JP7178509B2 - 積層体及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、積層体及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(OLED)表示装置は、OLED素子の自発光を利用して画像を表示する装置である。そのため、液晶表示装置及びプラズマ表示装置等の各種表示装置に比べて、高コントラスト比、高い色再現性、広い視野角、高速応答性、及び、薄型軽量化が可能であること等の利点を有する。これらの利点に加え、フレキシブル性の点からも、次世代の表示装置として、活発に研究開発が行われている。
一方で、OLED表示装置は、屋外等の外光環境下での使用時には、OLED表示装置を構成する金属電極等において外光が反射し、コントラストが低下する等の表示不良が生じてしまう。λ/4位相差フィルム等の光学異方性層を備えた円偏光板を設けることにより外光反射を抑制する技術が知られているが、この技術では、輝度が低下する問題が生じてしまう。
近年では、外光を吸収することが可能な光吸収層を設けることにより、外光反射を抑制しつつ、輝度低下を抑制する技術が検討されている。
例えば、特許文献1には、白色光源タイプのOLED用カラーフィルタにおける、発光層と反射防止フィルムとの間に設ける光吸収層として、カーボンブラック顔料と染料(色素)とを含み、400nm~700nmの波長領域における透過率が15~50%、ヘイズ値が1.0以下の光吸収層が記載されている。
また、特許文献2には、OLED表示装置における光吸収フィルタとして、複数色の画素ごとのスペクトルを合成した出射スペクトルとの間に負の相関関係を有する吸収スペクトルを示す光吸収フィルタが記載されているものの、目的の吸収スペクトルをどのように実現するかについては具体的な記載がない。
特開2017-203810公報 特開2014-132522号公報 国際公開2017/014272号
本発明者らが検討したところ、特許文献1に記載されているような光吸収層(光吸収フィルタ)では、光吸収フィルタ中に含有させる色素等の色材によって、OLED表示装置の画像の色味に変化が生じてしまい、色味変化の抑制において改善の余地があることがわかってきた。
本発明者らがさらに検討を重ねたところ、特定の異なる波長域に主吸収波長帯域を有する4種の染料を含有し、波長λnmにおける吸光度Ab(λ)が特定の関係式を満たす波長選択吸収フィルタが、OLED表示装置への適用において求められる外光反射の抑制及び輝度低下の抑制の両立を実現し、さらに、表示画像の本来的な色味への影響も十分に抑えることができることが分かってきた。
しかし、上記波長選択吸収フィルタを円偏光板に代わるOLED表示装置の反射防止手段として用いた場合には、波長選択吸収フィルタの外側に偏光板が存在しない構成となるため、波長選択吸収フィルタ中の染料には高い耐光性が要求される。
例えば、特許文献3には、白色LED(Light Emitting Diode)を光源とする液晶表示装置に用いられる色補正フィルターとして、特定の異なる波長領域に極大吸収を有する2種の色素と樹脂とを含有する色補正フィルターが記載されている。また、光照射による色素の吸収強度の低下を抑制するためにガスバリア層を設けることが記載され、具体的には、無機系材料であるSiO又はSiNからなるガスバリア層を設けた色補正フィルターが記載されている。ガスバリア性を有する材料のうち、無機系材料は有機系材料に比べて酸素透過係数が低く、しかも吸湿性が低いため、より優れたガスバリア性を示すことができる。
一方、無機系材料からなるガスバリア層は、工業的な生産性の観点からは不向きである。すなわち、無機系材料のガスバリア層は、プラズマCVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)法、スパッタ法又は蒸着法等の無機系材料の積層により得られるため、塗布法又はフィルムの貼り合わせ等によりガスバリア層を作製できる有機系材料と比較して、その調製工程が複雑でコストも高くなる。また、生産効率にも劣り、例えば、スパッタ法により無機系材料からなるガスバリア層を形成する場合、塗布法により得られる有機系材料のガスバリア層と同じ厚みの層を設けるには、100倍~1000倍程度の時間を要し、大量生産には不向きである。
そこで本発明は、ガスバリア層を波長選択吸収層上に備えた積層体であって、OLED表示装置の反射防止手段として円偏光板に代えて用いた場合にも優れた耐光性を示し、また生産性にも優れた積層体、及びこれを含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題に鑑み鋭意検討した結果、染料と染料の褪色防止剤とを含有する波長選択吸収層と、ガスバリア性を有する有機系材料を含有するガスバリア層とを組合わせるばかりでは必ずしも所望の耐光性が得られるものではないこと、しかしガスバリア層を、結晶性樹脂を含有し、特定の厚みを有する構成とすることにより、優れた耐光性が得られることを見い出した。本発明はこの知見に基づきさらに検討を重ね、完成されるに至ったものである。
すなわち、上記の課題は以下の手段により解決された。
<1>
樹脂と、下記の染料A~Dの少なくとも1種を含む染料と、染料の褪色防止剤とを含有する波長選択吸収層、及び、この波長選択吸収層の少なくとも片面に直接配されたガスバリア層を含む積層体であって、
上記ガスバリア層が結晶性樹脂を含有し、このガスバリア層の厚みが0.1μm~10μmであって、このガスバリア層の酸素透過度が60cc/m・day・atm以下である、積層体。
染料A:波長390~435nmに主吸収波長帯域を有する染料
染料B:波長480~520nmに主吸収波長帯域を有する染料
染料C:波長580~620nmに主吸収波長帯域を有する染料
染料D:波長680~780nmに主吸収波長帯域を有する染料
<2>
上記のガスバリア層に含まれる結晶性樹脂の結晶化度が25%以上である、<1>に記載の積層体。
<3>
上記ガスバリア層の酸素透過度が0.001cc/m・day・atm以上60cc/m・day・atm以下である、<1>又は<2>に記載の積層体。
<4>
上記染料B及びCの少なくとも一方が、下記一般式(1)で表されるスクアリン系色素である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の積層体。
Figure 0007178509000001
上記式中、A及びBは、各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基又は-CH=Gを示す。Gは置換基を有していてもよい複素環基を示す。
<5>
上記染料Aが下記一般式(A1)で表される色素である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の積層体。
Figure 0007178509000002
上記式中、R及びRは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を示し、R~Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、RとRは互いに結合して6員環を形成していてもよい。
<6>
上記染料Dが、下記一般式(D1)で表される色素および下記一般式(1)で表される色素の少なくとも1種である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の積層体。
Figure 0007178509000003
上記式中、R1AおよびR2Aは、各々独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を示し、R4AおよびR5Aは、各々独立に、ヘテロアリール基を示し、R3AおよびR6Aは、各々独立に、置換基を示す。XおよびXは、各々独立に、-BR21a22aを示し、R21aおよびR22aはそれぞれ独立に置換基を示し、R21aおよびR22aは互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 0007178509000004
上記式中、A及びBは、各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基又は-CH=Gを示す。Gは置換基を有していてもよい複素環基を示す。
<7>
上記褪色防止剤が下記一般式(IV)で表される、<1>~<6>のいずれか1つに記載の積層体。
Figure 0007178509000005
上記式中、R10は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基又はR18CO-、R19SO-若しくはR20NHCO-で表される基を示し、R18、R19及びR20は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基を示し、R13~R17は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。
<8>
上記の波長選択吸収層における樹脂がポリスチレン樹脂を含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の積層体。
<9>
上記の波長選択吸収層における樹脂が環状ポリオレフィン樹脂を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の積層体。
<10>
上記波長選択吸収層が上記染料A~Dの4種全てを含む、<1>~<9>のいずれか1つに記載の積層体。
<11>
上記積層体が、上記ガスバリア層に対して上記波長選択吸収層とは反対側に配置された紫外線吸収層と、粘着剤層及び接着剤層の少なくとも1層とを含み、この積層体中における隣接層間の屈折率差がいずれも0.05以下である、<1>~<10>のいずれか1つに記載の積層体。
<12>
<1>~<11>のいずれか1つに記載の積層体を含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
本発明において、特定の符号又は式で表示された置換基若しくは連結基等(以下、置換基等という)が複数あるとき、又は、複数の置換基等を同時に規定するときには、特段の断りがない限り、それぞれの置換基等は互いに同一でも異なっていてもよい。このことは、置換基等の数の規定についても同様である。また、複数の置換基等が近接するとき(特に、隣接するとき)には、特段の断りがない限り、それらが互いに連結して環を形成していてもよい。また、特段の断りがない限り、環、例えば脂環、芳香族環、ヘテロ環は、更に縮環して縮合環を形成していてもよい。
本発明において、特段の断りがない限り、波長選択吸収層を構成する成分(染料、樹脂、染料の褐色防止剤及びその他の成分等)は、それぞれ、波長選択吸収層中に1種含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。同様に、特段の断りがない限り、ガスバリア層を構成する成分(結晶性樹脂等)は、それぞれ、ガスバリア層中に1種含有されていてもよく、2種以上含有されていてもよい。
本発明において、特段の断りがない限り、二重結合については、分子内にE型及びZ型が存在する場合、そのいずれであっても、またこれらの混合物であってもよい。
本発明において、化合物(錯体を含む。)の表示については、化合物そのもののほか、その塩、そのイオンを含む意味に用いる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、構造の一部を変化させたものを含む意味である。更に、置換又は無置換を明記していない化合物については、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の置換基を有していてもよい意味である。このことは、置換基及び連結基についても同様である。
また、本発明において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明において、組成物とは、成分濃度が一定である(各成分が均一に分散している)混合物に加えて、目的とする機能を損なわない範囲で成分濃度が変動している混合物を包含する。
本発明において、波長XX~YYnmに主吸収波長帯域を有するとは、極大吸収を示す波長(すなわち、極大吸収波長)が波長領域XX~YYnmに存在することを意味する。したがって、この極大吸収波長が上記波長領域内にあれば、この波長を含む吸収帯域全体が上記波長領域内にあってもよく、上記波長領域外まで広がっていてもよい。また、極大吸収波長が複数存在する場合、最も大きい吸光度を示す極大吸収波長が上記波長領域に存在していればよい。すなわち、最も大きい吸光度を示す極大吸収波長以外の極大吸収波長は、上記波長領域XX~YYnmの内外のいずれに存在していてもよい。
本発明の積層体は、ガスバリア層を波長選択吸収層上に備えた積層体であって、OLED表示装置の反射防止手段として円偏光板に代えて用いた場合にも優れた耐光性を示すことができ、また生産性にも優れる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス表示装置は、OLED表示装置の反射防止手段として円偏光板に代えて上記積層体を含み、積層体が備える波長選択吸収層は優れた耐光性を示すことができる。
図1は、本発明の積層体の一例を示す概略断面図である。 図2は、参考例において、外光反射のシミュレーションを行うために想定したOLED表示装置の構成について、模式的に示した縦断面図である。
[積層体]
本発明の積層体は、樹脂と染料と染料の褪色防止剤とを含有する波長選択吸収層、及び、この波長選択吸収層の少なくとも片面に直接配されたガスバリア層を含む積層体である。
本発明の積層体において、上記波長選択吸収層に含有される染料は、異なる波長域に主吸収波長帯域を有する後述の染料A~Dの少なくとも1種を含む。
本発明の積層体における上記ガスバリア層は、結晶性樹脂を含有し、層の厚みが0.1μm~10μmであって、層の酸素透過度が60cc/m・day・atm以下である。
本発明において、染料が有する主吸収波長帯域とは、波長選択吸収層及びガスバリア層を含む積層体の状態で測定される染料の主吸収波長帯域である。具体的には、後述する実施例において、耐光性評価膜の吸収極大値の項に記載の条件により、波長選択吸収層とガスバリア層を含む積層体の状態で測定される。
本発明の積層体は、上記ガスバリア層を設けることにより、波長選択吸収層中に含有される染料の耐光性を向上させることができる。この理由は推定ではあるが、以下のように考えられる。
本発明の積層体における波長選択吸収層中に含有される染料は、光が照射されることにより吸光度が低下することがある。この現象の主な原因は、光照射による励起エネルギーが酸素分子に移動して発生する一重項酸素が、染料の分子を分解することにある。本発明の積層体は、波長選択吸収層中に、染料と、この染料の褪色防止剤とを含有させることにより、上記のようにして発生した一重項酸素による染料の分解を抑制することができる。しかも、上記波長選択吸収層のうち、少なくとも空気界面に近い箇所に上記ガスバリア層を設けることにより、酸素分子(酸素ガス)の透過を抑制することができ、結果、波長選択吸収層の染料の分解を抑制することができる。
さらに、本発明の積層体は、上記構成に加えて、波長選択吸収層の少なくとも片面に直接ガスバリア層を有し、このガスバリア層は、結晶性樹脂を含有し、特定の酸素透過度を示す。このような構成を有する本発明の積層体は、酸素分子の透過を所望のレベルで抑制できる、また、生産性にも優れるものの、ガスバリア層が厚くなりすぎると、結晶性樹脂中の非晶部に上記褪色防止剤が移動する量が増えてしまう。この結果、ガスバリア層を厚くすることによりガスバリア層の酸素透過度を小さくすることができるものの、所望の耐光性の向上効果が得られなかったり、逆に、耐光性の向上効果が低下するといった問題が生じてしまう。本発明の積層体は、特定の厚みのガスバリア層とすることにより、褪色防止剤とガスバリア層による、耐光性の低下抑制効果を、優れたレベルで実現することができると考えられる。
<<波長選択吸収層>>
本発明の積層体における波長選択吸収層は、樹脂と、異なる波長域に主吸収波長帯域を有する下記染料A~Dの少なくとも1種を含む染料と、染料の褪色防止剤とを含有する。
染料A:波長390~435nmに主吸収波長帯域を有する染料
染料B:波長480~520nmに主吸収波長帯域を有する染料
染料C:波長580~620nmに主吸収波長帯域を有する染料
染料D:波長680~780nmに主吸収波長帯域を有する染料
上記波長選択吸収層中において、上記「染料」は、上記樹脂中に分散(好ましくは溶解)することにより、波長選択吸収層を染料に由来する特定の吸収スペクトルを示す層とするものである。また、上記「染料の褪色防止剤」は、樹脂中に分散(好ましくは溶解)することにより、一重項酸素等のラジカルを捕捉したり、染料に代わって酸化される等し、染料の褪色を効果的に抑制することができる。
<染料>
上記波長選択吸収層は、上記の染料A、染料B、染料C及び染料Dの少なくとも1種を含有する層である。
なお、上記波長選択吸収層中に含有され得る上記の染料Aは、1種でもよく、2種以上であってもよい。上記波長選択吸収層中に含有され得る上記の染料B~Dについても、染料Aと同様に、各々独立に、1種でもよく、2種以上であってもよい。
上記波長選択吸収層は上記染料A~D以外の染料を含有することもできる。
本発明の積層体における波長選択吸収層の形態は、波長選択吸収層中の染料が吸収スペクトルを示すことができればよく、好ましくは、外光反射の抑制及び輝度低下の抑制の両立を実現することができ、より好ましくは、さらに、表示画像本来の色味に影響しにくいものであればよい。上記波長選択吸収層の一形態としては、染料A~Dの少なくとも1種が樹脂中に分散(好ましくは溶解)した形態が挙げられる。この分散は、ランダム、規則的等いずれであってもよい。
上記染料A~Dは、上記波長選択吸収層において、OLED表示装置の発光源として使用される、B(Blue、460nm)、G(Green、520nm)及びR(Red、620nm)以外の波長域である、390~435nm、480~520nm、580~620nm及び680~780nmに、それぞれ主吸収波長帯域を有する。そのため、これらの染料A~Dの少なくとも1種を含有することにより、上記波長選択吸収層は、OLEDから発せられる光の色再現域を損なうことなく、外光の反射を抑制することができる。
特に、上記発光源の出射スペクトルとの間に負の相関関係を有する吸収スペクトルを示す波長選択吸収層とし、OLED表示装置の画像本来の色味を引き出す観点からは、上記波長選択吸収層中に含有される染料A、染料B、染料C及び染料Dは、少なくとも2種の組み合わせであることが好ましく、少なくとも3種の組み合わせであることがより好ましく、4種全てを含有することがさらに好ましい。
上記のように波長選択吸収層中に2種以上の染料A~Dを含有させる場合、染料分解時に発生したラジカルの連鎖移動等により、染料の混合による耐光性の低下という問題も生じてしまうことがある。このような問題に対しても、本発明の積層体は後述する特定のガスバリア層を設けることにより、染料の混合に伴う耐光性の低下を上回る、優れたレベルの耐光性を示すことができる。
なかでも、OLED表示装置の画像本来の色味をより引き出す観点からは、上記波長選択吸収層は、4種の染料A~Dの全てを含有し、かつ、下記関係式(I)~(VI)を満たすことが好ましい。このような構成を有する波長選択吸収層は、外光反射の抑制及び輝度低下の抑制を充足に加えて、OLED表示装置の画像本来の色味をより優れたレベルで保持することができる。
関係式(I) Ab(450)/Ab(430)<1.0
関係式(II) Ab(450)/Ab(500)<1.0
関係式(III) Ab(540)/Ab(500)<1.0
関係式(IV) Ab(540)/Ab(600)<1.0
関係式(V) Ab(630)/Ab(600)≦0.5
関係式(VI) Ab(630)/Ab(700)<1.0
なお、上記関係式(I)~(VI)に記載する吸光度比は、後述の実施例において、耐光性評価膜の吸収極大値の項に記載の条件により、波長選択吸収層とガスバリア層を含む積層体の状態で測定される、波長λnmにおける吸光度Ab(λ)の値を用いて、算出される値である。
上記関係式(I)~(VI)で規定する範囲において、好ましい範囲は下記の通りである。
関係式(I)におけるAb(450)/Ab(430)の上限値は、0.90以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.80以下がさらに好ましく、0.60以下が特に好ましい。下限値に特に制限はないが、0.05以上が実際的であり、0.10以上が好ましく、0.20以上がより好ましい。
関係式(II)におけるAb(450)/Ab(500)の上限値は、0.90以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下がさらに好ましく、0.65以下が特に好ましく、なかでも0.60以下が好ましく、0.50以下が最も好ましい。下限値に特に制限はないが、0.05以上が実際的であり、0.10以上が好ましく、0.20以上がより好ましい。
関係式(III)におけるAb(540)/Ab(500)の上限値は、0.90以下が好ましく、0.80以下がより好ましく、0.75以下がさらに好ましく、0.70以下が特に好ましく、なかでも0.50以下が好ましく、0.20以下が最も好ましい。下限値に特に制限はないが、0.01以上が実際的であり、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
関係式(IV)におけるAb(540)/Ab(600)の上限値は、0.90以下が好ましく、0.85以下がより好ましく、0.80以下がさらに好ましく、0.70以下が特に好ましく、なかでも0.50以下が好ましく、0.25以下が最も好ましい。下限値に特に制限はないが、0.01以上が実際的であり、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
関係式(V)におけるAb(630)/Ab(600)の上限値は、0.40以下が好ましく、0.30以下がより好ましく、0.20以下がさらに好ましく、0.15以下が特に好ましい。下限値に特に制限はないが、0.01以上が実際的であり、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましい。
関係式(VI)におけるAb(630)/Ab(700)の上限値は、0.95以下が好ましく、0.90以下がより好ましく、0.80以下がさらに好ましく、0.75以下が特に好ましい。下限値に特に制限はないが、0.01以上が実際的であり、0.03以上が好ましく、0.10以上がより好ましく、0.40以上がさらに好ましく、0.50以上が特に好ましい。
関係式(I)~(VI)が、それぞれ上記好ましい範囲を満たすことにより、本発明の積層体を設けることによる色味変化を小さくすることができ、OLED表示装置の画像本来の色味をより引き出すことができる。そのため、染料A~Dは、主吸収波長帯域における吸収波形が先鋭であることが好ましい。
例えば、染料Bが後述の一般式(1)で表されるスクアリン系色素である場合、本発明の積層体は、関係式(II)及び(III)が上記好ましい範囲を満たすことができ、OLED表示装置の画像本来の色味をより優れたレベルで保持することができる。これは、ヒトの錐状体の緑色視物質の吸収極大(534nm)付近の波長における吸光度が低いためと考えられる。
また、染料Cが後述の一般式(1)で表されるスクアリン系色素である場合、本発明の積層体は、関係式(I)~(IV)が上記好ましい範囲を満たすことができ、OLED表示装置の画像本来の色味をより優れたレベルで保持することができる。これも、上記と同じくヒトの錐状体の緑色視物質の吸収極大(534nm)付近の波長における吸光度が低いためと考えられる。
特に、関係式(V)を満たすことは、OLED表示装置の画像本来の色味に影響を与えない点で重要である。関係式(V)により、aの変化を抑制することができ、この結果、上記の色味を優れたレベルで保持できると考えられる。
(染料A)
染料Aは、積層体中で波長390~435nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
上記染料Aとしては、主吸収波長帯域における吸収波形が先鋭である点から、下記一般式(A1)で表される色素が好ましい。
Figure 0007178509000006
式(A1)中、R及びRは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を示し、R~Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、RとRは互いに結合して6員環を形成していてもよい。
及びRとして採りうるアルキル基としては、無置換のアルキル基及び置換基を有する置換アルキル基のいずれでもよく、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状構造を有していてもよい。
上記無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。上記無置換のアルキル基の炭素数は、1~12が好ましく、1~6がより好ましい。
上記置換アルキル基が採りうる置換基としては、例えば、下記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
(置換基群A)
ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシル基(塩の形でもよい)、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、スルホニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(-NHの他、-NR で表される置換アミノ基を含む。Rは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を示す。ただし、少なくとも1つのRは、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基である。)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルホンアミド基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基(塩の形でもよい)、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基及びシリル基、並びに、これらの少なくとも2つが連結した一価の基
上記置換基群Aの中でも、置換アルキル基が有し得る置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、アシル基及びヒドロキシ基が挙げられる。
上記置換アルキル基の総炭素数は、1~12が好ましい。例えば、ベンジル基、ヒドロキシベンジル基及びメトキシエチル基等が挙げられる。
置換アルキル基の総炭素数とは、置換アルキル基が有し得る置換基を含めた、置換アルキル基全体の炭素数を意味する。以下、その他の基においても同様の意味で使用する。
なお、R及びRがいずれもアルキル基を表す場合、アルキル基は同一でも異なっていてもよい。
及びRとして採りうるアリール基は、無置換のアリール基及び置換基を有する置換アリール基のいずれでもよい。
上記無置換のアリール基としては、炭素数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基が挙げられる。
上記置換アリール基が採りうる置換基としては、例えば、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
上記置換基群Aの中でも、置換アリール基が有し得る置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホンアミド基、アミノ基(好ましくは、-NR で表される置換アミノ基。Rは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を示す。ただし、少なくとも1つのRは、アルキル基である。炭素数は1~4が好ましい。)、アルキル基(好ましくは、炭素数1~4のアルキル基;例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル及びイソプロピル)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1~4のアルコキシ基;例えば、メトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ及びイソプロポキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基;例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ノルマルプロポキシカルボニル及びイソプロポキシカルボニル)及びスルホニルオキシ基、並びに、これらの少なくとも2つが連結した一価の基が挙げられる。
上記置換アリール基としては、総炭素数6~18のアリール基が好ましい。
例えば、4-クロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、4-カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基、4-メタンスルホンアミドフェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、4-(N-カルボキシメチル-N-エチルアミノ)フェニル基、4-エトキシカルボニルフェニル基及び4-メタンスルホニルオキシフェニル基が挙げられる。
なお、R及びRがいずれもアリール基を表す場合、アリール基は同一でも異なっていてもよい。
、R、R及びRとして採りうる置換基としては、例えば、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
上記置換基群Aの中でも、R、R及びRは、アルキル基又はアリール基が好ましい。すなわち、R、R及びRとしては、各々独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
また、上記置換基群Aの中では、Rは、アルキル基又はアリール基が好ましい。すなわち、Rとしては、水素原子、アルキル基又はアリール基であることが好ましい。
、R及びRとして採りうるアルキル基としては、無置換のアルキル基及び置換基を有する置換アルキル基のいずれでもよく、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状構造を有していてもよい。
上記R、R及びRとして採りうる無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基及びイソプロピル基等が挙げられる。上記R、R及びRとして採りうる無置換のアルキル基の炭素数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
上記R、R及びRにおける置換アルキル基が有し得る置換基としては、例えば、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
上記R、R及びRにおける置換アルキル基が有し得る置換基の好ましい例としては、アリール基(好ましくはフェニル基)、カルボキシ基及びヒドロキシ基が挙げられる。
上記R、R及びRとして採りうる置換アルキル基の総炭素数は1~8が好ましい。例えば、ベンジル基、カルボキシメチル基及びヒドロキシメチル基が挙げられる。
なお、R、R及びRがいずれもアルキル基を表す場合、アルキル基は同一でも異なっていてもよい。
上記R、R及びRとして採りうるアリール基としては、無置換のアリール基及び置換された置換アリール基のいずれでもよい。
上記R、R及びRとして採りうる無置換のアリール基としては、炭素数6~10のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基が挙げられる。
上記R、R及びRにおける置換アリール基が有し得る置換基としては、例えば、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
上記R、R及びRにおける置換アリール基が有し得る置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、並びに、アルキル基(好ましくは、炭素数1~4のアルキル基;例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル及びイソプロピル)が挙げられる。
上記R、R及びRとして採りうる置換アリール基としては、総炭素数6~10のアリール基が好ましい。例えば、4-クロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基及び4-メチルフェニル基が挙げられる。
