JP7172224B2 - 導体形成用組成物、及び、導体層を有する物品の製造方法 - Google Patents

導体形成用組成物、及び、導体層を有する物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、導体形成用組成物、及び、導体層を有する物品の製造方法に関する。
金属を含む導体層の形成方法として、銅粒子等の金属粒子を含むインク、ペースト等の導電材料をインクジェット印刷、スクリーン印刷等により基材上に付与する工程と、導電材料の焼結により金属粒子を融着させて導体層を形成する工程とを含む、いわゆるプリンテッドエレクトロニクス法が知られている。そのような方法に用いられ得る導電材料として、例えば、特許文献1及び2は、低温焼結により良好な導電性を発現する被覆銅微粒子を記載している。
一方、近年、配線を有する部材の小型軽量化を目的として、成形回路部品(Molded Interconnect Devices、以下「MID」ということがある。)に注目が集まっている。MIDは、三次元形状の成形体上に直接形成された配線を有する部材である。MIDは、例えば、ハーネスレス構造の形成、又は、デバイスのデッドスペースでの配線の形成を可能にすることで、車載の軽量化及びスマートフォンの小型化に寄与することができる。一般に、MIDの配線は、レーザーダイレクトストラクチャリング法(以下「LDS法」という。)により形成される。
特開2012-72418号公報 特開2014-148732号公報
しかし、LDS法は、特殊触媒を含有する樹脂を必要とする、及び、無電解めっきの環境負荷が大きいといった課題があるために、これを実用的に適用できるデバイスは限定的である。
これに対して、焼結により導体層を形成する導電材料を基材に直接印刷することにより、より簡便にMIDの配線を形成できることが期待される。ところが、焼結により基材上に形成された導体層は、基材に対する密着性が不足して、信頼性の確保が困難となる場合がある。
そこで、本発明の一側面の目的は、焼結により銅を含有する導体を形成する導体形成用組成物を用いて基材上に形成される導体層に関して、基材に対する密着性の向上を図ることにある。
上記課題を解決するために、本発明の一側面は、
(A)銅含有粒子と、
(B)メジアン径又はモード径が200nm以下である酸化銅粒子と、
(C)分散媒と、
を含有する、導体形成用組成物を提供する。
本発明の別の一側面は、上記導体形成用組成物の膜を基材上に形成する工程と、導体形成用組成物の膜を焼結することにより、銅を含有する導体層を形成する工程と、を備える、導体層を有する物品を製造する方法に関する。この方法によれば、基材との高い密着性を有する導体層を有する物品を容易に得ることができる。
本発明によれば、焼結により銅を含有する導体を形成する導体形成用組成物を用いて、基材に対する高い密着性を有する導体層を形成することができる。
導体層を有する物品の一実施形態を示す斜視図である。 導体層を有する物品の一実施形態を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合、原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必須ではない。数値及びその範囲も同様に、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。本明細書において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書において組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。本明細書において「膜」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構成に加え、一部に形成されている形状の構成も包含する。
<導体形成用組成物>
一実施形態に係る導体形成用組成物は、(A)銅含有粒子と、(B)メジアン径又はモード径が200nm以下である酸化銅粒子と、(C)分散媒とを含有する。
本実施形態に係る導体形成用組成物は、例えば、任意の基材上に導体層を形成して、導体層を有する物品を製造するために用いることができる。導体層形成用組成物は、導体又は導体層を形成するための導電塗料、導電ペースト、又は導電インクであることができる。
