JP7180526B2 - 基材の製造方法及び基材の製造装置 - Google Patents

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Description

本明細書で開示される技術は、基材の製造方法及び基材の製造装置に関する。
従来、基材の製造方法として、繊維マットを加熱しつつ成形することで板状の基材を製造する方法が知られている。繊維マットの製造方法としては、開繊シリンダ及びコンベアを用いたものが知られている(下記特許文献1)。特許文献1には、開繊シリンダによって繊維を開繊すると共に空中へ放出し、放出した繊維をコンベア上に堆積させることで繊維ウェブ(繊維堆積体)を形成した後、繊維ウェブを構成する繊維同士を交絡させることで繊維マット(繊維集合体)を製造する方法が記載されている。
特開2004-339653号公報
上記方法において、仮に繊維の方向が揃った状態で繊維ウェブが形成されてしまうと、この繊維ウェブから製造された基材においては、繊維の方向と直交する方向における基材の引張強度が、繊維の方向における基材の引張強度と比べて低くなる事態が懸念され、この点について改善の余地があった。
本明細書で開示される技術は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、基材において繊維の方向が揃う事態を抑制することを目的とする。
上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される基材の製造方法は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維から板状の基材を製造する基材の製造方法であって、前記混合繊維を動作中のコンベアの上面に堆積させることで繊維ウェブを形成する繊維ウェブ形成工程と、前記繊維ウェブ形成工程の後に実行され、前記繊維ウェブに含まれる繊維同士を交絡させることで前記繊維ウェブを不織布とする不織布形成工程と、前記不織布形成工程の後に実行され、前記不織布を加熱プレスすることで前記基材を成形する基材成形工程と、を備え、前記繊維ウェブ形成工程では、複数の突起が形成された前記上面に前記混合繊維を堆積させることに特徴を有する。
繊維ウェブ形成工程では複数の突起が形成されたコンベアの上面に混合繊維を堆積させる。突起上に落下した混合繊維は、突起の表面を滑落する過程で、その表面の形状に倣う方向を向くようになる。この時、混合繊維は突起のどの表面に落下するかによって様々な方向を向くことになる。この結果、繊維ウェブにおいて混合繊維の方向が揃う事態を抑制できるから、基材において繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
また、前記コンベアは、メッシュコンベアとされ、前記繊維ウェブ形成工程では、前記混合繊維を、吸引装置によって前記上面に吸引するものとすることができる。混合繊維をコンベアの上面により早く落下させることができ、繊維ウェブをより短時間で形成することができる。
また、前記繊維ウェブ形成工程では、前記混合繊維を前記コンベアの前記上面において前記突起よりも高い位置まで堆積させるものとすることができる。混合繊維をコンベアの上面に堆積させる際に、突起よりも高い位置まで混合繊維を堆積させることで、突起の頂部よりも低い箇所で堆積された混合繊維によって、突起の表面形状に倣う方向を向く繊維の層(第1繊維層)が形成される。ここで、第1繊維層には、突起の形状が転写された凹部が形成される。これに対して、突起の頂部よりも高い箇所で積層された混合繊維は、突起の影響を受け難い。このため、突起の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維によって、平坦な層(第2繊維層)が形成される。この第2繊維層は、繊維ウェブにおいて、凹部が形成された箇所の厚さを確保する機能を有している。このように、上記方法によれば、凹部が形成された箇所において繊維ウェブの厚さを確保する第2繊維層を備えることで、凹部が形成された箇所の繊維密度をある程度確保することができ、基材において凹部に対応する箇所の強度が低下する事態を抑制することができる。
また、前記繊維ウェブ形成工程では、開繊シリンダから空中に放出された前記混合繊維を前記上面に堆積させるものとすることができる。開繊シリンダを用いる場合には、混合繊維の方向が開繊シリンダの回動方向に揃い易くなる。コンベアの上面に突起を設けることで、繊維ウェブひいては基材において、開繊シリンダの回動方向に沿って混合繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
また、上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される基材の製造方法は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む第1混合繊維と、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む第2混合繊維とから板状の基材を製造する基材の製造方法であって、回動する第1開繊シリンダから空中に放出された前記第1混合繊維を動作中の第1コンベアの上面に堆積させることで第1繊維ウェブを形成する第1繊維ウェブ形成工程と、回動する第2開繊シリンダから空中に放出された前記第2混合繊維を動作中の第2コンベアの上面に堆積させることで第2繊維ウェブを形成する第2繊維ウェブ形成工程と、前記第1繊維ウェブ形成工程及び前記第2繊維ウェブ形成工程の後に実行され、前記第1繊維ウェブにおける前記第1コンベアとは反対側の面と前記第2繊維ウェブにおける前記第2コンベアとは反対側の面とが対向する形で前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを重ねることで第3繊維ウェブを形成する第3繊維ウェブ形成工程と、前記第3繊維ウェブ形成工程の後に実行され、前記第3繊維ウェブに含まれる繊維同士を交絡させることで前記第3繊維ウェブを不織布とする不織布形成工程と、前記不織布形成工程の後に実行され、前記不織布を加熱プレスすることで前記基材を成形する基材成形工程と、を備え、前記第1繊維ウェブ形成工程では、複数の第1突起が形成された前記第1コンベアの前記上面に前記第1突起よりも高い位置まで前記第1混合繊維を堆積させ、前記第2繊維ウェブ形成工程では、複数の第2突起が形成された前記第2コンベアの前記上面に前記第2突起よりも高い位置まで前記第2混合繊維を堆積させることに特徴を有する。
