JP7180414B2 - 画像形成装置および制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、画像形成装置および制御方法に関する。
下記特許文献1には、画像形成装置の緊急停止時に、感光体に本来の帯電極性と逆極性の電荷を残すこと無く、良好な画質を維持する目的で、緊急停止時に、感光体に本来の帯電極性と逆極性の電荷を除電する構成が開示されている。
しかしながら、従来の技術では、感光体に残った逆極性の電荷の除電を行うために、除電用の電源や除電器が必要であり、これらの装置が搭載されていない画像形成装置では、感光体に残った逆極性の電荷の除電を行うことができない。画像形成装置に用いられる高圧電源の自励発振回路では、逆極性の電荷が感光体に残されている場合、正常な発振を行うことができずに、起動不良となる虞がある。
本発明は、上述した従来技術の課題を解決するため、感光体に逆極性の電荷が残されている場合であっても、高圧電源の自励発振回路が正常な発振を行うことができるようにすることを目的とする。
上述した課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、感光体と、感光体を帯電させる帯電ローラと、自励発振回路と、一次側コイルおよび二次側コイルを有し、自励発振回路によって一次側コイルが駆動されることにより、帯電ローラに印加される電圧を二次側コイルにおいて発生させるトランスと、自励発振回路の起動時に、一次側コイルを流れる電流の電流量が、感光体から帯電ローラを介して流入されて二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、自励発振回路を制御する制御部とを備える。
本発明によれば、感光体に逆極性の電荷が残されている場合であっても、高圧電源の自励発振回路が正常な発振を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係る画像形成装置が備える画像形成機構の構成を示す図 本発明の第1実施形態に係る画像形成装置が備える高圧電源の構成を示す図 本発明の第1実施形態に係る画像形成装置が備える制御マイコンによる処理の手順を示すフローチャート 本発明の第1実施形態に係る画像形成装置が備える高圧電源の起動時の動作の具体例を示す図 本発明の第2実施形態に係る画像形成装置が備える高圧電源の構成を示す図 本発明の第2実施形態に係る画像形成装置が備える制御マイコンによる処理の手順を示すフローチャート
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明の第1実施形態について説明する。
(画像形成装置10が備える画像形成機構10Aの構成)
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10が備える画像形成機構10Aの構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成機構10Aは、高圧電源11、感光体12、帯電ローラ13、露光部14、現像ローラ15、1次転写ローラ16、高圧電源17、中間ベルト18、および除電器19を備える。
高圧電源11は、電圧を生成して、当該電圧を帯電ローラ13に印加する。帯電ローラ13は、感光体12を一様に帯電させる。露光部14は、一様に帯電された状態の感光体12に対して、印刷データに応じた露光を行うことにより、感光体12の表面に静電潜像を形成する。
現像ローラ15は、当該現像ローラ15の表面に付着されたトナーを、感光体12の表面に形成された静電潜像に付着させることにより、感光体12の表面にトナー像を形成する。
感光体12の表面に形成されたトナー像は、感光体12と、高圧電源17によって電圧が印加された1次転写ローラ16との間において、中間ベルト18上に転写される。これにより、中間ベルト18上に、トナー画像が形成される。
中間ベルト18に形成されたトナー像は、2次転写部(図示省略)によって記録紙に転写される。その後、記録紙は、定着装置(図示省略)によって熱および圧力が加えられることにより、トナー画像が定着される。
除電器19は、感光体12表面の電荷(本来の帯電極性の電荷)を除電する。なお、画像形成装置10は、カラー印刷を行うことが可能である場合、複数の印刷色(例えば、4つの印刷色(Y,C,M,K))の各々に対して、画像形成機構10Aを備える。これにより、画像形成装置10は、中間ベルト18上に対して、複数の印刷色の各々のトナー画像を形成することができる。
(画像形成装置10が備える高圧電源11の構成)
図2は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10が備える高圧電源11の構成を示す図である。図2に示すように、高圧電源11は、制御回路110、高圧出力回路120、および制御マイコン130を備える。
制御回路110は、オペアンプ111、トランジスタ112、コンデンサ113、および抵抗114を備える。なお、トランジスタ112、コンデンサ113、および抵抗114は、「自励発振回路」を構成する。
