JP7175412B1 - 六方晶窒化ホウ素粉末及びその製造方法 - Google Patents
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Description
湿式粒度分布測定における5~20μmの粒子の割合が50体積%以上、グラインドゲージ測定粒径が44μm以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末。
さらに比表面積が3.0~6.0m2/gである、六方晶窒化ホウ素粉末。
さらにグラインドゲージ測定粒径(μm)/湿式粒度分布測定D100(μm)が1.0~1.6である、六方晶窒化ホウ素粉末。
膜厚X(μm)の樹脂シート用の六方晶窒化ホウ素フィラー(ただし、膜厚Xは20~45μmの範囲である)であって、前記グラインドゲージ測定粒径の上限がX-1(μm)、であることを特徴とする前記六方晶窒化ホウ素粉末。
前記六方晶窒化ホウ素粉末と樹脂とを含有する樹脂組成物からなる、膜厚X(μm)の樹脂シート。
湿式粒度分布測定D50が5.0~20.0μmの原料六方晶窒化ホウ素粉末を、含有割合12質量%以下で溶媒に分散した六方晶窒化ホウ素スラリーを、目開き15~25μmのフィルターを通過させて処理する工程を含む、六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
前記フィルターを通過させる工程は、内側でスクリューを回転させた円筒フィルターに六方晶窒化ホウ素スラリーを投入する工程を含むことを特徴とする、六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
本発明において、原料六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法は、特に制限されるものではないが、例えば還元窒化法を挙げることが出来る。代表的な製造方法を例示すれば、含酸素ホウ素化合物、カーボン源、含酸素カルシウム化合物を、含酸素ホウ素化合物に含まれるB源とカーボン源に含まれるC源の割合であるB/C(元素比)換算で0.75~1.00、含酸素ホウ素化合物とカーボン源との合計量(B基準のB2O3、C換算値)100質量部に対して含酸素カルシウム化合物をCa基準のCaO換算で4~15質量部となる割合で混合し、窒素雰囲気下にて1500~1700℃の最高温度に加熱して、還元窒化した後、反応生成物中に存在する窒化ホウ素以外の副生成物を酸洗浄により除去することを特徴とする原料六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法が挙げられる。かかる製造方法により、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を得るために好適な、所定の原料六方晶窒化ホウ素粉末が得られる。
前記製造方法において、原料の含酸素ホウ素化合物としては、ホウ素原子を含有する化合物が制限なく使用される。例えば、ホウ酸、無水ホウ酸、メタホウ酸、過ホウ酸、次ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウムなどが使用できる。一般的には、入手が容易なホウ酸、酸化ホウ素が好適に用いられる。また、使用する含酸素ホウ素化合物は、粗大粒子が存在すると、カーボン源や含酸素カルシウムと均一に混合することが難しくなるため、425μm篩上残分が3質量%以下、特には、1.5質量%以下にすることが好ましい。また、300μm篩上残分が50質量%以下であることが好ましく、250μm篩上残分が70質量%以下であることが好ましい。
前記製造方法において、含酸素カルシウム化合物は、含酸素ホウ素化合物と複合酸化物を形成することで、高融点の複合酸化物を形成し、含酸素ホウ素化合物の揮散を防止する役割を有する。
