JP7172799B2 - 二酸化炭素吸蔵還元型触媒、および、メタン製造方法 - Google Patents
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Description
図1は、第1実施形態のメタン製造装置1の概略構成を示した説明図である。本実施形態のメタン製造装置1は、二酸化炭素(CO2)と水素(H2)との混合ガスを用いて、メタン(CH4)を製造する装置であり、メタン化反応部5と、接続配管6、7と、を備える。メタン化反応部5には、接続配管6を介して外部の燃焼炉2が排出するCO2を含む排ガスが供給され、接続配管7を介して、例えば、水電解装置などの水素供給源3が供給するH2が供給される。メタン化反応部5には、二酸化炭素吸蔵還元型触媒10が収容されており、二酸化炭素吸蔵還元型触媒10は、燃焼炉2が排出する排ガスや、水素供給源3が供給する水素が接触可能に設けられている。二酸化炭素吸蔵還元型触媒10は、最初に、排ガスが供給されると排ガスに含まれるCO2を吸蔵する、次に、二酸化炭素吸蔵還元型触媒10は、H2が供給されると、吸蔵しているCO2との反応によってCH4を生成する。なお、ここでは、CO2を含む排ガスの供給源を燃焼炉としたが、排ガスの供給源はこれに限定されず、高炉など、CO2を含む排ガスを排出する装置であればよい。また、水素供給源3は、水電解装置に限定されず、水素タンクや、水素の化合物を分解して水素を生成する装置であってもよい。
(1-1)サンプル1の作成方法
最初に、Ca(NO3)2/4H2Oを溶解したイオン交換水に、市販のAl2O3担体を加え、蒸発乾固した。蒸発乾固によって得られた粉末を、120℃で乾燥した後、大気雰囲気下の500℃の温度で5時間焼成することによって、CaO/Al2O3を得た。さらに、Ru(NO3)3溶液をイオン交換水にて希釈した溶液に、得られたCaO/Al2O3を加え、蒸発乾固および乾燥した後、大気雰囲気下の400℃の温度で5時間焼成することによって、Ru/CaO/Al2O3の粉末を得た。得られたRu/CaO/Al2O3の粉末を、粒径が500~1000μmのペレット状となるように圧粉成形することで、サンプル1が作成された。サンプル1は、Ruの担持量が金属換算で5wt%であり、CaOの担持量がCaCO3換算で15wt%となっている。
サンプル2は、MgO粉末を、粒径が500~1000μmのペレット状となるように圧粉成形することで作成された。
サンプル3~10の作成に当たっては、最初に、CO2吸蔵性能を有するK/MgOの粉末およびK/MgNiAlOxの粉末と、メタン化反応を活性化する性能を有するRu/TiO2の粉末を作成した。
(1-3-1)K/MgOの粉末の作成
協和化学工業株式会社製MgO粉末をイオン交換水に分散させた溶液に、mol比で、KNO3:K2CO3:MgO=2:1:30となるように、炭酸カリウムと硝酸カリウムとを加えた。炭酸カリウムと硝酸カリウムとが加えられた溶液を、ホットスターラーで撹拌しながら加熱することによって蒸発乾固し、粉末を得た。蒸発乾固によって得られた粉末を120℃の温度で乾燥した後、大気雰囲気下の400℃の温度で5時間焼成することによって、K/MgOの粉末を得た。
(1-3-2)K/MgNiAlOxの粉末の作成
最初に、mol比がMg:Ni:Al=2:1:1となる層状複水酸化物(LDH)を合成した。LDHの粉末を、100mlのイオン交換水中に分散させた後、mol比で、KNO3:K2CO3=2:1であり、かつ、LDH:K=2:1となるように、硝酸カリウムと炭酸カリウムとを加え、撹拌しながら蒸発乾固し、粉末を得た。蒸発乾固によって得られた粉末を120℃の温度で一晩乾燥した後、大気雰囲気下の400℃の温度で5時間焼成することによって、K/MgNiAlOxの粉末を得た。
(1-3-3)Ru/TiO2の粉末の作成
田中貴金属工業株式会社製の硝酸ルテニウム溶液を用いて、Ru担持量が3wt%となるように、石原産業株式会社製TiO2担体に含浸担持させた。その後、大気雰囲気下の500℃の温度で5時間焼成することによって、Ru/TiO2の粉末を得た。
サンプル3は、(1-3-1)で得られたK/MgOの粉末を、粒径が500~1000μmのペレット状となるように圧粉成形することで作成された。
サンプル7は、(1-3-2)で得られたK/MgNiAlOxの粉末を、粒径が500~1000μmのペレット状となるように圧粉成形することで作成された。
