JP7178773B2 - ポリプロピレン樹脂組成物、及びこれを用いた医療用成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂組成物、及びこれを用いた医療用成形体に関する。医療用成形体は、例えばシリンジの外筒又はダイアライザーのハウジングとして用いることができる。
シリンジの外筒、及びダイアライザーのハウジングのような医療用成形体の樹脂材料として、一般に、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリカーボネート(PC)のような材料が広く用いられてきた。しかし、より安価な材料であるポリプロピレン系重合体を含むポリプロピレン樹脂組成物の医療用成形体分野への適用も検討されている(例えば、特許文献1、2)。
特開2009-082698号公報 特開2017-025156号公報
ポリプロピレン樹脂組成物の医療用成形体に関して、放射線による滅菌後においても、色調変化が少なく、また、溶出物が少ないことが望まれる。
本発明の一側面は、(A)プロピレン系重合体と、(B)スチレン系エラストマー又はエチレン系エラストマーのうち少なくとも一方のエラストマーと、(C)ヒンダードアミン光安定剤と、(D)リン系酸化防止剤又はヒドロキシルアミン系酸化防止剤のうち少なくとも一方の酸化防止剤とを含有する、ポリピロピレン樹脂組成物に関する。プロピレン系重合体及びエラストマーの合計量を100質量部としたときに、エラストマーの含有量が1質量部以上20質量部以下である。酸化防止剤の含有量が、前記プロピレン系重合体及び前記エラストマーの合計量を基準として、200ppm以上1500ppm以下である。プロピレン系共重合体を含む連続相中にエラストマーを含む粒子が分散しており、エラストマーを含む粒子の平均分散粒径が0.06μm以下である。
このポリプロピレン樹脂組成物は、放射線による滅菌後においても、色調変化が少なく、溶出物が充分に少ない成形体を形成することができる。
上記ポリプロピレン樹脂組成物は、(E)芳香族リン酸エステル金属塩を含む造核剤を更に含有してもよい。係る造核剤を含有するポリプロピレン樹脂組成物は、放射線による滅菌後の剛性の点で、より優れた効果を有することができる。
別の側面において、本発明は、上記ポリプロピレン樹脂組成物からなる医療用成形体に関する。本発明の更に別の側面は、係る医療用成形体を有する外筒を備えるシリンジ、及び係る医療用成形体を有するハウジングを備えるダイアライザーを提供する。
本発明に係るポリプロピレン樹脂組成物は、放射線による滅菌後においても、色調変化が少なく、溶出物が充分に少ない成形体(特に医療用成形体)を形成することができる。
シリンジの一実施形態を示す平面図である。 ダイアライザーの一実施形態を示す平面図である。
以下、本発明のいくつかの実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
1.ポリプロピレン樹脂組成物
一実施形態に係るポリプロピレン樹脂組成物は、(A)プロピレン系重合体と、(B)スチレン系エラストマー又はエチレン系エラストマーのうち少なくとも一方のエラストマーと、(C)ヒンダードアミン光安定剤と、(D)リン系酸化防止剤又はヒドロキシルアミン系酸化防止剤のうち少なくとも一方の酸化防止剤とを含有する。
(A)プロピレン系重合体
一実施形態に係るポリプロピレン樹脂組成物は、1種又は2種以上のプロピレン系重合体を含有する。プロピレン系重合体は、プロピレンに由来する単量体単位から主として構成される重合体である。プロピレン系重合体は、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンとその他の共重合モノマーとの共重合体であってもよい。プロピレン系重合体は結晶性を有していてもよい。プロピレン系重合体として、通常は、アイソタクチック結晶性を有するプロピレン系重合体が用いられる。
プロピレン系重合体における、プロピレンに由来する単量体単位の含有量は、プロピレン系重合体の質量を基準として、85質量%以上、90質量%以上、又は95質量%以上であってもよい。プロピレンに由来する単量体単位の含有量の上限は100質量%である。
プロピレン系重合体を構成する共重合モノマーは、例えば、エチレン及び/又はα-オレフィンであってもよい。α-オレフィンは、炭素数4~20のα-オレフィンであってもよい。炭素数4~20のα-オレフィンの具体例としては、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、ヘプテン-1、オクテン-1、及びデセン-1が挙げられる。炭素数4~20のα-オレフィンは、ブテン-1、ヘキセン-1、及びオクテン-1から選ばれる少なくとも1種であってもよい。
プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体としては、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-ヘキセン-1共重合体、及びプロピレン-エチレン-ヘキセン-1共重合体が挙げられる。プロピレン系重合体は、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、又はプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体であってもよい。
プロピレン系重合体における、共重合モノマーに由来する単量体単位の含有量は、プロピレン系重合体の質量を基準として、0質量%以上であり、15質量%以下、10質量%以下、又は5質量%以下であってもよい。共重合モノマーに由来する単量体単位の含有量が15質量%以下であると、放射線による滅菌後の成形体の剛性が高いという効果が得られる。共重合モノマーに由来する単量体単位の含有量は0.01質量%以上、1質量%以上、又は2質量%以上であってもよい。
プロピレン系重合体の230℃におけるメルトフローレイト(MFR)は、5g/10分以上、10g/10分以上、又は20g/10分以上であってもよく、50g/10分以下、又は40g/10分以下であってもよい。ここでのメルトフローレイトは、JIS K 7210の条件14の方法に従って、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定される値である。メルトフローレートを測定する際、プロピレン系重合体に少量の酸化防止剤(例えば、プロピレン系重合体100質量部に対して0.5質量部程度)がブレンドされてもよい。プロピレン系重合体が適切なメルトフローレイトを有していることにより、樹脂組成物を射出成形する場合に、良好な流動性が得られ易い。
ポリプロピレン樹脂組成物におけるプロピレン系重合体の含有量は、プロピレン系重合体及びエラストマーの合計量を100質量部としたときに、80質量部以上99質量部以下であり、90質量部以上99質量部以下、又は95質量部以上99質量部以下であってもよい。これにより、放射線による滅菌後の色調変化及び剛性の低下をより一層抑制することができる。
プロピレン系重合体は、プロピレンを含むモノマーを、通常の方法で重合することにより製造できる。例えば、特開平7-216017号公報に記載のチタン原子及び電子供与性化合物を含む立体規則性重合用固体触媒の存在下、スラリー重合法、溶液重合法、オレフインモノマーを媒体とする液相重合法、気相重合法による重合により、プロピレン系重合体を得ることができる。ここで用いられる電子供与性化合物の割合は、通常、固体触媒中に含まれるチタン原子1モルに対し0.01~500モルであり、0.01~100モル、又は0.01~50モルであってもよい。
(B)エラストマー
一実施形態に係るポリプロピレン樹脂組成物は、スチレン系エラストマー、エチレン系エラストマー又はこれらの両方のエラストマーを含有する。これらエラストマーを含有するポリプロピレン樹脂組成物は、主にプロピレン系重合体を含む連続相と、該連続相中に分散している、主にエラストマーを含む粒子(エラストマー粒子)とから構成された相分離構造を形成する。この相分離構造において、エラストマー粒子の平均分散粒径が0.06μm以下である。エラストマー粒子が係る特定の微小な粒径で分散していることは、特に放射線による滅菌後の溶出物抑制に寄与する。エラストマー粒子の平均分散粒径は、0.05μm以下であってもよい。エラストマー粒子の平均分散粒径の下限は、特に制限されないが、通常、0.01μm以上程度である。スチレン系エラストマーは、微小な粒径を有するエラストマー粒子をプロピレン系重合体中で特に形成し易い。
ここで、エラストマー粒子の平均分散粒径は、ポリプロピレン樹脂組成物から形成された成形体の断面において観察される複数のエラストマー粒子の円相当径の数平均値である。例えば、成形体の薄片を透過型電子顕微鏡で観察し、得られた画像を解析することによって、エラストマー粒子の平均分散粒径を求めることができる。識別のために、エラストマー粒子は、通常、四酸化ルテニウム等で染色することが好ましい。
スチレン系エラストマーは、スチレンを単量体単位として含むエラストマーである。スチレン系エラストマーにおけるスチレンに由来する単量体単位の割合は、スチレン系エラストマーの全体質量を基準として、5質量%以上、又は10質量%以上であってもよく、80質量%以下、30質量%以下、又は20質量%以下であってもよい。スチレン系エラストマーは、モノマーのアルカジエン等に由来する不飽和結合(通常、スチレンに由来するベンゼン環の不飽和結合は除く。)の一部又は全部が、水素添加により飽和結合に転化されている水素添加物であってもよい。水素添加により耐熱性が向上する傾向がある。