及びRがいずれも置換基である場合、耐光性及び耐熱性の観点から、Rは、水素原子であることが好ましい。
なお、R、R及びRがいずれもアリール基である場合、アリール基は同一でも異なっていてもよい。
として採りうるアルキル基は、無置換のアルキル及び置換基を有する置換アルキル基のいずれでもよく、直鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状構造を有していてもよい。
上記Rとして採りうる無置換のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基及びシクロヘキシル基が挙げられる。上記Rとして採りうる無置換のアルキル基の炭素数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
上記Rにおける置換アルキル基が有し得る置換基としては、例えば、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
上記Rにおける置換アルキル基が有し得る置換基の好ましい例としては、アリール基(好ましくはフェニル基)、ヘテロ環基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルキル基(好ましくは、炭素数1~4のアルキル基;例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル及びイソプロピル)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1~4のアルコキシ基;例えば、メトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ及びイソプロポキシ)、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基;例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ノルマルプロポキシカルボニル及びイソプロポキシカルボニル)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1~4のアルキルアミノ基;例えば、ジメチルアミノ基)、アルキルカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1~4のアルキルカルボニルアミノ基;例えば、メチルカルボニルアミノ基)、シアノ基及びアシル基、並びに、これらの少なくとも2つが連結した一価の基が挙げられる。
上記Rとして採りうる置換アルキル基の総炭素数は1~18が好ましい。
例えば、ベンジル基、カルボキシベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルメチル基、2-シアノエチル基、2-プロピオキルアミノエチル基、ジメチルアミノメチル基、メチルカルボニルアミノプロピル基、ジ(メトキシカルボニルメチル)アミノプロピル基及びフェナシル基が挙げられる。
上記Rとして採りうるアリール基は、無置換のアリール基及び置換基を有する置換アリール基のいずれでもよい。
上記Rとして採りうる無置換のアリール基としては、炭素数6~12のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基が挙げられる。
上記Rにおける置換アリール基が有し得る置換基としては、例えば、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。
上記Rにおける置換アリール基が有し得る置換基の好ましい例としては、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホンアミド基、アミノ基、アルキル基(好ましくは、炭素数1~4のアルキル基;例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル)、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1~4のアルコキシ基;例えば、メトキシ、エトキシ、ノルマルプロポキシ、イソプロポキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基;例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ノルマルプロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル)及びスルホニルオキシ基、並びに、これらの少なくとも2つが連結した一価の基等が挙げられる。
上記Rにおける置換アリール基が有し得るアミノ基は、無置換のアミノ基(-NH)及び置換基を有する置換アミノ基(上記置換基群Aにおける-NR )のいずれでもよい。
上記Rにおける置換アリール基が有し得るアミノ基(-NR )は、Rとして、上記Rにおける置換アルキル基と同様の基を挙げることができる。
上記置換アミノ基としては、アミノ基の水素原子の1つ又は2つがアルキル基で置換されたアルキルアミノ基が好ましい。
アルキルアミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基及びピロリジノ基が挙げられる。アルキルアミノ基の炭素数は1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
上記Rとして採りうる置換アリール基としては、総炭素数6~22のアリール基が好ましい。例えば、4-クロロフェニル基、2,5-ジクロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、2,5-メトキシフェニル基、2-メトキシ-5-エトキシカルボニルフェニル基、4-エチルオキシカルボニルフェニル基、4-エキシカルボニルフェニル基、4-ブトキシカルボニルフェニル基、4-オクチルオキシカルボニルフェニル基、4-カルボキシフェニル基、3,5-ジカルボキシフェニル基、4-メタンスルホンアミドフェニル基、4-メチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-エトキシフェニル基、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル基、N,N-ジメチルアミノフェニル基、N,N-ジエチルアミノフェニル基、4-(N-カルボキシメチル-N-エチルアミノ)フェニル基、4-{N,N-ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノ}フェニル基、4-{ジ(エトキシカルボニルメチル)アミノ}カルボニルフェニル、4-エトキシカルボニルフェニル基、4-メタンスルホニルオキシフェニル基、4-アセチルスルファモイルフェニル、4-プロピオニルスルファモイルフェニル及び4-メタンスルホンアミドフェニルが挙げられる。
とRは、互いに結合して6員環を形成していてもよい。
とRが互いに結合して形成される6員環は、ベンゼン環が好ましい。
特に耐光性の観点から、式(A1)中のR及びRのうち、Rがアルキル基であることが好ましく、Rがアルキル基であり、かつ、Rがアルキル基又はアリール基であることがより好ましい。また同様の観点から、R及びRがいずれも、各々独立にアルキル基であることが更に好ましく、炭素数1~8のアルキル基であることが特に好ましい。
また、耐熱性及び耐光性の点からは、式(A1)中のR及びRがいずれもアリール基であることも好ましい。
及びRが各々独立にアリール基を表す場合、R、R及びRは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基であって、かつ、R及びRの少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。中でも、耐熱性及び耐光性の観点から、Rが水素原子を表し、R及びRが各々独立にアルキル基又はアリール基を表す場合がより好ましく、Rが水素原子を表し、R及びRが各々独立にアルキル基を表す場合が更に好ましく、Rが水素原子を表し、R及びRが各々独立にアルキル基を表し、かつ、R及びRが互いに結合して環を形成してピロール環に縮合し、ピロール環と共にインドール環を形成している場合が特に好ましい。即ち、上記一般式(A1)で表される色素は、下記一般式(A2)で表される色素であることが特に好ましい。
Figure 0007178509000007
式(A2)中、R~Rは、一般式(A1)中のR~Rとそれぞれ同義であり、好ましい態様も同様である。
式(A2)において、R15は、置換基を示す。R15として採り得る置換基としては、上記の置換基群Aに含まれる置換基を挙げることができる。R15としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アシル基又はアルコキシカルボニル基が好ましい。
15として採り得るアルキル基及びアリール基は、R、R及びRとして採り得るアルキル基及びアリール基とそれぞれ同義であり、好ましい態様もそれぞれ同様である。
15として採り得るハロゲン原子としては、例えば、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
15として採り得るアシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基及びブチロイル基が挙げられる。
15として採り得るアルコキシカルボニル基としては、炭素数2~5のアルコキシカルボニル基が好ましく、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ノルマルプロポキシカルボニル及びイソプロポキシカルボニルが挙げられる。
nは、0~4の整数である。nは特に制限されないが、例えば、0又は1が好ましい。
以下に、一般式(A1)で表される色素の具体例を示す。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
下記具体例において、Meはメチル基を示す。
Figure 0007178509000008
Figure 0007178509000009
Figure 0007178509000010
染料Aとしては、一般式(2)で表される色素の他に、特開平5-53241号公報の段落0012~0067に記載の化合物、及び、特許2707371号公報の段落0011~0076に記載の化合物も、好ましく使用することができる。
(染料B、染料C)
染料Bは、積層体中で波長480~520nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
また、染料Cは、積層体中で波長580~620nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
染料Bの具体例としては、例えば、ピロールメチン(pyrrole methine、PM)系、ローダミン(rhodamine、RH)系、ボロンジピロメテン(boron dipyrromethene、BODIPY)系及びスクアリン(squarine、SQ)系の各色素(染料)が挙げられる。
染料Cの具体例としては、例えば、テトラアザポルフィリン(tetraaza porphyrin、TAP)系、スクアリン系及びシアニン(cyanine、CY)系の各色素(染料)が挙げられる。
これらの中でも、上記の染料B及び染料Cとしては、主吸収波長帯域における吸収波形が先鋭である点から、スクアリン系色素が好ましく、下記一般式(1)で表されるスクアリン系色素がより好ましい。染料B及び染料Cとして上記の通り吸収波形が先鋭な色素を使用することにより、上述の関係式(I)~(VI)を好ましいレベルで満たすことができ、OLED表示装置の画像本来の色味をより優れたレベルで保持することができる。
すなわち、上記波長選択吸収層は、上記色味変化の抑制の観点から、染料B及び染料Cの少なくとも一方がスクアリン系色素(好ましくは、下記一般式(1)で表されるスクアリン系色素)であることが好ましく、染料B及び染料Cの両方がスクアリン系色素(好ましくは、下記一般式(1)で表されるスクアリン系色素)であることがより好ましい。
本発明において、下記各一般式で表される色素において、カチオンは非局在化して存在しており、複数の互変異性体構造が存在する。そのため、本発明において、ある色素の少なくとも1つの互変異性体構造が各一般式に当てはまる場合、ある色素は各一般式で表される色素とする。したがって、特定の一般式で表される色素とは、その少なくとも1つの互変異性体構造を特定の一般式で表すことができる色素ということもできる。本発明において、一般式で表される色素は、その互変異性体構造の少なくとも1つがこの一般式に当てはまる限り、どのような互変異性体構造をとるものでもよい。
Figure 0007178509000011
一般式(1)中、A及びBは、各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基、又は-CH=Gを示す。Gは置換基を有していてもよい複素環基を示す。
A又はBとして採りうるアリール基としては、特に制限されず、単環からなる基でも縮合環からなる基でもよい。アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12がさらに好ましい。アリール基としては、例えば、ベンゼン環又はナフタレン環からなる各基が挙げられ、より好ましくはベンゼン環からなる基である。
A又はBとして採りうる複素環基としては、特に制限はなく、脂肪族複素環若しくは芳香族複素環からなる基を含み、芳香族複素環からなる基が好ましい。芳香族複素環基であるヘテロアリール基としては、例えば、後述する置換基Xとして採りうるヘテロアリール基が挙げられる。A又はBとして採りうる芳香族複素環基は、5員環又は6員環の基が好ましく、含窒素5員環の基がより好ましい。具体的には、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、ピラゾール環、チアゾール環、オキサゾール環、トリアゾール環、インドール環、インドレニン環、インドリン環、ピリジン環、ピリミジン環、キノリン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環及びピラゾロトリアゾール環のいずれかからなる基が好適に挙げられる。中でも、ピロール環、ピラゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピリミジン環及びピラゾロトリアゾール環のいずれかからなる基が好ましい。ピラゾロトリアゾール環とは、ピラゾール環とトリアゾール環との縮合環からなり、これらの環が少なくとも1つずつ縮合してなる縮合環であればよく、例えば、後述する一般式(4)及び(5)中の縮合環が挙げられる。
A及びBは、スクアリン酸部位(一般式(1)に示された4員環)に対して、特に制限されることなく、いずれの部位(環構成原子)で結合してもよいが、炭素原子で結合することが好ましい。
A又はBとして採りうる-CH=G中のGは、置換基を有していてもよい複素環基を示し、例えば、上記のA又はBとして採りうる複素環基に示されている例が好適に挙げられる。中でも、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環及びインドリン環のいずれかからなる基等が好ましい。
A及びBの少なくとも一方は、分子内水素結合を形成する水素結合性基を有していてもよい。
A、B及びGは、それぞれ、置換基Xを有していてもよく、置換基Xを有する場合には、隣接する置換基が互いに結合してさらに環構造を形成してもよい。また、置換基Xは複数個存在してもよい。隣接する置換基Xが互いに結合してさらに環構造を形成する場合、2つの置換基Xがホウ素原子等のヘテロ原子を間に介して環を形成してもよい。このホウ素原子は、さらに置換基で置換されていてもよく、アルキル基及びアリール基等の置換基が挙げられる。2つの置換基Xが結合して形成される環の例としては、例えば、2つの下記-NR1415が結合して形成される環、2つの下記-NR1415がホウ素原子を間に介して結合して形成される環が挙げられる。
置換基Xとしては、例えば、後述する一般式(2)のRとして採りうる置換基が挙げられる。具体的には、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アルキル基(シクロアルキル基を含む)、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アラルキル基、フェロセニル基、-OR10、-C(=O)R11、-C(=O)OR12、-OC(=O)R13、-NR1415、-NHCOR16、-CONR1718、-NHCONR1920、-NHCOOR21、-SR22、-SO23、-SO24、-NHSO25及び-SONR2627が挙げられる。また、置換基Xは、上記フェロセニル基の他に、後述の消光剤部を有することも好ましい。
一般式(1)において、R10~R27は、各々独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基又はヘテロ環基を示す。R10~R27として採りうる脂肪族基及び芳香族基は、特に制限されず、後述する一般式(2)のRとして採りうる置換基における、脂肪族基に分類されるアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基、並びに、芳香族基に分類されるアリール基から適宜に選択できる。R10~R27として採りうるヘテロ環基は、脂肪族でも芳香族でもよく、例えば、後述する一般式(2)のRとして採りうるヘテロアリール基又はヘテロ環基から適宜に選択できる。
なお、-COOR12のR12が水素原子である場合(すなわち、カルボキシ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、カルボネート基)、塩の状態であってもよい。また、-SO24のR24が水素原子である場合(すなわち、スルホ基)は、水素原子が解離してもよく(すなわち、スルホネート基)、塩の状態であってもよい。
置換基Xとして採りうるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
置換基Xとして採りうるアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~15がより好ましく、1~8がさらに好ましい。アルケニル基の炭素数は、2~20が好ましく、2~12がより好ましく、2~8がさらに好ましい。アルキニル基の炭素数は、2~40が好ましく、2~30がより好ましく、2~25が特に好ましい。アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、それぞれ、直鎖、分岐、環状のいずれでもよく、直鎖又は分岐が好ましい。
置換基Xとして採りうるアリール基は、単環又は縮合環の基を含む。アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12がさらに好ましい。
置換基Xとして採りうるアラルキル基のアルキル部分は、上記アルキル基と同様である。アラルキル基のアリール部分は、上記アリール基と同様である。アラルキル基の炭素数は、7~40が好ましく、7~30がより好ましく、7~25がさらに好ましい。
置換基Xとして採りうるヘテロアリール基は、単環又は縮合環からなる基を含み、単環、又は環数が2~8個の縮合環からなる基が好ましく、単環又は環数が2~4個の縮合環からなる基がより好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子又は硫黄原子等が挙げられる。ヘテロアリール基は、5員環又は6員環からなる基が好ましい。ヘテロアリール基の環を構成する炭素原子の数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましい。ヘテロアリール基としては、例えば、ピリジン環、ピペリジン環、フラン環、フルフラン環、チオフェン環、ピロール環、キノリン環、モルホリン環、インドール環、イミダゾール環、ピラゾール環、カルバゾール環、フェノチアジン環、フェノキサジン環、インドリン環、チアゾール環、ピラジン環、チアジアジン環、ベンゾキノリン環及びチアジアゾール環のいずれかからなる各基が挙げられる。
置換基Xとして採りうるフェロセニル基は、一般式(2M)で表されることが好ましい。
Figure 0007178509000012
一般式(2M)中、Lは、単結合、又は一般式(1)中のA、B又はGと共役しない2価の連結基を示す。R1m~R9mは、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。Mは、メタロセン化合物を構成しうる原子であって、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、V又はPtを示す。*はA、B又はGとの結合部を示す。
なお、本発明においては、一般式(2M)中のLが単結合である場合、A、B又はGに直接結合するシクロペンタジエニル環(一般式(2M)中のR1mを有する環)は、A、B又はGと共役する共役構造に含めない。
Lとして採りうる2価の連結基としては、A、B又はGと共役しない連結基であれば特に制限されず、その内部、又は一般式(2M)中のシクロペンタジエン環側端部に、上述の共役構造を含んでいてもよい。2価の連結基としては、例えば、炭素数1~20のアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、複素環から2個水素を除いた2価の複素環基、-CH=CH-、-CO-、-CS-、-NR-(Rは水素原子又は1価の置換基を示す。)、-O-、-S-、-SO-若しくは-N=CH-、又は、これらを複数(好ましくは2~6個)組合せてなる2価の連結基が挙げられる。好ましくは、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CH=CH-、-CO-、-NR-(Rは上記の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上(好ましくは2~6個)の基を組合せた2価の連結基であり、特に好ましくは、炭素数1~4のアルキレン基、フェニレン基、-CO-、-NH-、-O-及び-SO-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上(好ましくは2~6個)の基を組合せた連結基である。組合せた2価の連結基としては、特に制限されないが、-CO-、-NH-、-O-又は-SO-を含む基が好ましく、-CO-、-NH-、-O-又は-SO-を2種以上組合せてなる連結基、又は、-CO-、-NH-、-O-及び-SO-の少なくとも1種とアルキレン基若しくはアリーレン基とを組合せてなる連結基が挙げられる。-CO-、-NH-、-O-又は-SO-を2種以上組合せてなる連結基としては、-COO-、-OCO-、-CONH-、-NHCOO-、-NHCONH-、-SONH-が挙げられる。-CO-、-NH-、-O-及び-SO-の少なくとも1種とアルキレン基若しくはアリーレン基とを組合せてなる連結基としては、-CO-、-COO-若しくは-CONH-と、アルキレン基若しくはアリーレン基とを組合せた基が挙げられる。
Rとして採りうる置換基は、特に制限されず、一般式(2)中のAが有していてもよい置換基Xと同義である。
Lは、単結合であるか、又は、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CH=CH-、-CO-、-NR-(Rは上記の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上の基を組合せた基が好ましい。
Lは、置換基を1又は複数有していてもよい。Lが有していてもよい置換基としては、特に制限されず、例えば上記置換基Xと同義である。Lが置換基を複数有する場合、隣接する原子に結合する置換基が互いに結合して更に環構造を形成してもよい。
Lとして採りうるアルキレン基としては、炭素数が1~20の範囲にある基であれば、直鎖、分岐鎖又は環状のいずれでもよく、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、メチルエチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,1-ジメチルエチレン、ブチレン、1-メチルプロピレン、2-メチルプロピレン、1,2-ジメチルプロピレン、1,3-ジメチルプロピレン、1-メチルブチレン、2-メチルブチレン、3-メチルブチレン、4-メチルブチレン、2,4-ジメチルブチレン、1,3-ジメチルブチレン、ペンチレン、へキシレン、ヘプチレン、オクチレン、エタン-1,1-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、シクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイル、シクロブタン-1,2-ジイル、シクロペンタン-1,1-ジイル、シクロペンタン-1,2-ジイル、シクロペンタン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,1-ジイル、シクロヘキサン-1,2-ジイル、シクロヘキサン-1,3-ジイル、シクロヘキサン-1,4-ジイル、メチルシクロヘキサン-1,4-ジイル等が挙げられる。
Lとして、アルキレン基中に、-CO-、-CS-、-NR-(Rは上述の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-の少なくとも1つを含む連結基を採る場合、-CO-等の基は、アルキレン基中のいずれの位置に組み込まれてもよく、また組み込まれる数も特に制限されない。
Lとして採りうるアリーレン基としては、炭素数が6~20の範囲にある基であれば特に制限されず、例えば、一般式(1)中のAとして採りうる炭素数が6~20のアリール基として例示した各基から更に水素原子を1つ除去した基が挙げられる。
Lとして採りうる複素環基としては、特に制限されず、例えば、上記Aとして採りうる複素環基として例示した各基から更に水素原子を1つ除去した基が挙げられる。
一般式(2M)において、上記連結基Lを除外した残りの部分構造は、メタロセン化合物から水素原子を1つ除去した構造(メタロセン構造部)に相当する。本発明において、メタロセン構造部となるメタロセン化合物は、上記一般式(2M)で規定される部分構造に適合する化合物(Lに代えて水素原子が結合した化合物)であれば、公知のメタロセン化合物を特に制限されることなく用いることができる。以下、一般式(2M)で規定されるメタロセン構造部について具体的に説明する。
一般式(2M)中、R1m~R9mは、それぞれ、水素原子又は置換基を示す。R1m~R9mとして採りうる置換基としては、特に制限されないが、例えば、一般式(3)のRとして採りうる置換基の中から選ぶことができる。R1m~R9mは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基、アルコキシ基、アミノ基又はアミド基が好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基がより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基又はアシル基が更に好ましく、水素原子、ハロゲン原子又はアルキル基が特に好ましく、水素原子が最も好ましい。
1m~R9mとして採りうるアルキル基としては、Rとして採りうるアルキル基の中でも、炭素数1~8のアルキル基が好ましく、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソブチル、ペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、オクチル、2-エチルヘキシルが挙げられる。
このアルキル基は、置換基としてハロゲン原子を有していてもよい。ハロゲン原子で置換されたアルキル基としては、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、パーフルオロエチル、パーフルオロプロピル、パーフルオロブチル等が挙げられる。
また、R1m等として採りうるアルキル基は、炭素鎖を形成する少なくとも1つのメチレン基が-O-又は-CO-で置換されていてもよい。メチレン基が-O-で置換されたアルキル基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、第二ブトキシ、第三ブトキシ、2-メトキシエトキシ、クロロメチルオキシ、ジクロロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、ブロモメチルオキシ、ジブロモメチルオキシ、トリブロモメチルオキシ、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、パーフルオロエチルオキシ、パーフルオロプロピルオキシ、パーフルオロブチルオキシの端部メチレン基が置換されたアルキル基、更には、2-メトキシエチル等の炭素鎖の内部メチレン基が置換されたアルキル基等が挙げられる。メチレン基が-CO-で置換されたアルキル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、モノクロロアセチル、ジクロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、プロパン-2-オン-1-イル、ブタン-2-オン-1-イル等が挙げられる。
一般式(2M)中、Mは、メタロセン化合物を構成しうる原子であって、Fe、Co、Ni、Ti、Cu、Zn、Zr、Cr、Mo、Os、Mn、Ru、Sn、Pd、Rh、V又はPtを示す。中でも、Mは、Fe、Ti、Co、Ni、Zr、Ru又はOsが好ましく、Fe、Ti、Ni、Ru又はOsがより好ましく、Fe又はTiが更に好ましく、Feが最も好ましい。
一般式(2M)で表される基としては、L、R1m~R9m及びMの好ましいもの同士を組合せてなる基が好ましく、例えば、Lとして、単結合、又は、炭素数2~8のアルキレン基、炭素数6~12のアリーレン基、-CH=CH-、-CO-、-NR-(Rは上述の通り。)、-O-、-S-、-SO-及び-N=CH-からなる群から選ばれる基若しくはこの群から選ばれる2種以上の基を組合せた基と、R1m~R9mとして、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アシル基又はアルコキシ基と、MとしてFeとを組合せてなる基が挙げられる。
置換基Xとして採りうるアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基及びヘテロアリール基、並びに、R10~R27として採りうる脂肪族基、芳香族基及びヘテロ環基は、それぞれ、さらに置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。さらに有していてもよい置換基としては、特に制限はないが、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、スルホニル基、フェロセニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、及びカルボキシ基から選ばれる置換基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、芳香族ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、芳香族ヘテロ環チオ基、スルホニル基、フェロセニル基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、及びカルボキシ基から選ばれる置換基がより好ましい。これらの基は、後述する一般式(2)のRとして採りうる置換基から適宜に選択することができる。
上記一般式(1)で表される色素の好ましい1実施形態として、下記一般式(2)で表される色素が挙げられる。
Figure 0007178509000013
一般式(2)中、Aは、一般式(1)中のAと同様である。中でも、含窒素5員環である複素環基が好ましい。
一般式(2)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示す。RとRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、また互いに結合して環を形成してもよい。
