JP7178951B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、トップシートと、バックシートと、これらのシートの間に配置された吸収層とを備える吸収性物品であって、着用者の肌と接する領域の少なくとも一部に、スチレン系エラストマー等のゲル化剤と、炭化水素等のローションとを含むゲルローションを有する吸収性物品が開示されている。
そこで、本発明は、ローション機能を発揮することができるとともに、液体移行機能及び液戻り抑制機能に優れる吸収性物品を提供することを目的とする。
一方、液体が吸収体に移行した後は、ゲルローションからなる薄膜部が、吸収体の液体が着用者側に戻ることを抑制する液戻り抑制機能を発揮する。この液戻り抑制機能は、吸収性物品が液体を繰り返し吸収することにより、薄膜部内の界面活性剤が液体に移動し、薄膜部が疎水化するほど高くなる傾向がある。
以上より、本態様の吸収性物品は、ゲルローションからなる薄膜部によって、着用者の肌にローション機能を付与することができるとともに、液体移行機能及び液戻り抑制機能を発揮することができる。
0.5a<c ・・・(1)
0.5b<c ・・・(2)
の関係を有する。
以下、本発明の吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物(例えば、吸収性物品、布帛シート等)を、垂直方向の上方側から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。
本明細書において、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物(例えば、吸収性物品等)の長さの長い方向」を指し、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの長手方向、幅方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。また、本明細書において、「平面方向」は、「平面視における略シート状の対象物(例えば、布帛シート等)の平面が延びる方向」を指し、当該平面方向と厚さ方向とは、互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、「縦長の対象物の長手方向において、該対象物の長手方向の中央に位置し且つ幅方向に延びる中央軸線CWに対して相対的に近位側」を「長手方向の内方側」といい、「前記縦長の対象物の長手方向において、前記中央軸線CWに対して相対的に遠位側」を「長手方向の外方側」という。同様に、「縦長の対象物の幅方向において、該幅方向の中央に位置し且つ長手方向に延びる中央軸線CLに対して相対的に近位側」を「幅方向の内方側」といい、「前記縦長の対象物の幅方向において、前記中央軸線CLに対して相対的に遠位側」を「幅方向の外方側」という。
また、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌側」という。
本発明の吸収性物品は、吸収体と、該吸収体よりも肌側に配置された、繊維を含む布帛シートとを備えている吸収性物品であり、布帛シートが、スチレン系エラストマーと、炭化水素と、界面活性剤とを含むゲルローションを含み、さらに、該ゲルローションの少なくとも一部が、上記繊維を構成する複数の繊維部分に沿って延びている、複数の薄膜部として配置されている。
一方、液体が吸収体に移行した後は、ゲルローションからなる薄膜部が、吸収体の液体が着用者側に戻ることを抑制する液戻り抑制機能を発揮することができる。
以上より、本発明の吸収性物品は、ゲルローションからなる薄膜部によって、着用者の肌にローション機能を付与することができるとともに、液体移行機能及び液戻り抑制機能を発揮することができる。
なお、生理用ナプキン1は、液透過性シート2の肌側T1において幅方向Wの両端部に位置する一対のサイドシート5、5と;液不透過性シート3の非肌側T2の表面に配置された着衣固定用粘着部(不図示)と;を構成部材として更に備えている。
すなわち、本実施形態では、上述の布帛シートが液透過性シート2を構成している。このように、上述の布帛シートが液透過性シート2を構成していると、ゲルローション6によるローション機能をより効果的に発揮することができる上、液透過性シート2に供給された体液等の液体に対して、液体移行機能を迅速に機能させることができる。さらに、本実施形態では、吸収体4に移行された液体の戻りを、液透過性シート2におけるゲルローション6の薄膜部61によって、着用者により近い位置で抑制することができるため、液戻り抑制機能をより効果的に発揮することができる。
生理用ナプキン1において、液透過性シート2は、図1及び図2に示すように、一対のサイドシート5、5と厚さ方向Tに重複する部分以外は、着用者の肌に直に接触し得る位置に配置されており、着用者から排出された経血等の体液が透過し得る液透過性のシート状部材によって構成されている。
