JP6688658B2 - 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、スチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法及びスチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、スチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法及びスチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、難燃性のばらつきが少なく、安定した難燃化が可能な発泡性スチレン系樹脂粒子、スチレン系樹脂予備発泡粒子及びスチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法に関する。
スチレン系樹脂を用いて得られるスチレン系樹脂発泡成形体は、軽量性、断熱性、及び緩衝性等を有するバランスに優れた発泡体であり、従来から食品容器箱、保冷箱、緩衝材、及び住宅等の断熱材、等として広く利用されている。
しかしながら、スチレン系樹脂発泡成形体は燃え易いために、住宅用の断熱材等の難燃性が要求される用途に対しては、難燃剤等により難燃性を付与させる必要があり、例えば特許文献1〜13において、種々の難燃化手法が開示されている。
ところで、スチレン系樹脂発泡成形体としては、大別して、次の(A)〜(C)の3種類が知られている。
(A)押出機でスチレン系樹脂を溶融し、これに発泡剤を加えた後、ダイを通して直接、ボード状あるいはシート状として得られるスチレン系樹脂押出発泡成形体。
(B)懸濁重合等で得られるスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸して発泡性スチレン系樹脂粒子となし、これを予備発泡してスチレン系樹脂予備発泡粒子とした後、スチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体。
(C)押出機で樹脂を溶融し、これに発泡剤を加えた後、小孔を有するダイを通して溶融樹脂を押出し、カッター等で切断して発泡性スチレン系樹脂粒子となし、これを予備発泡してスチレン系樹脂予備発泡粒子とした後、該スチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形して得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体。
この内、特に(C)のスチレン系樹脂型内発泡成形体においては、種々の難燃化手法が採用されているものの、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性がばらつき、安定した難燃性が発現しにくいという課題がある。より具体的には、1つの型内発泡成形体から切り出した試験片ごとに難燃レベル(例えば、消炎までの時間)がばらつき、安定した難燃性が発現しにくいという課題が残される。
特許文献1には、スチレン系樹脂をヘキサブロモシクロドデカン(臭素系難燃剤)や発泡剤とともに押出機中で溶融物とし、有機ニトロキシラジカル化合物(難燃助剤)を押出機吸い込み口より添加し、押出機中で前記混合溶融物と混合した後、ダイを通して押出し、加圧水中造粒機により造粒して発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が記載されている。しかし、このような発泡性スチレン系樹脂粒子から得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体は、前述の通り、安定した難燃性が発現しにくいという課題が残される。
特許文献2〜10には、いずれも特許文献1と同様に、難燃剤や難燃助剤を直接押出機に投入して難燃化する技術が記載されているが、該技術を発泡性スチレン系樹脂粒子の製造に適用した場合、同様の課題が残される。
一方、特許文献11には、
(i)スチレン系樹脂を発泡剤とともに押出機等で260℃の溶融樹脂とし、該溶融
樹脂である本流溶融樹脂を190℃まで冷却し、
(ii)別途、サイド押出機にて予備混合したヘキサブロモシクロドデカン(臭素系難
燃剤)含有ポリスチレン系樹脂溶融物を前記本流溶融樹脂に添加するとともに、
(iii)ヘキサブロモシクロドデカン含有ポリスチレン系樹脂溶融物添加位置と同じ位
置にて、難燃助剤をポンプを用いて前記本流溶融樹脂に添加し、
(iv)その後、ダイを通して本流溶融樹脂を押出し、加圧水中造粒機により造粒して
発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が記載されている。
同様の方法が、特許文献12、あるいは13にも記載されている。
しかし、このようにスチレン系樹脂を発泡剤とともに押出機等で溶融した後、冷却し、次いで臭素系難燃剤と難燃助剤を本流溶融樹脂に対して同じ位置から添加(臭素系難燃剤と難燃助剤を本流溶融樹脂に対し、上流/下流の差が無く同じ位置(レベル)から添加)する製造方法であっても、依然として安定した難燃性が発現しにくいという課題が残されるものであった。
特表2010−539255号公報 特表2014−514409号公報 特開平10−015941号公報 特開平10−025392号公報 国際公開公報WO01/048079号 特開2014−118474号公報 特開2006−028292号公報 特開2005−263874号公報 特表2001−525001号公報 特開2011−093947号公報 米国公開公報US2007/0238794号 欧州公開公報EP1616902号 欧州公開公報EP1771502号
本発明の目的は、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性が安定して発現し、1つの型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベル(例えば、消炎までの時間)が安定した発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、スチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法、並びに、スチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法を提供することにある。
本願の発明者らは、上述した課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す解決法を見出した。
すなわち、本発明は、次の構成よりなる。
[1]スチレン系樹脂と発泡剤を含む本流溶融樹脂が流れる流路であって、かつ、主押出機より下流側である流路の異なる位置に複数の副原料添加装置を設け、少なくとも難燃剤と難燃助剤を別々の副原料添加装置より本流溶融樹脂中に添加し、その後、小孔を有するダイを通して、加圧水中に押出すとともに、押出された樹脂を回転カッターにより切断することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[2]難燃剤が難燃助剤よりも上流側で本流溶融樹脂中に添加されることを特徴とする[1]記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[3]スチレン系樹脂が主押出機で溶融混練され、主押出機から押出された溶融樹脂に発泡剤を圧入して本流溶融樹脂とすることを特徴とする[1]あるいは[2]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[4]前記スチレン系樹脂と発泡剤を含む本流溶融樹脂が流れる流路であって、かつ、主押出機より下流側である流路が、スタティックミキサー、スタティッククーラー、ギアポンプ、継続配管の少なくとも1つ以上で構成されることを特徴とする[1]〜[3]何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[5]前記副原料添加装置の少なくとも1つが副押出機を含み、難燃剤及び/又は難燃助剤を熱可塑性樹脂と溶融混練後、溶融状態で本流溶融樹脂に添加することを特徴とする[1]〜[4]何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[6]スチレン系樹脂100重量部に対し、発泡剤が4重量部以上、9重量部以下、臭素系難燃剤が0.1重量部以上、7重量部以下、難燃助剤が0.01重量部以上、3重量部以下、他の添加剤が0重量部以上、20重量部以下、であることを特徴とする[1]〜[5]何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[7]難燃剤が、臭素化ビスフェノール系化合物、臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体、臭素化イソシアヌレート系化合物、及び臭素化脂環族化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[1]〜[6]何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[8]難燃助剤が、ラジカル発生剤であることを特徴とする[1]〜[7]何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[9]ラジカル発生剤が、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、及び2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[8]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[10]他の添加剤が、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラック、及び酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[1]〜[9]何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させるスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
[12][11]に記載のスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形するスチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