各繊維ウェブ形成工程では、複数の突起が形成された各コンベアの上面に混合繊維を堆積させる。突起上に落下した混合繊維は、突起の表面を滑落する過程で、その表面の形状に倣う方向を向くようになる。つまり、混合繊維の方向は、各開繊シリンダの回動方向に沿う方向から、突起の表面形状に倣う方向に変化する。この時、突起のどの部分に落下するかによって混合繊維は様々な方向を向くようになる。この結果、各繊維ウェブ(第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブ)においては、開繊シリンダの回動方向に沿って混合繊維の方向が揃う事態を抑制できる。これにより、第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブからなる基材において繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
そして、各繊維ウェブにおいては、突起の頂部よりも低い箇所で堆積された混合繊維によって、突起の表面形状に倣う方向を向く繊維の層(第1繊維層)が形成される。これに対して、突起の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維は、突起の影響を受け難いことから、突起の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維によって、開繊シリンダの回動方向に沿って繊維の向きが揃う繊維の層(第2繊維層)が形成される。つまり、各繊維ウェブにおいては、コンベア側から第1繊維層、第2繊維層の順番で積層されている。
このため、各繊維ウェブにおいてコンベアとは反対側の面(第2繊維層側の面)を互いに対向する形で、第1繊維ウェブと第2繊維ウェブとを重ねることで第3繊維ウェブとすれば、第3繊維ウェブの両面は、いずれも第1繊維層(繊維が揃っていない繊維層)によって構成されることになる。このような第3繊維ウェブから基材を製造することで、基材が表側が凸となるように曲げられた場合及び裏側が凸となるように曲げられた場合の双方において、基材の表裏両面付近の強度をより高くすることができる。
また、上記課題を解決するための手段として、本明細書で開示される基材の製造装置は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維から板状の基材を製造することが可能な基材の製造装置であって、前記混合繊維を開繊することが可能な開繊シリンダと、前記開繊シリンダから空中に放出された前記混合繊維を堆積させることが可能な上面を有し、前記上面に前記混合繊維を堆積させつつ前記混合繊維を搬送することで繊維ウェブを形成することが可能なコンベアと、前記繊維ウェブに含まれる繊維同士を交絡させることで前記繊維ウェブを不織布とすることが可能な交絡装置と、前記不織布をプレス成形することで前記基材とすることが可能なプレス型と、を備え、前記上面には、複数の突起が形成されていることに特徴を有する。
複数の突起が形成されたコンベアの上面に混合繊維を堆積させると、突起上に落下した混合繊維は、突起の表面を滑落する過程で、その表面の形状に倣う方向を向くようになる。つまり、混合繊維の方向は、開繊シリンダの回動方向に沿う方向から、突起の表面形状に倣う方向に変化する。そして、突起のどの部分に落下するかによって混合繊維は様々な方向を向くようになる。この結果、繊維ウェブにおいては、開繊シリンダの回動方向に沿って混合繊維の方向が揃う事態を抑制できる。これにより、基材において繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
本発明によれば、基材において繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
本発明の実施形態1に係る不織布製造装置を示す図 プレス型を示す図(型開き状態) プレス型を示す図(型閉じ状態) コンベアを上方から視た平面図 突起を示す断面図(図4のV-V線で切断した図に対応) 突起を上方から視た図 混合繊維が堆積された状態のコンベアを示す斜視図 繊維ウェブを示す断面図(図4のVIII-VIII線で切断した図に対応) 繊維ウェブ及び突起の変形例を示す断面図 基材を第1繊維層側から視た図 基材を側方から視た断面図 基材を一対の成形型51,52によって製品形状(車両用内装材の形状)に成形する成形工程を示す断面図 比較例に係る不織布製造装置を示す図 比較例に係る不織布製造装置のコンベアを上方から視た図 比較例に係る基材110を示す正面図 比較例に係る基材110を側方から視た断面図 実施形態2に係る不織布製造装置を示す図 実施形態2に係る基材成形工程を示す図 実施形態2に係る基材210を側方から視た断面図 実施形態3に係る不織布製造装置を示す図 実施形態4に係る突起を示す側面図 実施形態4に係る突起を上方から視た図 実施形態5に係る突起を示す側面図 実施形態5に係る突起を上方から視た図 実施形態6に係る突起を示す側面図 実施形態6に係る突起を上方から視た図
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1から図16によって説明する。本実施形態では、ドアトリム等の車両用内装材(乗物用内装材)として用いられる基材10を例示する。基材10は、板状をなし、植物性繊維と熱可塑性樹脂とを含むものとされる。基材10に含まれる植物性繊維としては、ケナフ等の靭皮植物繊維や繊維木材等を解繊して得た木質繊維等を例示することができる。基材10は、後述する不織布11(繊維マット)をプレス成形することで得られ、熱可塑性樹脂が植物性繊維を結着するバインダーとして機能する。基材10に含まれる熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエステル系樹脂(ポリ乳酸、ポリカプロラクトン等の脂肪族ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂)等を例示することができる。