オペアンプ111は、非反転入力端子に、制御マイコン130から出力された制御信号(指示電圧V2)が入力される。また、オペアンプ111は、反転入力端子に、検出部125によって検出された電圧が入力される。オペアンプ111の出力端子は、トランジスタ112のベースに接続されている。オペアンプ111は、反転入力端子から入力された電圧(すなわち、帯電ローラ13に印加される電圧)が、非反転入力端子から入力された指示電圧V2と等しくなるように、トランジスタ112のベースに供給するベース電流の電流量を制御する。
トランジスタ112は、ベースがオペアンプ111の出力端子およびトランス121の一次側コイル121bに接続されており、コレクタがトランス121の一次側コイル121aに接続されており、エミッタが接地されている。トランジスタ112は、オペアンプ111から供給されたベース電流が入力されることにより、コレクタ端子-エミッタ端子間に、コレクタ電流が流れる。これにより、トランジスタ112は、コレクタに接続された一次側コイル121aに電流が流れるように制御することができる。なお、トランジスタ112は、ベース電流の電流量が調整されることにより、コレクタ電流の電流量(すなわち、一次側コイル121aを流れる電流の電流量)を調整することができる。
コンデンサ113および抵抗114は、RCフィルタ回路を構成し、制御マイコン130から出力されてオペアンプ111に入力される制御信号を、平滑化する。
高圧出力回路120は、トランス121、ダイオード122、コンデンサ123、抵抗124、および検出部125を備える。
トランス121は、一次側コイル121a、一次側コイル121b、および二次側コイル121cを備える。
一次側コイル121aの一端は、電源入力端子Vinに接続されている。一次側コイル121aの他端は、トランジスタ112のコレクタに接続されている。
一次側コイル121bの一端は、トランジスタ112のベースに接続されている。一次側コイル121bの他端は、接地されている。
トランス121は、一次側コイル121aに電源入力端子Vinから供給された電流が流れると、相互誘導作用により、二次側コイル121cにおいて交流の電圧を発生する。
二次側コイル121cにおいて発生した交流の電圧は、ダイオード122およびコンデンサ123によって整流されることにより、直流の電圧に変換される。そして、直流の電圧は、帯電ローラ13に印加される。
検出部125は、二次側コイル121cに直列接続された抵抗125Aおよび抵抗125Bを備えて構成されている。これにより、検出部125は、二次側コイル121cを流れる電流の電流量、および、二次側コイル121cにおいて発生した電圧の電圧値(抵抗124および抵抗125Bによって分圧された電圧値)を検出する。
検出部125によって検出された電流量および電圧値は、制御マイコン130へフィードバックされる。検出部125によって検出された電圧値は、制御回路110が備えるオペアンプ111へフィードバックされる。
以降、検出部125から制御マイコン130へフィードバックされる電圧値を、「フィードバック電圧値FBV」と示す。また、検出部125から制御マイコン130へフィードバックされる電流値を、「フィードバック電流値FBI」と示す。
制御マイコン130は、「制御部」の一例である。制御マイコン130は、CPU(Central Processing Unit)131および出力部132を備える。
CPU131は、制御基板20から入力される指示電圧V1と、検出部125から入力されるフィードバック電圧値FBVおよびフィードバック電圧値FBVに基づいて、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を決定する。具体的には、CPU131は、算出部131Aおよび決定部131Bを有する。
算出部131Aは、フィードバック電流値FBIに基づいて、感光体12の表面電位(残留電位)を算出する。例えば、算出部131Aは、フィードバック電流値FBIと感光体12の表面電位との関係を表す所定の関係式等を用いて、フィードバック電流値FBIから感光体12の表面電位を算出する。
決定部131Bは、算出部131Aによって算出された表面電位と、制御基板20から入力される指示電圧V1とを比較する。そして、決定部131Bは、算出部131Aによって算出された表面電位が、制御基板20から入力される指示電圧V1よりも大きい場合、算出部131Aによって算出された表面電位よりも高い電圧値を、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値として決定する。
例えば、決定部131Bは、算出部131Aによって算出された表面電位に、所定の係数を乗じることにより、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を算出する。一方、決定部131Bは、算出部131Aによって算出された表面電位が、制御基板20から入力される指示電圧よりも小さい場合、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値を、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値として決定する。
要するに、決定部131Bは、自励発振回路の起動時に、算出部131Aによって算出された表面電位が、制御基板20から入力される指示電圧V1よりも大きい場合、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値から一時的に高める。そして、決定部131Bは、後述する指示電圧制御期間の終了条件を満たした場合、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値に戻す。