本発明によれば、難燃性が安定して発現し、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルが安定したスチレン系樹脂型内発泡成形体を提供することができる。また、難燃剤や難燃助剤の添加量を低減することも可能となる。
本発明に係る概略図である。
以下、発泡性スチレン系樹脂粒子及びその製造方法、スチレン系樹脂予備発泡粒子及びその製造方法、並びにスチレン系樹脂型内発泡成形体及びその製造方法について、本発明を実施形態によりさらに詳しく説明する。
[発泡性スチレン系樹脂粒子]
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、スチレン系樹脂粒子中に発泡剤、難燃剤及び難燃助剤を含有したものである。また、必要に応じて、他の添加剤を含有することができ、このような添加剤としては、例えば、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラックおよび酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物等(輻射伝熱抑制剤)を含有させることができる。該化合物は、スチレン系樹脂型内発泡成形体の熱伝導率を低下させる効果を有し、断熱性の高いスチレン系樹脂型内発泡成形体を得る上で、好ましい態様である。
また、他の添加剤として、酸化防止剤や紫外線吸収剤等の熱安定剤、あるいは無機化合物等の造核剤も含有させることができる。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、以上のような添加剤を含有することができるが、難燃性、断熱性の観点からは、スチレン系樹脂、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、グラファイト、及び熱安定剤を含有することがより好ましい。
以下、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子が含有する必須成分及び任意成分をさらに詳しく説明する。
(スチレン系樹脂)
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、スチレン単独重合体(ポリスチレンホモポリマー)のみならず、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体が共重合されていても良い。ただし、後述する臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体は除く。
スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体としては、例えば、メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、及びトリクロロスチレン等のスチレン誘導体;ジビニルベンゼン等の多官能性ビニル化合物;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、及びメタクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル化合物;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;ブタジエン等のジエン系化合物又はその誘導体;無水マレイン酸、及び無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2)−クロロフェニルマレイミド、N−(4)−ブロモフェニルマレイミド、及びN−(1)−ナフチルマレイミド等のN−アルキル置換マレイミド化合物等があげられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
本発明で用いられるスチレン系樹脂は、上述のスチレン単独重合体、及び/又は、スチレンと共重合可能な他の単量体又はその誘導体との共重合体に限らず、本発明の効果を損なわない範囲で、上述の他の単量体又は誘導体の単独重合体、又はそれらの共重合体とのブレンド物であっても良い。
本発明で用いられるスチレン系樹脂には、例えば、ジエン系ゴム強化ポリスチレン、アクリル系ゴム強化ポリスチレン、及び/又はポリフェニレンエーテル系樹脂等をブレンドすることもできる。
本発明で用いられるスチレン系樹脂の中では、比較的安価で、特殊な方法を用いずに低圧の水蒸気等で発泡成形ができ、断熱性、難燃性、緩衝性のバランスに優れることから、スチレンホモポリマー、スチレン−アクリロニトリル共重合体、又はスチレン−アクリル酸ブチル共重合体が望ましい。
(発泡剤)
本発明で用いられる発泡剤は、特に限定されないが、炭素数4〜5の炭化水素が望ましい。炭素数4〜5の炭化水素であれば、十分な発泡力が得られ易く、高発泡化し易いものとなる。炭素数4〜5の炭化水素としては、例えばノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、又はシクロペンタン等の炭化水素が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における発泡剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは2重量部以上、15重量部以下であり、より好ましくは4重量部以上、9重量部以下であり、最も好ましくは5重量部以上、8重量部以下である。
発泡剤の添加量を上記範囲とすることにより、高発泡化が可能となり、50倍以上の高発泡倍率のスチレン系樹脂型内発泡成形体を製造することもできるようになる。また、難燃性が良好となるとともに、スチレン系樹脂型内発泡成形体を製造する際の製造時間(成形サイクル)も短くすることが可能となり、製造コストを抑制することができる。
(難燃剤)
本発明で用いられる難燃剤としては、特に限定されず、従来からスチレン系樹脂発泡成形体に用いられる難燃剤をいずれも使用でき、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、窒素系難燃剤、シリコン系難燃剤、水和金属系難燃剤等が挙げられるが、その中でも、難燃性付与効果が高い臭素系難燃剤が望ましい。本発明で用いられる臭素系難燃剤としては、例えば、2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル))、又は2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン(別名:テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル))、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAジアリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジメタリルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルのトリブロモフェノール付加物、テトラブロモビスフェノールAビス(2−ブロモエチルエーテル)、テトラブロモビスフェノールSビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールS等の臭素化ビスフェノール系化合物、臭素化スチレン・ブタジエンブロック共重合体、臭素化ランダムスチレン・ブタジエン共重合体、又は臭素化スチレン・ブタジエングラフト共重合体等の臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体(例えば、特表2009−516019号公報に開示されている)、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、モノ(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、ジ(2,3−ジブロモプロピルイソシアヌレート)、モノ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、ジ(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート、トリス(2,3,4−トリブロモブチル)イソシアヌレート等の臭素化イソシアヌレート系化合物、ヘキサブロモシクロドデカン、テトラブロモシクロオクタン等の臭素化脂環族化合物、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、エチレンビスペンタブロモジフェニル、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ペンタブロモベンジルブロマイド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタン、テトラブロモ無水フタル酸、オクタブロモトリメチルフェニルインダン、ペンタブロモベンジルアクリレート、トリブロモフェニルアリルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテル等の臭素化芳香族化合物、エチレンビステトラブロモフタルイミド、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、2,4,6−トリス(2,4,6−トリブロモフェノキシ)1,3,5−トリアジンなどの臭素および窒素原子含有化合物、テトラブロモビスフェノールAポリカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルとブロモ化ビスフェノール付加物エポキシオリゴマー等の臭素化ビスフェノール類誘導体オリゴマー、ペンタブロモベンジルアクリレートポリマーなどの臭素化アクリル樹脂、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモフェニル)ホスフェート等の臭素および燐原子含有化合物、臭化アンモニウム等の臭素化無機化合物、等が挙げられる。
これらの中でも、環境適合性に優れる観点から、臭素化ビスフェノール系化合物、臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体、臭素化イソシアヌレート系化合物、及び臭素化脂環族化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、臭素化ビスフェノール系化合物及び/又は臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体であることがより好ましい。
