本発明に係る燃料電池モジュールについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の図において、同一又は同様の機能及び効果を奏する構成要素に対しては同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する場合がある。
図1に示すように、本実施形態では、燃料電池モジュール10が定置用である場合を例に挙げて説明するが、特にこれに限定されるものではなく、例えば、車載用等の種々の用途に用いることができる。燃料電池モジュール10は、全体として略直方体形状に構成された燃料電池ユニット12と、該燃料電池ユニット12を収容するケーシング14とを備える。また、燃料電池ユニット12とケーシング14との間には断熱層(不図示)が設けられている。
燃料電池ユニット12では、熱交換器16と、蒸発器18と、改質器20と、燃焼器22と、燃料電池24とが、上下方向(矢印X方向)の下側(矢印X1側)から上側(矢印X2側)に向かって概ねこの順に配設されている。また、燃料電池ユニット12は、燃焼器22を収容する排ガス燃焼室26と、蒸発器18及び改質器20を収容する補機ケース28とをさらに備える。
図4に示すように、排ガス燃焼室26は、上下方向視の燃料電池ユニット12の略中央に配設される。また、図1に示すように、排ガス燃焼室26は、燃料電池ユニット12の上下方向において燃料電池24と熱交換器16との間に配設される。さらに、排ガス燃焼室26と燃料電池24とは上下方向に隣接するように重ねられる。つまり、本実施形態では、排ガス燃焼室26と燃料電池24との並び方向は上下方向に沿う。
具体的には、排ガス燃焼室26は、互いに連通する第1室30と、第2室32と、第3室33とを有する。第1室30と、第2室32と、第3室33とは、上下方向の下側(矢印X1側)から上側(矢印X2側)に向かってこの順に並ぶ。
本実施形態では、図3及び図5に示すように、第1室30を形成する第1壁30aは、上面が開口し下面が閉塞された筐体状である。つまり、第1壁30aは、第1外周壁30bと、第1底壁30cとを有する。図5に示すように、第1外周壁30bを形成する4個の外壁面のうちの3個は、蒸発器18と間隔を置いて対向している。このため、上下方向視において、蒸発器18は、第1外周壁30bの3個の外壁面を囲うコの字形状(C字形状、U字形状)である。
図3に示すように、第1底壁30cの外周縁部には、該第1底壁30cの熱変形を吸収する凹凸部31aが設けられている。本実施形態では、凹凸部31aは、第1室30(排ガス燃焼室26)の内部側に陥没するように、第1底壁30cの外周縁部に沿って設けられた溝形状であることとする。しかしながら、特にこれに限定されるものではなく、凹凸部31aは、第1底壁30c等が温度変化しても、熱応力が生じることを抑制可能となるような形状であればよい。これは、以下に説明する全ての凹凸部31b~31iにおいて同様であり、凹凸部31b~31iは、それぞれが設けられた壁部に関し、温度変化による熱応力の発生を抑制可能となる形状であればよい。なお、図3を除く図面では、凹凸部31a~31iの図示を省略している。
図1及び図3に示すように、第1室30(第1壁30a)及び蒸発器18は、補機ケース28の底部に設けられた蒸発器収容室34に収容されている。第1室30の第1外周壁30bの下端には、第1底壁30cよりも下側に突出する突部30dが、部分的(例えば、上下方向視の四隅等)に設けられている。
突部30dが補機ケース28の底壁28aに当接することで、第1室30の第1底壁30cと、補機ケース28の底壁28aとの間には、空間36が形成されている。第1底壁30cと補機ケース28とは、突部30dを介して互いに相対移動可能に当接するのみであり接続(接合)はされていない。補機ケース28の底壁28aには、突部30dが当接する部分の内周縁部と、該底壁28aの外周縁部とのそれぞれに、補機ケース28の熱変形を吸収する凹凸部31b、31cが設けられている。
図5に示すように、補機ケース28(蒸発器収容室34の周壁)は、蒸発器18の外周を、間隔を置いて囲む。また、補機ケース28の底壁28aに対しては、蒸発器18の底部の一部のみが当接している。補機ケース28の底壁28aと蒸発器18の底部の一部とは、互いに相対移動可能に当接するのみであり、接続(接合)はされていない。後述するように蒸発器18に接続される原燃料導入配管100と、補機ケース28(蒸発器収容室34)の側壁(周壁)との接続箇所である第1接続部37aのみによって、蒸発器18と補機ケース28とは接続されている。
本実施形態では、図3及び図7に示すように、第2室32を形成する第2壁32aは、上面及び下面が開口した略角筒形状である。また、図7に示すように、第2壁32aの周方向の一部には、上下方向(矢印X方向)に沿ったスリット状の燃焼室出口38が設けられている。第2壁32aの全体は、改質器20と共有の共有壁40である。つまり、第2壁32a(共有壁40)は、排ガス燃焼室26の第2室32を形成するとともに改質器20の内周壁を形成する。
このため、本実施形態の改質器20は、上下方向視で、燃焼室出口38を除く第2室32の外周を囲む方向に延在する枠形状(コの字形状、C字形状、U字形状)である。また、改質器20の延在方向(周方向)の両端部は互いに離間し、該両端部同士の間に燃焼室出口38が設けられている。図3に示すように、改質器20の底壁の周縁部及び上壁の周縁部のそれぞれには、改質器20の壁部の熱変形を吸収する凹凸部31d、31eが設けられている。
図3及び図7に示すように、第2室32及び改質器20は、補機ケース28の内部に設けられた改質器収容室42に収容されている。補機ケース28の内部を区画壁44によって上下方向の上下に区画した下側に蒸発器収容室34が形成され、上側に改質器収容室42が形成されている。
図6に示すように、区画壁44は、上下方向視の略中央に第2室32(図7)及び第1室30を連通させる開口44aが設けられた枠形状である。つまり、図3に示すように、改質器収容室42には、第1室30よりも外周側の底部に区画壁44が設けられている。区画壁44には、改質器収容室42(図3、図7)と蒸発器収容室34とを連通する収容室連通口44b(図6)が設けられている。図3に示すように、区画壁44の外周縁部には、該区画壁44の熱変形を吸収する凹凸部31fが設けられている。
図3及び図4に示すように、改質器収容室42の上部は、上壁46で閉塞されている。このため、改質器収容室42は、上下方向視で、該第2室32を除く部分が、枠形状の上壁46によって覆われる。図3に示すように、補機ケース28の上壁46の内周縁部及び外周縁部のそれぞれには、該上壁46の熱変形を吸収する凹凸部31g、31hが設けられている。
