JP7177637B2 - 有機顔料処理装置及び有機顔料処理方法 - Google Patents

有機顔料処理装置及び有機顔料処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機顔料処理装置及び有機顔料処理方法に関する。
有機顔料は耐候性や発色性の高さから、塗料、着色プラスチック、インクジェットインキ、カラーフィルターなどの着色材料として広く用いられている。
有機顔料の色や着色性能は、有機顔料の結晶形や粒子径の影響を受けやすい。例えば、有機顔料粒子は合成や粉砕処理された直後において、一次粒子が小さすぎると分散性や発色性に劣るものとなりやすい。また、結晶多形を示す有機顔料の場合は、結晶形によって色味が異なるために、結晶形が揃っていない状態では着色剤として用いることはできない。そのため、一般的に有機顔料は、製造段階において所望の結晶形や粒径へと制御する仕上げ処理(顔料化工程とも称す)を経て製造される。
顔料化工程としては一般に、有機顔料粒子に対してエネルギーを投入して当該有機顔料粒子を所望の結晶形へと制御したり、所望の粒径へと調整したりすることが行われる。その際に、結晶形の変化や粒子成長を促進する目的で、有機顔料粒子を分散液に分散させた状態で顔料化工程を行う場合もある。
顔料化工程に用いられる装置として、例えば、ロールミル、ジェットミル、ピンミル、ニーダー、エクストルーダー、アトライター、サンドミル、ピンミル、ジェットミル、バッチ反応釜、連続槽などが挙げられる。これらの装置により有機顔料粒子に対して粉砕、摩砕、加熱などのエネルギーを投入することができる。
着色剤としての有機顔料粒子に対する要求性能は益々高まっており、顔料化工程の処理条件の高精度化による有機顔料粒子の高機能、高品質化が求められている。しかし、上述した既存の顔料化工程では、加熱条件の精密制御には制約があり、秒単位で変化する有機顔料粒子の結晶形や粒径を精密に制御するには限界がある。例えば、有機顔料粒子の過剰な加温は有機顔料粒子の粗大化を誘発し、得られる有機顔料粒子の着色力が低下したり、インキ中に有機顔料粒子の凝集物が生じやすくなったりする。また、粗大化した有機顔料粒子をインクジェットインクに用いた場合には、インクジェットノズルの目詰まりが生じやすくなる。
上記の問題を解決するには、加熱処理における昇温時間を短縮し、また目的温度における保温時間を精密に制御することが必要となる。
加熱操作を精密制御する方法として、従来から、微細流路(例えば内径数十μm~1mm程度)を処理場とするマイクロリアクターが知られている。マイクロリアクターを用いた処理系では、微細流路を外側から加熱し、流路壁面からの熱伝導により流路内部の有機顔料粒子を加熱する。しかし、微細流路ゆえに処理能力が限定的であり、目的の有機顔料粒子の量産には不向きである。さらにマイクロリアクターは有機顔料粒子による流路の閉塞の問題も発生しやすく、この流路の閉塞は連続運転における大きな問題となる。
上記の問題に対処すべくマイクロリアクターの流路をより大径化することも考えられる。しかしこの場合には、流路の比表面積が小さくなり、流路壁面と、流路内を流通する有機顔料粒子ないしその分散液との伝熱面積が低下して、流路内の有機顔料粒子の迅速かつ均一な加熱処理を精密に制御することが困難となる。
流路壁面を介した熱伝導に頼らずエネルギーを供給する方法としてはマイクロ波照射の利用が挙げられる。なかでもマイクロ波の定在波を利用して電界強度が極大となる部分に沿って有機顔料粒子を配して加熱することにより、加熱のエネルギー効率を格段に高めることができる。例えば、特許文献1には、2.45GHzのマイクロ波に基づいて設計されたシングルモードキャビティ(空胴共振器)を用いて形成した定在波によって、内径1mmの流通管内を流通する有機顔料粒子の分散液を加熱し、有機顔料粒子を所望の結晶形へと変換させることが記載されている。
特開2016-193962号公報
空胴共振器内にマイクロ波を照射して形成した定在波の電界強度が極大となる部分に沿って流通管を配し、その流通管内に流通させた有機顔料粒子を加熱する場合、照射したマイクロ波エネルギーは流通管内の有機顔料粒子ないしその分散媒等に吸収されて減衰する。定在波を形成させる空胴共振器内に占める流通管の容積が大きい場合、上記マイクロ波エネルギーの減衰が大きくなり、入射波と反射波の合成波である定在波を形成することが難しくなる。このため、マイクロ波の定在波を利用した加熱処理が行える流通管のサイズには制限があり、上記特許文献1では内径1mmの流通管を使用している。しかし、有機顔料粒子を流通させる流通管の内径が小さいと、目的の有機顔料粒子の量産に制約が生じることは上述した通りである。
本発明は、上記特許文献記載の技術をはじめ従来の定在波を用いた加熱に比べて、管内断面サイズが格段に大きな流通管を用いても、該流通管内を流通する有機顔料粒子の略全体を、マイクロ波の定在波により優れたエネルギー効率で、素早く、均一に加熱することができ、その結果、所望の結晶形を有し、また所望の粒径へと成長させた有機顔料粒子の生産効率を大きく向上させることができる有機顔料処理装置、及び有機顔料処理方法を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決される。
[1]
空胴共振器と、該空胴共振器内を貫通し有機顔料粒子が流通する流通管とを備える有機顔料処理装置であって、
前記空胴共振器内には300~1000MHzの周波数のマイクロ波が照射されて、該空胴共振器内にTM0n0(nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードの定在波が形成され、
前記流通管は前記定在波の電界強度が極大となる部分に沿って配され、該流通管内の少なくとも一部に、該流通管内を流通する前記有機顔料粒子の流れを整流する整流機構を有する有機顔料処理装置。
[2]
前記流通管を、前記有機顔料粒子の分散液が流通する[1]に記載の有機顔料処理装置。
[3]
前記分散液の分散媒が前記定在波によって発熱する物質であり、及び/又は、前記分散液が前記定在波によって発熱する物質を含有する[2]に記載の有機顔料処理装置。
[4]
前記定在波による電界強度が一定となる方向に対して直交する方向において、前記流通管内の最大径が3mm以上100mm以下である[1]~[3]のいずれかに記載の有機顔料処理装置。
[5]
前記流通管の出口に背圧弁を備える[1]~[4]のいずれかに記載の有機顔料処理装置。
[6]
前記有機顔料粒子を、前記有機顔料粒子の粒子成長及び/又は結晶転移が生じる温度以上に加熱する[1]~[5]のいずれかに記載の有機顔料処理装置。
[7]
前記有機顔料処理装置は、
前記空胴共振器が直列に複数配され、該複数の空胴共振器には、各空胴共振器に対してマイクロ波が各別に供給され、
前記流通管は、前記複数の空胴共振器の直列連結方向でかつ該複数の空胴共振器内に形成される定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、該複数の空胴共振器を貫通して配される[1]~[6]のいずれかに記載の有機顔料処理装置。
[8]
空胴共振器内に915MHz帯の周波数のマイクロ波を照射して、該空胴共振器内にTM0n0(nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードの定在波を形成し、該定在波の電界強度が極大となる部分に沿って配された流通管内を流通する有機顔料粒子を整流しながら加熱することを含む、有機顔料処理方法。