及びRとして採りうる置換基としては、特に制限はないが、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、トリフルオロメチル基等)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、アルケニル基(ビニル基、アリル基等)、アルキニル基(エチニル基、プロパルギル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、ヘテロアリール基(フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル基、トリアジル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キナゾリル基、フタラジル基等)、ヘテロ環基(複素環基とも呼び、例えば、ピロリジル基、イミダゾリジル基、モルホリル基、オキサゾリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基等)、シクロアルコキシ基(シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ナフチルオキシ基等)、ヘテロアリールオキシ基(芳香族ヘテロ環オキシ基)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基等)、シクロアルキルチオ基(シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基、ナフチルチオ基等)、ヘテロアリールチオ基(芳香族ヘテロ環チオ基)、アルコキシカルボニル基(メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、ブチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等)、ホスホリル基(ジメトキシホスホニル、ジフェニルホスホリル)、スルファモイル基(アミノスルホニル基、メチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、オクチルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基、2-ピリジルアミノスルホニル基等)、アシル基(アセチル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、シクロヘキシルカルボニル基、オクチルカルボニル基、2-エチルヘキシルカルボニル基、フェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基、ピリジルカルボニル基等)、アシルオキシ基(アセチルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、フェニルカルボニルオキシ基等)、アミド基(メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、ジメチルカルボニルアミノ基、プロピルカルボニルアミノ基、ペンチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ基、オクチルカルボニルアミノ基、ドデシルカルボニルアミノ基、フェニルカルボニルアミノ基、ナフチルカルボニルアミノ基等)、スルホニルアミド基(メチルスルホニルアミノ基、オクチルスルホニルアミノ基、2-エチルヘキシルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基等)、カルバモイル基(アミノカルボニル基、メチルアミノカルボニル基、ジメチルアミノカルボニル基、プロピルアミノカルボニル基、ペンチルアミノカルボニル基、シクロヘキシルアミノカルボニル基、オクチルアミノカルボニル基、2-エチルヘキシルアミノカルボニル基、ドデシルアミノカルボニル基、フェニルアミノカルボニル基、ナフチルアミノカルボニル基、2-ピリジルアミノカルボニル基等)、ウレイド基(メチルウレイド基、エチルウレイド基、ペンチルウレイド基、シクロヘキシルウレイド基、オクチルウレイド基、ドデシルウレイド基、フェニルウレイド基、ナフチルウレイド基、2-ピリジルアミノウレイド基等)、アルキルスルホニル基(メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、ブチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基、2-エチルヘキシルスルホニル基等)、アリールスルホニル基(フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基、2-ピリジルスルホニル基等)、アミノ基(アミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、2-エチルヘキシルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、ナフチルアミノ基、2-ピリジルアミノ基等)、アルキルスルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキシ)、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、ヒドロキシ基等が挙げられる。
中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
及びRとして採りうる置換基はさらに置換基を有していてもよい。さらに有していてもよい置換基としては、R及びRとして採りうる上記置換基、及び、前述の一般式(1)におけるA、B及びGが有してもよい置換基Xが挙げられる。また、RとRとは互いに結合して環を形成してもよく、R又はRと、B又はBが有する置換基とは結合して環を形成してもよい。
このとき形成される環としてはヘテロ環又はヘテロアリール環が好ましく、形成される環の大きさは特に制限されないが、5員環又は6員環であることが好ましい。また、形成される環の数は特に限定されず、1個であってもよく、2個以上であってもよい。2個以上の環が形成される形態としては、例えば、RとBが有する置換基、及び、RとBが有する置換基とがそれぞれ結合して2個の環を形成する形態が挙げられる。
一般式(2)において、B、B、B及びBは、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を示す。B、B、B及びBを含む環は芳香環である。B~Bのうち、少なくとも2つ以上は炭素原子であることが好ましく、B~Bの全てが炭素原子であることがより好ましい。
~Bとして採りうる炭素原子は、水素原子又は置換基を有する。B~Bとして採りうる炭素原子のうち、置換基を有する炭素原子の数は、特に制限されないが、0、1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。特に、B及びBが炭素原子であって、少なくとも一方が置換基を有することが好ましい。
~Bとして採りうる炭素原子が有する置換基としては、特に制限されず、R及びRとして採りうる上記置換基が挙げられる。中でも、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アシル基、アミド基、スルホニルアミド基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アリール基、アシル基、アミド基、スルホニルアミド基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基である。
~Bとして採り得る炭素原子が有する置換基は、さらに置換基を有していてもよい。このさらに有していてもよい置換基としては、前述の一般式(2)におけるR及びRがさらに有してもよい置換基、及び、前述の一般式(1)におけるA、B及びGが有してもよい置換基Xが挙げられる。
及びBとして採りうる炭素原子が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミド基、スルホニルアミド基又はカルバモイル基がさらに好ましく、特に好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アミド基又はスルホニルアミド基が挙げられ、最も好ましくは、ヒドロキシ基、アミド基又はスルホニルアミド基である。
及びBとして採りうる炭素原子が有する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子がさらに好ましく、いずれか一方の置換基が電子吸引性基(例えば、アルコキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子)であることが特に好ましい。
上記一般式(2)で表される色素は、下記一般式(3)、一般式(4)及び一般式(5)のいずれかで表される色素であることが好ましい。
Figure 0007178509000014
一般式(3)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(2)におけるR及びRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(3)において、B~Bは、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を示し、上記一般式(2)におけるB~Bと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(3)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示す。R及びRとして採りうる置換基としては、特に制限されず、上記R及びRとして採りうる置換基と同じものを挙げることができる。
ただし、Rとして採りうる置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アミド基、スルホニルアミド基、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基又はハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アリール基又はアミノ基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
として採りうる置換基としては、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、カルバモイル基、アミノ基又はシアノ基が好ましく、アルキル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基又はアリール基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
及びRとして採りうるアルキル基は、直鎖状、分岐状及び環状のいずれであってもよいが、直鎖状又は分岐状が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~12が好ましく、1~8がより好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、t-ブチル基、2-エチルヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましく、メチル基、t-ブチル基がより好ましい。
Figure 0007178509000015
一般式(4)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(2)におけるR及びRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(4)において、B~Bは、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を示し、上記一般式(2)におけるB~Bと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(4)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示す。R及びRとして採りうる置換基としては、特に制限されず、上記R及びRとして採りうる置換基と同じものを挙げることができる。
ただし、Rとして採りうる置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミノ基、シアノ基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、スルホニルアミド基、ウレイド基又はカルバモイル基が好ましく、アルキル基、アルコキシ基、アシル基、アミド基又はアミノ基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
として採りうるアルキル基は、一般式(3)におけるRとして採りうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(4)において、Rとして採りうる置換基は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、スルホニルアミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、アミノ基、シアノ基、ニトロ基又はハロゲン原子が好ましく、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はヘテロ環基がより好ましく、アルキル基又はアリール基がさらに好ましい。
として採りうるアルキル基は、一般式(3)におけるRとして採りうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
として採りうるアリール基は、炭素数6~12のアリール基が好ましく、フェニル基がより好ましい。このアリール基は置換基を有していてもよく、このような置換としては、以下の置換基群Bに含まれる基が挙げられ、特に、炭素数1~10のアルキル基、スルホニル基、アミノ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基等が好ましい。これらの置換基は、さらに置換基を有していてもよい。具体的に、置換基はアルキルスルホニルアミノ基が好ましい。
- 置換基群B -
ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルコキシ基、アミノオキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、スルホニルアミノ基(アルキル若しくはアリールスルホニルアミノ基を含む)、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、スルホ基、アルキル若しくはアリールスルフィニル基、スルホニル基(アルキル若しくはアリールスルホニル基を含む)、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基等。
Figure 0007178509000016
一般式(5)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(2)におけるR及びRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(5)において、B~Bは、各々独立に、炭素原子又は窒素原子を示し、上記一般式(2)におけるB~Bと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(5)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示す。R及びRとして採りうる置換基としては、特に制限されず、上記R及びRとして採りうる置換基と同じものを挙げることができる。
ただし、Rとして採りうる置換基の、好ましい範囲、より好ましい範囲及びさらに好ましい基は、一般式(4)におけるRとして採りうる置換基と同じである。Rとして採りうるアルキル基は、上記Rとして採りうるアルキル基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(5)において、Rとして採りうる置換基の、好ましい範囲、より好ましい範囲及びさらに好ましい範囲は、一般式(4)におけるRとして採りうる置換基と同じである。Rとして採りうるアルキル基及びアリール基の好ましい範囲は、上記一般式(4)におけるRとして採りうるアルキル基及びアリール基と同義であり、好ましい範囲も同じである。
本発明においては、染料Aとしてスクアリン系色素を用いる場合、スクアリン系色素としては、一般式(1)~(5)のいずれかで表されるスクアリン色素であれば、特に制限なく使用することができる。その例として、例えば、特開2006-160618号公報、国際公開第2004/005981号、国際公開第2004/007447号、Dyes and Pigment,2001,49,p.161-179、国際公開第2008/090757号、国際公開第2005/121098号、特開2008-275726号公報に記載の化合物を挙げられる。
以下に、一般式(1)~一般式(5)のいずれかで表される色素の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記具体例において、Meはメチル、Etはエチル、Buはブチル、Phはフェニルをそれぞれ示す。
Figure 0007178509000017
Figure 0007178509000018
Figure 0007178509000019
上記具体例の他に、一般式(3)~(5)のいずれかで表される色素の具体例を以下に挙げる。下記表中の置換基Bは下記構造を示す。下記構造及び下記表において、Meはメチル、Etはエチル、i-Prはi-プロピル、Buはn-ブチル、t-Buはt-ブチル、Phはフェニルをそれぞれ示す。下記構造において*は各一般式中の炭素四員環との結合部を示す。
Figure 0007178509000020
Figure 0007178509000021
Figure 0007178509000022
Figure 0007178509000023
Figure 0007178509000024
Figure 0007178509000025
Figure 0007178509000026
Figure 0007178509000027
Figure 0007178509000028
上記一般式(1)で表される色素の好ましい1実施形態として、下記一般式(6)で表される色素が挙げられる。
Figure 0007178509000029
一般式(6)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(3)におけるR及びRと同義であり、好ましいものも同じである。
一般式(6)中、Aは、一般式(1)中のAと同様である。中でも、含窒素5員環である複素環基が好ましい。
上記一般式(6)で表される色素は、下記一般式(7)、一般式(8)及び一般式(9)のいずれかで表される色素であることが好ましい。
Figure 0007178509000030
一般式(7)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(3)におけるR及びRと同義であり、好ましい範囲も同じである。2つのR及び2つRは、それぞれ、同一でも異なっていてもよい。
Figure 0007178509000031
一般式(8)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(3)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(8)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(4)におけるR及びRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
Figure 0007178509000032
一般式(9)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(3)におけるRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
一般式(9)において、R及びRは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、上記一般式(5)におけるR及びRと同義であり、好ましい範囲も同じである。
本発明においては、染料Bとしてスクアリン系色素を用いる場合、スクアリン系色素としては、一般式(6)~(9)のいずれかで表されるスクアリン系色素であれば、特に制限なく使用することができる。その例として、例えば特開2002-97383号公報及び特開2015-68945号公報に記載の化合物を挙げることができる。
以下に、一般式(6)~一般式(9)のいずれかで表される色素の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記具体例において、Meはメチル、Etはエチル、i-Prはi-プロピル、t-Buはt-ブチル、Phはフェニルをそれぞれ示す。下記構造において*は各一般式中の炭素四員環との結合部を示す。
Figure 0007178509000033
Figure 0007178509000034
Figure 0007178509000035
Figure 0007178509000036
(消光剤内蔵型色素)
上記一般式(1)で表されるスクアリン系色素は、連結基を介して、共有結合により消光剤部が色素に連結されてなる、消光剤内蔵型色素であってもよい。上記消光剤内蔵型色素も、染料B及びCの少なくとも一方の色素として好ましく用いることができる。すなわち、上記消光剤内蔵型色素は、主吸収波長帯域を有する波長に応じて、染料B又は染料Cとして計上する。
上記消光剤部としては、例えば、上述の置換基Xにおけるフェロセニル基が挙げられる。また、国際公開第2019/066043号の段落[0199]~[0212]および段落[0234]~[0310]に記載の消光剤化合物における消光剤部を挙げることができる。
以下に、一般式(1)で表されるスクアリン系色素のうち、消光剤内蔵型色素に該当する色素の具体例を示す。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記具体例において、Meはメチル、Etはエチル、Buはブチルをそれぞれ示す。
Figure 0007178509000037
Figure 0007178509000038
Figure 0007178509000039
Figure 0007178509000040
Figure 0007178509000041
Figure 0007178509000042
Figure 0007178509000043
Figure 0007178509000044
Figure 0007178509000045
Figure 0007178509000046
Figure 0007178509000047
Figure 0007178509000048
Figure 0007178509000049
Figure 0007178509000050
Figure 0007178509000051
Figure 0007178509000052
Figure 0007178509000053
(染料D)
染料Dは、積層体中で波長680~780nmに主吸収波長帯域を有するものであれば特に制限されず、各種染料を用いることができる。
染料Dの具体例としては、例えば、ポルフィリン系、スクアリン系、シアニン(cyanine、CY)系の各色素(染料)が挙げられる。
上記染料Dについては、吸収波形が先鋭である点から、下記一般式(D1)で表される色素および一般式(1)で表される色素の少なくとも1種であることが好ましい。
(一般式(D1)で表される色素)
Figure 0007178509000054
式(D1)中、R1AおよびR2Aは、各々独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を示し、R4AおよびR5Aは、各々独立に、ヘテロアリール基を示し、R3AおよびR6Aは、各々独立に、置換基を示す。XおよびXは、各々独立に、-BR21a22aを示し、R21aおよびR22aはそれぞれ独立に置換基を示し、R21aおよびR22aは互いに結合して環を形成していてもよい。
1AおよびR2Aは、各々独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を示す。
アルキル基の炭素数は、1~40が好ましい。下限は、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルキル基の炭素数は、3~40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルキル基の分岐数は、例えば、2~10が好ましく、2~8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。なかでも、フェニル基が好ましい。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましく、3~5が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の具体例としては、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、トリアジル基、キノリル基、キノキサリル基、イソキノリル基、インドレニル基、フリル基、チエニル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、ナフトチアゾリル基、ベンズオキサゾリ基、m-カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。
1A及びR2Aにおけるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。有していてもよい置換基としては、酸素原子を含んでもよい炭化水素基、ヘテロアリール基、アミノ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、メルカプト基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。
ヘテロアリール基としては、上記R1A及びR2Aにおけるヘテロアリール基の記載を好ましく適用することができる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。
アルキル基としては、上記R1A及びR2Aにおけるアルキル基の記載を好ましく適用することができる。
アルケニル基の炭素数は、2~40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルケニル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルケニル基の炭素数は、3~40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルケニル基の分岐数は、2~10が好ましく、2~8がより好ましい。分岐数が上記範囲であれば、溶剤溶解性が良好である。
アリール基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~12が更に好ましい。
酸素原子を含む炭化水素基としては、-L-Rx1で表される基が挙げられる。
Lは、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-(ORx2-または-(Rx2O)-を表す。Rx1は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。Rx2は、アルキレン基またはアリーレン基を表す。mは2以上の整数を表し、m個のRx2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
Lは、-O-、-COO-または-OCO-が好ましく、-O-がより好ましい。
x1が表すアルキル基、アルケニル基、アリール基は上述したものと同義であり、好ましい範囲も同様である。Rx1は、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく
x2が表すアルキレン基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、1~5が更に好ましい。アルキレン基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましい。
x2が表すアリーレン基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましい。
mは2以上の整数を表し、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。
1A及びR2Aにおけるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基としては、酸素原子を含んでもよい炭化水素基が好ましく、酸素原子を含む炭化水素基がより好ましい。
酸素原子を含む炭化水素基は、-O-Rx1で表される基が好ましい。Rx1は、アルキル基またはアルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、分岐のアルキル基が特に好ましい。すなわち、R1A及びR2Aが表す置換基は、アルコキシ基であることが好ましい。R1A及びR2Aが、アルコキシ基であることにより、溶剤溶解性、耐光性、可視透過性に優れた近赤外線吸収物質として、本発明における染料Dとして好適に使用することができる。
アルコキシ基の炭素数は、1~40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましく、5以上が更に好ましく、8以上が一層好ましく、10以上が特に好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。アルコキシ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、分岐が特に好ましい。分岐のアルコキシ基の炭素数は、3~40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルコキシ基の分岐数は、2~10が好ましく、2~8がより好ましい。
1A及びR2Aとしては、ヘテロアリール基又はアリール基が好ましく、アリール基がより好ましく、3位に置換基を有するフェニル基がさらに好ましい。
3A及びR6Aは、それぞれ独立に、置換基を示す。
置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基などが挙げられる。
3A及びR6Aは、電子吸引性基であることが好ましい。
Hammettのσp値(シグマパラ値)が正の置換基は、電子吸引性基として作用する。
本発明においては、Hammettのσp値が0.2以上の置換基を電子吸引性基として例示することができる。σp値として好ましくは0.25以上であり、より好ましくは0.3以上であり、特に好ましくは0.35以上である。上限は特に制限はないが、好ましくは0.80である。
電子吸引性基の具体例としては、シアノ基(0.66)、カルボキシル基(-COOH:0.45)、アルコキシカルボニル基(-COOMe:0.45)、アリールオキシカルボニル基(-COOPh:0.44)、カルバモイル基(-CONH:0.36)、アルキルカルボニル基(-COMe:0.50)、アリールカルボニル基(-COPh:0.43)、アルキルスルホニル基(-SOMe:0.72)、アリールスルホニル基(-SOPh:0.68)などが挙げられる。特に好ましくは、シアノ基である。ここで、Meはメチル基を、Phはフェニル基を表す。
Hammettのσp値については、例えば、特開2009-263614号公報の段落0024~0025を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
4A及びR5Aは、それぞれ独立に、ヘテロアリール基を示す。
ヘテロアリール基は、単環または縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~8の縮合環が好ましく、単環または縮合数が2~4の縮合環がより好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましく、3~5が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の具体例は、R1A及びR2Aで説明したものが挙げられ、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基、キノリル基、キノキサリル基、イソキノリル基、インドレニル基、ベンズオキサゾリル基、ベンズチアゾリル基が好ましい。