改質器収容室42の内部において、改質器20の共有壁40を除く外壁面(外底面20a、外周面20b、外上面20c)と、改質器収容室42の内壁面(内底面42a、内周面42b、内上面42c)とが離間して配設されることで、互いの間に空間が形成されている。つまり、補機ケース28(改質器収容室42の周壁)は、改質器20の外周を、間隔を置いて囲む。
補機ケース28の上端側(矢印X2側)には、第3室33を形成する第3壁33a(燃焼室壁)の下端側(矢印X1側)が連結されている。第3壁33aは、下面が開口し上面が閉塞された筐体状である。具体的には、第3壁33aは、燃料電池24に臨む対向壁33b(上壁)と、上下方向に延在する接続壁33c(上下を除く周壁、側壁)とを有する。なお、接続壁33cは、上下方向に対して、例えば、90°より小さい角度で傾斜していてもよい、また、不図示の湾曲部や傾斜部等が設けられていてもよい。接続壁33cの下端部(矢印X1側端部)が、枠形状の上壁46の内周縁部(開口周縁部)に接続される。これによって、第3壁33a内の第3室33と第2壁32a内の第2室32とが連通する。
図3に示すように、第3壁33aの対向壁33bの外周縁部には、該対向壁33bの熱変形を吸収する凹凸部31iが設けられている。また、第3室33の接続壁33cには、後述する酸化剤排ガス配管80が接続される酸化剤排ガス導入口80aと、後述する燃料排ガス配管78が挿通される燃料排ガス導入口78aとが設けられている。
本実施形態では、第3室33(排ガス燃焼室26)の内部が、流路壁84で上下に仕切られている。この流路壁84よりも下方(矢印X1側)に第2室32と連通する燃焼空間86が形成される。また、流路壁84よりも上方(矢印X2側)に酸化剤排ガス配管80よりも断面積が大きい部分を有する流路空間82が形成される。つまり、本実施形態では、流路壁84と、第3壁33aの流路壁84よりも上側の部分とが、流路空間82を形成する壁部となる。第3室33の内部には、燃焼器22等が配設されるが、その詳細については後述する。
排ガス燃焼室26内には、第3室33側から第2室32を経て第1室30側まで、上下方向に延在するガイド壁54が設けられている。なお、図5~図7では、ガイド壁54の図示を省略している。本実施形態では、排ガス燃焼室26の内部であって、燃焼室出口38(図4及び図7)の近傍に1個のガイド壁54が設けられることとするが、ガイド壁54が設けられる場所や個数は特に限定されるものではなく、ガイド壁54は複数設けられていてもよい。また、ガイド壁54は全体として上下方向に延在していればよく、不図示の湾曲部や傾斜部等が設けられていてもよい。
図3に示すように、補機ケース28の内部において、第1壁30aの上端及び第2壁32aの下端の間と、第2壁32aの上端及び第3壁33aの下端の間とのそれぞれには遮断部材56a、56bが設けられている。これらの遮断部材56a、56bは、排ガス燃焼室26の内部と補機ケース28の内部との連通を遮断する。また、第1壁30aの上端及び第2壁32aの下端の間に設けられた遮断部材56aは、改質器20の外底面20aと、改質器収容室42の内底面42a(区画壁44の上面)との間にも介在する。これによって、改質器20の外底面20aと、改質器収容室42の内底面42aとが離間した状態で維持される。
図1に示すように、第3室33よりも上側(矢印X2側)には、該第3室33の対向壁33b(図3)に隣接して燃料電池24が配設されている。燃料電池24は、固体酸化物形燃料電池(SOFC)であり、本実施形態では、平板状の発電セル60を上下方向(矢印X方向)に複数積層することで形成されたスタックの形態からなる。なお、燃料電池24は、複数の円筒状の発電セル(不図示)を電気的に接続して形成されてもよい。
発電セル60は、例えば、安定化ジルコニア等の酸化物イオン導電体で構成される電解質62の両面に、カソード電極64及びアノード電極66が設けられた電解質・電極接合体68(MEA)を備える。電解質・電極接合体68の両側には、カソードセパレータ70とアノードセパレータ72とが配設される。カソードセパレータ70には、カソード電極64に空気等の酸素(O2)含有ガスである酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス系流路74の一部が形成される。アノードセパレータ72には、アノード電極66に水素(H2)含有ガスである燃料ガスを供給する燃料ガス系流路76の一部が形成される。
燃料電池24では、燃料ガス系流路76を介してアノード電極66に供給された燃料ガスと、酸化剤ガス系流路74を介してカソード電極64に供給された酸化剤ガスとが電気化学反応により消費され、発電が行われる。電気化学反応で消費されなかった残余の燃料ガスである燃料排ガスは、燃料排ガス流路52の一部を形成する燃料排ガス配管78に排出される。電気化学反応で消費されなかった残余の酸化剤ガスである酸化剤排ガスは、酸化剤排ガス流路50の一部を形成する酸化剤排ガス配管80に排出される。
図3に示すように、酸化剤排ガス配管80の下流側は、酸化剤排ガス導入口80aを介して接続壁33cを略水平方向に貫通し、該第3室33内の流路空間82に開口する。このため、燃料電池24(図1)から排出された酸化剤排ガスは、酸化剤排ガス配管80を介して第3室33の流路空間82に供給される。以下では、酸化剤排ガス導入口80aに排ガス燃焼室26を挟んで対向する接続壁33cを反対側壁33dともいう。
一方、燃料排ガス配管78の下流側は、燃料排ガス導入口78aを介して接続壁33c(本実施形態では、反対側壁33d)を略水平方向に貫通し、該第3室33内の流路空間82に延在する。また、図3、図4、図8に示すように、燃料排ガス配管78は、排ガス燃焼室26(流路空間82)内に延在する部分の少なくとも一部の断面が上下方向に薄い扁平形状となっている。
なお、例えば、第3壁33aが角筒状(本実施形態では四角筒状)であり、接続壁33cが複数設けられる場合、何れの接続壁33cに酸化剤排ガス配管80及び燃料排ガス配管78が接続されてもよい。また、第3壁33aは不図示の円筒状であってもよく、この場合、1個の接続壁33cの何れの箇所に酸化剤排ガス配管80及び燃料排ガス配管78が接続されてもよい。
燃焼器22は、排ガス燃焼室26(第1室30、第2室32、第3室33の燃焼空間86)の内部で、酸化剤排ガス及び燃料排ガスを燃焼させて燃焼排ガスを生成するものであり、燃料排ガス噴出部22a及び酸化剤排ガス噴出部22bと、不図示の着火器とを有する。
燃料排ガス噴出部22aは、燃料排ガスノズル87と、燃料排ガス噴出孔88とを有する。本実施形態では、燃料排ガスノズル87は、流路空間82で燃料排ガス配管78の下流側の端部と接続されている。つまり、燃料電池24から排出された燃料排ガスは、燃料排ガス配管78を介して燃料排ガスノズル87に供給される。