なお、臭素化ビスフェノール系化合物、臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体及び臭素化イソシアヌレート系化合物は、従来技術で採用された場合には、ヘキサブロモシクロドデカンと比較して、安定的な難燃性発現の観点においてやや劣っていたにもかかわらず、本発明で採用されることにより、難燃性が顕著に改善され、安定的な難燃性が発現するようになる。
これら臭素系難燃剤は1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明における難燃剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、7重量部以下、より好ましくは1重量部以上、5重量部以下、最も好ましくは1重量部以上、4重量部以下、である。
また、臭素系難燃剤を用いる際のスチレン系樹脂型内発泡成形体全量に対する臭素含有量としては、好ましくは0.05重量%以上、5.0重量%以下であり、より好ましくは0.6重量%以上、3.5重量%以下であり、最も好ましくは0.6重量%以上、3.0重量%以下である。
難燃剤の添加量あるいは臭素含有量を上述の範囲とすることにより、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性が安定かつ高度に発現し、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルも安定したものとなる。また、スチレン系樹脂型内発泡成形体の機械的強度の低下を抑制することができる。
(難燃助剤)
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子においては、難燃助剤をさらに含有することにより、難燃剤と併用することで、高い難燃性を発現することができる。特に、臭素系難燃剤を用いる際には、熱により分解しラジカルを発生する難燃助剤(ラジカル発生剤)が好適に用いられる。
本発明における難燃助剤は、用いるスチレン系樹脂の種類、発泡剤の種類及び含有量、難燃剤の種類及び含有量に応じて適宜組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる難燃助剤としては、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、ポリ−1,4−イソプロピルベンゼン、及び有機ニトロキシラジカル化合物等のラジカル発生剤、ホウ酸亜鉛、酸化ホウ素、硫化亜鉛、スズ酸亜鉛、三酸化アンチモン等の金属化合物、等が挙げられる。これらの中でも、ラジカル発生剤が好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、及び2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が、難燃性の観点からより好ましい。難燃助剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
本発明における難燃助剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.01重量部以上、3重量部以下、より好ましくは0.05重量部以上、2重量部以下、最も好ましくは0.1重量部以上、1重量部以下、である。
特に、前述の難燃剤として臭素系難燃剤を用い、難燃助剤としてラジカル発生剤を併用する場合は、スチレン系樹脂100重量部に対して、臭素系難燃剤が0.1重量部以上、7重量部以下、ラジカル発生剤が0.01重量部以上、3重量部以下であることが好ましく、臭素系難燃剤が1重量部以上、4重量部以下、ラジカル発生剤が0.05重量部以上、2重量部以下であることがより好ましい。
難燃助剤の添加量を上述の範囲とすることにより、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性が安定して発現し、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルも安定かつ高度なものとなる。また、スチレン系樹脂型内発泡成形体の機械的強度の低下を抑制することができる。
(他の添加剤)
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、輻射伝熱抑制剤、熱安定剤、造核剤、加工助剤、耐光性安定剤、発泡助剤、帯電防止剤、及び顔料等の着色剤よりなる群から選ばれる1種以上の他の添加剤を含有していてもよい。本発明における他の添加剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対し、他の添加剤が0重量部以上、20重量部以下であることが好ましい。
(輻射伝熱抑制剤)
本発明で用いられる輻射伝熱抑制剤(近赤外又は赤外領域(例えば、800〜3000nm程度の波長域)の光を反射、散乱又は吸収する特性を有する物質)としては、例えば、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラック、酸化チタン、及び金属アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、スチレン系樹脂型内発泡成形体の断熱性向上の観点から、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラック、及び酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が好ましく、グラファイトが最も好ましい。
グラファイトについて、更に詳述する。
本発明で用いられるグラファイトは、例えば、鱗片状黒鉛、土状黒鉛、球状黒鉛、又は人造黒鉛等が挙げられる。なお、本明細書において、「鱗片状」という用語は、鱗状、薄片状又は板状のものをも包含する。これらの黒鉛は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、輻射伝熱抑制効果が高い点から、鱗片状黒鉛を主成分とする黒鉛混合物が望ましく、鱗片状黒鉛がより望ましい。
本発明で用いられるグラファイトは平均粒径が2.5〜9μmであることが望ましい。さらに3〜6μmであることがより望ましく、4〜6μmであることが最も望ましい。本発明のグラファイトの平均粒径は、ISO13320:2009,JIS Z8825−1に準拠したMie理論に基づくレーザー回折散乱法により粒度分布を測定・解析し、全粒子の体積に対する累積体積が50%になる時の粒径(レーザー回折散乱法による体積平均粒径)を平均粒径とした。
このような平均粒径のグラファイトであれば、スチレン系樹脂予備発泡粒子の高発泡化が可能となり易く、また、スチレン系樹脂型内発泡成形体を得る際の成形性が良好であると共に、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の断熱性も良好となり易い。
以上のような輻射伝熱抑制剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、10重量部以下、より好ましくは1重量部以上、9重量部以下、最も好ましくは2重量部以上、8重量部以下、である。
輻射伝熱抑制剤の添加量を上述の範囲とすることにより、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の断熱性が良好となり易い。
(熱安定剤)
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子においては、さらに、熱安定剤を併用することによって、製造工程における臭素系難燃剤の分解による難燃性の悪化及び発泡性スチレン系樹脂粒子の劣化を抑制することができる。
本発明における熱安定剤は、用いられるスチレン系樹脂の種類、発泡剤の種類及び含有量、臭素系難燃剤の種類及び含有量、難燃助剤の種類及び含有量、輻射伝熱抑止剤の種類及び含有量、等に応じて、適宜組み合わせて用いることができる。
本発明で用いられる熱安定剤としては、臭素系難燃剤含有混合物の熱重量分析における1%重量減少温度を任意に制御できる点から、ヒンダードアミン化合物、リン系化合物、又はエポキシ化合物が望ましい。熱安定剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。なお、これらの熱安定剤は、耐光性安定剤としても使用できる。
本発明における熱安定剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.0001重量部以上、1重量部以下、より好ましくは0.001重量部以上、0.7重量部以下、最も好ましくは0.01重量部以上、0.5重量部以下、である。
熱安定剤の添加量を上述の範囲とすることにより、臭素系難燃剤の分解による難燃性の悪化及び発泡性スチレン系樹脂粒子の劣化を効率的に抑制することができる。
(造核剤)
本発明で用いられる造核剤としては、例えば、シリカ、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、又はタルク等の無機化合物、メタクリル酸メチル系共重合体、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂等の高分子化合物、ポリエチレンワックス等のオレフィン系ワックス、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、又はエチレンビスオレイン酸アマイド等の脂肪酸ビスアマイド等が挙げられる。
本発明における造核剤の添加量は、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0重量部以上、3重量部以下、より好ましくは0.01重量部以上、1重量部以下、最も好ましくは0.05重量部以上、0.5重量部以下、である。
造核剤の添加量を上述の範囲とすることにより、得られるスチレン系樹脂予備発泡粒子の平均セル径(平均気泡径)が均一となり易く、スチレン系樹脂型内発泡成形体の表面性も美麗なものとなり易い。
(上記以外の他の添加剤)
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲で、更に、加工助剤、耐光性安定剤、発泡助剤、帯電防止剤、及び顔料等の着色剤等を添加することができる。
加工助剤としては、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、又は流動パラフィン等が挙げられる。
耐光性安定剤としては、前述したヒンダードアミン類、リン系安定剤、エポキシ化合物の他、フェノール系抗酸化剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤、又はベンゾトリアゾール類等が挙げられる。