スチレン系エラストマーは、例えば、ポリスチレンブロックと、炭素数4~10のアルカジエンに由来する単量体単位からなるポリオレフィンブロックとから構成されるブロック共重合体、又はその水素添加物であってもよい。プロピレン系重合体との相溶性及び耐衝撃性の観点から、ポリオレフィンブロックは、イソプレン又はブタジエンのうち少なくとも一方のアルカジエンを単量体単位として含んでいてもよい。本明細書において、スチレン及びエチレンを単量体単位として含むエラストマーは、スチレン系エラストマーに分類される。
スチレン系エラストマーは、ポリスチレンブロックとこれに結合したポリオレフィンブロックとからなるジブロックタイプの共重合体であってもよいし、両末端に配置されたポリスチレンブロックと、それらの間に配置されたポリオレフィンブロックとからなるトリブロックタイプの共重合体であってもよい。トリブロックタイプの共重合体は、成形体の耐衝撃性の向上に寄与することができる。
スチレン系エラストマーとしてのブロック共重合体における、上記ポリオレフィンブロックの割合は、ブロック共重合体の質量を基準として、95質量%以下、又は90質量%以下であってもよく、20質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上であってもよい。スチレン系エラストマーが適切な割合のポリオレフィンブロックを含むことで、透明性、耐衝撃性、剛性、及びベタツキに関して良好な特性を有する成形体が得られ易い。
スチレン系エラストマーの好適な具体例は、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物を含む。これらスチレン系エラストマーは、プロピレン系重合体中で微小なエラストマー粒子を形成し易い。
エチレン系エラストマーは、エチレン及びα-オレフィンを単量体単位として含む共重合体である。エチレン系エラストマーを構成するα-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ペンテン-1、ヘキセン-1、ヘプテン-1、及びオクテン-1等が挙げられる。エチレン系エラストマーの好適な具体例は、エチレン-ブテン-1共重合体、エチレン-ヘキセン-1共重合体、及びエチレン-オクテン-1共重合体を含む。
スチレン系エラストマー及びエチレン系エラストマーは、アニオン重合、カチオン重合などの通常の方法で製造することができる。スチレン系エラストマーの市販品の例としては、クレイトンポリマー社製商品名「クレイトン」、旭化成社製商品名「タフテック」、クラレ製商品名「セプトン」、「ハイブラー」、及びJSR社製商品名「ダイナロン」が挙げられる。エチレン系エラストマーの市販品としては、住友化学社製商品名「エクセレン」、「エスプレン」、及び三井化学社製商品名「エボリュー」、「タフマー」が挙げられる。
スチレン系エラストマーのメルトフローレイト(MFR:230℃、21.18N)は1~50g/10分であってもよい。MFRが高いと耐衝撃性の改良効果が低下する傾向、及び過度のベタツキが生じやすい傾向がある。MFRが低過ぎると樹脂組成物中へのエラストマーの分散性が低下するため、エラストマー粒子の分散粒径が大きくなる傾向、及び、成形体の透明性が低下する傾向がある。
エチレン系エラストマーのメルトフローレイト(MFR:190℃、21.18N)は1~50g/10分であってもよい。MFRが高いと耐衝撃性の改良効果が低下する傾向がある。MFRが低過ぎると樹脂組成物中へのエラストマーの分散性が低下するため、エラストマー粒子の分散粒径が大きくなる傾向、及び、成形体の透明性が低下する傾向がある。
ポリプロプレン樹脂組成物における、エラストマーの含有量は、プロピレン系重合体及びエラストマーの合計量を100質量部としたときに、1質量部以上20質量部以下であり、1質量部以上10質量部以下、又は1質量部以上5質量部以下であってもよい。これにより、放射線による滅菌後においても、色調変化及び溶出物が特に顕著に抑制される。ここでの「エラストマーの含有量」は、スチレン系エラストマー及びエチレン系エラストマーの合計量を意味する。
(C)ヒンダードアミン光安定剤
一実施形態に係るポリプロピレン樹脂組成物は、ヒンダードアミノ基として2級又は3級アミノ基を有する1種又は2種以上のヒンダードアミン光安定剤を含有する。
ヒンダードアミン光安定剤の分子量は、1000以上であってもよい。ヒンダードアミン光安定剤の分子量が大きいと、放射線に対する耐性、及び成形体からの溶出物抑制の点で有利である。同様の観点から、ヒンダードアミン光安定剤の分子量は、1500以上、又は2000以上であってもよい。ヒンダードアミン光安定剤の分子量の上限は、特に制限されないが、例えば10000以下であってもよい。ここでの分子量は、重量平均分子量である。重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求められる標準ポリスチレン換算値であってもよい。