出力部132は、CPU131によって決定された指示電圧V2を示す制御信号を、制御回路110へ出力する。
すなわち、出力部132は、決定部131Bによって指示電圧V2の電圧値が、指示電圧V1の電圧値から一時的に高められた場合、電圧値が一時的に高められた指示電圧V2を示す制御信号を、制御回路110へ出力する。
また、出力部132は、決定部131Bによって指示電圧V2の電圧値が、指示電圧V1の電圧値に戻された場合、電圧値が戻された指示電圧V2を示す制御信号を、制御回路110へ出力する。
例えば、出力部132は、指示電圧V2をデューティにて表す矩形波の制御信号を、制御回路110へ出力する。例えば、出力部132は、指示電圧V2が「600V」である場合、デューティが「60%」の制御信号を、制御回路110へ出力し、指示電圧V2が「850V」である場合、デューティが「85%」の制御信号を、制御回路110へ出力する。
(制御マイコン130による処理の手順)
図3は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10が備える制御マイコン130による処理の手順を示すフローチャートである。
まず、CPU131が、制御基板20から開始命令を取得する(ステップS301)。この開始命令には、指示電圧V1が含まれている。
次に、CPU131が、当該自励発振回路の起動が、ジャム発生直後の起動であるか否かを判断する(ステップS302)。
ステップS302において、ジャム発生直後の起動ではないと判断された場合(ステップS302:NO)、決定部131Bが、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値を、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値として決定する(ステップS307)。そして、制御マイコン130は、ステップS308へ処理を進める。
一方、ステップS302において、ジャム発生直後の起動であると判断された場合(ステップS302:YES)、算出部131Aが、検出部125からのフィードバック電流値FBIに基づいて、感光体12の表面電位(残留電位)を算出する(ステップS303)。そして、算出部131Aが、ステップS303で算出された表面電位が、0Vよりも大きいか否かを判断する(ステップS304)。
ステップS304において、表面電位が0Vよりも大きいと判断された場合(ステップS304:YES)、決定部131Bが、ステップS303で算出された表面電位が、指示電圧V1よりも大きいか否かを判断する(ステップS305)。
ステップS305において、表面電位が指示電圧V1よりも大きいと判断された場合(ステップS305:YES)、決定部131Bが、ステップS303で算出された表面電位に、所定の係数(ここでは、一例として「1.3」)を乗じることにより、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を算出する(ステップS306)。そして、制御マイコン130は、ステップS308へ処理を進める。
一方、ステップS304において、表面電位が0Vであると判断された場合(ステップS304:NO)、または、ステップS305において、表面電位が指示電圧V1よりも小さいと判断された場合(ステップS305:NO)、決定部131Bが、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値を、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値として決定する(ステップS307)。そして、制御マイコン130は、ステップS308へ処理を進める。
ステップS308では、出力部132が、ステップS306またはステップS307で決定された指示電圧V2の制御回路110への供給を開始する。これにより、制御回路110および高圧出力回路120の動作が開始されることとなる。
その後、決定部131Bが、指示電圧V2の電圧値を一時的に高めておく期間(以下、「指示電圧制御期間」と示す)の終了条件を満たしたか否かを判断する(ステップS309)。
ステップS309において、指示電圧制御期間の終了条件を満たしていないと判断された場合(ステップS309:NO)、決定部131Bが、ステップS309の処理を再度実行する。
一方、ステップS309において、指示電圧制御期間の終了条件を満たしたと判断された場合(ステップS309:YES)、決定部131Bが、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を、制御基板20から入力された指示電圧V1へ変更または維持する(ステップS310)。そして、制御マイコン130は、図3に示す一連の処理を終了する。
(高圧電源11の起動時の動作の具体例)
図4は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置10が備える高圧電源11の起動時の動作の具体例を示す図である。ここでは、一例として、制御基板20から入力される指示電圧V1が「600V」であり、感光体12の表面電位が「654V」であり、且つ、所定の係数が「1.3」であることとする。