銅含有粒子と200nm以下のメジアン径又はモード径を有する微小な酸化銅粒子とを組みわせることにより、形成される導電層の密着性が向上する理由は必ずしも明らかではないが、本発明者らは次のように考えている。焼結前の導体形成用組成物の膜を形成した時点で、微小な酸化銅粒子が、基材表面の微小な凹凸に入り込む。その状態で焼結のために膜が加熱されると、酸化銅表面に金属銅の表面が形成される。金属銅の表面を有する微小な粒子は、ナノサイズ効果によって融点が低下する結果、高い融着性を示すと推定される。微小な酸化銅粒子から生成した金属銅成分が周囲の銅粒子と強固に融着することで、基材表面の凹凸部分にも入り込みながら強固に融着した金属銅成分を含む導体層が形成される。以上のとおり、主として、基材表面の微小な凹凸に酸化銅粒子が入り込むことによるアンカー効果と、ナノサイズ効果による融点低下の二つの作用によって、導体層の基材との密着性が向上すると考えられる。
<(A)銅含有粒子>
(A)銅含有粒子は、主として金属銅から形成された銅粒子であってもよいし、主として金属銅から形成された銅粒子であるコア粒子とコア粒子の表面の一部又は全部を覆う有機被覆層とを有する被覆銅粒子であってもよい。銅粒子と被覆銅粒子とを組み合わせてもよい。
主として金属銅から形成された銅粒子は、金属銅以外の少量の他の成分を含み得る。金属銅以外の成分の例としては、金、銀、白金、錫及びニッケル等の金属又はこれらの金属元素を含む金属化合物、酸化銅、塩化銅、並びに有機物が挙げられる。有機物は、後述の脂肪酸銅、還元性化合物又は脂肪族アミンに由来する物質であり得る。導電性に優れる導体を形成する観点からは、銅粒子中の金属銅の割合は、銅粒子の質量を基準として50~100質量%、60~100質量%、又は70~100質量%であってもよい。
(B)酸化銅粒子の量に対する(A)銅含有粒子の量の質量比が、2.5~30であってもよい。銅含有粒子の割合がこの範囲内にあると、基材との密着性がより一層向上した導体層が形成される傾向がある。同様の観点から、(B)酸化銅粒子の量に対する(A)銅含有粒子の量の質量比が、5以上、又は10以上であってもよく、28以下、又は25以下であってもよい。
(A)銅含有粒子の形状は、特に制限されず、例えば球状、扁平状(長粒状、フレーク状を含む)、又は繊維状であってもよい。特に、(A)銅含有粒子が、(A1)球状の第一の銅含有粒子と、(A2)扁平状の第二の銅含有粒子とを含んでいてもよい。このような2種の銅含有粒子の組み合わせにより、比較的厚い導体層を形成するときであっても、導体層のひび割れの発生を抑制することができる。
第一の銅含有粒子は、真球状又は略球状であればよく、通常、そのアスペクト比(長径/短径)は1~1.2である。第二の銅含有粒子は、扁平状である。本明細書において、「扁平状」は、アスペクト比がある程度大きい形状であることを意味し、楕円体又はこれに近い形状のような長粒状の他、フレーク状、鱗片状のような平板状の形状も包含する用語として用いられる。扁平状の第二の銅含有粒子のアスペクト比は、通常、3~10である。第一及び第二の銅含有粒子は、全体として球状又は扁平状であればよく、その表面に微小な凹凸を有していてもよい。
良好な導電性を有する導体層を低温での焼結でより容易に形成するために、球状の第一の銅含有粒子のメジアン径又はモード径のうち少なくとも一方が、2.0μm以下、1.2μm以下、0.9μm以下、又は0.6μm以下であってもよく、0.3μm以上であってもよい。同様の観点から、扁平状の第二の銅含有粒子のメジアン径又はモード径のうち少なくとも一方が、9.0μm以下、7.0μm以下、4.0μm以下、又は2.5μm以下であってもよく、0.03μm以上であってもよい。
ここで、本明細書において、メジアン径は、光子相関法又はレーザー回折・散乱法により測定される粒径の累積分布(粒度分布)におけるメジアン径(粒径の中央値)を意味する。モード径は、同様の方法で得られる粒径の累積分布(粒度分布)における最大の極大値が観測される粒径を意味する。第一の銅含有粒子のモード径と第二の銅含有粒子のモード径とが異なる場合、両者の混合物の粒度分布において、2つの極大値が観測され得る。通常、メジアン径とモード径との差は比較的小さいため、メジアン径及びモード径の両方がこれら数値範囲内にあることが多い。銅含有粒子が上述の被覆銅粒子であるとき、銅含有粒子のメジアン径及びモード径は、有機被覆層を含む粒子全体の粒径の累積分布におけるメジアン径及びモード径を意味する。
所定のメジアン径又はモード径を有する銅粒子の市販品を用いることができる。被覆銅粒子のメジアン径及びモード径は、例えば、後述する製造方法における原材料の種類、原材料を混合する際の温度、反応時間、反応温度、洗浄工程、洗浄溶媒等の条件を調節することによって、調整することができる。
(A2)第二の銅含有粒子の量に対する(A1)第一の銅含有粒子の量の質量比は、0.25~4.0であってもよい。これにより、導体層のひび割れ抑制の点でより一層顕著な効果が奏される。同様の観点から、A2)第二の銅含有粒子の量に対する(A1)第一の銅含有粒子の量の質量比が、0.30以上であってもよく、2.5以下、又は1.0以下であってもよい。