ヒンダードアミン光安定剤は、例えば下記式(I)で表される2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジンジイル基を有する。R、R、R及びRがそれぞれ独立に炭素数1~4のアルキル基を示す。R、R、R及びRがメチル基であってもよい。式(I)の2,2,6,6-テトラアルキル-4-ピペリジンジイル基は、水素原子と結合していてもよいし、放射線に対する耐性の観点から、酸素原子又は窒素原子と結合していてもよい。
Figure 0007178773000001
ヒンダードアミン光安定剤は、アミノ基を有する構成繰り返し単位を含む重合体であってもよい。アミノ基を有する構成繰り返し単位は、例えば下記式(II)又は(III)で表される構成単位であってもよい。
Figure 0007178773000002
式(II)及び(III)中のR、R、R及びRは式(I)中のR、R、R及びRと同義である。Rは炭素数10~30のアルキル基を示す。Rは炭素数14~28、炭素数16~26、又は炭素数18~22のアルキル基であってもよい。このアルキル基は、直鎖状、分岐状、環状、又はこれらの組み合わせのいずれの構造を有していてもよい。Rは直鎖状のアルキル基であってもよい。
放射線による滅菌後における溶出物抑制及び良好な機械特性維持の観点から、ポリプロピレン樹脂組成物におけるヒンダードアミン光安定剤の含有量は、プロピレン系重合体及びエラストマーの合計量を基準として、10ppm以上、500ppm以上、又は800ppm以上であってもよく、10000ppm以下、5000ppm以下、又は3000ppm以下であってもよい。本明細書において、ppmは質量基準の値(質量ppm)である。
ポリプロピレン樹脂組成物は、以上挙げたアミノ基を有するヒンダードアミン光安定剤以外の光安定剤を更に含有してもよい。
(D)酸化防止剤
一実施形態に係るポリプロピレン樹脂組成物は、リン系酸化防止剤又はヒドロキシルアミン系酸化防止剤のうち少なくとも一方の酸化防止剤を含有し、その含有量は、プロピレン系重合体及びエラストマーの合計量を基準として、200ppm以上1500ppm以下である。これら特定の酸化防止剤の含有量が200ppm以上1500ppm以下であることで、放射線による滅菌後の色調変化及び溶出物抑制の点で優れた効果が得られる。同様の観点から、酸化防止剤の含有量が300ppm以上、又は400ppm以上であってもよく、1300ppm以下であってもよい。ここでの「酸化防止剤の含有量」は、ポリプロピレン樹脂組成物がリン系酸化防止剤及びヒドロキシルアミン系酸化防止剤を両方含有する場合、それらの合計量である。
リン系酸化防止剤は、一般にリン系酸化防止剤として用いられているものから選択することができる。リン系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール ジホスファイト、ビス(2,4-ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)-4,4’-ジフェニレンジホスホナイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル) 2-エチルヘキシルホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、2-(2,4,6-トリ-t-ブチルフェニル)-5-エチル-5-ブチル-1,3,2-オキサホスホリナン、2,2’,2’’-ニトリロ[トリエチル-トリス(3,3’,5,5’-テトラ-t-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト、及び2,4,8,10-テトラ-t-ブチル-6-[3-(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンが挙げられる。これらを1種で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
放射線による滅菌後の色調変化及び溶出物抑制の点から、ポリプロピレン樹脂組成物がリン系酸化防止剤を含有し、その単独での含有量が、プロピレン系重合体及びエラストマーの合計量を基準として、200ppm以上、300ppm以上、又は400ppm以上であってもよく、1500ppm以下、1000ppm以下、又は700ppm以下であってもよい。
ヒドロキシルアミン系酸化防止剤は、ヒドロキシルアミノ基を有する有機化合物である。ヒドロキシルアミン系酸化防止剤の具体例としては、N,N-ジオクタデシルヒドロキシルアミン(HO-N(C1837)のようなN,N-ジアルキルヒドロキシルアミンが挙げられる。
ポリプロピレン樹脂組成物は、リン系酸化防止剤及びヒドロキシアミン系酸化防止剤以外の酸化防止剤を更に含有してもよい。ただし、上述の「200ppm以上1500ppm以下」等の酸化防止剤の含有量には、リン系酸化防止剤及びヒドロキシアミン系酸化防止剤以外の酸化防止剤の量は含まれない。
(D)造核剤