[9]
前記有機顔料粒子を、前記有機顔料粒子の粒子成長及び/又は結晶転移が生じる温度以上に加熱する[8]に記載の有機顔料処理方法。
[10]
前記流通管に前記有機顔料粒子の分散液を流通させる[8]又は[9]に記載の有機顔料処理方法。
[11]
前記分散液は、導電率が10-5S/m以上もしくは誘電損率が0.01以上である[10]に記載の有機顔料処理方法。
[12]
前記分散液の分散媒が前記定在波によって発熱する物質であり、及び/又は、前記分散液が前記定在波によって発熱する物質を含有する[10]又は[11]に記載の有機顔料処理方法。
[13]
前記有機顔料粒子は、前記定在波によって加熱される前の平均粒径が5000nm以下である[8]~[12]のいずれかに記載の有機顔料処理方法。
本発明の有機顔料処理装置及び有機顔料処理方法によれば、管内断面サイズの大きな流通管を用いても、この流通管内を流通する有機顔料粒子の略全体を、マイクロ波の定在波により優れたエネルギー効率で、素早く、均一に加熱でき、所望の結晶形を有し、また所望の粒径へと成長させた有機顔料粒子の大量生産が可能になる。
本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を模式的に示した概略断面図である。 整流機構を有しないマイクロ波処理装置の一形態を模式的に示した概略断面図である。 整流機構の配置位置を変えた本発明のマイクロ波処理装置の好ましい一実施形態を模式的に示した概略断面図である。 充填物によって構成される整流機構の一例を模式的に示した断面図である。 ラインミキサーによって構成される整流機構の一例を模式的に示した断面図である。 多孔板によって構成される整流機構の一例を模式的に示した断面図であり、(A)図は多孔板が一つの例であり、(B)図は多孔板が複数(3個)の例である。 (A)、(B)図とも多孔板の一例を模式的に示した上図面である。 曲面構造物によって構成される整流機構の一例を模式的に示した断面図であり、(A)図は曲面構造物が一つの例であり、(B)図は曲面構造物が複数(3個)の例である。 曲面構造物の一例を模式的に示した図面であり、(A)、(C)、(E)図は曲面構造物の上面図であり、(B)、(D)、(F)図は、(A)、(C)、(E)図のそれぞれに対する曲面構造物の右側面図である。 旋回流を発生させる配管の配置及び円柱状構造物の配置の一例を模式的に示した図面であり、(A)、(C)、(E)図は部分的に断面を示した正面図あり、(B)、(D)、(F)図は(A)、(C)、(E)の各図におけるA-A線断面図である。 空胴共振器を直列に配した本発明のマイクロ波処理装置の好ましい別の一実施形態を模式的に示した概略断面図である。 整流機構の配置位置を変えた本発明のマイクロ波処理装置の好ましい別の一実施形態を模式的に示した概略断面図である。 整流機構の配置位置を変えた本発明のマイクロ波処理装置の好ましいさらに別の一実施形態を模式的に示した概略断面図である。
以下に本発明の有機顔料処理装置について、その好ましい実施形態を、図面を参照して説明する。
[有機顔料処理装置]
図1に示すように、有機顔料処理装置1(1A)は、空胴共振器2、該空胴共振器2に設けたマイクロ波供給口3、及び該空胴共振器2内に定在波を形成することができる周波数のマイクロ波を発生するマイクロ波発生器4を有する。このマイクロ波発生器4には、マイクロ波電力を増幅する増幅器(図示せず)を備えてもよい。
空胴共振器2は、その内部のマイクロ波照射空間2Aに定在波を形成する。定在波は、TM0n0(nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードである。
例えば、円筒型のマイクロ波照射空間2Aの中心軸Cにおいて、空胴共振器2内に形成される定在波のエネルギー(電界)強度が極大となる。また中心軸C方向に定在波のエネルギーが均一となる。このエネルギーが極大でありかつ均一となる部分(本発明において「エネルギーが極大でありかつ均一となる部分」という場合、エネルギーが極大でありかつ均一となる部分とその近傍を含む意味である)に流通管6が配される。流通管6は、好ましくは円管状をなしている。流通管6の流路6A(内部空間6A)内には有機顔料粒子が流通する。この有機顔料粒子は、分散媒中に分散された分散液31として流路6A内を流通することが好ましい。以下、有機顔料粒子の分散液を流通させる形態について説明する。
例えば、TM0n0モード(nは1以上の整数)の定在波が発生する円筒形の空胴共振器2の場合、該円筒形の中心軸Cにおける電界強度が極大となり、中心軸Cに沿って電界強度が均一になる。このため、流通管6は中心軸Cに沿って配されることが好ましい。その際、中心軸Cに流通管6の中心軸を一致させて、流通管6を配することが最も好ましい。また、定在波の電界強度が高い領域内であれば、中心軸Cの近傍に、中心軸Cに沿って流通管6を配することもできる。電界強度が高い領域とは電界強度が極大になる領域およびその前後の領域をいう。
マイクロ波供給口3には、マイクロ波を印加することができるアンテナ5を有することが好ましい。アンテナ5は、ケーブル7を介してマイクロ波発生器4と接続される。
マイクロ波発生器4から発生したマイクロ波を、ケーブル7を介してアンテナ5からマイクロ波照射空間2Aに供給することができる。マイクロ波発生器4や増幅器(図示せず)によってマイクロ波電力を調整することができ、それによってマイクロ波照射空間2A内に形成される定在波の例えば電界強度分布を制御することが可能となる。
また図1に示す形態において、アンテナ5のかわりに図示していない導波管を用いたマイクロ波供給口を設置した形態とすることもできる。供給するマイクロ波の周波数を伝送できる矩形導波管もしくは円筒導波管と空胴共振器とを適切な開口部を有したアイリスを介して接続することで、マイクロ波発生器からのマイクロ波エネルギーを空胴共振器内に導入することができる。
なお、上記の各形態は、本発明の有機顔料処理装置1の一例を説明したものであり、本発明の有機顔料処理装置1は、本発明で規定すること以外は、上記の形態に何ら限定されるものではない。
マイクロ波照射空間2A内に供給されるマイクロ波の周波数は、300~1000MHzである。300~1000MHzのマイクロ波であっても、低周波数帯は、誘導加熱機構による加熱も生じ、その際にはアンテナ、空胴共振器、流通管など誘電加熱では加熱されない部分の加熱も生じうるため、エネルギー効率低下や装置破損が起こりやすくなる。このことから、マイクロ波の周波数は、好ましくは700~1000MHzであり、さらに好ましくは915MHz帯である。本発明では890~1000MHzの帯域を915MHz帯と称す。上記の周波数のマイクロ波を照射することにより、流通管6の幅方向(中心軸Cに対して直交方向)に加熱領域を、従来のマイクロ波(周波数2.45GH帯)の定在波による加熱領域よりも格段に広く形成することが可能となる。つまり、2.45GHz帯のマイクロ波を用いた場合には実現できない大きな内径の流通管を用いても目的の定在波を形成することが可能となり、かつ、流通管内を流通する有機顔料の略全体を、定在波により、素早く、均一に加熱することが可能になる。以下、一例として、915MHz帯のマイクロ波を用いた場合について説明する。
