JP2020134662A - トナー製造方法及びトナー製造装置 - Google Patents

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竜次 岡村
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Masaharu Miura
正治 三浦
陽介 岩崎
Yosuke Iwasaki
陽介 岩崎
裕樹 渡辺
Hiroki Watanabe
裕樹 渡辺
山下 大輔
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大輔 山下
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黎 土川
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Abstract

【課題】トナー粒子の小粒径化及び生産性の向上を達成するトナー製造方法を提供する。【解決手段】粗粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナー粒子の製造方法であって、該粉砕手段は、被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口101と、内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子104と、中心回転軸107に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子103と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口106と、を有し、該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、該被粉砕物は、該回転子の軸方向の一端近傍に配置された粉体投入口から投入し、該回転子の他端側近傍に配置された複数の粉体排出口106から排出されることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真方式、静電記録方式、静電印刷方式、トナージェット方式に用いられるトナーの製造方法及び製造装置に関する。
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及し、印刷市場への適用も始まっている。印刷市場では、幅広いメディア(紙種)に対応しながら、高速、高画質、高い生産性が要求されるようになってきている。トナーにおいては、帯電性の安定化、現像性や転写性が安定化に加え、更なる小粒径化を行うことで高画質化を図ることができる。
一般的な、トナー粒子の製造方法として溶融混練粉砕法が知られている。具体的には、決着樹脂、色材、離型剤などの等のトナー構成材料を溶融混練し、冷却固化した後、混練物を粉砕手段により微細化しトナー粒子を得る手法であり、その後、必要に応じて所望の粒度分布に分級したり、流動化剤などを添加したりして、トナーを製造する。
混練物の粉砕手段として各種粉砕装置が用いられるが、高圧気体で被粉砕物を搬送し、加速管の出口より噴射し、加速管の出口の開口面に対向して設けた衝突部材の衝突面に衝突させて、その衝撃力により被粉砕物を粉砕する衝突式気流粉砕機(特許文献1)や、被粉砕物の投入口および排出口を有するケーシング内に、中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、この回転子の外側に、この回転子の外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子とを備え、投入口から排出口を流れる気流にのって回転子と固定子とが対向する処理部を被粉砕物が通過する際に、回転子もしくは固定子の凸部もしくは凹部に衝突することで被粉砕物を粉砕する機械式粉砕装置(特許文献2)などが知られている。
特開2006−051496号公報 特開2011−237816号公報
前記機械式粉砕機によるトナー溶融混練物の粉砕では、機械式粉砕機の回転子の回転速度を高回転にして周速を向上させることで、回転子及び固定子と被粉砕物との衝突エネルギーを増大させてトナー粒子を小粒径化することが可能となる。該機械式粉砕機の回転子および固定子の間隙を被粉砕物が通過する際、前記投入口近傍から前記排出口付近に近づくにつれて、徐々に粗大粒子が粉砕され、微粒子化してゆくと同時に、衝突エネルギーが蓄積され被粉砕物の温度は上昇していく。
被粉砕物の温度上昇は、例えばトナー粒子をより小粒径に粉砕し、微粉砕品を得るために回転子の回転数を増大させた場合や、生産性向上のための手段として、単位時間当たりの被粉砕物の投入量増やした場合により顕著となる。
例えば、被粉砕物の温度上昇が顕著になると、被粉砕物の表面が部分的に溶け、被粉砕物どうしが結合してしまい、微粉砕品の粒径が安定しない場合がある。更には、被粉砕物が粉砕装置内部に付着する場合もあり(以下、この現象を「融着」と表記する)、安定した粉砕ができなくなる場合があった。
上記融着は、溶融混練粉砕法におけるトナー製造、特に小粒径トナー製造においての課題でもあった。
本発明は、上記課題を解決し、溶融混練粉砕法において、トナーの小粒径化及び生産性の向上を達成するトナー製造方法及びトナー製造装置を提供することにある。
本発明者らの鋭意検討の結果、結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造方法であって、