次に基材10を製造するための基材製造装置20(基材の製造装置)について説明する。基材製造装置20は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維12から板状の基材10を製造することが可能なものである。基材製造装置20は、図1及び図2に示すように、不織布製造装置21と、一対のプレス型22A,22Bと、を備える。不織布製造装置21は、図1に示すように、繊維供給部23と、フィードコンベア24と、開繊シリンダ25と、コンベア26と、吸引装置27と、交絡装置28と、カッター29と、を備える。
フィードコンベア24は、繊維供給部23に投入された混合繊維12を開繊シリンダ25に搬送することが可能となっている。開繊シリンダ25は、円筒状をなすシリンダ本体25Aと、シリンダ本体25Aの表面(外周面)に形成された複数の突起部25Bと、を備える。複数の突起部25Bは、例えば、シリンダ本体25Aの表面に巻きつけられたガーネットワイヤによって構成されている。
開繊シリンダ25は、中心軸L1を中心として、開繊シリンダ25の上部が図1の右側に向かうように回転することが可能となっている。回転する開繊シリンダ25は、フィードコンベア24から送られた混合繊維12を、突起部25Bで引っ掻くようにして開繊することが可能となっている。また、開繊シリンダ25が回転することで、混合繊維12は、開繊シリンダ25の表面(突起部25B)に引っ掛けられることで上方に搬送され、その後、開繊シリンダ25の回転による遠心力によって、空中に放出される。
また、不織布製造装置21は、開繊シリンダ25の外周に沿って設けられたストリッパーローラ30及びウォーカローラ31を備える。ストリッパーローラ30及びウォーカローラ31の各表面には、開繊シリンダ25と同様にガーネットワイヤ等によって構成された突起部(図示せず)が形成されている。ウォーカローラ31は、開繊シリンダ25との間に混合繊維12を通過させることで、その混合繊維12に対して開繊処理を施す機能を有しており、ストリッパーローラ30は、ウォーカローラ31の表面に付着した混合繊維12を剥離する機能を有している。
コンベア26は網目状をなすメッシュコンベアとされる。コンベア26は、開繊シリンダ25から空中に放出された混合繊維12を堆積させることが可能な上面26Aを有している。コンベア26は、上面26Aに混合繊維12を堆積させつつ混合繊維12を図1の右側に搬送することで繊維ウェブ13を形成することが可能な構成となっている。なお、コンベア26による混合繊維12の搬送方向を矢線A1で示す。
吸引装置27は、コンベア26の下方に配され、空気を吸引することで、混合繊維12を上面26Aに吸引することが可能な構成となっている。交絡装置28は、例えば、ニードルパンチ装置とされ、繊維ウェブ13に含まれる繊維同士を交絡させることで繊維ウェブ13を不織布11とすることが可能な構成となっている。
図2に示すように、一対のプレス型22A,22B(プレス板、熱板)には、例えば、通電によって発熱するヒータなどの発熱手段が内蔵されている。これにより、プレス型22A,22Bは、所定の温度に加熱可能な構成となっており、不織布11を加熱プレスすることで、平板状の基材10(図3参照)とすることができる。なお、図3に示す基材10は、車両用内装材の製品形状に成形される前の状態であり、プレボードと呼ばれることがある。
コンベア26の表面(上面26A及び下面26B)には、図1及び図4に示すように、複数の突起41が形成されている。突起41は、例えば合成樹脂とされ、混合繊維12に対して高い摺動性を有する材質のものが好ましい。突起41は、図4及び図5に示すように、三角錐状をなしている。つまり、突起41は上方に向かうにつれて細くなる先細り状となっている。
また、図4の平面視において、コンベア26は、搬送方向A1に沿って長い方形状をなしており、コンベア26の表面上には、コンベア26の幅方向(図4の上下方向)に並ぶ突起41の列が、搬送方向A1に沿って複数列並ぶ形で配されている。なお、搬送方向A1に並ぶ複数の突起41の列において、ある突起41の列を突起列B1とし、この突起列B1と搬送方向A1において隣り合う突起41の列を突起列B2とした場合に、突起列B1の突起41と突起列B2の突起41とは、コンベア26の幅方向における位置が異なるものとされる。詳しくは、突起列B1において両端に配される突起41を除いた突起41は、コンベア26の幅方向において、突起列B2における隣り合う一対の突起41,41の中間位置と一致する箇所に配されている。また、突起41は、平面視において正三角形状をなしており、平面視における三角形の中線のうち一つの中線L2(図4参照)が搬送方向A1と一致する形で配されている。
次に本実施形態の基材10の製造方法について説明する。本実施形態の基材10の製造方法は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維12から板状の基材10を製造するものであり、混合繊維12を動作中のコンベア26の上面26Aに堆積させることで繊維ウェブ13を形成する繊維ウェブ形成工程と、繊維ウェブ形成工程の後に実行され、繊維ウェブ13に含まれる繊維同士を交絡させることで繊維ウェブ13を不織布11とする不織布形成工程と、不織布形成工程の後に実行され、不織布11を加熱プレスすることで基材10を成形する基材成形工程と、を備える。
繊維ウェブ形成工程では、図1に示すように、繊維供給部23からフィードコンベア24によって開繊シリンダ25に供給された混合繊維12を回転する開繊シリンダ25によって開繊すると共に、開繊シリンダ25から空中に放出された混合繊維12(開繊された繊維)を動作中のコンベア26の上面26Aに堆積させる。なお、図1において開繊シリンダ25の回転方向を矢線A2で示す。上面26Aに堆積された混合繊維12は、コンベア26の動作によって図1の右側に搬送される。このため、上面26Aへの混合繊維12の堆積及び堆積された混合繊維の搬送を連続的に行うことで、上面26Aに開繊された混合繊維12からなる繊維ウェブ13が形成される。繊維ウェブ形成工程では、開繊シリンダ25から空中に放出された混合繊維12を、吸引装置27によって上面26Aに吸引する。より詳しくは、吸引装置27は、網目状をなすコンベア26の通気孔26D(図5参照)を通じて、混合繊維12を吸引する。