上記中心軸C方向に直交する方向における流通管6の流路6Aの最大径(流通管6の断面が円形の場合は内径)は、空胴共振器内に定在波が形成できれば特に制限されない。例えば、100mm以下とすることができ、50mm以下が好ましく、20mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましく。8mm以下としてもよい。また、流通管6の上記最大径は通常は0.2mm以上であり、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは2.5mm以上、特に好ましくは3mm以上である。上記最大径とは、流通管6の流路6Aの断面形状が円形の場合にはその直径をいい、その他の形状の場合には流路6Aの断面の面積と同じ面積の円を想定したときの直径(円相当径)をいう。
本発明において、「中心軸C方向に直交する方向における流通管6の流路6Aの最大径」は、中心軸C方向に直交する方向における流通管6の断面の内周(流路6A断面の外周)において、ある1点から別の1点までの距離が最大となる長さである。
上記のマイクロ波処理装置1では、内部に有機顔料粒子を含む分散液(分散液ともいう)31が流通する流通管6を配した空胴共振器2に対して、マイクロ波発生器4からマイクロ波を供給し、マイクロ波照射空間2A内にシングルモードの定在波を形成する。この定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、流通管6を設けることにより、流通管6内を流通する有機顔料粒子の分散液31を高いエネルギー効率で流通管6の内径方向に均一に加熱することができる。上記マイクロ波処理装置1では、空胴共振器2に設けられたマイクロ波供給口3から定在波を形成するマイクロ波がマイクロ波照射空間2A内に供給される。
定在波の周波数は、915MHz帯の周波数であり、空胴共振器2のマイクロ波照射空間2Aに定在波を形成することができればよい。上記マイクロ波供給口3から915MHz帯の周波数のマイクロ波を供給した場合に、空胴共振器2内に上記したようなTMモード又はTEモードの定在波が形成されればよい。中心軸Cに電界強度のピークが位置する加熱の場合、TM0n0モードの定在波が形成されることが好ましく、TM010、TM020、TM030のモードの定在波が形成されることがより好ましい。なかでも空胴共振器2のサイズをコンパクトにできるという理由から、TM010の定在波が形成されることがさらに好ましい。
上記有機顔料処理装置1Aにおいて、マイクロ波発生器4から供給されるマイクロ波は、周波数を調整して供給される。周波数の調整により、空胴共振器2内に形成される定在波の電界強度分布を所望の分布状態に制御することができる。またマイクロ波電力の出力によって定在波の強度を調整することができる。つまり、有機顔料粒子が分散された分散液31の加熱状態を制御することが可能になる。
具体的には、好ましくは、下記のフィードバック制御部11によって制御することができる。フィードバック制御部11は、例えば、マイクロ波発生器4に内蔵されていても、又はマイクロ波発生器4とは別体に構成されていてもよい。このフィードバック制御部11は、マイクロ波発生器4から発生するマイクロ波もしくは該マイクロ波を増幅する増幅器(図示せず)から発生するマイクロ波を、空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A内に形成された定在波の共振周波数に一致させることができる。この一致させるとは、完全に一致することが好ましいが、ある範囲内、例えば2MHz以内で一致する場合も含むものとする。そして、周波数を一致させたマイクロ波をマイクロ波照射空間2A内に照射させるものである。そのため、空胴共振器2には、マイクロ波照射空間2A内の定在波の周波数を検出する検出部12が配されていることが好ましい。検出部12には、マイクロ波照射空間2A内部の電界強度を計測し、その信号を処理して周波数を検出するものであればよい。
上記フィードバック制御部11における制御方法の具体的一例を説明する。検出部12によってマイクロ波照射空間2A内のマイクロ波のエネルギー強度に比例した出力信号を検出する。一方、マイクロ波照射空間2Aに供給するマイクロ波は、マイクロ波発生器4から発生したマイクロ波もしくはマイクロ波発生器4から発生したマイクロ波を増幅器によって増幅したマイクロ波である。このとき、マイクロ波発生器4から発生する周波数を915MHz帯全域又は915MHz帯の一部の帯域で掃引すると、検出部12からの出力信号は極大値をもつ分布を得る。この極大値はマイクロ波照射空間2A内に定在波が形成できていることを意味しているので、あらかじめTM0n0モードの定在波の共振周波数と比較することで所定のモードの共振周波数を検出することができる。フィードバック制御部11によって、マイクロ波発生器4から発生するマイクロ波の周波数を、検出したマイクロ波の周波数に一致させる。また、マイクロ波発生器4と空胴共振器2の間に設置する反射波検出器(図示せず)からの反射波信号を用いることもできる。この場合、反射波が小さい、つまり反射波の周波数が極小値となることが、空胴共振器2内にエネルギーが供給され定在波が形成されていることを意味する。したがって、マイクロ波の反射波の極小値からマイクロ波の共振器周波数を導出することもできる。
このようにして、検出部12によって検出したマイクロ波の共振周波数に一致した周波数のマイクロ波を、マイクロ波発生器4から発生させるようにする。または検出したマイクロ波の共振周波数に一致した周波数のマイクロ波を増幅器から発生させるようにする。
そして、マイクロ波照射空間2A内に周波数を一致させたマイクロ波を供給する。
共振周波数を検出するための操作は定期的に行うことが望ましい。外乱が大きい場合や温度変化、流量変化、組成変化が大きい場合、マイクロ波処理を開始した直後は短い周期たとえば1秒以下で行うことが望ましい。一方外乱が少ない場合や、温度変化、流量変化、組成変化が少ない場合、マイクロ波処理を開始し十分時間が経過し安定したのちは、長い周期、たとえば1分おきで行ってもよい。
共振周波数を検出するためにマイクロ波発生器4からのマイクロ波の周波数を掃引する場合、掃引周波数の幅は狭いほうが望ましい。しかし変動が大きい場合は掃引周波数の幅が少ない場合は掃引周波数内に極大値が見つからない場合がある。その場合は掃引周波数幅を広げて、再度掃引することで共振周波数を検出することも望ましい。
本発明のマイクロ波処理装置1の構成について詳説する。
<空胴共振器>
有機顔料処理装置1に用いる空胴共振器(空胴共振器)2の形状は、一つのマイクロ波供給口3を有し、マイクロ波を供給した際にシングルモードの定在波が形成されるものであれば特に制限はない。例えば、マイクロ波照射空間2Aが円筒形又は角筒形の空胴共振器2を用いることができる。本明細書において円筒形の空胴共振器とは、該空胴共振器の中心軸Cに直角な内側断面形状が円形であるものの他、当該断面形状が楕円形もしくは長円形であるものを含む意味に用いる。また、角筒形の空胴共振器は、中心軸Cに直角な内側断面形状が多角形であるものを意味し、当該断面形状が4~10角形であることが好ましい。また、多角形の角が、丸みを帯びた形状であってもよい。
