JP7178655B2 - 澱粉含有組成物及びその用途 - Google Patents
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Description
即ち、本発明者らは、下記の〔1〕~〔7〕を提供する。
〔1〕(A)成分:アミロース含量が15質量%未満の澱粉を含む澱粉原料と、(B)成分:セルロースナノファイバーと、を含み、糊化した時の最高粘度VCと、前記(A)成分を単独で糊化した時の最高粘度VAの比(VC/VA)が1.6以上である、澱粉含有組成物。
〔2〕前記(A)成分に含まれる澱粉の総質量に対する前記(B)成分の質量の比が、0.1~50質量%である、上記〔1〕に記載の澱粉含有組成物。
〔3〕前記(B)成分が、化学変性セルロースナノファイバーを含む、上記〔1〕又は〔2〕に記載の澱粉含有組成物。
〔4〕前記化学変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーであり、前記カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01~0.50である、上記〔3〕に記載の澱粉含有組成物。
〔5〕上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の澱粉含有組成物を有効成分とする、澱粉系食品用添加剤。
〔6〕上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の澱粉含有組成物を澱粉系食品の原料である澱粉の少なくとも一部に代えて用いることを含む、澱粉系食品の製造方法。
〔7〕上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の澱粉含有組成物を澱粉系食品の原料である澱粉の少なくとも一部に代えて用いる、澱粉系食品の改質方法。
本発明の澱粉含有組成物は、下記の(A)成分及び(B)成分を含み、糊化した時の最高粘度VCと、(A)成分を単独で糊化した時の最高粘度VAの比(VC/VA)(以下、単に「粘度比(VC/VA)」と記載する)が1.6以上である。即ち、低アミロース含量の澱粉原料の最高粘度VAに対して、組成物の最高粘度VCが1.6倍以上なので、低アミロース含量の澱粉原料の糊化粘度を上昇させ、糊化澱粉の加工装置への付着を抑制することができる。
なお、本明細書中、最高粘度は、ラピッド・ビスコ・アナライザー(RVA)を用いて以下の測定条件で測定した粘度の最高値である。
RVA測定機器:PhysicaMCR301、Anton paar社製
温度条件:昇温速度10.75℃/minで50℃から93℃まで昇温し、7分間保持した後、降温速度10.75℃/minで93℃から50℃まで降温し3分間保持
回転速度:160rpm
治具:ST24/-2V-2V
(A)成分は、澱粉原料である。澱粉原料は、低アミロース含量の澱粉を含む原料である。澱粉原料は、アミロース含量が、15質量%未満であり、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
なお、アミロース量は、ヨウ素呈色比色法[小麦の品質評価法(IV)-小麦粉のアミロース測定法-、食品総合研究所(1992)参照]で測定し得る。また、澱粉原料として製品を使用する場合、通常、製品情報として入手可能であり、その値としてもよい。
(B)成分は、セルロースナノファイバーである。セルロースナノファイバーは、セルロースの微細繊維である。セルロースナノファイバーは、未変性セルロースをセルロース原料とするもの、変性セルロース(例えば、化学変性セルロース)を原料とするもの、のいずれでもよい。セルロースナノファイバーの平均繊維径は、通常、3~500nm程度である。セルロースナノファイバーの平均アスペクト比は、通常、50以上である。アスペクト比の上限は特に限定されないが、通常、1000以下である。平均アスペクト比は、下記の式により算出することができる:
(式):アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
セルロース原料(例えば、セルロース繊維)の由来は、特に限定されないが、例えば、植物(例えば、木材、竹、麻、ジュート、ケナフ、農地残廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等))、動物(例えば、ホヤ類)、藻類、微生物(例えば、酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物が挙げられる。
セルロース原料は、これらのいずれかであってもよく、2種類以上の組み合わせであってもよいが、中でも、植物又は微生物由来のセルロース原料が好ましく、植物由来のセルロース原料がより好ましい。
