JP7176180B2 - 付加硬化性液状シリコーンゴム組成物 - Google Patents
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〔1〕
(A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる平均重合度が150~1,500の直鎖状構造を有する、25℃で液状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記一般式(I)
で示され、分子中の全R1の内、2~7個がアルケニル基であるかご型構造を有するシルセスキオキサン:(A)成分100質量部に対し、1~100質量部、
(C)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.1~40質量部、
(D)BET法による比表面積が50m2/g以上であるヒュームドシリカ:(A)成分100質量部に対し、0~100質量部、
(E)付加反応触媒:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、白金族金属(質量換算)として0.1~1,000ppm
を含有することを特徴とする付加硬化性液状シリコーンゴム組成物。
〔2〕
(B)成分中のR1において、分子中の全R1の内、3~6個がビニル基であることを特徴とする〔1〕記載の付加硬化性液状シリコーンゴム組成物。
〔3〕
(D)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対し、10~100質量部であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の付加硬化性液状シリコーンゴム組成物。
本発明の付加硬化性液状シリコーンゴム組成物は、以下の(A)~(E)成分を含有してなるものであって、室温(25℃)で液状のものである。以下、各成分について詳細に説明する。
(A)アルケニル基含有オルガノポリシロキサン
まず、(A)成分である25℃で液状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサンは、本発明の組成物の主剤(ベースポリマー)であって、1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、平均重合度が1,500以下のオルガノポリシロキサンである。好ましくは、該アルケニル基を分子鎖末端に含有する。本発明の組成物において、25℃で液状の(即ち、自己流動性のある)アルケニル基含有オルガノポリシロキサンとしては、このオルガノポリシロキサン((A)成分)のみからなるものである。
R3 aSiO(4-a)/2 (IV)
(式中、R3は互いに同一又は異種の炭素数1~10、好ましくは1~8の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、aは1.5~2.8、好ましくは1.8~2.5、より好ましくは1.95~2.05の範囲の正数である。)
なお、アルケニル基の含有量は、オルガノポリシロキサン中1.0×10-6mol/g~3.0×10-3mol/g、特に1.0×10-5mol/g~2.0×10-3mol/gとすることが好ましい。アルケニル基の量が、この範囲内であれば、硬度が適切な範囲内となり、優れたゴム物性を有する硬化物を得ることができる。
なお、本発明中で言及する平均重合度とは、数平均重合度のことを指し、下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした平均重合度を指すこととする。
[測定条件]
展開溶媒:トルエン
流量:1mL/min
検出器:示差屈折率検出器(RI)
カラム:KF-805L×2(Shodex社製)
カラム温度:25℃
試料注入量:30μL(濃度0.2質量%のトルエン溶液)
(A)成分は、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
(B)成分は、下記一般式(I)
で示され、分子中の全R1の内、2~7個がアルケニル基であるかご型構造を有するシルセスキオキサンであり、シリコーンゴムの補強材として使用される成分である。
上記式(II)中、R2は上記式(I)において示されたものと同じであり、Xは酸素原子、又は炭素数2~6のアルキレン基であり、好ましくはエチレン基、トリメチレン基であり、nは1~200の整数であり、好ましくは3~150である。
なお、(B)成分の合成方法としては、例えば、前記式(I)で示されるシルセスキオキサンにおいて、R1が全て炭素数2~6のアルケニル基であるようなシルセスキオキサンと下記式(II’)
で示される片末端ヒドロシリル基含有オルガノポリシロキサンとのヒドロシリル化反応によって合成できる。また、R1が全て炭素数2~6のアルケニル基であるようなシルセスキオキサンは市販のものを使ってもよいし、例えば、特開2009-269820号公報や特開2010-280816号公報に記載の方法で合成したものを使ってもよい。
(C)成分は、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を少なくとも2個含有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、分子中のSi-H基が前記(A)成分及び(B)成分中のアルケニル基とヒドロシリル化付加反応により架橋し、組成物を硬化させるための硬化剤として作用するものである。
R4 bHcSiO(4-b-c)/2 (III)
また、bは0.7~2.1、好ましくは0.8~2.0であり、cは0.001~1.0、好ましくは0.01~1.0であり、かつ、b+cは0.8~3.0、好ましくは1.0~2.5を満足する正数であり、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は、直鎖状、環状、分岐状、三次元網目状のいずれの構造であってもよい。なお、ケイ素原子に結合する水素原子は分子鎖末端、分子鎖の途中のいずれに位置していてもよく、両方に位置するものであってもよい。
(D)成分のヒュームドシリカは、得られるシリコーンゴムに十分な強度を与えるために必要なものである。ヒュームドシリカのBET法による比表面積は、50m2/g以上である必要があり、通常、50~400m2/g、好ましくは90~380m2/gであり、50m2/gより小さいと十分な強度が得られないばかりか、成型物の透明性も低下してしまう。また、400m2/g以下であれば、配合が容易であり、変色するようなこともない。