前記製造方法において、カーボン源としては、還元剤として作用する公知の炭素材料が特に制限無く使用される。例えば、カーボンブラック、活性炭、カーボンファイバー等の非晶質炭素の他、ダイヤモンド、グラファイト、ナノカーボン等の結晶性炭素、モノマーやポリマーを熱分解して得られる熱分解炭素等が挙げられる。そのうち、反応性の高い非晶質炭素が好ましく、更に、工業的に品質制御されている点で、カーボンブラックが特に好適に使用される。また、上記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック等を使用することができる。また、上記カーボン源の平均粒子径は、0.01~5μmが好ましく、0.02~4μmがより好ましく、0.05~3μmが特に好ましい。即ち、該カーボン源の平均粒子径を5μm以下とすることにより、カーボン源の反応性が高くなり、また、0.01μm以上とすることにより、取り扱いが容易となる。
前記製造方法において、還元窒化反応は、カーボン源と窒素の供給により実施されるが、目的とする六方晶窒化ホウ素粉末を効果的に得るためには、含酸素ホウ素化合物に含まれるB源とカーボン源との割合は、B/C(元素比)換算で0.75~1.00、特には0.80~0.95とすることが好ましい。即ち、該モル比が1.00を超えると、還元されずに揮散するホウ素化合物の割合が増加し、Ca助剤と複合酸化物を形成し易く、また上記複合酸化物の融点が低く、揮散物が増え好ましくない。また、該モル比が0.75未満では、カーボン含有割合が多く、カーボン由来の不純物残存の恐れがある。
前記製造方法において、反応系への窒素源の供給は、公知の手段によって形成することが出来る。例えば、後に例示した反応装置の反応系内に窒素ガスを流通させる方法が最も一般的である。また、使用する窒素源としては、上記窒素ガスに限らず、還元窒化反応において窒化が可能なガスであれば特に制限されない。具体的には、前記窒素ガスの他、アンモニアガスを使用することも可能である。また、窒素ガス、アンモニアガスに、水素、アルゴン、ヘリウム等の非酸化性ガスを混合したガスも使用可能である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法において、上述の還元窒化によって得られた窒化物は、適度に凝集しているため、粒径の調整を目的に解砕工程を設けても良い。かかる解砕工程は、窒化物に含有される六方晶窒化ホウ素一次粒子が凝集することにより構成された窒化物を解砕する工程である。解砕方法は特に限定されずロールクラッシャーやジェットミル、ビーズミル、遊星ミル、石臼型摩砕機などによる解砕であって良い。また、これらの解砕方法を組み合わせても良く、さらに複数回行っても良い。なお、解砕工程により装置等から金属不純物が混入する場合があるが、後述の酸洗浄工程及び水洗工程により高度に除去することが可能である。
前記製造方法において、上述の還元窒化によって得られる窒化物は、六方晶窒化ホウ素粉末の他に、酸化ホウ素―酸化カルシウムから成る複合酸化物等の不純物が存在するため、酸を用いて洗浄することが好ましい。かかる酸洗浄の方法は特に制限されず、公知の方法が制限無く採用される。例えば、窒化処理後に得られた窒化物を解砕して容器に投入し、該窒化物の5~10倍量の希塩酸(5~20質量%HCl)を加え、4~8時間接触せしめる方法などが挙げられる。上記酸洗浄時に用いる酸としては、塩酸以外にも、硝酸、硫酸、酢酸等を用いることも可能である。
上記酸洗浄と、必要に応じて水洗浄を行った後の含水塊状物を、50~250℃の大気、もしくは減圧下での乾燥を行うことが好ましい。乾燥時間は、特に指定しないが、含水率が0%に限りなく近づくまで乾燥することが好ましい。