繊維ウェブ形成工程では、複数の突起41が形成された上面26Aに混合繊維12を堆積させる。このため、上面26Aに落下した混合繊維12のうち、突起41上に落下した混合繊維12(より詳しくは混合繊維12を構成する繊維の各々)は、図5に示すように、突起41の表面(傾斜面)に沿って滑落し、図6に示すように、突起41の表面の形状に倣う方向を向くようになる。なお、三角錐形状をなす突起41は、3つの傾斜面41A,41B,41Cを有しているため、3つの傾斜面41A,41B,41Cのうち、どの傾斜面41A,41B,41Cに沿って滑落するかによって、滑落後の混合繊維12の向きは異なるものとなる。なお、図6においては、突起41の表面に落下する直前の混合繊維12(符号12Aを付す)を2点鎖線で図示しており、傾斜面41Aに沿って滑落した混合繊維12を実線で図示している。この結果、図7に示すように、上面26Aには、各傾斜面41A,41B,41Cに倣う方向で開繊された混合繊維12が堆積することになる。つまり、突起41上に落下した混合繊維12(より詳しくは混合繊維12を構成する繊維の各々)は、突起41のどの部分(傾斜面41A,41B,41C)に落下するかによって、その向きが変わることになる。
なお、開繊シリンダ25によって混合繊維12が開繊される過程では、混合繊維12は、突起部25Bによって引っ掻かれる。このため、開繊シリンダ25から放出された混合繊維12の向きは、突起部25Bによる引っ掻き方向(開繊シリンダ25の回転方向)に沿う方向となる。つまり、混合繊維12(より詳しくは、混合繊維12を構成する各繊維)は、突起41の表面に落下する直前では、開繊シリンダ25の回転方向に沿う方向(ひいてはコンベア26による搬送方向A1)を向いている。なお、ここで言う繊維の向きとは、繊維の長手方向(延設方向)のことである。つまり、突起41の作用によって、開繊シリンダ25から放出された混合繊維12の向きは変化することになり、傾斜面41A,41B,41Cのいずれかの向きに倣う比較的不揃いな向きとなる。
また、図8に示すように、繊維ウェブ形成工程では、混合繊維12をコンベア26の上面26Aにおいて突起41よりも高い位置まで堆積させる。この結果、上面26Aに堆積された混合繊維12のうち、突起41の頂部よりも低い箇所で堆積した混合繊維12によって突起41の表面形状に倣う方向を向く繊維の層(第1繊維層13A)が形成される。ここで、第1繊維層13Aには、突起41の形状が転写された凹部14が形成される。
これに対して、突起41の頂部よりも高い箇所で積層された混合繊維は、突起41の影響を受け難い(又は突起41の影響を殆ど受けない)。このため、突起41の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維12によって、平坦な層(第2繊維層13B)が形成される。つまり、第2繊維層13Bを構成する混合繊維12は、コンベア26による搬送方向A1に沿う方向を向いている。つまり、繊維ウェブ13は、コンベア26に近い側から第1繊維層13A及び第2繊維層13Bの順番で積層されてなるものとされる。第2繊維層13Bは、これを構成する繊維が同じ方向(搬送方向A1)に揃っている繊維層であり、第1繊維層13Aは、第2繊維層13Bに比べて、繊維の向きが不揃いとなっている繊維層である。なお、第1繊維層13Aの厚さは、上面26Aに形成する突起41の高さを変更することで変更することが可能である。このため、図9に示すように、図8の突起41よりも高い突起41(符号42を付す)を上面26Aに形成することで、第1繊維層13Aの厚さをより大きくすることが可能である。
つまり、上面26Aに堆積する混合繊維12の量が同じである場合において、上面26Aに形成する突起41の高さを変えることで第1繊維層13Aと第2繊維層13Bの厚さの割合を変えることが可能となる。なお、突起41を高くして、第1繊維層13Aをより厚くすれば、繊維ウェブ13において繊維の向きが不揃いとなっている部分を増やすことができる。しかしながら、突起41を高くする(第1繊維層13Aを厚くする)と、凹部14が深くなってしまう。凹部14が深くなると、繊維ウェブ13が突起41から剥がれ難くなる。このため、繊維ウェブ13が突起41から剥がれ難い場合には、突起41を低くすることが好ましい。
不織布形成工程では、図1に示すように、交絡装置28を用いて、繊維ウェブ13に含まれる繊維(主に熱可塑性樹脂繊維)同士を交絡させることで繊維ウェブ13を不織布11とする。なお、不織布形成工程では、ニードルパンチ式の交絡装置28以外の交絡装置(例えばウォータージェット式の交絡装置等)を用いてもよい。
基材成形工程では、図2に示すように、一対のプレス型22A,22Bの間に不織布11を配置した後、図3に示すように、加熱した状態の一対のプレス型22A,22Bによって不織布11を加熱プレスすることで基材10を成形する。基材成形工程における不織布11の加熱温度は、不織布11に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融する温度以上とされる。これにより、不織布11に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融することで植物性繊維を結着するバインダーとして機能することになる。
この結果、図10及び図11に示すように、熱可塑性樹脂繊維が溶融した熱可塑性樹脂と、混合繊維12に含まれる植物性繊維15(図10参照)とからなる基材10が製造される。なお、図11に示すように、基材10は不織布11を圧縮したものであるため、基材10は不織布11と同様に第1繊維層13Aと第2繊維層13Bとを備える。なお、基材10を車両用内装材として用いる場合には、基材10を加熱した状態で、図12に示すように、一対の成形型51,52によって所定の製品形状に成形する。
