JP6566548B2 - 所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法 - Google Patents

所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法に関する。より具体的には、極めて短時間の加熱により顔料の結晶変換を行い、カラーフィルタ等に用いることができる所望の結晶型を有する高機能有機顔料を製造する方法に関する。
液晶表示装置のカラーフィルタは、一般的に赤色画素部(R)、緑色画素部(G)及び青色画素部(B)を有する。これらの各画素部は、いずれも有機顔料が分散した合成樹脂の薄膜が基板上に設けられた構造を有し、有機顔料としては、赤、緑及び青の各色の有機顔料が用いられている。
これら画素部のうち、赤色画素部を形成するための赤色有機顔料としては、一般に、ジケトピロロピロール顔料(C.I.ピグメントレッド254)、ジアミノジアントラキノン顔料(C.I.ピグメントレッド177)、縮合アゾ顔料(C.I.ピグメントレッド242)が用いられている。また、青色画素部を形成するための青色有機顔料としては銅フタロシアニン顔料(ピグメントブルー15;例えば、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:6、等)が用いられている。
これらの有機顔料は複数の結晶型を有する場合があるが、結晶型によって色相が異なるため、製造段階においてカラーフィルタ用途に適した結晶型に変換しなければならない。例えばC.I.ピグメントレッド254の場合は、α型とβ型の2種類の結晶型が知られており、カラーフィルタ用途では主にα型が用いられる(特許文献1参照)。
また、カラーフィルタを作成する際の有機顔料には、従来の汎用用途とは全く異なる特性、具体的には、液晶表示装置の表示画面がより鮮明に見える様にする(高コントラスト化)、或いは、該表示画面がより明るくなる様にする(高輝度化)等の要求があり、このような特性を向上させるためには、有機顔料の粒子径や結晶の大きさ(結晶子径)も微細に制御する必要がある。したがって、カラーフィルタに用いられる有機顔料は、顔料の結晶型が適切且つ粒子径や結晶子サイズが微細であることが求められる。
従来、微細な粒子径の有機顔料を得るための方法として、再沈法が知られている。しかしながら、再沈法では結晶型の制御が非常に困難であり、用いる溶媒が限定されるという問題がある。加えて、再沈法では所望の結晶型以外の結晶も発生しやすいことから、再沈法の後に結晶型を変換するための後処理工程を用いることが好ましいとされている(特許文献2〜3参照)。
有機顔料の結晶型変換としては、ソルベントミリング法によるせん断エネルギーの付加により広く行われている(特許文献1参照)。
また、近年では、有機顔料の結晶が加熱によって結晶転移することを利用した結晶型変換も行われており、例えば特許文献4に挙げるようなマイクロ波照射を用いた加熱が知られている。
特開2014−177532号公報 国際公開第2011/096401号 国際公開第2011/24896号 特開2006−83368号公報
しかしながら、ソルベントミリング法は、処理に長時間を要するため非効率的であるという問題がある。加えて、製造する有機顔料に対して数十倍重量におよぶ塩や溶剤が廃棄物として発生するため、環境への負担も極めて大きいという問題がある。
また、特許文献4に記載のような加熱による結晶転移は、必ず結晶の成長を伴う。そのため、特許文献4のような長時間の加熱(10〜20分)を行った場合、結晶が成長してしまい、カラーフィルタ用途等の高機能顔料の製造には適さないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、環境負荷を低減しつつ、効率的に顔料の結晶変換を行い、カラーフィルタ等に好適に用いることができる、所望の結晶型を有する高機能有機顔料を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、有機顔料の結晶変換工程について鋭意検討したところ、極めて短時間で加熱を完了することにより結晶の成長を伴わずに結晶型を変換可能なことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記の特徴を有する所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法に関する。
(1)有機顔料及び溶媒を含有する分散液を、当該有機顔料が結晶転移する温度以上に加熱して結晶変換させる、所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法であって、前記加熱を、マイクロ波照射により行い、前記マイクロ波照射が、シングルモードキャビティを用いたものであり、前記加熱の時間が0.01〜10秒であることを特徴とする、所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法。