一実施形態に係るポリプロピレン樹脂組成物は、1種又は2種以上の芳香族リン酸エステル金属塩を含む造核剤を含有してもよい。造核剤は、通常、粒子の形態を有している。芳香族リン酸エステル金属塩は、芳香族リン酸エステルと金属とから形成される塩であり、例えばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、又はアルミニウム塩であってもよい。アルカリ金属塩の例としては、リチウム塩、ナトリウム塩、及びカリウム塩が挙げられる。アルカリ土類金属塩の例としては、ベリリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、及びバリウム塩が挙げられる。耐抽出性に優れるという効果の観点から、芳香族リン酸エステル金属塩は、アルミニウム塩、リチウム塩、又はナトリウム塩であってもよく、リチウム塩であってもよい。
芳香族リン酸エステル金属塩は、例えば下記式(20)で表される。
Figure 0007178773000003
式(20)中、Rは水素原子又は炭素原子数1~4のアルキル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1~12のアルキル基、炭素原子数3~12のシクロアルキル基、炭素原子数6~12のアリール基又は炭素原子数7~12のアラルキル基を示し、Mはアルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子、又はアルミニウム原子を示す。Mがアルカリ金属原子であるとき、pは1で、qは0であり、Mがアルカリ土類金属原子であるとき、pは2で、qは0であり、Mがアルミニウム原子であるとき、pは1又は2で、qは3-pである。
で示される炭素原子数1~4のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、及びiso-ブチル基が挙げられる。R又はRで示される炭素原子数1~12のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、アミル基、tert-アミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、iso-オクチル基、tert-オクチル基、2-エチルヘキシル基、ノニル基、iso-ノニル基、デシル基、iso-デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、及びtert-ドデシル基が挙げられる。R及びRが共にtert-ブチル基であってもよい。
Mで表されるアルカリ金属原子の例としては、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが挙げられる。Mで表されるアルカリ土類金属原子の例としては、ベリリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、及びバリウムが挙げられる。
式(20)で示され、Mがアルミニウム原子である芳香族リン酸エステルAl塩の具体例としては、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジメチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジエチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4-iso-プロピル-6-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]、及びヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4-iso-プロピル-6-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]が挙げられる。これらの中から、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]、又はヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]を選択してもよいし、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]を選択してもよい。これらを1種で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
芳香族リン酸エステル金属塩は、市販品として入手することが可能である。市販品としては、例えば、ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート]と炭素数8~20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩の混合物(株式会社ADEKA製、商品名:アデカスタブNA21)が挙げられる。