該粉砕手段は、被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口と、を有し、
該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
該被粉砕物は、該回転子の軸方向の一端近傍に配置された粉体投入口から投入し、該回転子の他端側近傍に配置された複数の粉体排出口から排出されることを特徴とするトナーの製造方法、及びトナー製造装置である。
上記手段を用いたとき、トナーの小粒径化と生産性の向上とを実現できることを見出した。
本発明によると、溶融混練粉砕法においてトナーの生産性の向上と小粒径化を実現できる。
この要因については明確になっていないが、以下のように想定している。
ただ一つの排出口を有するケーシング内に、中心回転軸に支持され、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、この回転子の外側に、この回転子の外周面と所定の間隙を設けて配置され、その内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子とを備え、投入口から排出口を流れる気流にのって回転子と固定子とが対向する処理部を被粉砕物が通過する際に、回転子もしくは固定子の凸部もしくは凹部に衝突することで被粉砕物を粉砕する機械式粉砕装置において、投入口から投入された被粉砕物は、投入口から排出口に向かう気流により中心回転軸と並行する力と回転子の凸部および凹部との衝突により回転子の外周の接線方向の力を受け、結果として投入口近傍の回転子と固定子の間隙内を起点とし、排出口近傍を終点とする、回転子の回転方向に向けた一筋の螺旋軌道をとって移動しながら粉砕されると考えられる。
これに対し、複数の排出口を有する該機械式粉砕装置の場合、投入された被粉砕物は、各排出口に向かい適度に分散されて排出される。このため、ただ一か所の排出口しか持たない粉砕機に比べ、排出口に向かうにつれ被粉砕物の密度が低減するとともに、被粉砕物の温度上昇が抑制されると考えられる。その結果、より小粒径の微粉砕品を得るために回転子もしくは固定子の凸部もしくは凹部への衝突速度及び回数を増大させた条件や単位時間当たりの被粉砕物の投入量増やした条件でも融着リスクを低減させることが可能となり、トナー粒子の小粒径化と生産性向上の両立が実現できると考えられる。
本発明の実施例に用いられる機械式粉砕装置の概略図である。 本発明の実施例に用いられる機械式粉砕装置の概略図である。 本発明の実施例に用いられる機械式粉砕装置の排出口の概略図である。 本発明の実施例に用いられる機械式粉砕装置の排出口の概略図である。 従来の機械式粉砕装置の概略図である。 従来の機械式粉砕装置の概略図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、本発明に用いる機械式粉砕機による粉砕方法の概略を、図5を用いて説明する。
図5では、横型の一般的な機械式粉砕装置の概略断面図を示しているが、縦型であっても構わない。ケーシング、ケーシング内にあって冷却水を通水できるジャケット、ケーシング内にあって中心回転軸107に取り付けられた回転体からなる高速回転する表面に複数の凸部及び凹部が設けられている回転子103、回転子103の外周に一定間隔を保持して配置されている表面に複数の凸部及び凹部が設けられている固定子104、更に、該回転子の軸方向の一端近傍に被粉砕物(粗粉砕物)を粉砕手段内に導入する為の粉体投入口101、該回転子の他端側近傍に処理後の粉体(微粉砕物)を排出する為の粉体排出口106とから構成されている。
以上のように構成してなる機械式粉砕機では、定量供給機から機械式粉砕機の粉体投入口101へ所定量の被粉砕物が投入されると、被粉砕物は機械式粉砕装置内の前室102を通過し、回転子103と固定子104の間隙による粉砕処理部を通過し、後室105を通過し、後室105と連通する粉体排出口106より排出される。被粉砕物は該粉砕処理部内で高速回転する回転子表面の凸部及び凹部表面と、固定子表面の凸部及び凹部表面の衝突により粉砕される。粉砕後の被粉砕物(トナー粒子)は、吸引ブロアー(不図示)により引かれるエアー(空気)の気流に乗って装置システムの系外に排出される。
このような機械式粉砕機としては、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトロン(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)、トルネードミル(日機装社製)などを挙げることができる。これらをそのまま、あるいは適宜改造して用いることができる。
粉砕法によるトナーの製造方法においては、粒径2mm程度にする粗粉砕工程と、所望の粒径にする微粉砕工程との間に中粉砕工程を入れても良く、本発明の粉砕プロセスはこの中粉砕工程であってもいいし、微粉砕工程であっても良い。また本発明の粉砕プロセスを直列または並列に2段以上連結して粉砕しても良い。
図5に示した機械式粉砕装置における粉体排出口106は一つであるが、本発明においては図1及び図2、図3により例示されるように、粉体排出口106は複数個でなくてはならない。これにより、被粉砕物は粉体投入口から粉体排出口の方向に向かう過程で、複数の粉体排出口に向かって適度に分散され排出される。したがって、回転子後半の粉砕機内の粉体濃度は、ただ一つの粉体排出口106により排出される構成に比べて低下することとなる。そのため、被粉砕物に蓄積された衝突エネルギーによる温度上昇も分散され、特に回転子及び固定子後半の温度上昇が抑制されると考えられる。