なお、不織布の坪量は、JIS L 1906の5.2に従って測定することができ、また、不織布の厚みは、レーザー変位計(例えば、キーエンス株式会社製 高精度2次元レーザー変位計LJ-Gシリーズ(型式:LJ-G030))を使用して、非接触方式で測定することができる。なお、不織布の厚みの測定は、異なる5箇所の測定対象部分について測定し、その平均値を採用する。
液透過性シート2がこのような凹凸構造を有していると、液透過性シート2上に供給された体液を上述の凹部22に沿って第1の方向(すなわち、生理用ナプキン1の長手方向L)へ拡散させながら、液透過性シート2の非肌側T2へ浸透させることができる。さらに、本実施形態においては、ゲルローション6が上記凸部21おいて生理用ナプキン1の長手方向Lに沿って配置されているため、当該ゲルローション6の作用により体液が長手方向Lに沿って拡散しやすく、さらに、凹部22において、凸部21から移動した体液が厚さ方向Tに透過しやすくなっている。
上述のとおり、スチレン系エラストマーと、炭化水素と、界面活性剤とを含むゲルローション6は、吸収体4よりも肌側T1に位置する液透過性シート2に配置されて、その少なくとも一部が液透過性シート2の構成繊維2Fの複数の繊維部分に沿って延びる複数の薄膜部61を形成することにより、液透過性シート2に上述のローション機能、液体移行機能及び液戻り抑制機能を付与するものである。
0.5a<c ・・・(1)
0.5b<c ・・・(2)
複数の薄膜部61の少なくとも一部が繊維部分とこのような所定の関係を持って配置されていると、上述の液戻り抑制機能をより効果的に発揮することができる。
さらに、複数の凸部21と複数の凹部22とが、それぞれ第1の方向(生理用ナプキン1の長手方向Lに対応する方向)に延びているので、液透過性シート2に供給された体液を上記第1の方向に拡散させやすく、特に、繰り返し供給される体液の拡散性に優れ、上述の液体移行機能及び液戻り抑制機能をより一層発揮しやすくなっている。
ゲルローションに用いられるスチレン系エラストマーとしては、例えば、ハードセグメントとソフトセグメントとを有するものが挙げられる。上記ハードセグメントとしては、例えばスチレン系のハードセグメントが挙げられ、上記ソフトセグメントとしては、例えばオレフィン系のソフトセグメントが挙げられる。
<GPC測定条件>
機種:(株)日立ハイテクノロジーズ製 高速液体クロマトグラム Lachrom Elite
カラム:昭和電工(株)製 SHODEX KF-804
溶媒:THF
流量:1.0mL/分
打込み量:100μL
検出:RI(示差屈折計)
ゲルローションに用いられる炭化水素は、常温において一定の流動性を有するものであり、吸収性物品の着用者の肌に接することで、着用者の肌にローション機能を付与するものである。
かかる炭化水素は、特に限定されず、直鎖、分岐又は環状の構造を有していてもよく、飽和又は不飽和結合を有していてもよい。そのような炭化水素の例としては、オレフィン系炭化水素(二重結合を1つ含むアルケン)、パラフィン系炭化水素(二重結合も三重結合も含まないアルカン)、アセチレン系炭化水素(三重結合を1つ含むアルキン)、二重結合及び/又は三重結合を2つ以上含む炭化水素などの鎖状炭化水素;芳香族炭化水素、脂環式炭化水素などの環状炭化水素が挙げられる。
なお、動粘度は、JIS K 2283:2000の「5.動粘度試験方法」に従って、キャノンフェンスケ逆流形粘度計を用いて、40℃の試験温度で測定する。
ゲルローションに用いられる界面活性剤は、上述のゲルローションの薄膜化に寄与し、また、ゲルローションを親水化するものである。特に、この界面活性化剤は、炭化水素に作用してその表面に配列することで、炭化水素の表面張力を低下させるとともに、粘度を増加させるため、液透過性シート(布帛シート)の構成繊維間にゲルローションの薄膜部を形成しやすくすることができる。
また、上記に例示したエステル系界面活性剤以外のエステル系界面活性剤としては、例えば、東洋紡(株)製のセラメーラ(マンノシルエリスリトールの水酸基に脂肪酸がエステル結合した糖脂質構造を有するバイオサーファクタント)などを用いることもできる。
なお、エステル系界面活性剤が脂肪酸エステル構造を有する場合、7以上20以下のHLB値を実現するためには、脂肪酸の炭素数が、8以上20以下であることが好ましく、10以上18以下であることがより好ましく、12以上16以下であることが更に好ましい。
HLB値=[(Σ無機性値)/(Σ有機性値)]×10
HLB値は0から20までの値を取り、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高くなる。
本発明に用いられるゲルローションは、本発明の効果を阻害しない範囲内で、スチレン系エラストマー、炭化水素及び界面活性化剤以外の、その他の成分を含んでいてもよい。
そのようなその他の成分としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル等の酸化防止剤;方沸石、菱沸石、輝沸石、ナトロライト、束沸石、ソモソナイト等の天然ゼオライト;合成ゼオライトなどが挙げられる。