ヘテロアリール基は、置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。置換基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロアリールチオ基、スルホニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルフィニル基、ウレイド基、リン酸アミド基、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、シリル基などが挙げられる。ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、塩素原子が特に好ましい。
アルキル基の炭素数は、1~40が好ましく、1~30がより好ましく、1~25が特に好ましい。アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1~40が好ましく、1~30がより好ましく、1~25が特に好ましい。アルコキシ基は直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。
3AとR4A、R5AとR6Aは、それぞれ結合して環を形成していてもよい。
3AとR4A、R5AとR6Aが互いに結合して環を形成する場合は、5~7員環(好ましくは5または6員環)を形成することが好ましい。形成される環としてはメロシアニン色素で酸性核として用いられるものが好ましい。具体例としては例えば以下のものが挙げられる。
(a)1,3-ジカルボニル環:例えば1,3-インダンジオン、1,3-シクロヘキサンジオン、5,5-ジメチル-1,3-シクロヘキサンジオン、1,3-ジオキサン-4,6-ジオンなど。
(b)ピラゾリノン環:例えば1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、3-メチル-1-フェニル-2-ピラゾリン-5-オン、1-(2-ベンゾチアゾイル)-3-メチル-2-ピラゾリン-5-オンなど。
(c)イソオキサゾリノン環:例えば3-フェニル-2-イソオキサゾリン-5-オン、3-メチル-2-イソオキサゾリン-5-オンなど。
(d)オキシインドール環:例えば1-アルキル-2,3-ジヒドロ-2-オキシインドールなど。
(e)2,4,6-トリケトヘキサヒドロピリミジン環:例えばバルビツル酸または2-チオバルビツル酸およびその誘導体など。誘導体としては例えば1-メチル、1-エチル等の1-アルキル体、1,3-ジメチル、1,3-ジエチル、1,3-ジブチル等の1,3-ジアルキル体、1,3-ジフェニル、1,3-ジ(p-クロロフェニル)、1,3-ジ(p-エトキシカルボニルフェニル)等の1,3-ジアリール体、1-エチル-3-フェニル等の1-アルキル-1-アリール体、1,3-ジ(2-ピリジル)等の1,3位ジヘテロ環置換体等が挙げられる。
(f)2-チオ-2,4-チアゾリジンジオン環:例えばローダニンおよびその誘導体など。誘導体としては例えば3-メチルローダニン、3-エチルローダニン、3-アリルローダニン等の3-アルキルローダニン、3-フェニルローダニン等の3-アリールローダニン、3-(2-ピリジル)ローダニン等の3位ヘテロ環置換ローダニン等が挙げられる。
(g)2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン(2-チオ-2,4-(3H,5H)-オキサゾールジオン環:例えば3-エチル-2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオンなど。
(h)チアナフテノン環:例えば3(2H)-チアナフテノン-1,1-ジオキサイドなど。
(i)2-チオ-2,5-チオゾリジンジオン環:例えば3-エチル-2-チオ-2,5-チアゾリジンジオンなど。
(j)2,4-チオゾリジンジオン環:例えば2,4-チアゾリジンジオン、3-エチル-2,4-チアゾリジンジオン、3-フェニル-2,4-チアゾリジンジオンなど。
(k)チアゾリン-4-オン環:例えば4-チアゾリノン、2-エチル-4-チアゾリノンなど。
(l)4-チアゾリジノン環:例えば2-エチルメルカプト-5-チアゾリン-4-オン、2-アルキルフェニルアミノ-5-チアゾリン-4-オンなど。
(m)2,4-イミダゾリジンジオン(ヒダントイン)環:例えば2,4-イミダゾリジンジオン、3-エチル-2,4-イミダゾリジンジオンなど。
(n)2-チオ-2,4-イミダゾリジンジオン(2-チオヒダントイン)環:例えば2-チオ-2,4-イミダゾリジンジオン、3-エチル-2-チオ-2,4-イミダゾリジンジオンなど。
(o)イミダゾリン-5-オン環:例えば2-プロピルメルカプト-2-イミダゾリン-5-オンなど。
(p)3,5-ピラゾリジンジオン環:例えば1,2-ジフェニル-3,5-ピラゾリジンジオン、1,2-ジメチル-3,5-ピラゾリジンジオンなど。
(q)ベンゾチオフェン-3-オン環:例えばベンゾチオフェン-3-オン、オキソベンゾチオフェンー3-オン、ジオキソベンゾチオフェンー3-オンなど。
(r)インダノン環:例えば1-インダノン、3-フェニル-1-インダノン、3-メチル-1-インダノン、3,3-ジフェニル-1-インダノン、3,3-ジメチル-1-インダノンなど。
3AとR4A、R5AとR6Aが互いに結合して形成される環としては、好ましくは1,3-ジカルボニル環、ピラゾリノン環、2,4,6-トリケトヘキサヒドロピリミジン環(チオケトン体も含む)、2-チオ-2,4-チアゾリジンジオン環、2-チオ-2,4-オキサゾリジンジオン環、2-チオ-2,5-チアゾリジンジオン環、2,4-チアゾリジンジオン環、2,4-イミダゾリジンジオン環、2-チオ-2,4-イミダゾリジンジオン環、2-イミダゾリン-5-オン環、3,5-ピラゾリジンジオン環、ベンゾチオフェン-3-オン環、またはインダノン環であり、更に好ましくは1,3-ジカルボニル環、2,4,6-トリケトヘキサヒドロピリミジン環(チオケトン体も含む)、3,5-ピラゾリジンジオン環、ベンゾチオフェン-3-オン環、またはインダノン環である。
なお、R3AとR4A、R5AとR6Aが互いに結合して環を形成している場合、R3A~R6Aのσp値を規定することができないが、本発明においてはR3A~R6Aにそれぞれ環の部分構造が置換しているとみなして、環形成の場合のσp値を定義することとする。例えば、R3AとR4Aとが結合して1,3-インダンジオン環を形成している場合、R3A及びR4Aにそれぞれベンゾイル基が置換したものとして考える。
およびXは、それぞれ独立に、-BR2122を示す。
21およびR22は、それぞれ独立に、置換基を表し、R21とR22は互いに結合して環を形成していてもよい。
21およびR22が表す置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基および、下式(2-4)で示す基が好ましく、ハロゲン原子、アリール基またはアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
アルキル基の炭素数は、1~40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましい。上限は、例えば、30以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。アルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。
アルコキシ基の炭素数は、1~40が好ましい。下限は、例えば、3以上がより好ましい。上限は、例えば、30以下がより好ましく、25以下が更に好ましい。アルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよいが、直鎖または分岐が好ましく、直鎖が特に好ましい。
アリール基の炭素数は、6~20が好ましく、6~12がより好ましい。アリール基としては、フェニル基が好ましい。
ヘテロアリール基は、単環であっても多環であってもよく、単環が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子の数は1~3が好ましい。ヘテロアリール基を構成するヘテロ原子は、窒素原子、酸素原子または硫黄原子が好ましい。ヘテロアリール基の炭素数は3~30が好ましく、3~18がより好ましく、3~12がより好ましく、3~5が特に好ましい。ヘテロアリール基は、5員環または6員環が好ましい。ヘテロアリール基の具体例としては、R1A及びR2Aで説明したものが挙げられる。
Figure 0007178509000055
式(2-4)において、Ra5~Ra9は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表す。*は、式(D1)との連結手を示す。Ra5~Ra9が表す置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
21およびR22は、互いに結合して環を形成していてもよい。R21とR22とが結合して形成する環としては、例えば、下記(2-1)~(2-3)に示す構造などが挙げられる。以下において、Rは置換基を表し、Ra1~Ra4は、それぞれ独立に水素原子又は置換基を表し、m1~m3は、それぞれ独立に、0~4の整数を表す。RおよびRa1~Ra4が表す置換基としては、R21およびR22で説明した置換基が挙げられ、アルキル基が好ましい。
Figure 0007178509000056
上記一般式(D1)で表される色素は、下記一般式(D2)で表される色素であることが好ましい。
Figure 0007178509000057
式(D2)において、R1aおよびR2aは、それぞれ独立に、置換基を表し、R3a及びR6aは、それぞれ独立に、置換基を表し、R4a及びR5aは、それぞれ独立に、ヘテロアリール基を表す。R3aとR4a、R5aとR6aは、それぞれ結合して環を形成していてもよい。X1aおよびX2aは、それぞれ独立に、-BR21a22aを表し、R21aおよびR22aは、それぞれ独立に、置換基を表し、R21aとR22aは互いに結合して環を形成していてもよい。
式(D2)中、R3a~R6a、X1a、X2a、R21a及びR22aは、それぞれ、上述したR3A~R6A、X、X、R21及びR22と、同義であり、好ましい範囲も同様である。
1aおよびR2aにおける置換基は、R1A及びR2Aにおけるアルキル基、アリール基及びヘテロアリール基が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
上記一般式(D1)で表される色素は、下記一般式(D3)で表される色素であることがより好ましい。
Figure 0007178509000058
式(D3)において、R1bおよびR2bは、それぞれ独立に、分岐のアルキル基を表し、R3b及びR6bは、それぞれ独立に、置換基を表し、R4b及びR5bは、それぞれ独立に、ヘテロアリール基を表す。R3bとR4b、R5bとR6bは、それぞれ結合して環を形成していてもよい。R21bおよびR22bは、それぞれ独立に、置換基を表し、R21bとR22bは結合して環を形成していてもよい。
1bおよびR2bは、それぞれ独立に、分岐のアルキル基を表す。炭素数は、3~40が好ましい。下限は、例えば、5以上がより好ましく、8以上が更に好ましく、10以上が一層好ましい。上限は、35以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。分岐のアルキル基の分岐数は、2~10が好ましく、2~8がより好ましい。
3b~R6b、R21b及びR22bは、それぞれ、上述したR3A~R6A、R21及びR22と、同義であり、好ましい範囲も同様である。
すなわち、R3b及びR6bは電子吸引性基であることが好ましく、シアノ基がより好ましい。
21b及びR22bは、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基またはヘテロアリール基が好ましく、ハロゲン原子、アリール基またはアリール基がより好ましく、アリール基が更に好ましい。
以下に、染料Dの具体例を示す。以下に示す化合物D-1~D-24、D-28~D-90は、一般式(D1)で表される色素である。
なお、以下の構造式中、i-C1021などの「i」は、分岐していることを示す。また、Buはブチル基を表し、Phはフェニル基を表し、
Figure 0007178509000059
Figure 0007178509000060
Figure 0007178509000061
Figure 0007178509000062
Figure 0007178509000063
Figure 0007178509000064
Figure 0007178509000065
Figure 0007178509000066
Figure 0007178509000067
(一般式(1)表される色素)
Figure 0007178509000068
一般式(1)中、A及びBが採りうる態様については、前述の染料B、染料Cにおいて記載する一般式(1)におけるA及びBの通りである。
染料Dが一般式(1)で表される色素である場合、下記一般式(14)で表される色素であることが好ましい。
Figure 0007178509000069
一般式(14)において、R及びRは、前述した一般式(2)におけるR及びRと同義である。また、R41及びR42も、前述した一般式(2)におけるR及びRと同義である。
、R、R41及びR42は、中でも、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロアリール基が好ましく、アルキル基、アリール基又はヘテロアリール基がより好ましく、アルキル基又はアリール基がさらに好ましい。
、R、R41及びR42はさらに置換基を有していてもよい。さらに有していてもよい置換基としては、前述の一般式(2)におけるR及びRがさらに有してもよい置換基、及び、前述の一般式(1)におけるA、B及びGが有してもよい置換基Xが挙げられる。
一般式(14)におけるB、B、BおよびBは、それぞれ、前述した一般式(2)におけるB、B、BおよびBと同義である。また、一般式(14)におけるB、B、BおよびBは、それぞれ、前述した一般式(2)におけるB、B、BおよびBと同義である。
、B、B、B、B、B、BおよびBとして採り得る炭素原子が有する置換基は、さらに置換基を有していてもよい。このさらに有していてもよい置換基としては、前述の一般式(1)におけるA、B及びGが有してもよい置換基Xが挙げられる。
一般式(14)において、RとRとは互いに結合して環を形成してもよく、R又はRと、B又はBが有する置換基とは結合して環を形成してもよい。また、R41とR42とは互いに結合して環を形成してもよく、R41又はR42と、B又はBが有する置換基とは結合して環を形成してもよい。
上記において、形成される環としてはヘテロ環又はヘテロアリール環が好ましく、形成される環の大きさは特に制限されないが、5員環又は6員環であることが好ましい。また、形成される環の数は特に限定されず、1個であってもよく、2個以上であってもよい。2個以上の環が形成される形態としては、例えば、RとBが有する置換基、及び、RとBが有する置換基とがそれぞれ結合して2個の環を形成する形態が挙げられる。
以下に、染料Dの具体例を示す。下記化合物F-1~F-33は、一般式(1)で表される色素である。
Figure 0007178509000070
Figure 0007178509000071
上記波長選択吸収層中において、上記染料A~Dの含有量の合計は、波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、0.10質量部以上が好ましく、0.15質量部以上がより好ましく、0.20質量部以上がさらに好ましく、0.25質量部以上が特に好ましく、とりわけ0.30質量部以上が好ましい。波長選択吸収層中の染料A~Dの合計含有量が、上記の好ましい下限値以上であると、良好な反射防止効果が得られる。
また、波長選択吸収層中において、上記染料A~Dの含有量の合計は、波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、通常は50質量部以下であり、40質量部以下が好ましく、30質量部以下がより好ましい。
上記波長選択吸収層中に含有され得る染料A~Dそれぞれの含有量としては、好ましくは以下の通りである。
染料Aの含有量は波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、0.01~45質量部が好ましく、0.1~30質量部がより好ましい。染料Bの含有量は波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、0.01~45質量部が好ましく、0.1~30質量部がより好ましい。染料Cの含有量は波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、0.01~30質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。染料Dの含有量は波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、0.05~50質量部が好ましく、0.2~40質量部がより好ましい。
上記波長選択吸収層が4種の染料A~Dを全て含有する場合、波長選択吸収層中における各染料A~Dの含有割合は、質量比で、染料A:染料B:染料C:染料D=1:0.1~10:0.05~5:0.1~10が好ましく、1:0.2~5:0.1~3:0.2~5がより好ましい。
なお、染料B及びCの少なくとも一方が上記消光剤内蔵型色素である場合、上記消光剤内蔵型色素の含有量は、反射防止効果の点から、波長選択吸収層を構成する樹脂100質量部に対し、0.1質量部以上であることが好ましい。上限値は、45質量部以下であることが好ましい。
<樹脂>
上記波長選択吸収層に含まれる樹脂(以下、「マトリックス樹脂」とも称す。)は、上記染料及び後記染料の褪色防止剤を分散(好ましくは溶解)することができ、褪色防止剤による染料の耐光性低下を抑制することができる限り、特に限定されるものではない。外光反射の抑制及び輝度低下の抑制を充足することができ、しかも、OLED表示装置の画像本来の色味を優れたレベルで保持することができることが、好ましい。
染料B及びCの少なくとも一方が一般式(1)で表されるスクアリン系色素である場合には、上記マトリックス樹脂は、このスクアリン系色素がより先鋭な吸収を示すことが可能な、低極性マトリックス樹脂であることが好ましい。上記スクアリン系色素がより先鋭な吸収を示すことにより、上述の関係式(I)~(VI)を好ましいレベルで満たすことができ、OLED表示装置の画像本来の色味をより優れたレベルで保持することができる。ここで、低極性とは、下記関係式Iで定義されるfd値が0.50以上であることが好ましい。
関係式I:fd=δd/(δd+δp+δh)
関係式Iにおいて、δd、δp及びδhは、それぞれ、Hoy法により算出される溶解度パラメータδtに対する、London分散力に対応する項、双極子間力に対応する項、及び、水素結合力に対応する項を示す。具体的な算出方法については、後述の通りである。すなわち、fdはδdとδpとδhの和に対するδdの比率を示す。
fd値を0.50以上とすることにより、より先鋭な吸収波形が得られやすくなる。
また、波長選択吸収層がマトリックス樹脂を2種以上含む場合、fd値は、下記のようにして算出する。
fd=Σ(w・fd
ここで、wはi番目のマトリックス樹脂の質量分率、fdはi番目のマトリックス樹脂のfd値を示す。
- London分散力に対応する項δd -
London分散力に対応する項δdは、文献“Properties of Polymers 3rd,ELSEVIER,(1990)”の214~220頁の「2)Method of Hoy (1985,1989)」欄に記載のAmorphous Polymersについて求められるδdをいうものとし、上記文献の上記の欄の記載に従って算出される。
- 双極子間力に対応する項δp -
双極子間力に対応する項δpは、文献“Properties of Polymers 3rd,ELSEVIER,(1990)”の214~220頁の「2)Method of Hoy(1985,1989)」欄に記載のAmorphous Polymersについて求められるδpをいうものとし、上記文献の上記の欄の記載に従って算出される。
- 水素結合力に対応する項δh -
水素結合力に対応する項δhは、文献“Properties of Polymers 3rd,ELSEVIER,(1990)”の214~220頁の「2)Method of Hoy(1985,1989)」欄に記載のAmorphous Polymersについて求められるδhをいうものとし、上記文献の上記の欄の記載に従って算出される。
また、上記マトリックス樹脂が一定の疎水性を示す樹脂であると、上記波長選択吸収層の含水率を、例えば0.5%以下といった低含水率にすることができ、波長選択吸収層を含む本発明の積層体の耐光性を向上させる点から好ましい。
なお、樹脂とは、ポリマーに加えて任意の慣用成分を含んでいてもよい。ただし、上記マトリックス樹脂のfdは、マトリックス樹脂を構成するポリマーについての算出値である。
上記マトリックス樹脂の好ましい例としては、例えば、ポリスチレン樹脂及び環状ポリオレフィン樹脂が挙げられ、ポリスチレン樹脂がより好ましい。通常、ポリスチレン樹脂の上記fd値は0.45~0.60であり、環状ポリオレフィン樹脂の上記fd値は0.45~0.70である。上述のようにfd値は0.50以上のものを用いることが好ましい。
また、例えば、これらの好ましい樹脂に加えて、後述する伸張性樹脂成分及び剥離性制御樹脂成分等の波長選択吸収層に機能性を付与する樹脂成分を用いることも好ましい。すなわち、本発明においてマトリックス樹脂とは、上述の樹脂の他に、伸張性樹脂成分及び剥離性制御樹脂成分を含む意味で使用する。
上記マトリックス樹脂が、ポリスチレン樹脂を含むことが、色素の吸収波形の先鋭化の点から好ましい。
(ポリスチレン樹脂)
上記ポリスチレン樹脂に含まれるポリスチレンとしては、スチレン成分を含むポリマーを意味する。ポリスチレンはスチレン成分を50質量%以上含むことが好ましい。上記波長選択吸収層は、ポリスチレンを、1種含有してもよいし、2種以上を含有してもよい。ここで、スチレン成分とは、その構造中にスチレン骨格を有する単量体由来の構造単位である。
ポリスチレンは、光弾性係数及び吸湿性を波長選択吸収層として好ましい範囲の値へ制御する点から、スチレン成分を70質量%以上含むことがより好ましく、85質量%以上含むことがさらに好ましい。また、ポリスチレンはスチレン成分のみから構成されていることも好ましい。
ポリスチレンのうち、スチレン成分のみから構成されるポリスチレンとしては、スチレン化合物の単独重合体及び2種以上のスチレン化合物の共重合体が挙げられる。ここで、スチレン化合物とは、その構造中にスチレン骨格を有する化合物であり、スチレンの他、スチレンのエチレン性不飽和結合が反応(重合)性基として作用し得る範囲で置換基を導入した化合物を含む意味である。
具体的なスチレン化合物として、例えば、スチレン;α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、3,5-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、p-エチルスチレン及びtert-ブチルスチレン等のアルキルスチレン;ヒドロキシスチレン、tert-ブトキシスチレン、ビニル安息香酸、o-クロロスチレン及びp-クロロスチレン等のスチレンのベンゼン核に水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基及びハロゲン原子などが導入された置換スチレンなどが挙げられる。中でも、入手しやすさ、材料価格などの観点から、上記ポリスチレンは、スチレンの単独重合体(すなわちポリスチレン)が好ましい。
また、上記ポリスチレンに含まれ得るスチレン成分以外の構成成分としては、特に限定されない。すなわち、ポリスチレンは、スチレン-ジエン共重合体、又はスチレン-重合性不飽和カルボン酸エステル共重合体等であってもよい。また、ポリスチレンと合成ゴム(例えば、ポリブタジエン及びポリイソプレン)の混合物を用いることもできる。また、合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)も好ましい。また、スチレン成分を含む重合体(例えば、スチレン成分と(メタ)アクリル酸エステル成分との共重合体)の連続相中にゴム状弾性体を分散させ、上記ゴム状弾性体に上記共重合体をグラフト重合させたポリスチレン(グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン「グラフトHIPS」という)も好ましい。さらに、いわゆるスチレン系エラストマーも好適に用いることができる。
また、上記ポリスチレンは、水素添加されていてもよい(水添ポリスチレンであってもよい)。上記水添ポリスチレンとしては、特に限定されないが、SBS(スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体)に水素添加した水添スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、及び、SIS(スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合)に水素を添加した水添スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)等の、水素添加されたスチレン-ジエン系共重合体が好ましい。上記水添ポリスチレンは、1種のみを使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
また、上記ポリスチレンは、変性ポリスチレンであってもよい。上記変性ポリスチレンとしては、特に限定されないが、極性基等の反応性基が導入されたポリスチレンが挙げられ、具体的には、マレイン酸変性等の酸変性ポリスチレン及びエポキシ変性ポリスチレンが好ましく挙げられる。
ポリスチレンとして、組成、分子量等が異なる複数種類のものを併用することができる。
ポリスチレン系樹脂は、アニオン、塊状、懸濁、乳化又は溶液重合方法等の情報により得ることができる。また、ポリスチレンにおいては、共役ジエン及びスチレン単量体のベンゼン環の不飽和二重結合の少なくとも一部が水素添加されていてもよい。水素添加率は核磁気共鳴装置(NMR)によって測定できる。
ポリスチレン樹脂としては、市販品を用いてもよく、例えば、電気化学工業(株)製「クリアレン 530L」、「クリアレン 730L」、旭化成(株)製「タフプレン 126S」、「アサプレン T411」、クレイトンポリマージャパン(株)製「クレイトン D1102A」、「クレイトン D1116A」、スタイロルーション社製「スタイロルクス S」、「スタイロルクス T」、旭化成ケミカルズ(株)製、「アサフレックス 840」、「アサフレックス 860」(以上、SBS)、PSジャパン(株)製「679」、「HF77」、「SGP-10」、DIC(株)製「ディックスチレン XC-515」、「ディックスチレン XC-535」(以上、GPPS)、PSジャパン(株)製「475D」、「H0103」、「HT478」、DIC(株)製「ディックスチレン GH-8300-5」(以上、HIPS)などが挙げられる。水添ポリスチレン系樹脂としては、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックHシリーズ」、シェルジャパン(株)製「クレイトンGシリーズ」(以上、SEBS)、JSR(株)製「ダイナロン」(水添スチレン-ブタジエンランダム共重合体)、(株)クラレ製「セプトン」(SEPS)などが挙げられる。また、変性ポリスチレン系樹脂としては、例えば、旭化成ケミカルズ(株)製「タフテックMシリーズ」、(株)ダイセル製「エポフレンド」、JSR(株)製「極性基変性ダイナロン」、東亞合成(株)製「レゼダ」などが挙げられる。
上記波長選択吸収層は、上記ポリスチレン樹脂に加えてポリフェニレンエーテル樹脂を含有することも好ましい。ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とを併せて含有することにより波長選択吸収層の靭性を向上させ、高温高湿等の過酷な環境下においてもクラック等の欠陥の発生を抑制することができる。
上記ポリフェニレンエーテル樹脂としては、旭化成(株)製ザイロンS201A、同202A、同S203A等を好ましく用いることができる。また、あらかじめポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂を混合した樹脂を用いてもよい。ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との混合樹脂としては、例えば、旭化成(株)製ザイロン1002H、同1000H、同600H、同500H、同400H、同300H、同200H等を好ましく用いることができる。
上記波長選択吸収層において、ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂とを含有する場合、両者の質量比は、ポリスチレン樹脂/ポリフェニレンエーテル樹脂で、99/1~50/50が好ましく、98/2~60/40がよりに好ましく、95/5~70/30がさらに好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂の配合比率を上記好ましい範囲とすることにより、波長選択吸収層は十分な靱性を有し、また溶液成膜をした場合には溶剤を適度に揮散させることができる。
(環状ポリオレフィン樹脂)
環状ポリオレフィン樹脂(ポリシクロオレフィン樹脂とも称される。)に含まれる環状ポリオレフィンを形成する環状オレフィン化合物としては、炭素-炭素二重結合を含む環構造を持つ化合物であれば特に制限されず、例えば、ノルボルネン化合物、ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物、環状共役ジエン化合物及びビニル脂環式炭化水素化合物等が挙げられる。
環状ポリオレフィンとしては、例えば、(1)ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(2)ノルボルネン化合物以外の、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(3)環状共役ジエン化合物に由来する構造単位を含む重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、(1)~(4)の各化合物に由来する構造単位を含む重合体の水素化物等が挙げられる。
本発明において、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を含む重合体、及び、単環の環状オレフィン化合物に由来する構造単位を含む重合体には、各化合物の開環重合体を含む。
環状ポリオレフィンとしては、特に制限されないが、下記一般式(A-II)又は(A-III)で表される、ノルボルネン化合物に由来する構造単位を有する重合体が好ましい。下記一般式(A-II)で表される構造単位を有する重合体はノルボルネン化合物の付加重合体であり、下記一般式(A-III)で表される構造単位を有する重合体はノルボルネン化合物の開環重合体である。
Figure 0007178509000072
一般式(A-II)及び(A-III)中、mは0~4の整数であり、0又は1が好ましい。
一般式(A-II)及び(A-III)中、R~Rは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を示す。
一般式(A-I)~(A-III)における炭化水素基は、炭素原子と水素原子からなる基であれば特に制限されず、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基及びアリール基(芳香族炭化水素基)等が挙げられる。中でも、アルキル基又はアリール基が好ましい。
一般式(A-II)及び(A-III)中、X及びX、Y及びYは、各々独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1~10の炭化水素基、-(CH)nCOOR11、-(CH)nOCOR12、-(CH)nNCO、-(CH)nNO、-(CH)nCN、-(CH)nCONR1314、-(CH)nNR1314、-(CH)nOZ若しくは-(CH)nW、又は、XとY若しくはXとYが互いに結合して形成する、(-CO)O若しくは(-CO)NR15を示す。
ここで、R11~R15は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を示し、WはSi(R16(3-p)(R16は炭素数1~10の炭化水素基を示し、Dはハロゲン原子、-OCOR17又は-OR17(R17は炭素数1~10の炭化水素基)を示す。pは0~3の整数である)を示す。nは、0~10の整数であり、0~8が好ましく、0~6がより好ましい。
一般式(A-II)及び(A-III)において、R~Rは、それぞれ、水素原子又は-CHが好ましく、透湿度の点で、水素原子であることがより好ましい。