本発明において、粉体排出口106は複数存在していれば、形状は問わない。
図3は粉体排出口の形状、個数の一例を示した模式図である。本発明の効果をより得るための粉体排出口の数は多いほどよいが、装置コストを鑑みると2個〜4個が実用的である。粉体排出口の其々形状はバランスを鑑みると同一であることが好ましく、配置は粉体の分散効率を鑑みると円周方向に均等割りで配置させることが好ましい。
本発明では、図4に示すように、複数の粉体排出口から吸引するブロア風量を調整する機構を設け、其々の粉体排出口から排出される粉体量(排出量)を均一にすることが本発明では好ましい。
例えば、複数の粉体排出口から吸引するブロア風量を均等にした場合でも、其々の粉体排出口から排出される粉体の量は均等にならない場合がある。これは、粉砕装置の運転条件や装置スケールにより変化するものと考えられる。したがって、各粉体排出口から排出される粉体量をフィードバックし各粉体排出口のブロア風量を調整することは本発明ではより好ましい。
また、図4に示すように、複数の粉体排出口106A、106Bに其々の温度計測手段201A、201Bを設置し、其々の排出口の温度差が最少(温度が均一)になるように各排出口のブロア風量を開度調整弁202A、202Bによって調整することで、粉体排出口から排出される粉体量を制御することも本発明ではより好ましい。
粉体投入口は、図2及び図6で示されるような直接前室102に供給可能な形状や、図1及び図5に示されるような、前室の形状が投入口に連通した渦巻形状を持つ渦巻室1021であり、該渦巻室は、該中心回転軸の外周を囲むように形成され、回転子の側面と対向した渦巻室出口部1022から被粉砕物が供給される形状などが例示される。
(トナー製造手順)
次に、本発明の製造方法および製造装置で、トナーを製造する手順について説明する。
まず、原料混合工程では、トナー内添剤として、少なくとも結着樹脂、着色剤を所定量秤量して配合し、混合する。必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤、該離型剤を分散させる分散剤、帯電制御剤などを混合してもよい。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等がある。
更に、上記で配合し、混合したトナー原料を溶融混練して、樹脂類を溶融し、その中の着色剤等を分散させる。該溶融混練工程では、例えば、加圧ニーダー、バンバリィミキサー等のバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができる。近年では、連続生産できる等の優位性から、1軸または2軸押出機が主流となっており、例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダー等が一般的に使用される。更に、トナー原料を溶融混練することによって得られる着色樹脂組成物は、溶融混練後、2本ロール等で圧延され、水冷等で冷却する冷却工程を経て冷却される。
上記で得られた着色樹脂組成物の冷却物は、次いで、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、まず、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミル等で粗粉砕される。更に、イノマイザー(ホソカワミクロン社製)、クリプトロン(川崎重工社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボミル(ターボ工業社製)等の機械式粉砕機に本発明に係る改造を加えたもので微粉砕される。粉砕工程では、このように段階的に所定のトナー粒度まで粉砕される。
次に、本発明で使用する結着樹脂及び着色剤を少なくとも含むトナーの原材料について説明する。
<結着樹脂>
電子写真に用いられるトナーに用いられる結着樹脂としては、一般的な樹脂を用いることができ、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが例示できる。この中でも、低温定着性を良好にするという観点から非晶性ポリエステル樹脂が用いられ、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、低分子量ポリエステルと高分子量ポリエステルを併用することが知られている。また、さらなる低温定着性の向上と保管時の耐ブロッキング性の観点から結晶性ポリエステルを可塑剤として用いることもある。
<着色剤>
トナーに含有できる着色剤としては、公知の有機顔料若しくは油性染料、カーボンブラック、又は磁性体などが挙げられる。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などが挙げられる。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などが挙げられる。
黒色系着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、又は、前記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤、及びシアン着色剤を用い黒色に調色されたものが挙げられる。
該着色剤は、一種単独で又は二種以上を混合して用いることができる。
<離型剤>