乾燥後の原料六方晶窒化ホウ素粉末は、解砕後、後述の湿式分級の前に、必要に応じて、乾式篩等による粗大粒子の除去や、気流分級等による微粉除去を行うことが出来る。特に乾式篩工程を行うことが好ましい。原料六方晶窒化ホウ素粉末が、粒度分布が広く、粗粒が多い場合、後述の湿式分級時に、目詰まりが生じて湿式分級処理が行うことが困難となる場合が多いが、湿式分級の前に乾式篩によりある程度粗粒を除いておくことで、これを防止することが容易となる。前記乾式篩は目開き38~90μm篩であることが好ましい。ここで、目開きの下限を38μmとしたのは、乾式篩においては、目開き38μm未満の処理は、目詰まりなどを起こし、連続した篩処理を行うことが困難になるためである。なお、目開き38μmの乾式篩を行った場合でも、原料六方晶窒化ホウ素粉末には扁平形状の一次粒子が存在しているため、目開き対角線サイズの粒子が篩下として得られてしまうため、グラインドゲージ測定粒径を44μm以下制御することは困難である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末は、上記のような原料六方晶窒化ホウ素粉末を湿式分級して、特定の粒径以上の粗大粒子を除去することで得ることができる。湿式分級を行うことで、効率的に粗大粒子を除去して本願の六方晶窒化ホウ素粉末を得ることができる。湿式分級は、前記原料六方晶窒化ホウ素粉末を溶媒に分散した六方晶窒化ホウ素スラリーを、フィルターを通過させて処理する方法(以下、「フィルター分級」と称することがある)と、流体状にして粗大粒子と微粒子を分ける流体分級があるが、フィルター分級が、分級精度が良く、生産能力も高いため好ましい。
湿式分級は、原料六方晶窒化ホウ素粉末を溶媒に分散させた六方晶窒化ホウ素スラリーを処理することで行う。六方晶窒化ホウ素スラリーの溶媒は、原料六方晶窒化ホウ素粉末を分散可能な溶媒であれば特に制限なく使用可能であり、例えば、イオン交換水、純水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが好適に使用できる。これらの溶媒は、1種のみを使用してもよく、あるいは2種以上を併用してもよい。
六方晶窒化ホウ素スラリーは、原料六方晶窒化ホウ素粉末の含有量が14質量%以下である。これにより、スラリーの粘度を低減でき分散性を高めることが容易となる。分散性が低い場合、得られる六方晶窒化ホウ素粉末において、5μm未満の小粒径粒子の含有割合が増加し、高い熱伝導性が得られにくくなる。原料六方晶窒化ホウ素の含有量は、12質量%以下がより好ましく、5質量%以下が更に好ましい。また、生産性の観点から、原料六方晶窒化ホウ素の含有量は1質量%以上が好ましい。
原料六方晶窒化ホウ素を溶媒に分散させる工程は、特に限定されず、所定量の原料六方晶窒化ホウ素粉末と溶媒とを測り取って混合して、スラリーを調整すれば良い。なお、溶媒に分散させる前の原料六方晶窒化ホウ素粉末は、大部分の粒子が緩い凝集状態にある場合が多い。そのため、十分に分散させて目詰まりを抑制するために、ディスパーザー、ホモジナイザー、超音波分散機、ナノマイザー、プラネタリーミキサー、エジェクター、ウォータージェットミル、高圧分散機などの衝突分散機、湿式ボールミル、湿式振動ボールミル、湿式ビーズミルなどでスラリーを処理することが好ましく、ディスパーザー、ホモジナイザー、超音波分散機などで処理することが特に好ましい。
前記原料六方晶窒化ホウ素スラリーは、25℃における粘度が1.0~60mPa・Sであることが好ましい。粘度を前記範囲とすることによって、後述の湿式フィルター分級を効率的に行うことが出来る。
フィルター分級では、目開き15~25μmのフィルターを使用する。これにより、グラインドゲージ測定粒径が44μm以下である本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を効率的に製造することが可能となる。後述する溶媒除去・乾燥を行うと、六方晶窒化ホウ素粒子が凝集体を形成する場合があり、乾燥後の六方晶窒化ホウ素粉末中には湿式フィルター分級の目開きより大きい粒子が存在して、前記六方晶窒化ホウ素粉末のグラインドゲージ測定粒径は湿式フィルター分級の目開きより大きくなるが、本製造方法においては、湿式フィルター分級の目開きを25μm以下とすることで、グラインドゲージ測定粒径を44μm以下に制御しやすくなる。目開き15μm未満では、5~20μmの粒子割合が50%以下にすることが困難である。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末を得るためには、湿式分級後に上記スラリーから溶媒を除去する必要がある。