JP2021196436A - トナー製造方法および製造装置 - Google Patents

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大輔 山下
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Rei Tsuchikawa
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Hiroki Watanabe
竜次 岡村
Tatsuji Okamura
正治 三浦
Masaharu Miura
光司 飯泉
Koji Iizumi
隆博 正田
Takahiro Shoda
裕樹 中江
Hiroki Nakae
信一 岩田
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祐一 溝尾
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Abstract

【課題】粒度分布がシャープなトナー製造方法を提供する。【解決手段】被粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造方法であって、被粉砕物を供給する粉体供給機構201と、内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子104と、中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子103と、微粉砕物を排出する粉体排出口106とを有し、固定子の表面と回転子の表面とが対向するように回転子は配置され、固定子の内周面及び回転子の外周面に存在する凹部と凸部は、中心回転軸の軸線方向に沿って形成されており、被粉砕物は、固定子と回転子との間隙で微粉砕が行われ、被粉砕物は、中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って、粉体供給機構によって加速噴射されて、粉砕領域に供給され、微粉砕された微粉砕物は、中心回転軸の軸線方向の他端部側に設けられた粉体排出口から排出されることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーの製造方法および製造装置に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高い生産性が要求されるようになってきている。トナーにおいては、粒度分布がシャープなトナーによって帯電性の安定化などにより、現像性や転写性が安定化し、高画質化を図ることができる。
溶融混練、粉砕工程を経て製造されるトナーは、顔料分散性が良く、高画質化できるメリットがある。しかし、粉砕装置としてよく用いられる機械式粉砕装置(特許文献1、2など)では、重合方法などで製造されたトナーと比較すると、粒度分布のシャープ化が難しいデメリットがあった。
特開2005−21768号公報 特開2011−237816号公報
本発明の目的は、トナー製造の粉砕装置として用いられる機械式粉砕装置に係わる上記の如き問題点を解決し、粒度分布がシャープになるトナー製造方法および製造装置を提供することにある。
本発明は、被粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造方法であって、
該粉砕手段は、
該被粉砕物を供給する粉体供給機構と、
内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
微粉砕物を排出する粉体排出口と、
を有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子の表面と該回転子の表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
該固定子の内周面及び該回転子の外周面に存在する凹部と凸部は、該中心回転軸の軸線方向に沿って形成されており、
該被粉砕物は、該固定子と該回転子との間隙で形成される粉砕領域において、該回転子の回転によって微粉砕が行われ、
該被粉砕物は、該中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って、該粉体供給機構によって加速噴射されて、該粉砕領域に供給され、
微粉砕された微粉砕物は、該中心回転軸の軸線方向の他端部側に設けられた該粉体排出口から排出される、
ことを特徴とするトナーの製造方法に関する。
また、本発明は、被粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造装置であって、
該粉砕手段は、
該被粉砕物を供給する粉体供給機構と、
内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
微粉砕物を排出する粉体排出口と、
を有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子の表面と該回転子の表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
該固定子の内周面及び該回転子の外周面に存在する凹部と凸部は、該中心回転軸の軸線方向に沿って形成されており、
該被粉砕物は、該固定子と該回転子との間隙で形成される粉砕領域において、該回転子の回転によって微粉砕が行われ、
該粉体供給機構は、該中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って、該被粉砕物を加速噴射させて該粉砕領域に供給する手段であり、
微粉砕された微粉砕物は、該中心回転軸の軸線方向の他端部側に設けられた該粉体排出口から排出される、
ことを特徴とするトナーの製造装置に関する。
本発明により、粒度分布がシャープになるトナー製造方法および製造装置を提供することができる。
従来の機械式粉砕装置の図である。 本発明に用いられる機械式粉砕装置の図である。 噛み合い式歯の粉砕装置の図である。 ジェット式粉砕装置の図である。
機械式粉砕においては、粗粉砕物に対し主に高速で回転する回転子によって衝撃を加えることで粉砕していく。従来は回転子の回転軸に対し一方側入口から導入している冷風に粗粉砕物を乗せる形で供給していた。しかし、この手法ではすべての粒径の粗粉砕物が粉砕されることで過粉砕になりやすく、粒度分布がブロードになっていた。さらにジェットミル粉砕方式では特に顕著であった。従来は、この粉砕工程後に分級工程を経て微粉をカットし一定の粒度分布を保っていたが、粉砕工程でもさらなる粒度分布のシャープ化が求められているという点に関して、更に改善の余地がある。