セルロース原料の解繊処理及び変性処理の少なくともいずれかの処理の際には、分散処理を行ってもよい。分散処理は、セルロース原料、解繊セルロース繊維又は変性セルロースを溶媒に分散し、分散体を調製する処理である。
(B)成分は、化学変性セルロースナノファイバーを含むことが好ましく、化学変性セルロースナノファイバーであることがより好ましい。化学変性セルロースナノファイバーは、繊維の微細化が十分に進み、繊維長及び繊維径が均一である。そのため、澱粉含有組成物を食品に添加した際に、食品の食感の向上を期待し得る。
カルボキシメチル化の方法としては、例えば、セルロース原料又は解繊セルロース繊維をマーセル化し、その後エーテル化する方法が挙げられる。
カルボキシメチル化反応の際は、通常、溶媒を用いる。溶媒としては、例えば、水、アルコール(例、低級アルコール)、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。低級アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、イソブチルアルコール、第3級ブチルアルコールが挙げられる。
混合溶媒における低級アルコールの混合割合は、通常、60~95質量%である。溶媒の量の下限は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維に対して、質量換算で、3倍以上が好ましい。また、その上限は、20倍以下が好ましい。従って、溶媒の量は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維に対して、質量換算で、3~20倍が好ましい。
マーセル化剤の使用量の下限は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維の無水グルコース残基当たり、モル換算で、0.5倍以上が好ましい。また、その上限は、20倍以下が好ましい。従って、マーセル化剤の使用量は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維の無水グルコース残基当たり、モル換算で、0.5~20倍が好ましい。
マーセル化の反応時間の下限は、通常、15分間以上であり、30分間以上が好ましい。上限は、通常、8時間以下であり、7時間以下が好ましい。従って、マーセル化の反応時間は、通常、15分間~8時間であり、30分間~7時間が好ましい。
カルボキシメチル化剤の添加量の下限は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維のグルコース残基当たり、モル換算で、0.05倍以上が好ましい。上限は、10.0倍以下が好ましい。従って、カルボキシメチル化剤の添加量は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維のグルコース残基当たり、モル換算で、0.05~10.0倍である。
エーテル化の反応時間は、下限が、通常、30分間以上であり、1時間以上が好ましい。上限は、通常、10時間以下であり、4時間以下が好ましい。従って、エーテル化の反応時間は、通常、30分間~10時間であり、1時間~4時間が好ましい。
1)カルボキシメチル化セルロース繊維又はカルボキシメチル化セルロースナノファイバー(絶乾)約2.0gを精秤して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。
2)メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えて得られた硝酸メタノール溶液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を、COOH基を有するカルボキシメチル化セルロース(以下、「酸型カルボキシメチル化セルロース」ともいう)にする。
3)酸型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5~2.0g精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。
4)80%メタノール15mLで酸型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。
5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。
6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する。
A=[(100×F’-(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(酸型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1-0.058×A)