空胴共振器2の大きさも上記説明した形態において、目的に応じて適宜に設計することができる。空胴共振器2は電気抵抗率の小さいものが望ましく、通常は金属製であり、一例として、アルミニウム、銅、鉄、マグネシウム、黄銅、ステンレス、若しくはそれらの合金等を用いることができる。又は、樹脂やセラミック、金属の表面に電気抵抗率の小さい物質をめっき、蒸着などによりコーティングしてもよい。コーティングには銀、銅、金、スズ、ロジウムを含む材を用いることができる。
<マイクロ波の供給>
本発明の有機顔料処理装置1は、マイクロ波発生器4又はマイクロ波増幅器(図示せず)から発生したマイクロ波をマイクロ波供給口3からアンテナ5を介して空胴共振器2内のマイクロ波照射空間2Aに供給される。
上記マイクロ波発生器4としては、発振周波数を例えば915MHz帯の範囲内にて調整できるマイクロ波発生器を挙げることができる。例えば、半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器や、マグネトロン等のマイクロ波発生器を用いることができる。マイクロ波の周波数を微調整できるという観点から、半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器を用いることが好ましい。半導体固体素子を用いたマイクロ波発生器としては、例えばガンダイオード、アバランシェダイオード(インパットダイオード)、等を用いたマイクロ波発生器が挙げられる。また、マイクロ波発生器から発生したマイクロ波を増幅する増幅器(図示せず)を備えることが好ましい。この増幅器は、一般的な、高周波用の電界効果トランジスタ(FET)を用いたマイクロ波増幅器を用いることができる。
図1に示す形態では、空胴共振器2として円筒形の空胴共振器を用いている。その空胴共振器2の中心軸Cに平行な壁面(円筒の内面)又はその近傍には、マイクロ波供給口3が設けられている。マイクロ波供給口3は、高周波を印加することができるアンテナ5を有していることが好ましい。アンテナ5としては磁界励起アンテナ、例えばループアンテナ、モノポールアンテナ等を用いることが好ましい。アンテナ5は、ケーブル7を介してマイクロ波発生器4と接続されている。ケーブル7には、例えば同軸ケーブルを用いることができる。
上記アンテナ5の端面は空胴共振器壁面など接地電位と接続することが好ましい。このアンテナ5にマイクロ波(高周波)を印加することで、例えばループアンテナのループ内に磁界が励振され空胴共振器内に定在波を形成する形態とすることができる。
例えば、上記の円筒状の空胴共振器においてTM010のシングルモード定在波を形成させた場合、中心軸Cにおいて、電界強度が最大になり、中心軸C方向に電界強度が均一になる。したがって、流通管6において、その内部を流通する有機顔料粒子が分散される分散液31を、均一に、高効率にマイクロ波加熱することが可能になる。
上記構成では、マイクロ波発生器4から発せられたマイクロ波を、ケーブル7を介してアンテナ5からマイクロ波照射空間2Aに供給する。マイクロ波発生器4とアンテナ5の間には、反射波を抑制するための整合器(図示せず)やマイクロ波発生器を保護するためのアイソレータ(図示せず)を設置してもよい。またケーブルの長さを調整することによって整合器の機能を果たすようにしてもよい。
上記有機顔料処理装置1においては、流路6Aの内径が小さい場合(例えば1mm以下)である円管の流通管6では、円管の半径方向に有機顔料粒子の移動が十分に行われる。例えば拡散であり、内径が1mm以下では拡散距離が短いため流通管内の不均一さは問題にならない。そのため、シングルモードの定在波を用いて均一な加熱さえ行えば有機顔料粒子を分散させた分散液31を均一に加熱処理することが可能である。しかし、300~1000MHz帯のマイクロ波より得られるTM0n0やTE10nモードの定在波による電界強度極大値とその近傍の領域の径は3mm以上となる。大量処理のためにそれに合わせて流通管6の流路6Aを3mm以上に大径化した場合、バックフロー(逆流)の形成や、層流状態の場合は流速分布により生じる滞留時間分布の影響が無視できなくなる問題が生じる。そのため、有機顔料粒子を分散させた分散液を均一に加熱処理しにくくなり、未反応部分が生じることがあるために、有機顔料処理装置としては好ましくない状態となる。
そこで、とりわけ300~1000MHz帯のマイクロ波の定在波を利用し均一加熱を行う場合、図1に示すように、流通管6の流路6A内における有機顔料粒子を分散させた分散液31の滞留時間分布をシャープ化する整流機構51を設ける必要性が特に発生する。例えば、流通管6のマイクロ波照射空間2Aに形成される定在波によって加熱される領域の前段部(上流側)に整流機構51を配することが好ましい。「上流側」とは、ある位置を基準にして分散液が流れて来る側をいい、「下流側」とは、ある位置を基準にして分散液が流れて行く側をいう。また、図3に示すように、マイクロ波照射空間2Aに形成される定在波によって加熱される領域に整流機構51を配してもよい。この場合、整流機構51の位置を除いて、その他の構成は図1に示した有機顔料処理装置1Aと同様である。本発明において「整流機構」とは、有機顔料粒子の流通管内における加熱状態、滞留時間等を均一化もしくはシャープ化するための機構を意味する。通常は流通管内の速度分布を均一化して滞留時間をシャープ化する。もしくは流通管内に乱流等を生じさせて流通管内を流通中の有機顔料粒子を撹拌することにより、有機顔料粒子の流通管内における加熱状態、滞留時間等を均一化する。すなわち、整流機構51を通した分散液が均一な速度分布もしくは乱流になって有機顔料粒子とともに流れ行くことを意味する。
上記整流機構51において未反応部分が生じることを防ぐために得られる好ましいシャープ化された滞留時間の分布とは、例えば平均滞留時間の3/4より短い時間で流通管6を出口まで到達する流体が全体の25%以下である。より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。なお滞留時間分布は、一般的に用いられるトレーサー法等により実験的に確認することができる。
整流機構51の代表的な実施形態として、流体を2つ以上に分割し衝突させて混合することによって乱流状態を作る方法、多孔板により均一な流れを作り出す方法、カルマン渦を利用する方法、旋回流を利用する方法、等がある。その他にも、流通管を急角度に変化させて渦流を生み出す方法や回転翼によって渦流を発生させながら液を流通させる方法、流通管中心に回転軸を設けてテイラー渦を発生させる方法、等を用いても滞留時間をシャープ化することができる。また、効率的に乱流を発生させることや速度分布を均一化させるために、同じ機構や別々の機構を複数組み合わせることもできる。
上記流体を2つ以上に分割し衝突させて乱流を作るより具体的構成としては、流通管内に充填物やラインミキサーを設置する構成が挙げられる。図4に示す流通管6の流路6A内に配した上記整流機構51を構成する充填物52を用いた際には、流体が充填物52に衝突して分割される。充填物52としては中空や中密どちらでも乱流を発生させる機能を有するが、圧力損失の観点から中空のものが好ましい。中空のものでは円筒状のもの、サドル形状のものに加えポールリング、テラレット(登録商標)などの不規則充填物、メッシュ状の規則的充填物を用いることができる。圧力損失の観点から充填物52の設置部分の空隙率は0.1~0.9が好ましく、より好ましくは0.1~0.8であり、さらに好ましくは、0.1~0.7である。充填物52の設置部分の厚さTは流路代表径Dの0.8倍以上が好ましく、より好ましくは1倍以上であり、さらに好ましくは2倍以上である。流路代表径Dとは、流通管6の流路6Aの断面形状の面積と等価な面積の円形の直径にて表される。