(B)酸化銅粒子の量に対する(A1)第一の銅含有粒子の量の質量比が、2.0~20であってもよい。第一の銅含有粒子の割合がこの範囲内にあると、基材との密着性がより一層向上した導体層が形成される傾向がある。同様の観点から、(B)酸化銅粒子の量に対する(A1)第一の銅含有粒子の量の質量比が、3.0以上、又は5.0以上であってもよく、15以下、又は10以下であってもよい。
第一の銅含有粒子又は第二の銅含有粒子のうち少なくとも一方が、コア粒子としての銅粒子と有機被覆層とを有する被覆銅粒子であってもよい。被覆銅粒子の詳細については後述される。
<(B)酸化銅粒子>
(B)酸化銅粒子は、主として酸化銅から形成された粒子である。焼結前の酸化銅粒子中の酸化銅の割合は、酸化銅粒子の質量を基準として50~100質量%、60~100質量%以上、又は70~100質量%であってもよい。
(B)酸化銅粒子のメジアン径又はモード径のうち少なくとも一方は、200nm以下である。低温での融着性の観点からは、(B)酸化銅粒子のメジアン径又はモード径のうち少なくとも一方が、100nm以下、70nm以下、又は50nm以下であってもよく、20nm以上であってもよい。(B)酸化銅粒子のメジアン径及びモード径も、(A)銅含有粒子と同様に、光子相関法又はレーザー回折・散乱法によって測定することができる。
<(C)分散媒>
導体形成用組成物に含まれる分散媒は、特に制限されず、導体形成用組成物の用途に応じて、一般に用いられる有機溶媒から1種又は2種以上を選択できる。導体形成組成物の粘度コントロールの観点から、分散媒は、テルピネオール、イソボルニルシクロヘキサノール、ジヒドロターピネオール及びジヒドロターピネオールアセテートからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。これらを含む導体形成用組成物は、印刷法に適した粘度を有し易い。
導体形成用組成物の粘度は特に制限されず、導体形成用組成物の使用方法に応じて選択できる。例えば、導体形成用組成物をスクリーン印刷法に適用する場合、導体形成用組成物の粘度が0.1~30Pa・s、又は1~30Pa・sであってもよい。導体形成用組成物をインクジェット印刷法に適用する場合、導体形成用組成物の粘度が0.1~30mPa・s、又は5~20mPa・sであってもよい。導体形成用組成物の粘度は、E型粘度計(例えば、東機産業株式会社製、製品名:VISCOMETER-TV22、コーンプレート型ロータ:3°×R17.65)を用いて25℃において測定することができる。
導体形成用組成物は、必要に応じて銅含有粒子、酸化銅粒子及び分散媒以外の成分を含んでもよい。このような成分の例としては、シランカップリング剤、高分子化合物、ラジカル開始剤、及び還元剤が挙げられる。(A)銅含有粒子及び(B)酸化銅粒子の合計の含有量は、導体形成用組成物のうち(C)分散媒以外の成分の全量を基準として、80~100質量%、90~100質量%、又は95~100質量%であってもよい。
<被覆銅粒子>
被覆銅粒子は、コア粒子としての銅粒子と有機被覆層とを有する。被覆銅粒子において、コア粒子の表面を覆う有機被覆層の割合は、コア粒子及び有機被覆層の合計質量を基準として0.1~20質量%であってもよい。有機被覆層の割合が0.1質量%以上であると、充分な耐酸化性が得られ易い傾向がある。有機被覆層の割合が20質量%以下であると、被覆銅粒子の低温での融着性がより良好となる傾向にある。同様の観点から、コア粒子及び有機被覆層の合計質量を基準とする有機被覆層の割合は、0.3~10質量%、又は0.5~5質量%であってもよい。
被覆銅粒子は、有機被覆層を有するため、大気中で保存しても銅の酸化が抑制されており、酸化物の含有率が小さい。例えば、ある実施態様では、被覆銅粒子中の酸化物の割合が5質量%以下である。
被覆銅粒子は、例えば、脂肪酸銅、還元性化合物、及び脂肪族アミンを含む混合物を加熱する工程を含む方法によって製造される。この方法は、必要に応じて、加熱工程後の遠心分離、洗浄等の工程を有していてもよい。
上記方法において、脂肪酸銅は、銅前駆体として用いられる。これにより、銅前駆体としてシュウ酸銀等を用いる特許文献1に記載の方法と比較して、より沸点の低い(すなわち、分子量の小さい)脂肪族アミンを反応媒として使用することができる。沸点の低い脂肪族アミンを用いると、得られる被覆銅粒子の有機被覆層が、より熱分解又は揮発し易くなり、それにより、良好な導電性を有する導体をより低温での焼結により形成できると考えられる。
脂肪酸銅を構成する脂肪酸は、RCOOH(Rは直鎖状又は分岐状の炭化水素基を示す。)で表される1価のカルボン酸である。脂肪酸は、飽和脂肪酸又は不飽和脂肪酸のいずれであってもよい。コア粒子を効率的に被覆して酸化を抑制する観点からは、脂肪酸は直鎖状の飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸は1種のみでも、2種以上であってもよい。