A:酸型カルボキシメチル化セルロース1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター
カルボキシル化(酸化)方法としては、例えば、セルロース原料又は解繊セルロース繊維を、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法が挙げられる。この酸化により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(-COOH)又はカルボキシレート基(-COO-)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5質量%以下が好ましい。
反応の進行に伴ってセルロース中にカルボキシル基が生成するため、反応液のpHの低下が認められる。酸化反応を効率よく進行させるために、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性溶液を添加することが好ましい。従って、酸化反応中の反応液のpHは、8~12程度に維持することが好ましく、10~11程度に維持することがより好ましい。なお、反応媒体は、取扱容易性や、副反応が生じにくいこと等から、水が好ましい。
オゾンを含む気体中のオゾン濃度は、50~250g/m3が好ましく、50~220g/m3がより好ましい。セルロース原料又は解繊セルロース繊維に対するオゾン添加量は、セルロース原料又は解繊セルロース繊維の固形分100質量部に対し、0.1~30質量部が好ましく、5~30質量部がより好ましい。
エステル化方法としては、例えば、セルロース原料又は解繊セルロース繊維に、リン酸系化合物Aの粉末又は水溶液を混合する方法、セルロース原料又は解繊セルロース繊維のスラリーに、リン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法等のリン酸エステル化方法が挙げられる。
リン酸系化合物Aは、水溶液として用いることが好ましい。これにより、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率を高めることができる。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、7以下が好ましい。7以下であると、リン酸基導入の効率を高めることができる。pHの下限は、3以上が好ましい。3以上であると、パルプ繊維の加水分解を抑えることができる。
反応温度は、0~95℃が好ましく、30~90℃がより好ましい。反応時間は特に限定されないが、通常、1~600分程度であり、30~480分が好ましい。エステル化反応の条件がこれらの範囲内であると、セルロースが過度にエステル化されて溶解しやすくなることを防ぐことができ、エステル化セルロースの収率が良好となり得る。得られたリン酸エステル化セルロース懸濁液を脱水した後、セルロースの加水分解を抑える観点から、100~170℃で加熱処理することが好ましい。さらに、加熱処理の際に水が含まれている間は130℃以下、好ましくは110℃以下で加熱し、水を除いた後、100~170℃で加熱処理することが好ましい。
上記したそれぞれの化学変性後に得られる生成物が塩型の場合、脱塩処理を行い、塩(例えば、ナトリウム塩)をプロトン(酸型)に置換してもよい。
解繊処理の方法としては、例えば、セルロース原料又は変性セルロース(好ましくはその水分散体)に、高圧を印加する方法、強力なせん断力を印加する方法、或いは、高圧及び強力なせん断力の両方を印加する方法が挙げられる。高圧としては特に限定されないが、通常、50MPa以上であり、100MPa以上が好ましく、140MPa以上がより好ましい。
本発明の澱粉含有組成物の(A)成分及び(B)成分のそれぞれの含有量としては以下のことがいえる。(A)成分に含まれる澱粉の総質量(絶乾総質量)に対する(B)成分の質量(絶乾総質量)の比が、0.1質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。これにより、十分な粘度向上効果を得られ得る。上限は、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。これにより、澱粉含有組成物を食品に添加した際に、食品の食感の向上を期待し得る。従って、上記比は、0.1~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましく、1~20質量%がさらに好ましく、5~20質量%がさらにより好ましい。