図5に示す流通管6の流路6A内に配した上記整流機構51を構成するラインミキサー53としては、ノリタケカンパニーリミテッド社製のスタティックミキサー、SATAKE LINE MIXIER(佐竹化学機械工業社製)、などが挙げられる。このラインミキサー53のエレメント53A,53Bには、捻り羽状のものなど一般的なものを用いることができる。上記ラインミキサーを用いた場合はエレメント53A、53Bで流体が分割されるが、上記整流を目的とする場合は各エレメント53A、53Bを2回以上通過させることが好ましく、より好ましくは3回以上であり、さらに好ましくは4回以上である。
上記多孔板によって均一な流れを作り出す構成の一例としては、図6(A)、(B)に示す流通管6の流路6A内に配した上記整流機構51を構成する多孔板54が挙げられる。多孔板54の配置は、孔径が流通管代表径Dの1/3以下である孔55が多数開いた多孔板54を1つ(図6(A)参照)もしくは適する間隔L毎に複数(図6(B)参照)に設置する構成が挙げられる。図面では、複数に設置した多孔板54を3個設置した例を示したが、多孔板54の個数は2個以上の複数個であればよい。多孔板54の孔55の孔径や配置(図7(A)、(B)参照)や、多孔板54の段数は、流体の粘性や多孔板到達前の流れ状態に合わせて適宜調整することができる。圧力損失の観点から孔面積と流路断面積の比率は1/4以上が好ましく、1/2以上であることがより好ましい。
上記カルマン渦を発生させる構成としては、図8(A)、(B)に示す流通管6の流路6A内に配した上記整流機構51を構成する曲面構造物56が挙げられる。曲面構造物56は、配置や段数は、流体の粘性や曲面構造物56到達前の流れ状態に合わせて適宜調整することができる。曲面構造物56は、流路6A内に球体を扁平にした曲面体や円柱などの曲面を有する構造物を設置することで達成される。
一例として図9(A)~(F)に示すような球体を扁平にした曲面体(例えば、扁平な長円回転体)57Aを有する構造体を流路6Aの中心部(図8(A)、(B)参照)や流路6の内壁面6W(図8(A)、(B)参照)に配置する。図9(A)、(B)に示す曲面構造物56(56-1)は、曲面体57Aを中心にして、流路の内壁面6Wに支持される円柱状の支持体57B、57Cを、曲面体57Aを挟んで、例えば、対向する位置に直線状に配したものである。
図9(C)、(D)に示す曲面構造物56(56-2)は、流路の内壁面6Wに、複数(例えば、4個)の曲面体(例えば、長円回転体)57Dを、等間隔に配したものである。
図9(E)、(F)に示す曲面構造物56(56-3)は、流路の内壁面6Wに支持される、円柱状を支持体57E、57Fを十字に構成したものである。
上記カルマン渦を発生させるための最適な上記構造は流体の流速や粘度などにより変化することから具体的な構造は限定されないが、圧力損失が小さい方が好ましい。つまり開口面積が大きいほうが好ましい。開口面積は、流路6の断面積から上流側からみた曲面構造物56の投影面積を引いた面積であり、流路断面積の1/5以上であることが好ましく、1/4以上であることがより好ましい。また、曲面構造物56として、市販のジェイエムエス社製のスタティックミキサー2800などを用いることでもカルマン渦を発生させ整流することができる。
上記旋回流は、例えば管壁面に対して遠心力が働くように液を供給することで発生させることができる。図10(A)に示すように流通管6の流れ方向に対して垂直の成分を持つように角度をつけて液を供給する配管58を配することによって旋回流を発生させることができる。また、旋回流を安定的に発生させるために、図10(B)に示すように、事前に流通液を2分割やそれ以上に分割して供給することもできる。図面では配管58A、58Bによって2分割した構成を示した。さらに図10(C)に示すように、流通管6の流路6Aの中心に円柱状構造物59を設置することで旋回流を好適に発生させることができる。円柱状構造物59の側面には、例えばらせん状の溝(図示せず)を設けることも可能である。また、円柱状構造物のかわりに円錐状構造物を配してもよい。上記旋回流を得るためには十分な流速が必要であることから側面から供給される1つの流路の断面積は流通管6の断面積の4/5分以下であることが好ましく、3/5以下であることがより好ましい。
整流機構51は、設置が簡便であることから特に上記した充填物を用いることが好ましい。充填物の材質としては金属、ガラス、セラミックス、樹脂製のものがある。いずれのものも本実施形態にて用いることができるが、材質によってマイクロ波の反射や吸収によって電界を乱し、加熱効率が落ちることや異常発熱の問題が生じる懸念があるため、マイクロ波を吸収しない材質が好ましい。そのような材質の例としてパイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラスなどのガラス、セラミックス、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂などがあり、より好ましくはフッ素樹脂、PEEK樹脂、PPS樹脂などの樹脂製のものがある。
上記有機顔料処理装置1には、流通管6の入口6IN側に有機顔料粒子を分散させた分散液(単に分散液ともいう)31を供給する原料タンク61が配管62を介して接続されていることが好ましい。この配管62には、原料タンク61から分散液31を、流通管6に送る送液手段63として、例えば送液ポンプが配されていることが好ましい。また、流通管6の出口6OUT側(下流側)には、配管64を介して処理済みの分散液を収納する受け容器65が接続されている。この配管64には流通管6の出口6OUT付近に、処理した分散液の温度を測定する温度測定器41が設置されていることが好ましい。さらに、配管64には、加熱処理済の分散液を冷却する冷却器66を備えることが好ましい。この冷却器66は、一例として、二重管式冷却管を用いることができるが、分散液が冷却されるものであればその他の構成の冷却器を用いてもよい。また、冷却器66の下流側には分散液の温度を測定する温度測定器42が設置されることが好ましい。
本発明の有機顔料処理装置1(1B)は、複数の空胴共振器2をその中心軸C方向に直列に配列したものであってもよい。
すなわち、図11に示すように、有機顔料処理装置1(1B)は、上記した有機顔料処理装置1Aを複数段に構成したものであり、具体的には複数の空胴共振器2を積層状態に、直列に配したものである。図面では一例として、3個の空胴共振器21、22、23を上下方向に順に積層したものを示した。空胴共振器2の個数は3個に限定されるものではない。空胴共振器2の個数は、2個以上数千個程度まで積層することも可能である。複数の空胴共振器2には、直列連結方向にてかつ各空胴共振器2内に形成される定在波のエネルギーが極大となり、軸方向には均一となる部分に貫通する流通管6が配されている。この場合、流通管6内に有機顔料粒子が流通する。例えば、TM0n0モード(nは1以上の整数)の定在波が発生する円筒形の空胴共振器2の場合、円筒の中心軸Cの電界強度が極大となり該中心軸Cに沿っては電界強度が均一となるため、流通管6は円筒形の中心軸Cにそって(中心軸上に)配されることが好ましい。
