、移動情報は、搬送物ID「P25」と、搬送物の位置「(21,6)」と、搬送経路ID「R5」と、タイミング「10:35:05」と、要求ID「Req26」とが関連付けされている移動情報を含む。これは、要求ID「Req26」によって識別される要求に従い、搬送物ID「P25」によって識別される搬送物を、搬送経路ID「R5」によって識別される経路を経由して移動した履歴を表す。これは、さらに、該要求に対する搬送処理をタイミング「10:35:05」に完了し、該搬送物が位置「(21,6)」にあることを表す。
あるいは、これは、要求ID「Req26」によって識別される要求に従い、搬送物ID「P25」によって識別される搬送物を、搬送経路ID「R5」によって識別される経路を経由して移動することを表す。これは、タイミング「10:35:05」において、該搬送物が、位置「(21,6)」にあることを表す。言い換えると、移動情報において、位置は、所定のタイミングにおける、搬送物の位置を表す情報であってもよい。この場合に、該タイミングは、搬送物が該位置に移動するタイミングを表す。たとえば、搬送物の位置は、たとえば、RFID(radio frequency identifier)を用いて特定することができる。
移動情報は、必ずしも、上述した情報を含んでいなくともよく、または、上述した情報とは異なる情報を含んでいてもよい。移動情報は、上述した例に限定されない。
レイアウト情報(図10に例示)は、搬送物、搬送装置301を含む空間の状態を表す情報である。レイアウト情報は、たとえば、建物に載置されているラックの状態(位置、大きさ等)、または、建物の形状、加工機械の状態(位置、大きさ等)等の情報である。言い換えると、レイアウト情報は、対象システム101における搬送態様を決める基である情報である。レイアウト情報は、たとえば、対象システム101のうち、搬送装置301が位置することができない領域を表す情報であるともいうことができる。レイアウト情報は、たとえば、対象システム101のうち、搬送装置301が位置することができる領域を表す情報であってもよい。
レイアウト情報は、図10に例示されているような、障害物の位置を特定することが可能な情報であってもよい。図10は、レイアウト情報記憶部154に格納されているレイアウト情報の一例を概念的に表す図である。
レイアウト情報においては、障害物を識別可能な障害物IDと、該障害物の特徴を表す位置とが関連付けされている。たとえば、図10に例示されているレイアウト情報においては、障害ID「O4」と、位置「{(26、0)、(30、0)、(30、4)、(28、6)、(26、4)}」とが関連付けされている。これは、障害ID「O4」によって識別される障害物の形が、{(26、0)、(30、0)、(30、4)、(28、6)、(26、4)}によって特徴付けされていることを表す。この場合に、該障害物は、5角形であり、該5角形の各頂点が{(26、0)、(30、0)、(30、4)、(28、6)、(26、4)}が表す位置にあることを表す。
図10に例示されているレイアウト情報に従い、ある領域におけるマップを作成すると、図11に例示されているようなレイアウトにて障害物が配置されている。図11は、対象システム101における障害物を概念的に表す図である。図11に示されている例において、対象システム101は、概念的に格子状に区切られている。対象システム101における位置は、たとえば、左上の頂点を原点とした該格子の座標を用いて表される。該位置は、図11の横方向の座標値と、図11の縦方向の座標値との組み合わせによって表されている。
たとえば、図10に例示されているレイアウト情報において、障害物ID「O1」は、位置「{(1、1)、(2、1)、(2、2)、(1、2)}」に関連付けされている。これに対して、図11においては、(1、1)、(2、1)、(2、2)、(1、2)という4つの座標を頂点として有する矩形O1に斜線が施されている。これは、当該位置に、障害物ID「O1」によって識別される障害物があることを示している。図10に例示されたレイアウト情報における障害物ID「O2」乃至障害物ID「O10」についても、同様に、図11に斜線を施すことにより、各障害物の位置が示されている。
レイアウト情報は、上述した例に限定されない。
図12を参照しながら、搬送経路情報について説明する。図12は、搬送経路情報記憶部155に格納されている搬送経路情報を概念的に表す図である。
搬送経路情報は、搬送経路IDと、搬送元IDと、搬送先IDと、搬送態様とが関連付けされた情報である。搬送経路情報は、搬送元IDによって識別される搬送元から、搬送先IDによって識別される搬送先までの搬送経路にて、集団搬送が実施されているのか、または、個別搬送が実施されているのかを表す情報である。
たとえば、図12に例示された搬送経路情報において、搬送経路ID「R8」と、搬送元ID「(1、17)」と、搬送先ID「(12、23)」と、搬送態様「個別」とが関連付けされている。これは、搬送経路ID「R8」によって識別される搬送経路が、搬送元ID「(1、17)」によって識別される搬送元と、搬送先ID「(12、23)」によって識別される搬送先との間の搬送経路であることを表す。さらに、これは、当該搬送経路において、個別搬送が実施されている、または、個別搬送が実施されていたことを表す。
図14A及び図14Bを参照しながら、集団搬送と、個別搬送とについて説明する。図14Aは、個別搬送の一例を概念的に表す図である。図14Bは、集団搬送の一例を概念的に表す図である。
図14Aに例示するように、個別搬送は、搬送装置301が搬送物を積載しながら搬送元から搬送先に移動する搬送態様を表す。たとえば、搬送装置301には搬送物が積載されている。搬送装置301は、搬送物を上部に搬送物を積載している状態にて搬送元から搬送先に移動する。その結果、搬送装置301は、搬送物を搬送元から搬送先に搬送する。
図14Bに例示するように、集団搬送は、ある領域内における複数の搬送装置301が連動しながら搬送元から搬送先に搬送物を搬送する搬送態様を表す。言い換えると、集団搬送は、複数の搬送装置301が集団でコンベアを形成し、形成したコンベアによって搬送物を搬送する態様を表す。該搬送態様は、各搬送装置301が有している搬送部302を連動することによって実現することができる。集団搬送の間に、各搬送装置301は、移動部303を停止してもよい。
集団搬送、及び、個別搬送が実施される対象システム101について、図3を参照しながら説明する。図3は、対象システム101において実施される集団搬送、及び、個別搬送を概念的に表す図である。
対象システム101は、ワークステーションA乃至ワークステーションEと、搬送装置301とを有する。ワークステーションA乃至ワークステーションEは、それぞれ、たとえば、原料から中間加工品を作成する加工装置や、材料を染色する染色装置等を表す。対象システム101において、ワークステーションA乃至ワークステーションEは、製品を加工するプロセス手順に従い、各処理を実施する。製品が多品種である場合には、プロセス手順を変更する必要がある場合がある。
たとえば、図3においては、ワークステーションA及びワークステーションDの間に、複数の搬送装置301が記載されている。これは、複数の搬送装置301がワークステーションDからワークステーションAに、搬送物を集団搬送している状態を表す。また、ワークステーションC及びワークステーションDの間に、搬送装置301が記載されている。これは、複数の搬送装置301がワークステーションDからワークステーションCに、搬送物を個別搬送している状態を表す。
次に、割り当てを決定する基である判定基準について説明する。
判定基準は、集団搬送を実行するのか、または、個別搬送を実行するのかを決定する基準を表す。判定基準は、たとえば、搬送処理の負荷が高い状態にある搬送要求に対して集団搬送を割り当て、該負荷が低い状態にある搬送要求に対して個別搬送を割り当てるという基準であってもよい。
搬送要求は、たとえば、搬送元IDと、搬送先IDとのペア(以下、「SD(source and destination)ペア」)を用いて表されていてもよい。
該負荷は、たとえば、搬送物を、搬送元から搬送先に搬送する要求量を表す。この場合に、要求量が多いほど搬送元と搬送先との間の負荷が高く、要求量が少ないほど搬送元と搬送先との間の負荷が低い。判定基準は、搬送処理の負荷に応じて搬送態様を切り替える基準であるということもできる。
判定基準によって、搬送装置301を有効活用することができる。
該判定基準は、たとえば、複数の搬送装置301が搬送経路を形成するのか(図14Bに例示、以降、「集団搬送」と表す)を判定する基準を表すともいうことができる。あるいは、該判定基準は、たとえば、搬送装置301が搬送物を積載しながら移動するのか(図14Aに例示、以降、「個別搬送」と表す)を判定する基準を表すともいうことができる。
集団搬送は、複数の搬送装置301が搬送経路を形成し、形成した搬送経路によって搬送物を搬送することを表すともいうことができる。あるいは、集団搬送は、複数の搬送装置301が連携しながら搬送経路を形成し、形成した該搬送経路によって搬送物を搬送することを表すともいうことができる。あるいは、集団搬送は、複数の搬送装置301が連携しながら搬送する集団を形成し、形成した該集団によって搬送物を搬送することを表すともいうことができる。
個別搬送は、搬送装置301が搬送物を積載しながら、搬送元から搬送先に移動することを表すともいうことができる。
負荷は、たとえば、あるタイミングにおける値、ある一定時間内(以降、「タイムウィンドウ」と表す)における値、または、可変なタイムウィンドウにおける値であってもよい。該負荷は、たとえば、各SDペアについて、荷物の搬送要求情報や荷物の移動情報に基づき、タイムウィンドウにおける最大値、平均値、または、中間値等の値であってもよい。負荷は、たとえば、以下のような指標、または、以下のような指標が複数組み合わされた指標であってもよい。
・SDペア間の荷物の密度や流量、
・搬送の納期遵守率、
・搬送が終わった荷物の量である搬送完了量、
・搬送完了量と搬送要求量との比、すなわち、スループット、
・搬送元の在庫量、
・搬送元での在庫と搬送先での在庫の差分、
・搬送要求量、
・搬送装置301が荷物を搬送している時間の割合(稼働率)。
該負荷は、上述したような指標の時間変化、または、ある期間内の指標の累計値を用いて表されていてもよい。該負荷は、上述したような指標値の加重平均であってもよい。負荷は、上述したような指標についての、ある時間内の最大値、平均値、中間値、微分値、または、積分値のいずれかであってもよいし、最大値等が組み合わされた指標であってもよい。