得られる成形体の剛性の観点、及び放射線による滅菌後における溶出物抑制の観点から、ポリプロピレン樹脂組成物における芳香族リン酸エステル金属塩の含有量は、プロピレン系重合体及びスチレン系エラストマーの合計量を基準として、10ppm以上、50ppm以上、100ppm以上、又は500ppm以上であってもよく、10000ppm以下、9900ppm以下、8000ppm以下、又は5000ppm以下であってもよい。
(その他の成分)
ポリプロピレン樹脂組成物は、必要に応じて、例えば、中和剤、耐侯剤、難燃剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、及び銅害防止剤から選ばれる他の成分を含んでいてもよい。
(樹脂組成物の製造)
ポリプロピレン樹脂組成物は、例えば、プロピレン系重合体、エラストマー、ヒンダードアミン光安定剤、酸化防止剤、及び必要によりその他の成分を、通常の方法によって溶融混錬して得ることができる。製造されるポリプロピレン樹脂組成物は、成形用のペレットの形態を有していてもよい。例えば、原料をタンブラーミキサー、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等の混合機を用いて混合して混合物を調製し、これを一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー等を用いて均一に溶融混練する方法により、ペレット化されたポリプロピレン樹脂組成物を得ることができる。
2.成形体
上述のポリプロピレン樹脂組成物を成形して得られる成形体は、γ線等の放射線滅菌、電子線滅菌、高圧蒸気滅菌等の滅菌処理に対して優れた耐性を有することから、使用時に各種薬剤と接触する医療用成形体として有用である。医療用成形体の例は、シリンジの外筒、及びダイアライザーのハウジングを含む。シリンジは、ディスポーザブルシリンジであってもよいし、予め充填された薬液を含むプレフィルドシリンジであってもよい。
図1は、シリンジの一実施形態を示す平面図である。図1に示すシリンジ10は、外筒11と、押し子13と、押し子13の先端に装着されたガスケット15とを備える。外筒11は、先端に形成された口部11aと、開口を形成している基端部11bとを有しており、基端部11bの開口から押し子13が外筒11内に挿入されている。
外筒11は、ポリプロピレン樹脂組成物の成形体である。外筒11の肉厚、サイズ等は、通常の範囲で適宜設定される。押し子13、及びガスケット15は、シリンジの分野で通常使用されているものから選択することができる。
図2は、ダイアライザーの一実施形態を示す平面図である。図2に示すダイアライザー20は、筒状のハウジング21と、ハウジング21の長手方向に沿って引き揃えられながらハウジング21内に収容された複数の中空糸膜25と、ハウジング21の両端に装着されたヘッダー22,23とを備える。ハウジング21は、一方の端部に設けられた透析液出口21aと、他方の端部に設けられた透析液入口21bとを有している。一方のヘッダー22は血液流入口22aを有しており、他方のヘッダー23は血液流出口23aを有している。
ハウジング21は、ポリプロピレン樹脂組成物の成形体である。ダイアライザー20の使用時に、ハウジング21の内部は透析液入口21bから導入される透析液で満たされる。ハウジング21の肉厚、サイズ等は、通常の範囲で適宜設定される。中空糸膜25、ヘッダー22,24は、透析用のダイアライザーの分野で通常使用されているものから選択することができる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
1.原料
実施例及び比較例では、以下の原料を使用した。
(A)プロピレン系重合体
特開平7-216017号公報の実施例1に記載の方法によって、α-オレフィン重合用の固体重合触媒を準備した。この固体重合触媒の存在下で、プロピレン及びエチレンを気相重合することによって、パウダー状のプロピレン-エチレン共重合体を得た。得られたプロピレン-エチレン共重合体の特性を後述する方法によって測定した。メルトフローレイトは25g/10分で、エチレンに由来する単量体単位の含有量は2.5質量%で、融点は144.1℃であった。
(B)エラストマー
(B-1)スチレン系エラストマー
・スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(ハイブラー7311F、クラレ(株)製、スチレンに由来する単量体単位の含有量:12質量%)
(B-2)スチレン系エラストマー
・スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(クレイトンG1657、クレイトンポリマー製、スチレンに由来する単量体単位の含有量:13質量%)
(B-3)スチレン系エラストマー
・スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物(クレイトンG1643、クレイトンポリマー製、スチレンに由来する単量体単位の含有量:18質量%)
