JP7168385B2 - 止血器具 - Google Patents

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Description

本発明は、止血器具に関する。
カテーテル手技の1つとして、患者の腕の血管(例えば、橈骨動脈)を穿刺し、患者の腕の血管に形成した穿刺部位を介して各種の医療用長尺体を血管内に挿入し、病変部位に対する処置や治療を行う手技が知られている(下記特許文献1を参照)。橈骨動脈を利用するカテーテル手技は、経橈骨動脈アプローチと呼ばれており、例えば、冠動脈アクセスや下肢動脈アクセスのための有用な技術として考えられている。
人体の腕に位置する橈骨動脈は、手側を迂回する手掌動脈とつながっている。そのため、現在、経橈骨動脈アプローチの新しい手法として、手の甲側に位置する解剖学上のスナッフボックス、又は、スナッフボックス周辺の位置から手掌動脈(遠位橈骨動脈を含む)にアクセスし、その血管アクセス部位を介して治療を行うdTRA(distal transradial approach)によるカテーテル手技が試みられている。
特開2008-119517号公報
例えば、カテーテル手技後、医師等の術者(以下、「術者」とする)が手に位置する手掌動脈の穿刺部位を止血する際、既存の腕用や脚用の止血器具を使用した場合、患者の手に止血器具のサイズが合わないことにより、穿刺部位を適切に押圧することができないことがある。また、手掌動脈は、手の親指付近の骨や手の腱が細かく走行する部分に位置する。このような手の部分では、手の外表面は、凹凸部を含む複雑な形状を有する。そのため、既存の腕用や脚用の止血器具は、圧迫力を付与するための押圧部材を穿刺部位に配置した際、手の外表面と押圧部材との間に隙間が生じ易い。したがって、術者は、上記の止血器具を使用した場合、効果的な圧迫止血を行うことが難しくなる。
そこで本発明は、患者の手に形成した止血すべき部位を効果的に圧迫止血することができる止血器具を提供することを目的とする。
本発明に係る止血器具は、患者の手の外表面を被覆する被覆部材と、前記被覆部材に接続可能である押圧部材と、を備え、前記被覆部材は、前記患者の手の外表面を覆う被覆部と、前記患者の指に配置される装着部と、前記被覆部に位置し、前記患者の前記手の外表面の一部を露出させる孔部と、前記孔部の周囲に配置され、前記押圧部材を接続可能である固定部と、を有し、前記押圧部材は、前記孔部が前記手に形成された止血すべき部位を露出させた状態で、前記孔部を覆うように前記固定部に接続可能であり、前記押圧部材は、前記押圧部材と前記固定部とが接続した状態で、前記止血すべき部位を押圧するように前記孔部を挿通する方向に移動可能であり、前記被覆部材は、前記患者の前記手の外表面に前記被覆部材を配置した状態で、前記手を挟んで前記孔部と対向する対面側に、前記被覆部材よりも硬い材料で形成された支持部材を有する。
本発明に係る止血器具によれば、患者の手に形成した止血すべき部位に対して押圧部材が圧迫力を付与する際、患者の指に配置した装着部が止血器具の患者の手に対する位置ずれを防止する。そのため、上記の止血器具は、患者が手や指を動かした場合であっても、止血器具と患者の手の外表面との間に隙間が生じることを防止し、孔部が止血すべき部位に配置された状態を維持できる。また、上記の止血器具は、押圧部材が被覆部材と分離した別体であるため、術者が目視により孔部が止血すべき部位に配置された状態を確認した後、被覆部材の孔部に押圧部材を接続できる。したがって、上記の止血器具は、被覆部材の孔部が止血すべき部位に配置された状態を維持しつつ、孔部に位置する止血すべき部位を確実に圧迫することができる。また、上記の止血器具は、被覆部材の孔部が患者の手に形成された止血すべき部位を露出させた状態で、押圧部材が孔部を覆いつつ、孔部を挿通する方向に移動することにより、止血すべき部位を圧迫する。そのため、上記の止血器具は、患者の手に形成した止血すべき部位を押圧部材により局所的に圧迫することができるため、効果的に圧迫止血することができる。
第1実施形態に係る止血器具の被覆部材を患者の手に装着した際の様子を示す斜視図である。 第1実施形態に係る止血器具の押圧部材と固定部を拡大して示す斜視図である。 第1実施形態に係る止血器具の被覆部材及び押圧部材を患者の手に装着した際の様子を示す斜視図である。 第1実施形態に係る止血器具が装着された患者の手を掌側から見た平面図である。 図3に示す矢印5-5線に沿う部分断面図である。 第2実施形態に係る止血器具の被覆部材を患者の手に装着した際の様子を示す斜視図である。 第2実施形態に係る止血器具の押圧部材と固定部を拡大して示す斜視図である。 第3実施形態に係る止血器具の被覆部材を患者の手に装着した際の様子を示す斜視図である。 第3実施形態に係る止血器具の押圧部材と固定部を拡大して示す斜視図である。 第3実施形態に係る止血器具の被覆部材及び押圧部材を患者の手に装着した際の様子を示す斜視図である。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、以下の記載は特許請求の範囲に記載される技術的範囲や用語の意義を限定するものではない。また、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