溶媒の除去方法は特に限定されず、例えば、六方晶窒化ホウ素粉末を含むスラリーを加熱装置で加熱することで行うことが出来る。加熱装置は、スラリーから溶媒を蒸発除去させることが可能であれば特に制限なく使用でき、具体的にはコニカルドライヤー、ドラムドライヤー、V型ドライヤー、振動乾燥機、ロッキングミキサー、ナウタミキサー、リボコーン、真空造粒装置、真空乳化装置、その他攪拌型真空乾燥装置が好適に使用できる。乾燥は複数段階に分けて行っても良く、加熱装置での加熱の前に、例えば、ロータリーエバポレーター、薄膜乾燥装置、スプレードライヤー、ドラムドライヤー、ディスクドライヤー、流動層乾燥機などを使用して溶媒の一部を除去しても良い。また、加熱装置で加熱して乾燥を行う前に、ろ過を行って、溶媒の一部を除去しても良い。ろ過を行う装置は、スラリーを固体成分と液体成分に分離する装置であれば好適に使用でき、具体的には吸引ろ過装置、遠心ろ過機、デカンター、ギナ式遠心分離機、加圧ろ過機、フィルタープレス機、およびろ過と乾燥を1台で実施できるろ過乾燥装置などが挙げられる。使用するろ材の材質、保留粒子径、分離の条件等は、用いる方法や捕集率に応じて適宜選択すれば良い。
本発明の六方晶窒化ホウ素粉末と樹脂とを配合することで樹脂組成物を得ることが出来る。樹脂組成物は例えば樹脂シートとして使用することが可能であり、本発明の六方晶窒化ホウ素粉末により、特に、膜厚が薄く、且つ高熱伝導性および高絶縁耐力を示す樹脂シートを得ることができる。
また、銅張積層板用途においては、エポキシ樹脂及び/またはマレイミド化合物と、シアン酸エステル化合物とを使用することも好ましい形態として挙げることが出来る。このような樹脂組成とすることで、ピール強度や吸湿耐熱性に優れた樹脂組成物とすることが容易となる。この場合、エポキシ樹脂としては、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、多官能フェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が難燃性や耐熱性の観点から好ましく、マレイミド化合物としては、2,2’-ビス{4-(4-マレイミドフェノキシ)-フェニル}プロパン、ビス(3-エチル-5-メチル-4-マレイミドフェニル)メタン及び前記式(B-1)で表されるマレイミド化合物、及び前記式(B-2)で表されるマレイミド化合物が、熱膨張率やガラス転移温度の観点から好ましく、シアン酸エステル化合物としては、フェノールノボラック型シアン酸エステル化合物、ビフェニルアラルキル型シアン酸エステル化合物、ナフトールアラルキル型シアン酸エステル化合物が、ガラス転移温度やめっき密着性の観点から好ましい。
制限されるものではない。本発明における各種物性測定方法は、それぞれ以下のとおりである。
日機装株式会社製:粒子径分布測定装置MT3000を使用して測定した。なお、測定サンプルは、以下に示す方法により調製した。まず、50mLスクリュー管瓶にエタノール20gを分散媒として加え、エタノール中に六方晶窒化ホウ素粉末1gを分散させた。これを、レーザー回折散乱型粒度分布計を用いて粒度分布を測定した。このときに、凝集粒子を壊さないために、超音波処理等は行わずに測定した。得られた粒子径の体積頻度分布から、粒径5~20μm程度の粒子の存在割合を求めた。また、体積頻度の累積値が50%となるところの粒径の値をD50、95%となるところの粒径の値をD95、100%となるところの粒径の値をD100として求めた。
日機装株式会社製:粒子径分布測定装置MT3000を使用して測定した。なお、測定サンプルは、以下に示す方法により調製した。まず、50mLスクリュー管瓶にエタノール20gを分散媒として加え、エタノール中に六方晶窒化ホウ素粉末1gを分散させた。これを、レーザー回折散乱型粒度分布計を用いて粒度分布を測定した。このときに、凝集粒子を壊すために、90W20分の超音波処理を行った。得られた粒子径の体積頻度分布から、体積頻度の累積値が50%となるところの粒径の値をD50Sとして求めた。