発泡助剤としては、大気圧下での沸点が200℃以下である溶剤を望ましく使用でき、例えば、スチレン、トルエン、エチルベンゼン、又はキシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、又はメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、酢酸エチル、又は酢酸ブチル等の酢酸エステル等が挙げられる。
なお、帯電防止剤及び着色剤としては、各種樹脂組成物に用いられるものを特に限定なく使用できる。
これらの他の添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
[発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法]
本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、スチレン系樹脂と発泡剤を含む本流溶融樹脂が流れる流路であって、かつ、主押出機より下流側である流路の異なる位置に複数の副原料添加装置を設け、少なくとも難燃剤と難燃助剤を別々の副原料添加装置より本流溶融樹脂中に添加し、その後、小孔を有するダイを通して、加圧水中に押出すとともに、押出された樹脂を回転カッターにより切断することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法である。
該製造方法を実施するに当たっては、例えば、図1に示すような、主押出機−流路配管−ダイを連続的に接続した装置を採用することができるが、該装置に基づき、本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法を詳述する。なお、本願においては、溶融樹脂が流れる方向に基づき、主押出機側を上流(側)、ダイ側を下流(側)と呼ぶことにする。即ち、図1は、主押出機下流側に流路配管を有し、流路配管の下流側にダイを有する一例となる。
まず、スチレン系樹脂が主押出機に投入され、例えば、100℃以上、300℃以下の樹脂温度で溶融される。スチレン系樹脂の分解抑制の観点からは、好ましくは、110℃以上、250℃以下の樹脂温度で溶融される。なお、上述した他の添加剤をあらかじめスチレン系樹脂とブレンドしておく等して、スチレン系樹脂と同時に添加することができる。あるいは、スチレン系樹脂添加口とは別の添加口を設けておき、他の添加剤を主押出機に投入しても良い。
主押出機としては公知のものを使用でき、例えば、単軸押出機や二軸押出機を採用することが可能であり、二軸押出機を採用する場合のスクリュー回転方向は、同方向であっても異方向であっても構わない。また、主押出機は1機、あるいは2機以上を用いても良い。例えば2機を用いる場合は、第1押出機と第2押出機を直列に連結したタンデム型を採用することが可能であり、このような第1押出機と第2押出機を合わせて、主押出機という。
主押出機が1機の場合、樹脂の滞留時間を短時間に抑え易く、樹脂の劣化を抑制し易いというメリットがある。一方、2機以上を採用する場合、樹脂と他の添加剤等をより均一に混合し易いというメリットがある。このようなことを考慮し、また、スチレン系樹脂型内発泡成形体の物性等も考慮し、主押出機の構成を決定することができる。
2機の押出機を用いたタンデム型を主押出機として採用する場合は、単軸押出機−単軸押出機、二軸押出機−単軸押出機の構成を採用することが好ましく、上流側に二軸押出機を採用した二軸押出機−単軸押出機の構成がより好ましい。この場合、主押出機への原料供給が安定し、発泡剤、難燃剤、難燃助剤、他の添加剤が均等に分散され易く、得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体の難燃性が安定かつ高度に発現し、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルも安定したものとなり易い。
発泡剤は、主押出機に直接添加しても良く、あるいは、主押出機下流に接続された流路配管において添加しても良い。
発泡剤を主押出機に直接添加する場合、主押出機中でスチレン系樹脂が可塑化されやすくなるため、主押出機における樹脂温度を低くすることが可能となり、スチレン系樹脂の分解や、後に添加する難燃剤や難燃助剤の分解を抑制し易くなる。あるいは、難燃剤や難燃助剤を添加する前に、樹脂温度を所定の温度まで低下させる操作を採用する場合もあるが、この場合、該所定温度まで冷却し易いという利点もある。また、主押出機のスクリュートルクを低くした運転が可能となるため、消費電力を抑制できるという利点、あるいはスクリュー等の主押出機構成部品の消耗が進みにくいという利点もある。なお、図1は、発泡剤を主押出機に直接添加する例ではない。
一方、図1に例示した、発泡剤を主押出機下流に接続された流路配管において添加する場合、添加した発泡剤が主押出機原料添加口(前記、スチレン系樹脂添加口あるいは、別の添加口)からバックフロー(ガス抜け)することなく、安定してスチレン系樹脂中に含有され易く、その結果、得られる個々の発泡性スチレン系樹脂粒子に含まれる発泡剤含有量のばらつきが低減するという利点がある。また、この場合、スチレン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率ばらつきが低減するとともに、スチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルが安定するという本願効果を充足し易くなるという利点もある。
発泡剤は従来公知の圧入ポンプ等で圧入することができ、必要に応じてあらかじめ加温や冷却するなどして温度コントロールすることもできる。
以上のように、主押出機によりスチレン系樹脂が溶融され、かつ発泡剤を含む溶融樹脂を本流溶融樹脂と称するが、本発明においては、主押出機より下流側である流路の異なる位置に複数の副原料添加装置を設け、少なくとも難燃剤と難燃助剤を別々の副原料添加装置より本流溶融樹脂中に添加する。即ち、図1の例であれば、主押出機下流側の流路配管の異なる位置に複数の副原料添加装置を設け、少なくとも難燃剤と難燃助剤を別々の副原料添加装置より本流溶融樹脂中に添加する。なお、難燃剤と難燃助剤は、本流溶融樹脂中に添加されるものであることから、難燃剤と難燃助剤が添加される前に、スチレン系樹脂と発泡剤は混合されている必要がある。尚、ここでいう副原料添加装置とは、例えば、図1の「副押出機」、「GP(ギアポンプ)」、「圧入ポンプ」を含みうるものであるが、これらに限定されるわけではなく、副原料を本流溶融樹脂中に添加可能な装置であれば特に制限は無い。また、本発明においては、副原料添加装置の位置を副原料添加口といい、少なくとも難燃剤と難燃助剤は、別々の副原料添加口から添加される。
主押出機下流側の流路配管においては、後述するように、スタティッククーラー等を組み込むことにより、主押出機にて溶融混練された本流溶融樹脂を冷却可能とすることが好ましい。このように冷却することで、該流路配管で添加する難燃剤や難燃助剤等の熱分解が抑制され、スチレン系樹脂型内発泡成形体において安定した難燃性が発現しやすくなる。
このようなことから、該流路配管における本流溶融樹脂の樹脂温度としては、100℃以上、200℃以下が好ましく、110℃以上、190℃以下が拠り好ましく、120℃以上、180℃以下が最も好ましい。
本発明においては、難燃剤と難燃助剤を併用する。難燃助剤は、樹脂燃焼時に熱分解してラジカルを発生するものが好ましく、これが難燃剤と反応し、難燃剤による難燃効果を促進する効果がある。
一方で難燃助剤は、発泡性スチレン系樹脂粒子製造過程における押出機等における熱履歴によっても僅かながら分解する可能性があり、この場合、製造過程でありながら難燃剤と反応し、難燃剤を一部分解させる等、難燃剤の劣化を促進すると推測され、燃焼時に難燃効果が低下する、あるいは難燃効果が安定しないという問題がある。更には、難燃助剤分解物あるいは難燃剤分解物自体が、スチレン系樹脂を攻撃し、樹脂劣化を促進してしまい、この場合、スチレン系樹脂予備発泡粒子やスチレン系樹脂型内発泡成形体の機械的強度等の物性を低下させる懸念もある。
本発明においては、難燃剤と難燃助剤は、主押出機より下流側の異なる位置にある別々の副原料添加装置より本流溶融樹脂中に添加される。該副原料添加装置は、例えば、図1の流路配管に設けることができる。また、難燃剤と難燃助剤は、主押出機より下流側の異なる位置にある別々の副原料添加装置から添加されることから、添加された後の本流溶融樹脂中での滞留時間が、難燃剤と難燃助剤では異なるものとなる。これは即ち、難燃助剤が加熱状態で少なからず分解したとしても、難燃助剤分解物と難燃剤との接触時間を短期化させやすくなり、難燃助剤分解物による難燃剤への攻撃が緩和され、不要な難燃剤の分解が抑制されると推定される。このようなことから、結果的に安定した難燃性が発現しやすくなるとともに、機械的強度等の物性低下も抑制しやすくなる。
難燃剤と難燃助剤のどちらを上流側より添加するかについては、特に制限は無いが、難燃性の観点、特に、スチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルが安定するという観点から、難燃剤が難燃助剤よりも上流側で本流溶融樹脂中に添加されることが好ましい。
なお、難燃剤用副原料添加装置と難燃助剤用副原料添加装置以外にも副原料添加装置を設け、前述した他の添加剤を適宜添加しても良い。但し、他の添加剤は、主押出機にて添加しても良い。
本発明において、難燃剤や難燃助剤、あるいは他の添加剤を副原料添加装置口より本流溶融樹脂に添加する場合、難燃剤や難燃助剤、あるいは他の添加剤をそのまま添加しても良いし、あらかじめ溶剤に溶かしたり懸濁させるなどして添加しても良く、あるいは、あらかじめスチレン系樹脂等の熱可塑性樹脂とマスターバッチ化したマスターバッチ樹脂を添加しても良い。また、上述した熱安定剤をあらかじめ混合しておいても良い。
難燃剤や難燃助剤、あるいは他の添加剤が液状であれば、副原料添加装置として圧入ポンプを使用できる。難燃剤や難燃助剤、あるいは他の添加剤が固体であっても、溶剤に溶かす、あるいは懸濁させることで、副原料添加装置として圧入ポンプを使用できるようになる。
マスターバッチ樹脂を添加する場合、マスターバッチ樹脂をそのまま添加しても良いが、あらかじめ副原料添加装置として副押出機等を採用して溶融混練し、溶融したマスターバッチ樹脂を副原料添加口から添加することが好ましい。これにより、難燃剤や難燃助剤、あるいは他の添加剤が、スチレン系樹脂中に均一に分散され、本願効果を奏しやすくなる。
マスターバッチ樹脂中の難燃剤や難燃助剤、あるいは他の添加剤の濃度に特に制限は無いが、作業性の観点から、マスターバッチ樹脂100重量%中、20重量%以上、80重量%以下の濃度とすることが好ましい。