必要に応じて、トナーの加熱定着時にホットオフセットの発生を抑制する離型剤を用いてもよい。該離型剤としては、低分子量ポリオレフィン類、シリコーンワックス、脂肪酸アミド類、エステルワックス類、カルナバワックス、炭化水素系ワックスなどが一般的に例示できる。
次に、トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法について説明する。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)は、50μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いて、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を1μm以上30μm以下に設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れ、この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス社製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
以下、実施例及び比較例にて粉砕を実施するためのトナー材料(粗砕物)の製造例を記す。
<非晶性ポリエステル樹脂Lの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.0質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:28.0質量部(0.17モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、4時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:1.3質量部(0.01モル;多価カルボン酸総モル数に対して4.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度180℃に維持したまま、1時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が90℃に達したことを確認してから温度を下げて反応を止め、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂Lを得た。
<非晶性ポリエステル樹脂Hの製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:72.3質量部(0.20モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:18.3質量部(0.11モル;多価カルボン酸総モル数に対して65.0mol%)
・フマル酸:2.9質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して15.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫(エステル化触媒):0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、大気圧に戻した。
・無水トリメリット酸:6.5質量部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%)
・tert−ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1質量部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度160℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36−86に従って測定した軟化点が137℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め、結着樹脂として非晶性ポリエステル樹脂Hを得た。
<結晶性ポリエステル樹脂>
・1,6−ヘキサンジオール:34.5質量部(0.29モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・ドデカン二酸:65.5質量部(0.28モル;多価カルボン酸総モル数に対して100.0mol%)
・2−エチルヘキサン酸錫:0.5質量部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、140℃の温度で撹拌しつつ、3時間反応させた。次に、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、4時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を序々に開放して常圧へ戻した後、表2に示した、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族モノアルコールからなる群より選ばれた1種以上の脂肪族化合物を、原料モノマー100.0mol%に対し7.0mol%加え、常圧下にて200℃で2時間反応させた。
その後、再び反応槽内を5kPa以下へ減圧して200℃で3時間反応させることにより、結晶性ポリエステル樹脂を得た。
<トナーの製造例>
・非晶性ポリエステル樹脂L 70質量部
・非晶性ポリエステル樹脂H 30質量部
・結晶性ポリエステル樹脂 5質量部