該負荷は、上述した例に限定されない。
判定基準は、たとえば、搬送要求情報における搬送要求(たとえば、搬送元IDと、搬送先IDとのSDペア)を、該搬送要求の負荷の高い順にランキングし、搬送要求に対して該負荷の順に集団搬送を割り当てる基準であってもよい。判定基準は、たとえば、搬送要求情報における搬送要求(たとえば、搬送元IDと、搬送先IDとのSDペア)を、該搬送要求の負荷の高い順にランキングし、ランキング上位のSDペアに対して集団搬送を割り当てる基準であってもよい。ランキングが上位であるか否かを判定する基準は、たとえば、あるSDペアが、該ランキングの上位からSDペアの総数の3%、5%、10%等の割合以内に含まれるか否かを表す基準である。この場合に、該判定基準は、負荷が高いか否かを判定する閾値に基づく基準であるということもできる。
判定基準は、搬送装置301の台数を用いて表されていてもよい。判定基準は、たとえば、最も負荷が高い搬送要求に対して集団搬送を割り当て、該集団搬送にて割り当てられた搬送装置301以外の搬送装置301の台数を算出し、さらに集団搬送に割り当てるのに十分な台数が存在しているのか否かを判定する基準でもよい。この場合に、該判定基準は、該台数が搬送装置301の割り当てに十分である場合に、次に負荷の高い搬送要求に対して集団搬送を割り当てる基準を表している。
判定基準は、各搬送要求に対して、少なくとも1台以上の搬送装置301を割り当てるという基準であってもよい。この場合に、該判定基準は、集団搬送を割り当てられない搬送要求に対して、個別搬送が割り当てられるという基準を表している。判定基準は、SDペアにおける負荷が高負荷である場合に集団搬送を実施し、当該負荷が低負荷である場合に個別搬送を実施することを表す基準であってもよい。
負荷が高負荷であるか否かを判定する基準は、たとえば、高負荷であると判定する第1閾値に基づく基準であってもよい。この場合に、該負荷が該第1閾値以上である場合に、該負荷が高負荷であると判定される。そして、該負荷が該第1閾値未満で場合に、負荷が高負荷でないと判定される。
負荷が低負荷であるか否かを判定する基準は、たとえば、低負荷であると判定する第2閾値に基づく基準であってもよい。この場合に、該負荷が該第2閾値未満である場合に、該負荷が低負荷であると判定される。そして、該負荷が該第2閾値以上で場合に、負荷が低負荷でないと判定される。
該第1閾値と、該第2閾値とは、同じ値であってもよい。該第1閾値は、該第2閾値よりも大きな値であってもよい。
判定基準は、負荷が基準を満たしている場合に集団搬送を割り当て、負荷が基準を満たしていない場合に個別搬送を割り当てる基準であってもよい。該基準は、負荷が所定閾値以上であるか否かを判定する条件を表す。
判定基準は、上述した例に限定されない。
決定部203は、搬送要求を識別する要求IDと、レイアウト情報(図10に例示)と、図4及び5を参照して説明する処理によって決定された搬送態様とを受け取る。決定部203は、判定部202が搬送態様を変更すると決定した搬送要求を識別する要求IDのみを受け取ってもよい。
説明の便宜上、決定部203は、搬送要求のうち、個別搬送から集団搬送に割り当てを変更する搬送要求を表す要求IDのみを受け取るとする。搬送元IDは、搬送元の位置を表しているとする。搬送先IDは、搬送先の位置を表しているとする。
決定部203は、受け取った要求IDと、レイアウト情報とに基づき、集団搬送を行う場合の搬送経路を決定する。決定部203は、たとえば、搬送要求情報から搬送元IDと、搬送先IDとを読み取る。決定部203は、該レイアウト情報において搬送元の位置と、搬送先の位置とを特定し、特定した搬送元の位置と、搬送先の位置との間の搬送経路を、所定の経路算出手順に従い算出する。
所定の経路算出手順は、たとえば、ダイクストラ法、A*(A-Star)法等の手法に従う算出手順である。所定の経路算出手順は、たとえば、搬送経路がなるべく短くなるような経路を算出する手順である。所定の経路算出手順は、たとえば、搬送物を搬送する所要時間がなるべく短くなるような経路を算出する手順であってもよい。所定の経路算出手順は、搬送物が移動する経路(すなわち、搬送物の動線)が交差(干渉)する地点がなるべく少なくなるような経路を算出する手順であってもよい。
所定の経路算出手順は、上述した例に限定されない。
指示部204は、決定部203が設計した搬送経路についての情報を受け取る。指示部204は、たとえば、個別搬送から集団搬送に搬送態様を変更する対象である搬送経路についての情報を受け取る場合に、搬送装置301が該搬送経路を形成するよう搬送装置301に指示する。言い換えると、指示部204は、搬送装置301が搬送経路を形成する場所に移動するよう搬送装置301に指示する。
指示部204は、制御サーバにて集中制御されていてもよいし、搬送装置301ごとに分散制御されていてもよい。
集中制御の場合には、指示部204と、搬送装置301とは、たとえば、無線通信等の通信ネットワーク151を介して通信可能に接続されている。指示部204は、搬送経路を形成する際の移動処理において、複数の搬送装置301の動線が交差する場合には衝突を防ぐよう、複数の搬送装置301に指示してもよい。指示部204は、たとえば、あるタイミングに1つの地点に複数の搬送装置301が入らないよう排他制御し、その結果に従い搬送装置301に指示してもよい。指示部204は、たとえば、車間距離を保つための隊列制御(Platooning)を実行し、その結果に従い搬送装置301に指示してもよい。
検知装置156は、搬送物を識別する搬送物ID、タイミング、及び、該タイミングにおける該搬送物の位置を表す情報を収集し、収集した情報を記憶装置(不図示)に格納する。
次に、図4及び図5を参照しながら、第1の実施形態に係る搬送制御装置201における処理について説明する。図4及び図5は、搬送制御装置201における処理を表すフローチャートである。
以降、説明の便宜上、図4及び図5に例示されている処理を、「FLOW-A」と表す。
FLOW-Aにおける処理を開始するトリガーは、定期的でもよく、イベントを検知したときでもよい。当該イベントが生じるタイミングは、所定のタイミングであってもよい。
該タイミングは、工場や倉庫等の対象システム101全体における搬送物のスループットが閾値以下となるタイミングであってもよい。この場合に、該閾値は、スループットが低いか否かを判定する値である。
該タイミングは、搬送装置301の稼働率が複数の搬送装置301間で閾値以上となるタイミングであってもよい。この場合に、該閾値は、稼働率のばらつきが複数の搬送装置301間にて大きいか否かを判定する値である。
該タイミングは、複数の搬送装置301のうち稼働率が閾値未満の搬送装置301が生じたタイミングであってもよい。この場合に、該閾値は、搬送装置301がアイドル状態であるか否かを判定する値である。
FLOW-Aにおける処理は、搬送先及び搬送元であるところのワークステーションを複数含む対象システム101における搬送物のスループットが、処理を開始すると判定する基準を満たすことをトリガーとして開始されるともいうことができる。該処理によれば、対象システム101における搬送物のスループットが低下することを低減することができるという効果を奏する。
搬送制御装置201がFLOW-Aを実行している最中に、上記のようなイベントが発生する場合に、搬送制御装置201は、FLOW-Aを最初からやり直してもよい。
あるいは、集団搬送における搬送経路を形成するのに十分な台数の搬送装置301を確保できない場合に、搬送制御装置201は、十分な台数の搬送装置301が確保できるまでFLOW-Aの実行を延期してもよい。該処理によれば、搬送制御装置201における処理を低減することができるという効果を奏する。
あるいは、所定の台数以上の搬送装置301が稼働している場合にのみ、搬送態様を変更する動作フローを実施してもよい。この場合に、所定の台数は、たとえば、搬送経路の形成に要する搬送装置301の台数である。該処理によれば、搬送制御装置201における処理を低減することができるという効果を奏する。
あるいは、集団搬送すると決定された要求のうち、一部の要求については、搬送態様を変更する動作フローを実施しなくてもよい。この場合には、指示部204は、該要求に含まれている搬送元IDと、搬送先IDとの間にて搬送物を搬送する処理については、集団搬送に変更しない。たとえば、指示部204は、搬送態様の変更に要するコスト(所要時間、移動距離等)が閾値よりも高いと判定する場合に、一部(たとえば、全体の5%、20%、33%)の要求のみに対して、FLOW-Aを実施する。この場合に、閾値は、たとえば、工場や倉庫等の対象システム101全体の処理負荷が低下してしまうことを判定する値である。指示部204は、一部の要求を選び出す処理において、集団搬送すると決定された要求の中からランダムに要求を選択してもよい。
搬送態様を変更する動作フローは、上述した例に限定されない。
図4及び図5を参照しながら、FLOW-Aにおける各ステップについて具体的に説明する。
判定部202は、要求情報記憶部152(図8に例示)に格納されている搬送要求を読み取る(ステップS101)。判定部202は、各要求における搬送先IDによって識別される搬送先、及び、該要求における搬送元IDによって識別される搬送元の間の負荷を算出する(ステップS102)。すなわち、判定部202は、各SDペアの負荷を算出する。判定部202は、たとえば、搬送先IDと搬送元IDとのSDペアごとに、搬送物IDによって識別される搬送物の搬送量を合計する。この処理の結果、判定部202は、該負荷を算出する。
判定部202は、すべてのSDペアの負荷を算出してもよい。判定部202は、一部のSDペアの負荷を算出してもよい。判定部202は、一部のSDペアの負荷を算出する場合に、残りのSDペアに対して個別搬送を割り当てるとしてもよい。
SDペアの負荷が、あらかじめ算出されている場合に、判定部202は、該負荷を読み取ってもよい。
判定部202は、要求情報記憶部152(図8に例示)に格納されている搬送要求のうち、搬送期限が間近の要求を選択し、選択した要求に基づきSDペアの負荷を算出してもよい。この場合に、判定部202は、たとえば、現在から搬送期限までの時間を算出し、該時間が閾値以下である要求を選択する。該閾値は、搬送期限に遅れる可能性の有無を判定する値である。言い換えると、負荷が、現在から、搬送期限までの時間である場合に、判定部202は、該時間が該搬送先への到着が遅延する可能性があることを表す値より小さいという基準に従い処理を実行してもよい。当該処理によって、搬送期限に遅れる可能性を低減することができるという効果を奏する。