本発明者らがこの点を改良しようと検討を進めた結果、機械式粉砕機における固定子と回転子とが対向して形成される処理部(粉砕領域)に、粗砕物を中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って粉体供給機構によって加速噴射されて供給する粉砕手法によって、粉砕における粒度分布シャープ化を達成することに成功した。
本発明の粉砕方法により粒度分布シャープ化が可能となったメカニズムについては現状明確にはなっていないが、本発明者らは以下のように想定している。
本発明における機械式粉砕機においては、粗砕物が該中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って、粉体供給機構によって加速噴射されて供給される。この構成により、粗砕物が回転子および固定子に衝突する回数を減らしていると思われる。すなわち、粗砕物のうち粒径の細かい微粉成分は加速噴射の影響を受けやすく、より遠くまで運ばれる。その結果、微粉の回転子および固定子への衝突が減り、微粉が選択的に粉砕されにくくなり、結果として過粉砕が抑えられ、粒度分布のシャープ化につながったと推測している。
以下に本発明において好ましいトナー製造方法および製造装置を詳述する。
まず、本発明に用いる機械式粉砕機による粉砕方法の概略を、図1および図2を用いて説明する。
図1は従来の機械式粉砕機を組込んだ粉砕システムの一例を示し、図2は本発明の原料供給機構を備えた機械式粉砕機を組込んだ粉砕システムの一例を示す。
図1では、横型の一般的な機械式粉砕装置の概略断面図を示しているが、縦型であっても構わない。冷却水供給口109、冷却水排出口110をもち、通水できるジャケット内にあって、中心回転軸107に取り付けられた回転体からなる高速回転する外周面に多数の溝(凸部と凹部)が設けられている回転子103、回転子103の外周に一定間隔を保持して配置されている内周面に多数の溝が設けられている固定子104、更に、被処理原料(粗砕物)を導入する為の原料投入口101、機内へ供給された空気(冷風発生装置108からの冷風)および原料に旋回流を与える渦巻室102、処理後の粉体(微粉砕物)を排出する為の粉体排出口106とから構成されている。
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、定量供給機から機械式粉砕機の原料投入口101へ所定量の粉体原料が投入されると、原料は渦巻室102を経て粉砕処理室内に導入される。該粉砕処理室内で高速回転する表面に複数の凸部と凹部が存在する回転子103と、表面に複数の凸部と凹部が存在する固定子104との間に発生する衝撃と、この背後に生じる多数の超高速渦流、並びにこれによって発生する高周波の圧力振動によって瞬間的に粉砕される。その後、粉体排出口106を通り、排出される。粒子を搬送しているエアー(空気)は粉砕処理室を経由し、粉体排出口106を通って装置システムの系外に排出される。
このような機械式粉砕機としては、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトリン(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)、トルネードミル(日機装社製)などを挙げることができる。これらをそのまま、あるいは適宜改造して用いることができる。
粉砕法によるトナーの製造方法においては、粒径2mm程度にする粗粉砕工程と、所望の粒径にする微粉砕工程との間に中粉砕工程を入れても良く、本発明の粉砕プロセスはこの中粉砕工程であってもいいし、微粉砕工程であっても良い。また本発明の粉砕プロセスを直列または並列に2段以上連結して粉砕しても良い。
本発明では、以上のような粉砕装置の粗砕物供給方式を変更し、粗砕物を図2のように、粉体供給機構(粉体供給ノズル)201によって回転子103と固定子104の間の粉砕領域に加速噴射し供給することが重要となる。
粉体供給機構201は、中心回転軸107の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿うよう設置されている。これにより、粗砕物のうち粒径の小さな微粉成分を加速噴射の効果で回転子103および固定子104に衝突させることなく遠くへ運ぶことができる。これによって微粉成分の粉砕を抑制することができ、粒度分布のシャープ化につなげることが可能となる。
回転子103および固定子104の粉砕歯は、回転子104の中心回転軸107方向に対して平行であることが重要である。回転子103の中心回転軸107方向に対して垂直に凹凸が噛み合わさるような歯形状では加速噴射によって微粉を飛ばし粉砕させにくくする効果が得られない。回転子および固定子の歯の深さは1.0mm以上2.0mm以下であることが好ましい。歯の間隔は1.0mm以上4.0mm以下であることが好ましい。この範囲にあるとき間隙の大きさが粗砕成分を粉砕し所定の粒径を得つつも、微粉を飛ばし粉砕させない効果を得やすくなる。
粉体供給機構201における粗砕物の加速噴射時の速度は10m/s以上50m/s以下であることが好ましく、15m/s以上40m/s以下であることがより好ましい。加速噴射速度がこの範囲にあるとき、粗砕成分を粉砕し所定の粒径を得つつも、微粉成分を飛ばし粉砕させない効果を得やすくなる。
<トナー粒子の製造法>
次に、本発明の製造方法および製造装置で、トナー粒子を製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー内添材として、少なくとも結着樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤、該離型剤を分散させる分散剤、帯電制御剤などを混合してもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕される。更に、本発明に係わる機械式粉砕機で微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。
(トナーの原料)
次に、本発明で使用する結着樹脂及び着色剤を少なくとも含むトナー粒子の原材料について説明する。