)製造された有機顔料がカラーフィルタ用である、前記(1)の所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法。
本発明の所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法は、30秒未満という極めて短時間で加熱を完了して結晶変換することにより、加熱後にも微細な結晶を有する有機顔料が得られる。そのため、本発明の所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法によって製造された有機顔料は、カラーフィルタなどの用途に特に優れる微細な結晶と所望の結晶型とを有する有機顔料することができる。
マイクロ波照射装置の一例を示す模式構成図である。 マイクロ波照射装置の他例を示す模式構成図である。
本発明の所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法は、有機顔料及び溶媒を含有する分散液を、当該有機顔料が結晶転移する温度以上に加熱して結晶変換するものである。
・有機顔料
有機顔料の加熱による結晶転移は熱力学的作用によって生じる。そのため、本発明の製造方法に用いることができる有機顔料は特に限定されるものではなく、とりうる結晶型が複数存在するすべての有機顔料に応用できる。代表的な有機顔料としては例えば、アゾ顔料、多環式顔料等が挙げられる。
とりうる結晶型が複数存在するアゾ顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー16、32、83、97、120、151、154、155、175、180、181、191、194、213、214;ピグメントオレンジ34、36、38、62、72、74、ピグメントレッド53:2、112、137、144、170、171、175、176、185、187、188、208、214、242、247、253;ピグメントバイオレット32;ピグメントブラウン25等が挙げられる。
とりうる結晶型が複数存在する多環式顔料としては、例えば、イソインドリノン、イソインドリン、アンタントロン、チオインジゴ、キノフタロン、アントラキノン、ジオキサジン、フタロシアニン、キナクリドン、ペリレン、ペリノン、ジケトピロロピロール、チアゾインジゴまたはアゾメチン顔料、特にピグメントバイオレット19、23、ピグメントブルー15(15:2、15:4、15:6)、ピグメントレッド122、254、264、およびピグメントイエロー139等が挙げられる。
上述のような、とりうる結晶型が複数存在する有機顔料の結晶型は、加熱により変換させることができる。また、有機顔料の結晶が転移する温度は、有機顔料を分散する溶媒の種類や、顔料と溶媒の他に加えられる添加剤、圧力や機械的な力によって大きく影響を受けるが、有機顔料の結晶変換を目的とした処理工程はおおよそ50℃以上で行われることが多い。
例えば、特許文献1には、β型C.I.ピグメントレッド254をニーダーによる混練でα型C.I.ピグメントレッド254に変換する方法が示され、20〜200℃の温度範囲が適することが示されている。
特許文献4には、C.I.ピグメントレッド170を水中で加圧しながら100℃以上で加熱しα型からβ型に変換する方法が示されている。また、β型C.I.ピグメントイエロー213を水またはN−メチル−2−ピロリドン中で160℃以上に加熱しα型に変換する方法も示されている。
特表2012−513510号公報では、β型銅フタロシアニンを硫酸中でα型銅フタロシアニンに変換する工程と、前記方法で得られたα型銅フタロシアニンにε型銅フタロシアニンを加えて、N−メチル−2ピロリドン中、130℃以上で加熱処理することでε型の銅フタロシアニン(ピグメントブルー15:6)を得られる方法が示されている。
特開2005−272760号公報では、α型結晶の銅フタロシアニン単独またはα型結晶の銅フタロシアニンとε型結晶の銅フタロシアニンとの混合物を、ヨウ素、臭素、キノン類等のルイス酸共存下、溶剤中80〜250℃で処理することによってε型結晶形銅フタロシアニンを製造する方法が示されている。
本発明で用いる有機顔料は、合成された直後の粗製有機顔料(クルード)であってもよく、再沈法等による精製、洗浄や、一次粉砕を行った後の有機顔料であってもよい。
分散液中の有機顔料の含有量は特に限定されるものではないが、短時間で好適に加熱を行う観点から、分散液全量に対する有機顔料の含有量は、0.1〜10質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがより好ましく、0.8〜3質量%であることが特に好ましい。