判定部202は、たとえば、算出した負荷が大きい順に、SDペアを順序付けしてもよい。説明の便宜上、順序付けされたSDペアを「ランキング」と表す。
判定部202は、グループ作成手順に従いSDペアを複数グループに分類し、該複数グループごとにSDペアをランキングしてもよい。この場合に、搬送装置301は、たとえば、グループ内にて融通される。
グループ作成手順は、地理的なエリアごとに分類する手順であってもよい。該グループ作成手順は、搬送先及び搬送元であるところのワークステーションを複数含む対象システム101において、搬送先及び搬送元のペアを、前記ワークステーションの位置に基づき複数のグループに分類する手順であってもよい。該グループ作成手順は、たとえば、搬送装置301が移動可能なエリアを制限する場合に用いられる。また、該グループ作成手順によれば、搬送装置301が移動可能なエリアが制限されているので、搬送装置301の移動距離が短くなるという効果を奏する。
グループ作成手順は、搬送装置301の特性ごとに分類する手順であってもよい。該特性は、たとえば、搬送装置301のサイズ、搬送装置301の形状、及び、搬送装置301の許容積載量等である。該グループ作成手順は、搬送物の種類ごとに分類する手順であってもよい。該グループ作成手順は、たとえば、搬送装置301が搬送可能な搬送物の種類が限られている場合に用いられる。該グループ作成手順によれば、搬送物の種類が限定されているので、搬送物に対して効率よく搬送物を搬送可能な搬送装置301を割り当てることができるという効果を奏する。
判定部202は、各SDペアの負荷が判定基準を満たすか否かを判定する(ステップS103)。上述したように、該判定基準は、集団搬送を実行するのか、または、個別搬送を決定するのかを決定する基準を表す。判定部202は、該負荷が判定基準を満たしている場合には(ステップS103にてYES)、集団搬送の実施を決定する(ステップS105)。判定部202は、該負荷が判定基準を満たしない場合に(ステップS103にてNO)、個別搬送の実施を決定する(ステップS104)。判定部202は、たとえば、負荷が高いと判定する場合に集団搬送の実施を決定し、そうでない場合に個別搬送の実施を決定する。
判定部202は、SDペアのうち、搬送負荷が高いペアを選択してもよい。判定部202は、ランキングの中から、最も搬送負荷が高いSDペアを選択してもよい。
説明の便宜上、判定部202は、負荷が最も高いSDペア(以降、「SDペア1」と表す)を選択するとする。
ステップS105の後、決定部203は、SDペア1に関する現在の搬送態様を特定する(図5におけるステップS111)。すなわち、判定部202は、該SDペア1にて実施されている搬送動作の態様が個別搬送であるのか、または、搬送態様が集団搬送であるのかを特定する。
決定部203は、たとえば、搬送経路情報記憶部155(図12に例示)に格納されている搬送経路情報を用いて、各SDペアの搬送態様を特定してもよい。この場合に、決定部203は、搬送経路情報記憶部155から、SDペア1に関連付けされた搬送態様を読み取る。
決定部203は、検知装置156等によって撮像された、対象システム101についての画像に基づき、SDペアの搬送態様を特定してもよい。あるいは、決定部203は、各搬送装置301の位置に基づき、SDペアの搬送態様を特定してもよい。搬送態様を特定する処理は、上述した例に限定されない。
判定部202は、SDペアにて実施されている現在の搬送態様を特定し(ステップS111)、特定した搬送態様が、集団搬送であるのか、または、個別搬送であるのかを判定する(ステップS112)。
現在の搬送態様が集団搬送である場合には(ステップS112にてYES)、決定部203は、処理を終了する。ステップS112にてYESは、SDペア1において実施されている搬送処理を、集団搬送のまま維持することを表す。
現在の搬送態様が個別搬送である場合には(ステップS112にてNO)、決定部203は、レイアウト情報(図10に例示)に基づき、所定の経路算出手順に従い、SDペア1における搬送元、及び、搬送先間の搬送経路を決定する(ステップS113)。
決定部203は、たとえば、搬送経路の長さ、搬送時間、複数の搬送装置301における干渉、対象システム101における障害物と搬送装置301との干渉等に基づき、搬送経路を決定してもよい。決定部203は、たとえば、搬送経路が最短である経路、搬送時間が最短である経路、干渉の回数が最小である経路、または、干渉時間が最小である経路等を決定してもよい。
次に、決定部203は、SDペア1において集団搬送を形成するのに要する搬送装置301の台数(以降、「要求台数」と表す)を算出する(ステップS114)。さらに、判定部202は、対象システム101において個別搬送を実施している搬送装置301の台数(以降、「個別搬送台数」と表す)を算出する。
指示部204は、個別搬送台数が、集団搬送を形成するのに十分であるか否かを判定する(ステップS115)。具体的に、指示部204は、要求台数と、個別搬送台数とを比較する。個別搬送台数が要求台数以上である場合に(ステップS115にてYES)、搬送装置301は、集団搬送を形成することができる。言い換えると、個別搬送台数が要求台数以上である場合に、指示部204は、SDペア1における搬送態様を、個別搬送から集団搬送に変更することを決定するということもできる。
次に、指示部204は、集団搬送を実施する搬送装置301を決定する(ステップS116)。言い換えると、指示部204は、集団搬送における搬送経路を形成する搬送装置301を決定する。
指示部204は、たとえば、該搬送経路に近い搬送装置301を選択し、選択した搬送装置301に対して集団搬送を割り当ててもよい。指示部204は、該搬送経路から搬送装置301までの距離を算出し、該距離に基づき搬送装置301を選択し、選択した搬送装置301に対して集団搬送を割り当ててもよい。指示部204は、たとえば、搬送装置301までの該距離が短い順に、搬送装置301を選択してもよい。この場合には、当該処理によれば、たとえば、短い移動距離、短い移動時間、または、少ない干渉にて集団搬送を実現することができる。
指示部204は、たとえば、ランダムに搬送装置301を選択し、選択した搬送装置301に対して集団搬送を割り当ててもよい。該処理によれば、個別搬送から集団搬送に割り当てを変更する搬送装置301の台数が減少するので、搬送態様を個別搬送から集団搬送に変更するのに要するコストを削減することができるという効果を奏する。
搬送装置301を割り当てる処理は、上述した例に限定されない。
指示部204は、決定した搬送装置301に対して、該集団搬送を実施するよう指示する(ステップS117)。指示部204は、集団搬送を割り当てられた搬送装置301に対して、該集団搬送を形成する集団を形成するよう指示するように移動することを指示してもよい。
指示部204は、各搬送装置301の位置と、搬送装置301の向きとを決定してもよい。この場合に、指示部204は、集団搬送を割り当てると決定した搬送装置301の位置を決定してもよい。指示部204は、該集団搬送を実施する搬送経路にて搬送装置301が搬送物を搬送する向きと、搬送装置301における搬送部302が搬送可能な向きとが合うように、搬送装置301の向きを決定してもよい。そして、指示部204は、搬送装置301に対して、該位置にて、該向きに従い搬送動作を実施するよう指示する。
ステップS104の後、または、ステップS115にてNOの場合に、指示部204は、SDペアについて、個別搬送を実施するよう搬送装置301に指示する(ステップS118)。
指示部204は、個別搬送を割り当てられた搬送装置301に、搬送元から搬送先に搬送物を搬送するよう指示する。指示部204は、集団搬送を実施する搬送装置301とは異なる搬送装置301に、搬送元から搬送先に搬送物を搬送するよう指示してもよい。
指示部204は、たとえば、複数のSDペアのうち、負荷が低いSDペアを複数選択し、選択した複数のSDペアに対して1台の搬送装置301を割り当ててもよい。このような処理によれば、負荷が高いSDペアに対して高い搬送性能にて搬送しつつ、全体の搬送性能を高く保つことができるという効果を奏する。
指示部204は、たとえば、1つのSDペアに集団搬送と、個別搬送とを割り当ててもよい。この場合には、該1つのSDペアにおける搬送態様は、集団搬送と、個別搬送とを含む。該1つのSDペアにおいては、たとえば、集団搬送を実施した後工程にて個別搬送を実施してもよいし、個別搬送を実施した後工程にて集団搬送を実施してもよい。このような処理によれば、搬送装置301の台数が少ない場合であっても、高効率な搬送を実現することができるという効果を奏する。
SDペアにて個別搬送を実施する場合に、該個別搬送に割り当てる搬送装置301の台数は、1であるとは限らず、複数であってもよい。
次に、図6を参照しながら、集団搬送の場合における搬送装置301の動作について説明する。図6は、集団搬送の場合に搬送装置301における動作の流れの一例を示すフローチャートである。説明の便宜上、図6に例示されている処理を、「FLOW-B」と表す。
集団搬送の場合に、搬送装置301における制御部304は、搬送制御装置201から、集団搬送の実施についての指示を受け取る(ステップS201)。制御部304は、搬送装置301の位置と、搬送方向の向きとを表す指示を受け取ってもよい。
制御部304は、受け取った指示に従い、搬送装置301における移動部303を制御する。この動作について、具体的に説明する。
搬送装置301は、たとえば、赤外線センサ、超音波センサ、Lidar、カメラ等の検知部305を用いて、マーカ、障害物、自搬送装置及び他搬送装置間の距離等の自搬送装置の外部を検知する(ステップS202)。
制御部304は、検知した該距離やオドメトリ(odometry)等の情報を用いて、自搬送装置の位置を推定する(ステップS203)。制御部304は、たとえば、カルマンフィルタ等の手法に従い、自搬送装置の位置を推定してもよい。
制御部304は、該指示に従い、自搬送装置の位置、及び、自搬送装置の向き等を変更するよう、移動部303を制御する(ステップS204)。言い換えると、制御部304は、指示された搬送態様に従い、目標位置、及び、目標姿勢に近づくようタイヤやクローラ等の移動部303を制御する。言い換えると、搬送装置301は、指示された搬送態様に従い、搬送動作を実施する位置に移動し、該位置にて、搬送経路の進行方向に沿って搬送可能なよう搬送装置301の向きを調整する。搬送装置301が、搬送部302の向きを調整可能な回転部306を有している場合には、搬送経路の進行方向に沿って搬送可能なよう該回転部306を制御してもよい。