なお、所定の係数は、少なくとも「1」よりも大きければよい。但し、所定の係数は、大きすぎると、自励発振回路の異常発振を誘発する虞がある。したがって、所定の係数には、シミュレーション等によって予め求めておいた、「1」よりも大きい適切な値を用いるようにするとよい。
まず、CPU131が、出力部132へ、指示電圧V2を指示する(図中矢印A)。ここでは、感光体12の表面電位(654V)が、指示電圧V1(600V)よりも大きいことから、指示電圧V2は、{表面電位(654V)×所定の係数(1.3)}によって求められる「850V」となる。
次に、出力部132が、オペアンプ111へ、指示電圧V2(850V)を示す制御信号を入力する(図中矢印B)。オペアンプ111は、帯電ローラ13に印加される電圧が、指示電圧V2と等しくなるように、トランジスタ112に供給するベース電流の電流量を制御する(図中矢印C)。
これにより、トランジスタ112に、ベース電流が流れ(図中矢印D)、一次側コイル121aおよびトランジスタ112に、コレクタ電流(図中矢印E)が流れることとなる。
ここで、一次側コイル121aを流れる電流(図中矢印E)の電流量(すなわち、指示電圧V2「850V」に応じた電流量)は、帯電ローラ13から流入して二次側コイル121cを流れる電流(図中矢印G)の電流量(すなわち、感光体12の表面電位「654V」に応じた電流量)よりも多くなるため、一次側コイル121bからトランジスタ112のベースへ電流が流れ(図中矢印F)、よって、自励発振回路は、正常な発振を行うこととなる。
仮に、図4の例において、指示電圧V2の電圧値を指示電圧V1の電圧値と同じ「600V」としてしまうと、一次側コイル121aを流れる電流(図中矢印E)の電流量(すなわち、指示電圧V2「600V」に応じた電流量)は、帯電ローラ13から流入して二次側コイル121cを流れる電流(図中矢印G)の電流量(すなわち、感光体12の表面電位「654V」に応じた電流量)よりも少なくなるため、一次側コイル121bからトランジスタ112のベースへ電流が流れず、よって、自励発振回路は、正常な発振を行うことができなくなる虞がある。
このように、本実施形態の画像形成装置10は、自励発振回路の起動時の指示電圧V2の電圧値を、指示電圧V1の電圧値よりも一時的に高めることにより、感光体12に逆極性の電荷が残されている場合であっても、自励発振回路を正常に起動できるようにしているのである。
なお、自励発振回路が正常に起動した後、指示電圧V2の電圧値を一時的に高めたままにした場合、帯電ローラ13に印加される電圧が、指示電圧V1の電圧値よりも大きくなってしまう虞がある。
そこで、本実施形態の画像形成装置10は、以下に例示する、指示電圧制御期間の終了条件のいずれかを満たしたとき、指示電圧V2の電圧値を、一時的に高められた電圧値(例えば、「850V」)から、指示電圧V1の電圧値(例えば、「600V」)に戻す。これにより、本実施形態の画像形成装置10は、帯電ローラ13に印加される電圧が、指示電圧V1よりも大きくならないようにすることができる。
(指示電圧制御期間の終了条件の第1例)
第1例として、制御マイコン130は、フィードバック電圧値FBVに基づいて、指示電圧制御期間の終了を判断する。例えば、制御マイコン130は、自励発振回路の起動開始後、繰り返し、フィードバック電圧値FBVに基づいて、高圧出力回路120の出力電圧値を算出する。これにより、制御マイコン130は、自励発振回路の起動開始時からの、高圧出力回路120の出力電圧値を監視する。そして、制御マイコン130は、高圧出力回路120の出力電圧値が、指示電圧V1の電圧値(例えば、「600V」)に達した場合、指示電圧制御期間の終了と判断する。なお、指示電圧制御期間の終了は、高圧出力回路120の出力電圧値が、指定電圧V1の電圧値に達した場合に限らず、少なくとも、高圧出力回路120の出力電圧値が、自励発振回路の発振が安定したときの電圧値に達したときであればよい。
(指示電圧制御期間の終了条件の第2例)
第2例として、制御マイコン130は、フィードバック電流値FBIに基づいて、指示電圧制御期間の終了を判断する。例えば、制御マイコン130は、自励発振回路の起動開始後、繰り返し、フィードバック電流値FBIを取得する。これにより、制御マイコン130は、自励発振回路の起動開始時からの、フィードバック電流値FBIを監視する。そして、制御マイコン130は、フィードバック電流値FBIが、所定の目標電流値に達した場合、指示電圧制御期間の終了とする。ここで、所定の目標電流値は、予め求めておいた固定値であってもよく、指示電圧V1等に基づいて所定の算出式によって算出される変動値であってもよい。いずれの場合にも、所定の目標電流値には、自励発振回路の起動開始後、自励発振回路の発振が安定した状態にあるときの電流値を用いることが好ましい。
(指示電圧制御期間の終了条件の第3例)
