JP7179656B2 - Cxcr4産生抑制用組成物 - Google Patents

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特許法第30条第2項適用 掲載年月日 平成30年 7月31日 掲載アドレス https://www.fancl.jp/news/pdf/20180731_ifscc2018congress.pdf(外別紙A、B、Cに記載の通り)
本発明は、生体のCXCR4産生抑制用組成物に関する。
ケモカインは化学誘引性タンパク質のスーパーファミリーである。ケモカインは、様々な生物反応を調節し、それらは多数の系列の白血球およびリンパ球の生体臓器組織への動員を促進する。ケモカインはタンパク質に存在する最初の2つのシステイン残基の相対的な位置により、2つのファミリーに分類される。第一のファミリーでは、最初の2つのシステインが1つのアミノ酸残基を隔てて存在するCXCケモカインであり、もう一つのファミリーでは最初の2つのシステインが隣接するCCケモカインである。
近年、ウイルス感染や腫瘍の転移に関わるタンパク質としてCXCR4が注目されている。CXCR4は、全身の細胞に存在し、エイズウイルスが宿主細胞へ感染する際に利用するケモカイン受容体である。また、腫瘍の転移が起こりやすい臓器ではCXCR4のリガンドCXCL12(SDF-1/PBSF)が発現し、腫瘍細胞ではCXCR4の発現が亢進していることが知られている。さらに乾癬の表皮肥厚に関与していることが明らかになっている。またがん細胞ではCXCR4高発現細胞の方が、がん細胞の組織浸潤性が高いともいわれている。
このCXCR4の作用を抑制してCXCR4が関与する疾患の予防や治療の目的でアンタゴニスト(特許文献1、2)、リガンド(特許文献3)、抗体(特許文献4)などを使用することが提案されている。
一方、フラボノイドの一種であるPrunetin プルネチン(4’,5-dihydroxy-7-methoxy-2,3-didehydroisoflavan-4-one)は、桜の葉などに含有されている公知の天然化合物である。その機能は、未だ明らかになっていない点が多い。プルネチンは、すでに毛髪化粧料(特許文献5)や皮膚保護用の自立性美容シート(特許文献6)に配合されている。
特開2015-24960号公報 特開2015-521204号公報 特開2011-12035号公報 特開2017-12179号公報 特開2017-218396号公報 特表2015-512863号公報
本発明者は、皮膚組織における基底膜組織における紫外線照射の影響を研究する過程で、基底膜組織の破壊や機能低下は、基底膜細胞におけるCXCR4の活性化とCXCR4の産生の増加に由来することを知見した。この知見に基づき、各種成分を探索した結果、CXCR4の発現抑制する物質を特定し、本発明をなした。
すなわち、本発明はCXCR4の産生抑制用組成物を提供することを課題とする。また本発明は、CXCR4産生抑制用組成物を用いた細胞浸潤抑制用組成物を提供すること課題とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)プルネチン及び/又はプルネチン含有抽出物を有効成分として含有するCXCR4産生抑制用組成物。
(2)プルネチン及び/又はプルネチン含有抽出物を有効成分として含有する、細胞浸潤抑制用組成物。
(3)プルネチン及び/又はプルネチン含有抽出物を有効成分として含有する、基底膜破壊抑制用組成物
(4)プルネチン含有抽出物が、サクラ、カンゾウから選択される1以上の植物の抽出物である(1)~(3)のいずれかに記載の組成物。
本発明により、CXCR4の産生を抑制する組成物が提供される。
また、本発明によりCXCR4を抑制することによって、CXCR4に由来する細胞浸潤を抑制するための組成物が提供される。さらにまた、本発明によって皮膚基底膜破壊を抑制する組成物が提供される。
プルネチンのケラチノサイトにおけるCXCR4発現抑制試験の結果を示すグラフである。 プルネチンのメラノサイトにおけるCXCR4発現抑制試験の結果を示すグラフである。 サクラエキスBのケラチノサイトにおけるCXCR4発現抑制試験の結果を示すグラフである。 サクラエキスBのメラノサイトにおけるCXCR4発現抑制試験の結果を示すグラフである。 UVB紫外線照射による皮膚基底膜の破壊を観察した画像である。 UVB紫外線照射による皮膚中CXCR4産生促進とプルネチンによる産生抑制の結果である。
本願明細書において使用する「CXCR4産生抑制」とは、CXCR4産生細胞におけるCXCR4タンパク質の細胞表面への発現及び、細胞外への分泌量の抑制をいう。
また、本願明細書において使用する「細胞浸潤抑制」とは、本来その組織固有のものでない細胞が、当該組織の基底膜を越えて、組織の中に出現することをいう。
本発明の作用効果をもたらす有効成分は、プルネチン及び/又はプルネチン含有植物抽出物である。以下により詳しく説明する。