なお、一般的に、植物性繊維は、化学繊維である熱可塑性樹脂繊維よりも繊維径が大きいためニードルパンチのバーブに掛かり難く、ニードルパンチによる交絡処理の影響を受け難い。このため、不織布形成工程において繊維ウェブ13の交絡処理を行った場合であっても、植物性繊維15については、第1繊維層13Aと第2繊維層13Bとがある程度維持された状態となっている。
次に本実施形態の効果について説明する。繊維ウェブ形成工程では複数の突起41が形成されたコンベア26の上面26Aに混合繊維12を堆積させる。突起41上に落下した混合繊維12は、突起41の表面(傾斜面41A,41B,41C)を滑落する過程で、その表面の形状に倣う方向を向くようになる。この時、混合繊維12は突起41のどの表面(傾斜面41A,41B,41C)に落下するかによって様々な方向を向くことになる。この結果、繊維ウェブ13において混合繊維12の方向が揃う事態を抑制できるから、基材10において繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
比較例の不織布製造装置121(図13参照)のように、突起41を備えていないコンベア26上に混合繊維12を堆積させ、繊維ウェブ113を形成した場合、図14に示すように、混合繊維12は、開繊シリンダ25の回転方向(コンベア26による搬送方向A1)に沿う方向を向いてしまう。この結果、繊維ウェブ113から製造した基材110においては、図15及び図16に示すように、混合繊維12のうち植物性繊維15の向きが揃ってしまう。なお、図15及び図16では左右方向に植物性繊維15の向きが揃っている場合を例示している。このような基材110においては、植物性繊維15の方向と直交する方向(図15の上下方向)における基材110の引張強度が、植物性繊維15の方向(図15の左右方向)における基材110の引張強度と比べて低くなる。なお、基材110を車両用内装材として用いる場合には、一対の成形型51,52(図12参照)によって所定の製品形状に成形する。成形時には、基材110が立体形状に成形される。この時、基材110に植物性繊維15の方向と直交する方向の応力が作用すると、基材110が部分的に破断する事態が懸念される。本実施形態の基材10は、図10に示すように、植物性繊維15の向きが不揃いとなっている第1繊維層13Aを備えるため、特定の方向における引張強度が低下してしまう事態を抑制することができ、基材10を製品形状に成形する際に基材10が破断する事態をより確実に抑制することができる。
また、コンベア26は、メッシュコンベアとされ、繊維ウェブ形成工程では、混合繊維12を、吸引装置27によって上面26Aに吸引する。混合繊維12をコンベア26の上面26Aにより早く落下させることができ、繊維ウェブ13をより短時間で形成することができる。また、吸引装置27によって混合繊維12を吸引することで、混合繊維12が突起41の表面(傾斜面41A,41B,41C)を滑ることを促進することができる。
また、繊維ウェブ形成工程では、混合繊維12をコンベア26の上面26Aにおいて突起41よりも高い位置まで堆積させる。混合繊維12をコンベア26の上面26Aに堆積させる際に、突起41よりも高い位置まで混合繊維12を堆積させることで、突起41の頂部よりも低い箇所で堆積された混合繊維12によって、突起41の表面形状に倣う方向を向く繊維の層(第1繊維層13A、図8参照)が形成される。ここで、第1繊維層13Aには、突起41の形状が転写された凹部14が形成される。
これに対して、突起41の頂部よりも高い箇所で積層された混合繊維12は、突起41の影響を受け難い。このため、突起41の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維12によって、平坦な層(第2繊維層13B)が形成される。この第2繊維層13Bは、繊維ウェブ13において、凹部14が形成された箇所の厚さを確保する機能を有している。このように、本実施形態の方法によれば、凹部14が形成された箇所において繊維ウェブ13の厚さを確保する第2繊維層13Bを備えることで、凹部14が形成された箇所の繊維密度をある程度確保することができ、基材10において凹部14に対応する箇所の強度が低下する事態を抑制することができる。
また、繊維ウェブ形成工程では、開繊シリンダ25から空中に放出された混合繊維12を上面26Aに堆積させる。開繊シリンダ25を用いる場合には、混合繊維12の方向が開繊シリンダ25の回動方向に揃い易くなる。コンベア26の上面26Aに突起41を設けることで、混合繊維12の方向を突起41によって変えることができるため、繊維ウェブ13ひいては基材10において、開繊シリンダ25の回動方向に沿って混合繊維12の方向が揃う事態を抑制できる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図17から図19によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、不織布製造装置の構成及び基材の製造方法が上記実施形態と相違する。本実施形態の不織布製造装置221は、繊維ウェブ213を形成するための各機器(フィードコンベア224、開繊シリンダ225、コンベア226、吸引装置227)と、繊維ウェブ313を形成するための各機器(フィードコンベア324、開繊シリンダ325、コンベア326、吸引装置327)と、繊維ウェブ313を反転させて繊維ウェブ213上に積層するための反転ローラ232と、交絡装置28と、カッター29と、を備える。なお、図17では図示省略しているが、不織布製造装置221は、フィードコンベア224及びフィードコンベア324にそれぞれ混合樹脂を供給するための繊維供給部を備える。
繊維ウェブ213及び繊維ウェブ313を形成するための各機器の構成は、上記実施形態1で例示した繊維ウェブ13を形成するための各機器(フィードコンベア24、開繊シリンダ25、コンベア26、吸引装置27)の構成と基本的には同じであるため、詳しい説明は省略する。つまり、コンベア226の上面226Aには、コンベア26と同様に複数の突起(突起241)が形成されており、コンベア326の上面326Aには、コンベア26と同様に複数の突起(突起341)が形成されている。なお、突起241,341は、実施形態1の突起41と同じ形状(三角錐形状)をなしているが、異なる形状をなしていてもよい。図17に示すように、開繊シリンダ225の回転方向(矢線A3)と、開繊シリンダ325の回転方向(矢線A4)とは互いに逆方向である。また、コンベア226による繊維の搬送方向(矢線A5)と、コンベア326による繊維の搬送方向(矢線A6)とは互いに逆方向である。