通常の処理法として、一般的周知の技術により処理でき、例えば、常圧で密閉された機械混練装置又は流動層に上記未処理のシリカ微粉末とシリカ表面処理剤を入れ、必要に応じて不活性ガス存在下において室温あるいは熱処理にて混合処理する。場合により、触媒を使用して処理を促進してもよい。混練後、乾燥することにより処理シリカ微粉末を製造し得る。
なお、シリカ表面処理剤の使用量は、(D)成分100質量部に対し、5~75質量部であることが好ましく、5~60質量部であることがより好ましい。
(E)成分の付加反応触媒としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と1価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などが挙げられる。
なお、この付加反応触媒の配合量は、触媒量とすることができ、通常、(A)及び(B)成分の合計100質量部に対し、白金族金属(質量換算)として0.1~1,000ppm、特に1~500ppm程度である。
本発明の付加硬化性液状シリコーンゴム組成物に、発明の効果を損なわない限り、その他の成分として、必要に応じて、沈降シリカ、石英粉、珪藻土、炭酸カルシウムのような充填剤や、カーボンブラック、導電性亜鉛華、金属粉等の導電剤、窒素含有化合物やアセチレン化合物、リン化合物、ニトリル化合物、カルボキシレート、錫化合物、水銀化合物、硫黄化合物等のヒドロシリル化反応制御剤、酸化鉄、酸化セリウムのような耐熱剤、ジメチルシリコーンオイル等の内部離型剤、接着性付与剤、及びチクソ性付与剤等を配合することは任意である。
こうして、上述した(A)~(E)成分及び必要に応じて配合されるその他成分の各所定量を、2本ロール、ニーダー、プラネタリーミキサー等の混練機で混練することにより、容易に付加硬化性液状シリコーンゴム組成物を調製することができる。
〔成形・硬化方法〕
付加硬化性シリコーンゴム組成物の成形・硬化方法としては、常法を採用し得るが、成形法として射出成形、トランスファー成形、注入成形、圧縮成形等から目的にあった最適な手段を選択することが可能である。硬化条件としては、40~230℃で3秒~160分間程度の加熱処理(一次加硫)条件を採用し得る。また、必要に応じて任意に40~230℃で10分~24時間程度の二次加硫(ポストキュア)を行ってもよい。
温度計、還流管、滴下ロート及び機械撹拌装置を備えた500mlのセパラブルフラスコに、下記式(V)
で示される化合物B1(1分子当たりの平均ビニル基数:4.3個、ビニル基量0.000440mol/g)を79.7g得た。
温度計、還流管、滴下ロート及び機械撹拌装置を備えた500mlのセパラブルフラスコに、合成例1の式(V)で示される化合物9.0g(0.0074mol)、トルエン30.0g及び白金の1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度:0.5質量%)0.057gを入れ、80℃に加熱した。次いで、下記式(VIII)
で示される化合物B2(1分子当たりの平均ビニル基数:4.5個、ビニル基量0.000256mol/g)を124.8g得た。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン(A1)60部、BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(D1)(日本アエロジル社製、アエロジル300)40部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2.0部を25℃で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
このシリコーンゴムベース100部に、上記ジメチルポリシロキサン(A1)30部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が450であるジメチルポリシロキサン(A2)15部、合成例1のビニル基を有するかご型シルセスキオキサン(B1)5部を入れ、30分撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にSi-H基を平均35個有するメチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン(C1)(平均重合度100、Si-H基量0.0055mol/g)を2.0部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、15分撹拌を続けて、シリコーンゴム混合物を得た。
なお、この混合物において、総Si-H基量と総ビニル基量のモル比(Si-H基/ビニル基)は1.8である。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン(A1)60部、BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(D1)(日本アエロジル社製、アエロジル300)40部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2.0部を25℃で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
このシリコーンゴムベース100部に、上記ジメチルポリシロキサン(A1)30部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が450であるジメチルポリシロキサン(A2)15部、合成例2のビニル基を有するかご型シルセスキオキサン(B2)5部を入れ、30分撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にSi-H基を平均35個有するメチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン(C1)(平均重合度100、Si-H基量0.0055mol/g)を1.7部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、15分撹拌を続けて、シリコーンゴム混合物を得た。
なお、この混合物において、総Si-H基量と総ビニル基量のモル比(Si-H基/ビニル基)は1.8である。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン(A1)60部、BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(D1)(日本アエロジル社製、アエロジル300)40部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2.0部を25℃で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