脂肪酸の炭素数は、9以下であってもよい。炭素数が9以下である飽和脂肪酸の例としては、酢酸(炭素数2)、プロピオン酸(炭素数3)、酪酸及びイソ酪酸(炭素数4)、吉草酸及びイソ吉草酸(炭素数5)、カプロン酸(炭素数6)、エナント酸及びイソエナント酸(炭素数7)、カプリル酸及びイソカプリル酸及びイソカプロン酸(炭素数8)、並びに、ノナン酸及びイソノナン酸(炭素数9)が挙げられる。炭素数が9以下である不飽和脂肪酸の例としては、上記の飽和脂肪酸の炭化水素基中に1つ以上の二重結合を有するものが挙げられる。
脂肪酸の種類は、被覆銅粒子の分散媒への分散性、融着性等の性質に影響し得る。粒子形状の均一化の観点からは、炭素数が5~9である脂肪酸と、炭素数が4以下である脂肪酸とを併用してもよい。例えば、炭素数が9であるノナン酸と、炭素数が2である酢酸とを併用してもよい。炭素数が5~9である脂肪酸と炭素数が4以下である脂肪酸とを併用する場合のそれらの比率は、特に制限されない。
脂肪酸銅を得る方法は特に制限さず、例えば、水酸化銅と脂肪酸とを溶媒中で反応せせる方法により得てもよい。市販の脂肪酸銅を用いてもよい。あるいは、水酸化銅、脂肪酸及び還元性化合物を溶媒中で混合することで、脂肪酸銅の生成と、脂肪酸銅と還元性化合物との間で形成される錯体の生成とを同じ工程中で行ってもよい。
還元性化合物は、脂肪酸銅と反応して錯体等の複合化合物を形成すると考えられる。還元性化合物が脂肪酸銅中の銅イオンに対する電子のドナーとして機能し、それにより銅イオンが還元され易くなると考えられる。そのため、複合化合物を形成している脂肪酸銅は、複合化合物を形成していない状態の脂肪酸銅の場合と比較して、自発的な熱分解による銅原子の遊離を生じさせ易いと考えられる。
還元性化合物は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。還元性化合物の例としては、ヒドラジン、ヒドラジン誘導体、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、及び抱水ヒドラジン等のヒドラジン化合物;ヒドロキシルアミン、及びヒドロキシルアミン誘導体等のヒドロキシルアミン化合物;並びに、水素化ホウ素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、及び次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム化合物を挙げることができる。
脂肪酸銅の構造を維持した状態で錯体を形成しやすい等の観点から、アミノ基を有する還元性化合物を用いてもよい。アミノ基を有する還元性化合物は、例えば、ヒドラジン及びその誘導体、並びに、ヒドロキシルアミン及びその誘導体から選ばれる化合物であってもよい。これらの還元性化合物は、窒素原子が銅原子との配位結合を形成することにより錯体を形成することができる。これらの還元性化合物は一般に脂肪族アミンと比較して還元力が強いため、生成した錯体が比較的穏和な条件で自発的な分解を生じ、銅原子の還元及び遊離が生じる傾向にある。そのため、脂肪酸銅、還元性化合物及び脂肪族アミンを含む混合物を加熱する工程における加熱温度を、例えば、脂肪族アミンの蒸発又は分解を生じない低い温度(例えば150℃以下)とすることができる。
ヒドラジン誘導体及びヒドロキシルアミン誘導体を用いることにより、脂肪酸銅との反応性を調節して、所望の条件で自発分解を生じる錯体を生成させることができる。ヒドラジン誘導体の例としては、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n-プロピルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、n-ブチルヒドラジン、イソブチルヒドラジン、sec-ブチルヒドラジン、t-ブチルヒドラジン、n-ペンチルヒドラジン、イソペンチルヒドラジン、neo-ペンチルヒドラジン、t-ペンチルヒドラジン、n-ヘキシルヒドラジン、イソヘキシルヒドラジン、n-ヘプチルヒドラジン、n-オクチルヒドラジン、n-ノニルヒドラジン、n-デシルヒドラジン、n-ウンデシルヒドラジン、n-ドデシルヒドラジン、シクロヘキシルヒドラジン、フェニルヒドラジン、4-メチルフェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、2-フェニルエチルヒドラジン、2-ヒドラジノエタノール、及びアセトヒドラジンが挙げられる。ヒドロキシルアミン誘導体の例としては、N,N-ジ(スルホエチル)ヒドロキシルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキシルアミン、及びN,N-ジ(カルボキシエチル)ヒドロキシルアミンが挙げられる。
