JP7175642B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法 - Google Patents
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(1)難燃剤とスチレン系樹脂とを含む発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、スチレン単量体60~90重量部とアクリロニトリル単量体40~10重量部からなる重量平均分子量Mwが15万以上25万以下であるスチレン系樹脂100重量部に対して、水0.01~5重量部を押出機で溶融混練した後、揮発性有機成分を押出機内から真空度-0.08MPaG以下、溶融部のシリンダ温度200℃~250℃の条件で吸引処理し、小孔を有するダイスを通じて押出した後カッターで切断してスチレン系樹脂粒子を製造する工程と、前記工程により得られたスチレン系樹脂粒子を水中に懸濁させ、温度100℃~120℃で、発泡剤を、該スチレン系樹脂粒子に含浸させて製造する工程と、を備える発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
(2)60~90重量部のスチレン単量体と40~10重量部のアクリロニトリル単量体とを合計100重量部有する樹脂と、発泡剤とを含み、揮発性有機成分量(スチレン単量体とアクリロニトリル単量体とエチルベンゼンとプロピルベンゼンの合計量)が200ppm未満である、(1)記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法
(3)スチレン系樹脂を製造する工程において、スチレン単量体60~90重量部とアクリロニトリル単量体40~10重量部に、難燃剤1.0重量部以上5.0重量部以下を添加して重合したスチレン系樹脂を用いることを特徴とする(1)~(2)に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
(4)(1)~(3)のいずれかで記載された製造方法で製造した発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させて予備発泡粒子を得る工程と、前記工程で得た予備発泡粒子を成型キャビティ内に充填して型内発泡成形する工程と、を備える発泡成形体の製造方法。
これらは、単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
攪拌翼付き耐圧容器を用いて、水性懸濁媒体中に、重合開始剤と共に、スチレン、アクリロニトリル、難燃剤を添加し、所定の温度、好ましくは85℃以上98℃未満で一定時間重合し、単量体の重合転化率が90%以上99%以下に達した時点で、重合温度を120℃に昇温し、所定時間保持し、残モノマー量を低減させ、重合工程を完了させる。水系懸濁重合の分散剤としては、一般的に用いられている分散剤、例えば、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩が挙げられ、α-オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダなどのアニオン性界面活性剤を併用すると、分散安定性が増すので効果的である。
重合工程で得られたスチレン系樹脂を、押出機を用いて、スチレン系樹脂粒子を製造する。
本発明の製造方法で用いられる吸引脱気口を付帯している押出機としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機等が挙げられる。
攪拌翼付き耐圧容器を用いて、押出工程で得られたスチレン系樹脂粒子を、分散剤とともに水中に懸濁させる。分散剤としては、一般的に用いられている分散剤、例えば、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩が挙げられる。これら、難水溶性無機塩を用いる場合には、α-オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダなどのアニオン性界面活性剤を併用すると、分散安定性が増すので効果的である。
発泡性スチレン系樹脂粒子中のVOC量の上限値は、200ppm未満であることが好ましい。下限は、実用的には0ppmになり難いので敢えて表示するなら1ppm以上である。
サンプルを、塩化メチレン(内部標準シクロペンタノール)に溶解し、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC-2014(キャピラリーカラム:GLサイエンス製Rtx-1、カラム温度条件:50→80℃(3℃/min)後、80→180℃昇温(10℃/min)、キャリアガス:ヘリウム)を用いて、スチレン系樹脂、発泡性スチレン系樹脂粒子、発泡成形体中に含まれるVOC成分(スチレン、アクリルニトリル、エチルベンゼン、プロピルベンゼン量(ppm))を定量した。