制御部304は、赤外線センサ、プッシュスイッチ、または、カメラ等の検知部305を用いて、搬送物の位置を検知する(ステップS205)。具体的に、制御部304は、搬送物が自搬送装置に到着することを検知する。該装置は、検知した位置に基づいて、搬送物の位置についての情報を作成することができる。
制御部304は、搬送経路の進行方向に沿って搬送物が進むように、ベルト、タイヤ等の搬送部302を制御する(ステップS206)。
制御部304は、赤外線センサ、プッシュスイッチ、カメラ等の検知部305を用いて、搬送物の位置を検知する(ステップS207)。制御部304は、検知した位置に基づいて、搬送物が自搬送装置から離れるのを検知する。制御部304は、さらに、搬送先に搬送物が載置されるよう、機構を制御してもよい。搬送先は、たとえば、装置、棚等の所定の場所、あるいは、棚における位置であってもよい。搬送先は、搬送物を把持し、搬送物を所定の位置に置くマニピュレータ等の該機構を有していてもよい。
上述したような処理によって、集団搬送を実現することができる。また、搬送経路にて搬送される搬送物は、1つであってもよいし、複数であってもよい。複数の搬送経路にて搬送物が並列に搬送されてもよい。
次に、図7を参照しながら、個別搬送の場合における搬送装置301の動作について説明する。図7は、個別搬送の場合に搬送装置301における動作の流れの一例を示すフローチャートである。説明の便宜上、図7に例示されている処理を、「FLOW-C」と表す。
制御部304は、搬送制御装置201から、個別搬送の実施を指示する指示を受け取る(ステップS301)。
制御部304は、受け取った該指示に従い、搬送元にて搬送物を受け取り、受け取った該搬送物を搬送先まで搬送し、該搬送先に該搬送物を渡すよう、移動部303、及び、搬送部302を制御する。この処理について、具体的に説明する。
制御部304は、該指示に従い、搬送元まで移動するよう移動部303を制御する(ステップS302)。制御部304は、たとえば、所定の速度(クルーズ速度、最大速度、エリアや経路によって規定されている制限速度等)にて移動するよう、タイヤ等の移動部303を制御してもよい。
制御部304は、搬送元にて、搬送物を受け取る(ステップS303)。制御部304は、赤外線センサ、プッシュスイッチ、カメラ等の検知部305を用いて、搬送物の位置を検知する。
制御部304は、搬送先まで移動するよう、移動部303を制御する(ステップS304)。制御部304は、たとえば、所定の速度(クルーズ速度、最大速度、エリアや経路によって規定されている制限速度等)にて移動するよう、タイヤ等の移動部303を制御してもよい。
制御部304は、該搬送先に搬送物を渡すよう、搬送部302等を制御する(ステップS305)。搬送装置301がマニピュレータ等のピッキング部を有している場合に、制御部304は、該搬送先に搬送物を渡すようピッキング部を制御してもよい。たとえば、搬送先は、所定の位置(棚など)である。
さらに、FLOW-Aと、FLOW-Bとは、逐次的に実行されてもよい。FLOW-Aと、FLOW-Cとは、逐次的に実行されてもよい。このような処理によれば、これらの処理の管理が容易であるという効果を奏する。あるいは、FLOW-A乃至FLOW-Cは、並列に実行されてもよい。
FLOW-Bにおいて、搬送物が搬送経路を介して搬送先に到着する前に、該搬送経路を構成している搬送装置301の一部を、他のSDペアに割り当ててもよい。図15A乃至図15Cを参照しながら、この処理について具体的に説明する。図15A乃至図15Cは、集団搬送にて搬送装置301を制御する動作フローの一例を概念的に表す図である。図15A乃至図15Cにおいて、時間は、図15A→図15B→図15Cの順に推移するとする。
図15Aを参照すると、集団搬送における搬送経路は、8台の搬送装置301によって構成されている。搬送物は、図15Aの右側から、当該搬送経路に到着する。そして、制御部304は、搬送経路の向きに沿って、当該搬送物を搬送するよう制御する。図15Aにおいて、搬送経路の向きは、図15Aの左方向である。制御部304は、搬送物が図15Aの左方向に進むよう搬送部302を制御する。すなわち、制御部304は、搬送物が左隣の制御装置に移動するよう搬送部302を制御する。
図15Bを参照すると、搬送物を左隣に移動する動作を完了した搬送装置301における制御部304は、搬送経路から離れる。この場合に、搬送装置301は、他の搬送経路における搬送経路を構成するよう移動してもよい。あるいは、搬送装置301は、個別搬送における動作を実施してもよい。あるいは、搬送装置301は、図15Bに例示されている搬送経路の左端に移動し、該左端にて搬送経路を構成してもよい(図18A乃至図18Dを参照しながら詳述する)。搬送装置301における制御部304は、図15Bに例示されている搬送経路の左端に移動し、搬送経路に沿って自搬送装置の向きを変えるよう移動部303を制御してもよい。あるいは、搬送装置301における制御部304は、図15Bに例示されている搬送経路の左端に移動するよう移動部303を制御し、搬送部302が搬送可能な向きが、搬送元から搬送先までの搬送経路に沿うよう回転部306を制御してもよい。
図15Cは、搬送経路を構成していた一部の搬送装置301が該搬送経路から離れている状態を表す。この場合に、図15Cの右側に示されている搬送装置301は、図15Aを参照しながら上述した処理を実行する。
図15A乃至図15Cを参照しながら上述したような処理によれば、搬送態様の変更が容易になるという効果を奏する。さらに、図15A乃至図15Cを参照しながら上述したような処理によれば、負荷変動に迅速に対応することができるという効果を奏する。
さらに、搬送装置301は、集団搬送における搬送経路を形成しながら、搬送物を搬送する動作を開始してもよい。図16A乃至図16Cを参照しながら、当該動作について説明する。図16A乃至図16Cは、集団搬送にて搬送装置301を制御する動作フローの一例を概念的に表す図である。図16A乃至図16Cにおいて、時間は、図16A→図16B→図16Cの順に推移するとする。図16A乃至図16Cに示された処理は、搬送経路を形成する動作を完了する前に、搬送動作を開始する処理を表しているということもできる。
説明の便宜上、搬送経路を構成する搬送装置301は、8台であるとする。8台の搬送装置301のうち、6台の搬送装置301は、搬送経路を構成する動作を完了しているとする。8台の搬送装置301のうち、2台の搬送装置301は、搬送経路を構成する動作を完了していないとする。
図16Aを参照すると、搬送物は、図16Aの右側から、当該搬送経路に到着する。しかし、そのタイミングにて、2台の搬送装置301は、搬送経路を構成する動作を完了していない。そして、搬送装置301は、搬送経路の向きに沿って、当該搬送物を搬送する。図16Aにおいて、搬送経路の向きは、図16Aの左方向である。制御部304は、搬送物が図16Aの左方向に進むよう搬送部302を制御する。すなわち、制御部304は、搬送物が左隣の搬送装置301に移動するよう搬送部302を制御する。
図16Bを参照すると、搬送物の搬送動作の間に、2台の搬送装置301は、搬送経路を形成するよう、搬送経路の左端に移動する。該2台の搬送装置301は、搬送経路に沿った向きに搬送物を搬送可能なように移動してもよい。この場合に、2台の搬送装置301における制御部304は、該位置に移動し、該向きに搬送物を搬送可能なように移動部303を制御するということもできる。
図16Cを参照すると、該2台の搬送装置301は、搬送経路の左端にて移動を停止する。この動作によって、搬送装置301は、搬送経路を形成する動作を完了する。該2台の搬送装置301は、図16Aを参照しながら説明したように、搬送物を搬送する処理を実行する。よって、搬送装置301における制御部304は、搬送経路を形成するよう移動し、移動後の位置にて搬送物を搬送する。そして、搬送装置301における制御部304は、搬送が完了するのに応じて、該搬送経路にて該搬送物が移動する向きに該搬送経路を形成するよう移動するよう、移動部303及び搬送部302を制御する。このような処理によって、搬送装置301の台数が少ない場合であっても、搬送物を効率的に搬送することができるという効果を奏する。
次に、図17を参照しながら、搬送物が搬送装置301よりも大きい場合における動作の一例について説明する。図17は、搬送装置301を制御する動作フローの一例を概念的に表す図である。
搬送物が搬送装置301よりも大きい場合に、複数の搬送装置301は、相互に共同しながら、搬送物を搬送してもよい。複数の搬送装置301は、共同で搬送物を積載しながら、搬送元から搬送先に移動してもよい。この場合に、複数の搬送装置301は、図17に示されているような搬送態様を保ちながら、搬送元から搬送先に移動する。制御部304は、複数の搬送装置301が連結している態様にて、搬送元から搬送先まで搬送物を搬送しながら移動するよう、移動部303と、搬送部302とを制御してもよい。このような動作によって、搬送物の特性に応じた搬送能力を有する搬送装置301を用意する必要がなくなるという効果を奏する。言い換えると、このような動作によって、搬送装置301に係るリソースを低減することができるという効果を奏する。
次に、図18A乃至図18Dを参照しながら、集団搬送する搬送処理の動作の一例について説明する。図18A乃至図18Dは、集団搬送にて搬送装置301を制御する動作フローの一例を概念的に表す図である。
図18A乃至図18Dは、搬送装置301を制御する動作フローの一例を概念的に表す図である。図18A乃至図18Dにおいて、時間は、図18A→図18B→図18C→図18Dの順に推移するとする。搬送物は、図18A乃至図18Dにおいて、右側から左側に移動するとする。言い換えると、搬送経路の方向は、図18A乃至図18Dにおいて、左方向であるとする。
搬送物が搬送装置301よりも大きい場合に、複数の搬送装置301は、集団搬送を実施する搬送経路を形成しながら搬送物を搬送してもよい。
図18Aは、6台の搬送装置301によって形成された搬送経路を示している。搬送物は、図18Aの右側から、当該搬送経路に到着する。
図18Bを参照すると、搬送装置301は、搬送経路の向きに沿って、当該搬送物を搬送する。指示部204は、搬送物が図18Bの左方向に進むよう搬送部302を制御する。すなわち、制御は、搬送物が左隣の搬送装置301に移動するよう搬送部302を制御する。図18Bは、右端の搬送装置301が搬送物を左隣の搬送装置301に移動する動作を完了した状態を表している。
図18Cは、搬送動作を完了した搬送装置301が、搬送経路を形成する方向に移動している状態を表す。この場合に、搬送動作を完了した搬送装置301は、図18Cの左端に示された搬送装置301の左隣に移動する。