脂肪酸銅に含まれる銅と還元性化合物の比率は、所望の錯体が形成される条件であれば特に制限されない。例えば、銅:還元性化合物のモル比が1:1~1:4、1:1~1:3、又は1:1~1:2であってもよい。
脂肪族アミンは、脂肪酸銅と還元性化合物とから形成される錯体の分解反応の反応媒として機能すると考えられる。脂肪族アミンは、更に、還元性化合物の還元作用によって生じるプロトンを捕捉し、反応溶液が酸性に傾いて銅原子が酸化されることを抑制すると考えられる。
脂肪族アミンは、RNH(Rは置換基を有していてもよい直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族基を示す。)で表される1級アミン、RNH(R及びRはそれぞれ独立に置換基を有していてもよい直鎖状、分岐状又は環状の脂肪族基を示す。)で表される2級アミン、脂肪族基及びこれを置換する2つのアミノ基を有するアルキレンジアミン、又はこれらの組み合わせであってもよい。脂肪族アミンは、1つ以上の二重結合を含む脂肪族基を有していてもよく、酸素、ケイ素、窒素、イオウ、リン等の原子を含む置換基を有していてもよい。脂肪族アミンは、1種のみであっても2種以上であってもよい。
1級アミンの例としては、エチルアミン、2-エトキシエチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、ペンチルアミン、イソペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オレイルアミン、3-メトキシプロピルアミン、及び3-エトキシプロピルアミンが挙げられる。
2級アミンの例としては、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルペンチルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、及びジヘキシルアミンが挙げられる。
アルキレンジアミンの例としては、エチレンジアミン、N,N-ジメチルエチレンジアミン、N,N’-ジメチルエチレンジアミン、N,N-ジエチルエチレンジアミン、N,N’-ジエチルエチレンジアミン、1,3-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、N,N-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、1,4-ジアミノブタン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン、1,6-ジアミノへキサン、N,N’-ジメチル-1,6-ジアミノへキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、及び1,12-ジアミノドデカンが挙げられる。
脂肪族アミンの脂肪族基の炭素数は、7以下であってもよい。脂肪族アミンの脂肪族基の炭素数が7以下であると、脂肪族アミンが熱分解し易いため、低温での焼結により良好な導電性を有する導体が形成され易い傾向がある。脂肪族アミンの脂肪族基の炭素数は6以下であってもよく、3以上であってもよい。炭素数7以下の脂肪族基を有する脂肪族アミンと、炭素数8以上の脂肪族基を有する脂肪族アミンと併用してもよい。その場合、脂肪族アミン全体に占める炭素数7以下の脂肪族基を有する脂肪族アミンの割合が50質量%以上、60質量%以上、又は70質量%以上であってもよい。
脂肪酸銅に含まれる銅と脂肪族アミンとの比率は、特に制限されない。例えば、銅:脂肪族アミンのモル比が1:1~1:8、1:1~1:6、又は1:1~1:4であってもよい。
脂肪酸銅、還元性化合物及び脂肪族アミンを含む、被覆金属粒子を形成するための混合物は、溶媒を更に含んでもよい。脂肪酸銅と還元性化合物による錯体の形成を促進する観点からは、混合物が極性溶媒を含んでいてもよい。ここで極性溶媒とは、25℃で水に溶解する溶媒を意味する。極性溶媒がアルコールであってもよい。アルコールを用いることで錯体の形成が促進される傾向にある。その理由は明らかではないが、固体である脂肪酸銅を溶解させながら水溶性である還元性化合物との接触が促進されるためと考えられる。溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