<結着樹脂>
電子写真に用いられるトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができ、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが例示できる。この中でも、低温定着性を良好にするという観点から非晶性ポリエステル樹脂が用いられ、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、低分子量ポリエステルと高分子量ポリエステルを併用することが知られている。また、さらなる低温定着性の向上と保管時の耐ブロッキング性の観点から結晶性ポリエステルを可塑剤として用いることもある。
<着色剤>
トナーに含有できる着色剤としては、以下のものが挙げられる。
該着色剤としては、公知の有機顔料若しくは油性染料、カーボンブラック、又は磁性体などが挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などが挙げられる。
黒色系着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は、前記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
該着色剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
<離型剤>
必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤を用いてもよい。該離型剤としては、低分子量ポリオレフィン類、シリコーンワックス、脂肪酸アミド類、エステルワックス類、カルナバワックス、炭化水素系ワックスなどが一般的に例示できる。
次に、本発明および後述の実施例に係わる特性値の測定方法を説明する。
<加速噴射速度の算出>
加速噴射の速度は、以下の式1から算出を行った。体積流量は流量計で測定を行うことで得られる値を使用する。
(速度)=(体積流量)/(管の有効断面積) (式1)
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、50μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を1μm以上30μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナー粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
トナー粒子の個数平均粒径(D4)の測定方法の(7)の工程において、専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、分析/個数統計値(算術平均)画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
<ポリエステル樹脂Lの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、結着樹脂成分であるポリエステル樹脂Lを得た。
<ポリエステル樹脂Hの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:
2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:
6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、結着樹脂成分であるポリエステル樹脂Hを得た。
<結晶性ポリエステル樹脂>
・1,6−ヘキサンジオール:
34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:
65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。
次に、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族化合物を、原料モノマー100.0mol%に対し7.0mol%加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
<トナー用粗砕物の製造>
・非晶性ポリエステル樹脂L 80質量部
・非晶性ポリエステル樹脂H 20質量部
・結晶性ポリエステル樹脂 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 8質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合した後、二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。混練時のバレル温度は、混練物の出口温度が120℃になるよう設定した。混練物の出口温度は、安立計器社製ハンディタイプ温度計HA−200Eを用い直接計測した。得られた混練物を冷却し、ピンミルにて体積平均粒径100μm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。
<製造装置1>
粉砕装置の構成として、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)を改造し、図2のように原料供給方式を加速噴射で供給できる供給機構201を設置した。構成を表1に示す。
<製造装置2>
粉砕装置の構成として、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)を用いた(図1)。構成を表1に示す。
<製造装置3>
粉砕装置の構成として、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)を改造し、原料供給方式を製造装置1と同様の加速噴射とし、さらに図3に示すような回転子および固定子の歯が凹凸を持ち噛み合うようにした装置を用いた。構成を表1に示す。
<製造蔵置4>
図4で示すジェット式粉砕装置を用いた。粗砕物は圧縮空気により加速され、粉砕室401に接続されたノズル402を通過し衝突板403に当たり、粉砕される。その後回収され微粉砕物を得る。
Figure 2021196436
<トナー製造方法1>