このシリコーンゴムベース100部に、上記ジメチルポリシロキサン(A1)30部、合成例2のビニル基を有するかご型シルセスキオキサン(B2)20部を入れ、30分撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にSi-H基を平均35個有するメチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン(C1)(平均重合度100、Si-H基量0.0055mol/g)を2.7部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、15分撹拌を続けて、シリコーンゴム混合物を得た。
なお、この混合物において、総Si-H基量と総ビニル基量のモル比(Si-H基/ビニル基)は1.8である。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン(A1)60部、BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(D1)(日本アエロジル社製、アエロジル300)40部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2.0部を25℃で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
このシリコーンゴムベース100部に、上記ジメチルポリシロキサン(A1)30部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が450であるジメチルポリシロキサン(A2)20部を入れ、30分撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にSi-H基を平均35個有するメチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン(C1)(平均重合度100、Si-H基量0.0055mol/g)を1.4部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、15分撹拌を続けて、シリコーンゴム混合物を得た。
なお、この混合物において、総Si-H基量と総ビニル基量のモル比(Si-H基/ビニル基)は1.8である。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン(A1)60部、BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(D1)(日本アエロジル社製、アエロジル300)40部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2.0部を25℃で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
このシリコーンゴムベース100部に、上記ジメチルポリシロキサン(A1)30部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が450であるジメチルポリシロキサン(A2)15部、室温で固体の(CH3)3SiO1/2単位、CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位及びSiO2単位からなる樹脂質共重合体[((CH3)3SiO1/2単位+CH2=CH(CH3)2SiO1/2単位)/SiO2単位=0.9(モル比)、ビニル基含有量=0.0008mol/g、Mn=3,700]5部を入れ、30分撹拌を続けた後、更に架橋剤として両末端がトリメチルシロキシ基で封鎖され側鎖にSi-H基を平均35個有するメチルハイドロジェン・ジメチルポリシロキサン(C1)(平均重合度100、Si-H基量0.0055mol/g)を2.6部、反応制御剤としてエチニルシクロヘキサノール0.05部を添加し、15分撹拌を続けて、シリコーンゴム混合物を得た。
なお、この混合物において、総Si-H基量と総ビニル基量のモル比(Si-H基/ビニル基)は1.8である。
両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が750であるジメチルポリシロキサン(A1)60部、BET法による比表面積が300m2/gであるヒュームドシリカ(D1)(日本アエロジル社製、アエロジル300)40部、ヘキサメチルジシラザン8部、水2.0部を25℃で30分混合後、150℃に昇温し、3時間撹拌を続け、冷却し、シリコーンゴムベースを得た。
このシリコーンゴムベース100部に、上記ジメチルポリシロキサン(A1)30部、両末端がジメチルビニルシロキシ基で封鎖された平均重合度が450であるジメチルポリシロキサン(A2)15部、合成例1の式(V)の化合物5部を入れ、30分撹拌を続けた。しかし、式(V)の化合物が不溶であり、白色固体として析出したため、これ以上の検討は断念した。
Claims (3)
- (A)1分子中に少なくとも2個のケイ素原子に結合したアルケニル基を有し、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖され、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなる平均重合度が150~1,500の直鎖状構造を有する、25℃で液状のアルケニル基含有オルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記一般式(I)
で示され、分子中の全R1の内、2~7個がアルケニル基であるかご型構造を有するシルセスキオキサン:(A)成分100質量部に対し、1~100質量部、
(C)1分子中にケイ素原子に結合した水素原子を少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、0.1~40質量部、
(D)BET法による比表面積が50m2/g以上であるヒュームドシリカ:(A)成分100質量部に対し、0~100質量部、
(E)付加反応触媒:(A)成分と(B)成分の合計100質量部に対し、白金族金属(質量換算)として0.1~1,000ppm
を含有することを特徴とする付加硬化性液状シリコーンゴム組成物。 - (B)成分中のR1において、分子中の全R1の内、3~6個がビニル基であることを特徴とする請求項1記載の付加硬化性液状シリコーンゴム組成物。
- (D)成分の含有量が、(A)成分100質量部に対し、10~100質量部であることを特徴とする請求項1又は2記載の付加硬化性液状シリコーンゴム組成物。
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