図18Dは、搬送動作を完了した搬送装置301が、さらに、移動動作を完了し、搬送経路を形成した状態を表す。搬送装置301は、移動した先にて、搬送物を搬送する動作を実施する。
上述したような処理によれば、搬送物が、搬送装置301よりも大きい場合であっても、集団搬送を実現することができるという効果を奏する。
あるいは、搬送物が搬送装置301よりも小さい場合に、複数の搬送装置301は、図18A乃至図18における処理に従い、集団搬送を実施する搬送経路を形成しながら搬送物を搬送してもよい。該処理によれば、集団搬送を、より少ない台数の搬送装置301にて実現することができるという効果を奏する。
次に、図19、及び、図20を参照しながら、集団搬送と、個別搬送との割り当てを変更する動作の一例について説明する。図19は、搬送要求量の時系列推移を概念的に表す図である。図20は、搬送装置301の台数が固定されている場合における搬送態様の変化を概念的に表す図である。
図19は、各SD間における搬送要求量の時系列推移を概念的に表す図である。図19の左上の「A→D」は、ワークステーションA及びワークステーションD間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。図19に右上の「A→D」は、ワークステーションA及びワークステーションC間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。図19の左下の「B→C」は、ワークステーションB及びワークステーションC間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。図19の右下の「B→D」は、ワークステーションB及びワークステーションD間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。いずれのグラフにおいても、横方向は、時間を表し、右側であるほど、時間が推移することを表す。いずれのグラフにおいても、縦方向は、搬送要求量を表し、上側であるほど、搬送要求量が多いことを表す。
図20に示された例において、搬送態様は、低負荷時において個別搬送であり、高負荷時において集団搬送である。図20において、時間は、第1の搬送態様→第2の搬送態様→第3の搬送態様の順に推移する。
説明の便宜上、対象システム101は、ワークステーションA、ワークステーションB、ワークステーションC、及び、ワークステーションDを有するとする。該対象システム101は、5台の搬送装置301を有するとする。該対象システム101において、搬送装置301は、ワークステーションA、または、ワークステーションBから搬送物を受け取るとする。言い換えると、ワークステーションA及びワークステーションBは、搬送元である。搬送装置301は、ワークステーションC、または、ワークステーションDまで搬送物を搬送するとする。言い換えると、ワークステーションC及びワークステーションDは、搬送先である。
説明の便宜上、搬送要求量が所定の閾値を超えるというイベント、及び、搬送要求量が所定の閾値を下回るというイベントをトリガーとして、FLOW-Aが開始されるとする。該FLOW-Aにおいて、各SDペアが高負荷であるのか、または、低負荷であるのかが判定され、判定結果に基づき個別搬送を実施するのか、あるいは、集団搬送を実施するのかを決定される。所定の閾値は、たとえば、搬送装置301の搬送能力と、搬送要求量とに基づき算出されてもよい。言い換えると、所定の閾値は、搬送態様を判定する値を表す。搬送能力は、たとえば、搬送装置301が単位時間当たりに搬送できる荷物量、重量、個数等である。
図20の第1の搬送態様は、5台の搬送装置301に、いずれも、個別搬送が割り当てられている状態を表す。言い換えると、以下のSDペアに係る搬送態様は、いずれも、個別搬送である。
・ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペア、
・ワークステーションA及びワークステーションDによって構成されるSDペア、
・ワークステーションB及びワークステーションCによって構成されるSDペア、
・ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペア。
図19の「A→C」に示されているように、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt1にて、所定の閾値を超えたとする。言い換えると、タイミングt1に生じたイベントをトリガーとして、FLOW-Aに示された動作が開始される。
説明の便宜上、指示部204は、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに対する搬送態様を、個別搬送から集団搬送に変更するとする。搬送経路を形成するのに要する搬送装置301の台数が4台である場合に、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアとは異なるSDペアに対して集団搬送を割り当てることができない。
図19の「A→D」、「B→C」、及び、「B→D」に示されているように、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアとは異なるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt1にて、所定の閾値よりも小さい。この場合に、判定部202は、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに係る搬送態様を、個別搬送から集団搬送に変更する。
図20の第2の搬送態様に示された例では、当該SDペアにおける集団搬送を4台の搬送装置301を用いて形成することができるため、4台の搬送装置301における指示部204は、それぞれ、搬送経路を形成するように移動部303を制御する。この結果、図20の第2の搬送態様に示されているように、4台の搬送装置301は、搬送経路を形成する位置に移動する。ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアとは異なるSDペアに係る負荷がいずれも低いため、残り1台の搬送装置301が、3つのSDペアに関する搬送処理を実行する。すなわち、該残り1台の搬送装置301は、3つのSDペアに係る個別搬送を実施する。したがって、5台の搬送装置301は、それぞれ、FLOW-Bに従う搬送処理、または、FLOW-Cに従う搬送処理を実施する。
次に、図19の「A→C」に示されているように、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt2にて、所定の閾値を下回るとする。そして、図19の「B→D」に示されているように、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt2にて、所定の閾値を超えるとする。タイミングt2に生じたイベントをトリガーとして、FLOW-Aに示された動作が開始される。
指示部204は、搬送要求量に基づき、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに係る搬送態様を集団搬送に変更する。さらに、指示部204は、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに係る搬送態様を個別搬送に変更する。これは、搬送装置301の台数が5である場合に、2つのSDペアに対して集団搬送を割り当てることができないためである。
制御部304は、指示に従い、SDペアに係る搬送態様を変更するよう移動部303、及び、搬送部302を制御する。具体的に、5台の搬送装置301のうち、4台の搬送装置301における制御部304は、たとえば、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに係る搬送経路を形成する位置に移動するよう移動部303を制御する。すなわち、該4台の搬送装置301は、搬送経路を形成する位置に移動する。その結果、図20の第3の搬送態様に示されているように、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに係る搬送経路が形成される。残りの1台の搬送装置301は、個別搬送に係る処理を実行する。したがって、5台の搬送装置301は、それぞれ、FLOW-Bに従う搬送処理、または、FLOW-Cに従う搬送処理を実施する。
さらに、図21、及び、図22を参照しながら、集団搬送と、個別搬送との割り当てを変更する動作の一例について説明する。図21は、搬送要求量の時系列推移を概念的に表す図である。図22は、搬送装置301の台数が可変である場合における搬送態様の変化を概念的に表す図である。
図21は、各SD間における搬送要求量の時系列推移を概念的に表す図である。図21の左上の「A→D」は、ワークステーションA及びワークステーションD間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。図21の右上の「A→C」は、ワークステーションA及びワークステーションC間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。図21の左下の「B→C」は、ワークステーションB及びワークステーションC間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフである。図21の右下の「B→D」は、ワークステーションB及びワークステーションD間の搬送要求量の推移を概念的に表すグラフある。いずれのグラフにおいても、横方向は、時間を表し、右側であるほど、時間が推移することを表す。いずれのグラフにおいても、縦方向は、搬送要求量を表し、上側であるほど、搬送要求量が多いことを表す。
図22に示された動作例において、搬送態様は、低負荷時において個別搬送であり、高負荷時において集団搬送である。図22において、時間は、第1の搬送態様→第2の搬送態様→第3の搬送態様→第4の搬送態様の順に推移するとする。
説明の便宜上、対象エリアは、ワークステーションA、ワークステーションB、ワークステーションC、及び、ワークステーションDを有するとする。該対象エリアは、9台の搬送装置301を有するとする。該対象システム101において、搬送装置301は、ワークステーションA、または、ワークステーションBから搬送物を受け取るとする。言い換えると、ワークステーションA及びワークステーションBは、搬送元である。搬送装置301は、ワークステーションC、または、ワークステーションDまで搬送物を搬送するとする。言い換えると、ワークステーションC及びワークステーションDは、搬送先である。