第3例として、制御マイコン130は、自励発振回路の起動開始時からの経過時間に基づいて、指示電圧制御期間の終了を判断する。例えば、制御マイコン130は、制御マイコン130は、自励発振回路の起動開始時からの経過時間が、所定時間に達した場合、指示電圧制御期間の終了とする。ここで、所定時間は、予め求めておいた固定値であってもよく、指示電圧V1等に基づいて所定の算出式によって算出される変動値であってもよい。いずれの場合も、所定時間は、自励発振回路の発振が安定した状態となるまでに要する時間を用いることが好ましい。たとえば、自励発振回路の起動が完了するまでに係る時間が「30ms」であり、自励発振回路の発振が安定するまでに要する時間が、自励発振回路の起動が完了するまでに係る時間の「66%」であることが判っている場合、所定時間を「20ms(≒30×0.66)」とすればよい。
(指示電圧制御期間の終了条件の第4例)
第4例として、制御マイコン130は、画像形成装置10による印刷処理の完了タイミングに基づいて、指示電圧制御期間の終了を判断する。例えば、制御マイコン130は、制御マイコン130は、自励発振回路の起動を開始した後、最初の1枚の印刷処理が完了した場合、指示電圧制御期間の終了とする。1枚の印刷処理が完了すれば、感光体12の残留電位は消滅しているため、指示電圧V2の電圧値を戻しても問題がないからである。
以上説明したように、第1実施形態に係る画像形成装置10は、自励発振回路の起動時に、一次側コイル121aを流れる電流の電流量が、感光体12から帯電ローラ13を介して流入されて二次側コイル121cを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、自励発振回路を制御する制御マイコン130を備える。これにより、第1実施形態に係る画像形成装置10は、逆極性の電荷が感光体12に残されている場合であっても、自励発振回路の起動時に、一次側コイル121aを流れる電流の電流量が、感光体12から帯電ローラ13を介して流入されて二次側コイル121cを流れる電流の電流量よりも大きくすることができるため、高圧電源11の自励発振回路が正常な発振を行うことができる。
特に、第1実施形態に係る画像形成装置10において、制御マイコン130は、感光体の12の表面電位が、入力された指示電圧V1よりも高い場合、自励発振回路に供給する指示電圧V2を、感光体12の表面電位よりも一時的に高めることにより、一次側コイル121aを流れる電流の電流量が、感光体12から帯電ローラ13を介して流入され二次側コイル121cを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、自励発振回路を制御することができる。これにより、第1実施形態に係る画像形成装置10は、制御回路110や高圧出力回路120の構成を変更したり、逆極性の電荷を除去するための除電器を設けたりすることなく、指示電圧V2を変更するだけといった比較的簡単な制御を行うだけで、一次側コイル121aを流れる電流の電流量を、感光体12から帯電ローラ13を介して流入されて二次側コイル121cを流れる電流の電流量よりも大きくすることができる。
また、第1実施形態に係る画像形成装置10において、制御マイコン130は、自励発振回路に供給する指示電圧V2を一時的に高めた後、所定の終了条件を満たした場合、自励発振回路に供給する指示電圧V2を、入力された指示電圧V1に戻す。これにより、第1実施形態に係る画像形成装置10は、高圧電源11の自励発振回路が正常な発振を行うことができるとともに、帯電ローラ13に印加される電圧が、指示電圧V1よりも大きくならないように制御することができる。
また、第1実施形態に係る画像形成装置10において、制御マイコン130は、自励発振回路の起動が、ジャム発生直後の起動である場合、一次側コイル121aを流れる電流の電流量が、帯電ローラ13から流入されて二次側コイル121cを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、自励発振回路を制御する。これにより、第1実施形態に係る画像形成装置10は、感光体12から帯電ローラ13を介して電流が流入されてくる事象が発生した場合のみ、指示電圧V2を一時的に高めるといった、自励発振回路の起動時の制御を行うため、無駄な制御を行うことを回避することができる。
〔第2実施形態〕
(画像形成装置10が備える高圧電源11Aの構成)
図5は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10が備える高圧電源11Aの構成を示す図である。以下、第2実施形態に係る高圧電源11Aに関し、主に、第1実施形態に係る高圧電源11からの変更点について説明する。
図5に示すように、高圧電源11Aは、制御回路110、高圧出力回路120、制御マイコン130A、制御回路210、および高圧出力回路220を備える。制御回路110および高圧出力回路120は、第1実施形態で説明した高圧電源11が備えるものと同様であるため、説明を省略する。
制御回路210は、制御回路110と同様の構成を有する。制御回路210は、オペアンプ211、トランジスタ212、コンデンサ213、および抵抗214を備える。トランジスタ212、コンデンサ213、および抵抗214は、「第2の自励発振回路」を構成する。
オペアンプ211は、非反転入力端子に、制御マイコン130Aから出力された制御信号(指示電圧V4)が入力される。また、オペアンプ211は、反転入力端子に、二次側コイル221cにおいて発生した電圧の電圧値が入力される。オペアンプ211の出力端子は、トランジスタ212のベースに接続されている。オペアンプ211は、反転入力端子から入力された電圧(すなわち、現像ローラ15に印加される電圧)が、非反転入力端子から入力された指示電圧V4と等しくなるように、トランジスタ212のベースに供給するベース電流の電流量を制御する。