(第1実施形態)
図1~図5は、第1実施形態に係る止血器具100の各部の構成とともに、止血器具100の使用例を示す図である。
止血器具100は、例えば、図3、図5に示すように、患者の前腕部Aよりも手指側に位置する手H(例えば、左手)の甲Hb側を走行する手掌動脈(深掌動脈)Bの橈骨動脈側(例えば、解剖学上のスナッフボックス周辺の動脈、又は、スナッフボックスよりも指先側を走行する遠位橈骨動脈)に形成された穿刺部位t(「止血すべき部位」に相当する)に留置していたイントロデューサー400(「医療デバイス」に相当する)のシースチューブ410を抜去する際、その穿刺部位tを止血するために使用することができる。なお、解剖学上のスナッフボックスは、患者が手Hの親指f1を広げた際に前腕部Aの橈骨側に位置する手の空洞である。
止血器具100は、概説すると、図1~図3に示すように、患者の手Hの外表面を被覆する被覆部材110と、被覆部材110に接続可能である押圧部材150と、を有している。
本明細書の説明において、被覆部材110の先端側とは、止血器具100を患者の手Hに装着した際、各指f1~f5の指先が配置される側を意味する。また、被覆部材110の基端側とは、止血器具100を患者の手Hに装着した際、前腕部A(手首)が配置される側を意味する。なお、図4において被覆部材110の先端側は図中の上側であり、被覆部材110の基端側は図中の下側である。
本明細書の各図面では、患者の手Hの親指は符号f1で示し、患者の手Hの人差し指は符号f2で示し、患者の手Hの中指は符号f3で示し、患者の手Hの薬指は符号f4で示し、患者の手Hの小指は符号f5で示す。また、親指f1と人差し指f2との間に位置する指間部(指間みずかき部)は符号fbで示す。
<被覆部材>
図1、図2に示すように、被覆部材110は、患者の手Hの外表面を覆う被覆部127と、患者の親指f1に配置される装着部130と、被覆部127に位置し、患者の手Hの外表面の一部を露出させる複数の孔部121a、121bと、を備える本体部120と、各孔部121a、121bの周囲に配置され、押圧部材150を接続可能である複数の固定部123a、123bと、を有している。
被覆部材110の本体部120において、被覆部127と装着部130は一体的に繋がっている。また、各孔部121a、121bは、被覆部127に位置し、被覆部127を貫通している。
以下の説明では、被覆部127に位置する孔部121aを第1孔部とし、第1孔部121aの周囲に配置された固定部123aを第1固定部とする。また、被覆部127に位置する孔部121bを第2孔部とし、第2孔部121bの周囲に配置された固定部123bを第2固定部とする。なお、第1孔部121aと第2孔部121bは実質的に同一の構成を有し、第1固定部123aと第2固定部123bは実質的に同一の構成を有する。そのため、第2孔部121b及び第2固定部123bの説明において、第1孔部121a及び第1固定部123aと重複する内容については、その説明を適宜省略する。
被覆部127は、図3、図4に示すように、被覆部材110を患者の手Hに装着した状態(以下、「装着状態」とも記載する)において、患者の手Hの甲Hbの一部、患者の手Hの掌Hpの一部、及び患者の手首を包む袋体で形成している。
被覆部127は、装着状態において、被覆部材110の先端側へ人差し指f2、中指f3、薬指f4、小指f5の各指を突出させる先端開口部127aと、被覆部材110の基端側へ前腕部Aを突出させる基端開口部127bと、を有している。
装着部130は、親指f1の根本付近から親指f1の指先側の一定の範囲を覆うように配置される。装着部130には、被覆部材110の先端側へ親指f1の指先を突出させる先端開口部130aが形成されている。
上記のように、止血器具100は、装着状態において、被覆部127の先端開口部127aを介して各指f2、f3、f4、f5を被覆部材110の先端側へ突出させることができ、かつ、装着部130の先端開口部130aを介して親指f1の指先を被覆部材110の先端側へ突出させることができる。そのため、患者は、穿刺部位tが圧迫止血されている間においても、各指f1、f2、f3、f4、f5の各々を独立して可動させることができる。それにより、止血器具100は、圧迫止血がなされている間、患者が各指f1、f2、f3、f4、f5を可動させることができないことにより受けるストレスを軽減できる。