また、マスターバッチ化に用いられる熱可塑性樹脂に特に制限は無いが、本流溶融樹脂との相溶性の観点からはスチレン系樹脂が好ましく、本流溶融樹脂で用いられる樹脂と同一の樹脂を用いることがより好ましい。
本発明における、スチレン系樹脂と発泡剤を含む本流溶融樹脂が流れる流路であって、かつ、主押出機より下流側である流路は、いかなる流路配管で構成されていても良いが、スタティックミキサー(以下、SMX、と記載する場合がある)、スタティッククーラー(以下、SMR、と記載する場合がある)、ギアポンプ(以下、GP、と記載する場合がある)、継続配管(以下、CP、と記載する場合がある)の少なくとも1つ以上の装置(部品)で構成されることが好ましい。
スタティックミキサーは溶融樹脂を均一混合するために有用であり、本発明における本流溶融樹脂がより均一なものとなり易くなる。
スタティッククーラーは溶融樹脂を所定の温度に冷却するために有用であり、本発明における本流溶融樹脂を効率的に冷却し易くなる。
なお、スタティックミキサーとスタティッククーラーを兼ね合わせ、一体化することにより混合機能と冷却機能を同時に発現させた装置も有用である。
ギアポンプは溶融樹脂の流れの圧力を維持、あるいは適宜昇圧するために有用であり、本発明の流路における本流溶融樹脂の圧力を維持し易く、安定した吐出量を得易くなる。
また、継続配管は、押出機、あるいはスタティックミキサー、スタティッククーラーあるいはギアポンプ等の流路配管を適宜組み合わせて接続する際に、接続を容易ならしめるために有用であるが、継続配管に副原料添加装置を接続しやすいといった利点もある。
流路配管としては、これらの中でも、スタティックミキサー、スタティッククーラー、ギアポンプ、継続配管の少なくとも2つ以上で構成されることがより好ましく、スタティックミキサー、スタティッククーラー、ギアポンプ、継続配管の全てを用いることが更に好ましい。この場合、上記利点を全て得やすくなる。
例えば、図1に例示するように、主押出機とダイとの間の流路配管構成として、主押出機−GP1−CP1−GP2−SMX1−GP3−SMR1−GP4−CP2−SMX2−GP5−SMR2−GP6−CP3−SMX3−GP7−SMR3−GP8−ダイ等の構成をとることができる。
また、この例において、CP1に発泡剤添加口1(発泡剤圧入口)を設け発泡剤を添加し、CP2に副原料添加口2を設け難燃剤を添加し、CP3にも副原料添加口3を設け難燃助剤を添加することができる。
このような構成は、上記例より適宜短くしても良いし、長くしてもよく、また、その構成順序も適宜変更可能である。これらは、溶融樹脂中への各種添加剤の均一混合性、本流溶融樹脂を冷却性、添加する添加剤種の数等を考慮して決定することができる。
スタティックミキサー、スタティッククーラー、ギアポンプ、及び継続配管としては、溶融樹脂用に公知のものを使用できる。
例えば、スタティックミキサー、スタティッククーラー、あるいはスタティックミキサーとスタティッククーラーを一体化したものは、SULZER社、FLUITEC社、STAMIXCO社等から入手可能である。ギアポンプは、PSI−POLYMER SYSYTEM社、EXTRUSION AUXILIARY SERVICES社等から入手可能である。継続配管は、各種添加剤等の添加口を設けるか設けないか、更には使用温度や圧力等を考慮し、容易に作製可能であり、前述の各社等、あるいは押出機メーカーに問い合わせれば、入手可能である。
更に、上記例においては、GP8とダイを直接接続しているが、GP8とダイとの間に、樹脂中の異物を除去するためのスクリーンチェンジャーや、本流溶融樹脂排出用のダイバーターバルブ等の設備を適宜設置することができる。
以上のようにして、スチレン系樹脂中に発泡剤、難燃剤、難燃助剤、必要に応じて他の添加剤が添加され、主押出機や流路配管等で溶融、均一混合化、冷却等が施された本流溶融樹脂は、小孔を有するダイから、加圧された冷却水中に押出される。小孔の数は一つでも良いが、生産性の観点からは、複数の小孔を有することが好ましい。
本発明で用いられるダイは特に限定されないが、例えば、直径0.3mm〜2.0mm、望ましくは0.4mm〜1.0mmの小孔を有するものが挙げられる。
ダイより押出される直前の本流溶融樹脂の温度は、発泡剤を含まない状態でのスチレン系樹脂の[ガラス転移温度+40℃]以上、[ガラス転移温度+100℃]以下、より望ましくは[ガラス転移温度+50℃]以上、[ガラス転移温度+70℃]以下であることが望ましい。このような温度であれば、小孔が詰まることなく、かつ所望の粒子形状の発泡性スチレン系樹脂粒子が得られ易くなる。また、発泡性スチレン系樹脂粒子が意図せず発泡してしまうこともなく、ダイから押出された本流溶融樹脂の粘度も適度なものとなり、溶融樹脂が回転カッターに巻きつくこともなく、安定した発泡性スチレン系樹脂粒子の製造が可能となる。
加圧された冷却水に押出された本流溶融樹脂を切断する切断装置としては、特に限定されないが、例えば、ダイリップに接触する回転カッターで切断されて小球化され、加圧冷却水中を発泡することなく、遠心脱水機まで移送されて脱水・集約される装置、等が挙げられる。なお、加圧冷却水は、廃水発生を抑制する観点から循環利用することが好ましい。
[スチレン系樹脂予備発泡粒子]
本発明のスチレン系樹脂予備発泡粒子は、前述した本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を後述の方法で発泡させて得ることができ、後述するスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法等により発泡性スチレン系樹脂粒子をおおむね10倍以上、110倍以下に発泡させたものである。
なお、最終的に得られるスチレン系樹脂予備発泡粒子における発泡剤、難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量は、例えば、発泡性スチレン系樹脂粒子中の発泡剤、難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量を適宜選択することにより調整できる。但し、スチレン系樹脂予備発泡粒子中の難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量割合は、後述する予備発泡工程での発泡剤の揮散等により、発泡性スチレン系樹脂粒子中の難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量割合よりも若干増加する傾向があるので、その点を考慮して、発泡性スチレン系樹脂粒子の難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量を選択すればよい。
[スチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法]
本発明におけるスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法は、従来公知の予備発泡工程を採用することができる。該予備発泡工程によれば、例えば、加熱水蒸気によっておおむね10倍以上、110倍以下に発泡させてスチレン系樹脂予備発泡粒子とすることができる。
以下に、予備発泡工程について詳述する。
予備発泡機としては公知のものを使用でき、例えば、撹拌装置を備え、発泡性スチレン系樹脂粒子が収容される缶と、この缶の下方に設置され、水蒸気を缶に供給する蒸気チャンバーと、予備発泡粒子排出口とを備えた予備発泡機が用いられる。蒸気チャンバーには、ボイラーから水蒸気が供給される。水蒸気と圧縮空気とを混合して蒸気チャンバーに供給することもできる。本明細書において、水蒸気温度は蒸気チャンバーに導入される水蒸気の温度であり、より具体的には、蒸気チャンバーの水蒸気導入口から10cm上流側における水蒸気の温度である。また、水蒸気投入時間(秒)は、缶内に入れた発泡性スチレン系樹脂粒子に水蒸気の供給を開始してから、その発泡性スチレン系樹脂粒子が予備発泡粒子となり、それを予備発泡機の缶外に取り出すまでの間に水蒸気を投入していた時間である。予備発泡機の缶内に水蒸気を複数回に分けて投入する場合は、その投入されている時間の合計を水蒸気投入時間とする。
缶内圧力(ゲージ圧)は、例えば、排気弁の開度を調整することにより制御できる。本明細書において、缶内圧力は、水蒸気投入中の缶の内部圧力であり、水蒸気投入中に内部圧力に変動がある場合は、所定時間(例えば1秒)毎に内部圧力を測定し、得られた測定値の算術平均値として求められる。加圧発泡法では水蒸気投入を間欠的に実施する場合がある。蒸気チャンバーから缶内への水蒸気供給は停止していても缶内での水蒸気雰囲気は継続していることから、この場合は缶内圧力が大気圧を超える状態で保持されている時間は水蒸気投入時間に含める。
予備発泡工程において、水蒸気投入時間は50秒〜500秒であり、望ましくは80秒〜300秒、より望ましくは100秒〜200秒である。水蒸気投入時間が上述の範囲内であることによって、発泡倍率及び独立発泡率が高く、さらに表面美麗性にも優れた本発明のスチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。また、グラファイトのような輻射伝熱抑制剤を添加する場合においては、製造当初から長期間にわたって非常に低い熱伝導率を維持することが可能となる。このような効果が得られる理由は現状では十分明らかではないが、グラファイトのような輻射伝熱抑制剤を高含有するにもかかわらず、輻射伝熱抑制剤がセル膜に穴を開けることが抑制されるためであると推測される。なお、予備発泡工程で水蒸気投入時間を選択することは、通常に行われることであるが、グラファイトを高含有する系において、水蒸気投入時間がどのような影響を及ぼすかは現状では明らかではない。
水蒸気投入時間が50秒未満では、発泡性スチレン系樹脂粒子を所定の発泡倍率にするために、水蒸気温度を高くする必要があるが、そうすると、予備発泡中の発泡性スチレン系樹脂粒子同士が接着するブロッキング現象が発生し易くなり、予備発泡収率を低下させる傾向がある。水蒸気投入時間が500秒を超えると、得られたスチレン系樹脂予備発泡粒子の収縮が大きくなるため、高発泡倍率のスチレン系樹脂予備発泡粒子を得ることが難しく、高発泡倍率(特に50cm3/g以上)のスチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることが難しくなったり、得られたスチレン系樹脂型内発泡成形体の表面美麗性が損なわれたりする傾向がある。
水蒸気投入時の缶内圧力(ケージ圧)は特に限定されないが、望ましくは0.001〜0.15MPa、より望ましくは0.01〜0.10MPa、さらに望ましくは0.03〜0.08MPaである。このような缶内圧力範囲であれば、高発泡倍率(特に65cm3/g以上)を得る場合であっても、予備発泡に要する時間を短縮でき、水蒸気投入時間を500秒以下にし易くなる。また、ブロッキング現象も発生しにくく、高い予備発泡収率を獲得し易い。