流路壁84には、上下方向を軸方向として挿通孔84aが貫通形成され、該挿通孔84aに燃料排ガスノズル87が挿通されている。これによって、燃料排ガスノズル87は、流路空間82と燃焼空間86とに亘って上下方向に延在し、燃料排ガスノズル87の下流側が燃焼空間86に配設される。なお、燃料排ガスノズル87の外径と、流路壁84の挿通孔84aの径とが略同じに設定されること等によって、燃料排ガスノズル87の外周面と、流路壁84の挿通孔84aの内周面との間は気密となっている。
燃料排ガスノズル87は、下端部が閉塞された筒状である。また、燃料排ガスノズル87の燃焼空間86に配設された部分には、その周壁を貫通する複数の燃料排ガス噴出孔88が形成されている。このため、図3に実線の矢印で示すように、燃料排ガス配管78内の燃料排ガス流路52から燃料排ガスノズル87に供給された燃料排ガスは、燃料排ガス噴出孔88から燃焼空間86の内部に略水平方向に噴出される。
図10A~図10Cに示すように、本実施形態では、燃料排ガスノズル87の周壁には、その周方向(挿通孔84aの周方向)に間隔を置いて燃料排ガス噴出孔88が複数設けられている。これらの複数の燃料排ガス噴出孔88は、燃料排ガスノズル87の周壁を周回する列88a、88bを形成する。図10Aに示すように、燃料排ガス噴出孔88の列88a、88bは、上下方向に隣接するように複数(本実施形態では2列)設けられる。また、図10B及び図10Cに示すように、上下方向に隣接する列88a、88bのそれぞれを形成する燃料排ガス噴出孔88は、上下方向視において互いの周方向の位置が異なることが好ましい。
図3に示すように、酸化剤排ガス噴出部22bは、流路空間82を流通した酸化剤排ガスを燃焼空間86に噴出するべく流路壁84に貫通形成された酸化剤排ガス噴出孔90と、酸化剤排ガスが通過可能に酸化剤排ガス噴出孔90を覆う整流部89とを有する。酸化剤排ガス噴出孔90の軸方向(本実施形態では上下方向、矢印X方向)に沿って、燃料排ガスノズル87は燃焼空間86を延在する。以下では、酸化剤排ガス噴出孔90の軸方向(燃料排ガスノズル87の軸方向)を単に「軸方向」ともいう。
酸化剤排ガス噴出孔90は、流路壁84の挿通孔84aよりも外周側の周縁部に、周方向に互いに間隔を置いて複数設けられ、流路空間82と燃焼空間86とを連通させる。図9に示すように、酸化剤排ガス噴出孔90は、上下方向視で、挿通孔84aから離間する側に比して、挿通孔84aに近接する側の曲率半径が小さいオーバル形状(卵形、長円形、楕円形)となっていることが好ましい。なお、図9では、整流部89の図示を省略している。
また、上下方向視における、燃料排ガス噴出孔88と、酸化剤排ガス噴出孔90との位置関係は、図10B及び図10Cに示すように設定されることが好ましい。すなわち、複数の燃料排ガス噴出孔88のそれぞれは、上下方向視で酸化剤排ガス噴出孔90同士の間に配置されることが好ましい。この場合、例えば、2列88a、88bの燃料排ガス噴出孔88が設けられているとき、各列88a、88bを形成する燃料排ガス噴出孔88の個数(本実施形態では6個)は、酸化剤排ガス噴出孔90の個数(本実施形態では12個)の半分となる。また、上下方向視において、燃料排ガス噴出孔88は、上側の列88aと下側の列88bとで、周方向に互い違いに配置されることが好ましい。なお、燃料排ガス噴出孔88の列88a、88bの数、燃料排ガス噴出孔88の個数、酸化剤排ガス噴出孔90の個数のそれぞれは特に限定されるものではなく、燃料電池モジュール10の仕様等に応じて適宜設定することができる。
図3、図8、図9に示すように、酸化剤排ガス噴出孔90は、流路壁84に対し、挿通孔84aの径方向の外側に、該挿通孔84aと間隔を置いて配設されている。このため、流路壁84の挿通孔84aと酸化剤排ガス噴出孔90との間には板状部84bが設けられている。
ここで、図4及び図8に示すように、流路壁84には、酸化剤排ガス導入口80aと酸化剤排ガス噴出孔90との間に、燃焼空間86側に陥没する陥没部84cが設けられている。この陥没部84cの底部の酸化剤排ガス導入口80a側は、例えば、酸化剤排ガス導入口80aの下側縁部に沿って湾曲する。また、陥没部84cの底部には、酸化剤排ガス導入口80a側から酸化剤排ガス噴出孔90側に近づくに連れて、流路空間82側(上側)に隆起する隆起部84dが設けられている。隆起部84dの少なくとも一部は、酸化剤排ガス導入口80aに対して、間隔を置いて対向する。
上記のように隆起部84dが設けられることで、図3及び図8に一点鎖線の矢印で示すように、酸化剤排ガス導入口80aから流路空間82に供給された酸化剤排ガスは、隆起部84dに接触して、その流通方向が分散される。これによって、酸化剤排ガスが、第3室33(排ガス燃焼室26)の酸化剤排ガス導入口80aから反対側壁33dに向かう略水平方向の流れが減少する。
図8に示すように、酸化剤排ガス噴出孔90から噴出された酸化剤排ガスは、燃焼空間86を酸化剤排ガス噴出孔90側(矢印X2側)から燃料排ガス噴出孔88側(矢印X1側)に向かって流通する。整流部89は、該整流部89の内部に酸化剤排ガスを通過させることで、酸化剤排ガスの流通方向を調整する。整流部89で調整された酸化剤排ガスの流通方向は、酸化剤排ガス噴出孔90側よりも燃料排ガス噴出孔88側が燃料排ガスノズル87の軸心から離間する。
具体的には、整流部89は、流路空間82で酸化剤排ガス噴出孔90を覆うことにより、流路壁84との間に整流室91を形成する整流カバー92を有する。整流カバー92は、酸化剤排ガス噴出孔90と上下方向に間隔を置いて対向する環状部92cと、環状部92cの外周縁部と流路壁84との間に設けられ、環状部92cから流路壁84に向かうに連れて拡径するテーパ状部92bと、テーパ状部92bの下端の外周縁部から径方向の外側に延在して流路壁84に当接するフランジ部92aとを有する。なお、フランジ部92a、テーパ状部92b、環状部92cは同一材料から一体に形成されてもよいし、別部材から形成された後に一体化されてもよい。
フランジ部92aの下面は、流路壁84の酸化剤排ガス噴出孔90よりも外周側に当接する。環状部92cの径方向の中心に設けられた開口には、燃料排ガスノズル87が挿通される。環状部92cの開口の径は、燃料排ガスノズル87の外径よりも大きく設定されている。このため、燃料排ガスノズル87の外周面と、環状部92cの開口の内周面との間には、酸化剤排ガス入口92dが形成されている。
酸化剤排ガス入口92dは、流路空間82内の酸化剤排ガスを、整流カバー92と流路壁84との間の整流室91に流入可能とする。つまり、酸化剤排ガス入口92dを介して流路空間82から整流室91に流入した酸化剤排ガスが、酸化剤排ガス噴出孔90から燃焼空間86に噴出される。