樹脂粒子0.02gをテトラヒドロフラン20ccに溶解し、GPC(東ソー(株)製HLC-8020、カラム:TSKgel Super HZM-H、カラム温度:40℃、流速:0.35ml/1min.)にて測定した。重量平均分子量は標準ポリスチレンの換算値として求めた。
押出工程において、押出時の圧力変動なく、ダイスを通じて得られるストランドを安定的に引き取れたものについては○、そうでないものについては×とした。
発泡性スチレン系樹脂粒子を、オーブン150℃、30分間で熱処理し、減量分を測定した。
発泡成形体の外観を目視観察にて評価した。数値が大きいほうが粒子同士の隙間に凹凸やしわが少ない美麗な表面状態であり、5点満点で表現した3以上を合格とした。
4:部分的に凹凸・しわがあるが、ほとんどわからない
3:部分的にしわがあるが、全体としては許容できる
2:しわが多き
1:大きく収縮し、しわが多い。
発泡成形体を割断し、割断面の全体外観を目視観察にて評価した。割断面の全ての発泡粒子が割断している場合は100、半分の発泡粒子が割断している場合は50、発泡粒子の界面で破壊している場合は0とした。成形体の融着として80以上が許容する指標である。
撹拌機付きオートクレーブに水96重量部、第3リン酸カルシウム0.17重量部、α-オレインスルフォン酸ソーダ0.005重量部、過酸化ベンゾイル0.15部、2、2-ジ-t-アミルパーオキシブタン(化薬アクゾ(株)製 カヤケタールAM-C55)0.28重量部、連鎖移動剤:α-メチルスチレンダイマー(日本油脂(株)製)0.6重量部、難燃剤テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル(第一工業製薬(株)製、ピロガードSR-130)2重量部、難燃助剤ジクミルパーオキサイド(日本油脂(株)製パークミルD)を仕込んだ後、スチレン76重量部、アクリロニトリル24重量部を仕込み、昇温し、98℃で4時間重合を行った。次いで、120℃に昇温し、4時間の後処理を実施後、40℃まで冷却、脱水乾燥し、スチレン系樹脂(AS-1)を得た。
連鎖移動剤α-メチルスチレンダイマーを、1.2重量部に変更した以外、スチレン系樹脂(AS-1)の製造と同様の操作を実施し、スチレン系樹脂(AS-2)を得た。
表1に、スチレン系樹脂の重合処方、樹脂特性(重量平均分子量、VOC成分)の測定結果を示す。
[スチレン系樹脂粒子の作製]
スチレン系樹脂(AS-1)100重量部を、二軸押出機(TEM-26SX、東芝(株)製)へ供給し、押出機内で、溶融部のシリンダ温度240℃で、溶融混錬し、圧入ポンプで、水0.5重量部を圧入し、真空ポンプ(SW-25S、神港精機(株)製)を用いて、脱気吸引口より、真空度―0.09MPaGで、脱気した。押出機先端に取り付けられた直径1.4mmの小穴が20個設けられたダイスを通して吐出200kg/時間で押出されたストランド状の樹脂を20℃の水槽で冷却固化させた後、ストランドカッターで、粒重量1.0mgのスチレン系樹脂粒子を得た。このとき押出機先端部での樹脂の温度が248℃、押出機内滞留時間3分であった。
次いで, 容積が6L の撹拌装置付きオートクレーブに, 得られたスチレン系樹脂粒子100重量部に対して脱イオン水200重量部、リン酸三カルシウム1重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.03重量部、塩化ナトリウム1重量部 を投入し圧力容器を密閉した。その後、発泡剤としてブタン( ノルマルブタン70 % とイソブタン30 % の混合物)8重量部 を30分かけて圧力容器内に添加した後、120 ℃まで30分かけて昇温し、そのまま5時間保持した。保持後室温まで冷却し、オートクレーブから発泡剤の含浸された樹脂粒子を取り出し、塩酸での酸洗、水洗し、遠心分離機で脱水後、気流乾燥機で樹脂粒子表面に付着している水分を乾燥させ、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。発泡性スチレン系樹脂粒子中のVOC量を、表2に示す。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対してステアリン酸亜鉛0.1重量部をドライブレンドした後、予備発泡機[大開工業(株)製、BHP-300]に投入し、0.08MPaの水蒸気を予備発泡機に導入して発泡させ、発泡倍率40倍の予備発泡粒子を得た。
得られた予備発泡粒子を、発泡スチロール用成形機[ダイセン工業(株)製、KR-57]に取り付けた型内成形用金型(400mm×300mm×厚み25mm)内に充填して、0.06MPaの水蒸気を導入し、直方体状のスチレン系発泡成形体を得、温度40℃の乾燥室で、1時間放置し、室温に取り出した。乾燥機から取り出した発泡成形体は、他の発泡体から放出されるVOCの吸収を防止するために、測定までの期間は、発泡成形体をアルミ箔、さらに、旭化成(株)製のサランラップ(登録商標)で包み、室温にて保管した。表2に、発泡成形体中のVOC量、成形体外観、融着を示す。