各空胴共振器2には、それぞれにマイクロ波発生器4が配され、各空胴共振器2に対して個別にマイクロ波が供給される。マイクロ波周波数には915MHz帯の周波数が用いられる。
上記の有機顔料処理装置1Bでは、内部に有機顔料粒子が流通する流通管6を配した空胴共振器2に対して、マイクロ波発生器4からマイクロ波を供給し、マイクロ波照射空間2Aに定在波を形成する。その定在波の電界強度が極大となる部分によって流通管6内の有機顔料粒子を加熱する。上記マイクロ波処理装置1では、空胴共振器2に設けられたマイクロ波供給口3からアンテナ5を介して定在波を形成するマイクロ波がマイクロ波照射空間2Aに供給される。
上記有機顔料処理装置1Bは有機顔料処理装置1と同様に、流通管6の入口6IN側には、図示はしていない配管を介して原料タンクが接続され、その配管には送液ポンプが配されていることが好ましい。また、流通管6の出口6OUT側には、図示はしていない配管を介して処理済みの有機顔料粒子を収納する受け容器が接続されることが好ましい。また受け容器に接続する配管には有機顔料粒子を冷却する冷却器を備え、冷却器の上流側及び下流側には有機顔料粒子の温度を測定する温度測定器が設置されていることが好ましい。
上記整流機構51を設置する流通管6内の位置としては、流通管6の加熱領域(マイクロ波照射空間2A内)の前段でもよく、または加熱領域内でもよい。加熱領域が複数段ある場合は、空胴共振器間でもよく、もしくは空胴共振器内、または空胴共振器内及び空胴共振器間の全領域であってもよい。
例えば、前述の図1に示したように、空胴共振器2の前段(上流側)における空胴共振器2を貫通する流通管6内に整流機構51を配することが好ましい。
また前述の図3に示したように、空胴共振器2を貫通する流通管6の空胴共振器2内及びその前段と後段とにわたって整流機構51を配することが好ましい。
また、図12に示すように、複数の空胴共振器2のそれぞれの前段及び後段に位置する流通管6内に複数の整流機構51を配することが好ましい。
さらに、図13に示すように、複数の空胴共振器2内に配された流通管6内の位置に整流機構51を配することが好ましい。
上記図3に示した有機顔料処理装置1は、整流機構51以外は前述の図1に示した有機顔料処理装置1Aと同様に構成され、上記図12及び13に示した有機顔料処理装置1は、整流機構51以外は前述の図11に示した有機顔料処理装置1Bと同様に構成される。
温度保持時間の制御のために、空胴共振器2の後段に保温部(図示せず)を取り付けることが好ましい。保温部は、マイクロ波により所定温度まで急速加熱された分散液を、顔料粒子が所望の結晶形や所望の粒子サイズに変化が完了するまで温度を保持するものである。例えば、有機顔料に上記の変化が起こる温度であり、空胴共振器2に配した流通管6内の分散液と同じかそれに近い温度、例えば±10℃で保温することが好ましい。また加熱された分散液31を冷やすために、例えば、保温部の後段に冷却部(例えば、2重熱交換器)66を取り付けることが好ましい。分散液31の冷却は、例えば、過度の粒子成長を防ぐという観点から、50℃程度に冷却することが好ましく、より好ましくは40℃、さらに好ましくは30℃に冷却する。冷却の方法としては分散液31を冷却水と混合して温度下げる方法も用いることができる。
上記マイクロ波処理装置1において、マイクロ波発生器4から供給されるマイクロ波は、周波数を調整して供給される。周波数の調整により、空胴共振器2内に形成される定在波の電界強度分布を所望の分布状態に制御し、またマイクロ波の出力によって定在波の強度を調整することができる。つまり、有機顔料を含む分散液31の加熱状態を制御することができる。
なお、マイクロ波供給口3から供給されるマイクロ波の周波数は、空胴共振器2内に特定のシングルモード定在波を形成することができるものである。またマイクロ波処理装置1Bにおける各空胴共振器内に形成される定在波の種類(モード)は、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
[有機顔料処理方法]
有機顔料処理方法は、空胴共振器2内のマイクロ波照射空間2Aにマイクロ波を照射する。そして、該マイクロ波照射空間2A内にTM0n0(nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードの定在波を形成する。該定在波を用いて有機顔料粒子を処理する。マイクロ波には915MHz帯の周波数のマイクロ波を用いる。また定在波のエネルギー(電界)強度が極大となる部分に沿って流通管6を配する。
有機顔料処理方法には、上述の有機顔料処理装置1A又は1Bを用いることが好ましい。以下、有機顔料処理装置1Aの場合を説明するが、有機顔料処理装置1Bを用いた場合も有機顔料処理装置1Aと同様に適用できる。
具体的には、上記有機顔料処理装置1Aを用いて流通管6内の有機顔料粒子を含む分散液31の加熱を行うことができる。まずマイクロ波発生器4から上記のように周波数を調整して供給されるマイクロ波を、空胴共振器2のマイクロ波照射空間2A内に供給する。周波数の調整により、空胴共振器2内に形成される定在波の電界強度分布を所望の分布状態に制御することができ、またマイクロ波の出力によって定在波の強度を調整することができる。つまり、流通管6内(内部空間6A)の分散液31の加熱状態(温度)を精密に制御することが可能になる。この温度制御によって、有機顔料粒子の反応を制御することができる。
上記マイクロ波の周波数は上記915MHz帯の周波数であり、マイクロ波照射空間2A内に特定のシングルモード定在波を形成することができるものである。なお、有機顔料処理装置1Bの場合、各空胴共振器内に形成される定在波の種類(モード)は、異なっていてもよいが、同じであることが好ましい。
<有機顔料>
本発明に用いる有機顔料に特に制限はなく、着色材料として用いられる有機顔料を広く用いることができる。
有機顔料の加熱による結晶転移は熱力学的作用によって生じる。そのため、本発明に用いることができる有機顔料は特に限定されるものではなく、とりうる結晶型が複数存在するすべての有機顔料に応用できる。代表的な有機顔料としては例えば、アゾ顔料、多環式顔料等が挙げられる。これらの有機顔料は、例えば、特開2016-193962号公報の段落[0016]及び[0017]に記載されているものを挙げることができる。
<有機顔料のマイクロ波加熱>
有機顔料は一般的に分子の対象性が高く、マイクロ波の吸収性は低い。したがって、好ましくは、マイクロ波を吸収する媒体中に有機顔料を分散した状態の有機顔料粒子の分散液を調製し、この分散液を流通管内に流通させてマイクロ波の定在波により加熱することが好ましい。
加熱処理で顔料粒子は成長するため、粉砕や再沈法で目的の用途で使用される粒子サイズよりも微細化しておくことも好ましい。着色用途やハイテク分野に顔料粒子を用いる観点から、5.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
例えば銅フタロシアニンの場合、化学合成後の顔料(「粗顔料」や「クルード」と呼ばれる)の粒子サイズは実用される粒子サイズよりも相当に大きい(例えば10~100倍以上の粒子直径)。そのため、粉砕等よる微細化処理を行うが、それによって微細化とともに結晶形も変わってしまう(一般に合成直後はβ型、微細化処理後はα型)。そこで微細化処理後に加熱処理で所望の結晶に変化させるとともに粒子径サイズも微細化工程で小さくなりすぎている場合は所望のものに整える必要が生じる。