本発明の澱粉含有組成物は、水溶性高分子を含んでもよい。水溶性高分子としては、(A)成分以外の水溶性高分子であればよく、例えば、セルロース誘導体(例、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース)、キサンタンガム、キシログルカン、デキストリン、デキストラン、カラギーナン、ローカストビーンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、プルラン、アラビアガム、ジェランガム、ゲランガム、ポリデキストロース、ペクチン、キチン、水溶性キチン、キトサン、カゼイン、アルブミン、大豆蛋白溶解物、ペプトン、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリアミノ酸、ポリ乳酸、ポリリンゴ酸、ポリグリセリン、ラテックス、ロジン系サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン樹脂、ポリエチレンイミン、ポリアミン、植物ガム、ポリエチレンオキサイド、親水性架橋ポリマー、ポリアクリル酸塩、でんぷんポリアクリル酸共重合体、タマリンドガム、グァーガム、及びコロイダルシリカ並びにそれら1種以上の混合物が挙げられる。中でも、カルボキシメチルセルロース及びその塩から選ばれる1種以上が、相溶性の点から好ましい。
本発明の澱粉含有組成物は、必要に応じて、(A)成分、(B)成分及び水溶性高分子以外の成分(任意成分)を含んでもよい。任意成分としては、例えば、界面活性剤、加工澱粉、澱粉老化抑制剤、改質剤、これら以外に食品用の任意成分として許容されている成分が挙げられる。
澱粉含有組成物の製造方法は、澱粉とセルロースナノファイバーを混合することを含む方法であればよい。例えば、セルロースナノファイバーの分散液、該分散液の乾燥固形物、該分散液の湿潤固形物、セルロースナノファイバーと水溶性高分子との混合液、該混合液の乾燥固形物、該混合液の湿潤固形物、その他公知の形態のセルロースナノファイバーに、澱粉を添加し、混合する方法が挙げられる。本明細書において、湿潤固形物とは、分散液又は混合液と、乾燥固形物との中間の態様の固形物である。乾燥固形物として用いる場合、材料を混合する際における分散性の観点から、セルロースナノファイバーは、水溶性高分子と混合された形態であることが好ましい。
乾燥装置としては、例えば以下の装置が挙げられる。連続式の乾燥装置(例えば、トンネル乾燥装置、バンド乾燥装置、縦型乾燥装置、垂直ターボ乾燥装置、多重段円板乾燥装置、通気乾燥装置、回転乾燥装置、気流乾燥装置、スプレードライヤ乾燥装置、噴霧乾燥装置、円筒乾燥装置、ドラム乾燥装置、スクリューコンベア乾燥装置、加熱管付回転乾燥装置、振動輸送乾燥装置)、及び、回分式の乾燥装置(例えば、箱型乾燥装置、通気乾燥装置、真空箱型乾燥装置、撹拌乾燥装置)。これらの乾燥装置は、単独で用いてもよいし、2つ以上組み合わせて用いてもよい。乾燥装置は、ドラム乾燥装置が好ましい。これにより、均一に被乾燥物に熱エネルギーを直接供給できるので、エネルギー効率を高めることができる。また、必要以上に熱を加えずに、直ちに乾燥物を回収できる。
本発明の澱粉含有組成物の形態は特に限定されず、例えば、液状(例えば、水溶液、分散液、ゲル状)、固体状(例えば、乾燥固形物、湿潤固形物)が挙げられる。
本発明の澱粉系食品用添加剤は、上記の澱粉含有組成物を有効成分とする。上記した通り、澱粉含有組成物は低アミロース含量の澱粉原料の糊化粘度を上昇させ、糊化澱粉の加工装置への付着を抑制することができる。そのため、澱粉系食品の改質剤として生産性の向上を期待し得る。
本発明の澱粉系食品の製造方法又は改質方法は、澱粉系食品の原料である澱粉の少なくとも一部の代わりに用いることにより、通常の澱粉系食品と比較して、低アミロース含量の澱粉原料の糊化粘度を上昇させ、糊化澱粉の加工装置への付着を抑制することができる。そのため、本発明の澱粉含有組成物は、澱粉系食品の製造、及び澱粉系食品の増粘剤として、生産性の向上を期待し得る。
パルプを混ぜることができる撹拌機に、パルプ(NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、日本製紙製)を乾燥質量で200g、水酸化ナトリウムを乾燥質量で111g(出発原料の無水グルコース残基当たり、モル換算で2.25倍)加え、パルプ固形分が20%(w/v)になるように水を加えた。その後、30℃で30分攪拌した後にモノクロロ酢酸ナトリウムを216g(有効成分換算、パルプのグルコース残基当たり、モル換算で1.5倍)添加した。30分撹拌した後に、70℃まで昇温し1時間撹拌した。その後、反応物を取り出して中和、洗浄して、グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度0.25のカルボキシルメチル化したパルプを得た。これを水で固形分1質量%とし、高圧ホモジナイザーにより20℃、150MPaの圧力で5回処理することにより解繊し、濃度1質量%のカルボキシメチル化セルロースナノファイバーの水分散液を得た。平均繊維径は15nm、アスペクト比は50であった。