被覆部材110が備える被覆部127は、装着状態において、手Hの甲Hbの一部及び手Hの掌Hpの一部を少なくとも覆うように構成されている限り、具体的な形状や大きさは限定されない。ただし、被覆部127は、装着状態における被覆部材110の手Hに対する固定力を向上させる観点より、手Hの甲Hb及び手Hの掌Hpとともに、手根部の周辺部及び手首の一部を覆うことが可能な形状及び大きさで形成されていることが好ましい。
また、被覆部材110が備える装着部130は、各指f1~f5の中の任意の指の少なくとも一部を覆うように構成されている限り、具体的な形状や大きさは限定されない。例えば、装着部130は、親指f1全体を覆うような構造を有していてもよいし、親指f1以外の任意の指の一部もしくは全体を覆うような構造を有していてもよい。
被覆部材110は、図3に示すように、装着状態において親指f1と人差し指f2の間の指間部fbを覆うように配置される引掛部128を有している。引掛部128は、被覆部127及び装着部130と一体的に繋がっている。
被覆部材110は、装着状態において、被覆部127が手Hの外周に沿って甲Hb及び掌Hpを覆うように配置され、装着部130が親指f1の外周に沿って親指f1の一部を覆うように配置される。そして、引掛部128が手Hの指間部fbを覆うように配置される。このように、被覆部材110は、被覆部127、装着部130、引掛部128を介して手Hに対して固定(保持)される。
図1、図3に示すように、第1孔部121a及び第2孔部121bは、装着状態において、患者の手Hの甲Hbの外表面の一部を露出させるように構成している。
第1孔部121aは、親指f1の指先側へ延びる腱(短母伸筋腱)を基準にして、スナッフボックスが位置する手Hの甲Hbの外側と反対側の手Hの甲Hbの中心側に配置している。また、第1孔部121aは、第2孔部121bよりも手Hの先端側に配置している。第2孔部121bは、スナッフボックスに配置している。
第1孔部121a及び第2孔部121bは、円形の平面形状(平面視した際の形状)を有する。第1孔部121a及び第2孔部121bは、装着状態において、図1に示すように手Hの甲Hbの外表面の一部を囲む。そのため、第1孔部121a及び第2孔部121bは、被覆部材110の外部に、手Hの甲Hbの外表面の一部を露出させる。なお、各図では、各孔部121a、121bにより被覆部材110の外部に露出された手Hの甲Hbの外表面の一部を符号Sで示す。
なお、被覆部材110に設けられる孔部の個数、平面形状、孔部が露出する手の外表面の面積等は特に限定されない。
第1固定部123a及び第2固定部123bは、被覆部127から分離することができないように、被覆部127と一体的に構成している。図5に示すように、第1固定部123aは、第1孔部121aを形成しつつ、第1孔部121aを囲む被覆部127に固定している。同様に、第2固定部123bは、第2孔部121bを形成しつつ、第2孔部121bを囲む被覆部127に固定している。
図2に示すように、第1固定部123aは、中空なリング状の外形形状を有している。第1固定部123aの内周面にはネジ溝124が形成されている。ネジ溝124は、第1固定部123aに対して押圧部材150を接続するために用いられる。
第1固定部123aは、第1孔部121aと略同一の平面形状を有している。本実施形態では、第1孔部121aが円形の平面形状を有するため、第1固定部123aも円形の平面形状を有している。
被覆部材110の本体部120は、図4、図5に示すように、患者の手Hの外表面に被覆部材110を配置した状態で、手Hを挟んで第1孔部121a及び第2孔部121bと対向する対面側に、被覆部材110よりも硬い材料で形成された支持部材160を有している。
図3、図5に示すように、第1孔部121aは、被覆部材110の本体部120において、患者の手Hの甲Hbに対向する部分120aに形成している。図5に示すように、支持部材160は、被覆部材110の本体部120の内面において、患者の手Hの掌Hpに対向する部分120bに配置している。
支持部材160は、押圧部材150が手Hの甲Hbの外表面側から穿刺部位tに対して圧迫力を付与する際、手Hの掌Hp側で手Hを支持する。これにより、止血器具100は、押圧部材150と支持部材160とにより手Hを挟み込んだ状態で穿刺部位tを圧迫止血することができる。そのため、押圧部材150が穿刺部位tに付与する圧迫力を高めることができる。
支持部材160の平面形状は特に限定されないが、図4に示すように、例えば、楕円形状に形成することができる。また、支持部材160の厚み(図5の上下方向の寸法)は、支持部材160により、押圧部材150の圧迫方向と反対側から患者の手Hを支持して、押圧部材150が手Hの穿刺部位tに付与する圧迫力を高めることが可能な限り特に限定されない。また、支持部材160を配置する位置は、支持部材160が少なくとも第1孔部121a及び第2孔部121bと図4に示す平面視上においてに重なる限り、特に限定されない。