25℃で水に溶解するアルコールは、例えば、炭素数が1~8で水酸基を1つ有するアルコールであってもよい。このようなアルコールの例としては、直鎖状のアルキルアルコール、フェノール、2以上の炭化水素基及びこれらを結合するエーテル結合と水酸基とをを有する化合物が挙げられる。より強い極性を発現する観点からは、2以上の水酸基を有するアルコールを用いてもよい。また、イオウ原子、リン原子、ケイ素原子等を含むアルコールを用いてもよい。
アルコールの例としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、ピナコール、プロピレングリコール、メントール、カテコール、ヒドロキノン、サリチルアルコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、スクロース、グルコース、キシリトール、メトキシエタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、及びペンタエチレングリコールが挙げられる。アルコールは、メタノール、エタノール、1-プロパノール及び2-プロパノール、又は、1-プロパノール及び2-プロパノールから選択してもよく、1-プロパノールを選択してもよい。
脂肪酸銅、還元性化合物及び脂肪族アミンを含む混合物を加熱する工程を実施するための方法は特に制限されない。その例としては、脂肪酸銅及び還元性化合物を溶媒と混合し、得られた混合物に脂肪族アミンを更に添加して、混合物を加熱する方法、脂肪酸銅及び脂肪族アミンを溶媒と混合し、得られた混合物に還元性化合物を更に添加して、混合物を加熱する方法、水酸化銅、脂肪酸、還元性化合物及び脂肪族アミンを溶媒と混合し、得られた混合物を加熱する方法が挙げられる。
加熱温度は、例えば、150℃以下、130℃以下、又は100℃以下であってもよい。炭素数が9以下である脂肪酸銅を用いることにより、比較的低温で被覆金属粒子を形成することができる。
<導体層、及び導体層を有する物品>
図1は、導体層を有する物品の一実施形態を示す斜視図である。図1に示される物品1は、基材2と、基材2上に設けられた導体層3とを備える。導体層3は、上述の実施形態に係る導体形成用組成物の焼結体である。焼結体、すなわち導体層3は、導体形成用組成物に含まれていた銅含有粒子が融着した構造を有する。導体層3は、基材2上に、他の層を介さず直接設けられていてもよい。
基材2は、三次元形状を有する成形体である。導体層3は、電気回路を構成する配線パターンを形成するように形成されている。すなわち、図1に示される物品1は、成形回路部品(MID)の一例であるといえる。導体層3は、基材2の三次元形状を有する面上で線状に延在する部分を含む。基材2は、図示される形状に限定されず、成形回路部品の用途等に応じて任意の三次元形状を有することができる。基材2は、絶縁性基材であっても、導電性基材であってもよい。
基材2は、樹脂成形体であってもよい。上述の導体形成用組成物は低温の焼結で導体層を形成できるため、基材2が比較的耐熱性の低い樹脂成形体であっても、導体層を容易に形成することができる。
例えば、基材2としての樹脂成形体のガラス転移温度が、150℃以下、120℃以下、又は80℃以下であってよく、30℃以上であってもよい。樹脂成形体のガラス転移温度は、動的粘弾性測定によって測定される。ガラス転移温度は、例えば、動的粘弾性測定装置を用い、周波数10Hz、昇温速度5℃/分、温度範囲20~260℃の条件で昇温しながら樹脂成形体の動的粘弾性を測定したときに、tanδが最大値を示す温度である。
基材2としての樹脂成形体の5%熱重量減少温度が、400℃以下、300℃以下、250℃以下、又は200℃以下であってよい。樹脂成形体の5%熱重量減少温度は、熱重量分析計(TGA)を用いて、窒素雰囲気下で、25℃から昇温速度:5℃/分で昇温させたときに、樹脂成形体の重量が、25℃における(昇温前の)樹脂成形体の重量に対して5重量%減少したときの温度として定義される。
上記のようなガラス転移温度及び/又は5%熱重量減少温度を有する樹脂成形体を形成する樹脂は、熱可塑性樹脂であってよい。その例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、並びにポリエチレンテレフタレートが挙げられる。樹脂成形体は特に、ポリカーボネート又はポリエチレンテレフタレートを含んでいてもよい。
あるいは、基材2は、金属、金属化合物、半導体(Si等)、カーボン材料、ガラス、紙、又はこれらの組み合わせを含む成形体であってもよく、これらと樹脂との組み合わせを含む成形体であってもよい。基材2を形成する金属の例としては、Cu、Au、Pt、Pd、Ag、Zn、Ni、Co、Fe、Al、及びSn等の金属、並びにこれら金属の合金が挙げられる。金属化合物の例としてはITO、ZnO、及びSnOが挙げられる。カーボン材料の例としては、黒鉛、及びグラファイトが挙げられる。