(B-4)エチレン系エラストマー
・エクセレンVL EUL731(エチレン-ブテン-1共重合体、MFR=10g/10分(190℃、2.)、密度=895(kg/m)、高圧法重合、住友化学社製)
(C)ヒンダードアミン光安定剤
(C-1)1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールとコハク酸ジメチルとの縮合重合体(式(IIa)(式中のnは2以上の整数を示す。)で表される重合体、Tinuvin622、BASFジャパン株式会社製、分子量:3100~4000)
Figure 0007178773000004

(C-2)N-(2,2,6,6,-テトラメチル-4-ピペリジン)マレイン酸イミド及びα-オレフィン(C20-24)の共重合体(式(IIIa)(nは2以上の整数を示す。)で表される共重合体、Uvinul5050H、BASFジャパン株式会社製、分子量:3500)
Figure 0007178773000005
(D)酸化防止剤
(D-1)リン系酸化防止剤
・トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト(Irgafos 168、BASFジャパン株式会社製)
(D-2)リン系酸化防止剤/ヒドロキシルアミン系酸化防止剤の混合物
・N,N-ジオクタデシルヒドロキシルアミン50質量%とトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト50質量%の混合物(Irgastab FS301、BASFジャパン株式会社製)
(D-3)フェノール系酸化防止剤
・ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](Irganox 1010、BASFジャパン株式会社製)
(E)造核剤
芳香族リン酸エステル金属塩
・ヒドロキシアルミニウム-ビス[2,2-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスフェート](式(20a)で表される化合物)と炭素数8~20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩の混合物(ADEKASTAB NA-21、株式会社ADEKA製)
Figure 0007178773000006
(F)中和剤
DHT-4C
・マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート(協和化学工業株式会社製)
2.試験方法
(1)プロピレン系重合体における単量体単位の含有量
プロピレン系重合体(プロピレン-エチレンランダム共重合体)のIRスペクトルを測定した。得られたIRスペクトルデータから、エチレンに由来する単量体単位の含有量(単位:質量%)を、高分子分析ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている「(i)ランダム共重合体に関する方法」に従って求めた。
次いで、エチレンに由来する単量体単位の含有量を下記式に代入して、プロピレン系重合体におけるプロピレンに由来する単量体単位の含有量を算出した。
プロピレンに由来する単量体単位の含有量(質量%)=100(質量%)-エチレンに由来する単量体単位の含有量(質量%)
(2)メルトフローレイト(MFR、単位:g/10分)
プロピレン系重合体の粉体100質量部を、酸化防止剤のジブチルヒドロキシトルエン(BHT)0.5質量部とブレンドした。得られた粉体混合物を用いて、ポリプロピレン系重合体のメルトフローレイトを、JIS K 7210の条件14の方法に従って、温度230℃、荷重21.18Nの条件でメルトフローレイトを測定した。(B-4)エチレン系エラストマーのメルトフローレイトは、JIS K6760に従い、温度190℃、荷重21.18Nの条件で測定した。
(3)密度(d)
(B-4)エチレン系エラストマーの密度(kg/m)を、JIS K6760-1981に従って測定した。
(4)融点Tm(単位:℃)
ポリプロピレン系重合体を熱プレス成形して、厚さ0.5mmのシートを作成した。熱プレス成形は、230℃で5分間の予熱後、1分間かけて5.0MPaまで昇圧して2分間保圧し、次いで、30℃、5.0MPaで5分間冷却する条件で行った。得られたシートから採取した試料について、示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製、Diamond DSC)を用いて、以下の条件で融点を測定した。
<測定条件>
試料10mgを窒素雰囲気下220℃で5分間熱処理後、降温速度10℃/分で50℃まで冷却した。次いで、50℃で1分間保持した後、試料を50℃から180℃まで昇温速度10℃/分で加熱し、観測された融解ピークのピークトップ温度を融点[℃]とした。