トランジスタ212は、ベースがオペアンプ211の出力端子およびトランス221の一次側コイル221bに接続されており、コレクタがトランス221の一次側コイル221aに接続されており、エミッタが接地されている。トランジスタ212は、オペアンプ211から供給されたベース電流が入力されることにより、コレクタ端子-エミッタ端子間に、コレクタ電流が流れる。これにより、トランジスタ212は、コレクタに接続された一次側コイル221aに電流が流れるように制御することができる。なお、トランジスタ212は、ベース電流の電流量が調整されることにより、コレクタ電流の電流量(すなわち、一次側コイル221aを流れる電流の電流量)を調整することができる。
コンデンサ213および抵抗214は、RCフィルタ回路を構成し、制御マイコン130Aから出力されてオペアンプ211に入力される制御信号を、平滑化する。
高圧出力回路220は、トランス221、ダイオード222、コンデンサ223、および抵抗224を備える。
トランス221は、一次側コイル221a、一次側コイル221b、および二次側コイル221cを備える。
一次側コイル221aの一端は、電源入力端子Vinに接続されている。一次側コイル221aの他端は、トランジスタ212のコレクタに接続されている。
一次側コイル221bの一端は、トランジスタ212のベースに接続されている。一次側コイル221bの他端は、接地されている。
トランス221は、一次側コイル221aに電源入力端子Vinから供給された電流が流れると、相互誘導作用により、二次側コイル221cにおいて交流の電圧を発生する。
二次側コイル221cにおいて発生した交流の電圧は、ダイオード222およびコンデンサ223によって整流されることにより、直流の電圧に変換される。そして、直流の電圧は、現像ローラ15に印加される。
制御マイコン130Aは、CPU131に決定部131Cがさらに設けられている点、および、出力部133をさらに備える点で、制御マイコン130と異なる。
決定部131Cは、算出部131Aによって算出された表面電位が、制御基板20から入力される指示電圧V1よりも大きい場合(すなわち、指示電圧V2が高められた場合)指示電圧V3よりも高い電圧値を、制御回路210へ供給する指示電圧V4の電圧値として決定する。特に、決定部131Cは、指示電圧V2の指示電圧V1から増加分と同値を指示電圧V3に加えた電圧値を、指示電圧V4の電圧値として決定する。
出力部133は、CPU131によって決定された指示電圧V4を示す制御信号を、制御回路210へ出力する。すなわち、出力部133は、決定部131Bによって指示電圧V4の電圧値が、指示電圧V3の電圧値から高められた場合、電圧値が高められた指示電圧V4を示す制御信号を、制御回路210へ出力する。
(制御マイコン130Aによる処理の手順)
図6は、本発明の第2実施形態に係る画像形成装置10が備える制御マイコン130Aによる処理の手順を示すフローチャートである。
まず、CPU131が、制御基板20から開始命令を取得する(ステップS601)。この開始命令には、指示電圧V1,V3が含まれている。
次に、CPU131が、当該自励発振回路の起動が、ジャム発生直後の起動であるか否かを判断する(ステップS602)。
ステップS602において、ジャム発生直後の起動ではないと判断された場合(ステップS602:NO)、決定部131Bが、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値を、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値として決定する(ステップS608)。また、決定部131Cが、制御基板20から入力された指示電圧V3の電圧値を、制御回路210へ供給する指示電圧V4の電圧値として決定する(ステップS609)。そして、制御マイコン130Aは、ステップS610へ処理を進める。
一方、ステップS602において、ジャム発生直後の起動であると判断された場合(ステップS602:YES)、算出部131Aが、検出部125からのフィードバック電流値FBIに基づいて、感光体12の表面電位(残留電位)を算出する(ステップS603)。そして、算出部131Aが、ステップS603で算出された表面電位が、0Vよりも大きいか否かを判断する(ステップS604)。
ステップS604において、表面電位が0Vよりも大きいと判断された場合(ステップS604:YES)、決定部131Bが、ステップS603で算出された表面電位が、指示電圧V1よりも大きいか否かを判断する(ステップS605)。
ステップS605において、表面電位が指示電圧V1よりも大きいと判断された場合(ステップS605:YES)、決定部131Bが、ステップS603で算出された表面電位に、所定の係数(ここでは、一例として「1.3」)を乗じることにより、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値を算出する(ステップS606)。