上下方向視で酸化剤排ガス噴出孔90の全体は、酸化剤排ガス入口92dの径方向の外側に設けられる。換言すると、上下方向視で、酸化剤排ガス入口92dは、酸化剤排ガス噴出孔90よりも挿通孔84a側に配設され、板状部84bに臨む。このため、酸化剤排ガス入口92dから流入した酸化剤排ガスは、テーパ状部92bの傾斜方向に沿って径方向の外側に向かいながら下側に流通する。その結果、図3及び図8に一点鎖線の矢印で示すように、酸化剤排ガス噴出孔90から燃焼空間86に噴出される酸化剤排ガスは、燃料排ガスノズル87の径方向の外側に向かいながら下側へと末広がりに(略円錐形状に)流通する。すなわち、燃焼空間86における酸化剤排ガスの流通方向は、酸化剤排ガス噴出孔90側よりも燃料排ガス噴出孔88側が燃料排ガスノズル87の軸心から離間する。
着火器は、燃焼空間86の燃料排ガス噴出孔88及び酸化剤排ガス噴出孔90の近傍に配設される。また、着火器は、燃料排ガス噴出孔88から噴出された燃料排ガス及び酸化剤排ガス噴出孔90から噴出された酸化剤排ガスに、例えば、燃料電池モジュール10の起動時等に着火させて燃焼反応を開始させる。なお、着火器としては、点火装置や、点火ヒータ等を用いることができる。
上記のようにして、燃焼器22では、排ガス燃焼室26内の火炎に酸化剤排ガス及び燃料排ガスが供給されることで、酸化剤排ガス及び燃料排ガスを燃焼させる。その結果、排ガス燃焼室26の温度が、例えば、約700℃の高温に上昇するとともに、高温の燃焼排ガスが生成される。
この燃焼排ガスは、図3に破線の矢印で示すように、ガイド壁54によって、排ガス燃焼室26内を第3室33側から第2室32を経て第1室30の内部に流通した後に、第2室32の第2壁32aに設けられた燃焼室出口38(図4及び図7)へと導かれる。燃焼室出口38を介して排ガス燃焼室26から排出された燃焼排ガスは、上記の通り、改質器20の外壁面と改質器収容室42の内壁面との間に形成された空間を流通することで、改質器20と熱交換し、改質器20を加熱する。
改質器収容室42で改質器20と熱交換した燃焼排ガスは、補機ケース28の区画壁44に設けられた収容室連通口44b(図6)を介して蒸発器収容室34に流入する。蒸発器収容室34の内部では、第1室30及び蒸発器18と、燃焼排ガスとが熱交換することで、排ガス燃焼室26が保温されるとともに蒸発器18が加熱される。
蒸発器収容室34の内部で第1室30及び蒸発器18と熱交換した燃焼排ガスは、図4~図7に示すように、補機ケース28の底壁28aに設けられた燃焼排ガス出口94を介して蒸発器収容室34から排出される。図1、図4~図7に示すように、燃焼排ガス出口94には、燃焼排ガス配管96が接続されている。図1に示すように、燃焼排ガス配管96は、補機ケース28と熱交換器16とを接続する。つまり、蒸発器収容室34から排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス配管96を介して熱交換器16に供給される。
熱交換器16は、酸化剤ガス供給源(不図示)から供給された酸化剤ガスと、上記のように燃焼排ガス配管96を介して供給された燃焼排ガスとを熱交換させる。これによって、燃料電池24に供給する前の酸化剤ガスを予熱(加熱)する。つまり、熱交換器16で予熱された酸化剤ガスが、酸化剤ガス系流路74の一部を形成する酸化剤ガス供給配管98を介して燃料電池24に供給される。
一方、蒸発器18は、燃料ガス供給源(不図示)から、例えば、都市ガスやプロパンガス等の炭化水素を主体とする原燃料が供給されるとともに、水供給源(不図示)から水が供給される。なお、原燃料及び水は共通の原燃料導入配管100(図1、図4~図7)を介して蒸発器18の内部に供給される。蒸発器18は、上記のように蒸発器収容室34内において燃焼排ガスと熱交換することにより、原燃料を予熱するとともに水を蒸発させて水蒸気とする。蒸発器18の動作温度は、例えば、100℃~200℃である。
図4~図7に示すように、原燃料導入配管100は、補機ケース28(蒸発器収容室34)の側壁(周壁)を貫通して延在する。この貫通部分において原燃料導入配管100と補機ケース28とが接続されて第1接続部37aが形成されている。
図1、図4及び図7に示すように、蒸発器18で得られた水蒸気及び予熱された原燃料は、蒸発器18と改質器20とを接続する接続管102を介して改質器20の内部に供給される。蒸発器18と改質器20とは、接続管102を介した第2接続部37bのみによって接続されている。また、接続管102は、区画壁44に設けられた貫通孔44c(図4、図6及び図7)に挿通されることで、蒸発器収容室34と改質器収容室42とに亘って延在するが、接続管102と区画壁44とは接続(接合)されていない。
改質器20では、水蒸気及び原燃料から水素を生成する水蒸気改質反応を生じさせて、燃料ガスを生成する。改質器20及び該改質器20の内部に設けられた改質触媒(不図示)が、例えば、約600℃~700℃の高温である場合に安定して水蒸気改質反応を生じさせることができる。つまり、改質器20は高温域で動作する。また、水蒸気改質反応は、吸熱反応である。従って、改質器20で良好に燃料ガスを生成するためには、該改質器20の外部から継続的に熱を加えることが好ましい。
本実施形態では、上記の通り、改質器収容室42の内部における燃焼排ガスとの熱交換により改質器20に外部から継続的に熱を加えることができる。また、改質器20と排ガス燃焼室26とが共有の共有壁40とを有することにより、排ガス燃焼室26の熱を改質器20に継続的に加えることができる。これらによって、水蒸気改質反応を良好に生じさせて、燃料ガスを得ることができる。
また、改質器20と排ガス燃焼室26とが共有の共有壁40とを有することにより、上記のように改質器20を加熱することができるとともに、高温域で動作する改質器20の熱を共有壁40を介して排ガス燃焼室26に伝えることができる。このため、排ガス燃焼室26を形成する壁部(特に、第2壁32a)の温度を高温に維持できる。
改質器20で得られた燃料ガスは、改質器20と燃料電池24とを接続して燃料ガス系流路76の一部を形成する燃料ガス供給配管104を介して燃料電池24に供給される。
図1に示すように、燃料ガス供給配管104の上流側(燃料電池24と反対側)は、改質器収容室42の内部で改質器20に接続される。また、燃料ガス供給配管104の下流側は、補機ケース28の外側且つケーシング14の内側で燃料電池24に接続される。図1、図3、図4、図7に示すように、燃料ガス供給配管104の上流側と下流側の間は、補機ケース28(改質器収容室42)の側壁(周壁)を貫通し、この貫通部分において燃料ガス供給配管104と補機ケース28とが接続されている。燃料ガス供給配管104と、補機ケース28の側壁との接続箇所である第3接続部37cのみによって、改質器20と補機ケース28とが接続されている。