サンプル1~10の評価試験は、図4に示すガス条件、および、図5に示す時間条件で行った。サンプル1~10の評価試験は、ステンレス反応管に充填された1gのサンプルに対して行った。以下に、評価試験で行われる複数の工程を、行われる工程順に沿って、試験条件を示す。
・前処理工程
温度:320℃、ガス流量:50cc/min(20%H2、Heバランス)、時間:30分
・前処理Heパージ工程
温度:320℃、ガス流量:100cc/min(100%He)、時間:5分
・CO2吸蔵工程
温度:320℃、ガス流量:20cc/min(10%CO2/5%O2、Heバランス)、時間:20分
・Heパージ工程(1回目)
温度:320℃、ガス流量:100cc/min(100%He)、時間:5分
・H2還元工程
温度:320℃、ガス流量:100cc/min(20%H2、Heバランス)、時間:20分
・Heパージ工程(2回目)
温度:320℃、ガス流量:100cc/min(100%He)、時間:5分
CO2吸蔵量=CO2供給量-CO2吸蔵時におけるCO2未反応量 ・・・(1)
O2消費量=O2供給量-O2吸蔵時におけるO2未反応量 ・・・(2)
CH4生成量=H2還元時におけるCH4生成量 ・・・(3)
Ru/CaO/Al2O3からなるサンプル1は、比較例の二酸化炭素吸蔵還元型触媒であって、CO2を吸蔵すること、および、CH4を生成することが可能であるが、CO2の吸蔵時にRuがO2と反応するため、O2消費量が比較的多くなる。このため、サンプル1において、吸蔵したCO2をCH4に変換するには、CO2をCH4に変換するために必要な量に加えて、酸化したRuを還元するためのH2が必要となり、H2の消費量が多くなる。
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
上述の実施形態では、CO2吸蔵材は、K/MgNiAlOxの組成式で表されるとした。しかしながら、CO2吸蔵材はこれに限定されない。酸化マグネシウム以外のマグネシウムを含んでもよいし、CO2を吸蔵可能な材料であればよい。また、CO2吸蔵材に含まれるアルカリ金属は、カリウムに限定されないし、CO2吸蔵材は、アルカリ金属やニッケルを含まなくてもよい。
上述の実施形態では、二酸化炭素吸蔵還元型触媒10では、K/MgOの粉体とRu/TiO2の粉体の配置状態、または、K/MgNiAlOxの粉体とRu/TiO2の粉体との配置状態は、個別に移動することが可能なように、かつ、混合された状態で配置されている状態のペレット配置であるとした。しかしながら、二酸化炭素吸蔵還元型触媒10での配置状態は、これに限定されない。
2…燃焼炉
3…水素供給源
5…メタン化反応部
6、7…接続配管
10…二酸化炭素吸蔵還元型触媒
11、12、13…ペレット
15…収容体
Claims (5)
- 二酸化炭素と水素とからメタンを生成するときに使用される二酸化炭素吸蔵還元型触媒であって、
マグネシウムを含み、二酸化炭素を吸蔵する二酸化炭素吸蔵材の粉体と、
二酸化炭素と水素から触媒反応によってメタンを生成するメタン化触媒の粉体と、を含み、
前記二酸化炭素吸蔵材の粉体と前記メタン化触媒の粉体は、混合された状態で収容体に収容されている、
二酸化炭素吸蔵還元型触媒。 - 請求項1に記載の二酸化炭素吸蔵還元型触媒であって、
前記二酸化炭素吸蔵材は、酸化マグネシウムとアルカリ金属化合物を含む、
二酸化炭素吸蔵還元型触媒。 - 請求項1または請求項2に記載の二酸化炭素吸蔵還元型触媒であって、
前記二酸化炭素吸蔵材は、ニッケルを含む、
二酸化炭素吸蔵還元型触媒。 - 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸蔵還元型触媒であって、
前記二酸化炭素吸蔵材の粉体と前記メタン化触媒の粉体とは、それぞれペレット状に成形されている、
二酸化炭素吸蔵還元型触媒。 - 二酸化炭素と水素とからメタンを生成するメタン製造方法であって、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の二酸化炭素吸蔵還元型触媒に、二酸化炭素を含む排ガスを接触させる第1の工程と、
前記第1の工程の後、二酸化炭素を吸蔵している前記二酸化炭素吸蔵還元型触媒に、水素を接触させ、触媒反応によってメタンを生成する第2の工程と、を備える、
メタン製造方法。
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