・フィッシャートロプシュワックス(炭化水素ワックス、最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 8質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 7質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数20s-1、回転時間5minで混合して混合物を得た後、二軸混練機(PCM−30型、株式会社池貝製)にて混練した。混練時のバレル温度は、混練物の出口温度が120℃になるよう設定した。混練物の出口温度は、安立計器社製ハンディタイプ温度計HA−200Eを用い直接計測した。得られた混練物を冷却し、ピンミルにて体積平均粒径100μm以下に粗粉砕し、粗砕物1を得た。
以下、具体的な実施例及び比較例を記す。なお、以下の実施例及び比較例で得られた微粉砕品の重量平均粒径はトナーの重量平均粒径(D4)の測定方法に従い行った。また、微粉砕品の重量平均粒径は、トナーのより小粒径化傾向に応える範囲を設定した。
〔実施例1〕
本実施例においては、粉砕装置に図1に示したものを用いる。図1に示す粉砕装置の構成は、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)を、二つの排出口を有する装置構成に改造したものである。
上記機械式粉砕機を用い、トナー原料(粗砕物)の製造例で得た粗砕物1を用い以下に示す条件にて微粉砕品を製造した。
<条件1>
図1に示す粉砕装置を用い供給口から粗砕物1を30kg/h、冷風を風量8m3/min流入させ、回転子と固定子とギャップ1.0mm、冷風温度−10℃、の条件で粗砕物1の粉砕を行った。
条件1の製造方法では、まず微粉砕品の重量平均粒径が5.0〜5.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約300kgの微粉砕品を得た。
<条件2>
図1に示す粉砕装置を用い供給口から粗砕物1を30kg/h、冷風を風量8m3/min流入させ、回転子と固定子とギャップ1.0mm、冷風温度−10℃、の条件で粗砕物1の粉砕を行った。
条件2の製造方法では、まず微粉砕品の重量平均粒径が4.0〜4.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約300kgの微粉砕品を得た。
なお、本条件の設定粒径は、条件1で示した設定粒径(5.0〜5.2μm)に対して、より小粒径であるため回転子の周速度を増大させたものとなった。
〔比較例1〕
本比較例においては、粉砕装置に図6に示したものを用いる。図6に示す粉砕装置は、機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)であり、排出口は一か所である。
本比較例において、トナー原料(粗砕物)の製造例で得た粗砕物1を用い、実施例1で示した条件1および条件2で300kgの微粉砕品を得た。
本実施例及び比較例では、製造した微粉砕品を2時間毎にサンプリングし、重量平均粒径(D4)を測定し、微粉砕品の粒径安定性の評価を行った。評価ランクは以下とする。
A・・・設定範囲内の粒径が得られており非常に優れている。
B・・・設定値から外れるが0.3μm以内であり実用上問題のないレベルである。
C・・・設定値から0.3μm以上外れる。
さらに、連続10時間の製造後装置を停止し、回転子及び固定子のトナーの付着度合い(汚れ)を目視で確認した。評価ランクは以下とする。
A・・・付着はほとんどなくり非常に優れている。
B・・・若干付着は認められるが実用上問題のないレベルである。
C・・・顕著な付着が認められる。
〔実施例2〕
実施例1で用いた粉砕装置にて以下の製造条件にて微粉砕品を製造した。
<条件3>
上記粉砕装置を用い供給口から粗砕物1を40kg/h、冷風を風量8m3/min流入させ、回転子と固定子とギャップ1.0mm、冷風温度−10℃、の条件で粗砕物1の粉砕を行った。
条件3の製造方法では、まず微粉砕品の重量平均粒径が4.0〜4.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400kgの微粉砕品を得た。
なお、本条件は、条件2で示した設定粒径(4.0〜4.2μm)と同等であるが、時間当たりの製造量が増大しているため条件2の回転子の周速度よりも増大させたものとなった。
〔実施例3〕
本実施例においては、図5に示す機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)の排出口側を図3(A)に示すように排出口を三か所に改造したものを用い、トナー原料(粗砕物)の製造例で得た粗砕物1を用い微粉砕品を製造した。製造条件は条件3とする。
〔実施例4〕
本実施例においては、図5に示す機械式粉砕機(ターボ工業社製ターボミルT250−CRS−ローター形状RS型)の排出口側を図3(B)に示すように排出口を四か所に改造したものを用い、トナー原料(粗砕物)の製造例で得た粗砕物1を用い微粉砕品を製造した。製造条件は条件3とする。
〔実施例5〕
本実施例で用いる装置は排出口側を図4に示すように改造し、排出口106A及び106Bに温度計測手段201A、201Bを設置している。更に、開度調整弁202A、202Bが設置されており、吸引ブロア風量を調整可能な構成となっている。
トナー原料(粗砕物)の製造例で得た粗砕物1を用い微粉砕品を製造した。製造条件は以下とする。
<条件4>