1.プルネチン
プルネチン(Prunetin :4’,5-dihydroxy-7-methoxy-2,3-didehydroisoflavan-4-one、4’,5-ジヒドロキシ-7-メトキシ-2,3-ジデヒドロイソフラバン-4-オン)は、下記化学式1で表される構造を有しているフラボノイド化合物に分類される公知の化合物である。
Figure 0007179656000001
プルネチンは、化学的に合成したものであっても良いし、天然物から抽出したものであっても良い。
本発明のCXCR4産生抑制組成物、細胞浸潤抑制用組成物には、プルネチンを0.000000001~10質量%、好ましくは0.00000001~1質量%、特に好ましくは0.00000001~0.1質量%配合する。
本発明のプルネチンを含有するCXCR4産生抑制組成物、細胞浸潤抑制用組成物、各種医薬品、食品、健康食品、化粧品、医薬部外品等とすることが可能である。剤形としては特に制限されず、種々の形態とすることができ、具体的には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等経口投与のための形態、注射剤、外用剤、クリーム、軟膏とすることができる。
2.プルネチンを含有する植物抽出物
またプルネチンは、サクラ属(Prunus)に含有される。その中でもソメイヨシノ(Cerasus yedoensis)の葉を用いることが好ましい。そのほか、カンゾウ属(Glycyrrhiza)の植物の全草から抽出することができる。このプルネチンを含有する抽出物を、本発明の有効成分として、CXCR4産生抑制組成物、細胞浸潤抑制用組成物に配合することができる。
植物体から抽出する場合、本発明において、溶媒抽出に用いられる抽出溶媒は、植物材料からの溶媒抽出に用いられる公知の抽出溶媒であればいずれも使用可能である。抽出溶媒としては、親水性の高い溶媒を用いると、本願発明の目的に合致した、効果の高い抽出物が得られるため、好ましく用いられる。このような溶媒として、本発明では、水、水溶性有機溶剤又はこれらの混合溶媒から選ばれる溶媒が特に好ましく用いられる。前記水溶性有機溶媒とは、水と相溶性を有する溶媒を指し、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類、その他アセトン等の極性の高い有機溶剤が挙げられる。上記抽出溶媒の中で、好適なものとしては、エタノール又はエタノール水溶液が挙げられる。
抽出に当たっては、プルネチン含有植物体の乾燥物を洗浄した後、公知の適当な手段で細断、破砕する。溶媒による抽出は公知の方法に従って行えばよい。例えば、水、水溶性有機溶媒又はこれらの混合溶媒を抽出溶媒として用いた場合、抽出原料に対して重量比で1~50倍、好ましくは3~10倍の抽出溶媒量で、0℃~100℃の範囲で、かつ抽出溶媒の沸点より低い温度条件下で、0.1~50時間、好ましくは0.5~24時間抽出すればよい。抽出は静置状態でも良いが、より効率的に抽出を行うには、適度に攪拌しながら抽出を行うことが望ましい。
こうして得られる植物抽出物は、このまま、本発明のプルネチン含有植物抽出物として使用することができる。なお植物抽出物中のプルネチンは、精製プルネチンを標準物質としてHPLC法でプルネチン含有量を分析することができ、例えばサクラ葉やカンゾウ葉エタノール抽出においてそれぞれ0.0005質量%、0.01質量%を含む抽出物を作成できる。
なお、CXCR4産生抑制組成物、細胞浸潤抑制用組成物とする場合、プルネチンは、0.000000001~10質量%、好ましくは0.00000001~1質量%、特に好ましくは0.00000001~0.1質量%配合する。
また、プルネチン含有植物抽出物は、食品、健康食品、化粧品、医薬部外品等とすることが可能である。剤形としては特に制限されず、種々の形態とすることができ、具体的には、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等経口投与のための形態、注射剤、外用剤、クリーム、軟膏、塗布剤、ローション等の液状化粧料とすることができる。
本発明の組成物を化粧品とする場合、本発明の効果を損なわない範囲で、通常化粧料に常用される、各種の成分を適宜配合することができる。このような配合可能なその他の成分としては、本発明の目的を妨げない限り特に限定されず、例えば、油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色材、アルコール類、紫外線防止剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素、水が挙げられる。