本実施形態の基材210の製造方法は、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維212と、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維312とから板状の基材210を製造する基材の製造方法である。基材210の製造方法は、繊維ウェブ213を形成する第1繊維ウェブ形成工程と、繊維ウェブ313を形成する第2繊維ウェブ形成工程と、繊維ウェブ213と繊維ウェブ313とを重ねることで繊維ウェブ413を形成する第3繊維ウェブ形成工程と、繊維ウェブ413を不織布211とする不織布形成工程と、不織布211を加熱プレスすることで基材210を成形する基材成形工程と、を備える。なお、混合繊維212及び混合繊維312は、例えば同じ材質であり、混合繊維12と同様、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含むものである。
第1繊維ウェブ形成工程では、図17に示すように、吸引装置227を動作させつつ、回動する開繊シリンダ225(第1開繊シリンダ)から空中に放出された混合繊維212(第1混合繊維)を、動作中のコンベア226(第1コンベア)の上面226Aに堆積させることで、繊維ウェブ213(第1繊維ウェブ)を形成する。上面226Aに混合繊維212を堆積させる際には、複数の突起241(第1突起)が形成されたコンベア226の上面226Aに突起241よりも高い位置まで混合繊維212を堆積させる。
このため、繊維ウェブ213は、第1繊維層213Aと、その上方に重なる第2繊維層213Bと、を備える。第1繊維層213Aは、第1繊維層13Aと同様、突起241の頂部よりも低い箇所(隣り合う突起241の間)で堆積された混合繊維212によって形成された層であり、突起241の表面形状に倣う方向を向く繊維の層である。第2繊維層213Bは、第2繊維層13Bと同様、突起241の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維212によって形成された平坦な層である。
第2繊維ウェブ形成工程では、図17に示すように、吸引装置327を動作させつつ、回動する開繊シリンダ325(第2開繊シリンダ)から空中に放出された混合繊維312(第2混合繊維)を、動作中のコンベア326(第2コンベア)の上面326Aに堆積させることで、繊維ウェブ313(第2繊維ウェブ)を形成する。上面326Aに混合繊維312を堆積させる際には、複数の突起341(第2突起)が形成されたコンベア326の上面326Aに突起341よりも高い位置まで混合繊維312を堆積させる。
このため、繊維ウェブ313は、第1繊維層313Aと、その上方に重なる第2繊維層313Bと、を備える。第1繊維層313Aは、第1繊維層13Aと同様、突起341の頂部よりも低い箇所(隣り合う突起341の間)で堆積された混合繊維312によって形成された層であり、突起341の表面形状に倣う方向を向く繊維の層である。第2繊維層313Bは、第2繊維層13Bと同様、突起341の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維312によって形成された平坦な層である。
第1繊維ウェブ形成工程及び第2繊維ウェブ形成工程の後に実行される第3繊維ウェブ形成工程では、矢線A7で示す方向(図17の反時計回り)に回転する反転ローラ232によって、繊維ウェブ313を反転させつつ、搬送することで、繊維ウェブ313を繊維ウェブ213の上面に重ねる。つまり、繊維ウェブ213におけるコンベア226とは反対側の面213Dと繊維ウェブ313におけるコンベア326とは反対側の面313Dとが対向する形で繊維ウェブ213と繊維ウェブ313とを重ねることで繊維ウェブ413(第3繊維ウェブ)を形成する。
第3繊維ウェブ形成工程の後に実行される不織布形成工程では、図17に示すように、交絡装置28を用いて繊維ウェブ413に含まれる繊維同士を交絡させることで繊維ウェブ413を不織布211とする。そして、不織布形成工程の後に実行される基材成形工程では、図18に示すように、加熱した状態の一対のプレス型22A,22Bによって不織布211を加熱プレスすることで基材210を成形する。基材成形工程における不織布211の加熱温度は、不織布211に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融する温度以上とされる。これにより、不織布211に含まれる熱可塑性樹脂繊維が溶融することで植物性繊維を結着するバインダーとして機能することになる。
この結果、熱可塑性樹脂繊維が溶融した熱可塑性樹脂と、混合繊維212,312に含まれる植物性繊維とからなる基材210が製造される。なお、図19に示すように、基材210は不織布211を圧縮したものであるため、基材210においては、不織布211と同様に第1繊維層213A、第2繊維層213B、第2繊維層313B、第1繊維層313Aがこの順番で積層されている。なお、図19では、第2繊維層213Bと第2繊維層313Bの境界を2点鎖線L3で模式的に図示している。
次に本実施形態の効果について説明する。各繊維ウェブ形成工程(第1繊維ウェブ形成工程及び第2繊維ウェブ形成工程)では、複数の突起241,341が形成された各コンベア226,326の上面に混合繊維212,312を堆積させる。突起241,341上に落下した混合繊維212,312は、突起241,341の表面を滑落する過程で、その表面の形状に倣う方向を向くようになる。つまり、混合繊維212,312の方向は、各開繊シリンダの回動方向に沿う方向から、突起241,341の表面形状に倣う方向に変化する。この時、突起241,341のどの部分に落下するかによって混合繊維212,312は様々な方向を向くようになる。この結果、各繊維ウェブ213,313(第1繊維ウェブ及び第2繊維ウェブ)においては、開繊シリンダ225,325の回動方向に沿って混合繊維212,312の方向が揃う事態を抑制できる。これにより、繊維ウェブ213及び繊維ウェブ313からなる基材210において繊維の方向が揃う事態を抑制できる。