・溶媒
本発明において用いる溶媒としては特に限定されるものではないが、目的とする有機顔料の結晶転移温度以上に加熱することが可能な溶媒、すなわち、目的とする有機顔料の結晶転移温度以上の沸点を有する溶媒を用いることが好ましい。換言すれば、一般的な有機顔料の多くの結晶転移温度は50℃以上であるため、50℃以上の沸点を有する溶媒を用いることが好ましい。なお、常圧下における沸点が結晶転移温度未満の溶媒を用い、加圧下で加熱を行うことにより、溶媒の沸点を上昇させた状態で加熱処理を行ってもよい。その場合、常圧下における溶媒の沸点は問わない。
また、加熱処理において後述するマイクロ波照射装置を用いる場合であれば、溶媒はマイクロ波を効率よく吸収するものが好ましい。一般的に有機顔料はマイクロ波を吸収せず、有機顔料自身が直接加熱されることはない。そのため、マイクロ波照射装置を用いる場合には、マイクロ波によって溶媒が加熱され、当該溶媒中に分散された有機顔料が二次的に加熱される。そのため、マイクロ波照射装置を用いる場合には、マイクロ波吸収効率の高い溶媒を用いることが肝要である。
具体的には、マイクロ波を吸収するエネルギーは下記式中のPによって示されるため、導電率や誘電損率の高い溶媒を用いることが好ましい。
このような溶媒としては、水;電解質が溶解した水溶液;酸やアルカリ及びその水溶液;N−メチル―2−ピロリドン、N,N―ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の極性有機溶媒;また、エチルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどのアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコール類、アセトンなどのケトン類、プロプレングリコールモノメチルエーテルアセテ−トなどのグリコールエーテル類などが挙げられ、これらの1種以上を混合した溶媒も用いることができる。
Figure 0006566548
[式中、σは溶媒の電導率、fはマイクロ波の周波数、εは真空の誘電率、ε”は溶媒の誘電損率、Eは電界強度、μは真空の透磁率、μ”は溶媒の磁気損失、Hは磁場の強さを示す。]
・分散液
本発明において、有機顔料及び溶媒を含有する分散液は、加熱及び有機顔料の結晶転移を妨げない範囲で、有機顔料及び溶媒以外のその他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、有機顔料を好適に分散させるための分散剤;所望の結晶型への変換を促進するための添加剤(ルイス酸類、顔料誘導体、所望の結晶型などの原料の結晶型とは異なる結晶の顔料粒子等);加熱を促進するための金属や磁性化合物(Fe等)の粉体やコロイド粒子等が挙げられる。
・加熱方法
本発明において加熱方法は、有機顔料を30秒未満で結晶転移温度以上に加熱することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、通常のオイルバスやオーブンに代えて、マイクロ波照射装置を用いた方法、マイクロリアクターを用いた方法等が好ましい方法として挙げられる。
加熱時の到達温度は、有機顔料の結晶転移温度以上であれば特に限定されるものではないが、通常、50℃以上で行うことが好ましい。なお、結晶転移温度は、加熱変換処理を行った後、XRDで確認して推定することができる。
有機顔料及び溶媒を含有する分散液を短時間に加熱するには、分散液に大きなエネルギーを加えることが有効である。たとえば、オーブンやオイルバスなどで溶媒を短時間に加熱するためには、オーブンやオイルバスの設定温度を、溶媒の目的温度より高い温度に設定することが有効である。このような操作では、反応容器に接触する部分の分散液温度が目的温度より高くなる一方、反応容器壁面から離れた位置にある分散液温度が目的温度に到達するには時間の遅れが生じる。加熱時間を短くするには、オーブンやオイルバスの設定温度をさらに高くすることになるが、これは分散液内に大きな温度差が生じる。しかし、反応容器壁面の温度が溶媒の沸点以上になると、突沸や顔料の分解などが生じる可能性があるため、オーブンやオイルバスの温度設定には上限があり、加熱時間を短くするには制限があった。
一方、分散液自身が電磁波など外部から供給したエネルギーを吸収して自己発熱するような加熱法の場合は、オーブンやオイルバスによる加熱と異なり、大きなエネルギーを加え、短時間に加熱しても分散液内の温度差が生じにくいという特徴がある。
また、反応容器を小さくしたマイクロリアクターも、反応容器壁面から離れた位置にある分散液温度が目的温度に到達するには時間の遅れの影響を少なくすることも有効である。