スチレン系樹脂粒子の製造において、水量を1.0重量に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂粒子の製造において、水量を2.0重量に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂粒子の製造において、水量を5.0重量に変更した以外は、実施例1と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂粒子の製造において、水の無添加、脱気処理しなかった以外は、実施例1と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂粒子の製造において、水の無添加で、実施例1と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂粒子の製造において、水を6部添加で、実施例1と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂(AS-2)を用いて、水の無添加で、比較例2と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン系樹脂(AS-2)を用いて、実施例3と同様の操作をした。表2に、評価結果を示す。
スチレン単独樹脂[PSジャパン(株)製、G9401:重量平均分子量Mw:31万]を用い、スチレン系樹脂粒子の製造において、水2部添加、熱安定剤:ビス(2,6-t-ブチル-4-メチルフェニル)-ペンタエリスリトールジホスファイト[(株)ADEKA製、アデカスタブPEP-36]を0.15重量部、難燃剤:テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピル)エーテル[第一工業製薬(株)製、ピロガードSR-130]4重量部をブレンダーに投入して、10分間ブレンドして、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を、二軸押出機(TEM-26SX、東芝(株)製)へ供給し、押出機内で、溶融部のシリンダ温度240℃で、溶融混錬し、圧入ポンプで、水2重量部を圧入し、真空ポンプ(SW-25S、神港精機(株)製)を用いて、脱気吸引口より、真空度―0.09MPaGで、脱気した。押出機先端に取り付けられた直径1.4mmの小穴が20個設けられたダイスを通して吐出200kg/時間で押出されたストランド状の樹脂を20℃の水槽で冷却固化させた後、ストランドカッターで、粒重量1.0mgのスチレン系樹脂粒子を得た。このスチレン系樹脂粒子を、実施例1と同様の操作をした。
Claims (4)
- 難燃剤とスチレン系樹脂とを含む発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
スチレン単量体60~90重量部とアクリロニトリル単量体40~10重量部からなる重量平均分子量が15万以上25万以下であるスチレン系樹脂100重量部に対して、水0.01~5重量部を押出機で溶融混練した後、揮発性有機成分を押出機内から真空度-0.08MPaG以下、溶融部のシリンダ温度200℃~250℃の条件で吸引処理し、小孔を有するダイスを通じて押出した後カッターで切断してスチレン系樹脂粒子を製造する工程と、
前記スチレン系樹脂粒子を製造する工程により得られたスチレン系樹脂粒子を水中に懸濁させ、温度100℃~120℃で、発泡剤を、該スチレン系樹脂粒子に含浸させる発泡剤含浸工程と、
を備える発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 前記スチレン系樹脂の揮発性有機成分量(スチレン単量体とアクリロニトリル単量体とエチルベンゼンとプロピルベンゼンの合計量)が200ppm未満である、
請求項1記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 前記スチレン系樹脂を製造する工程において、スチレン単量体60~90重量部とアクリロニトリル単量体40~10重量部に、難燃剤1.0重量部以上5.0重量部以下を添加して重合したスチレン系樹脂を用いることを特徴とする、
請求項1~2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。 - 請求項1~3のいずれかで記載された製造方法で製造した発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱して予備発泡させて予備発泡粒子を得る工程と、
前記工程で得た予備発泡粒子を成型キャビティ内に充填して型内発泡成形する工程と、
を備える発泡成形体の製造方法。
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