及びXは、それぞれ、水素原子、-CH又は-Cが好ましく、透湿度の点で、水素原子がより好ましい。
及びYは、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子(特に塩素原子)又は-(CH)nCOOR11(特に-COOCH)が好ましく、透湿度の点で、水素原子がより好ましい。
その他の基は、適宜に選択される。
一般式(A-II)又は(A-III)で表される構造単位を有する重合体は、さらに下記一般式(A-I)で表される構造単位を少なくとも1種以上含んでもよい。
Figure 0007178509000073
一般式(A-I)中、R及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1~10の炭化水素基を示し、X及びYは、各々独立に、水素原子、炭素数1~10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1~10の炭化水素基、-(CH)nCOOR11、-(CH)nOCOR12、-(CH)nNCO、-(CH)nNO、-(CH)nCN、-(CH)nCONR1314、-(CH)nNR1314、-(CH)nOZ、-(CH)nW、又は、XとYが互いに結合して形成する、(-CO)O若しくは(-CO)NR15を示す。
ここで、R11~R15は、各々独立に、水素原子又は炭素数1~20の炭化水素基を示し、Zは炭化水素基又はハロゲンで置換された炭化水素基を示し、WはSi(R16(3-p)(R16は炭素数1~10の炭化水素基を示し、Dはハロゲン原子、-OCOR17又は-OR17(R17は炭素数1~10の炭化水素基)を示す。pは0~3の整数である)を示す。nは0~10の整数である。
偏光子に対する密着性の観点から、一般式(A-II)又は(A-III)で表される構造単位を有する環状ポリオレフィンは、上述のノルボルネン化合物に由来する構造単位を、環状ポリオレフィンの全質量に対して90質量%以下含有することが好ましく、30~85質量%含有することがより好ましく、50~79質量%含有することがさらに好ましく、60~75質量%含有することが最も好ましい。ここで、ノルボルネン化合物に由来する構造単位の割合は環状ポリオレフィン中の平均値を表す。
ノルボルネン化合物の付加(共)重合体は、特開平10-7732号公報、特表2002-504184号公報、米国公開特許公開第2004/229157A1、及び、国際公開第2004/070463号等に記載されている。
ノルボルネン化合物の重合体としては、ノルボルネン化合物(例えば、ノルボルネンの多環状不飽和化合物)同士を付加重合することによって得られる。
また、ノルボルネン化合物の重合体として、必要に応じ、ノルボルネン化合物と、エチレン、プロピレン及びブテン等のオレフィン、ブタジエン及びイソプレン等の共役ジエン、エチリデンノルボルネン等の非共役ジエン、並びに、アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル及び塩化ビニル等のエチレン性不飽和化合物とを付加共重合して得られる共重合体が挙げられる。中でも、ノルボルネン化合物とエチレンとの共重合体が好ましい。
このようなノルボルネン化合物の付加(共)重合体としては、三井化学社よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)が互いに異なる、APL8008T(Tg70℃)、APL6011T(Tg105℃)、APL6013T(Tg125℃)、及び、APL6015T(Tg145℃)等が挙げられる。また、ポリプラスチック社より、TOPAS8007、同6013、同6015等のペレットが市販されている。さらに、Ferrania社よりAppear3000が市販されている。
上述の、ノルボルネン化合物の重合体は、市販品を使用することができる。例えば、JSR社からアートン(Arton)G又はアートンFという商品名で市販されており、また日本ゼオン社からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250又はゼオネックス280という商品名で市販されている。
ノルボルネン化合物の重合体の水素化物は、ノルボルネン化合物等を付加重合又はメタセシス開環重合した後、水素添加することにより、合成できる。合成方法は、例えば、特開平1-240517号、特開平7-196736号、特開昭60-26024号、特開昭62-19801号、特開2003-159767号及び特開2004-309979号等の各公報に記載されている。
上記環状ポリオレフィンの分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体ポリマーが溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法で測定したポリイソプレン又はポリスチレン換算の質量平均分子量である。通常、5000~500000、好ましくは8000~200000、より好ましくは10000~100000の範囲であることが好ましい。上記範囲の分子量を有するポリマーは、成形体の機械的強度、及び成形加工性を高い水準でバランスよく両立できる。
上記波長選択吸収層は、上記マトリックス樹脂を5質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましく、50質量%以上含むことがさらに好ましく、70質量%以上含むことが特に好ましく、なかでも80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことが最も好ましい。
上記波長選択吸収層中の上記マトリックス樹脂の含有量は、通常は99.90質量%以下であり、99.85質量%以下が好ましい。
波長選択吸収層が含有する環状ポリオレフィンは2種以上であってもよく、組成比及び分子量の少なくとも一方が異なるポリマー同士を併用してもよい。この場合、各ポリマーの合計含有量が上記範囲内となる。
(伸長性樹脂成分)
上記波長選択吸収層は、樹脂成分として伸長性を示す成分(伸長性樹脂成分とも称す。)を適宜選んで含むことができる。具体的には、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂(ABS樹脂)、スチレン-ブタジエン樹脂(SB樹脂)、イソプレン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエーテル-ウレタン樹脂及びシリコーン樹脂等を挙げることができる。また、これらの樹脂をさらに、適宜水素添加してもよい。
上記伸長性樹脂成分としては、ABS樹脂又はSB樹脂を用いることが好ましく、SB樹脂を用いることがより好ましい。
上記SB樹脂は、例えば、市販されているものが使用できる。このような市販品として、TR2000、TR2003、TR2250(以上、商品名、JSR(株)製)、クリアレン210M、220M、730V(以上、商品名、デンカ(株)製)、アサフレックス800S、805、810、825、830、840(以上、商品名、旭化成(株)製)、エポレックスSB2400、SB2610、SB2710(以上、商品名、住友化学(株))等を挙げることができる。
上記波長選択吸収層は、伸長性樹脂成分を、マトリックス樹脂中、15~95質量%含むことが好ましく、20~50質量%含むことがより好ましく、25~45質量%含むことがさらに好ましい。
上記伸長性樹脂成分としては、伸長性樹脂成分を単独で用いて、厚さ30μm、幅10mmの形態の試料を作製し、25℃での破断伸度をJIS 7127に基づき計測した際に、破断伸度が10%以上を示すものが好ましく、20%以上を示すものがより好ましい。
(剥離性制御樹脂成分)
上記波長選択吸収層は、後述する上記波長選択吸収層の製造方法のうち、剥離フィルムから波長選択吸収層の剥離を行う工程を含む方法により作製する場合には、樹脂成分として剥離性を制御する成分(剥離性制御樹脂成分)を含むことができ、好ましい。剥離フィルムからの波長選択吸収層の剥離性を制御することで、剥離後の波長選択吸収層に剥ぎとった跡が付くことを防ぐことができ、また、剥離工程における種々の加工速度への対応が可能となる。これらの結果、波長選択吸収層の品質及び生産性向上に好ましい効果を得ることができる。
上記剥離性制御樹脂成分に特に制限はなく、剥離フィルムの種類に応じて適宜に選ぶことができる。後述するように剥離フィルムとしてポリエステル系ポリマーフィルムを用いる場合、剥離性制御樹脂成分として、例えばポリエステル樹脂(ポリエステル系添加剤とも称す。)が好適である。また、後述するように剥離フィルムとしてセルロース系ポリマーフィルムを用いる場合、剥離性制御樹脂成分として、例えば水添スチレン系熱可塑性エラストマー(水添スチレン系添加剤とも称す。)が好適であり、前述の波長選択吸収層に含まれる樹脂としてのポリスチレン樹脂における水添ポリスチレンの記載を適用することができる。
上記ポリエステル系添加剤は、多価塩基酸と多価アルコールとの脱水縮合反応、及び、多価アルコールへの無水二塩基酸の付加及び脱水縮合反応などの常法で得ることができ、好ましくは二塩基酸とジオールとから形成される重縮合エステルが好ましい。
上記ポリエステル系添加剤の質量平均分子量(Mw)は500~50,000であることが好ましく、750~40,000であることがより好ましく、2,000~30,000であることがさらに好ましい。
上記ポリエステル系添加剤の質量平均分子量が上記好ましい下限値以上であると、脆性、湿熱耐久性の観点で好ましく、上記好ましい上限値以下であると、樹脂との相溶性の観点で好ましい。
上記ポリエステル系添加剤の質量平均分子量は、以下の条件で測定した標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)の値である。分子量分布(Mw/Mn)についても、同じ条件により測定することができる。なお、Mnは標準ポリスチレン換算の数平均分子量である。
GPC:ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー(株)製HLC-8220GPC、
カラム;東ソー(株)製ガードカラムHXL-H、TSK gel G7000HXL、TSK gel GMHXL2本、TSK gel G2000HXLを順次連結、
溶離液;テトラヒドロフラン、
流速;1mL/min、
サンプル濃度;0.7~0.8質量%、
サンプル注入量;70μL、
測定温度;40℃、
検出器;示差屈折(RI)計(40℃)、
標準物質;東ソー(株)製TSKスタンダードポリスチレン)
ポリエステル系添加剤を構成する二塩基酸成分としては、ジカルボン酸を好ましく挙げることができる。
このジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、芳香族ジカルボン酸、又は、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジカルボン酸の混合物を好ましく用いることができる。
芳香族ジカルボン酸の中でも、炭素数8~20の芳香族ジカルボン酸が好ましく、炭素数8~14の芳香族ジカルボン酸がより好ましい。具体的には、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の少なくとも1種が好ましく挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸の中でも、炭素数3~8の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、炭素数4~6の脂肪族ジカルボン酸がより好ましい。具体的には、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸及びグルタル酸の少なくとも1種が好ましく挙げられ、コハク酸及びアジピン酸の少なくとも1種がより好ましい。
また、ポリエステル系添加剤を構成するジオール成分としては、脂肪族ジオール及び芳香族ジオール等が挙げられ、脂肪族ジオールが好ましい。
脂肪族ジオールの中でも、炭素数2~4の脂肪族ジオールが好ましく、炭素数2~3の脂肪族ジオールがより好ましい。
脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及び1,4-ブチレングリコールなどが挙げることができ、これらを単独又は二種類以上を併用して用いることができる。
ポリエステル系添加剤は、特に、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の少なくとも1種と脂肪族ジオールとを縮合して得られる化合物であることが好ましい。
ポリエステル系添加剤の末端はモノカルボン酸と反応させて封止してもよい。封止に用いるモノカルボン酸としては脂肪族モノカルボン酸が好ましく、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、安息香酸及びその誘導体が好ましく挙げられ、酢酸又はプロピオン酸がより好ましく、酢酸がさらに好ましい。
市販のポリエステル系添加剤としては、日本合成化学工業株式会社製エステル系樹脂ポリエスター(例えば、LP050、TP290、LP035、LP033、TP217、TP220)、東洋紡株式会社製エステル系樹脂バイロン(例えば、バイロン245、バイロンGK890、バイロン103、バイロン200、バイロン550.GK880)等が挙げられる。
上記波長選択吸収層中の剥離性制御樹脂成分の含有量は、マトリックス樹脂中、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、上限値は、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。適度な密着性を得る観点から上記好ましい範囲であることが好ましい。
<褪色防止剤>
上記波長選択吸収層は、上記染料A~Dの少なくとも1種を含む染料の褪色を防止するため、染料の褪色防止剤(単に、褪色防止剤とも称す。)を含有する。
上記褪色防止剤としては、国際公開第2015/005398号の段落[0143]~[0165]に記載の酸化防止剤、同[0166]~[0199]に記載のラジカル捕捉剤、及び同[0205]~[0206]に記載の劣化防止剤等、通常用いられる褪色防止剤を特に限定することなく用いることができる。
上記褪色防止剤としては、下記一般式(IV)で表される化合物を好ましく用いることができる。
Figure 0007178509000074
式(IV)中、R10はアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基又はR18CO-、R19SO-若しくはR20NHCO-で表される基を示す。ここでR18、R19及びR20は各々独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。R11及びR12は各々独立に水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基を示し、R13、R14、R15、R16及びR17は各々独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。
ただし、R10~R20におけるアルキル基は、アラルキル基を含む。
式(IV)におけるR10で示されるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、ベンジル等;アルケニル基としては、例えばアリル等;アリール基としては、例えばフェニル等;ヘテロ環基としては、例えばテトラヒドロピラニル、ピリミジル等が挙げられる。また、R18、R19及びR20は、各々独立にアルキル基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、ベンジル等)、アルケニル基(例えば、アリル等)、アリール基(例えば、フェニル、メトキシフェニル等)又はヘテロ環基(例えば、ピリジル、ピリミジル等)を示す。
式(IV)におけるR11又はR12で示されるハロゲン原子としては、例えば塩素、臭素等;アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-ブチル、ベンジル等;アルケニル基としては、例えばアリル等;アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、ベンジルオキシ等;アルケニルオキシ基としては、例えば2-プロペニロキシ等が挙げられる。
式(IV)におけるR13、R14、R15、R16又はR17で表されるアルキル基としては、例えばメチル、エチル、n-ブチル、ベンジル等;アルケニル基としては、例えば2-プロペニル等;アリール基としては、例えばフェニル、メトキシフェニル、クロルフェニル等が挙げられる。
10~R20はさらに置換基を有していてもよく、置換基としてはR10~R20で示される各基が挙げられる。
一般式(IV)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 0007178509000075
Figure 0007178509000076
上記褪色防止剤としては、下記一般式[III]で表される化合物も好ましく用いることができる。
Figure 0007178509000077
一般式[III]中、R31は脂肪族基又は芳香族基を示し、Yは窒素原子と共に5~7員環を形成するのに必要な非金属原子群を示す。
一般式[III]において、R31は脂肪族基又は芳香族基を示し、好ましくはアルキル基、アリール基又は複素環基(好ましくは脂肪族複素環基)であり、より好ましくはアリール基である。
Yが窒素原子と共に形成する複素環としては、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、チオモルホリン環、チオモルホリン-1,1-ジオン環、ピロリジン環及びイミダゾリジン環等が挙げられる。
また、上記複素環はさらに置換基を有してもよく、置換基としてはアルキル基及びアルコキシ基等が挙げられる。
以下に一般式[III]で表される化合物の具体例を示す。ただし、本発明は、これらに限定されるものではない。
Figure 0007178509000078
以上の具体例の他に、上記一般式[III]で表される化合物の具体例としては、特開平2-167543号公報明細書の第8頁~11頁に記載された例示化合物B-1~B-65、及び、特開昭63-95439号公報明細書の第4~7頁に記載された例示化合物(1)~(120)等を挙げることができる。
上記波長選択吸収層中の褪色防止剤の含有量は、波長選択吸収層の全質量100質量%中、好ましくは1~15質量%であり、より好ましくは5~15質量%であり、さらに好ましくは5~12.5質量%であり、特に好ましくは8~12.5質量%であり、なかでも、好ましくは10~12.5質量%である。
褪色防止剤を上記好ましい範囲内で含有することにより、本発明の積層体は、波長選択吸収層の変色等の副作用を起こすことなく、染料(色素)の耐光性を向上させることができる。
<その他の成分>
上記波長選択吸収層は、前述の染料とマトリックス樹脂と染料の褪色防止剤に加え、マット剤及びレベリング(界面活性剤)剤等を含んでもよい。
(マット剤)
上記波長選択吸収層の表面には、滑り性付与及びブロッキング防止のために微粒子を添加することが好ましい。この微粒子としては、疎水基で表面が被覆され、二次粒子の態様をとっているシリカ(二酸化ケイ素,SiO)が好ましく用いられる。なお、微粒子には、シリカとともに、あるいはシリカに代えて、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及び燐酸カルシウムなどの微粒子を用いてもよい。市販の微粒子としては、R972及びNX90S(いずれも日本アエロジル株式会社製、商品名)などが挙げられる。
この微粒子はいわゆるマット剤として機能し、微粒子添加により上記波長選択吸収層表面に微小な凹凸が形成され、この凹凸により、上記波長選択吸収層同士又は上記波長選択吸収層とその他のフィルム等が重なっても互いに貼り付かず、滑り性が確保される。
上記波長選択吸収層が微粒子としてのマット剤を含有する場合、フィルタ表面から微粒子が突出した突起による微小凹凸は、高さ30nm以上の突起が10個/mm以上存在すると、特に滑り性、ブロッキング性の改善効果が大きい。
マット剤微粒子は特に表層に付与することが、ブロッキング性及び滑り性改善の点から好ましい。表層に微粒子を付与する方法としては、重層流延及び塗布などによる手段があげられる。
上記波長選択吸収層中のマット剤の含有量は目的に応じて適宜に調整される。
ただし、本発明の積層体においては、波長選択吸収層の表面のうちガスバリア層と接する面には、本発明の効果を損なわない範囲で上記マット剤微粒子を付与することが好ましい。
(レベリング剤)
上記波長選択吸収層には、レベリング剤(界面活性剤)を適宜混合することができる。レベリング剤としては、常用の化合物を使用することができ、特に含フッ素界面活性剤が好ましい。具体的には、例えば、特開2001-330725号公報明細書中の段落番号[0028]~[0056]記載の化合物が挙げられる。
上記波長選択吸収層中のレベリング剤の含有量は目的に応じて適宜に調整される。
上記波長選択吸収層は、上記各成分に加え、低分子可塑剤、オリゴマー系可塑剤、レタデーション調整剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離促進剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、フィラー及び相溶化剤等を含有してもよい。
<波長選択吸収層の製造方法>
上記波長選択吸収層は、常法により、溶液製膜法、溶融押出し法、又は、基材フィルム(剥離フィルム)上に任意の方法でコーティング層を形成する方法(コーティング法)で作製することができ、適宜延伸を組み合わせることもできる。上記波長選択吸収層は、好ましくはコーティング法により作製される。
(溶液製膜法)
溶液製膜法は、波長選択吸収層の材料を有機溶媒又は水に溶解した溶液を調製し、濃縮工程及びろ過工程などを適宜実施した後に、支持体上に均一に流延する。次に、生乾きの膜を支持体から剥離し、適宜ウェブの両端をクリップなどで把持して乾燥ゾーンで溶媒を乾燥させる。また、延伸は、フィルムの乾燥中及び乾燥が終了した後に別途実施することもできる。
(溶融押出し法)
溶融押出し法は、波長選択吸収層の材料を熱で溶融し、ろ過工程などを適宜実施した後に、支持体上に均一流延する。次に、冷却等により固まったフィルムを剥離し、適宜延伸することができる。上記波長選択吸収層の主材料が熱可塑性ポリマー樹脂である場合、剥離フィルムの主材料も熱可塑性ポリマー樹脂を選定し、溶融状態にしたポリマー樹脂を公知の共押出し法で製膜することができる。この際、波長選択吸収層と剥離フィルムのポリマーの種類及び各層に混合する添加剤を調整したり、共押出ししたフィルムの延伸温度、延伸速度、延伸倍率等を調整したりすることによって、波長選択吸収層と剥離フィルムとの接着力を制御することができる。
共押出し方法としては、例えば、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等が挙げられる。これらの中でも、共押出Tダイ法が好ましい。共押出Tダイ法にはフィードブロック方式及びマルチマニホールド方式がある。その中でも、厚みのばらつきを少なくできる点で、マルチマニホールド方式が特に好ましい。
共押出Tダイ法を採用する場合、Tダイを有する押出機における樹脂の溶融温度は、各樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも、80℃高い温度以上にすることが好ましく、100℃高い温度以上にすることがより好ましく、また、180℃高い温度以下にすることが好ましく、150℃高い温度以下にすることがより好ましい。押出機での樹脂の溶融温度を上記好ましい範囲の下限値以上とすることにより樹脂の流動性を十分に高めることができ、上記好ましい範囲の上限値以下とすることにより樹脂の劣化を防止することができる。
通常、ダイスの開口部から押出されたシート状の溶融樹脂は、冷却ドラムに密着させるようにする。溶融樹脂を冷却ドラムに密着させる方法は、特に制限されず、例えば、エアナイフ方式、バキュームボックス方式、静電密着方式などが挙げられる。
冷却ドラムの数は特に制限されないが、通常は2本以上である。また、冷却ドラムの配置方法としては、例えば、直線型、Z型、L型などが挙げられるが特に制限されない。またダイスの開口部から押出された溶融樹脂の冷却ドラムへの通し方も特に制限されない。
冷却ドラムの温度により、押出されたシート状の樹脂の冷却ドラムへの密着具合が変化する。冷却ドラムの温度を上げると密着はよくなるが、温度を上げすぎるとシート状の樹脂が冷却ドラムから剥がれずに、ドラムに巻きつく可能性がある。そのため、冷却ドラム温度は、ダイスから押し出す樹脂のうちドラムに接触する層の樹脂のガラス転移温度をTgとすると、好ましくは(Tg+30)℃以下、さらに好ましくは(Tg-5)℃~(Tg-45)℃の範囲にする。冷却ドラム温度を上記好ましい範囲とすることにより滑り及びキズなどの不具合を防止することができる。
ここで、延伸前フィルム中の残留溶剤の含有量は少なくすることが好ましい。そのための手段としては、例えば、(1)原料となる樹脂の残留溶剤を少なくする;(2)延伸前フィルムを成形する前に樹脂を予備乾燥する;などの手段が挙げられる。予備乾燥は、例えば樹脂をペレットなどの形態にして、熱風乾燥機などで行われる。乾燥温度は100℃以上が好ましく、乾燥時間は2時間以上が好ましい。予備乾燥を行うことにより、延伸前フィルム中の残留溶剤を低減させる事ができ、さらに押し出されたシート状の樹脂の発泡を防ぐことができる。
(コーティング法)
コーティング法では、剥離フィルムに上記波長選択吸収層の材料の溶液を塗布し、コーティング層を形成する。剥離フィルム表面には、コーティング層との接着性を制御するため、適宜、離型剤等を予め塗布しておいてもよい。コーティング層は、後工程で接着層を介して他の部材と積層させた後、剥離フィルムを剥離して用いることができる。接着層を構成する接着剤については、任意の接着剤を適宜使用することができる。なお、剥離フィルム上に、上記波長選択吸収層の材料の溶液をと塗布した状態又はコーティング層が積層された状態で、適宜剥離フィルムごと延伸することができる。
波長選択吸収層材料の溶液に用いられる溶媒は、波長選択吸収層材料を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で適宜選択することができる。
-染料(色素)及び褪色防止剤の添加-
波長選択吸収層材料に上記染料及び上記褪色防止剤を添加するタイミングは、製膜される時点で添加されていれば特に限定されない。例えば、上記マトリックス樹脂の合成時点で添加してもよいし、波長選択吸収層材料のコーティング液調製時に波長選択吸収層材料と混合してもよい。
-剥離フィルム-
波長選択吸収層を、コーティング法等で形成させるために用いられる剥離フィルムは、膜厚が5~100μmであることが好ましく、10~75μmがより好ましく、15~55μmがさらに好ましい。膜厚が上記好ましい下限値以上であると、十分な機械強度を確保しやすく、カール、シワ、座屈等の故障が生じにくい。また、膜厚が上記好ましい上限値以下であると、上記波長選択吸収層と剥離フィルムとの複層フィルムを、例えば長尺のロール形態で保管する場合に、複層フィルムにかかる面圧を適正な範囲に調整しやすく、接着の故障が生じにくい。
剥離フィルムの表面エネルギーは、特に限定されることはないが、波長選択吸収層の材料及びコーティング溶液の表面エネルギーと、剥離フィルムの波長選択吸収層を形成させる側の表面の表面エネルギーとの関係性を調整することによって、波長選択吸収層と剥離フィルムとの間の接着力を調整することができる。表面エネルギー差を小さくすれば、接着力が上昇する傾向があり、表面エネルギー差を大きくすれば、接着力が低下する傾向があり、適宜設定することができる。
水及びヨウ化メチレンの接触角値からOwensの方法を用いて、剥離フィルムの表面エネルギーを計算することが出来る。接触角の測定には、例えば、DM901(協和界面科学(株)製、接触角計)を用いることができる。
剥離フィルムの波長選択吸収層を形成する側の表面エネルギーは、41.0~48.0mN/mであることが好ましく、42.0~48.0mN/mであることがより好ましい。表面エネルギーが上記好ましい下限値以上であると、波長選択吸収層の厚みの均一性を高められ、上記好ましい上限値以下であると、波長選択吸収層を剥離フィルムとの剥離力を適切な範囲に制御しやすい。
また、剥離フィルムの表面凹凸は、特に限定されることはないが、波長選択吸収層表面の表面エネルギー、硬度、表面凹凸と、剥離フィルムの波長選択吸収層を形成させる側とは反対側の表面の表面エネルギー、硬度との関係性に応じて、例えば上記波長選択吸収層と剥離フィルムとの複層フィルムを長尺のロール形態で保管する場合の接着故障を防ぐ目的で調整することができる。表面凹凸を大きくすれば、接着故障を抑制する傾向にあり、表面凹凸を小さくすれば、波長選択吸収層の表面凹凸が減少し、波長選択吸収層のヘイズが小さくなる傾向にあり、適宜設定することができる。
このような剥離フィルムとしては、任意の素材及びフィルムを適宜使用することができる。具体的な材料として、ポリエステル系ポリマー(ポリエチレンテレフタレート系フィルムを含む)、オレフィン系ポリマー、シクロオレフィン系ポリマー、(メタ)アクリル系ポリマー、セルロース系ポリマー、ポリアミド系ポリマー等を挙げることができる。また、剥離フィルムの表面性を調整する目的で、適宜表面処理を行うことが出来る。表面エネルギーを低下させるには、例えば、コロナ処理、常温プラズマ処理、鹸化処理等を行うことができ、表面エネルギーを上昇させるには、シリコーン処理、フッ素処理、オレフィン処理等を行うことができる。
-波長選択吸収層と剥離フィルムとの剥離力-
上記波長選択吸収層を、コーティング法で形成させる場合、波長選択吸収層と剥離フィルムとの間の剥離力は、波長選択吸収層の材料、剥離フィルムの材料、波長選択吸収層の内部歪み等を調整して制御することができる。この剥離力は、例えば、剥離フィルムを90°方向に剥がす試験で測定することができ、300mm/分の速度で測定したときの剥離力が、0.001~5N/25mmが好ましく、0.01~3N/25mmがより好ましく、0.05~1N/25mmがさらに好ましい。上記好ましい下限値以上であれば、剥離フィルムの剥離工程以外での剥離を防ぐことができ、上記好ましい上限値以下であれば、剥離工程における剥離不良(例えば、ジッピング及び波長選択吸収層の割れ)を防ぐことができる。
<波長選択吸収層の膜厚>
上記波長選択吸収層の膜厚は、特に制限されないが、1~18μmが好ましく、1~12μmがより好ましく、2~8μmがさらに好ましい。上記好ましい上限値以下であれば、薄いフィルムに高濃度で染料を添加することにより、染料(色素)が発する蛍光による偏光度の低下を抑えることができる。また、消光剤及び褪色防止剤の効果も発現しやすい。一方、上記好ましい下限値以上であると、面内の吸光度の均一度を維持しやすくなる。
本発明において膜厚が1~18μmであるとは、波長選択吸収層の厚さを、どの部位で図っても1~18μmの範囲内にあることを意味する。このことは、膜厚1~12μm、2~8μmについても同様である。膜厚は、アンリツ(株)社製電子マイクロメーターにより測定することができる。
<波長選択吸収層の吸光度>
上記波長選択吸収層は、波長450nmにおける吸光度は0.05以上3.0以下が好ましく、0.1以上2.0以下がより好ましく、0.1以上1.0以下がさらに好ましい。
また、波長590nmにおける吸光度は0.1以上3.0以下が好ましく、0.2以上2.0以下がより好ましく、0.3以上1.5以下がさらに好ましい。
吸光度を上記範囲に調節した上記波長選択吸収層をOLED表示装置に組み込むことにより、OLED表示装置の画像本来の色味を優れたレベルで保持することができ、より高輝度で、外光反射もより抑制された表示性能が得られる。
上記波長選択吸収層の吸光度は、染料の種類及び添加量により調整することができる。
<波長選択吸収層の含水率>
上記波長選択吸収層の含水率は、耐久性の観点から、膜厚のいかんに関わらず、25℃、相対湿度80%の条件において、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
本明細書において、波長選択吸収層の含水率は、必要に応じて膜厚を厚くした試料を用いて測定することができる。試料を24時間以上調湿した後に、水分測定器、試料乾燥装置“CA-03”及び“VA-05”(共に三菱化学(株)製)にてカールフィッシャー法で測定し、水分量(g)を試料質量(g、水分量を含む)で除して算出できる。
<波長選択吸収層のガラス転移温度(Tg)>
上記波長選択吸収層のガラス転移温度は、50℃以上140℃以下であることが好ましい。より好ましくは、60℃以上130℃以下であり、70℃以上120℃以下がさらに好ましい。ガラス転移温度が上記好ましい下限値以上であると、高温使用した場合の偏光子の劣化を抑制することができ、ガラス転移温度が上記好ましい上限値以下であると、塗布液に使用した有機溶剤の波長選択吸収層中への残存のしやすさを抑制することができる。