(マイクロ波照射装置)
マイクロ波照射装置としては、例えば、特開2010−207735号公報に挙げられるような定在波を用いたシングルモードキャビティを備えるマイクロ波照射装置が挙げられる。シングルモードキャビティは、金属製の円筒状の共振空間を有し、円筒の中心部分に反応管を置くことで、反応管に電界を局所的に集中できるものである。この反応管内に有機顔料を分散させた分散液を連続的に通液しながら、マイクロ波を照射することで、極めて短時間で結晶転移温度以上への加熱を完了させることができる。
以下、図1を用いて、定在波を用いたシングルモードキャビティを備えるマイクロ波照射装置の一例を説明する。図1のマイクロ波照射装置は、マイクロ波発振器・制御器6、TM010キャビティ(キャビティ)2、送液ポンプ3、反応管7を備える。キャビティ2は、内部に円筒型の空間を有する金属製の空胴共振器である。キャビティ2の内部空間は、TM010と呼ばれる定在波が形成できるように、その内寸を適宜設定することができる。
キャビティ2の中心軸に沿って、キャビティ2を貫通するように、石英ガラス管、フッ素樹脂等から構成される反応管7が配される。照射するマイクロ波周波数が2.4〜2.5GHzの場合には、反応管7の内径は2.9mm以下が好ましく、0.1〜1.5mmがさらに好ましい。顔料分散液8が反応管7を流通できるように、片側に送液ポンプ3が配設される。反応管7の送液ポンプ3の配設方向と反対側には、流体の温度を計測できるように、温度計5として熱電対が配設される。また、キャビティ2内部の電界強度を計測するため、電界モニター4も配設される。
マイクロ波発振器・制御器6から発生したマイクロ波は、マイクロ波照射口1を介して円筒型のキャビティ2に照射される。このとき、キャビティ2の内部にTM010の定在波が形成できるよう、マイクロ波の発振周波数又は円筒型キャビティ2の内径を、適宜調整する。
また、TM010の定在波の形成は、電界モニター4からの信号に基づき判断することができる。定在波が形成されていない場合には、マイクロ波発振器・制御器6から発振されるマイクロ波発振周波数を変化させるか、或いは、キャビティ2の内径を調整することにより、定在波が形成されるようフィードバック制御を行ってもよい。
本発明では、上述した図1のような、マイクロ波を分散液に均一かつ集中的に照射できるマイクロ波照射装置を用いることが好ましい。
電界を集中できる構造の電磁波照射空間のひとつとして、空胴共振器とよばれる空間を利用した、特定の定在波を安定に形成できる容器を用いる方法が知られているが、円筒型の空胴共振器(キャビティ)内に形成されたTM010定在波の電界強度分布を調べると、円筒の中心部に電界が集中していることが分かる。また、TM010の定在波を用いれば、円筒中心軸上の電界強度は、位置によらず一定である。すなわち、円筒内に形成したTM010の定在波を有する空胴共振器を用いることにより、その円筒の中心軸に沿って配置したチューブ状の反応器に対して、常に強力でかつ均一な電界をもつマイクロ波を照射することが可能となる。上記ではTM010について説明したが、TMmn0(mは0以上、nは1以上の整数)の定在波も、円筒の半径方向に電界の集中する場所があり、中心軸に平行な部位では均一な電界強度を有するため、同様に利用することができる。また、電界で説明したが、電磁波は磁界による加熱作用もあるため、磁界が強くなる部分を利用しても同様な効果を得ることができる。
上述のようなマイクロ波照射装置を用いることにより、反応管7中を流通する顔料分散液8を集中的に照射されるマイクロ波エネルギーで極めて急速に加熱することができ、瞬間的に有機顔料の結晶変換を行うことができる。
目標とする有機顔料の結晶転移温度に達成するまでの時間は、0.005秒超、30秒未満であって、0.01〜10秒で行うことが特に好ましい。
マイクロ波照射によって分散液が達する温度は、有機顔料の結晶転移が進行する温度(結晶転移温度)以上であれば特に限定されるものではないが、一般的には50〜300℃である。
本発明で用いるマイクロ波照射装置は、図1に示される装置に限定されるものではなく、各構成が改変されていてもよい。
例えば、図2に示すように、複数(例えば2〜10個)のシングルモードキャビティが連結され、それらの中心軸を中空管が連通していてもよい。
図2に示す装置では、マイクロ波照射装置は、キャビティ12、12’、キャビティ12及び12’を連通する反応管17、送液ポンプ13、原料液プール14、温度計15、背圧弁18、及び受液プール19を有する。マイクロ波発振器・制御器、電界モニターは図示省略する。キャビティ12、12’は、上述したキャビティ2と同様の空胴共振器が垂直方向にそれぞれ4つ連結されたものである。キャビティ12は垂直方向の長さが10cmのシングルモードキャビティが4つ連結されたものであり、キャビティ12’は垂直方向の長さが1cmのシングルモードキャビティが4つ連結されたものである。