ただし、顔料によっては合成直後の粒子が小さいために、微細化処理を経ずに加熱で粒子サイズを大きくするだけで良いものもある。
<加圧>
溶媒の沸点を超える温度で加熱処理を行う場合は、流通管6の流路6A内を加圧することが好ましい。
流路6A内の加圧手段として流通管6の出口6OUTに背圧弁(図示せず)を設けることが好ましい。背圧弁は、定量ポンプの吐出配管上に設置され、オーバーフィード現象やサイホン現象を防止する圧力調整弁であり、圧力(背圧)をかけることにより、規定量より過大に吐出されることを防ぐことができる。オーバーフィード現象とは、吐出の勢い(慣性)によって、ポンプが停止しても液体が流れ続ける現象のことである。また、サイホン現象とは、ポンプ吐出側配管の先端位置が、吸込側タンクの液面より低い場合に、ポンプを止めても薬液が自然に吸い出されて流れ続ける現象のことである。
<有機顔料粒子の分散液>
定在波を吸収するエネルギーは下記式1中のPによって示されるため、導電率や誘電損率の高い分散液を用いることが好ましい。分散液としては、導電率が、10-5S/m以上が好ましく、10-4S/m以上がより好ましく、10-3S/m以上がさらに好ましい。ただし、導電率が10S/mより大きいと定在波形成を阻害するため不適切である。また誘電損率(比誘電率εと誘電正接tanδを掛けた値)が、0.01以上が好ましく、0.1以上がより好ましく、1以上がさらに好ましい。例えば、水、電解質が溶解した水溶液(酸、アルカリ、塩類)、極性液体類として、N-メチル-2ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどのアミド類、1-プロパノール、エタノールなどのアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、エーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類が挙げられ、上記のうち2種以上の混合した媒質であってもよい。
定在波の吸収性を高めるための添加剤として上記のものにイオン液体や塩類などの電解質、磁性材料の粒子(酸化鉄等)、導電性材料の粒子(カーボン)などを加えてもよい。
さらにはトルエン、キシレンなどの無極性液体であっても上記の液体や添加剤を加えたものを分散液として用いることができる。
Figure 0007177637000001
[式1中、σは分散液の電導率、fはマイクロ波の周波数、εは真空の誘電率、ε”は分散液の誘電損率、Eは電界強度、μは真空の透磁率、μ”は分散液の磁気損失、Hは磁場の強さを示す。]
<有機顔料粒子の分散液への添加剤>
有機顔料粒子の分散液には、目的の結晶形の顔料、顔料分散剤、粘度調整剤、定在波により発熱する物質を加えることもできる。
<加熱温度>
顔料を加熱する温度は、顔料粒子の成長や結晶転移が生じる温度であればいずれでもよい。温度が低すぎると、粒子成長や結晶転移が遅くなり加熱時間が増大することになることから、例えば50℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上である。他方、温度が高すぎる場合は顔料が分解してしまうため、通常は300℃以下であり、好ましくは250℃以下であり、より好ましくは200℃以下である。
<顔料結晶の同定方法>
顔料結晶の同定はCu-Kα線によるX線回折法(XRD)によって行った。
<顔料粒子の平均粒径の測定方法>
透過型電子顕微鏡を用いて視野内の有機顔料粒子を撮影し、二次元画像上の有機顔料粒子の一次粒子の50個につき、その最大径(長径)を各々求め、その平均値を平均粒径とした。また一定視野における個数から粒子径の分布を統計的に求めることもできる。
<実施例に用いる処理装置>
実施例1~3には、前述の図1に示した有機顔料処理装置1を用いた。
流通管6は外径10mm、内径6mmの石英ガラス製の流通管を用い、流通管6の整流機構51として、外径3mm、内径2mm、長さ2mmのフッ素樹脂製リング40個を充填した。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
[製造例1]
銅フタロシアニン15部を96質量%濃硫酸(和光純薬工業株式会社製)100mLに溶解した顔料溶解液を氷水1000部にマグネチックスターラーにて激しく撹拌しながら加え、顔料分散液を得た。顔料分散液を水で十分ろ過して洗浄し、顔料ケーキを得た。顔料ケーキを90℃で一晩(8時間)乾燥し、乾燥顔料を得た。XRDによって結晶形を確認するとα型に特徴的である2θ=6.8°、7.3°のピークを検出し、その他の結晶由来のピークは検出されなかったことからα型であることを確認した。上記乾燥顔料の平均粒径は35nmであった。
[製造例2]
C.I.ピグメントレッド254の15部をジメチルスルホキシド319質量部(和光純薬工業株式会社製)とナトリウムメトキシドの28質量%メタノール溶液11質量部(シグマアルドリッチ社製)との混合溶媒中に90℃で溶解させた顔料溶解液を得た。顔料溶解液を4℃の5質量%塩酸水溶液1200質量部にマグネチックスターラーにて激しく撹拌しながら加え、顔料分散液を得た。顔料分散液を水で十分ろ過で洗浄し、顔料ケーキを得た。XRDによって結晶形を確認するとβ型に特徴的な2θ=5.8°が検出され、その他の結晶由来のピークは検出されなかったことからβ型であることを確認した。上記乾燥顔料の平均粒径は40nmであった。
[実施例1]
製造例1で得たα型銅フタロシアニン200部をN-メチル-2-ピロリドン1000部に加えて分散し、分散液とした。有機顔料処理装置には、図1に示した有機顔料処理装置1を用いた。この空胴共振器2は、915MHz帯のマイクロ波を照射してTM010の定在波が形成されるものを用い、マイクロ波照射空間2Aの中心軸C方向の高さは5cmのものを用いた。また流通管6には、外径が10mm、内径が6mmの石英管を用いた。この流通管6の空胴共振器内に配される部分の長さは40mmである。送液手段63の送液ポンプには、モーノポンプ(兵神装備社製2NL型(商品名))を用いて流通管6に通液し、空胴共振器2内にて加熱処理を行った。このとき流量と流通管6の流路6Aの容積とから計算される平均滞留時間は15秒であった。また、マイクロ波加熱部の後段部分の温度(温度測定器41の測定温度)は160℃であり、所望の温度に制御できた。配管64の出口64OUTから得た分散液を純水でろ過洗浄し、顔料ケーキを得た。顔料ケーキを90℃で一晩(8時間)乾燥し、乾燥顔料を得た。乾燥顔料の結晶をXRDによって確認したところ、α型由来のピーク2θ=7.3°が検出されなくなっており、β型の特徴的なピークである2θ=7.0°、9.2°を検出した。したがって、全てβ型に変換されていることを確認した。上記の乾燥顔料の平均粒径は145nmであった。
[実施例2]