導体層3の体積抵抗率は、通常、300μΩ・cm以下であり、75μΩ・cm以下、50μΩ・cm以下、30μΩ・cm以下、又は20μΩ・cm以下であってよい。導体層3の体積低効率の下限は、特に制限されないが、通常、2μΩ・cm程度である。
導体層3の厚さは、1.0μm以上、2.0μm以上、3.0μm以上、4.0μm以上、5.0μm以上、7.0μm以上、又は10.0μm以上であってもよい。導体層3の厚みの上限は、特に制限されないが、通常、100μm程度である。
導体層3における銅の含有量が、導体層3の質量を基準として90質量%以上100質量%以下であってもよい。厚い導体層において銅の含有量が大きいと、導体層のひび割れが生じ易い傾向があるが、上述の実施形態に係る導体形成用組成物を用いることにより、ひび割れの発生を抑制することができる。
導体層3の幅は、1mm以下、0.7mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、0.3mm以下、又は0.2mm以下であってもよく、0.01mm以上であってもよい。
導体層を有する物品1は、例えば、基材2を準備する工程と、導体形成用組成物の膜を基材2上に形成する工程と、導体形成用組成物の膜を焼結することにより、銅を含有する導体層3を形成する工程とを含む方法により、製造することができる。
基材2は、例えば、熱可塑性樹脂組成物等の成形材料を用いた通常の成形方法によって得ることができる。
基材2の三次元形状の起伏を形成している面2a上に、導体層3の配線パターンに対応したパターンが形成されるように、導体形成用組成物の膜が印刷法等の方法により形成される。非接触型の印刷法により、導体形成用組成物の膜を形成してもよい。非接触型の印刷法の場合、基材2から離間した吐出部から導体形成用組成物が吐出される。非接触型の印刷法は、例えば、ジェットディスペンサー、エアロゾルジェット、又はピエゾジェットディスペンサーを用いて行うことができる。
続いて、基材2上の導体形成用組成物の膜を加熱して、これを焼結し、導体層3としての焼結体を形成させる。導体形成用組成物の焼結により、有機物が熱分解し、かつ、銅含有粒子同士が融着して、それにより導体形成用組成物が導体化する。焼結のための加熱温度は、例えば、250℃以下、200℃以下、又は150℃以下であってもよい。このような低温での焼結であれば、基材2の耐熱性が高くない場合であっても、基材2の損傷を伴わずに導体層3を形成することができる。焼結のための加熱温度は、通常、100℃以上である。
焼結のための加熱温度は、一定でも、規則的又は不規則に変化してもよい。加熱の時間は特に制限されず、加熱温度、加熱雰囲気、銅含有粒子の量等を考慮して選択できる。加熱方法は、特に制限されないが、例えば、熱板、赤外ヒータ、又はパルスレーザによる加熱であってもよい。
導体形成用組成物の膜が加熱される雰囲気は、特に制限されないが、窒素、アルゴン等を含む不活性雰囲気であってもよく、水素、ギ酸等の還元性物質を含む還元雰囲気であってもよい。導体形成用組成物の膜を還元雰囲気下で加熱することにより、酸化銅粒子から金属銅が形成され易い。特にギ酸を含む還元雰囲気下での加熱により、基材に対する密着性がより一層向上した導体層を形成することができる。圧力は特に制限されないが、減圧雰囲気で導体形成用組成物の膜を加熱することでより、低温での導体化が促進される傾向がある。
導体層を有する物品を製造する方法は、必要に応じてその他の工程を更に有していてもよい。その他の工程としては、導体形成用組成物の膜の焼結のための加熱の前に、導体形成組成物中の揮発成分の少なくとも一部を除去する工程、導体形成用組成物を焼結した後、形成された導体層を還元雰囲気下で更に加熱して、導体層に含まれる酸化銅を還元する工程、導体層の光焼成により、導体層中の残存成分を除去する工程、及び、導体層に対して荷重を印加する工程等が挙げられる。
図2に示されるように、基材2上に電子部品4を実装して、基材2、導体層3及び電子部品4を備える物品11を得てもよい。電子部品4は、例えばはんだを介して導体層3と電気的に接続される。電子部品4は、例えば、LEDチップ、又はICチップであってよい。
基材2及び導体層3を備える物品1、並びに、電子部品4を更に備える物品11は、電子機器、家電製品、産業用機械、及び輸送用機械等の各種機器を構成する電子部品であることができる。例えば、これら物品を、スマートフォンアンテナ、車載用配線、積層板、太陽電池パネル、ディスプレイ、トランジスタ、半導体パッケージ、積層セラミックコンデンサを構成する電子部品として使用できる。これら用途において、導体層を、電気配線の他、放熱膜、表面被覆膜等として利用することもできる。特に、基材が樹脂成形体である場合、導体層を有する物品をフレキシブルな積層板、太陽電池パネル又はディスプレイに容易に適用できる。