説明の便宜上、搬送要求量が所定の閾値を超えるというイベント、及び、搬送要求量が所定の閾値を下回るというイベントをトリガーとして、FLOW-Aが開始されるとする。該FLOW-Aにおいて、各SDペアが高負荷であるのか、または、低負荷であるのかが判定され、判定結果に基づき個別搬送を実施するのか、あるいは、集団搬送を実施するのかを決定する。所定の閾値は、たとえば、搬送装置301の搬送能力と、搬送要求量とに基づき算出されてもよい。言い換えると、所定の閾値は、搬送態様を決定する値を表す。搬送能力は、たとえば、搬送装置301が単位時間当たりに搬送できる荷物量、重量、個数等である。
図22の第1の搬送態様に示された対象エリアは、9台の搬送装置301を有する。図22の第2の搬送態様に示された対象システム101は、6台の搬送装置301を有する。図22の第3の搬送態様に示された対象エリアは、4台の搬送装置301を有する。図22の第4の搬送態様に示された対象エリアは、6台の搬送装置301を有する。
図22の第1の搬送態様に示された例において、4台の搬送装置301は、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに係る搬送経路を形成している。そして、4台の搬送装置301は、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに係る搬送経路を形成している。すなわち、8台の搬送装置301は、集団搬送を実施している。残り1台の搬送装置301は、個別搬送を実施している。
図21の「A→C」に示すように、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt1にて、所定の閾値を下回るとする。タイミングt1に生じたイベントをトリガーとして、FLOW-Aに示された動作が開始される。
指示部204は、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに係る搬送態様を、集団搬送から個別搬送に変更する。言い換えると、指示部204は、該搬送態様を構成していた4台の搬送装置301に対して個別搬送を割り当てる。
ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに対しては集団搬送が割り当てられ、さらに、図21の「A→D」、「A→C」及び「B→C」に示すように、他の3つのSDペアに係る搬送要求量は、所定の閾値よりも小さい。この場合に、判定部202は、個別搬送を行っている搬送装置301に対して、他のエリアにて搬送処理を行うよう制御してもよい。図22の第2の搬送態様に示すように、指示部204は、たとえば、3台の搬送装置301に対して、他のエリアにて搬送処理を行うよう指示する。
これらの処理の結果、図22の第2の搬送態様に示すように、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに係る搬送態様は、集団搬送のままである。残りの2台の搬送装置301は、個別搬送を実施する。したがって、6台の搬送装置301は、それぞれ、対象エリア内にて、FLOW-Bに従う搬送処理、または、FLOW-Cに従う搬送処理を実施する。
図21の「B→D」に示すように、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt2にて、所定の閾値を下回るとする。タイミングt2に生じたイベントをトリガーとして、FLOW-Aに示された動作が開始される。
指示部204は、ワークステーションB及びワークステーションDによって構成されるSDペアに係る搬送態様を、集団搬送から個別搬送に変更する。言い換えると、指示部204は、該搬送態様を構成していた4台の搬送装置301に対して個別搬送を割り当てる。
図21に示すように、4つのSDペアに係る搬送要求量は、いずれも、タイミングt2にて所定の閾値を下回る。この場合に、判定部202は、個別搬送を行っている搬送装置301に対して、他のエリアにて搬送処理を行うよう制御してもよい。図22の第3の搬送態様に示すように、判定部202は、たとえば、2台の搬送装置301に対して、他のエリアにて搬送処理を行うよう制御する。
これらの処理の結果、図22の第3の搬送態様に示すように、4台の搬送装置301は、個別搬送を実施する。したがって、4台の搬送装置301は、それぞれ、対象エリア内にて、FLOW-Cに従う搬送処理を実施する。
図21の「A→C」に示すように、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに対する搬送要求量は、タイミングt3にて、所定の閾値を超えるとする。タイミングt3に生じたイベントをトリガーとして、FLOW-Aに示された動作が開始される。
指示部204は、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに係る搬送態様を、個別搬送から集団搬送に変更する。言い換えると、指示部204は、個別搬送を実施していた4台の搬送装置301に対して、該SDペアに係る搬送経路を形成するよう集団搬送を割り当てる。この場合に、指示部204は、搬送装置301が4台では当該対象エリア内の搬送を行うことができないと判定し、他エリア内における搬送装置301が当該対象エリア内に移動するよう決定する。
これらの処理の結果、図22の第4の搬送態様における点線の円にて示すように、他エリアを担当していた2台の搬送装置301は、対象エリアに移動する。そして、ワークステーションA及びワークステーションCによって構成されるSDペアに係る搬送経路が、4台の搬送装置301を用いて形成される。残りの2台の搬送装置301は、個別搬送に係る処理を実行する。したがって、6台の搬送装置301は、それぞれ、FLOW-Bに従う搬送処理、または、FLOW-Cに従う搬送処理を実施する。
次に、搬送装置301が有する構成の変形例について説明する。
複数の搬送装置301は、あらかじめ、結合されていてもよい。この場合に、搬送装置301は、他の搬送装置301、または、外部の固定物と強固に結合する結合部を有していてもよい。たとえば、対象システム101における搬送処理を実施するのに十分な搬送装置301が用意されている場合等には、たとえば、2台の搬送装置301、3台の搬送装置301、または、搬送経路の形成に要する搬送装置301は、あらかじめ結合されていてもよい。あるいは、搬送経路の形成に十分な長さの搬送部302を有する搬送装置301を、集団搬送に用いてもよい。搬送装置301は、たとえば、引用文献5に開示されているようなコンベアを有する装置、または、引用文献1に開示されているような搬送装置等である。
また、搬送経路の変更に対して柔軟に対処する必要がある場合に、搬送装置301は、他搬送装置と強固に結合することができ、さらに、結合を解除することが容易な結合部を有していてもよい。搬送装置301は、たとえば、搬送経路を形成する場合に結合部によって他搬送装置と結合し、搬送経路から個別搬送に変更する場合に該結合を解消していてもよい。
該結合部は、たとえば、以下に示す部品を用いて実現される。
・電磁石、
・搬送装置301の表面に設けられているねじ穴と、ねじ、
・結合の場合と、解除の場合とで逆の動作をするクランプ、
・ピン、棒等の機構と、当該機構に凹凸がフィットするくぼみ、ひっかけ。
制御部304は、たとえば、個別搬送から集団搬送に変更する際に、他搬送装置または固定物と結合するよう結合部を制御してもよい。制御部304は、たとえば、集団搬送から個別搬送に変更する際に他搬送装置または固定物との結合を解消するよう結合部を制御してもよい。
図23を参照しながら、集団搬送の場合における、複数の搬送装置301間の結合態様について説明する。図23は、複数の搬送装置301間の結合態様の一例を概念的に表す図である。図23における矢印は、力の方向を表す。図23における円形状の形状は、それぞれ、1台の搬送装置301を表す。
複数の搬送装置301のうち、搬送経路における外側の搬送装置301は、それぞれ、搬送経路における内側の搬送装置301に向かう方向に押す力をかけ続けてもよい。さらに、搬送装置301は、対象システム101における壁及び柱等の固定物に向かう方向に押す力をかけ続けてもよい。この場合に、制御部304は、搬送経路の態様が維持されるように移動部303を制御する。このような動作によって、搬送経路を維持することができる効果を奏する。
図24A乃至図24Fを参照しながら、搬送装置301が有する構成について説明する。図24A乃至図24Fは、搬送装置301の構成例を表す斜視図である。
搬送装置301は、搬送部302と、移動部303とを有する。搬送部302と、移動部303とは、部品を共有していてもよい。搬送部302と、移動部303とは、たとえば、モーター、車輪等の回転機構を共有していてもよい。すなわち、搬送部302と、移動部303とは、共通の部品を用いて実現されていてもよい。共通の部品を用いることによって、搬送装置301のコストを低減することができる、または、搬送装置301のサイズを小さくすることができるという効果を奏する。
搬送部302と、移動部303とが共通の部品によって実現されている場合に、搬送装置301は、移動部303の動作を外部に伝えなくする機構を有する。これは、搬送装置301が、搬送部302を用いて搬送物を搬送する動作を実施する場合に、移動してしまうことを防ぐためである。
図25A乃至図25Gを参照しながら、該機構について説明する。図25A乃至図25Gは、搬送装置301の構成例を表す斜視図である。
図25A乃至図25Gに示すように、搬送装置301は、移動部303を床から浮かす(または、壁から離す)支柱を有していてもよい。該支柱は、搬送動作の間に壁や床等と接触している。該支柱は、集団搬送の場合に、移動部303と外部との間の接触を解除する。該支柱は、移動動作の間に壁や床等と接触していない。
搬送装置301は、下部に少なくとも3本の支柱を有していてもよい。この場合に、搬送装置301を安定して固定することができるという効果を奏する。あるいは、図25A等に例示するように、搬送装置301は、下部に2本の支柱を有していてもよい。この場合に、図25Fに例示するように、搬送装置301は、他搬送装置と結合しながら、壁や床等と移動部303との間の接触をなくしてもよい。この場合に、制御部304は、集団搬送を実施する際に、他搬送装置または固定物と結合するよう結合部を制御するとともに、移動部303と外部との間の接触を解除するよう支柱を制御する。このような態様によって、少ない支柱であっても安定した状態を保つことができるという効果を奏する。