基本的には上記のように構成される燃料電池モジュール10の動作について、燃料電池ユニット12を流通する流体の流れに沿って説明する。
図2に示すように、燃料電池モジュール10の運転時には、酸化剤ガス供給源から不図示の酸化剤ガス導入配管を介して熱交換器16に酸化剤ガスが供給される。また、燃料ガス供給源からの原燃料と、水供給源からの水とが原燃料導入配管100を介して蒸発器18の内部に供給される。
熱交換器16に供給された酸化剤ガスは、燃焼排ガスとの熱交換により加熱された後、図1に示すように、酸化剤ガス供給配管98を通って燃料電池24の各発電セル60に設けられた酸化剤ガス系流路74にそれぞれ供給される。
一方、蒸発器18の内部に供給された原燃料及び水は、蒸発器収容室34において、蒸発器18の壁部を介して燃焼排ガスと熱交換することにより加熱される。これによって昇温した原燃料と、水が蒸発して生成された水蒸気とは、接続管102を通って改質器20の内部に供給される。
改質器20では、原燃料及び水蒸気を水蒸気改質反応させることにより燃料ガスを生成する。この際、改質器20は、改質器収容室42において燃焼排ガスと熱交換することや、共有壁40を介して排ガス燃焼室26の熱が伝えられることにより、好適な動作温度に維持されている。また、上記の通り蒸発器18で加熱された原燃料が水蒸気とともに改質器20に供給されるため、未加熱の原燃料が供給される場合に比して、改質器20の温度を良好に高温に維持することができる。改質器20で得られた燃料ガスは、燃料ガス供給配管104を通って燃料電池24の各発電セル60に設けられた燃料ガス系流路76にそれぞれ供給される。
燃料電池24の各発電セル60では、熱交換器16を介して酸化剤ガス供給配管98から供給された酸化剤ガスと、蒸発器18及び改質器20を介して燃料ガス供給配管104から供給された燃料ガスとを電気化学反応させて発電する。また、電気化学反応で消費されなかった酸化剤ガスを酸化剤排ガスとして酸化剤排ガス配管80に排出し、電気化学反応で消費されなかった燃料ガスを燃料排ガスとして燃料排ガス配管78に排出する。
燃料排ガス配管78に排出された燃料排ガスは、図3に示すように、排ガス燃焼室26の流路空間82の内部に設けられた燃料排ガス配管78の下流側を通って燃料排ガスノズル87に供給される。燃料排ガスノズル87は、燃料排ガス噴出孔88から燃焼空間86の内部に略水平方向に燃料排ガスを噴出する。
一方、酸化剤排ガス配管80に排出された酸化剤排ガスは、排ガス燃焼室26の流路空間82に供給される。この酸化剤排ガスは、隆起部84dに接触することや、流路空間82内を流通することにより、酸化剤排ガス導入口80aから反対側壁33dに向かう方向の流れが分散された後、整流カバー92に設けられた酸化剤排ガス入口92dを介して整流室91に流入する。そして、酸化剤排ガスは、流路壁84に設けられた酸化剤排ガス噴出孔90を介して燃焼空間86に噴出される。この際、燃焼空間86における酸化剤排ガスの流通方向は、酸化剤排ガス噴出孔90側よりも燃料排ガス噴出孔88側が燃料排ガスノズル87の軸心から離間する。
上記のようにして、燃料排ガス噴出孔88から噴出された燃料排ガスと、酸化剤排ガス噴出孔90から噴出された酸化剤排ガスとは、排ガス燃焼室26内を下方に向かって流通しながら燃焼することによって燃焼排ガスとなる。排ガス燃焼室26の内部には、上記の通り、第3室33側から第1室30側まで上下方向に延在するガイド壁54が設けられている。
このガイド壁54によって、燃料排ガス及び酸化剤排ガスは、排ガス燃焼室26の上側(第3室33の燃焼空間86及び第2室32側)から下側の第1室30に向かって流通するように導かれながら燃焼する。つまり、ガイド壁54は、例えば、燃料排ガス噴出孔88から噴出された燃料排ガスと、酸化剤排ガス噴出孔90から噴出された酸化剤排ガスが、第2室32の燃焼室出口38(図4、図7)に直接向かうことを抑制する。この場合、排ガス燃焼室26の空間を有効に利用して、燃料排ガス及び酸化剤排ガスが燃焼しながら排ガス燃焼室26内を流通して燃焼室出口38から排出されるまでの経路を長く設けることができる。これによって、燃料排ガス及び酸化剤排ガスの燃焼反応を十分に進行させることが可能になる。
排ガス燃焼室26で生じた燃焼排ガスは、図4及び図7に示す第2室32の燃焼室出口38から、改質器20の外壁面と改質器収容室42の内壁面との間に排出される。改質器収容室42の内部において、燃焼排ガスは、改質器20の外壁面と改質器収容室42の内壁面との間に形成された空間を流通する。これによって、図3の改質器20の共有壁40を除く外壁面(外底面20a、外周面20b、外上面20c)を介して改質器20と燃焼排ガスとが熱交換されるため、改質器20が効率的に加熱される。
改質器収容室42を流通した燃焼排ガスは、区画壁44の収容室連通口44bを介して蒸発器収容室34に流入する。図3に示すように、蒸発器収容室34の内部では、第1室30の第1外周壁30bと蒸発器18との間や、第1室30の第1底壁30cと補機ケース28の底壁28aとの間の空間36を燃焼排ガスが流通する。これによって、燃焼排ガスと第1壁30aとが熱交換して、排ガス燃焼室26が保温される。また、蒸発器18が燃焼排ガスとの熱交換により加熱され、これによって、上記の通り、蒸発器18の内部で原燃料が加熱されるとともに水蒸気が生成する。
蒸発器収容室34を流通した燃焼排ガスは、補機ケース28の底壁28aに設けられた燃焼排ガス出口94から燃焼排ガス配管96を通って、図1の熱交換器16に供給される。熱交換器16において酸化剤ガスと熱交換し、該酸化剤ガスを加熱した後の燃焼排ガスは、例えば、不図示の凝縮器に供給され、該燃焼排ガスに含まれる水分が回収された後、燃料電池モジュール10の外部に排気される。
この際、上記の通り、燃焼排ガスは、酸化剤排ガスと燃料排ガスとを良好に燃焼反応させて生成されたものであり、未消費の燃料ガス(燃料排ガス)の含有量が十分に低くなっている。このため、燃焼排ガスとともに未消費の燃料ガスが排気されることを容易に抑制できる。