また、決定部131Cが、制御基板20から入力された指示電圧V3に、指示電圧V2の指示電圧V1からの増加分を加えることにより、制御回路210へ供給する指示電圧V4の電圧値を算出する(ステップS607)。そして、制御マイコン130Aは、ステップS610へ処理を進める。
一方、ステップS604において、表面電位が0Vであると判断された場合(ステップS604:NO)、または、ステップS605において、表面電位が指示電圧V1よりも小さいと判断された場合(ステップS605:NO)、決定部131Bが、制御基板20から入力された指示電圧V1の電圧値を、制御回路110へ供給する指示電圧V2の電圧値として決定する(ステップS608)。また、決定部131Cが、制御基板20から入力された指示電圧V3の電圧値を、制御回路210へ供給する指示電圧V4の電圧値として決定する(ステップS609)。そして、制御マイコン130Aは、ステップS610へ処理を進める。
ステップS610では、出力部132が、ステップS606またはステップS608で決定された指示電圧V2の制御回路110への供給を開始するとともに、ステップS607またはステップS609で決定された指示電圧V4の制御回路210への供給を開始する。これにより、制御回路110,210および高圧出力回路120,220の動作が開始されることとなる。そして、制御マイコン130Aは、図6に示す一連の処理を終了する。
このように、第2実施形態に係る画像形成装置10は、帯電ローラ13に印加する電圧の電圧値を指示電圧V1から指示電圧V2に高めた場合、同様に、現像ローラ15に印加する電圧の電圧値を指示電圧V3から指示電圧V4に高めることができる。これにより、第2実施形態に係る画像形成装置10は、感光体12に逆極性の電荷が残されている場合であっても、高圧電源11Aが備える2つの自励発振回路を正常に起動することができる。
特に、第2実施形態に係る画像形成装置10は、指示電圧V4の指示電圧V3からの増加分を、指示電圧V2の指示電圧V1からの増加分と同値とすることにより、帯電ローラ13と現像ローラ15との電位差を、指示電圧V2,V4を高めた場合と、指示電圧V2,V4を高めない場合とで、等しくすることができる。
なお、第2実施形態に係る画像形成装置10は、指示電圧V2,V4を同様に高めることにより、帯電ローラ13と現像ローラ15との電位差が変化しないため、指示電圧V2,V4を元に戻すといった処理は不要である。
以上、本発明の好ましい実施形態および実施例について詳述したが、本発明はこれらの実施形態および実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
10 画像形成装置
10A 画像形成機構
11,11A 高圧電源
12 感光体
13 帯電ローラ
14 露光部
15 現像ローラ
16 1次転写ローラ
17 高圧電源
18 中間ベルト
19 除電器
20 制御基板
110,210 制御回路
111,211 オペアンプ
112,212 トランジスタ
113,213 コンデンサ
114,214 抵抗
120,220 高圧出力回路
121,221 トランス
125 検出部
130,130A 制御マイコン(制御部)
131 CPU
131A 算出部
131B 決定部
131C 決定部
132 出力部
133 出力部
特開2000-105523号公報

Claims (10)

  1. 感光体と、
    前記感光体を帯電させる帯電ローラと、
    自励発振回路と、
    一次側コイルおよび二次側コイルを有し、前記自励発振回路によって前記一次側コイルが駆動されることにより、前記帯電ローラに印加される電圧を前記二次側コイルにおいて発生させるトランスと、
    前記自励発振回路の起動時に、前記一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記帯電ローラを介して流入されて前記二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記自励発振回路を制御する制御部と
    前記感光体の表面にトナー像を形成する現像ローラと、
    第2の自励発振回路と、
    第2の一次側コイルおよび第2の二次側コイルを有し、前記第2の自励発振回路によって前記第2の一次側コイルが駆動されることにより、前記現像ローラに印加される電圧を前記第2の二次側コイルにおいて発生させる第2のトランスと
    を備え、
    前記制御部は、
    前記自励発振回路の起動時に、前記感光体の表面電位が、入力された指示電圧よりも高い場合、
    前記自励発振回路に供給する指示電圧を、前記感光体の表面電位よりも一時的に高めることにより、前記一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記現像ローラを介して流入されて前記二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記自励発振回路を制御するとともに、
    前記第2の自励発振回路に供給する指示電圧を、前記感光体の表面電位よりも一時的に高めることにより、前記第2の一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記現像ローラを介して流入されて前記第2の二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記第2の自励発振回路を制御する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御部は、