なお、水蒸気を空気と混合することにより、水蒸気温度を調整したり、予備発泡粒子が所定の発泡倍率に達するまでの水蒸気投入時間の制御が容易になったり、予備発泡粒子の独立気泡率を高めたりすることもできる。
缶内に導入される水蒸気の温度は特に限定されないが、望ましくは95℃を超え、130℃以下、より望ましくは100〜125℃、さらに望ましくは105〜120℃である。このような温度範囲であれば、高発泡倍率(特に65cm3/g以上)を得る場合であっても、予備発泡に要する時間を短縮でき、水蒸気投入時間を500秒以下にし易くなる。また、ブロッキング現象も発生しにくく、高い予備発泡収率を獲得し易い。
発泡性スチレン系樹脂粒子の予備発泡は、一段階で行うことが望ましい。一段階での予備発泡を行うことにより、単に断熱性及び軽量性に優れるだけでなく、表面美麗性や、内部における発泡粒子同士の融着性が一層向上したスチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。予備発泡を二段階で行う場合には、容易に高発泡倍率(例えば50cm3/g以上)とすることができるが、表面美麗性や、内部における発泡粒子同士の融着性が低下する傾向がある。
また、予備発泡工程は、連続法及びバッチ法のいずれでも行うことができる。
連続法は、缶内への発泡性スチレン系樹脂粒子の供給、及び缶上部に設けられた排出口からの予備発泡粒子の排出を連続的に行う方法である。予備発泡粒子の発泡倍率は、例えば、発泡性スチレン系樹脂粒子の缶内への時間当たりの投入量(重量)を適宜選択することにより調整できる。連続法の場合は缶内へ発泡性スチレン系樹脂粒子が供給されてから予備発泡粒子が排出されるまでの予備発泡機缶内での滞留時間を水蒸気投入時間とする。
また、バッチ法は、缶内に所定量の発泡性スチレン系樹脂粒子を入れ、これを所定の発泡倍率に予備発泡させた後に水蒸気の供給を停止し、次いで必要に応じて空気を缶内に吹き込んで予備発泡粒子を冷却及び乾燥し、缶内から取り出す方法である。スチレン系樹脂予備発泡粒子の発泡倍率は、発泡性スチレン系樹脂粒子のバッチあたりの缶内への投入量(重量)を適宜選択することにより調整できる。バッチ法は、投入された発泡性スチレン系樹脂粒子を所定容積まで予備発泡させる方法であることから、バッチ当りの投入量を減らすほど、得られる予備発泡粒子の発泡倍率は高くなる。
[スチレン系樹脂型内発泡成形体]
本発明のスチレン系樹脂型内発泡成形体は、前述した本発明のスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形したものである。
スチレン系樹脂型内発泡成形体における発泡剤、難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量は、例えば、発泡性スチレン系樹脂粒子中の発泡剤、難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量を適宜選択することにより調整できる。なお、スチレン系樹脂型内発泡成形体中の難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量割合は、予備発泡工程及び成形工程での発泡剤の揮散等により、発泡性スチレン系樹脂粒子中の難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量割合よりも若干増加する傾向があるので、その点を考慮して、発泡性スチレン系樹脂粒子の難燃剤、難燃助剤および他の添加剤の含有量を選択すればよい。
スチレン系樹脂型内発泡成形体の平均セル径は、望ましくは70μm以上、250μm以下、より望ましくは90μm以上、200μm以下、さらに望ましくは100μm以上、180μm以下に調整することが望ましい。平均セル径が上述の範囲にあることによって、断熱性の高いスチレン系樹脂型内発泡成形体となる。平均セル径は、例えば、造核剤の量を適宜選択することにより調整できる。
また、本発明では、スチレン系樹脂予備発泡粒子、及びスチレン系樹脂型内発泡成形体の独立気泡率をそれぞれ95%以上、100%以下に調整することが望ましい。この範囲に調整することで、高発泡倍率のスチレン系樹脂型内発泡成形体となり易く、また、表面が美麗で、断熱性にも優れたスチレン系樹脂型内発泡成形体となり易い。独立気泡率は、例えば、予備発泡工程における缶内、又は成形工程における成形金型内に、水蒸気と空気との混合物を導入し、該混合物における水蒸気の割合を適宜選択することにより、調整できる。
本発明のスチレン系樹脂型内発泡成形体において、グラファイトのような輻射伝熱抑制剤を添加する場合は、発泡倍率が50倍(cm3/g)又は70倍(cm3/g)の高倍率であっても、非常に低い熱伝導性を有する。例えば、グラファイトを用いた場合は、発泡倍率50倍で0.0278〜0.0289W/m・Kの範囲の非常に低い熱伝導率とすることも可能であり、更に50℃という発泡剤が揮散し易い温度下で30日保存後も熱伝導率は0.0300〜0.0310と非常に低く、長期にわたって非常に低い熱伝導率ひいては高い断熱性を維持することも可能である。また、発泡倍率70倍で0.0289〜0.0307W/m・Kの範囲の非常に低い熱伝導率を示し、さらに50℃という発泡剤が揮散し易い温度下で30日保存後も熱伝導率は0.0313〜0.0324と非常に低く、長期にわたって非常に低い熱伝導率ひいては高い断熱性を維持することも可能である。また、発泡剤が十分に逸散した後でもより低い熱伝導率を発揮することができるため、長時間経過後も高い断熱性を維持することができる。
さらに、スチレン系樹脂発泡成形体は発泡倍率が高いほど原料である発泡性スチレン系樹脂粒子の使用量が少なくなることから、高発泡倍率のスチレン系樹脂型内発泡成形体をより安価に製造することができる。なお、従来のスチレン系樹脂型内発泡成形体においては、発泡倍率が40倍以上では発泡倍率が高いほど熱伝導率が大きくなり、断熱性が悪化する欠点があった。しかし、本発明においてグラファイトを添加したスチレン系樹脂型内発泡成形体は、発泡倍率50倍以上であっても低い熱伝導性を有しているため、高い断熱性を有し、軽量で取扱性が良く、かつより安価な断熱材を供給することができる。
本発明のスチレン系樹脂型内発泡成形体は自己消火性を有するが、特に、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から切り出した試験片ごとの難燃レベルが安定したスチレン系樹脂型内発泡成形体を提供することができる。また、難燃剤や難燃助剤の添加量を低減することも可能となる。このようなことから、建築用断熱材として特に好適に使用できる。
本発明のスチレン系樹脂型内発泡成形体の発泡倍率は、特に制限は無く、要求される発泡倍率のものとすることができるが、好ましくは10倍(cm3/g)以上、100倍(cm3/g)以下である。
前述のようにグラファイトを添加した場合は、より好ましくは50倍(cm3/g)以上、更に好ましくは70倍(cm3/g)以上である。即ち、50倍以上のスチレン系樹脂型内発泡成形体とした場合でも低い熱伝導率を達成できるため、製造コストが安い、より高発泡のスチレン系樹脂型内発泡成形体として、高性能な断熱性を発現できる。特に、発泡倍率を70倍以上とした場合には、製造コストはさらに安価となる上に軽量性でも有利なスチレン系樹脂型内発泡成形体を得ることができる。
[スチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法]
本発明におけるスチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法としては、従来公知の成形機を用いた成形工程を採用することができる。そして、使用される金型の形状により、複雑な形の型物成形体やブロック状の成形体を得ることができる。
成形工程としては、次の(1)〜(6)の工程を含む成形工程を例示できる。
(1)成形機に搭載した固定型と移動型からなる金型に、充填機を通して金型内にスチレン系樹脂予備発泡粒子を充填する工程(充填工程)。
(2)金型内に水蒸気を流すことにより、金型及び金型チャンバー内に存在する空気を追い出すと共に、金型全体を加熱する工程(予備加熱工程)。
(3)固定型側から移動型側に水蒸気を流すことにより、金型内に充填されたスチレン系樹脂予備発泡粒子の間に存在する空気を追い出すと共に加熱する工程(一方加熱工程)。
(4)次いで、移動型側から固定型側に水蒸気を流すことにより、金型内に充填されたスチレン系樹脂予備発泡粒子の間に存在する空気を更に追い出すと共に、加熱する工程(逆一方加熱工程)。
(5)固定型側と移動型側の両方から水蒸気を流すことにより、金型内に充填されたスチレン系樹脂予備発泡粒子表面が軟化する迄、充分温度を上昇させて、スチレン系樹脂予備発泡粒子同士を最終的に融着せしめ、一定形状のスチレン系樹脂型内発泡成形体とする工程(両面加熱工程)。
(6)金型を冷却した後、金型を開き、スチレン系樹脂型内発泡成形体を取り出す工程(冷却・取り出し工程)。
[スチレン系樹脂型内発泡成形体の用途]
本発明のスチレン系樹脂型内発泡成形体は、例えば、建築用断熱材、浴室用断熱材及び貯湯タンク断熱材等の各種用途に使用できる。
(建築用断熱材)
住宅等の断熱材は、難燃性が重要な課題であり、かつ、10年以上使用されるため、長期間経過後の断熱性維持が重要な課題となっている。本発明で得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体は、従来のスチレン系樹脂型内発泡成形体よりも安定した難燃性を示し、また、長期間経過後の熱伝導率を低くすることができるため、床、壁、屋根等に用いられる建築用断熱材として好適に使用することができる。
(浴室用断熱材)
近年、風呂の湯温低下を防ぐために浴室の壁、天井、床さらに浴槽に断熱材が使用されることがある。本発明で得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体は、従来のスチレン系樹脂型内発泡成形体よりも安定した難燃性を示し、また、長期間経過後の熱伝導率を低くすることができるため、浴室用断熱材に好適に使用できる。
(貯湯タンク断熱材)
エコキュート(登録商標)等の貯湯タンクには湯温低下を防ぐために断熱材が使用されている。本発明で得られるスチレン系樹脂型内発泡成形体は、従来のスチレン系樹脂型内発泡成形体よりも安定した難燃性を示し、また、長期間経過後の熱伝導率を低くすることができるため、貯湯タンク用断熱材に好適に使用できる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における測定方法及び評価方法は、以下のとおりである。
(スチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩倍率)
スチレン系樹脂予備発泡粒子を、内容積2000cm3のポリエチレン製カップに擦切り一杯量り取り、重量を測定し、風袋重量を差引いてスチレン系樹脂予備発泡粒子の重量を求めた。
嵩倍率(発泡倍率)は、スチレン系樹脂予備発泡粒子の重量と見かけ体積(2000cm3)から、下記の式により求めた。
嵩倍率(倍)=見かけ体積(2000cm3)/発泡粒子の重量(g)
なお、スチレン系樹脂予備発泡粒子の嵩倍率(発泡倍率)「倍」は、慣習的に「cm3/g」でも表されている。
(スチレン系樹脂型内発泡成形体の発泡倍率)
スチレン系樹脂型内発泡成形体から、熱伝導率の測定の場合と同様に、長さ300mm×幅300mm×厚さ25mmのサンプルを切り出した。サンプルの重量(g)を測定すると共に、ノギスを用いて、縦寸法、横寸法、厚さ寸法を測定した。測定された各寸法からサンプルの体積(cm3)を計算し、下記計算式に従って発泡倍率を算出した。
発泡倍率(倍)=サンプル体積(cm3)/サンプル重量(g)
なお、スチレン系樹脂型内発泡成形体の発泡倍率「倍」は、慣習的に「cm3/g」でも表されている。
(難燃レベルの安定性評価)
作製された長さ450mm×幅310mm×厚み25mmのスチレン系樹脂型内発泡成形体を60℃温度下にて48時間静置し、さらに23℃温度下にて24時間静置した後、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から、長さ200mm×幅25mm×厚み10mmの試験片を20本切り出した。その後、JIS A 9511:2006R(発泡プラスチック保温材)の燃焼性測定方法Aに準じて、難燃試験を行い、
0秒以上1秒以下で消炎する試験片数、
1秒を超え2秒以下で消炎する試験片数、
2秒を超え3秒以下で消炎する試験片数、
3秒を超えて消炎する試験片数、
を数え、難燃レベルの安定性を評価した。また、試験片20本の消炎時間の平均値を算出した。
なお、1つのスチレン系樹脂型内発泡成形体から試験片を切り出す部位は、各スチレン系樹脂型内発泡成形体ごとに異ならないようにした。即ち、20本の試験片の切り出しに際しては、各スチレン系樹脂型内発泡成形体の同じ部位から20本を切り出した。
(スチレン系樹脂発泡成形体の熱伝導率Aの測定)
一般的に熱伝導率の測定平均温度が大きい方が熱伝導率の値は大きくなることが知られており、断熱性を比較するためには測定平均温度を定める必要がある。本明細書では発泡プラスチック保温材の規格であるJIS A 9511:2006Rで定められた23℃を基準に採用している。
以下の実施例及び比較例では、熱伝導率Aは、スチレン系樹脂型内発泡成形体から熱伝導率測定サンプルを切り出し、サンプルを50℃温度下で48時間静置し、さらに、23℃の温度下にて24時間静置した後に測定した。
より詳しくは、スチレン系樹脂型内発泡成形体から、長さ300mm×幅300mm×25mmのサンプルを切り出した。サンプルを50℃温度下にて48時間静置し、さらに、23℃温度下にて24時間静置した後、熱伝導率測定装置(英弘精機(株)製、HC−074)を用いて、JIS A1412−2:1999に準拠して熱流計法にて平均温度23℃、温度差20℃で熱伝導率Aを測定した。
以下に、実施例及び比較例で用いた原材料を示す。
(スチレン系樹脂)
(A)スチレンホモポリマー[PSジャパン(株)製、680]。
(グラファイト)
(B)グラファイト[(株)丸豊鋳材製作所製、鱗片状黒鉛SGP−40B]
グラファイト単位溶液濃度あたりのレーザー散乱強度:4.0{%/(mg/ml)}/重量%。
(臭素系難燃剤)
(C1)2,2−ビス[4−(2,3−ジブロモ−2−メチルプロポキシ)−3,5−ジブロモフェニル]プロパン[第一工業製薬(株)製、SR−130、臭素含有量=66重量%]
(C2)臭素化(スチレン-ブタジエン共重合体)[ケムチュラ社製、EMERALD INNOVATION 3000、臭素含有量=65重量%]
(C3)ヘキサブロモシクロドデカン[アルベマール社製、SAYTEX HP−900、臭素含有量=74重量%]。
(熱安定剤)
(D1)テトラキス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジルオキシカルボニル)ブタン[(株)ADEKA製 LA−57]
(D2)ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト[(株)ADEKA製 PEP−36]
(D3)3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン[ADDIVANT社製 Ultranox626]
(D4)ペンタエリトリトールテトラキス[3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート][ADDIVANT社製 ANOX20]
(D5)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂[ハンツマンジャパン(株)製、ECN−1280,エポキシ当量212〜233g/eq.]。
(難燃助剤)
(E1)ジ−t−ブチルパーオキサイド[日油(株)製、パーブチルD(純度98%以上)]
(E2)t−ブチルハイドロパーオキサイド[日油(株)製、パーブチルH−69(純度69%、希釈剤:水)]。
(発泡剤)
(F)混合ペンタン(ノルマルペンタン80重量%とイソペンタン20重量%の混合物)[ノルマルペンタン及びイソペンタンはいずれも和光純薬工業(株)製、試薬品]。
(その他添加剤)
(G)エチレンビスステアリン酸アミド[日油(株)製、アルフローH−50S]。
(グラファイトマスターバッチ)
(I)バンバリーミキサーに、スチレンホモポリマー(A)49重量%、グラファイト(B)50重量%、エチレンビスステアリン酸アミド(G)1重量%の全重量(A+B+G)が100重量%となる様に原料投入して、5kgf/cm2の荷重をかけた状態で加温冷却を行わずに20分間溶融混練した。この際、樹脂温度を測定したところ180℃であった。ルーダーに供給して先端に取り付けられた小穴を有するダイを通して吐出250kg/hrで押出されたストランド状の樹脂を30℃の水槽で冷却固化させた後、切断してマスターバッチを得た。マスターバッチ中のグラファイト含有量は50重量%であった。
(臭素系難燃剤と熱安定剤との混合物のマスターバッチ)
(J1)二軸押出機に、スチレンホモポリマー(A)を供給して溶融混練した後、押出機途中より臭素系難燃剤(C1)、安定剤(D1)及び(D2)の混合物を供給して、さらに溶融混練した。ただし、各材料の重量比率は、(A):(C1):(D1):(D2)=70:28.5:0.6:0.9、(A)+(C1)+(D1)+(D2)=100重量%とした。押出機先端に取り付けられた小穴を有するダイを通して、吐出300kg/hrで押出されたストランド状の樹脂を20℃の水槽で冷却固化させた後、切断して臭素系難燃剤と熱安定剤との混合物のマスターバッチを得た。このとき押出機の設定温度は170℃で実施した。マスターバッチ中の臭素含有量は18.8重量%であった。
(J2)二軸押出機に、スチレンホモポリマー(A)、臭素系難燃剤(C2)、安定剤(D3)、(D4)、及び(D5)を供給して、溶融混練した。ただし、各材料の重量比率は、A:C2:D3:D4:D5=42.25:50:0.25:5:2.5、A+C2+D3+D4+D5=100重量%とした。押出機先端に取り付けられた小穴を有するダイを通して、吐出300kg/hrで押出されたストランド状の樹脂を20℃の水槽で冷却固化させた後、切断して臭素系難燃剤と熱安定剤との混合物のマスターバッチを得た。このとき押出機の設定温度は150℃で実施した。得られたマスターバッチ中の、臭素含有量は32.5重量%であった。
(J3)二軸押出機に、スチレンホモポリマー(A)を供給して溶融混練した後、押出機途中より臭素系難燃剤(C3)、安定剤(D1)及び(D2)の混合物を供給して、さらに溶融混練した。ただし、各材料の重量比率は、(A):(C3):(D1):(D2)=70:28.5:0.6:0.9、(A)+(C1)+(D1)+(D2)=100重量%とした。押出機先端に取り付けられた小穴を有するダイを通して、吐出300kg/hrで押出されたストランド状の樹脂を20℃の水槽で冷却固化させた後、切断して臭素系難燃剤と熱安定剤との混合物のマスターバッチを得た。このとき押出機の設定温度は170℃で実施した。マスターバッチ中の臭素含有量は21.1重量%であった。
(実施例1)
[樹脂溶融装置の構成]
発泡性スチレン系樹脂粒子を作製するに当たり、同方向2軸押出機(主押出機)、SMX、SMR、GP、CP及びダイを次のように直列に接続した製造装置を組み立てた。
『同方向2軸押出機(主押出機)−GP1−CP1−GP2−SMX1−GP3−SMR1−GP4−CP2−SMX2−GP5−SMR2−GP6−CP3−SMX3−GP7−SMR3−GP8−ダイ』。
また、CP1には、発泡剤添加口1を設け、圧入ポンプにて発泡剤を圧入可能とした。CP2には、副原料添加口2を設け、副原料添加装置である副押出機及びギアポンプから、難燃剤マスターバッチを添加可能とした。CP3には、副原料添加口3を設け、副原料添加装置である圧入ポンプにて難燃助剤を圧入可能とした。
[発泡性スチレン系樹脂粒子の作製]
各原料を次のようにして樹脂溶融装置に投入した。即ち、主原料であるスチレンホモポリマー(A)を同方向2軸押出機(主押出機)に投入し、発泡剤(F)をCP1の発泡剤添加口1より圧入し、臭素系難燃剤(C1)を含む難燃剤マスターバッチ(J1)をCP2の副原料添加口2より添加し、難燃助剤(E1)をCP3の副原料添加口3より添加した。
ここで、スチレンホモポリマー(A)、発泡剤、難燃剤、及び難燃助剤の配合量は、表1記載の通りとした。但し、表1記載のスチレンホモポリマー(A)の配合量は、難燃剤マスターバッチ(J1)に含まれるスチレンホモポリマー(A)も含むものとする。即ち、難燃剤マスターバッチ中のスチレンホモポリマー(A)を考慮し、トータルのスチレンホモポリマー(A)が表1記載の配合量となるよう、適宜調節した。
同方向2軸押出機(主押出機)において溶融されるスチレンホモポリマー(A)の樹脂温度は、190℃となるよう調整した。また、押出機スクリュー回転数は、150rpmとした。
同方向2軸押出機(主押出機)から押出された溶融樹脂は、発泡剤と混合され本流溶融樹脂となし、徐々に冷却され、CP2において160℃の本流溶融樹脂とした。その後はダイに達するまで、樹脂温度は160℃で維持した。
なお、難燃剤マスターバッチ(J1)は、副押出機にて樹脂温度160℃となるよう溶融し、CP2の副原料添加口2より本流溶融樹脂に添加した。