以上から、本実施形態に係る燃料電池モジュール10では、燃焼空間86を流通する酸化剤排ガスの流通方向が、酸化剤排ガス噴出孔90を覆う整流部89によって調整されることで、該流通方向の酸化剤排ガス噴出孔90側よりも燃料排ガス噴出孔88側が燃料排ガスノズル87の軸心から離間する。これによって、酸化剤排ガスが燃料排ガス噴出孔88に向かって吹き付けられることを回避できる。このため、燃料排ガス噴出孔88から噴出された燃料排ガスが燃焼して生じる火炎が、酸化剤排ガスで吹き消されることを抑制しつつ、排ガス燃焼室26の燃焼空間86に酸化剤排ガス及び燃料排ガスを供給して、燃焼反応を良好に生じさせることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、整流部89は、流路空間82で酸化剤排ガス噴出孔90を覆うことにより、流路壁84との間に整流室91を形成する整流カバー92を有し、整流カバー92は、流路空間82から整流室91に酸化剤排ガスを流入可能とする酸化剤排ガス入口92dが設けられ、酸化剤排ガス入口92dは、軸方向(上下方向)視で、酸化剤排ガス噴出孔90よりも挿通孔84a側に配設され、酸化剤排ガス噴出孔90は、流路空間82から整流室91に流入した酸化剤排ガスを燃焼空間86に噴出することとした。
この場合、整流室91では、上下方向視で挿通孔84aに近い側に設けられた酸化剤排ガス入口92dから、該酸化剤排ガス入口92dよりも挿通孔84aから遠い側に設けられた酸化剤排ガス噴出孔90に向かって酸化剤排ガスが流通する。このため、酸化剤排ガス噴出孔90から燃焼空間86に噴出される酸化剤排ガスは、燃料排ガスノズル87の径方向の外側に向かいながら下側へと末広がりに流通する。
これによって、酸化剤排ガス噴出孔90から燃料排ガス噴出孔88の周囲に略均等に酸化剤排ガスを噴出することができる。また、酸化剤排ガスが燃料排ガス噴出孔88に向かって吹き付けられることを回避できるため、燃料排ガス噴出孔88において燃料排ガスの燃焼により生じる火炎が、酸化剤排ガスによって吹き消されることを抑制できる。その結果、酸化剤排ガス及び燃料排ガスを一層良好に燃焼させることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、整流カバー92は、酸化剤排ガス噴出孔90と軸方向(上下方向)に間隔を置いて対向する環状部92cと、環状部92cの外周縁部と流路壁84との間に設けられ、環状部92cから流路壁84に向かうに連れて拡径するテーパ状部92bと、を有し、環状部92cの開口に、該開口の径よりも外径が小さい燃料排ガスノズル87が挿通され、開口の内周面と燃料排ガスノズル87の外周面との間に酸化剤排ガス入口92dが形成され、軸方向(上下方向)視で酸化剤排ガス噴出孔90の全体が、酸化剤排ガス入口92dの径方向の外側に設けられることとした。
この場合、簡単な構成の整流カバー92により、上記の通り、燃料排ガスの周りに略均等に酸化剤排ガスを噴出すること及び酸化剤排ガスを末広がり形状とすることができる。このため、燃料電池モジュール10を一層簡単で低コストに構成することができるとともに、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10の流路壁84には、挿通孔84aの周方向に間隔を置いて複数の酸化剤排ガス噴出孔90が設けられることとした。この場合、酸化剤排ガス噴出孔90から燃料排ガス噴出孔88の周りに略均等に酸化剤排ガスを噴出し易くなり、燃料排ガス及び酸化剤排ガスをより良好に燃焼させることが可能となる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10は、整流カバー92を有する整流部89を備えることとしたが、特にこれに限定されるものではない。例えば、燃料電池モジュール10は、図3及び図8等に示す整流部89に代えて、図11A、図11B及び図11Cに示す整流部106を備えてもよい。
図11Bに示すように、整流部106は、流路空間82で酸化剤排ガス噴出孔90を覆うとともに燃料排ガスノズル87が挿通される本体部107を有する。なお、図11Cに示すように、整流部106は、燃焼空間86で酸化剤排ガス噴出孔90を覆ってもよい。また、不図示ではあるが、整流部106は、流路空間82及び燃焼空間86のそれぞれに配置されることで、流路空間82及び燃焼空間86の両方で酸化剤排ガス噴出孔90を覆ってもよい。
本実施形態では、本体部107は、円筒状であり、該本体部107の軸心に沿って燃料排ガスノズル87が挿通されている。なお、燃料排ガスノズル87の外径と、本体部107の内径とが略同じに設定されること等によって、燃料排ガスノズル87の外周面と、本体部107の内周面との間は気密となっている。本体部107には、燃料排ガスノズル87の周囲に、該本体部107の周方向に間隔を置いて複数の整流流路108が形成されている。本実施形態では、整流流路108の個数は、酸化剤排ガス噴出孔90の個数と同数となっている。また、整流流路108の延在方向に直交する断面形状は、酸化剤排ガス噴出孔90の上下方向視の形状と同じに設定されている。しかしながら、整流流路108の個数や、断面形状は、特に上記に限定されるものではない。
整流流路108は、本体部107の上側(矢印X2側)から下側(矢印X1側)に向かって、該本体部107の内部に酸化剤排ガスを通過させる。各整流流路108は、上流側から下流側に向かうに連れて、燃料排ガスノズル87の軸心から離間する方向に延在する。なお、図11Bに示すように、流路空間82に設けられた本体部107では、各整流流路108の下端が、酸化剤排ガス噴出孔90に対向する。一方、図11Cに示すように、燃焼空間86に設けられた本体部107では、各整流流路108の上端が、酸化剤排ガス噴出孔90に対向する。
上記のように構成される本体部107を備える燃料電池モジュール10であっても、酸化剤排ガスが整流流路108を流通することで、燃焼空間86を流通する酸化剤排ガスの流通方向が調整され、該流通方向の酸化剤排ガス噴出孔90側よりも燃料排ガス噴出孔88側が燃料排ガスノズル87の軸心から離間する。これによって、燃料排ガス噴出孔88から噴出された燃料排ガスが燃焼して生じる火炎が、酸化剤排ガスで吹き消されることを抑制できるため、燃料排ガス及び酸化剤排ガスの燃焼反応を良好に生じさせることが可能になる。
図9に示すように、上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、酸化剤排ガス噴出孔90の軸方向(上下方向)視の形状は、挿通孔84aから離間する側に比して挿通孔84aに近接する側の曲率半径が小さいオーバル形状であることとした。
この場合、例えば、真円形状や多角形状の酸化剤排ガス噴出孔(不図示)とは異なり、各酸化剤排ガス噴出孔90の面積を維持しつつ、複数の酸化剤排ガス噴出孔90同士の間に、互いの距離L(図9)が極端に小さくなる箇所が生じることを回避できる。このため、各酸化剤排ガス噴出孔90から噴出される酸化剤排ガスの流量を十分に維持できるとともに、流路壁84の強度が低下することを抑制できる。