上記波長選択吸収層のガラス転移温度は以下の方法により測定できる。
示差走査熱量測定装置(X-DSC7000(アイティー計測制御(株)製))にて、波長選択吸収層20mgを測定パンに入れ、これを窒素気流中で速度10℃/分で30℃から120℃まで昇温して15分間保持した後、30℃まで-20℃/分で冷却する。この後、再度30℃から250℃まで速度10℃/分で昇温して、ベースラインが低温側から偏倚し始める温度をガラス転移温度Tgとした。
上記波長選択吸収層のガラス転移温度は、ガラス転移温度の異なる2種類以上のポリマーを混合することにより、あるいは褪色防止剤等の低分子化合物の添加量を変化させることにより調節することができる。
<波長選択吸収層の処理>
波長選択吸収層には任意のグロー放電処理、コロナ放電処理、又は、アルカリ鹸化処理などにより親水化処理を施すことが好ましく、コロナ放電処理が最も好ましく用いられる。特開平6-94915号公報、又は同6-118232号公報などに開示されている方法などを適用することも好ましい。
なお、得られた膜には、必要に応じて、熱処理工程、過熱水蒸気接触工程、有機溶媒接触工程などを実施することができる。また、適宜に表面処理を実施してもよい。
また、粘着剤層として、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコーン系樹脂等をベースポリマーとし、そこに、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物のような架橋剤を加えた粘着剤組成物からなる層を適用することもできる。
好ましくは、後述のOLED表示装置における粘着剤層の記載を適用することができる。
<<ガスバリア層>>
本発明の積層体は、上記波長選択吸収層の少なくとも片面にガスバリア層を有し、このガスバリア層は、結晶性樹脂を含有し、層の厚みが0.1μm~10μmであって、層の酸素透過度が60cc/m・day・atm以下である。
上記ガスバリア層において、上記「結晶性樹脂」は、温度を上げた際に結晶から液体に相転移する融点が存在する樹脂であって、上記ガスバリア層に、酸素ガスに係るガスバリア性を付与できるものである。
本発明の積層体は、ガスバリア層を、本発明の積層体を用いた場合に上記波長選択吸収層が空気と接することとなる面に少なくとも有することで、上記波長選択吸収層中の染料の吸収強度の低下を抑制することができる。上記波長選択吸収層の空気と接する界面にガスバリア層を設ける限り、ガスバリア層は、波長選択吸収層の片面にのみ設けられていてもよく、両面に設けられていてもよい。
(結晶性樹脂)
上記ガスバリア層に含まれる結晶性樹脂としては、ガスバリア性を有する結晶性樹脂であって、ガスバリア層に所望の酸素透過度を付与できる限り、特に制限することなく用いることができる。
上記結晶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール及びポリ塩化ビニリデンを挙げることができ、結晶部がガスの透過を効果的に抑制することができる点から、ポリビニルアルコールが好ましい。
上記ポリビニルアルコールは、変性されていてもよく、変性されていなくてもよい。変性ポリビニルアルコールとしては、アセトアセチル基、カルボキシル等の基を導入した変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
上記ポリビニルアルコールのけん化度は、酸素ガスバリア性をより高める観点から、80.0mol%以上が好ましく、90.0mol%以上がより好ましく、97.0mol%以上がさらに好ましく、98.0mol%以上が特に好ましい。上限値に特に制限はないが、99.99mol%以下が実際的である。上記ポリビニルアルコールのけん化度は、JIS K 6726 1994に記載の方法に基づき算出される値である。
上記ガスバリア層は、本発明の効果を損なわない範囲で、通常ガスバリア層に含有される任意の成分を含んでいてもよい。例えば、上記結晶性樹脂に加え、非晶性樹脂材料、ゾルゲル材料などの有機-無機ハイブリッド系材料、SiO、SiO、SiON、SiN及びAlなどの無機系材料を含有していてもよい。
また、上記ガスバリア層は、本発明の効果を損なわない範囲で、製造工程に起因した水及び有機溶媒等の溶媒を含有していてもよい。
上記ガスバリア層中の結晶性樹脂の含有量は、例えば、ガスバリア層の全質量100質量%中、90質量%以上が好ましく、95質量%以上がより好ましい。上限値に特に制限はないが、100質量%とすることもできる。
上記ガスバリア層の酸素透過度は、60cc/m・day・atm以下であり、50cc/m・day・atm以下であることが好ましく、30cc/m・day・atm以下であることがより好ましく、10cc/m・day・atm以下であることがさらに好ましく、5cc/m・day・atm以下であることが特に好ましく、1cc/m・day・atm以下であることが最も好ましい。実際的な下限値は、0.001cc/m・day・atm以上であり、例えば、0.05cc/m・day・atmを越えることが好ましい。酸素透過度が上記好ましい範囲内にあることにより、耐光性をより向上させることができる。
なお、ガスバリア層の酸素透過度は、JIS K 7126-2 2006に基づくガス透過度試験方法に基づいて測定した値である。測定装置としては、例えば、MOCON社製の酸素透過率測定器、OX-TRAN2/21(商品名)を用いることができる。なお、測定条件は、温度25℃、相対湿度50%とする。
酸素透過度は、SI単位として、(fm)/(s・Pa)を用いることができる。(1fm)/(s・Pa)=8.752(cc)/(m・day・atm)で換算することが可能である。fmはフェムトメートルと読み、1fm=10-15mを表わす。
ガスバリア層の厚みは、耐光性をより向上させる観点から、0.5μm~5μmが好ましく、1.0μm~4.0μmがより好ましい。
上記ガスバリア層の厚みは、後述の実施例に記載の方法により測定される。
上記ガスバリア層に含まれる結晶性樹脂の結晶化度は、25%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、45%以上であることがさらに好ましい。上限値に特に制限はないが、55%以下であることが実際的であり、50%以下であることが好ましい。
上記ガスバリア層に含まれる結晶性樹脂の結晶化度は、J. Appl. Pol. Sci., 81, 762(2001)に記載の方法に基づき、以下の方法により測定、算出される値である。
DSC(示唆走査熱量計)を用い、ガスバリア層から剥離した試料について、20℃から260℃の範囲にかけて10℃/minで昇温し、融解熱1を測定する。また、完全結晶の溶解熱2として、J. Appl. Pol. Sci., 81, 762(2001)に記載の値を用いる。得られた溶解熱1及び溶解熱2を用い、以下の式により結晶化度を算出する。
[結晶化度(%)]=([融解熱1]/[融解熱2])×100
具体的には、上記結晶化度は、後述の実施例に記載の方法により測定、算出される値である。なお、融解熱1と融解熱2とは同じ単位であればよく、通常、Jg-1である。
<ガスバリア層の製造方法>
ガスバリア層を形成する方法は特に制限されないが、常法により、スピン塗布及びスリット塗布等のキャスト法に作成する方法が挙げられる。また、市販の樹脂製ガスバリアフィルム又はあらかじめ作製しておいた樹脂性ガスバリアフィルムを、上記波長選択吸収層に貼り合せる方法などを挙げることができる。
<光学フィルム>
本発明の積層体は、上記波長選択吸収層及び上記ガスバリア層以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の光学フィルムを適宜有していてもよい。
上記任意の光学フィルムについては、光学特性及び材料のいずれについても特に制限はないが、セルロースエステル樹脂、アクリル樹脂、環状オレフィン樹脂及びポリエチレンテレフタレート樹脂の少なくともいずれかを含む(あるいは主成分とする)フィルムを好ましく用いることができる。なお、光学的に等方性のフィルムを用いても、光学的に異方性の位相差フィルムを用いてもよい。
上記任意の光学フィルムについて、セルロースエステル樹脂を含むものとしては、例えばフジタックTD80UL、同TG60UL、同TJ40UL(いずれも富士フイルム社製)などを利用することができる。
上記任意の光学フィルムについて、アクリル樹脂を含むものとしては、特許第4570042号公報に記載のスチレン系樹脂を含有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特許第5041532号公報に記載のグルタルイミド環構造を主鎖に有する(メタ)アクリル樹脂を含む光学フィルム、特開2009-122664号公報に記載のラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルム、特開2009-139754号公報に記載のグルタル酸無水物単位を有する(メタ)アクリル系樹脂を含む光学フィルムを利用することができる。
また、上記任意の光学フィルムについて、環状オレフィン樹脂を含むものとしては、特開2009-237376号公報の段落[0029]以降に記載の環状オレフィン系樹脂フィルム、特許第4881827号公報、特開2008-063536号公報に記載のRthを低減する添加剤を含有する環状オレフィン樹脂フィルムを利用することができる。
また、上記任意の光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有していてもよい。本発明の積層体において、紫外線吸収剤を含有する層又は光学フィルムを、以下、紫外線吸収層とも称す。紫外線吸収剤としては、特に制限することなく常用の化合物を使用でき、例えばヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイトなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2-メチレンビス(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール)、(2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルアニリノ)-1,3,5-トリアジン、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、(2-(2’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-アミルフェニル)-5-クロルベンゾトリアゾール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2-[5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
上記紫外線吸収層中の紫外線吸収剤の含有量は目的に応じて適宜に調整される。
<<積層体の製造方法>>
本発明の積層体は、上述の波長選択吸収層の製造方法及びガスバリア層の製造方法を用いて、作製することができる。
例えば、上述の製造方法により作製した波長選択吸収層上に、直接、上述のガスバリア層を作製する方法が挙げられる。この場合、波長選択吸収層のうち、ガスバリア層を設ける面には、コロナ処理を施しておくことも好ましい。
また、上記任意の光学フィルムを設ける場合には、粘着剤層を介して貼り合わせることも好ましい。例えば、波長選択吸収層上にガスバリア層を設けた後、さらに粘着剤層又は接着剤層を介して紫外線吸収剤を含有する光学フィルムを貼り合わせることも好ましい。
[OLED表示装置]
本発明のOLED表示装置は、本発明の積層体を含む。
本発明のOLED表示装置としては、本発明の積層体を、上記ガスバリア層が少なくとも上記波長選択吸収層よりも外光側に位置するような構成で含む限り、その他の構成としては、通常用いられているOLED表示装置の構成を特に制限なく用いることができる。本発明のOLED表示装置の構成例としては、特に制限されないが、例えば、外光に対して反対側から順に、ガラス、TFT(薄膜トランジスタ)を含む層、OLED表示素子、バリアフィルム、カラーフィルター、ガラス、粘着剤層、本発明の積層体及び表面フィルムを含む表示装置が挙げられる。
上記OLED表示素子は、アノード電極、発光層及びカノード電極の順に積層した構成を有する。アノード電極及びカノード電極の間には、発光層の他に、ホール注入層、ホール輸送層、電子輸送層及び電子注入層等を含んでいる。この他、例えば、特開2014-132522号公報の記載も参照することができる。
また、上記カラーフィルターとしては、通常のカラーフィルターに加え、量子ドットを積層したカラーフィルターを使用することもできる。
上記ガラスに代えて、樹脂フィルムを採用することもできる。
本発明のOLED表示装置は、円偏光板に代わる反射防止手段として本発明の積層体を備えた構成とした場合にも、上記波長選択吸収層中に含有される染料の吸光度を優れたレレベルで維持することができる。
さらに、上記波長選択吸収層中に含有する染料を、前述の通り、4種の染料A~Dを組合わせて含有する形態とした場合には、染料の混合に伴う耐光性の低下を上回る、優れたレベルの耐光性を示すことができる。特に、4種の染料A~Dを上述の関係式(I)~(VI)を満たすように含有することにより、外光反射の抑制と輝度低下の抑制を充分なレベルで両立し、しかも、発光層(光源)から発せられた光により形成される画像本来の色味を優れたレベルで保持することができる。
つまり、通常、上記表面フィルムとして反射防止機能を有する円偏光板が使用されるところ、本発明の積層体を採用することにより、本発明のOLED表示装置は、円偏光板を用いることなく上記優れた効果を発揮することができる。なお、本発明のOLED表示装置の構成として、本発明の効果を損なわない範囲で、反射防止フィルムを併用することを妨げるものではない。
本発明のOLED表示装置に適用できるOLEDのカラー画像の形成方法は、特に制限されず、R(赤)G(緑)B(青)の三色塗り分け方式、色変換方式及びカラーフィルター方式のいずれの方式も使用することができ、三色塗り分け方式を好適に使用することができる。そのため、本発明のOLED表示装置の光源としても、上記画像形成方式に対応する各発光層を適用することができる。
<粘着剤層>
本発明のOLED表示装置において、本発明の積層体は、外光とは反対側に位置する面において、粘着剤層を介してガラス(基材)と貼り合わされていることが好ましい。
粘着剤層の形成に用いられる粘着剤組成物の組成は、特に限定されず、例えば、質量平均分子量(M)が500,000以上のベース樹脂を含む粘着剤組成物を使用してもよい。ベース樹脂の質量平均分子量が500,000未満のとき、凝集力低下によって高温及び多湿の少なくとも一方の条件下で気泡又は剥離現象が生ずる等、粘着剤の耐久信頼性が低下する場合がある。ベース樹脂の質量平均分子量の上限は特に限定されないが、質量平均分子量が過度に増加すれば、粘度上昇によりコーティング性が低下する場合があるため、2,000,000以下が好ましい。
ベース樹脂の具体的な種類は特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂及びEVA(エチレン-酢酸ビニル)系樹脂が挙げられる。液晶表示装置のような光学装置に適用される場合、透明性、酸化抵抗性及び黄変に対する抵抗性に優れている側面から、アクリル系樹脂が主に用いられるが、これに制限されるものではない。
アクリル系樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル単量体80質量部~99.8質量部;及び、他の架橋性単量体0.02質量部~20質量部(好ましくは、0.2質量部~20質量部)を含む単量体混合物の重合体が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単量体の種類は特に限定されず、例えば、アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。この場合、単量体に含まれるアルキル基が過度に長鎖になれば、粘着剤の凝集力が低下し、ガラス転移温度(T)又は粘着性の調節が難しくなる場合があるため、炭素数1~14のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル単量体を用いることが好ましい。このような単量体の例は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート及びテトラデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。本発明では、上記単量体を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単量体混合物100質量部中、80質量部~99.8質量部含まれることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル単量体の含有量が80質量部未満のとき、初期接着力が低下する場合があり、99.8質量部を超えると、凝集力低下によって耐久性が低下する場合がある。
単量体混合物に含まれる他の架橋性単量体は、後述する多官能性架橋剤と反応して粘着剤に凝集力を付与し、粘着力及び耐久信頼性などを調節する役割をする架橋性官能基を重合体に付与することができる。このような架橋性単量体としては、ヒドロキシ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体及び窒素含有単量体が挙げられる。ヒドロキシ基含有単量体としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレート又は2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸、マレイン酸及びマレイン酸無水物が挙げられる。窒素含有単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン又はN-ビニルカプロラクタムが挙げられる。本発明では、これらの架橋性単量体を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
他の架橋性単量体は、単量体混合物100質量部中、0.02質量部~20質量部含まれ得る。含有量が0.02質量部未満のとき、粘着剤の耐久信頼性が低下する場合があり、20質量部を超えると、粘着性及び剥離性の少なくとも一方が低下する場合がある。
単量体混合物は、下記一般式(10)で表される単量体が更に含まれていてもよい。このような単量体は粘着剤のガラス転移温度の調節及びその他機能性付与を目的として付加できる。
Figure 0007178509000079
式中、R~Rはそれぞれ独立して水素原子又はアルキルを表し、Rはシアノ;アルキルで置換された又は無置換のフェニル;アセチルオキシ;又はCOR(ここで、Rはアルキル又はアルコキシアルキルで置換された又は無置換のアミノ又はグリシジルオキシを表す。)を表す。
上記式のR~Rの定義で、アルキル又はアルコキシは炭素数1~12、好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~12のアルキル又はアルコキシを意味し、具体的にはメチル、エチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ又はブトキシであってもよい。
一般式(10)で表される単量体としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド又はN-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどの窒素含有単量体;スチレン又はメチルスチレンなどのスチレン系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;又はビニルアセテートなどのカルボン酸ビニルエステルなどの1種又は2種以上が挙げられるが、これに制限されるものではない。一般式(10)で表される単量体は、(メタ)アクリル酸エステル単量体と他の架橋性単量体の合計100質量部に対し、20質量部以下の量で含まれ得る。含有量が20質量部を超えると、粘着剤の柔軟性及び剥離性の少なくとも一方が低下する場合がある。
単量体混合物を用いて重合体を製造する方法は特に限定されず、例えば、溶液重合、光重合、バルク重合、サスペンション重合又はエマルジョン重合などの一般的な重合法を介して製造することができる。本発明では、特に溶液重合法を用いることが好ましく、溶液重合はそれぞれの単量体が均一に混合された状態で開始剤を混合し、50℃~140℃の重合温度で遂行することが好ましい。この時、用いられる開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビスシクロヘキサンカルボニトリルなどのアゾ系重合開始剤;並びに過酸化ベンゾイル及び過酸化アセチルなどの過酸化物などの通常の開始剤が挙げられる。
上記粘着剤組成物は、ベース樹脂100質量部に対して0.1質量部~10質量部の架橋剤を更に含んでいてもよい。このような架橋剤はベース樹脂と架橋反応を通じて粘着剤に凝集力を付与することができる。架橋剤の含有量が0.1質量部未満のとき、粘着剤の凝集力が落ちる場合がある。また、10質量部を超えると、層間剥離及び浮き現象が生ずる等、耐久信頼性が低下する場合がある。
架橋剤の種類は特に限定されず、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物及び金属キレート系化合物等の任意の架橋剤を使用できる。
イソシアネート系化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート及びナフタレンジイソシアネート、並びに、これらのいずれかの化合物とポリオール(例えば、トリメチルロールプロパン)との反応物が挙げられ;エポキシ系化合物としては、エチレングリコールジグリシジルエーテル、トリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、N、N、N’、N’-テトラグリシジルエチレンジアミン及びグリセリンジグリシジルエーテルが挙げられ;アジリジン系化合物としては、N、N‘-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、N、N’-ジフェニルメタン-4,4‘-ビス(1-アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソプロタロイル(bisprothaloyl)-1-(2-メチルアジリジン)及びトリ-1-アジリジニルホスフィンオキシドが挙げられる。また、金属キレート系化合物としては、アルミニウム、鉄、亜鉛、スズ、チタン、アンチモン、マグネシウム及びバナジウムなどの少なくともいずれかの多価金属がアセチルアセトン又はアセト酢酸エチルなどに配位している化合物が挙げられる。
上記粘着剤組成物は、ベース樹脂100質量部に対して0.01質量部~10質量部のシラン系カップリング剤を更に含んでいてもよい。シラン系カップリング剤は粘着剤が高温又は多湿条件で長時間放置された時、接着信頼性向上に寄与することができ、特にガラス基材との接着時に接着安定性を改善し、耐熱性及び耐湿性を向上させることができる。シラン系カップリング剤としては、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン及びγ-アセトアセテートプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのシラン系カップリング剤は、単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シラン系カップリング剤は、ベース樹脂100質量部に対して0.01質量部~10質量部の量で含まれるのが好ましく、0.05質量部~1質量部の量で含まれるのが更に好ましい。含有量が0.01質量部未満のとき、粘着力増加効果が十分でない場合があり、10質量部を超えると、気泡又は剥離現象が生ずるなど耐久信頼性が低下する場合がある。
上記粘着剤組成物は、帯電防止剤をさらに含むことができ、帯電防止剤としては、アクリル樹脂など粘着剤組成物に含まれる他の成分との相溶性に優れ、粘着剤の透明性、作業性及び耐久性などに悪影響を及ぼさないで、且つ粘着剤に帯電防止性能を付与することができるものであれば、何れの化合物でも使用することができる。帯電防止剤としては、無機塩または有機塩などを挙げることができる。
無機塩は、陽イオン成分としてアルカリ金属陽イオン又はアルカリ土類金属陽イオンを含む塩である。陽イオンとしては、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、ルビジウムイオン(Rb)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+), マグネシウムイオン(Mg2+), カルシウムイオン(Ca2+)、ストロンチウムイオン(Sr2+) 及びバリウムイオン(Ba2+) などの1種又は2種以上を挙げることができ、好ましくは、リチウムイオン(Li)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、セシウムイオン(Cs)、ベリリウムイオン(Be2+)、マグネシウムイオン(Mg2+)、カルシウムイオン(Ca2+)及びバリウムイオン(Ba2+)が挙げられる。無機塩は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。イオン安全性及び粘着剤内での移動性の側面から、リチウムイオン(Li)が特に好ましい。
有機塩は、陽イオン成分として、オニウム(onium)陽イオンを含む塩である。用語「オニウム陽イオン」は、少なくとも一部の電荷が窒素(N)、リン(P)及び硫黄(S)のうちの一つ以上の原子に偏在されている陽(+)に荷電されたイオンを意味する。オニウム陽イオンは、環型又は非環型化合物であり、環型化合物の場合、非芳香族又は芳香族化合物であることができる。また、環型化合物の場合、窒素、リン又は硫黄原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素)を一つ以上含むことができる。また、環型又は非環型化合物は、任意に水素原子、ハロゲン原子、アルキル又はアリールなどの置換体により置換されている。また、非環型化合物の場合、一つ以上、好ましくは、4個以上の置換体を含むことができ、この時、置換体は、環型又は非環型置換体、芳香族又は非芳香族置換体である。
オニウム陽イオンは、窒素原子を含む陽イオンが好ましく、アンモニウムイオンがより好ましい。アンモニウムイオンは、4級アンモニウムイオン又は芳香族アンモニウムイオンである。
4級アンモニウムイオンは、具体的に、下記一般式11で表される陽イオンであることが好ましい。
Figure 0007178509000080
一般式11において、RからRは、各々独立的に水素原子、置換又は非置換されたアルキル、置換又は非置換されたアルコキシ、置換又は非置換されたアルケニル、置換又は非置換されたアルキニル、置換又は非置換されたアリール、又は置換又は非置換されたヘテロアリールを示す。
上記一般式11中のアルキル又はアルコキシとしては、炭素数1から12、好ましくは、1から8のアルキル又はアルコキシを示し、アルケニル又はアルキニルとしては、炭素数2から12、好ましくは、炭素数2から8のアルケニル又はアルキニルを示す。
一般式11において、アリールは、芳香族化合物から誘導された置換基として、フェニル、ビフェニル、ナフチル又はアントラセニル環状システムなどを示し、ヘテロアリールは、O、N及びSのうちの一つ以上のヘテロ原子を含む5から12環のヘテロ環又はアリール環を意味し、具体的には、プリル、ピロリル、ピロデジニル、チエニル、ピリジニル、ピペリジル、インドリル、キノリル、チアゾール、ベンゾチアゾール及びトリアゾールなどを示す。
一般式11において、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール又はヘテロアリールは、一つ以上の置換基により置換されていてもよく、この時、置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子又は炭素数1から12、好ましくは、1から8、より好ましくは、1から4のアルキル又はアルコキシなどを挙げることができる。
本発明では、一般式11で表される陽イオンとして、4級アンモニウム系陽イオンを使用することが好ましくて、特に、RからRが各々独立的に炭素数1から12、好ましくは、炭素数1から8の置換又は非置換されたアルキルである陽イオンを使用する。
一般式11で表示される4級アンモニウムイオンとしては、例えば、N-エチル-N,N-ジメチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムイオン、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムイオン、 N-エチル-N,N-ジメチル-N-プロピルアンモニウムイオン、N-メチル-N,N,N-トリオクチルアンモニウムイオン、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラヘキシルアンモニウムイオン及びN-メチル-N,N,N-トリブチルアンモニウムイオンなどを挙げることができる。
芳香族アンモニウムイオンとしては、例えば、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム及びトリアゾリウムのうちの一つ以上のイオンを挙げることができ、好ましくは、炭素数4から16のアルキル基に置換されたN-アルキルピリジニウムイオン、炭素数2から10のアルキルグル基に置換された1,3-アルキルメチルイミダゾリウムイオン、及び炭素数2から10のアルキル基に置換された1,2-ジメチル-3-アルキルイミダゾリウムイオンである。これらの芳香族アンモニウムイオンは、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、芳香族アンモニウムイオンは、下記一般式12で表示される化合物である。
Figure 0007178509000081
一般式12において、R10からR15は、各々独立的に水素原子、置換又は非置換されたアルキル、置換又は非置換されたアルコキシ、置換又は非置換されたアルケニル、置換又は非置換されたアルキニル、置換又は非置換されたアリール、又は置換又は非置換されたヘテロアリールを示す。
一般式12において、アルキル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アリール及びヘテロアリール、及びその置換体に対する定義は、上記一般式11と同一である。
一般式12の化合物としては、特に、R11からR15が各々独立的に水素原子又はアルキルであり、R10がアルキルであることが好ましい。
上記帯電防止剤において上記のような陽イオンを含む無機塩又は有機塩に含まれる陰イオンの例では、フルオライド(F)、クロライド(Cl)、ブロマイド(Br)、ヨーダイド(I)、ペルクロラート(ClO )、ヒドロキシド(OH)、カーボネート(CO 2-)、ニトレート(NO ) スルホネート(SO )、メチルベンゼンスルホネート(CHC6H4)SO )、p-トルエンスルホネート(CHSO )、カルボキシベンゼンスルホネート(COOH(C)SO )、トリフルオロメタンスルホネート(CFSO )、ベンゾエート(CCOO)、アセテート(CHCOO)、トリフルオロアセテート(CFCOO)、テトラフルオロボレート(BF )、テトラベンジルボレート(B(C )、ヘキサフルオロホスフェート(PF )、トリスペンタフルオロエチルトリフルオロホスフェート(P(C )、ビストリフルオロメタンスルホンイミド(N(SOCF )、ビスペンタフルオロエタンスルホンイミド(N(SOC )、ビスペンタフルオロエタンカルボニルイミド(N(COC )、ビスぺルフルオロブタンスルホンイミド(N(SO )、ビスぺルフルオロブタンカルボニルイミド(N(COC )、トリストリフルオロメタンスルホニルメチド(C(SOCF )及びトリストリフルオロメタンカルボニルメチド(C(SOCF )が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。陰イオンのうち、電子求引(electron withdrawing)の役目を行うことができ、疎水性が良好なフッ素によって置換されイオン安定性が高いイミド系陰イオンを使用することが好ましい。
一般式11で表される4級アンモニウムイオンを有する帯電防止剤は上記波長選択吸収層に含有される染料の耐久性を高める点から特に好ましい。