六方晶窒化ホウ素粉末のBET比表面積測定には、比表面積測定装置(島津製作所製:フローソーブ2-2300型)を用いて、BET法(窒素吸着1点法)により求めた
[酸素・炭素分析]
六方晶窒化ホウ素粉末の酸素含有量は、堀場製作所製:酸素/窒素分析装置EMGA-620を使用して測定した。六方晶窒化ホウ素粉末の炭素含有量は、炭素分析装置(堀場製作所製EMIA-110)で測定した。本発明の実施例の六方晶窒化ホウ素粉末は全て、酸素含有量が0.01~0.95質量%、炭素含有量が0.001~0.050質量%の範囲内であった。
150ccのビーカーに、0.04mol/Lの濃度の硫酸水溶液50g、六方晶窒化ホウ素粉末2gを投入し、振盪撹拌した後、120分静置した。その間、液の温度を25℃ に調整した。その後、得られた液中のホウ素をICP発光分光分析装置(THERMO FISHER社製iCAP6500)により分析して測定されたホウ素量をB2O3に換算し、これを前記六方晶窒化ホウ素粉末の質量で除して不純物酸化ホウ素量(ppm)を求めた。本発明の実施例の六方晶窒化ホウ素粉末は全て、不純物酸化ホウ素量が250ppm以下であった。
JIS―K5600-2-5に準拠して、幅90mm、長さ240mm、最大深さ50μmのグラインドゲージ(粒ゲージ)を用いて評価した。六方晶窒化ホウ素粉末0.4gと、25℃での動粘度が1000cStのシリコーン樹脂(モメンティブ社製:Element14 PDMS 1000-J)4gとを、24mlのプラ軟こう壺に投入し、この軟こう壺を自転・公転ミキサー(株式会社シンキ―社製:ARE-310)で公転速度2000rpm、自転速度800rpmで2分間処理し、測定用ペーストを得た。グラインドゲージに測定用ペーストを載せ、スクレーパーを垂直に当てて溝の上をスライドさせ、顕著な斑点が現れ始める点を観察した。観察は2.5μm刻みで行い、溝を横切って3mmの幅に5個以上の粒子を含む最も大きな点を、グラインドゲージ測定粒径として求めた。操作はn=6で行い、6回の平均値をグラインドゲージ測定粒径とした。
作製した樹脂シートの熱伝導率(W/m・K)を、熱拡散率(m2/秒)×密度(kg/m3)×比熱(J/kg・K)で求めた。熱拡散率は温度波熱分析法(アイフェイズ社製:ai-Phase Mobile u、ISO22007-3)、密度はアルキメデス法(メトラー・トレド社製:XS204V)、比熱は示差走査熱量計(DSC)法(リガク社製:Thermo Plus Evo DSC8230)で測定した。
作製した樹脂シートの絶縁耐力(kV/mm)を、耐電圧試験機(京南電機株式会社製:YPAD-0225)を使用し、JIS K6911の熱硬化性プラスチック一般試験方法に準じて測定した。
六方晶窒化ホウ素一次粒子のアスペクト比は分析走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ株式会社製:S-3400N)を用いて測定した。倍率5000倍の走査電子顕微鏡観察像から異なる六方晶窒化ホウ素一次粒子100個を無作為に選び、六方晶窒化ホウ素一次粒子の長径の長さ、厚みを測定してそれぞれのアスペクト比(長径の長さ/厚みの長さ)を算出し、その平均値をアスペクト比とした。その結果、全ての実施例と比較例において、原料六方晶窒化ホウ素及び六方晶窒化ホウ素のアスペクト比は、5~15の範囲にあった。
原料六方晶窒化ホウ素スラリーを、粘度計(アズワン社製:ASJ-8ST)を用いて、回転数3rpmで測定した。全ての実施例において、25℃における原料六方晶窒化ホウ素スラリーの粘度は1~60mPa・Sの範囲内であった。
酸化ホウ素1950g、カーボンブラック710g、炭酸カルシウム552gを、スパルタンミキサーを使用して混合した。該混合物の(B/C)元素比換算は0.95、含酸素ホウ素化合物、カーボン源の、B2O3、C換算質量合計量100質量部に対する上記含酸素カルシウム化合物のCaO換算質量含有割合は11.6質量部である。該混合物1500gを、黒鉛製タンマン炉を用い、窒素ガス雰囲気下、1500℃6時間、1600℃で2時間保持することで窒化処理して、窒化物を得た。