製造例1で得たα型銅フタロシアニン100部と平均粒径80nmのDIC株式会社製ε型銅フタロシアニン(FASTOGEN BLUE AE-8(商品名))100部をN-メチル-2-ピロリドン1000部に加えて分散した分散液を被処理対象物とした。実施例1と同様の有機顔料処理装置1(図1参照)を用いて加熱処理を行った。このときの流量と流通管6の流路6Aの容積とから計算される平均滞留時間は15秒であった。また、マイクロ波加熱部の後段部分の温度(温度測定器41の測定温度)は130℃であり、所望の温度に制御できた。配管64の出口64OUTから得た分散液をろ過洗浄し顔料ケーキを得た。顔料ケーキを90℃で一晩(8時間)乾燥し、乾燥顔料を得た。乾燥顔料の結晶をXRDによって確認したところ全てε型の銅フタロシアニンに変換されていた。XRDによりα型由来のピーク2θ=7.3°が検出されなくなっており、ε型の特徴的なピークである2θ=7.6°、9.2°を検出した。したがって全てε型に変換されたことを確認した。上記乾燥顔料の平均粒径は115nmであった。
[実施例3]
製造例2のとおりに合成したβ型ピグメントレッド254を10部、それをエチレングリコール100部に加えて分散した分散液を被処理対象物とした。実施例1と同様の有機顔料処理装置1(図1参照)を用いて加熱処理を行った。このときの流量と流通管6の流路6Aの容積とから計算される平均滞留時間は2秒であった。また、マイクロ波加熱部の後段部分の温度(温度測定器41の測定温度)は150℃であり、所望の温度に制御できた。配管64の出口64OUTから得た分散液をろ過洗浄し顔料ケーキを得た。顔料ケーキを90℃で一晩(8時間)乾燥し、乾燥顔料を得た。乾燥顔料の結晶をXRDによって確認したところ、α型に特徴的なピーク2θ=7.4°のピークが検出され、β型に特徴的な2θ=5.8°のピークは検出されなかった。すなわち全てα型に変換されていた。上記乾燥顔料の平均粒径は80nmであった。
[比較例1]
上記の図2に示した整流機構を配していない有機顔料処理装置1Cを用いて加熱を行った以外は実施例1と同様に行った。すなわち、有機顔料処理装置1Cは実施例1にて用いた有機顔料処理装置1A(図1参照)から整流機構51を除いたものである。得られた乾燥顔料にはβ型も確認されたが、原料であるα型由来のピーク2θ=7.3°が検出され、結晶変化が完了していない顔料が残っていることを確認した。滞留時間に分布が生じ、十分に加熱処理されず配管64の出口64OUTに到達した顔料があったと推定される。
[比較例2]
上記の図2に示した比較例1で用いた有機顔料処理装置1Cを用いて加熱を行い、流量から計算される平均滞留時間を30秒とした以外は実施例1と同様に行った。得られた乾燥顔料は全てβ型であったが、平均粒径が500nm以上の粗大粒子となった。
[比較例3]
上記の図2に示した比較例1で用いた有機顔料処理装置1Cを用いて加熱した以外は実施例2と同様に行った。得られた乾燥顔料にはε型も確認されたが原料由来のα型結晶が残っていることをXRDによって確認した。
[比較例4]
上記の図2に示した比較例1で用いた有機顔料処理装置1Cを用いて加熱した以外は実施例3と同様に行った。得られた顔料に原料由来のβ型結晶が残っていることをXRDによって確認した。
上記各実施例1~3及び各比較例1~4の加熱後の結晶構造及び加熱後のそれぞれの平均粒径は表1のようになった。
Figure 0007177637000002
本発明の有機顔料処理装置1を用いて加熱処理して得られる有機顔料は、表1に示したようになった。これらの有機顔料は、例えば着色用途として、平版インキ、グラビアインキ、フレキソインキ等の印刷インキ分野、ラッカー、焼き付け塗料等の塗料分野に好適に使用できる。また、ポリオレフィンや熱可塑性ポリエステル等の成形品着色分野、インクジェットインキ、カラーフィルター、電子写真粉体トナー等のハイテク分野等の各種の用途に好適に使用できるものである。
1、1A、1B、1C 有機顔料処理装置
2、21,22、23 空胴共振器
2A マイクロ波処理空間
3 マイクロ波供給口
4 マイクロ波発生器
5 アンテナ
6 流通管
6A 流路
IN 入口
OUT 出口
7 ケーブル
11 フィードバック制御部
12 検出部
31 有機顔料粒子の分散液(分散液)
41、42 温度測定器
51 整流機構
52 充填物
53 ラインミキサー
53A、53B エレメント
54 多孔板
55 孔
56、56-1~56-3 曲面構造物
57A、57D 曲面体
57B、57C、57E、57F 支持体
58、58A、58B 配管
59 円柱状構造物
61 原料タンク
62、64配管
63 送液手段
65 受け容器
66 冷却器
C 中心軸

Claims (12)

  1. 空胴共振器と、該空胴共振器内を貫通し有機顔料粒子が流通する流通管とを備える有機顔料処理装置であって、
    前記空胴共振器内には300~1000MHzの周波数のマイクロ波が照射されて、該空胴共振器内にTM0n0(nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードの定在波が形成され、
    前記流通管は前記定在波の電界強度が極大となる部分に沿って配され、該流通管内の少なくとも一部に、該流通管内を流通する前記有機顔料粒子の流れを整流する整流機構を有し、
    前記定在波による電界強度が一定となる方向に対して直交する方向において、前記流通管内の最大径が3mm以上100mm以下である、有機顔料処理装置。
  2. 前記流通管を、前記有機顔料粒子の分散液が流通する請求項1に記載の有機顔料処理装置。
  3. 前記分散液の分散媒が前記定在波によって発熱する物質であり、及び/又は、前記分散液が前記定在波によって発熱する物質を含有する、請求項2に記載の有機顔料処理装置。
  4. 前記流通管の出口に背圧弁を備える請求項1~のいずれか1項に記載の有機顔料処理装置。
  5. 前記有機顔料粒子を、前記有機顔料粒子の粒子成長及び/又は結晶転移が生じる温度以上に加熱する請求項1~のいずれか1項に記載の有機顔料の処理装置。
  6. 前記有機顔料処理装置は、
    前記空胴共振器が直列に複数配され、該複数の空胴共振器には、各空胴共振器に対してマイクロ波が各別に供給され、
    前記流通管は、前記複数の空胴共振器の直列連結方向でかつ該複数の空胴共振器内に形成される定在波の電界強度が極大となる部分に沿って、該複数の空胴共振器を貫通して配される請求項1~のいずれか1項に記載の有機顔料処理装置。
  7. 空胴共振器内に300~1000MHz帯の周波数のマイクロ波を照射して、該空胴共振器内にTM0n0(nは1以上の整数)又はTE10n(nは1以上の整数)のシングルモードの定在波を形成し、該定在波の電界強度が極大となる部分に沿って配された流通管内を流通する有機顔料粒子を整流しながら加熱することを含み、前記定在波による電界強度が一定となる方向に対して直交する方向において、前記流通管内の最大径を3mm以上100mm以下とする、有機顔料処理方法。
  8. 前記有機顔料粒子を、前記有機顔料粒子の粒子成長及び/又は結晶転移が生じる温度以上に加熱する請求項に記載の有機顔料処理方法。
  9. 前記流通管に前記有機顔料粒子の分散液を流通させる請求項又はに記載の有機顔料処理方法。
  10. 前記分散液は、導電率が10-5S/m以上、もしくは誘電損率が0.01以上である請求項に記載の有機顔料処理方法。
  11. 前記分散液の分散媒が前記定在波によって発熱する物質であり、及び/又は、前記分散液が前記定在波によって発熱する物質を含有する請求項又は10に記載の有機顔料処方法。
  12. 前記有機顔料粒子は、前記定在波によって加熱される前の平均粒径が5000nm以下である請求項11のいずれか1項に記載の有機顔料処理方法。
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