そして、繊維ウェブ213,313においては、突起241,341の頂部よりも低い箇所で堆積された混合繊維212,312によって、突起241,341の表面形状に倣う方向を向く繊維の層(第1繊維層213A,313A)が形成される。これに対して、突起241,341の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維212,312は、突起241,341の影響を受け難いことから、突起241,341の頂部よりも高い箇所で堆積された混合繊維212,312によって、開繊シリンダ225,325の回動方向に沿って繊維の向きが揃う繊維の層(第2繊維層213B,313B)が形成される。つまり、繊維ウェブ213においては、コンベア226側から第1繊維層213A、第2繊維層213Bの順番で積層されており、繊維ウェブ313においては、コンベア326側から第1繊維層313A、第2繊維層313Bの順番で積層されている。
このため、繊維ウェブ213,313においてコンベアとは反対側の面213D,313D(第2繊維層側の面)を互いに対向する形で、繊維ウェブ213と繊維ウェブ313とを重ねることで繊維ウェブ413とすれば、繊維ウェブ413の両面は、いずれも第1繊維層(繊維が揃っていない繊維層)によって構成されることになる。つまり、繊維ウェブ413においては、一方の面が第1繊維層213Aによって構成され、他方の面が第1繊維層313Aによって構成されている。このような繊維ウェブ413から基材210を製造することで、基材210の両面を各第1繊維層によって構成することができる。つまり、図19に示すように、基材210においては、一方の面が第1繊維層213Aによって構成され、他方の面が第1繊維層313Aによって構成されている。このため、基材210が、表側が凸となるように曲げられた場合及び裏側が凸となるように曲げられた場合の双方において、基材210の表裏両面付近の引張強度をより高くすることができる。
なお、基材において一方の面が第2繊維層(繊維の向きが揃っている層)によって構成されている場合には、一方の面側が凸となるように基材が曲げられた場合且つ、その曲げに伴って、第2繊維層に含まれる繊維の方向と直交する方向に基材が引っ張られた場合において引張強度が低くなり易く、一方の面側において基材の破れや皺等が発生する事態が懸念される。本実施形態では、基材の両面が第1繊維層(繊維の向きが不揃いな層)であるため、このような事態を抑制することができる。
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図20によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、不織布の製造に係る構成が上記実施形態と相違する。本実施形態の不織布製造装置321は、図20の矢線A8で示す回転方向に回転することで混合繊維512を開繊する可能な開繊シリンダ525を備える。開繊シリンダ525から空中に放出された混合繊維512は、コンベア526によって搬送されている繊維ウェブ13上に堆積する構成となっている。
これにより、繊維ウェブ13上に混合繊維512によって構成された繊維ウェブ513を積層させることができる。なお、コンベア526の上面526Aには、突起41が形成されている。このため、繊維ウェブ13は、突起41の作用によって突起41の表面形状に倣う方向を向く繊維の層となっている。これに対して、繊維ウェブ513を構成する繊維は、突起41の影響を受け難く、開繊シリンダ525の回動方向に沿って繊維の向きが揃う繊維の層となっている。
そして本実施形態では、繊維ウェブ13と繊維ウェブ513とが積層されることで構成された繊維ウェブ514に対して交絡装置28によって交絡処理を施すことで不織布511とする。このようにすれば、材質の異なる2層からなる不織布511を構成することができる。なお、混合繊維12に含まれる繊維としては、混合繊維512に含まれる繊維に比べて高い引張弾性率を有するものとされる。例えば、混合繊維12に含まれる繊維としては、PET繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維)等を例示することができる。このようにすれば、比較的高い引張弾性率を有する繊維からなる繊維ウェブ13において、混合繊維12の向きを揃い難くすることができる。この結果、不織布511を成形してなる基材において、繊維ウェブ13によって構成された部分(基材の引張強度に影響を与え易い部分)の特定の方向における引張強度が低下してしまう事態を抑制することができ、好適である。なお、混合繊維512に含まれる熱可塑性樹脂繊維としては、基材の軽量化の観点から、例えば、混合繊維12に含まれる熱可塑性樹脂繊維よりも密度が低いものがより好ましく、例えばポリプロピレンやポリエチレンを例示することができる。
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図21及び図22によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、コンベア26の上面26Aに形成された突起の形状が上記実施形態と相違する。本実施形態の突起641は、図21及び図22に示すように、三角錐形状の頂部を切り欠いた形状をなしている。このようにすれば、突起641の頂部641Aが繊維ウェブ13(図1参照)に引っ掛かる事態を抑制でき、コンベア26から次工程(不織布形成工程)の交絡装置28に繊維ウェブ13を容易に移すことができる。
<実施形態5>
次に、本発明の実施形態5を図23及び図24によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、コンベア26の上面26Aに形成された突起の形状が上記実施形態と相違する。本実施形態の突起741は、図23及び図24に示すように、上端部が半球状をなす略円柱形状をなしている。
<実施形態6>