このような構成とすることにより、顔料分散液に対するマイクロ波照射時間を調整することが可能となる。複数のシングルモードキャビティを備える場合、各シングルモードキャビティの大きさは同一であってもよく、それぞれ異なっていてもよい。
(マイクロリアクター)
マイクロリアクターを用いた方法としては特に限定されるものではないが、例えば、1.0mm以下の内径を有するチューブ(マイクロチャネル)内に、有機顔料が分散された分散液を充填し、当該チューブを外部から30秒未満熱して分散液自体を加熱する方法が挙げられる。一般的な有機顔料の結晶転移温度は80℃以上であり、加熱を短時間で行う必要があることから、チューブを熱したオイルバスに浸漬して加熱を行うことが好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。実施例2は、参考例1と読み替えるものとする。
(結晶型の確認方法)
本実施例において、C.I.ピグメントレッド254の結晶系の同定、結晶子径の計測はXRDを用いて行った。CuKα線を用いた粉末X線回折測定において、α型は2θ=7.4°に特徴的なピークを有し、一方でβ型は2θ=5.8°に特徴的なピークを有する。そのため、例えば2θ=7.4°のピークが確認され、2θ=5.8°が確認されないサンプルはα型のC.I.ピグメントレッド254顔料であると判別した。
(結晶子の算出方法)
本実施例において、結晶子径はシェラーの式によって求めた。
結晶子径は,プロファイルのバックグラウンドを除去した後,前記α型またはβ型に帰属されるピークの半値幅に対してシェラーの式を適用することで求めた。バックグラウンド除去は、市販の解析ソフトであるリガク社製PDXL 2を用いて行った。
[製造例1]
実施例、及び比較例で用いたβ型C.I.ピグメントレッド254は、再沈法によって製造した。
具体的には、C.I.ピグメントレッド254クルード100部を、90℃以上に保ったジメチルスルホキシド3190部(和光純薬工業株式会社製)と、ナトリウムメトキシドの28重量%メタノール溶液110部(シグマアルドリッチ社製)との混合溶媒中に溶解させ、この溶解液を氷冷している蒸留水に滴下することでβ型のC.I.ピグメントレッド254を得た。
[実施例1]
図2に示すように、マイクロ波周波数2.45GHzに基づいて設計された内径を有する、垂直方向1cm、アルミ製のTM010シングルモードキャビティ4つと、マイクロ波周波数2.45GHzに基づいて設計された内径を有する、垂直方向10cm、金属製のTM010シングルモードキャビティ4つとを垂直に連結し、キャビティの中心軸にそって内径1mm、外径3mm、長さ80cmのテフロン(登録商標)チューブ(反応管)を設置した。
反応管内部に、製造例1で調製したβ型のC.I.ピグメントレッド254が1重量部分散されたエチレングリコール溶液を流通させ、マイクロ波を照射した。溶液は、モーノポンプ(兵神装備社製)を用いて、40mL/minで送液した。
このときマイクロ波が照射されて加熱される部分における溶液の滞留時間は0.4秒になる。マイクロ波の照射出力は各キャビティにおいて100Wずつであり、合計の出力は800Wであった。
反応液温度は連結された最下流側のキャビティの出口から20mm離れた位置に設置した熱電対温度計で計測しており、測定された温度は180℃であった。
マイクロ波照射装置の出口から、加熱された分散液が連続的に吐出され、吐出された分散液を氷冷しているガラス製ビーカに注入した。最終的に500部の分散液が得られ、これを濾過し、蒸留水で洗浄して、得られたウエットケーキを乾燥することで、α型C.I.ピグメントレッド254を得た。
結晶型、及び結晶子径は、上述の通りXRDにより確認した。その結果、β型に帰属されるピークは確認されず,α型に帰属されるピークが検出されたことから、結晶はα型に変換したことを確認した。その結晶子径は13nmであった。
[実施例2]
内径1.0mm、外径1.59cm、長さ250cmのSUS316製のチューブを180℃に保ったオイルバスに浸漬した。このチューブ内部に、製造例1で調製したβ型のC.I.ピグメントレッド254が1重量部分散されたエチレングリコール溶液を、モーノポンプ(兵神装備社製)を用いて10mL/minで流通させた。
このときの顔料分散液のチューブ内滞留時間は11.8秒になる。
装置の出口から、加熱された分散液が連続的に吐出され、それを氷冷しているガラス製ビーカに注入した。最終的に500部の分散液が得られ、これを濾過し、蒸留水で洗浄して、得られたウエットケーキを乾燥することでα型C.I.ピグメントレッド254を得た。