また、酸化剤排ガス噴出孔90の挿通孔84aに近接する側の面積が小さく、挿通孔84aから離間する側の面積が大きくなることから、酸化剤排ガス噴出孔90から噴出される酸化剤排ガスを上記のように末広がりとすることが容易になり、酸化剤排ガス及び燃料排ガスを一層良好に燃焼させることが可能になる。なお、酸化剤排ガス噴出孔90の軸方向(上下方向)視の形状は、特に上記のオーバル形状に限定されるものではなく、種々の形状とすることが可能である。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10の燃料排ガスノズル87の周壁には、周方向に間隔を置いて燃料排ガス噴出孔88が複数設けられ、軸方向視で、複数の燃料排ガス噴出孔88は、複数の酸化剤排ガス噴出孔90同士の間に配置されることとした。この場合、酸化剤排ガス噴出孔90から噴出された酸化剤排ガスが燃料排ガス噴出孔88に向かって吹き付けられることを回避できる。このため、燃料排ガス噴出孔88において燃料排ガスの燃焼により生じる火炎が、酸化剤排ガスによって吹き消されることを抑制できる。その結果、酸化剤排ガス及び燃料排ガスを一層良好に燃焼させることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10の燃料排ガスノズル87の周壁には、該周壁を周回して配設される複数の燃料排ガス噴出孔88からなる列88a、88bが、軸方向に複数設けられ、軸方向に隣接する列88a、88bを形成する燃料排ガス噴出孔88は、互いの周方向の位置が異なることとした。この場合、燃焼空間86内において、燃料排ガスと酸化剤排ガスとを良好に混合させることが可能となり、互いの燃焼反応を促すことができる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、燃料電池24と排ガス燃焼室26は、並び方向に並んで配置され、排ガス燃焼室26を形成する燃焼室壁(第3壁33a)は、燃料電池24に臨む対向壁33b、及び並び方向(上下方向)に延在する接続壁33cを有し、酸化剤排ガスを燃焼器22へと導く酸化剤排ガス配管80と、燃料排ガスを燃焼器22へと導く燃料排ガス配管78とのそれぞれは、排ガス燃焼室26の外側から接続壁33cに接続されることとした。
この場合、例えば、燃料電池24に備えられる不図示のエンドプレート等の板状部材の内部に流路を設ける構成に比して、簡単且つ低コストに設けられる燃料排ガス配管78及び酸化剤排ガス配管80によって、燃料電池24から燃焼器22へと燃料排ガス及び酸化剤排ガスを導くことができる。
また、燃料排ガス配管78及び酸化剤排ガス配管80は、上下方向(燃料電池24と排ガス燃焼室26との並び方向)に延在する接続壁33cに排ガス燃焼室26の外側から接続される。このため、排ガス燃焼室26の対向壁33bと、燃料電池24との間に、酸化剤排ガス配管80及び燃料排ガス配管78が介在することを回避できる。
これらから、燃料電池24と排ガス燃焼室26との並び方向に燃料電池モジュール10が大型化することを抑制しつつ、該燃料電池モジュール10を簡単な構成とすることができる。
ところで、上記のように接続壁33cに接続された酸化剤排ガス配管80から流路空間82に対して、単純に酸化剤排ガスを供給すると、酸化剤排ガスの供給方向が酸化剤排ガス噴出孔90の軸方向と交差してしまう。この場合、燃料排ガス噴出孔88の周囲に略均等に酸化剤排ガスを供給し難くなることから、燃料排ガス及び酸化剤排ガスの燃焼反応を良好に生じさせることが困難となる懸念がある。
しかしながら、この燃料電池モジュール10では、整流部89、106によって燃焼空間86における酸化剤排ガスの流通方向を上記のように調整することが可能である。このため、燃料電池モジュール10の並び方向の小型化を図るべく、接続壁33cに接続された酸化剤排ガス配管80から流路空間82に酸化剤排ガスを供給しても、燃料排ガス噴出孔88の周囲に略均等に酸化剤排ガスを供給することができ、ひいては、燃料排ガス及び酸化剤排ガスの燃焼反応を良好に生じさせることができる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、流路空間82は、酸化剤排ガス配管80よりも断面積が大きい部分を有し、酸化剤排ガス配管80は、接続壁33cに設けられた酸化剤排ガス導入口80aを介して流路空間82に酸化剤排ガスを供給し、燃料排ガス配管78は、接続壁33cに設けられた燃料排ガス導入口78aに挿通されて排ガス燃焼室26内で燃料排ガスノズル87と接続されることとした。
この場合、酸化剤排ガス配管80内の酸化剤排ガスが、酸化剤排ガス導入口80aから、酸化剤排ガス配管80よりも断面積が大きい部分を有する流路空間82に供給される。この酸化剤排ガスは、流路空間82を流通することで流れの方向が分散された後に、流路壁84に設けられた酸化剤排ガス噴出孔90から燃焼空間86へと噴出される。
このため、酸化剤排ガスが、排ガス燃焼室26の酸化剤排ガス導入口80aから反対側壁33dに向かう略水平方向の流れのまま、酸化剤排ガス噴出孔90を介して燃焼空間86に供給されることを抑制できる。これによって、燃料排ガスの周囲に略均等に酸化剤排ガスを噴出することができ、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能になる。
流路空間82は、流路壁84等を介して燃焼空間86の熱が伝えられることで高温となる。このため、酸化剤排ガスは、流路空間82を流通することで加熱された状態で酸化剤排ガス噴出孔90から噴出される。また、燃料排ガスは、流路空間82を延在する燃料排ガス配管78を流通することで加熱された後に燃料排ガス噴出孔88から噴出される。これらによっても、燃焼空間86で酸化剤排ガス及び燃料排ガスを良好に燃焼させることができる。
従って、この燃料電池モジュール10によれば、燃料電池24と排ガス燃焼室26との並び方向に大型化することを抑制しつつ、簡単な構成とすることができ、しかも、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能である。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、流路壁84は、酸化剤排ガス導入口80a側から酸化剤排ガス噴出孔90側に近づくに連れて、流路空間82側に隆起する隆起部84dを有し、隆起部84dの少なくとも一部は、酸化剤排ガス導入口80aに間隔を置いて対向することとした。