3.ポリプロピレン樹脂組成物及び成形体
3-1.ポリプロピレンシートの作成
表1に記載した組成(質量部)の原料を、ポリエチレン袋内で均一に混合した。得られた混合物を、スクリュー径30mmφの単軸押出機によって、窒素雰囲気下、吐出量6kg/時、180℃で溶融混練し、ポリプロピレン樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを熱プレス成形機により、180℃で5分間予熱したのち、180℃で、5分間、5MPaにて加熱及び加圧した。その後30℃で5分間冷却し、1mm厚みのポリプロピレンシートを得た。
3-2.溶出物試験
ポリプロピレンシートから、表面積150cmの試験片を切り出した。試験片に対して、空気雰囲気下、室温にて50kGyの平均線量でガンマ線を照射した。その後、試験片を幅5mm、長さ25mmに裁断し、超純水で洗った後、室温で乾燥した。乾燥後の試験片を硬質ガラス製容器に入れ、超純水50mLを加え、密栓した。試験片及び超純水が入った硬質ガラス製容器を、オーブンを用いて70℃で24時間加熱した後、室温になるまで放置した。放置後の容器内の液を試験液とした。超純水のみを入れた硬質ガラス製容器も同時に処理して、空試験液を準備した。
第一六改正日本薬局方 2.7.02 プラスチック製医薬品容器試験法 1.2溶出物試験の「(iv)紫外吸収スペクトル」に記載の試験方法に基づいて、試験液及び対照のための空試験液の紫外吸収スペクトルを測定した。波長220~240nmにおける最大吸光度が0.08以下、且つ、241~350nmにおける最大吸光度が0.05以下の条件を満たす試験片を日本薬局方の規格をクリアすると判定した。結果を表1に示す。表1中、「NG」は規格をクリアしなかったことを示す。
3-3.色調変化
1mm厚みのポリプロピレンシートに対して、50kGyのガンマ線を照射した。ガンマ線照射前後のポリプロピレンシートの色差(イエロー・インデックス:YI)を、色差測定器(スガ試験機(株)製、SM-P45)を用いて測定した。ガンマ線照射前後のYIの差を、色調の変化ΔYIとして記録した。
(9)平均分散粒径
四酸化ルテニウムでスチレン系エラストマー及びエチレン系エラストマーを蒸気染色した後、ポリプロピレンシートをクライオミクロトームで薄片化した。薄片を透過型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、H-7650)を用いて観察し、測定視野4.5μm四方、拡大倍率20000倍の画像写真を得た。得られた画像写真を、ニレコ社製の画像解析装置ルーゼックスAPに取り込み、2値化した。染色部(エラストマー粒子)の円相当径を算出し、それらの平均値を平均分散径とした。
Figure 0007178773000007
表1に示されるように、実施例のポリプロピレン樹脂組成物から得られた成形体は、溶出物試験の規格をクリアすること、色調変化が2.5以下で、ガンマ線照射による色調変化が充分に小さいことが確認された。一方、比較例の樹脂から得られた成形体は、溶出試験の規格をクリアしない、又は色調変化が2.6以上で、色調変化が大きいことが確認された。
10…シリンジ、11…外筒、11a…口部、11b…基端部、13…押し子、15…ガスケット、20…ダイアライザー、21…ハウジング、21a…透析液出口,21b…透析液入口、22,23…ヘッダー、22a…血液流入口、23a…血液流出口、25…中空糸膜。

Claims (5)

  1. (A)プロピレン系重合体と、
    (B)スチレン系エラストマーと
    (C)ヒンダードアミン光安定剤と、
    (D)リン系酸化防止剤又はヒドロキシルアミン系酸化防止剤のうち少なくとも一方の酸化防止剤と、
    を含有し
    記プロピレン系重合体及び前記スチレン系エラストマーの合計量を100質量部としたときに、前記スチレン系エラストマーの含有量が1質量部以上20質量部以下であり、
    前記酸化防止剤の含有量が、前記プロピレン系重合体及び前記スチレン系エラストマーの合計量を基準として、200ppm以上1500ppm以下であり、
    前記プロピレン系重合体を含む連続相中に前記スチレン系エラストマーを含む粒子が分散しており、前記スチレン系エラストマーを含む粒子の平均分散粒径が0.06μm以下である、
    ポリプロピレン樹脂組成物。
  2. (E)芳香族リン酸エステル金属塩を含む造核剤を更に含有する、請求項1に記載のポリプロピレン樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリプロピレン樹脂組成物からなる医療用成形体。
  4. 請求項3に記載の医療用成形体を有する外筒を備える、シリンジ。
  5. 請求項に記載の医療用成形体を有するハウジングを備える、ダイアライザー。
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