上記図4に示した粉砕装置を用い供給口から粗砕物1を40kg/h、冷風を風量8m3/min流入させ、回転子と固定子とギャップ1.0mm、冷風温度−10℃、の条件で粗砕物1の粉砕を行った。
条件4の製造方法では、まず微粉砕品の重量平均粒径が4.0〜4.2μmの範囲になるように回転子の周速度を設定し、その後同一条件で連続10時間製造を行い約400kgの微粉砕品を得た。なお、本条件4では、二か所の排出口106A、106Bの温度差が最小となるように、製造工程中に温度計測手段201A、201Bにて温度を測定し、測定結果を開度調整弁202A、202Bにフィードバックさせ開度調整弁の開度を制御した。このとき、二か所の排出口の温度差は0.5℃以内であった。
<条件5>
上記条件4と同様に微粉砕品を得るが、本条件では製造工程中に温度計測手段201A、201Bにて温度測定のみを実施し、開度調整弁202A、202Bはどちらも全開のままとした。このとき、二か所の排出口の温度差は最大で1.5℃であった。
以上、実施例1〜5及び比較例1で得た結果をまとめて表1に示す。
実施例1及び比較例1の結果より、粉砕機の排出口を1か所から2か所にすることで設定粒径の製造安定性が良化し良好な結果が得られていることがわかる。更に、条件2でのより厳しい製造条件においても良好な結果が得られていることがわかる。特に、実施例1は比較例1に対し、10時間後も微粉砕品の粒径安定性が維持され、回転子及び固定子へのトナー付着も低減されていることから、回転子及び固定子後半の温度上昇が抑制されているものと考えられる。
実施例2〜4においては、粉砕機の排出口を2か所から3か所、4か所と増やしていくとにより安定して微粉砕品を得ることができ良好な結果が得られていることがわかる。しかしながら、排出口を増やすことにより装置コストは増大する。
実施例5においては、条件4と5での結果の対比で、排出口の温度を制御することでさらに安定して微粉砕品を得ることができ、非常に良好な結果が得られることがわかる。実施例4の排出口4か所の場合と比べてもさらに良好な結果が得られており、装置コストを抑えることが可能となる。
Figure 2020134662
101:粉体投入口、102:前室、1021:渦巻室、1022:渦巻室出口部、103:回転子、104:固定子、105:後室、106、106A、106B:粉体排出口、107:中心回転軸、108:冷風発生装置、109:冷水供給口、110:冷水排出口、201A、201B:温度計測手段、202A、202B:開度調整弁

Claims (8)

  1. 結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナーの製造方法であって、
    該粉砕手段は、
    被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、
    内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
    中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
    粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口と、
    を有し、
    該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
    該被粉砕物は、該回転子の軸方向の一端近傍に配置された粉体投入口から投入し、該回転子の他端側近傍に配置された複数の粉体排出口から排出されることを特徴とするトナーの製造方法。
  2. 前記粉体排出口は2か所である請求項1に記載のトナーの製造方法。
  3. 前記粉体排出口から排出される其々の粉砕物の量を調整する請求項1または2に記載のトナーの製造方法。
  4. 前記粉体排出口から排出される其々の粉砕物の温度をフィードバックし、其々の温度差が最少となるように粉砕物の排出量を調整する請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  5. 結着樹脂および着色剤を含有する混合物を溶融混練し、得られた混練物を冷却した後、冷却物を粗粉砕し、粗粉砕物を粉砕手段によって微粉砕する工程を有するトナー粒子の製造装置であって、
    該粉砕手段は、
    被粉砕物を粉砕手段内に投入するための粉体投入口と、
    内周面に複数の凸部と凹部とを有する固定子と、
    中心回転軸に取り付けられ、外周面に複数の凸部と凹部とを有する回転子と、
    粉砕された粉体を粉砕手段から排出するための粉体排出口と、
    を有し、
    該固定子は該回転子を内包しており、該固定子表面と該回転子表面とが所定の間隙を有して対向するように、該回転子は配置されており、
    該粉体投入口は、該回転子の軸方向の一端近傍に配置され、該回転子の他端側近傍に複数の粉体排出口が配置されていることを特徴とするトナーの製造装置。
  6. 前記粉体排出口を2か所有する請求項5に記載のトナーの製造装置。
  7. 前記粉体排出口から排出される其々の粉砕物の量を調整する機構を有する請求項5または6に記載のトナーの製造装置。
  8. 前記粉体排出口から排出される其々の粉砕物の温度をフィードバックし、其々の温度差が最少となるように粉砕物の排出量を調整する機構を有する請求項5〜7のいずれか1項に記載のトナーの製造装置。
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