もち米の結晶性米粉(アミロース含量0%、流粉砕品)3g及びカルボキシメチル化セルロースナノファイバー0.18g(固形分換算、1%水分散液18gとして添加)を撹拌して澱粉含有組成物(1)を得た。また、もち米の結晶性米粉3gに水18gを添加した対照サンプル(1)を得た。
澱粉含有組成物(1)と対照サンプル(1)に対して、RVA(ラピッド・ビスコ・アナライザー)を用いて粘度測定を行った。測定機器は、PhysicaMCR301、Anton paar社製を用いた。澱粉含有組成物(1)と対照サンプル(1)の最高粘度VCとVAから、粘度比(VC/VA)を算出した。結果を表1に記す。
なお、粘度測定条件は、以下の通りである。
温度:昇温速度10.75℃/minで50℃から93℃まで昇温し、7分間保持した後、降温速度10.75℃/minで93℃から50℃まで降温し3分間保持;
回転速度:160rpm;及び
治具:ST24/-2V-2V。
澱粉含有組成物(1)と対照サンプル(1)のRVA測定の結果を表すチャートを図1に示す。
もち米の結晶性米粉の代わりに、ゆきむすび(アミロース含量8.1%、気流粉砕品)を用いたほかは、実施例1と同様にし、澱粉含有組成物(2)と対照サンプル(2)を得た。澱粉含有組成物(2)と対照サンプル(2)の最高粘度VCとVAから、粘度比(VC/VA)を算出した。結果を表1に記す。
澱粉含有組成物(2)と対照サンプル(2)のRVA測定の結果を表すチャートを図2に示す。
もち米の結晶性米粉の代わりに、モミロマン(アミロース含量25.3%、気流粉砕品)を用いたほかは、実施例1と同様にし、澱粉含有組成物(3)と対照サンプル(3)を得た。澱粉含有組成物(3)と対照サンプル(3)の最高粘度VCとVAから、粘度比(VC/VA)を算出した。結果を表1に記す。
澱粉含有組成物(3)と対照サンプル(3)のRVA測定の結果を表すチャートを図3に示す。
もち米の結晶性米粉の代わりに、タイ米(アミロース含量25.0%、気流粉砕品)を用いたほかは、実施例1と同様にし、澱粉含有組成物(4)と対照サンプル(4)を得た。澱粉含有組成物(4)と対照サンプル(4)の最高粘度VCとVAから、粘度比(VC/VA)を算出した。結果を表1に記す。
澱粉含有組成物(4)と対照サンプル(4)のRVA測定の結果を表すチャートを図4に示す。
ホームベーカリーの容器(下部に撹拌用のプロペラを備える)に、実施例1で用いた米粉280gと、カルボキシメチル化セルロースナノファイバー2.8gを分散させた水240gとを入れ、餅を作るモードでCNF添加餅サンプル(5)を調製した。また、対照として、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーを添加しないほかは同様にCNF無添加餅サンプル(5)を調製した。調製後、餅を容器から取り出す際にプロペラに付着している程度を付着性として、以下のように評価した。結果を表2に示す。
〇:付着が少ない
×:付着が多い
実施例1で用いた米粉の代わりに、実施例2、比較例1及び2のそれぞれで用いた米粉を用いたほかは、実施例3と同様にしてCNF添加餅サンプル(6)~(8)及びCNF無添加餅サンプル(6)~(8)を調製し、それぞれの付着性を評価した。結果を表2に示す。
Claims (6)
- (A)成分:アミロース含量が10質量%以下の米粉である澱粉原料と、
(B)成分:セルロースナノファイバーと、を含み、
糊化した時の最高粘度VCと、前記(A)成分を単独で糊化した時の最高粘度VAの比(VC/VA)が1.6~2.0であり、
前記(A)成分に含まれる澱粉の総質量に対する前記(B)成分の質量の比が、0.1~50質量%である、澱粉含有組成物を有効成分とする、澱粉系食品の付着抑制剤。 - 前記(A)成分に含まれる澱粉の総質量に対する前記(B)成分の質量の比が、1~50質量%である、請求項1に記載の付着抑制剤。
- 前記(B)成分が、化学変性セルロースナノファイバーを含む、請求項1又は2に記載の付着抑制剤。
- 前記化学変性セルロースナノファイバーが、カルボキシメチル化セルロースナノファイバーであり、
前記カルボキシメチル化セルロースナノファイバーのグルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.01~0.50である、請求項3に記載の付着抑制剤。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の付着抑制剤を澱粉系食品の原料である澱粉の少なくとも一部に代えて用いることを含む、澱粉系食品(ただし、もち粉を含む食品を除く)の製造方法。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の付着抑制剤を澱粉系食品の原料である澱粉の少なくとも一部に代えて用いる、澱粉系食品(ただし、もち粉を含む食品を除く)の改質方法。
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