上記粘着剤組成物は、帯電防止剤を、ベース樹脂100質量部に対して、0.01質量部から5質量部、好ましくは、0.01質量部から2質量部、より好ましくは、0.1質量部から2質量部含む。含有量が0.01質量部未満の場合、目的する帯電防止効果が得られない場合があり、5質量部を超過すれば、他成分との相溶性が低下されて、粘着剤の耐久信頼性又は透明性が悪くなる場合がある。
上記粘着剤組成物は、帯電防止剤、具体的には、帯電防止剤に含まれる陽イオンと配位結合を形成することができる化合物(以下、「配位結合性化合物」と称する)をさらに含むことができる。配位結合性化合物を適切に含むことにより、相対的に少量の帯電防止剤を使用する場合にも、粘着剤層内部の陰イオン濃度を増加させて効果的に帯電防止性能を付与することができる。
使用できる配位結合性化合物の種類は、分子内に帯電防止剤と配位結合可能な官能基を有するものであれば、特別に限定されず、例えば、アルキレンオキシド系化合物が挙げられる。
アルキレンオキシド系化合物としては、特別に限定されないが、基本単位の炭素数が2以上、好ましくは、3から12、より好ましくは、3から8であるアルキレンオキシド単位を含むアルキレンオキシド系化合物を使用することが好ましい。
アルキレンオキシド系化合物は、分子量が5,000以下であることが好ましい。本発明で使用する用語「分子量」は、化合物の分子量又は質量平均分子量を意味する。本発明において、アルキレンオキシド系化合物の分子量が5,000を超過すれば、粘度が過度に上昇してコーティング性が悪くなるか、金属との錯体形成能が低下する場合がある。一方、アルキレンオキシド化合物の分子量の下限は特に限定されるものではないが、500以上が好ましく、4,000以上がより好ましい。
アルキレンオキシド系化合物としては、上述の特性を示す限り、特別に限定されるものではなく、例えば、下記一般式13で表される化合物を使用することができる。
Figure 0007178509000082
一般式13中、Aは、炭素数2以上のアルキレンを示し、nは、1から120を示し、R16及びR17は、各々独立的に水素原子、ヒドロキシ、アルキル又はC(=O)R18を示し、上記R18は、水素原子又はアルキル基を示す。
一般式13において、アルキレンは、炭素数3から12、好ましくは、3から8のアルキレンを示し、具体的には、エチレン、プロピレン、ブチレン又はペンチレンを示す。
一般式13において、アルキルは、炭素数1から12、好ましくは、1から8、より好ましくは、1から4のアルキルを示し、nは、好ましくは、1から80、より好ましくは、1から40を示す。
一般式13で表される化合物としては、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド又はポリペンチレンオキシドなど)、ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド又はポリペンチレンオキシドなど)の脂肪酸系アルキルエステル又はポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド又はポリペンチレンオキシドなど)のカルボン酸エステルなどを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明では、上述のアルキレンオキシド系化合物の以外にも、韓国公開特許第2006-0018495号に開示された、一つ以上のエーテル結合を有するエステル化合物、韓国公開特許第2006-0128659に開示されたオキサラート基含有化合物、ジアミン基含有化合物、多価カルボキシル基含有化合物又はケトン基含有化合物などの多様な配位結合性化合物を必要によって適切に選択して使用することができる。
配位結合性化合物は、ベース樹脂100質量部に対して、3質量部以下の割合で粘着剤組成物に含まれるのが好ましく、より好ましくは0.1質量部から3質量部、さらに好ましくは、0.5質量部から2質量部である。含有量が3質量部を超過すると、剥離性などの粘着剤物性が低下する場合がある。
上記粘着剤組成物は、粘着性能の調節の観点から、ベース樹脂100質量部に対して、1質量部~100質量部の粘着性付与樹脂を更に含んでいてもよい。粘着性付与樹脂の含有量が1質量部未満の場合、添加効果が十分でない場合があり、100質量部を超えると、相溶性及び凝集力向上効果の少なくとも一方が低下する場合がある。このような粘着性付与樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、(水素化)ヒドロカーボン系樹脂、(水素化)ロジン樹脂、(水素化)ロジンエステル樹脂、(水素化)テルペン樹脂、(水素化)テルペンフェノール樹脂、重合ロジン樹脂又は重合ロジンエステル樹脂などが挙げられる。これらの粘着性付与樹脂は、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記粘着剤組成物は発明の効果に影響を及ぼさない範囲で、熱重合開始剤及び光重合開始剤のような重合開始剤;エポキシ樹脂;硬化剤;紫外線安定剤;酸化防止剤;調色剤;補強剤;充填剤;消泡剤;界面活性剤;多官能性アクリレートなどの光重合性化合物;及び可塑剤等の添加剤を一つ以上含んでいてもよい。
<基材>
本発明のOLED表示装置において、本発明の積層体は、外光とは反対側に位置する面において、粘着剤層又は接着剤層を介してガラス(基材)と貼り合わされていることが好ましい。
上記粘着剤層を形成する方法は特に限定されず、例えば、上記波長選択吸収層にバーコーターなどの通常の手段で粘着剤組成物を塗布し、乾燥及び硬化させる方法;粘着剤組成物をまず、剥離性基材の表面に塗布、乾燥した後、剥離性基材を用いて粘着剤層を上記波長選択吸収層に転写し、熟成、硬化させる方法などが用いられる。
剥離性基材としては、特に制限されず、任意の剥離性基材を使用することができ、例えば上述の上記波長選択吸収層の製造方法における剥離フィルムが挙げられる。
その他、塗布、乾燥、熟成及び硬化の条件についても、常法に基づき、適宜調整することができる。
<積層体中の各層の屈折率>
本発明のOLED表示装置において、本発明の積層体は、外光の反射を低減させる点から、各層の隣接層に対する屈折率の差を一定の範囲内に調節することが好ましい。隣接層とは、層同士が直接接している関係にある層を意味する。上記隣接層間の屈折率差は0.15以下が好ましく、0.10以下がより好ましく、0.06以下がさらに好ましく、0.05以下が特に好ましく、なかでも0.04以下が好ましい。すなわち、本発明の積層体を構成する全ての層が、上記隣接層間の屈折率差を満たすことが好ましい。
上記隣接層間の屈折率差を満たす本発明の積層体としては、上記の波長選択吸収層及びガスバリア層に加えて、ガスバリア層に対して波長選択吸収層とは反対側に配置された紫外線吸収層を有することが好ましい。さらに、粘着剤層及び接着剤層の少なくとも1層とを含むことも好ましい。上記の粘着剤層又は接着剤層は、波長選択吸収層とガスバリア層との間以外であれば、いずれの層同士を積層する際に使用してもよい。例えば、上記の粘着剤層又は接着剤層をガスバリア層と紫外線吸収層との間に配することができる。
また、本発明の積層体をOLED表示装置に組み込んで用いる場合、本発明の積層体とOLED表示装置とが接する層間においても、上記隣接層間の屈折率差を満たすことが好ましい。本発明の積層体における外光とは反対側に位置する面(例えば、上記波長選択吸収層に対してガスバリア層とは反対側の面)を粘着剤層又は接着剤層を介してガラス(基材)と貼り合わせる場合、本発明の積層体における外光とは反対側に位置する面と、粘着剤層又は接着剤層と、ガラスとが、それぞれ上記隣接層間の屈折率差を満たすことが好ましい。
また、本発明の積層体の界面反射率の和は、0.30%以下が好ましく、0.20%以下がより好ましく、0.10%以下がさらに好ましく、0.06%以下が特に好ましく、なかでも0.03%以下が好ましく、0.02%以下が最も好ましい。下限値に特に制限はない。
上記界面反射率の和は、各層の屈折率と膜厚を用いて、吉田貞史著の「応用物理工学選書3 薄膜」第7版の5章173ページから174ページの方法に従って算出し、小数第3位を四捨五入した値とする。なお、各層の屈折率及び膜厚は、後述の実施例に記載の方法により測定するこができる。
例えば、視認者側から見て、表面反射防止層/支持体/接着(粘着)層/ガスバリア層/波長選択吸収層/接着(粘着)層/ガラス、の順に積層されてなる構成の場合、支持体からガラスまでの各層の屈折率をそれぞれ以下の範囲に調節することが好ましい。ただし、本発明の積層体においては、表面反射防止層を備えない場合においても、優れた反射防止効果を奏することができる。
支持体:1.45~1.55
接着(粘着)層:1.47~1.57
ガスバリア層:1.49~1.59
波長選択吸収層:1.51~1.61
接着(粘着)層:1.47~1.57
ガラス:1.45~1.55
各層の屈折率は、各層に使用される樹脂の構造(芳香族環基又はイオウ原子等の含有による高屈折率化、フッ素原子含有による低屈折率化)、酸化チタン又は酸化ジルコニウム等の高屈折率微粒子あるいはナノ粒子の添加、イオウ原子又は窒素原子等を含む高屈折率材料の添加、フッ素原子等を含む低屈折率材料の添加、などにより調節することができる。
各層の屈折率は分光顕微鏡法又はエリプソメトリー法により測定可能であり、例えば大塚電子社製の反射分光膜厚計FE3000(商品名)等により簡便に測定することができる。具体的には、後述の実施例に記載の方法により測定するこができる。
上記表面反射防止層としては、OLED表示装置において使用される、反射防止機能を備えた表面フィルムを、特に制限することなく用いることができ、例えば、円偏光板が挙げられる。
上記支持体としては、上述の光学フィルムを用いることができ、なかでも、紫外線吸収層が好ましい。
上記接着(粘着)層とは、接着剤により構成される接着剤層又は粘着剤により構成される粘着剤層を意味する。
(粘着剤層)
上記粘着剤層としては、上述のOLED表示装置における粘着剤層の記載を適用することができる。
粘着剤層に添加することにより粘着剤層を高屈折率化させる高屈折率材料としては、例えば、ベンゾジチオール化合物及びトリアジン化合物が挙げられる。
i)ベンゾジチオール化合物
ベンゾジチオール化合物としては、例えば、下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
Figure 0007178509000083
上記式中、Y41及びY42はそれぞれ独立して水素原子又は1価の置換基を示し、V41及びV42はそれぞれ独立して水素原子又は1価の置換基を示す。
一般式(A)で表される化合物については、特開2009-096972号公報の段落[0037]~[0062]に記載されており、本発明においても同様である。本発明においては、一般式(A)で表される化合物は、炭素数8以上の直鎖アルキル基を有さないことが好ましい。
一般式(A)において、Y41及びY42の一方がシアノ基であり、他方は置換若しくは無置換のアルキルカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、置換若しくは無置換のヘテロ環カルボニル基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、又は、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基であることが好ましく、Y41及びY42の一方がシアノ基であり、他方が置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、又は、置換もしくは無置換のヘテロ環カルボニル基であることがより好ましく、一方がシアノ基であり、他方が置換もしくは無置換のアルキルカルボニル基、又は、置換もしくは無置換のアリールカルボニル基であることが更に好ましい。
一般式(A)において、V41及びV42が1価の置換基を表す場合、1価の置換基としては、ハロゲン原子、メルカプト基、シアノ基、カルボキシル基、リン酸基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、アルキルアミノカルボニルオキシ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルホニルアミノ基、アミノ基、置換アミノ基、アンモニウム基、ヒドラジノ基、ウレイド基、イミド基、アルキルもしくはアリールチオ基、無置換もしくは置換アルケニルチオ基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルコキシカルボニルオキシ基、無置換アルキル基、置換アルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、又は、置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、シアノ基、アシル基、アシルオキシ基又はアルキルアミノカルボニルオキシ基がより好ましく、アシルオキシ基又はアルキルアミノカルボニルオキシ基が更に好ましい。Y41及びY42の炭素数は1~18が好ましく、1~10がより好ましい。
一般式(A)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、一般式(A)で表される化合物は下記具体例に限定されるものではない。
Figure 0007178509000084
Figure 0007178509000085
ii)トリアジン化合物
トリアジン化合物としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が好ましく挙げられる。
Figure 0007178509000086
上記式中、R12は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有するアリール基または複素環基を示す。
11は、各々独立に、単結合または-NR13-を示す。ここで、R13は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を示す。
12として採り得るアリール基は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。
12として採り得るアリール基が有する置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシ基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が挙げられる。
12として採り得る複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。複素環基における複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがより好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環の環構成ヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることがより好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2-ピリジルまたは4-ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。R12として採り得る複素環基が有する置換基の例としては、上記アリール基が有する置換基が挙げられる。
11が単結合である場合、R12として採り得る複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基における複素環としては、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがより好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基における複素環は、環構成原子として複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基における環構成原子としては、窒素原子以外のヘテロ原子(例えば、酸素原子、硫黄原子)を有していてもよい。
以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。下記構造式中において、*は遊離原子価を示す。
Figure 0007178509000087
13として採り得るアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有しない直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1~30であることが好ましく、1~20であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましく、1~8が特に好ましく、1~6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)およびアシルオキシ基(例えば、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が挙げられる。
13として採り得るアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基が好ましく、分岐を有しない直鎖状アルケニル基がより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2~30であることが好ましく、2~20であることがより好ましく、2~10であることがさらに好ましく、2~8であることが特に好ましく、2~6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例としては、前述のアルキル基が有していてもよい置換基が挙げられる。
13として採り得るアリール基および複素環基は、R12として採り得るアリール基および複素環基と同義である。アリール基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例としては、R12として採り得るアリール基および複素環基が有していてもよい置換基が挙げられる。
上記一般式(I)で表される化合物の分子量は、300~800が好ましい。
また、上記一般式(I)で表される化合物と共に紫外線吸収剤を併用してもよい。紫外線吸収剤の使用量は一般式(I)で表される化合物100質量部に対して10質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
上記式(I)で表されるトリアジン化合物の具体例としては、例えば、特開2008-239786の段落0084~段落0094に一般式(I)で表されるレタデーション発現剤の具体例として記載されている化合物を好ましく挙げることができる。
粘着剤層に高屈折率材料を含有させる場合、その含有量は適宜調整することができ、例えば、粘着剤の固形分(溶媒以外の成分)100質量部に対して、0.1~40質量部とすることができ、0.5~30質量部が好ましく、1.0~25質量部がより好ましい。
(接着剤層)
上記接着剤層に用いられる接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤、及び、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックスが挙げられる。
上記接着剤層に用いられるポリビニルアルコールとして、ポリビニルアルコールの鹸化度は、屈折率の点から30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。接着剤層が2種以上のポリビニルアルコールで構成される場合には、少なくとも1種のポリビニルアルコールが上記鹸化度を満たすことが好ましく、いずれのポリビニルアルコールもが上記鹸化度を満たすことがより好ましい。
本発明のポリビニルアルコール系接着剤としては、市販のポリビニルアルコールを用いることができ、例えば、いずれも商品名で、クラレ社製のクラレポバール5-98、11-98、28-98、60-98、5-88、9-88、2-88、CP-1220T10、デンカ社製のデンカポバールK-05、K-17C、K-17E、H-12、H-17、B-05、B-17等を好ましく用いることができる。
本発明の積層体が、波長選択吸収層の少なくとも片面に配されたガスバリア層にさらに接する層Iを有する場合において、この層Iが本発明の積層体におけるガスバリア層の上記規定(結晶性樹脂を含有し、酸素透過度が特定の値以下である)を満たす場合には、本発明の積層体におけるガスバリア層は、上記ガスバリア層と上記層Iとから構成されるものを意味する。
本発明の積層体におけるガスバリア層と解される層Iとしては、例えば、上記接着剤層のうち、該当するものが挙げられる。この場合、本発明のガスバリア層の厚み、層の酸素透過度、層に含まれる結晶性樹脂の結晶化度については、後述の実施例に記載の方法により測定、算出される。
表面反射防止層/紫外線吸収層/接着(粘着)層/ガスバリア層/波長選択吸収層/接着(粘着)層/ガラスの順に積層されてなる本発明の積層体においては、隣接層間の屈折率差を小さくし、外光反射を低減する観点から、上記紫外線吸収層と上記ガスバリア層との間に設ける層を接着剤層とすること、上記波長選択吸収層における樹脂が前述の環状ポリオレフィン樹脂を含むこと、及び、波長選択吸収層とガラスとの間に設ける層を高屈折率材料を含有する粘着剤層とすることの少なくともいずれかを満たす構成とすることが好ましく、少なくとも2つを満たす構成とすることがより好ましく、全てを満たす構成とすることが更に好ましい。ただし、本発明の積層体においては、表面反射防止層を備えない場合においても、優れた反射防止効果を奏することができる。
以下に、実施例に基づき本発明についてさらに詳細に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例において組成を表す「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、λmaxは、後記耐光性評価膜の吸光度の測定において、最大吸光度を示す極大吸収波長を意味し、単位はnmである。
[波長選択吸収層の作製]
波長選択吸収層の作製に用いた材料を次に示す。
<マトリックス樹脂>
(樹脂1)
ポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)製、PSJ-ポリスチレン GPPSのSGP-10(商品名)を、樹脂1として用いた。
(樹脂2)
ポリフェニレンエーテル樹脂(旭化成(株)製、ザイロンS201A(商品名)、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキサイド)、Tg 210℃)
(剥離性制御樹脂成分1)
バイロン550(商品名、東洋紡(株)製、ポリエステル系添加剤)
<染料>
染料Aとして下記E-13又はE-24、染料Bとして下記A-33、染料Cとして下記C-80、染料Dとして下記D-35又はF-29をそれぞれ用いた。
下記において、Phはフェニル基を示す。
Figure 0007178509000088
<添加剤>
(褪色防止剤1)
Figure 0007178509000089
(レベリング剤1)
下記構成成分で構成されるポリマー界面活性剤をレベリング剤1として用いた。下記構造式中、各構成成分の割合はモル比であり、t-Buはtert-ブチル基を意味する。
Figure 0007178509000090
(基材1)
ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラーXD-510P(商品名、膜厚50μm、東レ(株)製)を基材1として用いた。
実施例1
<基材つき波長選択吸収層1の作製>
(1)波長選択吸収層形成液1の調製
各成分を下記に示す組成で混合し、波長選択吸収層形成液1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
波長選択吸収層形成液1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
樹脂1 66.7 質量部
樹脂2 17.5 質量部
剥離性制御樹脂成分1 0.20質量部
レベリング剤1 0.08質量部
染料E-13 0.86質量部
染料D-35 2.23質量部
褪色防止剤1 12.4 質量部
トルエン(溶媒) 1710.0 質量部
シクロヘキサノン(溶媒) 190.0 質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
続いて、得られた波長選択吸収層形成液1を絶対濾過精度5μmのフィルター(商品名:HydrophobicFluorepore Membrane、Millex社製)を用いて濾過した。
(2)基材つき波長選択吸収層1の作製
上記濾過処理後の波長選択吸収層形成液1を、基材1上に、乾燥後の膜厚が2.5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥し、基材つき波長選択吸収層1を作製した。
<基材つき波長選択吸収層2、3、4a1、4a2、4b、4c、4d1、4d2、5及び6の作製>
染料の種類及び配合量を後記表1に記載の内容に変更した以外は基材つき波長選択吸収層1の作製と同様にして、基材つき波長選択吸収層2、3、4a1、4a2、4b、4c、4d1、4d2、5及び6を作製した。
[ガスバリア積層と波長選択吸収層の積層体の作製]
ガスバリア積層と波長選択吸収層の積層体(以下、単に積層体と称す。)の作製に用いた材料を次に示す。
<樹脂>
(1)結晶性樹脂
(樹脂3)
PVA105(クラレ(株)製、クラレポバール PVA-105(商品名)、ポリビニルアルコール、けん化度98~99mol%)
(樹脂4)
AQ-4104(クラレ(株)製、エクセバール AQ-4104(商品名)、変性ポリビニルアルコール、けん化度98~99mol%)
(樹脂5)
PVA403(クラレ(株)製、クラレポバール PVA-403(商品名)、ポリビニルアルコール、けん化度80mol%)
(樹脂6)
PVA117H(クラレ(株)製、クラレポバール PVA-117H(商品名)、ポリビニルアルコール、けん化度99mol%)
(2)非晶性樹脂
(樹脂7)
エスチレンAS-70(新日鉄住金(株)製、エスチレンAS-70(商品名)、アクリロニトリル-スチレン共重合体)
(基材2)
基材つき波長選択吸収層1の、波長選択吸収層側を、コロナ処理装置(商品名:Corona-Plus、VETAPHONE社製)を用い、放電量1000W・min/m、処理速度3.2m/minの条件でコロナ処理を施し、基材2として用いた。
<積層体No.L101の作製>
(1)樹脂溶液の調製
各成分を下記に示す組成で混合し、90℃の恒温槽で1時間撹拌し、樹脂3を溶解させ、ガスバリア層形成液1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ガスバリア層形成液1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
樹脂3 4.0質量部
純水 96.0質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
続いて、得られたガスバリア層形成液1を絶対濾過精度5μmのフィルター(商品名:HydrophobicFluorepore Membrane、Millex社製)を用いて濾過した。
(2)積層体の作製
上記濾過処理後のガスバリア層形成液1を、基材2上のコロナ処理を施した面側に、乾燥後の膜厚が1.1μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃60秒で乾燥し、積層体No.L101を作製した。
この積層体No.L101は、基材1、波長選択吸収層及びガスバリア層がこの順に積層された構成を有する。
<積層体No.L102~L116、Lc001~Lc008及びLc101~Lc111の作製>
ガスバリア層形成液の組成、基材つき波長選択吸収層の種類、ガスバリア層の厚みを、後記表2のように変更した以外は、積層体No.L101の作製と同様にして、積層体No.L102~L116、Lc001~Lc008及びLc101~Lc111を作製した。
積層体No.L101~L116が本発明の積層体であり、積層体No.Lc001~Lc008が比較の積層体であり、積層体No.Lc101~Lc111が参考例である。
<耐光性>
(耐光性評価膜の作製)
積層体のガスバリア層側に、厚み約20μmの粘着剤1(商品名:SK2057、綜研化学社製)を介して、UV吸収剤1(商品名:TINUVIN328、チバガイキー(現ノバルティスファーマ)社製、TACに対する濃度:0.98phr)およびUV吸収剤2(商品名:TINUVIN326、チバガイキー(現ノバルティスファーマ)社製、TACに対する濃度:0.24phr)を含有するTACフィルム(トリアセチルセルロースフィルム)を貼合した。続いて、基材1を剥がし、基材1を貼り合わせていた波長選択吸収層側に、上記粘着剤1を介してガラスを貼合し、耐光性評価膜を作製した。
(耐光性評価膜の吸収極大値)
島津製作所(株)製のUV3150分光光度計(商品名)により、耐光性評価膜の、200nmから1000nmの波長範囲における吸光度を、1nmごとに測定した。耐光性評価膜の各波長における吸光度と、染料を含有しない点以外は同じ構成である耐光性評価膜の吸光度との吸光度差を算出し、この吸光度差の最大値を吸収極大値として定義した。
(耐光性)
耐光性評価膜を(株)スガ試験機社製のスーパーキセノンウェザーメーターSX75(商品名)で、60℃、相対湿度50%の環境下において200時間光を照射し、この照射前後における吸収極大値を測定し、以下の式により耐光性を算出した。
[耐光性(%)]=([200時間光照射後の吸収極大値]/[光照射前の吸収極大値])×100
結果を表3に示す。
<ガスバリア層の物性評価>
ガスバリア層の結晶化度、酸素透過度及び厚みについては、以下の方法により評価した。結果を表3に示す。
(結晶化度)
上記で作製した積層体から、ガスバリア層を2~3mg剥離し、日立ハイテクサイエンス社製のDSC7000X(商品名)を用いて、20℃から260℃の範囲にかけて10℃/minで昇温し、融解熱1を測定した。
J. Appl. Pol. Sci., 81, 762(2001)に記載の方法に基づき、ガスバリア層の結晶化度を算出した。具体的には、上記融解熱1とJ. Appl. Pol. Sci., 81, 762(2001)に記載の完全結晶の融解熱2を用い、以下の式により結晶化度を算出した。
[結晶化度(%)]=([融解熱1]/[融解熱2])×100
(酸素透過度)
上記の耐光性評価膜の作製において、波長選択吸収層にコロナ処理を施さなかった以外は同様にして耐光性評価膜を作製し、基材2に相当する基材1及び波長選択吸収層を剥離することにより、UV吸収剤入りTACフィルム、粘着剤1及びガスバリア層がこの順に積層されてなる、酸素透過度評価膜を調製した。なお、No.Lc101~Lc111は、耐光性評価膜の作製に用いたUV吸収剤入りTACフィルムを酸素透過度評価膜として用いた。
酸素透過率測定装置としてMOCON社製のOX-TRAN 2/21(商品名)を用いて、等圧法(JIS K 7126-2)により25℃、相対湿度50%、酸素分圧1atm、測定面積50cmの条件で、酸素透過度評価膜の酸素透過度を測定した。
なお、本試験においては、酸素透過度600cc/m・day・atm付近における差は、測定試験のばらつきによる誤差範囲であると考えられる。
(厚み)
日立ハイテクノロジーズ社製の電界放出型走査電子顕微鏡S-4800(商品名)を用いて積層体の断面写真を撮影し、厚みを読み取った。
Figure 0007178509000091
Figure 0007178509000092
Figure 0007178509000093
Figure 0007178509000094
(表3の注)
耐光性評価の欄における「-」の表記は、該当する染料を含有していないことを示す。
No.Lc101~Lc111の積層体において、結晶化度の欄における「-」の表記は、ガスバリア層を有しないため測定していないことを示す。
No.Lc101~Lc111の積層体において、酸素透過度は、UV吸収剤入りTACフィルムの酸素透過度を示す。
酸素透過度の単位は、cc/m・day・atmである。
表3に示されるように、非晶性樹脂を含有するガスバリア層を備える比較例の積層体No.Lc006~Lc008は、ガスバリア層を備えない参考例の積層体No.Lc101に対する耐光性の向上効果はほとんどないか小さく、耐光性に劣っていた。また、積層体No.Lc001~Lc004は、結晶性樹脂を含有するガスバリア層であって、本発明で規定する特定の膜厚のガスバリア層を備えるものの、ガスバリア層の酸素透過度が本発明で規定する特定の範囲よりも大きい。この比較例の積層体No.Lc001~Lc004は、ガスバリア層を備えない参考例の積層体No.Lc101に対する耐光性の向上効果がほとんどなく、耐光性に劣っていた。