次いで、前記窒化物を解砕して容器に投入し、該窒化物の5倍量の塩酸(7質量%HCl)を加え、スリーワンモーター回転数350rpmで24時間撹拌した。該酸洗浄の後、酸をろ過し、使用した酸と同量の純水に、ろ過して得られた窒化物を分散させ、再度ろ過した。この操作をろ過後の水溶液が中性になるまで繰り返した後、200℃で12時間真空乾燥させた。乾燥後に得られた粉末を目開き45μmの篩にかけて、原料六方晶窒化ホウ素粉末を得た。
原料六方晶窒化ホウ素粉末を純水と混合して4質量%の原料六方晶窒化ホウ素スラリー(原料六方晶窒化ホウ素粉末:純水=1質量:25質量)を準備した。次いで、アコージャパン株式会社製スラリースクリーナーを用いて、内側でスクリュー回転数:50Hz、回転角度40°で回転させた目開き25μmのナイロン円筒フィルターに、純水を浸漬させるため5L通水した後、前記原料六方晶窒化ホウ素スラリー10Lを1L/分のスラリー投入速度で投入し、内側でスクリューを回転させた円筒フィルターに原料六方晶窒化ホウ素スラリーを投入する湿式分級処理を行い、フィルター通過スラリーを得た。前記フィルター通過スラリーを濾別し、脱水ケーキとし、上記脱水ケーキを200℃で真空乾燥し、目的とする六方晶窒化ホウ素粉末を得た。なお、フィルター上に残留した粉末とフィルターを通過しなかったスラリーを乾燥させて得られた粉末は、原料六方晶窒化ホウ素粉末に対して5質量%未満であり、原料六方晶窒化ホウ素粉末の95質量%以上は、25μmフィルターを通過した。製造条件を表1に、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2、表3に示す。
表1に示すように各条件を変更した以外は実施例1と同様に行った。製造条件を表1に、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2、表3に示す。
表1に示すように各条件を変更した以外は実施例1と同様に行った。なお比較例1~3に関しては、100μmのグラインドゲージを使用してグラインドゲージ測定粒径を測定した。製造条件を表1に、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2、表3に示す。
市販のBN粉末を表1に示すように実施例1と同様に湿式分級処理を行った。製造条件を表1に、得られた六方晶窒化ホウ素粉末の評価結果を表2、表3に示す。
Claims (7)
- 湿式粒度分布測定における5~20μmの粒子の割合が50体積%以上、グラインドゲージ測定粒径が44μm以下であることを特徴とする六方晶窒化ホウ素粉末。
- 比表面積が3.0~6.0m2/gである、請求項1記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
- グラインドゲージ測定粒径(μm)/湿式粒度分布測定D100(μm)が1.0~1.6である、請求項1または2記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
- 膜厚X(μm)の樹脂シート用フィラーであり(ただし、膜厚Xは20~45μmの範囲である)、前記グラインドゲージ測定粒径の上限がX-1(μm)であることを特徴とする請求項1または2記載の六方晶窒化ホウ素粉末。
- 請求項4記載の六方晶窒化ホウ素粉末と樹脂とを含有する樹脂組成物からなる、膜厚X(μm)の樹脂シート。
- 湿式粒度分布測定D50が5.0~20.0μmの原料六方晶窒化ホウ素粉末が含有割合14質量%以下で溶媒に分散した六方晶窒化ホウ素スラリーを、目開き15μm~25μmのフィルターを通過させて処理する工程を含む、六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
- 前記フィルターを通過させる工程は、内側でスクリューを回転させた円筒フィルターに原料六方晶窒化ホウ素スラリーを投入する工程を含むことを特徴とする、請求項6記載の六方晶窒化ホウ素粉末の製造方法。
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