    前記感光体の表面電位が、入力された指示電圧よりも高い場合、前記自励発振回路に供給する指示電圧を、前記感光体の表面電位よりも一時的に高めることにより、前記一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記帯電ローラを介して流入されて前記二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記自励発振回路を制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記二次側コイルにおいて発生した電圧の電圧値、および、前記二次側コイルを流れる電流の電流量の、少なくともいずれか一方を検出する検出部と、
    前記検出部によって検出された前記電圧値および前記電流量の少なくともいずれか一方に基づいて、前記表面電位を算出する算出部と
    をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御部は、
    前記自励発振回路に供給する指示電圧を一時的に高めた後、所定の終了条件を満たした場合、前記自励発振回路に供給する指示電圧を、前記入力された指示電圧に戻す
    ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
  5. 前記所定の終了条件は、
    前記二次側コイルにおいて発生した電圧の電圧値が、目標電圧値に達することである
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記所定の終了条件は、
    前記二次側コイルを流れる電流の電流量が、目標電流量に達することである
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  7. 前記所定の終了条件は、
    前記自励発振回路の起動を開始してからの経過時間が、所定時間に達することである
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  8. 前記所定の終了条件は、
    前記自励発振回路の起動を開始した後、最初の1枚の印刷が完了したことである
    ことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  9. 前記制御部は、
    前記自励発振回路の起動が、ジャム発生直後の起動である場合、前記一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記帯電ローラから流入されて前記二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記自励発振回路を制御する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  10. 感光体と、
    前記感光体を帯電させる帯電ローラと、
    自励発振回路と、
    一次側コイルおよび二次側コイルを有し、前記自励発振回路によって前記一次側コイルが駆動されることにより、前記帯電ローラに印加される電圧を前記二次側コイルにおいて発生させるトランスと
    前記感光体の表面にトナー像を形成する現像ローラと、
    第2の自励発振回路と、
    第2の一次側コイルおよび第2の二次側コイルを有し、前記第2の自励発振回路によって前記第2の一次側コイルが駆動されることにより、前記現像ローラに印加される電圧を前記第2の二次側コイルにおいて発生させる第2のトランスと
    を備えた画像形成装置の制御方法であって、
    前記自励発振回路の起動時に、前記一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記帯電ローラを介して流入されて前記二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記自励発振回路を制御する制御工程
    を含み、
    前記制御工程は、
    前記自励発振回路の起動時に、前記感光体の表面電位が、入力された指示電圧よりも高い場合、
    前記自励発振回路に供給する指示電圧を、前記感光体の表面電位よりも一時的に高めることにより、前記一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記現像ローラを介して流入されて前記二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記自励発振回路を制御するとともに、
    前記第2の自励発振回路に供給する指示電圧を、前記感光体の表面電位よりも一時的に高めることにより、前記第2の一次側コイルを流れる電流の電流量が、前記感光体から前記現像ローラを介して流入されて前記第2の二次側コイルを流れる電流の電流量よりも大きくなるように、前記第2の自励発振回路を制御する
    ことを特徴とする制御方法。
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