また、積層体No.Lc005は、結晶性樹脂を含有するガスバリア層を備え、ガスバリア層の酸素透過度は本発明で規定する特定の範囲内にあるものの、ガスバリア層の膜厚は40μmと、本発明で規定する特定の範囲の膜厚よりも厚い。この比較例の積層体No.Lc005は、ガスバリア層の膜厚が2.5μmである本発明の積層体No.L104と耐光性の向上効果に差がなかった。結晶性樹脂を含有し、特定の範囲の酸素透過度を有するガスバリア層であっても、ガスバリア層の膜厚が本発明で規定する特定の範囲よりも厚い場合には、ガスバリア層を厚くすることによってガスバリア層の酸素透過度を小さくできたとしても、所望の耐光性向上効果を得られないことがわかった。
一方、本発明の積層体No.L101~L116は、ガスバリア層を備えない参考例の積層体No.Lc101~Lc111に対する耐光性の向上効果が大きく、優れた耐光性を有することがわかった。具体的には、2種の染料A及びBを含有する積層体については、参考例のNo.Lc101とNo.L101~104との対比、3種の染料A~Cを含有する積層体については、参考例のNo.Lc102とNo.L105との対比、または参考例のNo.Lc110とNo.L115との対比、4種の染料A~Dを含有する積層体については、参考例のNo.Lc103とNo.L106との対比または参考例のNo.Lc111とNo.L116との対比により、それぞれ、優れたレベルで耐光性の向上効果が得られることがわかった。また、染料A~Dのいずれか1種を含有する積層体についても、参考例のNo.Lc104とNo.L107、参考例のNo.Lc105とNo.L108、参考例のNo.Lc106とNo.L109、参考例のNo.Lc107とNo.L110、参考例のNo.Lc108とNo.L111、参考例のNo.Lc109とNo.L114、とをそれぞれ対比することにより、総じて、優れた耐光性の向上効果を有することがわかった。
[参考例:4種の染料A~Dを含有する波長選択吸収フィルタ]
異なる波長域に主吸収波長帯域を有する4種の染料A~Dを含有する波長選択吸収フィルタ(波長選択吸収層)を備えたOLED表示装置が、外光反射の抑制及び輝度低下の抑制の両立を実現し、さらに、表示画像の本来的な色味を十分に発現できることについて、以下に、詳細に説明する。
[波長選択吸収フィルタの作製]
波長選択吸収フィルタの作製に用いた材料を次に示す。
<マトリックス樹脂>
(樹脂8)
ポリスチレン樹脂(PSジャパン(株)製、PSJ-ポリスチレン GPPSのSGP-10(商品名)、Tg 100℃、fd 0.56)を110℃で加熱し、常温(23℃)まで放冷したものを、樹脂8として用いた。
(樹脂2)
ポリフェニレンエーテル樹脂(旭化成(株)製、ザイロンS201A(商品名)、ポリ(2,6-ジメチル-1,4-フェニレンオキサイド)、Tg 210℃)
(伸長性樹脂成分1)
アサフレックス810(商品名、旭化成(株)製、スチレン-ブタジエン樹脂)
(剥離性制御樹脂成分1)
バイロン550(商品名、東洋紡(株)製、ポリエステル系添加剤)
<染料>
Figure 0007178509000095
FDG007:商品名、(株)山田化学工業製、テトラアザポルフィリン系色素、λmax594nm
特開2017-203810号公報の実施例3で使用されている、下記の染料
Figure 0007178509000096
なお、上記染料の項で記載するλmaxは、下記条件により測定した、最も大きい吸光度を示す極大吸収波長を意味する。
すなわち、上記染料をクロロホルムに溶かし、濃度1×10-6mol/Lの測定用溶液を調製した。この測定用溶液について、光路長10mmのセル及び分光光度計UV-1800PC((株)島津製作所製)を用いて、23℃における極大吸収波長λmaxを測定した。
<添加剤>
(褪色防止剤1)
上記褪色防止剤における例示化合物IV-8
(レベリング剤1)
下記構成成分で構成されるポリマー界面活性剤をレベリング剤1として用いた。下記構造式中、各構成成分の割合はモル比であり、t-Buはtert-ブチル基を意味する。
Figure 0007178509000097
(基材1)
ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラーXD-510P(商品名、膜厚50μm、東レ(株)製)を基材1として用いた。
<基材つき波長選択吸収フィルタNo.101の作製>
(1)伸長性樹脂成分1のトルエン溶液の調製
2.75質量部の伸長性樹脂成分1を89.0質量部のトルエンに溶解させた。次に、得られた溶液にキョーワード700SEN-S(商品名、協和化学工業(株)製)を8.26質量部添加し、室温(23℃)で1時間撹拌したのち、絶対濾過精度2.5μmの金属焼結フィルター(商品名:ポールフィルター PMF、メディアコード:FH025、ポール社製)を用いて濾過してキョーワード700SEN-Sを除去し、塩基成分を除去した伸長性樹脂成分1のトルエン溶液を調製した。
(2)樹脂溶液の調製
各成分を下記に示す組成で混合し、波長選択吸収フィルタ形成液(組成物)Ba-1を調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
波長選択吸収フィルタ形成液Ba-1の組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
樹脂8 59.2 質量部
樹脂2 17.5 質量部
上記で調製した伸長性樹脂成分1のトルエン溶液 667.3 質量部
剥離性制御樹脂成分1 0.20質量部
レベリング剤1 0.16質量部
色素7-21 0.50質量部
染料C-80 0.44質量部
色素E-13 0.86質量部
染料D-35 1.12質量部
褪色防止剤1 12.4 質量部
トルエン(溶媒) 872.7 質量部
シクロヘキサノン(溶媒) 380.0 質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
続いて、得られた波長選択吸収フィルタ形成液Ba-1を絶対濾過精度10μmの濾紙(#63、東洋濾紙(株)製)を用いて濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの金属焼結フィルター(商品名:ポールフィルター PMF、メディアコード:FH025、ポール社製)を用いて濾過した。
(3)基材つき波長選択吸収フィルタの作製
上記濾過処理後の波長選択吸収フィルタ形成液Ba-1を、基材1上に、乾燥後の膜厚が2.5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥し、基材つき波長選択吸収フィルタNo.101を作製した。
<基材つき波長選択吸収フィルタNo.102~108及びc11~c15の作製>
染料の種類及び配合量を表4に記載の内容に変更した以外は基材つき波長選択吸収フィルタNo.101の作製と同様にして、波長選択吸収フィルタNo.102~108及びc11~c15を作製した。
ここで、No.101~108が前述の関係式(I)~(VI)を満たす波長選択吸収フィルタであり、No.c11~c15が前述の関係式(I)~(VI)を満たさない、比較のための波長選択吸収フィルタである。
<波長選択吸収フィルタの吸収極大値>
島津製作所(株)製のUV3150分光光度計(商品名)を用いて、基材つき波長選択吸収フィルタの、380nmから800nmの波長範囲における吸光度を、1nmごとに測定した。基材つき波長選択吸収フィルタの各波長λnmにおける吸光度Ab(λ)と、染料を含有しない、基材つき波長選択吸収フィルタ(すなわち、No.c11の波長選択吸収フィルタ)の吸光度Ab(λ)との吸光度差、Ab(λ)-Ab(λ)を算出し、この吸光度差の最大値を吸収極大値として定義した。
<輝度、反射率および色味のシミュレーション>
上記で作製した波長選択吸収フィルタを備えたOLED表示装置について、外光反射のシミュレーションを行い、輝度、反射率並びに色味(a及びb)を算出した。
(1)OLED表示装置の構成
シミュレーションを行うOLED表示装置としては、図2に示す、青色OLED素子と量子ドット(QD)を含むカラーフィルターにより画像を表示する装置を想定した。
すなわち、図2に示すOLED表示装置1は、TFT基板上に、青色OLED素子、RG選択反射層21、量子ドット(QD)を含むカラーフィルター(CF)及びブラックマトリックス71並びに上記で作製した波長選択吸収フィルタ82を順に備える。波長選択吸収フィルタ82が外光側(視認側)に位置する。
TFT基板は、基板11上にTFT12が設けられた構成を有する。青色OLED素子は、アノード13、青色OLED14及びカノード15がTFT基板側から積層された構成を有する。青色OLED素子とRG選択反射層21の間には、バリアフィルム16が配置される。
量子ドットを含むカラーフィルターは、赤色及び緑色の発光部として、量子ドットを含む。赤色に対応するカラーフィルターは、RG選択反射層21上に、赤色量子ドットと光拡散体を含む層31、B選択反射層51及び赤色カラーフィルター32がこの順に配置され、緑色に対応するカラーフィルターは、RG選択反射層21上に、緑色量子ドットと光拡散体を含む層41、B選択反射層51及び緑色カラーフィルター42がこの順に配置された構成を有する。赤色量子ドットと光拡散体を含む層31は、青色の波長帯域の光を赤色の波長帯域の光に変換する色変換部であり、緑色量子ドットと光拡散体を含む層41は、青色の波長帯域の光を緑色の波長帯域の光に変換する色変換部である。青色に対応するカラーフィルターは、RG選択反射層21上に青色カラーフィルター62が配置された構成を有する。
量子ドットを含むカラーフィルター及びブラックマトリックス71と、波長選択吸収フィルタ82との間には、ガラス81が設けられ、波長選択吸収フィルタ82の上には、低反射の表面フィルム83が設けられる。
(2)シミュレーション条件
図2に示すOLED表示装置1において、外光ARの照射に係る反射率及び反射色味のシミュレーションにおいて、各構成部材についての反射率、透過スペクトル及び反射スペクトルを下記のように規定した。
(i)赤緑選択反射層は、波長500nm未満の領域は反射率0%、波長500nm以上800nm以下の反射率を100%と仮定した。
(ii)カラーフィルターの透過スペクトルは、パネルスペクトルおよびバックライトスペクトルを測定し、パネルスペクトル/バックライトスペクトルにより算出した。
(iii)波長選択吸収フィルタの透過スペクトルは、上記で作製した基材つき波長選択吸収フィルタおよび上記作製で使用した基材の透過スペクトルを測定した結果を用いた。
(iv)ブラックマトリックスの反射率として、カーボンブラックの反射スペクトルを用いた。
(v)OLED基板の反射率として、市販のLGE社製のテレビOLED55B7P(商品名)を分解し、円偏光板を剥離して測定した基板の反射スペクトルを用いた。
(vi)青画素、緑画素、赤画素およびブラックマトリックスの面積比率は、青画素、緑画素及び赤画素の面積率をそれぞれ17%、ブラックマトリックスの面積率を49%として計算した。
なお、上記において、透過スペクトル及び反射スペクトルは、島津製作所(株)製のUV3150分光光度計(商品名)を用いて測定した。
(3)反射率、反射色味の計算
反射率と反射色味は、青画素、緑画素、赤画素およびブラックマトリックスそれぞれの反射スペクトルを計算し、面積率を掛け合わせることにより算出した。具体的には、以下の通りである。
まず、青画素、緑画素、赤画素およびブラックマトリックスにおける反射スペクトルを、それぞれR、R、R及びRとし、下記式に基づき計算した。
青画素における外光の反射Brefとしては、青色OLED表示素子におけるアノード13での反射を、緑画素における外光の反射Gref及び赤画素における外光の反射Rrefとしては、RG選択反射層21での反射を、それぞれ想定している(図2参照)。
下記式において、波長選択吸収フィルタの透過スペクトルがTdye、各カラーフィルターの透過スペクトルがそれぞれCF、CF及びCF、緑赤選択反射層の反射率がRsel、OLED基板の反射率がRsub、ブラックマトリックスの反射率がRBMを表す。
=(Tdye×CF×Rsub
=(Tdye×CF×Rsel
=(Tdye×CF×Rsel
=(Tdye×RBM
次に、青画素、緑画素、赤画素およびブラックマトリックスの面積率をそれぞれ、A、A、A及びAとし、以下の式により、OLED表示装置の反射スペクトルを計算した。
OLED表示装置の反射スペクトル=R×A+R×A+R×A+R×A
上記で算出したOLED表示装置の反射スペクトルをもとに、反射率(視感度補正)並びにa及びbを算出した。
(4)相対輝度の計算
上記で作製した波長選択吸収フィルタを使用した場合の相対輝度は、以下のように計算した。
ディスプレイの発光スペクトルS(λ)を、サムスン社製55”Q7F(量子ドット型液晶テレビ、商品名)のバックライトスペクトルを用いて計算した。また、波長選択吸収フィルタの透過スペクトルをT(λ)とした。
波長選択吸収フィルタを用いない場合の輝度を、スペクトルS(λ)を視感度補正することにより計算し、この輝度を100とした。波長選択吸収フィルタを用いた場合のスペクトルS(λ)×T(λ)の輝度を、上記の波長選択吸収フィルタを用いない場合の輝度に対する相対輝度として計算した。
<輝度低下の抑制効果の評価>
上記シミュレーションで得られた相対輝度の値を用いて、下記評価基準に基づき、輝度低下の抑制効果を評価した。本試験においては、「A」及び「B」が合格である。
(評価基準)
A:80<相対輝度≦100
B:60<相対輝度≦80
C:0≦相対輝度≦60
<外光反射の抑制効果の評価>
上記シミュレーションで得られた反射率の値を用いて、下記式により、反射率の低減率を算出し、下記評価基準に基づき、外光反射の抑制効果を評価した。本試験においては、「A」及び「B」が合格である。
反射率の低減率=(R-R)/R×100%
:染料を含有する波長選択吸収フィルタを使用した場合の反射率
:No.c11の、染料を含有しない基材つき波長選択吸収フィルタを使用した場合の反射率
(評価基準)
A:50%<反射率の低減率≦80%
B:20%<反射率の低減率≦50%
C:0≦反射率の低減率≦20%
<色味の評価>
上記シミュレーションで算出したa、bの値を用いて、下記式により色差を求めた。
(色差)=[(a -a +(b -b 1/2
上記式中における各符号の表す意味は、下記の通りである。
:染料を含有する基材つき波長選択吸収フィルタを使用した場合のa
:No.c11の、染料を含有しない基材つき波長選択吸収フィルタを使用した場合のa
:染料を含有する基材つき波長選択吸収フィルタを使用した場合のb
:No.c11の、染料を含有しない基材つき波長選択吸収フィルタを使用した場合のb
上記式より算出される色差は、16.0以下が実用レベルであって、15.0以下が好ましいレベルであり、5.0以下がより好ましいレベルである。
結果を表4に示す。
Figure 0007178509000098
Figure 0007178509000099
(表の注)
染料の配合量は、マトリックス樹脂100質量部に対する質量部を記載する。
染料の列における「-」の表記は、染料を含有していないことを示す。
No.c11の吸光度比及び染料の欄における「-」の表記は、No.c11が染料を含有しない、基材つき波長選択吸収フィルタであって、各波長選択吸収フィルタの基準フィルタに該当するため、値を記載していない。
染料の欄におけるλmaxは、上記波長選択吸収フィルタについて測定した吸収極大値のうち、最も大きい吸収極大値を示す波長(極大吸収波長)を意味する。
使用した一部の染料については、以下の略号を用いて表記する。
Y93:C.I.ソルベントイエロー93
G3:C.I.ソルベントグリーン3
R111:C.I.ソルベントレッド111
V13:C.I.ソルベントバイオレット13
B36:C.I.ソルベントブルー36
表4に示されるように、従来の染料の組み合わせを含有する比較のためのNo.c12~c14の波長選択吸収フィルタは、前述の関係式(II)、(III)、(V)及び(VI)を満たしていない。これら比較のためのNo.c12~c14の波長選択吸収フィルタは、染料を含有しない波長選択吸収フィルタ(No.c11)との色差がいずれも20以上と大きく色味変化が生じており、外光反射の抑制と輝度低下の抑制を両立しながら、色味変化を抑制することができなかった。また、本発明で規定する染料A及びDを含有しない比較のためのNo.c15の波長選択吸収フィルタでは、前述の関係式(I)及び(VI)を満たさない。この比較のためのNo.c15の波長選択吸収フィルタもまた、染料を含有しない波長選択吸収フィルタ(No.c11)との色差が19.9と大きく色味変化が生じており、外光反射と輝度低下を共に抑制しつつ、色味変化を抑制することができなかった。
これに対して、前述の関係式(I)~(VI)を満たす参考例の波長選択吸収フィルタNo.101~108は、外光反射と輝度低下を共に抑制しつつ、色味変化を十分に抑制し、実用できるレベルであった。外光反射の抑制及び輝度低下の抑制を、従来の染料の組合わせを含有する波長選択吸収フィルタNo.c12~c14と同レベルで実現しながらも、色味変化の優れた抑制効果を示していた。さらに、染料B及びCの少なくとも一方として一般式(1)で表されるスクアリン系色素を用いた波長選択吸収フィルタNo.101~107は、外光反射と輝度低下を共に抑制し、さらに、色味変化の抑制をより優れたレベルで両立できることがわかった。
実施例2
<基材つき波長選択吸収層の作製>
波長選択吸収層の作製に用いた材料を以下に示す。
(樹脂9)
環状ポリオレフィン樹脂であるアペルAPL6011T(商品名、三井化学社製、エチレンとノルボルネンとの共重合ポリマー、Tg 105℃)を、樹脂9として用いた。
(染料)
染料AとしてE-24、染料BとしてA-33、7-22、染料CとしてC-73、C-80、染料DとしてF-34をそれぞれ用いた。
E-24、A-33及びC-80は実施例1におけるE-24、A-33及びC-80とそれぞれ同じであり、7-22、C-73及びF-34は下記の通りである。
Figure 0007178509000100
(褪色防止剤1)
実施例1で使用する褪色防止剤1
(基材A)
セルロースアシレートフィルム(富士フィルム社製、商品名:ZRD40SL)を基材Aとして用いた。
(1)波長選択吸収層形成液Aの調製
各成分を下記に示す組成で混合し、波長選択吸収層形成液Aを調製した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
波長選択吸収層形成液Aの組成
――――――――――――――――――――――――――――――――――
樹脂9 95.5 質量部
剥離性制御樹脂成分:タフテックH-1043(商品名、旭化成社製)
3.4 質量部
レベリング剤:メガファックF-554(DIC社製、フッ素系ポリマー
) 0.16質量部
染料E-24 0.39質量部
染料A-33 0.14質量部
染料C-80 0.15質量部
染料F-34 0.23質量部
褪色防止剤1 10.4 質量部
シクロヘキサン(溶媒) 770.0 質量部
――――――――――――――――――――――――――――――――――
続いて、得られた波長選択吸収層形成液Aを絶対濾過精度10μmの濾紙(#63、東洋濾紙社製)を用いて濾過し、さらに絶対濾過精度2.5μmの金属焼結フィルター(FH025、ポール社製)を用いて濾過した。
(2)基材つき波長選択吸収層Aの作製
上記濾過処理後の波長選択吸収層形成液Aを、基材A上に、乾燥後の膜厚が2.5μmとなるようにバーコーターを用いて塗布し、120℃で乾燥し、基材つき波長選択吸収層Aを作製した。
(3)基材つき波長選択吸収層B~Dの作製
染料の種類及び添加量を下記表A-1に記載の内容に変更した以外は基材つき波長選択吸収層Aの作製と同様にして、基材つき波長選択吸収層B~Dを作製した。
Figure 0007178509000101
<積層体No.L502~511の作製>
上記実施例1において作製した積層体No.L116の耐光性評価膜を積層体No.L501とし、視認側から順に、UV吸収剤入りTACフィルムを第1層、粘着剤1からなる層を第2層、ガスバリア層を第3層、波長選択吸収層6を第4層、粘着剤1からなる層を第5層、ガラスを第6層とした。
上記積層体No.L501における、第2層及び第5層を構成する粘着剤並びに第4層の波長選択吸収層の種類を、後記表Bに記載の通り変更した以外は積層体No.L501と同様にして、積層体No.L502~L511を作製した。
<耐光性>
上記で作製した積層体No.L502~L511について、実施例1に記載の耐光性評価と同様にして、耐光性を評価した。結果を下記表A-2に示す。なお、積層体No.L503、L504及びL508~L511は、表への記載は省略するが、No.L502と同じ耐光性を示した。
このように、本発明の積層体No.L502~L511は、本発明の積層体No.L501と同じレベルの優れた耐光性を有することがわかった。
なお、下記表中における染料F-29は実施例1における染料F-29と同じである。
Figure 0007178509000102
<ガスバリア層の物性評価>
積層体No.L501及びL502においては第3層のガスバリア層が、積層体No.L503~L511においては第2層の接着剤からなる層及び第3層のガスバリア層が、本発明の積層体におけるガスバリア層に相当する。
積層体No.L503~L511における、第2層及び第3層からなる本発明におけるガスバリア層について、実施例1と同様にして、ガスバリア層の結晶化度及び酸素透過度について、評価した。結果を表Bに示す。
なお、結晶化度については、積層体No.L116のガスバリア層上に第2層に相当する接着剤層を塗布したのち、接着剤層とバリア層を合わせて2~3mg剥離してDSC測定を行い算出した。
また、第2層の接着剤1又は2から構成される層の厚みは50~250nm程度であった。
<屈折率>
積層体を構成する第1層~第6層の各層の屈折率及び厚み、並びに、界面反射率の和を測定、算出した。結果を表Bに示す。
(屈折率)
第1層及び第6層の屈折率を、次の通り算出した。
各サンプルの測定面と逆の面(以降、基板側面と記載する)に巴川製紙所社製のくっきりミエール(商品名、黒色のラミネートフィルム)を貼合し、基板側面の界面反射が生じないようにした。その後、大塚電子社製の反射分光膜厚計FE3000(商品名)を用いてサンプルの測定面側に光を照射し反射率Rを380nm~780nmの範囲で測定した。
反射率Rはサンプルの屈折率nを用いて下記式(1)で表される。そのため、反射率の実測値からサンプルの380nm~780nmにおける屈折率nを算出した。
式(1):R=(1-n/(1+n
第2層、第3層、第4層、及び第5層の屈折率を、次の通り算出した。
各層の形成用液(サンプル)を、屈折率が既知の支持体に1~3μmの膜厚で塗布し、第1層~第6層からなる積層体を形成する際と同じ条件(乾燥温度等)により、支持体とサンプルからなる積層体を作製した。この積層体の支持体側に巴川製紙所社製のくっきりミエール(商品名、黒色のラミネートフィルム)を貼合し、基板側面の界面反射が生じないようにし、大塚電子社製の反射分光膜厚計FE3000(商品名)を用いてサンプルの測定面側に光を照射し反射率Rを380nm~780nmの範囲で測定した。
反射率Rはサンプルの屈折率n及び支持体の屈折率nを用いて下記式(2)で表される。そのため、反射率の実測値及び支持体の屈折率nからサンプルの380nm~780nmにおける屈折率nを算出した。
式(2):R=(n-n/(n+n
(膜厚)
第1~第6層の膜厚を次の通り算出した。
LEICA社製の回転式ミクロトームRM2265(商品名)を用いて積層体の断面を切削し、日立ハイテクノロジーズ社製の走査電子顕微鏡S-4800(商品名)を用いて各層の膜厚を求めた。
<界面反射率の和>
積層体の界面反射の和を、各層の屈折率と膜厚を用いて、吉田貞史著の「応用物理工学選書3 薄膜」第7版の5章173ページから174ページの方法と同様にして算出した。
Figure 0007178509000103
<表Bの注>
上述の通り、第1層はUV吸収剤入りTACフィルム、第3層はエクセバール AQ-4104(商品名、クラレ社製)、第6層はガラスによって構成される。
第4層の波長選択吸収層のうち、波長選択吸収層6は、ポリスチレン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂から構成され、波長選択吸収層A~Dは、環状ポリオレフィン樹脂から構成される。
「n」は屈折率を、「Δn」はその左右に記載する2つの層の層間屈折率差を意味する。
表中に記載の粘着剤、接着剤は、下記の通りである。
(粘着剤)
粘着剤1:SK-2057(商品名、綜研化学社製)
粘着剤2:粘着剤1に下記トリアジン系化合物を固形分100質量部に対して10質量部添加
粘着剤3:粘着剤1に下記トリアジン系化合物を固形分100質量部に対して20質量部添加
粘着剤4:粘着剤1に下記ベンゾジチオール系化合物を固形分100質量部に対して2.6質量部添加
上記粘着剤2~4において、固形分とは、粘着剤1における溶媒以外の成分を意味する。
Figure 0007178509000104
(接着剤)
接着剤1:クラレポバール5-98(商品名、クラレ社製、鹸化度98.0~99.0mol%)
接着剤2:クラレポバール5-88(商品名、クラレ社製、鹸化度86.5~89.0mol%)/クラレポバールCP-1220T10(商品名、クラレ社製)=1/2の質量比で混合
表Bに示されるように、積層体No.L501~L511は界面反射率の差をいずれも0.30%以下に抑制することができており、なかでも、隣接する層間の屈折率差がいずれも0.10以下である積層体No.L502~L511は、界面反射率の差を0.10%以下に抑制することができ、外光反射を抑制する観点からより優れていた。特に、隣接する層間の屈折率差がいずれも0.05以下である積層体No.L504~L511は、界面反射率の差を0.03%以下にまで抑制することができ、外光反射を抑制する観点から特に優れていた。
本発明をその実施態様とともに説明したが、我々は特に指定しない限り我々の発明を説明のどの細部においても限定しようとするものではなく、添付の請求の範囲に示した発明の精神と範囲に反することなく幅広く解釈されるべきであると考える。
本願は、2019年9月30日に日本国で特許出願された特願2019-178639、2019年11月14日に日本国で特許出願された特願2019-206018、2020年4月28日に日本国で特許出願された特願2020-078899、2020年6月1日に日本国で特許出願された特願2020-095784及び2020年9月30日に日本国で特許出願された特願2020-165766に基づく優先権を主張するものであり、これらはここに参照してその内容を本明細書の記載の一部として取り込む。
1 OLED表示装置
11 基板
12 TFT(薄膜トランジスタ)
13 アノード
14 BOLED(青色OLED)
15 カソード
16 バリアフィルム
21 RG選択反射層(赤色緑色選択反射層)
31 赤色QD(赤色量子ドット)と光拡散体を含む層
32 赤色カラーフィルター
41 緑色QD(緑色量子ドット)と光拡散体を含む層
42 緑色カラーフィルター
51 B選択反射層(青色選択反射層)
62 青色カラーフィルター
71 ブラックマトリックス
81 ガラス
82 波長選択吸収フィルタ(波長選択吸収層)
83 表面フィルム
91 波長選択吸収層
92 ガスバリア層
93 積層体
AR 外光
BMin ブラックマトリックスへの外光の入射
in 赤画素への外光の入射
in 緑画素への外光の入射
in 青画素への外光の入射
BMref ブラックマトリックスにおける外光の反射
ref 赤画素における外光の反射
ref 緑画素における外光の反射
ref 青画素における外光の反射

Claims (13)

  1. 樹脂と、下記の染料A~Dの少なくとも1種を含む染料と、染料の褪色防止剤とを含有する波長選択吸収層、及び、該波長選択吸収層の少なくとも片面に直接配されたガスバリア層を含む積層体であって、
    前記ガスバリア層が結晶性樹脂を含有し、該ガスバリア層の厚みが0.1μm~10μmであって、該ガスバリア層の酸素透過度が60cc/m・day・atm以下である、積層体。
    染料A:波長390~435nmに主吸収波長帯域を有する染料
    染料B:波長480~520nmに主吸収波長帯域を有する染料
    染料C:波長580~620nmに主吸収波長帯域を有する染料
    染料D:波長680~780nmに主吸収波長帯域を有する染料
  2. 前記のガスバリア層に含まれる結晶性樹脂の結晶化度が25%以上である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ガスバリア層の酸素透過度が0.001cc/m・day・atm以上60cc/m・day・atm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記染料B及びCの少なくとも一方が、下記一般式(1)で表されるスクアリン系色素である、請求項1~3のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 0007178509000105
    上記式中、A及びBは、各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基又は-CH=Gを示す。Gは置換基を有していてもよい複素環基を示す。
  5. 前記染料Aが下記一般式(A1)で表される色素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 0007178509000106
    上記式中、R及びRは、各々独立に、アルキル基又はアリール基を示し、R~Rは、各々独立に、水素原子又は置換基を示し、RとRは互いに結合して6員環を形成していてもよい。
  6. 前記染料Dが、下記一般式(D1)で表される色素および下記一般式(1)で表される色素の少なくとも1種である、請求項1~5のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 0007178509000107
    上記式中、R1AおよびR2Aは、各々独立に、アルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を示し、R4AおよびR5Aは、各々独立に、ヘテロアリール基を示し、R3AおよびR6Aは、各々独立に、置換基を示す。XおよびXは、各々独立に、-BR21a22aを示し、R21aおよびR22aはそれぞれ独立に置換基を示し、R21aおよびR22aは互いに結合して環を形成していてもよい。
    Figure 0007178509000108
    上記式中、A及びBは、各々独立して、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよい複素環基又は-CH=Gを示す。Gは置換基を有していてもよい複素環基を示す。
  7. 前記褪色防止剤が下記一般式(IV)で表される、請求項1~6のいずれか1項に記載の積層体。
    Figure 0007178509000109
    上記式中、R10は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基又はR18CO-、R19SO-若しくはR20NHCO-で表される基を示し、R18、R19及びR20は、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基又はヘテロ環基を示す。R11及びR12は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基又はアルケニルオキシ基を示し、R13~R17は、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。
  8. 前記の波長選択吸収層における樹脂がポリスチレン樹脂を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. 前記の波長選択吸収層における樹脂が環状ポリオレフィン樹脂を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記波長選択吸収層が前記染料A~Dの4種全てを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の積層体。
  11. 前記積層体が、前記ガスバリア層に対して前記波長選択吸収層とは反対側に配置された紫外線吸収層と、粘着剤層及び接着剤層の少なくとも1層とを含み、該積層体中における隣接層間の屈折率差がいずれも0.05以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体。
  12. 前記波長選択吸収層が、伸張性樹脂成分及び剥離性制御樹脂成分の少なくとも1種を含有していてもよく、
    前記波長選択吸収層中における、前記樹脂、前記伸張性樹脂成分及び前記剥離性制御樹脂成分の含有量の合計が50~99.90質量%である、請求項1~11のいずれか1項に記載の積層体。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の積層体を含む有機エレクトロルミネッセンス表示装置。

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