本発明の組成物を化粧料とする場合の形態は特に限定されず、例えば、化粧水、乳液、クリーム、美容液、ファンデーション等の形態でスキンケア化粧料やメーキャップ化粧料、マッサージ化粧料、パック化粧料に用いることができる。また、本発明の皮膚外用組成物は、薬事法の言う化粧品、医薬部外品、医薬品等に含まれる製品とすることができる。乳液、クリーム、ローションのようなスキンケア製品、軟膏等に用いられる。特に限定されるものではないが、その剤型は水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水―油2層系、水―油―粉末3層系等、幅広い剤型を取り得る。
本発明の組成物の投与量は、対象者の年齢、体重、症状、投与経路、投与スケジュール、製剤形態、等により、適宜選択決定される。経口投与の場合、1日あたり0.001~100gが好ましい。外用の場合、0.00000001~1質量%を含む組成物を1日あたり、複数回投与する。
また、本発明組成物は、皮膚外用として、医薬品医療機器等法の言う化粧品、医薬部外品、医薬品等に含まれる製品とすることができる。乳液、クリーム、ローションのようなスキンケア製品、軟膏等に用いられる。特に限定されるものではないが、その剤型は水溶液系、可溶化系、乳化系、粉末系、油液系、ゲル系、軟膏系、エアゾール系、水―油2層系、水―油―粉末3層系等の剤型とすることができる。
以下に試験例を示し、 本発明を具体的に説明する。
1.プルネチン又はサクラエキスBによるCXCR4遺伝子の発現抑制試験
(1)ケラチノサイトを用いた試験
1)試験に用いた細胞
[ケラチノサイト]
正常ヒト表皮由来のケラチノサイト(Thermo Fisher Scientific)を90000cells/cmでφ35mm ディッシュに播種し、EpiLife(登録商標) Medium with 60μM Calcium(Thermo Fisher Scientific社製)にHumedia-KG2増殖添加剤(倉敷紡績株式会社製)を添加した培地で2日間培養したものを試験細胞とした。
2)細胞の培養条件
細胞は、37℃、5%二酸化炭素、95%雰囲気下にて培養を行った。
3)試験試料
試験試料として精製プルネチン(Sigma Aldrich社)及びソメイヨシノ葉抽出液(製品名「サクラエキスB(一丸ファルコス株式会社))(組成:ソメイヨシノ葉エキス 2.0質量%、1,3-ブチレングリコール49.0質量%、精製水 49.0質量%)」プルネチン含有量0.00001質量%を用いた。
4)CXCR4発現抑制試験
ケラチノサイトを培養中の上記ディッシュに試験試料(プルネチン0、6.25,25μM、サクラエキス0、0.2、0.4質量%)を添加し(n=3)、24時間培養したものを試験細胞とした。その後、HANKS(-)2mlで細胞を洗浄後、HANKS(-)1mlを入れ、15mJ/cmのUVBを照射してCXCR4を誘導した。さらに24時間経過後にmRNAを抽出した。培養ディッシュにTRIZOL(Thermo Fisher Scientific社製)を0.5ml添加してmRNAを溶解した。定法に従ってmRNAを抽出し、PrimeScript II 1st strand cDNA Synthesis Kit(タカラバイオ社製)でcDNAを合成した。
SYBRPremix Ex Taq II (Tli RNaseH Plus) (タカラバイオ社製)で調製し、LightCycler(登録商標)480システム II(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)でRPS18をリファレンス遺伝子として、CXCR4の発現を下記のプライマーを使用し、ΔΔCt法により評価した。なお比較対照としてUVB非照射(CXCR4の誘導なし)を用いた。
プライマー 配列
CXCR4
Forward CCTGCCTGGTATTGTCATCCTG(配列番号1)
Reverse ACTGTGGTCTTGAGGGCCTTG(配列番号2)
RPS18
Forward TTTGCGAGTACTCAACACCAACATC(配列番号3)
Reverse GACCATATCTTCGGCCCACAC(配列番号4)
(2)メラノサイトを用いた試験
1)試験に用いた細胞
[メラノサイト]
正常ヒト表皮由来のメラノサイト(ロンザジャパン)を150000cells/cmMedium 254(Thermo Fisher Scientific社製)にHMGS(Thermo Fisher Scientific社製)を添加した培地で24時間培養したものを試験細胞とした。
2)細胞の培養条件
細胞は、37℃、5%二酸化炭素、95%雰囲気下にて培養を行った。
3)試験試料
試験試料として精製プルネチン(Sigma Aldrich社)及びソメイヨシノ葉抽出液(製品名「サクラエキスB(一丸ファルコス株式会社)」プルネチン含有量0.00001質量%を用いた。
4)CXCR4発現抑制試験