装置1の構成で粗砕物のフィード10kg/h、回転子の回転数を周速170m/s、回転子と固定子とギャップ1.0mm、冷風温度−10℃、冷風風量8m3/minで運転を行った。加速噴射の条件は、ノズル径21.6mm、圧力0.5MPa、流量0.5L/minで行った。この時の加速噴射速度は22.7m/sとなった。
<トナー製造方法2乃至5の製造例>
トナー製造方法1において、装置構成および粗砕物の供給における加速噴射速度を表2のとおりに変更した以外はトナー製造例1と同様に運転を行った。
<トナー製造方法6の製造例>
装置2を用い、原料供給をジェット式ではなく、冷風に乗せて供給する方式をとり粉砕を行った。
<トナー製造方法7の製造例>
装置3を用い粉砕を行った。回転子および固定子に大きな凸形状があることが特徴である。原料の加速噴射速度は8.8m/sで行った。
<トナー製造方法8の製造例>
装置4を用い粉砕を行った。原料の加速噴射速度は8.8m/sで行った。
Figure 2021196436
<実施例1>
トナー製造方法1のとおりに粉砕装置を運転し、得られた微粉砕物の粒度分布であるD4とD1を測定し、D4/D1、およびD4の評価を行った。
[D4/D1]
粒度分布の指標として評価を行った。値が小さいほど分布がシャープになることを示す。評価結果を表3に示す。
(評価基準)
A:D4/D1が1.35未満 (非常に優れている)
B:D4/D1が1.35以上、1.40未満 (良好である)
C:D4/D1が1.40以上、1.45未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:D4/D11.50以上 (本発明では許容できない)
[D4]
粉砕装置としてそもそも粉砕性能が得られていないものは発明として許容できない。よって中心粒度も測定し評価を行った。評価結果を表3に示す。
(評価基準)
A:D4が4.70未満 (非常に優れている)
B:D4が4.70以上、4.80未満 (良好である)
C:D4が4.80以上、4.90未満 (本発明では問題ないレベルである)
D:D4が5.00以上 (本発明では許容できない)
<実施例2乃至5、および比較例1乃至3>
製造方法を変えた以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 2021196436
比較例1は、粗砕物の供給に関して加速粉砕させず、通常通りの供給方式をとった。加速噴射することで微粉の粉砕を抑制する効果がなくなるため、粒度分布を示すD4/D1の評価が悪い結果となったと推測される。
比較例2は、粉砕歯を噛み合わせ歯にしている。加速噴射した粗砕物が直接粉砕歯に衝突するため、小粒子が増加してしまい、粒度分布を示すD4/D1の評価が悪い結果となったと推測される。
比較例3はジェット式粉砕装置で粉砕した例となる。ジェットミルでは粗粉砕物を図4の衝突板(403)に衝突させて粉砕するため、小粒子が増加してしまい、粒度分布を示すD4/D1の評価が悪い結果となったと推測される。
101:供給口、102:渦巻室(渦巻管)、103:回転子、104:固定子、105:後室、106:排出口、107:回転軸、108:冷風発生装置、109:冷水供給口、110:冷水排出口、201:粉体供給機構(粉体供給ノズル)、401:粉砕室、402:ノズル、403:衝突板

Claims (3)

  1. 被粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造方法であって、
    該粉砕手段は、
    該被粉砕物を供給する粉体供給機構と、
    内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
    中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
    微粉砕物を排出する粉体排出口と、
    を有し、
    該固定子は該回転子を内包しており、該固定子の表面と該回転子の表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
    該固定子の内周面及び該回転子の外周面に存在する凹部と凸部は、該中心回転軸の軸線方向に沿って形成されており、
    該被粉砕物は、該固定子と該回転子との間隙で形成される粉砕領域において、該回転子の回転によって微粉砕が行われ、
    該被粉砕物は、該中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って、該粉体供給機構によって加速噴射されて、該粉砕領域に供給され、
    微粉砕された微粉砕物は、該中心回転軸の軸線方向の他端部側に設けられた該粉体排出口から排出される、
    ことを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 粉体供給機構によって加速噴射されたときの粗砕物の速度が10m/s以上50m/s以下の速度で供給される請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 被粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造装置であって、
    該粉砕手段は、
    該被粉砕物を供給する粉体供給機構と、
    内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
    中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
    微粉砕物を排出する粉体排出口と、
    を有し、
    該固定子は該回転子を内包しており、該固定子の表面と該回転子の表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
    該固定子の内周面及び該回転子の外周面に存在する凹部と凸部は、該中心回転軸の軸線方向に沿って形成されており、
    該被粉砕物は、該固定子と該回転子との間隙で形成される粉砕領域において、該回転子の回転によって微粉砕が行われ、
    該粉体供給機構は、該中心回転軸の軸線方向の一端部側から軸線方向に沿って、該被粉砕物を加速噴射させて該粉砕領域に供給する手段であり、
    微粉砕された微粉砕物は、該中心回転軸の軸線方向の他端部側に設けられた該粉体排出口から排出される、
    ことを特徴とするトナーの製造装置。
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