搬送装置301は、搬送動作の間に、対象システム101における壁や柱等の固定物と接触する構造を有していてもよい。たとえば、搬送装置301は、倒れやすい方向にある固定物と接触する支柱を有していてもよい。このような態様によって、搬送装置301をより安定にすることができるという効果を奏する。
図25A乃至図25Gに例示するように、搬送装置301の側面がなす形状は、円や、楕円等の円形状であってもよい。あるいは、搬送装置301の側面がなす形状は、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形状であってもよい。対象システム101における搬送装置301の側面がなす形状は、1つの形状であるとは限らず、複数の形状であってもよい。たとえば、対象システム101は、側面がなす形状が正方形である搬送装置301と、側面がなす形状が正八角形である搬送装置301とを含んでいてもよい。対象システム101は、側面がなす形状が正三角形である搬送装置301と、側面がなす形状が正六角形である搬送装置301とを含んでいてもよい。このような構造によって、複数の搬送装置301間における隙間を少なくすることができるという効果を奏する。搬送装置301の側面がなす形状は、上述した例に限定されない。
搬送装置301は、側面に柔軟な部材を有していてもよい。柔軟な部材は、たとえば、柔らかいスポンジ、ブラシ、軟質樹脂、気泡緩衝剤などの柔軟性のある弾性体である。柔軟な部材は、ばね等の伸縮性のある部材を含んでいてもよい。
弾性体を有する搬送装置301が集団を形成する際に、図26に例示するように、該集団の外側における搬送装置301は、該集団の内側における搬送装置301を押す動作を実施する。図26は、複数の搬送装置301が集団を形成する一例を概念的に表す図である。
図26に例示するように、弾性体を有する搬送装置301が集団を形成する際に、該集団の外側における搬送装置301は、該集団の内側における搬送装置301を押す。言い換えると、制御部304は、集団搬送を実施する際に、集団搬送を実施している他搬送装置と自搬送装置との間の隙間を弾性体によって埋めるよう移動部303を制御する。当該動作によって、複数の搬送装置301間における隙間、または、搬送装置301と構造物との間における隙間を少なくすることができるという効果を奏する。
図26の分散状態は、複数の搬送装置301が集団を形成する前の状態を表す。図26の集合状態は、複数の搬送装置301が集団を形成している状態を表す。図26の密集状態は、集団を形成している複数の搬送装置301がさらに密となっている集団を形成した状態を表す。したがって、複数の搬送装置301は、図26に例示されているように動作することによって、複数の搬送装置301間における隙間が、柔軟性のある弾性体を用いて減少するという効果を奏する。
隙間を少なくすることにより、複数の搬送装置301は、隙間からの荷物の落下を防ぐことができる。
上述した例において、搬送装置301と、搬送制御装置201とが別体であると仮定して、各動作について説明した。しかし、搬送装置301と、搬送制御装置201とは、1つの装置として実現されていてもよい。
搬送装置301は、図4及び図5を参照しながら上述したような処理と、図6及び図7を参照しながら上述したような処理とを実行してもよい。搬送装置301は、図4及び図5を参照しながら上述したような処理と、図6及び図7を参照しながら上述したような処理とを実行してもよい。搬送装置301は、図4及び図5を参照しながら上述したような、搬送制御装置201における処理のうち、一部の処理を実行してもよい。
あるいは、搬送制御装置201は、搬送装置301における制御部304が有する機能を有していてもよい。この場合は、搬送制御装置201は、搬送装置301が有する搬送部302、及び、移動部303等を制御する。この場合に、搬送制御装置201における指示部204は、搬送装置301における制御部304の動作と同様な処理を実行することができる。指示部204は、たとえば、制御部304の動作と同様な処理を実行することによって、移動部303及び搬送部302に対して実施する制御内容を決定し、決定した該制御内容を搬送装置301に対して指示する。該制御内容は、たとえば、制御装置の位置や、制御装置の向きを表す情報である。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図27を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る搬送制御装置401が有する構成について詳細に説明する。図27は、本発明の第2の実施形態に係る搬送制御装置401が有する構成を示すブロック図である。
第2の実施形態に係る搬送制御装置401は、判定部402と、指示部403とを有する。
搬送制御装置401は、制御対象である搬送装置と、通信ネットワークを介して通信可能に接続されている。搬送装置は、たとえば、図2を参照しながら上述したような装置である。
搬送制御装置401は、対象システムにおいて実施される搬送動作を、搬送装置を制御しながら実施する。対象システムは、図3を参照しながら上述したようなシステムである。対象システムは、複数のワークステーションを有する。
次に、図28を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る搬送制御装置401における処理について詳細に説明する。図28は、第2の実施形態に係る搬送制御装置401における処理の流れを示すフローチャートである。
判定部402は、複数のワークステーション間における搬送処理の負荷が、集団搬送の実施の要否を判定する基準を満たすか否かを判定する(ステップS401)。
該負荷は、搬送元であるところのワークステーションから、搬送先であるところのワークステーションに搬送物を搬送する処理に要する負荷を表し、たとえば、該2つのワークステーション間にて搬送される搬送量を表す。
該基準は、上述したような、搬送態様を判定する判定基準である。言い換えると、該基準は、複数の搬送装置が連携しながら搬送する集団搬送の実施の要否を判定する基準である。
したがって、判定部402は、搬送元から搬送先へ搬送物を搬送する搬送処理の負荷が、複数の搬送装置が連携しながら搬送する集団搬送の実施の要否を判定する基準を満たすか否かに応じて、前記複数の搬送装置の集団を形成するのか否かを判定する。
集団搬送を形成すると判定した場合には(ステップS401にてYES)、指示部403は、複数の搬送装置に、集団を形成するよう移動することを指示する(ステップS402)。
複数の搬送装置は、該指示に従い、集団搬送を実施する集団を形成し、搬送元から搬送先まで搬送物を搬送する動作を実施する。
判定部402は、図1を参照しながら上述したような判定部202が有する機能を用いて実現することができる。指示部403は、図1を参照しながら上述したような指示部204が有する機能を用いて実現することができる。したがって、搬送制御装置401は、図1を参照しながら上述したような搬送制御装置401が有する機能を用いて実現することができる。
次に、本発明の第2の実施形態に係る搬送制御装置401に関する効果について説明する。
第2の実施形態に係る搬送制御装置401によれば、高い搬送効率を実現することができる。この理由は、搬送処理の負荷に応じて搬送態様を決定し、該搬送態様に従い搬送装置を制御するからである。この理由について詳細に説明する。
図14B、または、図18A乃至図18Dを参照しながら上述したように、集団搬送は、個別搬送に比べて、大きな搬送物を搬送することができる。また、搬送処理における複数の搬送物間の距離は、個別搬送に比べて、集団搬送の方が短い。また、個別搬送は、搬送制御装置自身の移動速度より高速には運べないが、集団搬送は自分自身を移動させる必要が無く、荷物だけ動かせばよいので、一般に搬送部の単位時間当たりの搬送速度は個別搬送より速い。よって、集団搬送は、個別搬送に比べて、高い搬送性能を有している。
また、搬送制御装置401は、搬送処理の負荷に基づき、搬送態様を決定する。たとえば、搬送制御装置401は、負荷が高い搬送処理に対して集団搬送を割り当て、そうではない搬送処理に対して個別搬送を割り当てる。言い換えると、搬送制御装置401は、搬送処理の負荷に応じて、搬送物を効率的に搬送することが可能な搬送態様を決定する。したがって、搬送制御装置401によれば、高い搬送効率を実現することができる。
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図29を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置501が有する構成について詳細に説明する。図29は、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置501が有する構成を示す斜視図である。
第3の実施形態に係る搬送装置501は、搬送部502と、移動部503と、制御部504とを有する。
移動部503は、搬送装置501の移動を制御する。言い換えると、移動部503は、搬送装置501の移動を可能にする。移動部503は、たとえば、車輪、無限軌道(たとえば、クローラ)、エアクッション、または、プロペラ等を用いて実現することができる。
搬送部502は、搬送物を搬送する。搬送部502は、たとえば、図15A乃至図18Dを参照しながら上述したように、ベルト、タイヤ、フラッパー、空気噴射、車輪、ベルトコンベア、チェーンコンベア、駆動式ローラ等を用いて搬送物を搬送する。
制御部504は、外部から指示を受け取り、受け取った該指示に従い、移動部503の動作、及び、搬送部502の動作を制御する。該指示は、搬送元から搬送先まで複数の搬送装置501が連携しながら搬送する集団搬送(図14Bを用いた説明を参照)を実施すること、または、搬送元から搬送先まで搬送物を運ぶ個別搬送を実施することを表す。
次に、図30を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置501の動作について詳細に説明する。図30は、第3の実施形態に係る搬送装置501における動作の流れを示すフローチャートである。
制御部504は、指示を受け取り(ステップS501)、該指示が集団搬送を表すのか、個別搬送を表すのかを判定する(ステップS502)。