また、難燃助剤(E1)は液体であり、圧入ポンプを用いてCP3の副原料添加口3より圧入した。
ダイは、直径0.65mm、ランド長3.0mmの小孔を60個有しており、ダイ温度は250℃に設定した。そして、本流溶融樹脂を吐出量50kg/時間で該ダイを通し、温度60℃及び0.8MPa(ゲージ圧)の加圧循環水中に押出した。押出された本流溶融樹脂は、ダイに接触する10枚の刃を有する回転カッターを用いて、1500rpmの条件にて切断・小粒化され、遠心脱水機に移送されて、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に対して、ステアリン酸亜鉛0.08重量部をドライブレンドした後、15℃で保管した。
[スチレン系樹脂予備発泡粒子の作製]
発泡性スチレン系樹脂粒子を作製し、15℃で保管してから2週間後に発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡機[大開工業株式会社製、BHP−300]に投入し、0.08MPa(ゲージ圧)の水蒸気を予備発泡機に導入して発泡させ、嵩倍率において発泡倍率50倍の予備発泡粒子を得た。
[スチレン系樹脂型内発泡成形体の作製]
得られた嵩倍率50倍のスチレン系樹脂予備発泡粒子を、発泡スチロール用成形機[ダイセン工業(株)製、KR−57]に取り付けた型内成形用金型(長さ450mm×幅310mm×厚み25mm)内に充填して、0.06MPa(ゲージ圧)の水蒸気を導入して型内発泡させた後、金型に水を3秒間噴霧して冷却した。スチレン系樹脂型内発泡成形体が金型を押す圧力が0.015MPa(ゲージ圧力)なるまでスチレン系樹脂型内発泡成形体を金型内に保持した後に、スチレン系樹脂型内発泡成形体取り出して、直方体状のスチレン系樹脂型内発泡成形体を得た。発泡倍率は50倍であった。
作製されたスチレン系樹脂型内発泡成形体について、難燃性や断熱性等の評価を行い、その結果を表1に示す。
Figure 0006688658
(実施例2〜10)
各原料の種類や配合量が表1記載となるように変更した以外は、実施例1と同じ樹脂溶融装置を用い、同様の方法により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。但し、グラファイトを添加する実施例においては、グラファイトマスターバッチ(I)を用い、該グラファイトマスターバッチを主原料であるスチレンホモポリマー(A)とあらかじめブレンドしておき、二軸押出機(主押出機)に投入した。
また、グラファイトマスターバッチ(I)を用いる実施例では、グラファイトマスターバッチ(I)中のスチレンホモポリマー(A)及び難燃剤マスターバッチ中のスチレンホモポリマー(A)を考慮し、トータルのスチレンホモポリマー(A)が表1記載の配合量となるよう、適宜調節した。
次いで、スチレン系樹脂予備発泡粒子やスチレン系樹脂型内発泡成形体についても、実施例1と同様にして得た。
作製されたスチレン系樹脂型内発泡成形体について、難燃性や断熱性等の評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例11)
各原料の種類や配合量が表1記載となるように変更した以外は、実施例1と同じ樹脂溶融装置を用い、同様の方法により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。但し、グラファイトはマスターバッチではなく、グラファイト(B)をそのまま用い、主原料であるスチレンホモポリマー(A)とあらかじめブレンドしておき、二軸押出機(主押出機)に投入した。
次いで、スチレン系樹脂予備発泡粒子やスチレン系樹脂型内発泡成形体についても、実施例1と同様にして得た。
作製されたスチレン系樹脂型内発泡成形体について、難燃性や断熱性等の評価を行い、その結果を表1に示す。
(実施例12)
臭素系難燃剤(C1)を含む難燃剤マスターバッチ(J1)の添加口と難燃助剤(E1)の添加口を入れ替え、臭素系難燃剤(C1)を含む難燃剤マスターバッチ(J1)をCP3の副原料添加口3より添加し、難燃助剤(E1)をCP2の副原料添加口2より添加した以外は、実施例1と同様にした。
作製されたスチレン系樹脂型内発泡成形体について、難燃性や断熱性等の評価を行い、その結果を表1に示す。
(比較例1〜9)
各原料の種類や配合量が表2記載となるように変更するとともに、臭素系難燃剤を含む難燃剤マスターバッチと難燃助剤を同じ位置から添加した。即ち、臭素系難燃剤を含む難燃剤マスターバッチと難燃助剤のいずれも、CP2の副原料添加口2より添加した。なお、CP3の副原料添加口3は塞いでしまい、使用しなかった。
これらの変更以外は実施例1と同様にし、発泡性スチレン系樹脂粒子を得るとともに、スチレン系樹脂予備発泡粒子やスチレン系樹脂型内発泡成形体を作製した。
但し、グラファイトを添加する際は、グラファイトマスターバッチ(I)を用い、主原料であるスチレンホモポリマー(A)とあらかじめブレンドしておき、二軸押出機(主押出機)に投入した。
また、グラファイトマスターバッチ(I)を用いる場合は、グラファイトマスターバッチ(I)中のスチレンホモポリマー(A)及び難燃剤マスターバッチ中のスチレンホモポリマー(A)を考慮し、トータルのスチレンホモポリマー(A)が表2記載の配合量となるよう、適宜調節した。
作製されたスチレン系樹脂型内発泡成形体について、難燃性や断熱性等の評価を行い、その結果を表2に示す。
Figure 0006688658
(比較例10)
各原料の種類や配合量が表2記載となるように変更するとともに、臭素系難燃剤を含む難燃剤マスターバッチと難燃助剤を同じ位置から添加した。即ち、臭素系難燃剤を含む難燃剤マスターバッチと難燃助剤のいずれも、CP3の副原料添加口3より添加した。なお、CP2の副原料添加口2は塞いでしまい、使用しなかった。
これらの変更以外は実施例1と同様にし、発泡性スチレン系樹脂粒子を得るとともに、スチレン系樹脂予備発泡粒子やスチレン系樹脂型内発泡成形体を作製した。
作製されたスチレン系樹脂型内発泡成形体について、難燃性や断熱性等の評価を行い、その結果を表2に示す。
実施例1と比較例1あるいは比較例10の対比、実施例2と比較例2の対比、実施例3と比較例3の対比、実施例4と比較例4の対比、実施例5と比較例5の対比、実施例6と比較例6の対比、実施例7と比較例7の対比、実施例8と比較例8の対比、及び実施例9と比較例9の対比、から、難燃剤と難燃助剤を副原料として各々の副原料添加装置から別々の副原料添加口を通して、本流溶融樹脂中に添加することで、得られる型内発泡成形体において、高い難燃性が安定して発現することがわかる。
以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。

Claims (12)

  1. スチレン系樹脂と発泡剤を含む本流溶融樹脂が流れる流路であって、かつ、主押出機より下流側である流路の異なる位置に複数の副原料添加装置を設け、少なくとも難燃剤と難燃助剤を別々の副原料添加装置より本流溶融樹脂中に添加し、その後、小孔を有するダイを通して、加圧水中に押出すとともに、押出された樹脂を回転カッターにより切断することを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  2. 難燃剤が難燃助剤よりも上流側で本流溶融樹脂中に添加されることを特徴とする請求項1記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. スチレン系樹脂が主押出機で溶融混練され、主押出機から押出された溶融樹脂に発泡剤を圧入して本流溶融樹脂とすることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記スチレン系樹脂と発泡剤を含む本流溶融樹脂が流れる流路であって、かつ、主押出機より下流側である流路が、スタティックミキサー、スタティッククーラー、ギアポンプ、継続配管の少なくとも1つ以上で構成されることを特徴とする請求項1〜3何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  5. 前記副原料添加装置の少なくとも1つが副押出機を含み、難燃剤及び/又は難燃助剤を熱可塑性樹脂と溶融混練後、溶融状態で本流溶融樹脂に添加することを特徴とする請求項1〜4何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  6. スチレン系樹脂100重量部に対し、発泡剤が4重量部以上、9重量部以下、臭素系難燃剤が0.1重量部以上、7重量部以下、難燃助剤が0.01重量部以上、3重量部以下、他の添加剤が0重量部以上、20重量部以下、であり、
    前記他の添加剤は、前記主押出機に添加する、及び/又は、前記主押出機より下流側に設けた副原料添加装置より添加することを特徴とする請求項1〜5何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  7. 難燃剤が、臭素化ビスフェノール系化合物、臭素化ブタジエン・ビニル芳香族炭化水素共重合体、臭素化イソシアヌレート系化合物、及び臭素化脂環族化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜6何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  8. 難燃助剤が、ラジカル発生剤であることを特徴とする請求項1〜7何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  9. ラジカル発生剤が、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、及び2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項8に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  10. 他の添加剤が、グラファイト、グラフェン、活性炭、カーボンブラック、及び酸化チタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜9何れか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させるスチレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法。
  12. 請求項11に記載のスチレン系樹脂予備発泡粒子を型内発泡成形するスチレン系樹脂型内発泡成形体の製造方法。
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