次に、本発明の実施形態6を図25及び図26によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。本実施形態では、コンベア26の上面26Aに形成された突起の形状が上記実施形態と相違する。本実施形態の突起841は、図25及び図26に示すように、四角錐台形状をなしている。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態において、吸引装置27を備えていなくてもよく、例えば、開繊シリンダ25から空中に放出された混合繊維12が、その自重のみによってコンベア26の上面26Aに落下するようにしてもよい。つまり、コンベア26は、メッシュコンベアでなくてもよい。
(2)突起の形状や配置態様は、上記各実施形態で例示したものに限定されず、適宜変更可能である。突起は、突起上に落下した繊維(混合繊維)が滑落可能な傾斜面や曲面を有することが好ましく、このような観点から例えば上方に向かうにつれて細くなる先細り状をなすことがより好ましい。
10,210…基材、11,211,511…不織布、12,512…混合繊維、13,513,514…繊維ウェブ、20…基材製造装置(基材の製造装置)、22A,22B…プレス型、25,525…開繊シリンダ、26,526…コンベア、26A,526A…上面(コンベアの上面)、27,227,327…吸引装置、28…交絡装置、41,641,741,841…突起、212…混合繊維(第1混合繊維)、213…繊維ウェブ(第1繊維ウェブ)、213D…繊維ウェブにおけるコンベアとは反対側の面(第1繊維ウェブにおける第1コンベアとは反対側の面)、225…開繊シリンダ(第1開繊シリンダ)、226…コンベア(第1コンベア)、226A…上面(第1コンベアの上面)、241…突起(第1突起)、312…混合繊維(第2混合繊維)、313…繊維ウェブ(第2繊維ウェブ)、313D…繊維ウェブにおけるコンベアとは反対側の面(第2繊維ウェブにおける第2コンベアとは反対側の面)、325…開繊シリンダ(第2開繊シリンダ)、326…コンベア(第2コンベア)、326A…上面(第2コンベアの上面)、341…突起(第2突起)、413…繊維ウェブ(第3繊維ウェブ)

Claims (6)

  1. 植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維から板状の基材を製造する基材の製造方法であって、
    前記混合繊維を動作中のコンベアの上面に堆積させることで繊維ウェブを形成する繊維ウェブ形成工程と、
    前記繊維ウェブ形成工程の後に実行され、前記繊維ウェブに含まれる繊維同士を交絡させることで前記繊維ウェブを不織布とする不織布形成工程と、
    前記不織布形成工程の後に実行され、前記不織布を加熱プレスすることで前記基材を成形する基材成形工程と、を備え、
    前記繊維ウェブ形成工程では、複数の突起が形成された前記上面に前記混合繊維を堆積させる基材の製造方法。
  2. 前記コンベアは、メッシュコンベアとされ、
    前記繊維ウェブ形成工程では、前記混合繊維を、吸引装置によって前記上面に吸引する請求項1に記載の基材の製造方法。
  3. 前記繊維ウェブ形成工程では、前記混合繊維を前記コンベアの前記上面において前記突起よりも高い位置まで堆積させる請求項1又は請求項2に記載の基材の製造方法。
  4. 前記繊維ウェブ形成工程では、開繊シリンダから空中に放出された前記混合繊維を前記上面に堆積させる請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基材の製造方法。
  5. 植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む第1混合繊維と、植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む第2混合繊維とから板状の基材を製造する基材の製造方法であって、
    回動する第1開繊シリンダから空中に放出された前記第1混合繊維を動作中の第1コンベアの上面に堆積させることで第1繊維ウェブを形成する第1繊維ウェブ形成工程と、
    回動する第2開繊シリンダから空中に放出された前記第2混合繊維を動作中の第2コンベアの上面に堆積させることで第2繊維ウェブを形成する第2繊維ウェブ形成工程と、
    前記第1繊維ウェブ形成工程及び前記第2繊維ウェブ形成工程の後に実行され、前記第1繊維ウェブにおける前記第1コンベアとは反対側の面と前記第2繊維ウェブにおける前記第2コンベアとは反対側の面とが対向する形で前記第1繊維ウェブと前記第2繊維ウェブとを重ねることで第3繊維ウェブを形成する第3繊維ウェブ形成工程と、
    前記第3繊維ウェブ形成工程の後に実行され、前記第3繊維ウェブに含まれる繊維同士を交絡させることで前記第3繊維ウェブを不織布とする不織布形成工程と、
    前記不織布形成工程の後に実行され、前記不織布を加熱プレスすることで前記基材を成形する基材成形工程と、を備え、
    前記第1繊維ウェブ形成工程では、複数の第1突起が形成された前記第1コンベアの前記上面に前記第1突起よりも高い位置まで前記第1混合繊維を堆積させ、
    前記第2繊維ウェブ形成工程では、複数の第2突起が形成された前記第2コンベアの前記上面に前記第2突起よりも高い位置まで前記第2混合繊維を堆積させる基材の製造方法。
  6. 植物性繊維及び熱可塑性樹脂繊維を含む混合繊維から板状の基材を製造することが可能な基材の製造装置であって、
    前記混合繊維を開繊することが可能な開繊シリンダと、
    前記開繊シリンダから空中に放出された前記混合繊維を堆積させることが可能な上面を有し、前記上面に前記混合繊維を堆積させつつ前記混合繊維を搬送することで繊維ウェブを形成することが可能なコンベアと、
    前記繊維ウェブに含まれる繊維同士を交絡させることで前記繊維ウェブを不織布とすることが可能な交絡装置と、
    前記不織布をプレス成形することで前記基材とすることが可能なプレス型と、を備え、
    前記上面には、複数の突起が形成されている基材の製造装置。
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