この場合、図3及び図8に一点鎖線の矢印で示すように、酸化剤排ガス導入口80aから流路空間82に供給された酸化剤排ガスは、隆起部84dに接触する。これによって、酸化剤排ガス導入口80aから反対側壁33dに向かう酸化剤排ガスの流れを一層効果的に分散させることができる。その結果、燃料排ガスノズル87の周方向に対して、排ガス燃焼室26の反対側壁33d側に偏って酸化剤排ガスが噴射されること等を抑制して、燃料排ガス噴出孔88の周囲に略均等に酸化剤排ガスを噴出することができる。ひいては、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、流路壁84は、酸化剤排ガス導入口80aと酸化剤排ガス噴出孔90との間に燃焼空間86側に陥没する陥没部84cが設けられ、陥没部84cの底部の酸化剤排ガス導入口80a側は、酸化剤排ガス導入口80aの縁部に沿って湾曲し、隆起部84dは、陥没部84cの底部に設けられることとした。
陥没部84cの低部に隆起部84dを設けることで、酸化剤排ガス導入口80aを介して供給された酸化剤排ガスを隆起部84dに効果的に接触させることができるとともに、流路壁84に流路空間82側に隆起する隆起部84dを設けても、流路空間82の容積が低減することを抑制できる。このため、流路空間82内で、酸化剤排ガスの流れを十分に分散させて、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10では、流路壁84が排ガス燃焼室26を仕切ることで、流路壁84よりも軸方向(上下方向)の一方(下)側に燃焼空間86が形成され、且つ他方(上)側に流路空間82が形成され、燃料排ガス配管78は、燃料排ガス導入口78aから流路空間82に挿通されることとした。
この場合、排ガス燃焼室26を流路壁84で仕切る簡単な構成により、排ガス燃焼室26内のスペースを有効に利用して流路空間82を大きく形成することができる。このため、流路空間82内で、酸化剤排ガスの流れを十分に分散させて、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能になる。
しかしながら、上記のように、流路壁84よりも軸方向の一方側に燃焼空間86が形成され、且つ他方側に流路空間82が形成されることに限定されるものではない。例えば、図12に示す変形例に係る燃料電池モジュール110のように、排ガス燃焼室26の内部において、流路空間112の少なくとも軸方向(上下方向、矢印X方向)の両側に燃焼空間114を配設してもよい。
この燃料電池モジュール110では、排ガス燃焼室26内に、図3の流路壁84に代えて、該流路壁84よりも上下方向(軸方向)視における外形寸法が小さい図12の流路壁116が設けられている。つまり、流路壁116の外周縁部と、接続壁33cとの間には、燃焼排ガス等が流通可能な隙間が形成されている。なお、図3の流路壁84と、図12の流路壁116とは上記の外形寸法が異なることを除いて略同様に構成することができる。
図12に示すように、流路空間112を形成する壁部は、流路壁116と、被覆壁118とを有する。被覆壁118が流路壁116の上面を覆うことで、互いの間に流路空間112が形成される。また、被覆壁118と、対向壁33bとは上下方向に離間して配設される。なお、流路壁116と被覆壁118とは別部材から構成された後に一体化されてもよいし、同一部材から一体に形成されてもよい。流路空間112は、軸方向(並び方向、上下方向)に薄い扁平形状であることが好ましい。
また、この燃料電池モジュール110では、燃料排ガス配管78が、燃料排ガス導入口78aから燃焼空間114に挿通され、流路空間112よりも上方で、燃料排ガスノズル87と接続される。被覆壁118には、燃料排ガスノズル87が挿通される貫通孔118aが形成されている。つまり、燃料排ガスノズル87は、被覆壁118の貫通孔118aと流路壁116の挿通孔84aとを介して、流路空間112を軸方向(上下方向)に貫通する。
燃焼空間114では、燃料排ガスと酸化剤排ガスとの燃焼反応により高温の燃焼排ガスが生じる。上記のように構成される流路空間112では、少なくとも上下方向の両側に燃焼空間114が配設されるため、該燃焼空間114及び燃焼排ガスの熱を、流路壁116及び被覆壁118を介して流路空間112に効果的に伝えることができる。また、燃料排ガス配管78が燃焼空間114内に配設されるため、燃焼空間114及び燃焼排ガスの熱を、燃料排ガス配管78の内部(燃料排ガス流路52)に効果的に伝えることができる。これらによって、酸化剤排ガス及び燃料排ガスを十分に昇温させた状態で、酸化剤排ガス噴出孔90及び燃料排ガス噴出孔88のそれぞれから噴射することができるため、一層良好に燃焼反応を生じさせることが可能になる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10、110では、並び方向及び軸方向は上下方向であり、排ガス燃焼室26の上に燃料電池24が配置されることとした。これによって、上下方向の燃料電池モジュール10、110の小型化を効果的に図ることができる。しかしながら、特にこれには限定されず、排ガス燃焼室26の下に燃料電池24が配置されることとしてもよい。また、排ガス燃焼室26と燃料電池24との並び方向を、例えば、水平方向に沿う方向としてもよい。この場合、燃料電池モジュール10、110について、水平方向に沿う並び方向の小型化を図ることが可能となる。
上記の実施形態に係る燃料電池モジュール10、110では、燃料排ガス配管78は、排ガス燃焼室26内に延在する部分の少なくとも一部の断面が並び方向(上下方向)に薄い扁平形状であることとした。この場合、例えば、断面が真円形状の燃料排ガス配管(不図示)等に比して、燃料排ガス配管78の外壁から中心までの最短距離を小さくすることができる。これによって、燃料排ガス配管78内の燃料排ガスを効率的に加熱することが可能となり、ひいては、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能になる。また、燃料排ガス配管78を並び方向に薄くすることで、燃料電池モジュール10、110を並び方向に一層小型化し易くなる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能である。
例えば、酸化剤排ガス配管80及び燃料排ガス配管78の少なくとも一方は、排ガス燃焼室26の対向壁33bに接続されてもよい。また、燃料電池モジュール10、110は、酸化剤排ガス配管80及び燃料排ガス配管78を備えることに代えて、例えば、燃料電池24に備えられる不図示のエンドプレート等の板状部材の内部に、燃料電池24から燃焼器22へと燃料排ガス及び酸化剤排ガスを導くことが可能な不図示の流路を設けてもよい。これらの場合であっても、排ガス燃焼室26の内部で、整流部89、106が酸化剤排ガス噴出孔90を覆うことにより、燃料排ガス及び酸化剤排ガスを良好に燃焼させることが可能である。