結晶型、及び結晶子径は、上述の通りXRDにより確認した。その結果、β型に帰属されるピークは確認されず、α型に帰属されるピークが検出されたことから、結晶はα型に変換したことを確認した。その結晶子径は14nmであった。
[比較例1]
製造例1で調製したβ型のC.I.ピグメントレッド254 1部をエチレングリコール50部に分散させ、50mLフラスコに加えた。
これをIDX社製グリーンモチーフ1bに設置し、マグネチックスターラーで撹拌しながら、300Wのマイクロ波を照射して、室温から180℃まで加温した。このとき加温に90秒を要した。
その後、得られた分散液を氷冷及び濾過し、蒸留水で洗浄して、得られたウエットケーキを乾燥することで、α型C.I.ピグメントレッド254を得た。
結晶型、及び結晶子径は、上述の通りXRDにより確認した。その結果、β型に帰属されるピークは確認されず、α型に帰属されるピークが検出されたことから結晶はα型に変換したことを確認した。その結晶子径は17nmであり、実施例1で得られた結晶子径の約1.31倍であった。
よって、比較例1においてもα型のC.I.ピグメントレッド254が得られたが、加熱時間が長いことから結晶の成長が進行し、結晶子径は実施例1よりも大きくなってしまうことが確認できた。
[比較例2]
内径1.0mm、外径1.59cm、長さ300cmのSUS316製のチューブを180℃に保ったオイルバスに浸漬した。このチューブ内部に、製造例1で調製したβ型のC.I.ピグメントレッド254が1重量部分散されたエチレングリコール溶液を、モーノポンプ(兵神装備社製)を用いて3.0mL/minで流通させた。
このときの顔料分散液のチューブ内滞留時間は47.1秒になる。
装置の出口から、加熱された分散液が連続的に吐出され、それを氷冷しているガラス製ビーカに注入した。最終的に500部の分散液が得られ、これを濾過し、蒸留水で洗浄して、得られたウエットケーキを乾燥することでα型C.I.ピグメントレッド254を得た。
結晶型、及び結晶子径は、上述の通りXRDにより確認した。その結果、β型に帰属されるピークは確認されず、α型に帰属されるピークが検出されたことから結晶はα型に変換したことを確認した。その結晶子径は17nmであり、実施例2で得られた結晶子径の約1.21倍であった。
よって、比較例2においてもα型のC.I.ピグメントレッド254が得られたが、加熱時間が長いことから結晶の成長が進行し,結晶子径は実施例2よりも大きくなってしまうことが確認できた。
[比較例3]
製造例1で調製したβ型のC.I.ピグメントレッド254 1部をエチレングリコール50部に分散させ、50mLフラスコに加えた。
これをオイルバスで室温から180℃まで加温した。
このとき、加温に12分を要した。
その後、得られた分散液を氷冷、及び濾過し、蒸留水で洗浄して、得られたウエットケーキを乾燥することで、α型C.I.ピグメントレッド254を得た。
結晶型、及び結晶子径は、上述の通りXRDにより確認した。その結果、β型に帰属されるピークは確認されず、α型に帰属されるピークが検出されたことから結晶はα型に変換したことを確認した。その結晶子径は19nmであり、実施例1〜2で得られた結晶子径の約1.36〜1.46倍であった。
よって、比較例2においてもα型のC.I.ピグメントレッド254が得られたが、加熱時間が長いことから結晶の成長が進行し,結晶子径は実施例1〜2よりも大きくなってしまうことが確認できた。
Figure 0006566548
本発明により、結晶を成長させることなく、顔料の結晶を変換することができ、カラーフィルタなどの非汎用用途に用いることができる高機能有機顔料を製造する方法を提供することができる。
1…マイクロ波照射口、2…TM0101キャビティ、3、13…送液ポンプ、4…電界モニター、5、15…温度計、6…マイクロ波発振器・制御器、7、17…反応管、8…顔料分散液、12、12’…キャビティ、14…原料液プール、18…背圧弁、19…受液プール

Claims (2)

  1. 有機顔料及び溶媒を含有する分散液を、当該有機顔料が結晶転移する温度以上に加熱して結晶変換させる、所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法であって、
    前記加熱を、マイクロ波照射により行い、
    前記マイクロ波照射が、シングルモードキャビティを用いたものであり、
    前記加熱の時間が0.01〜10秒であることを特徴とする、所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法。
  2. 製造された有機顔料がカラーフィルタ用である、請求項1に記載の所望の結晶型を有する有機顔料の製造方法。
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