導体層、及びこれを有する物品の態様は、以上説明した態様に限られるものではなく、適宜変更が可能である。例えば、導体層が基材の表面を覆う被膜としての薄膜であってもよい。導体層を、電解めっき又は無電解めっきのためのめっきシード層として用いてめっき膜を形成し、導体層及びめっき膜から構成される導体を種々の用途に用いてもよい。また、導体層が、通電を目的としない装飾、印字等を目的とした層であってもよい。基材が、板状、棒状、ロール状、又はフィルム状等の形状を有していてもよい。
以下、本発明について実施例をもとに説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
1.メジアン径
各銅粒子及び酸化銅粒子の粒径を、サブミクロン粒子アナライザN5 PLUS(ベックマンコールター製)を用いて光子相関法により測定し、得られた粒径の累積分布から、メジアン径を算出した。
2.銅粒子及び酸化銅粒子
三井金属鉱業株式会社製の以下の型番の銅粒子を準備した。
・CH-0200(球形銅粒子、メジアン径:0.34μm)
・1050YF(扁平状銅粒子、メジアン径:1.4μm)
シーアイ化成株式会社製の以下の型番の酸化銅粒子を準備した。
・CuO25(メジアン径:25nm)
・CuO42(メジアン径:42nm)
・CuO80(メジアン径:80nm)
・CuO126(メジアン径:126nm)
・CuO330(メジアン径:330nm)
福田金属箔粉工業株式会社製の以下の型番の銅粒子を準備した。
・SFCP-10AX(メジアン径:10nm)
3.銅ペースト(導体形成用組成物)
銅粒子及び酸化銅粒子を、表1に示す組み合わせ及び配合比率で混合し、銅粒子及び酸化銅粒子の合計濃度が混合物の全量を基準として68質量%になるようにテルピネオールを添加した。得られた混合物を混練及び脱泡することにより、実施例及び比較例の銅ペーストを得た。2種の銅粒子の質量比は、CH-0200:1050YF=7:3とした。表中、「(A)/(B)」は、(B)酸化銅粒子の量に対する(A)銅粒子の量(CH-0200と1050YFの合計量)の質量比であり、「(A1)/(B)」は、(B)酸化銅粒子の量に対する(A1)球状銅粒子(CH-0200)の量の質量比である。
4.導体層の形成とその評価
得られた銅ペーストを、ジェットディスペンサー(武蔵エンジニアリング製:SUPER JET)によって液晶ポリマー基板に印刷して、幅2mmの銅ペーストの膜を形成した。銅ペーストの膜上に1mm角の銅チップ(厚さ0.5mm)を置き、その状態でギ酸雰囲気下、225℃で60分加熱することにより銅ペーストの膜を焼結して、銅チップが固定された導体層を有するシェア強度測定用の試験片を得た。
得られた試験片のシェア強度を、万能ボンドテスタ(Dage社製、シリーズ4000)を用いて測定した。シェア強度の測定値に基づいて、以下の基準で導体層の液晶ポリマー基材に対する密着性を判定した。評価結果を表1に示す。
A:8MPaを超える
B:4MPa以上8MPa以下
C:4MPa未満
Figure 0007172224000001
銅含有粒子と、メジアン径が200nm以下である酸化銅粒子とを含有する導体形成用組成物を用いることにより、基材との密着性が改善された導体層を形成できることが確認された。
1,11…導体層を有する物品、2…基材、3…導体層、4…電子部品。

Claims (6)

  1. (A)銅含有粒子と、
    (B)メジアン径又はモード径が20nm以上200nm以下である酸化銅粒子と、
    (C)分散媒と、
    を含有
    (A)銅含有粒子が、(A1)球状の第一の銅含有粒子と、(A2)扁平状の第二の銅含有粒子と、を含み、
    (B)酸化銅粒子の量に対する(A1)第一の銅含有粒子の量の質量比が2.0~20である、
    導体形成用組成物。
  2. (B)酸化銅粒子の量に対する(A)銅含有粒子の量の質量比が2.5~30である、請求項1に記載の導体形成用組成物。
  3. (A2)第二の銅含有粒子の量に対する(A1)第一の銅含有粒子の量の質量比が0.25~4.0である、請求項又はに記載の導体形成用組成物。
  4. 請求項1~のいずれか一項に記載の導体形成用組成物の膜を基材上に形成する工程と、
    前記導体形成用組成物の膜を焼結することにより、銅を含有する導体層を形成する工程と、
    を備える、導体層を有する物品を製造する方法。
  5. 前記導体形成用組成物の膜が、還元雰囲気下での加熱により焼結される、請求項に記載の方法。
  6. 前記基材が三次元形状を有する成形体であり、前記導体層が配線パターンを形成するように形成される、請求項又はに記載の方法。
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