メラノサイトを培養中の上記ディッシュに試験試料(プルネチン0、3.125、6.25μM、サクラエキス0、0.2、0.4質量%)を添加し(n=3)、24時間培養した。その後、HANKS(-)2mlで細胞を洗浄後、HANKS(-)1mlを入れ、15mJ/cmのUVBを照射し、さらに24時間経過後にmRNAをRNeasy Mini Kit(Qiagen社製)で定法に従ってmRNAを抽出した。PrimeScriptII 1st strand cDNA Synthesis Kit(タカラバイオ社製)でcDNAを合成し、SYBR(登録商標)Premix Ex Taq II (Tli RNaseH Plus)(タカラバイオ社製)を用い、LightCycler(登録商標)480システム II(ロシュ・ダイアグノスティックス社製)でRPS18をリファレンス遺伝子として、CXCR4の発現を下記のプライマーを使用してΔΔCt法によって評価した。なお比較対照としてUVB非照射(CXCR4の誘導なし)を用いた。
プライマー 配列
CXCR4
Forward CCTGCCTGGTATTGTCATCCTG(配列番号1)
Reverse ACTGTGGTCTTGAGGGCCTTG(配列番号2)
RPS18
Forward TTTGCGAGTACTCAACACCAACATC(配列番号3)
Reverse GACCATATCTTCGGCCCACAC(配列番号4)
(3)測定結果
プルネチンによるケラチノサイトCXCR4の発現抑制試験の結果を図1、プルネチンによるメラノサイトCXCR4の発現抑制試験の結果を図2に示す。
また、サクラエキスBによるケラチノサイトCXCR4の発現抑制試験の結果を図3、サクラエキスBによるメラノサイトCXCR4の発現抑制試験の結果を図4に示す。
また図中の有意差符号は、*:P<0.05、***:P<0.001 VS UVB非照射かつプルネチン、サクラエキスB無添加、#:P<0.05、##:P<0.01 VS UVB照射かつプルネチン、サクラエキスB無添加を示す。
図1~4に示すとおり、プルネチン及びプルネチンを含有するサクラエキスは、明らかに紫外線照射によって誘導されるケラチノサイト及びメラノサイトのCXCR4の発現を抑制した。
なお各サンプルデータは、片側検定(One-way ANOVA)で多重比較検定をdunnet法で解析した。
2.ヒト皮膚組織を用いたプルネチンによる基底膜保護作用の確認試験
UVB紫外線は、皮膚基底膜にCXCR4を増加させ、基底層の破壊及び細胞浸潤をもたらす。このUVB紫外線のCXCR4増加をプルネチンが抑制することを確認するためヒト皮膚組織を用いた試験を行った。
(1)試験方法
1)試験試料としてプルネチン(100μMに0.025% DMSO・PBS(-)で調製)を用いた。
2)脂肪を取り除いたヒト皮膚(18歳白人女性腹部皮膚)を縦横1cm角にカットし、GIBCO(登録商標)Dulbecco’s Modified Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12 (DMEM/F-12)培地(Thermo Fisher Scientific社製)で1日馴化培養した。次いで、UVB紫外線を200mJ/cm照射後、プルネチンを皮膚上に塗布して5%CO、37℃インキュベーターで培養した。
3)培養2、3日目に皮膚組織表面を綿棒で拭い、プルネチンを除去した。その後、皮膚組織に再度UVB200mJ/cmを照射した後プルネチンを塗布し、同様の条件で培養を継続した。
4)2回目のUVB照射後、培養中のヒト皮膚組織を取り出し、PBS(-)で洗浄後皮膚サンプルを4%パラホルムアルデヒドで固定し、パラフィン包埋切片を作成後、5μmの厚さで薄切切片を作成した。Target Retrieval Solution, pH6(Dako)10倍希釈液で95℃20分間賦活化処理後、プロテインブロック(abcam)でブロッキングし、10μg/mlTypeIVコラーゲン抗体(Dako)で3日間インキュベーション後、F(ab’)2-Goat anti-Mouse IgG (H+L) Cross-Adsorbed Secondary Antibody, Alexa Fluor 594(Thermo Fisher Scientific)を使用し、免疫染色を行った。さらにDAPI(4’,6-diamidino-2-phenylindole)染色(同仁化学)を行った。
5)組織切片の蛍光顕微鏡観察を行い、基底膜の状態を確認した。