上述の実施形態に係る生理用ナプキン1において、吸収体4は、図2に示すように、液透過性シート2と液不透過性シート3の間に配置されて、液透過性シート2を厚さ方向Tに透過してきた体液を吸収して保持し得る、所定の吸液性及び液保持性を備えた吸収性部材によって形成されている。
かかる吸収体4は、図1に示すように、平面視にて、生理用ナプキン1における長手方向Lの広範囲にわたって延在し、さらに、長手方向Lの略中央部分が幅方向Wの内方側に向かって細く括れた縦長の外形形状を有している。なお、吸収体の外形形状は、このような態様のものに限定されず、各種用途等に応じた任意の外形形状(例えば、長方形、楕円形、砂時計形等)及びサイズのものを採用することができる。
上述の実施形態に係る生理用ナプキン1において、液不透過性シート3は、図2に示すように、吸収体4の非肌側T2に配置されて、着用者から排出された体液の透過を防止し、当該体液が着用者の下着等に漏れ出ないように機能する、液不透過性のシート状部材によって形成されている。
かかる液不透過性シートは、体液等の液体を透過しないものの、所定の通気性を備えていることが好ましい。液不透過性シートがこのような通気性を備えていると、吸収体から放出される湿気(具体的には、吸収体に吸収及び保持された体液等に由来する湿気)を、液不透過性シートを介して吸収性物品の外部へ放出しやすくなるため、吸収性物品の内部或いは吸収性物品と着用者の肌面との間に湿気を溜まりにくくすることができる。
2 液透過性シート
21 凸部
22 凹部
3 液不透過性シート
4 吸収体
5 サイドシート
6 ゲルローション
61 薄膜部
Claims (11)
- 吸収体と、前記吸収体よりも肌側に配置された、繊維を含む布帛シートとを備えている吸収性物品であって、
前記布帛シートが、スチレン系エラストマーと、炭化水素と、界面活性剤とを含むゲルローションを含み、
前記ゲルローションの少なくとも一部が、前記繊維を構成する複数の繊維部分に沿って延びている、複数の薄膜部として配置されており、
前記吸収性物品が、肌側面及び非肌側面を有する液透過性シートを含み、前記布帛シートが、前記液透過性シートを構成し、
前記非肌側面に配置された前記ゲルローションの量が、前記肌側面に配置されたゲルローションの量よりも多い、
ことを特徴とする、前記吸収性物品。 - 前記複数の薄膜部のそれぞれが、前記布帛シートの平面方向に沿って延びている、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記複数の薄膜部のそれぞれが、前記繊維と同一又は前記繊維よりも薄い厚さを有する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
- 前記布帛シートが、前記複数の繊維部分を構成する第1繊維部分及び第2繊維部分であって、それらの交点において互いに交差しているものを備えており、前記複数の薄膜部の少なくとも一部が、前記第1繊維部分、前記交点及び前記第2繊維部分にわたって配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記複数の薄膜部の少なくとも一部が、前記第1繊維部分と接する長さaと、前記第2繊維部分と接する長さbと、前記第1繊維部分及び前記第2繊維部分の仮想二等分線と接する長さcとの間に、以下の式(1)及び式(2):
0.5a<c ・・・(1)
0.5b<c ・・・(2)
の関係を有する、請求項4に記載の吸収性物品。 - 前記複数の薄膜部の少なくとも一部において、その周縁部の全体が、前記複数の繊維部分上に配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記液透過性シートが、複数の凸部と、複数の凹部とを備えており、前記複数の薄膜部の少なくとも一部が、前記複数の凸部のそれぞれに配置されている、請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記複数の凸部のそれぞれに配置された前記ゲルローションの量が、前記複数の凹部のそれぞれに配置された前記ゲルローションの量よりも多い、請求項7に記載の吸収性物品。
- 前記複数の凹部のそれぞれの繊維密度が、前記複数の凸部のそれぞれの繊維密度よりも高い、請求項7又は8に記載の吸収性物品。
- 前記複数の凸部のそれぞれと、前記複数の凹部のそれぞれとが、所定の方向に交互に配置されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記複数の凸部と前記複数の凹部とが、それぞれ第1の方向に延び、かつ、前記第1の方向と交差する第2の方向に交互に配置されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
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