指示が集団搬送の実施を表す場合に(ステップS502にてYES)、制御部504は、該集団搬送を実施する集団を形成する位置に移動するよう移動部503を制御する(ステップS503)。制御部504は、さらに、該位置にて搬送物を搬送するよう搬送部502を制御する(ステップS504)。
指示が個別搬送の実施を表す場合に(ステップS502にてNO)、制御部504は、搬送元から搬送先まで搬送物を搬送するよう移動部503を制御する(ステップS505)。
移動部503は、図2を参照しながら上述したような移動部303が有する機能を用いて実現することができる。搬送部502は、図2を参照しながら上述したような搬送部302が有する機能を用いて実現することができる。制御部504は、図2を参照しながら上述したような制御部304が有する機能、図1を参照しながら上述したような判定部202が有する機能、決定部203が有する機能、及び、指示部204が有する機能を用いて実現することができる。したがって、搬送装置501は、図1を参照しながら上述したような搬送制御装置201が有する機能、及び、図2を参照しながら上述したような搬送装置301が有する機能を用いて実現することができる。
次に、本発明の第3の実施形態に係る搬送装置501に関する効果について説明する。
第3の実施形態に係る搬送装置501によれば、高い搬送効率を実現することができる。この理由は、搬送装置501が、指示に応じて搬送態様を変えるからである。
図14B、または、図18A乃至図18Dを参照しながら上述したように、集団搬送は、個別搬送に比べて、大きな搬送物を搬送することができる。また、搬送処理における複数の搬送物間の距離は、個別搬送に比べて、集団搬送の方が短い。よって、集団搬送は、個別搬送に比べて、高い搬送性能を有している。
また、搬送装置501は、指示に応じて搬送態様を変える。たとえば、搬送装置501は、負荷が高い搬送処理に対して集団搬送を実施し、そうではない搬送処理に対して個別搬送を実施する。言い換えると、搬送装置501は、指示に応じて、搬送物を効率的に搬送するよう搬送態様を変える。したがって、搬送装置501によれば、高い搬送効率を実現することができる。
(ハードウェア構成例)
上述した本発明の各実施形態に係る搬送装置、または、搬送制御装置を、1つの計算処理装置(情報処理装置、コンピュータ)を用いて実現するハードウェア資源の構成例について説明する。但し、係る搬送装置、または、搬送制御装置は、物理的または機能的に少なくとも2つの計算処理装置を用いて実現されてもよい。また、係る搬送装置、または、搬送制御装置は、専用の装置として実現されてもよい。
図31は、本発明の各実施形態に係る搬送装置、または、搬送制御装置を実現可能な計算処理装置のハードウェア構成例を概略的に示すブロック図である。計算処理装置20は、中央処理演算装置(Central_Processing_Unit、以降「CPU」と表す)21、揮発性記憶装置22、ディスク23、不揮発性記録媒体24、及び、通信インターフェース(以降、「通信IF」と表す)27を有する。計算処理装置20は、入力装置25、出力装置26に接続可能であってもよい。計算処理装置20は、通信IF27を介して、他の計算処理装置、及び、通信装置と情報を送受信することができる。
不揮発性記録媒体24は、コンピュータが読み取り可能な、たとえば、コンパクトディスク(Compact_Disc)、デジタルバーサタイルディスク(Digital_Versatile_Disc)である。また、不揮発性記録媒体24は、ユニバーサルシリアルバスメモリ(USBメモリ)、ソリッドステートドライブ(Solid_State_Drive)等であってもよい。不揮発性記録媒体24は、電源を供給しなくても係るプログラムを保持し、持ち運びを可能にする。不揮発性記録媒体24は、上述した媒体に限定されない。また、不揮発性記録媒体24の代わりに、通信IF27、及び、通信ネットワークを介して係るプログラムを持ち運びしてもよい。
揮発性記憶装置22は、コンピュータが読み取り可能であって、一時的にデータを記憶することができる。揮発性記憶装置22は、DRAM(dynamic random Access memory)、SRAM(static random Access memory)等のメモリ等である。
すなわち、CPU21は、ディスク23に格納されているソフトウェア・プログラム(コンピュータ・プログラム:以下、単に「プログラム」と称する)を、実行する際に揮発性記憶装置22にコピーし、演算処理を実行する。CPU21は、プログラム実行に必要なデータを揮発性記憶装置22から読み取る。表示が必要な場合に、CPU21は、出力装置26に出力結果を表示する。外部からプログラムを入力する場合に、CPU21は、入力装置25からプログラムを読み取る。CPU21は、上述した図1、図2、図27、または、図29に示す各部が表す機能(処理)に対応するところの揮発性記憶装置22にある制御プログラム(図4乃至図7、図15A乃至図18D、図28、または、図30)を解釈し実行する。CPU21は、上述した本発明の各実施形態において説明した処理を実行する。
すなわち、このような場合に、本発明の各実施形態は、係る制御プログラムによっても成し得ると捉えることができる。さらに、係る制御プログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な不揮発性の記録媒体によっても、本発明の各実施形態は成し得ると捉えることができる。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかし、本発明は、上述した実施形態には限定されない。すなわち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
尚、上述した各実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうる。しかし、上述した各実施形態により例示的に説明した本発明は、以下には限られない。
(付記1)
搬送元から搬送先へ搬送物を搬送する搬送処理の負荷が、複数の搬送装置が連携しながら搬送する集団搬送の実施の要否を判定する基準を満たすか否かに応じて、前記複数の搬送装置の集団を形成するのか否かを判定する判定手段と、
前記集団を形成すると判定した場合には、前記集団を形成するよう前記複数の搬送装置に移動を指示する指示手段と
を備える搬送制御装置。
(付記2)
前記指示手段は、前記負荷が前記基準を満たしていないと判定した場合には、前記複数の搬送装置とは異なる搬送装置に、前記搬送元から前記搬送先へ前記搬送物を搬送するよう指示する
付記1に記載の搬送制御装置。
(付記3)
前記搬送元から前記搬送先までの搬送経路を決定する決定手段
をさらに備え、
前記指示手段は、前記複数の搬送装置に、前記搬送経路に沿って前記集団を形成するように移動することを指示する
付記1または付記2に記載の搬送制御装置。
(付記4)
前記指示手段は、前記搬送装置に集団を形成するよう、前記複数の搬送装置の各々に対して、該搬送装置の向きと、該搬送装置の位置とを指示する
付記1乃至付記3のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記5)
前記指示手段は、前記搬送経路を形成するよう移動し、移動後の位置にて前記搬送物を搬送し、搬送が完了するのに応じて、前記搬送経路にて前記搬送物が移動する向きに前記搬送経路を形成するよう移動することを指示する
付記3に記載の搬送制御装置。
(付記6)
前記指示手段は、前記複数の搬送装置が連結している態様にて、前記搬送元から前記搬送先まで移動することを、前記複数の搬送装置に指示する
付記1乃至付記4のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記7)
前記基準は、前記負荷が高いか否かを判定する閾値以上であるという条件である
付記1乃至付記6のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記8)
前記搬送先及び前記搬送元であるところのワークステーションを複数含む対象システムにおいて、前記搬送先及び前記搬送元のペアは、前記ワークステーションの位置に基づき複数のグループに分類されていて、
前記判定手段は、前記複数のグループのそれぞれごとに、前記集団を形成するのか否かを判定する
付記1乃至付記7のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記9)
前記搬送先及び前記搬送元となるワークステーションを複数含む対象システムにおいて、前記搬送先及び前記搬送元のペアは、当該ペアの間を搬送する搬送物の種類に基づき、複数のグループに分類されていて、
前記対象システムにおける搬送装置は、前記複数のグループごとに割り当てられ、
前記判定手段は、前記複数のグループのそれぞれごとに、前記集団を形成するのか否かを判定する
付記1乃至付記8のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記10)
前記負荷は、前記搬送物を前記搬送先に搬送する期限までの時間であり、
前記基準は、該時間が、前記搬送先への到着が遅延する可能性があることを表す値より小さいという基準である
付記1乃至付記9のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記11)
前記判定手段は、前記搬送先及び前記搬送元であるところのワークステーションを複数含む対象システムにおける前記搬送物のスループットが、前記判定手段の処理を開始すると判定する基準を満たすことをトリガーとして、前記処理を開始する
付記1乃至付記10のいずれかに記載の搬送制御装置。
(付記12)
前記指示手段は、決定した前記搬送経路から搬送装置までの距離に基づき、前記搬送経路を形成する搬送装置を決定する
付記3または付記5に記載の搬送制御装置。
(付記13)
情報処理装置が、搬送元から搬送先へ搬送物を搬送する搬送処理の負荷が、複数の搬送装置が連携しながら搬送する集団搬送の実施の要否を判定する基準を満たすか否かに応じて、前記複数の搬送装置の集団を形成するのか否かを判定し、前記集団を形成すると判定した場合には、前記集団を形成するよう前記複数の搬送装置に移動を指示する
搬送制御方法。
(付記14)
搬送元から搬送先へ搬送物を搬送する搬送処理の負荷が、複数の搬送装置が連携しながら搬送する集団搬送の実施の要否を判定する基準を満たすか否かに応じて、前記複数の搬送装置の集団を形成するのか否かを判定する判定機能と、
前記集団を形成すると判定した場合には、前記集団を形成するよう前記複数の搬送装置に移動を指示する指示機能と
をコンピュータに実現させる搬送制御プログラムが格納された記録媒体。