6)皮膚組織を5mm角に切出し、500μLレムリバッファー(0.09MトリスーHCL(pH6.8)/3%SDS、/10.3%グリセリン)でステンレス球(5.5Φ)1つを入れ、ビーズ式細胞破砕装置(TOMY)で冷却しながら破砕(4200rpm,180秒を2回)し、上清をタンパク抽出物とした。本サンプルについて、ウエスタンブロッティングプロトコール(CSTジャパン社)に従って、SDSゲル電気泳動を行った。このSDSゲルをTrans-Blot(登録商標)Turbo(商品名)Transfer System(Bio-rad)を使用してPVDF膜へ転写した。メンブレンをStartingBlock (PBS) Blocking Buffer(Thermo Fisher scientific)でブロッキングし、1次抗体としてCXCR-4抗体(4G10): mouse monoclonal antibody(Santa cruz社製)、またはGAPDH抗体(Anti-GAPDH, C-Terminal antibody produced in goat affinity isolated antibody, buffered aqueous solution(Sigma Aldrich))を0.05%PBSTで1000倍希釈に調製し、4℃一晩で反応させ、翌日0.05%PBSTで洗浄後、2次抗体Goat anti-Mouse IgG2a Secondary Antibody, HRP(Thermo Fisher scientific)またはRabbit anti-Goat IgG (H+L) Secondary Antibody, HRP(Thermo Fisher scientific)の0.05%PBST 10000倍希釈液に1時間反応させ、0.05%PBSTで洗浄後、ECL western Blotting Detection system(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)を用いて検出した。
各バンドの発光強度をImage J(アメリカ国立衛生研究所NIH)で画像解析し、CXCR4のバンドの発光強度をGAPDHのバンドの濃さで割り返した割合の3ウエルの平均値を求め、無処置ウエルを1とする相対値を算出した。
(2)結果
紫外線によるCXCR4産生量比較結果を図6に示す。皮膚中のCXCR4は紫外線照射により増加するが、プルネチンの添加により増加の抑制が確認された。基底膜構成コラーゲンであるTypeIVコラーゲンを免疫染色した蛍光顕微鏡観察画像を図5に示す。比較のためUVB照射なし(UVB(-))、UVB照射のみ(UVB(+))、UVB照射プルネチン塗布(UVB(+)+prunetin)の画像を示す。
この染色標本の画像では、表皮と真皮の境界にあるTypeIVコラーゲン陽性の基底膜は、黄色の蛍光を発していることで観察できる(UVB(-)画像の4倍に拡大した画像参照)。一方、この基底膜は、UVB照射により見えなくなる(UVB(+)画像の4倍に拡大した画像参照)が、プルネチン塗布によってTypeIVコラーゲン陽性の基底膜特有の黄色蛍光を確認することができた。
これらの結果から、プルネチンの塗布によって皮膚中のCXCR4産生が抑制され、基底膜の組織がUVB照射によって破壊されないことが確認できた。したがって基底膜破壊とそれに伴う基底膜内に基底層の細胞が浸潤を抑制することが可能となる。
以下に化粧品に配合した場合の処方例を示す。
処方例1 ローション
成分 配合量(質量%)
1.グリセリン 9.5
2.1,3-ブチレングリコール 4.5
3.ブドウ糖 1.5
4.エタノール 5
5.カルボキシビニルポリマー 0.02
6.グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
7.ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
8.プルネチン 0.00000001
9.クエン酸 0.05
10.クエン酸ナトリウム 0.1
11.イオン交換水 残余
12.水酸化カリウム 0.01

室温下で、成分11に1~10の成分を加え攪拌溶解し、成分12を加えて均一に溶解してローションを得た。
処方例2 クリーム
成分 配合量(質量%)
1.ステアリルアルコール 6
2.ステアリン酸 2
3.スクワラン 9
4.オクチルドデカノール 10
5.1,3-ブチレングリコール 8
6.ポリエチレングリコール1500 4
7.POE(25)セチルアルコールエーテル 3
8.モノステアリン酸グリセリル 2
9.精製水 残余
10.プルネチン 0.003

成分1~4を80℃に加熱溶解し油相とする。成分5~9を70℃に加熱溶解し水相とする。油相に水相を徐々に加え乳化し、攪拌しながら40℃まで冷却し、成分10を加えた後、さらに30℃まで攪拌冷却してクリームを得た。
処方例3 パック
成分 配合量(質量%)
1.ポリビニルアルコール 15
2.カルボキシメチルセルロース 5
3.1,3-ブチレングリコール 5
4.エタノール 12
5.サクラ葉エキス 0.1
6.POEオレイルアルコールエーテル 0.5
7.クエン酸 0.02
8.クエン酸ナトリウム 0.04
9.精製水 残余

Claims (2)

  1. プルネチン及び/又はプルネチン含有抽出物を有効成分として含有するCXCR4産生抑制用組成物。
  2. プルネチン含有抽出物が、サクラ、カンゾウから選択される1以上の植物の抽出物である請求項に記載の組成物。
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