被覆部材110(被覆部材110の被覆部127及び装着部130)を形成する材料は特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)等の樹脂材料が挙げられる。また、被覆部材110を形成する材料は、織布、編布又は不織布等の布帛を使用してもよい。例えば、布帛は、天然繊維や樹脂材料を加工した化学繊維、又は、これらの繊維からなるフィラメント糸、紡績糸、混紡糸、撚糸、加工糸より構成することができる。化学繊維には、例えば、ポリアミド系合成樹脂、ポリエステル系合成樹脂、ポリウレタン系合成樹脂、ポリアクリルニトリル系合成樹脂、ポリオレフィン系合成樹脂、セルロース系繊維等を採用することができる。なお、被覆部材110は、装着状態において、患者の手Hに対する固定力を高めるために、患者の手Hの外表面に密着するように変形することが可能な樹脂材料で形成することが好ましい。そのような材料としては、例えば、シリコーンやウレタン等を用いることができる。
支持部材160は、被覆部材110よりも硬い材料で形成することができる。支持部材160を構成する材料としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、その他の硬質プラスチック、金属材料等を挙げることができる。
各固定部123a、123bを形成する材料は特に限定されないが、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)のようなポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリ塩化ビニリデン、シリコーン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等の各種熱可塑性エラストマー、あるいはこれらを任意に組み合わせたもの(ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等)等の樹脂材料が挙げられる。
<押圧部材>
図3、図5に示すように、押圧部材150は、第1孔部121a(又は第2孔部121b)が患者の手Hに形成された穿刺部位tを囲み、かつ、押圧部材150が第1固定部123a(又は第2固定部123b)に接続された状態で、第1孔部121a(又は第2孔部121b)を覆いつつ、第1孔部121a(又は第2孔部121b)を挿通する方向(図1の上下方向)に移動できるように構成している。これにより、押圧部材150は、第1孔部121a(又は第2孔部121b)が囲む穿刺部位tを押圧できる。
本実施形態では、押圧部材150は、被覆部127に形成された複数の孔部121a、121bのうち任意の孔部の周囲に配置された固定部123a、l23bに対して接続可能である。つまり、押圧部材150は、第1孔部121aの周囲に配置された第1固定部123a及び第2孔部121bの周囲に配置された第2固定部123bの両方に対して接続することができる。
押圧部材150は、図2、図5に示すように穿刺部位tを押圧する押圧部151と、押圧部材150が第1固定部123aに接続された状態で第1孔部121aに垂直な方向(押圧部材150の中心軸c1に平行な方向)に移動可能なシャフト部153と、シャフト部153において押圧部151と反対側に設けられた把持部155と、を有している。
押圧部151は、シャフト部153の一端部(図5の下側の端部)に配置している。シャフト部153の一端部には、シャフト部153に押圧部151を接続するための挿入部153a及び頭部153bが設けられている。把持部155は、シャフト部153の他端部(図5の上側の端部)に配置している。
押圧部151は、シャフト部153とは別体で構成している。押圧部151は、図5に示すように、シャフト部153の挿入部153aが挿通される挿通孔151aと、シャフト部153の頭部153bが収容される収容部151bと、を有している。
シャフト部153は、図5に示すように、挿入部153aよりもシャフト部153の他端部側の外周面に形成されたネジ溝を備えている。シャフト部153に形成されたネジ溝は、第1固定部123aの内周面に形成されたネジ溝124と螺合可能に構成している。
第1固定部123aのネジ溝124は、例えば、雌ねじで構成することができる。シャフト部153のネジ溝は、例えば、雄ねじで構成することができる。なお、第1固定部123aのネジ溝124を雄ねじで構成し、シャフト部153のネジ溝を雌ねじで構成してもよい。
把持部155は、押圧部材150により穿刺部位tを圧迫止血する際、術者が手指で把持するための持ち手として利用することができる。把持部155は、シャフト部153とは別体で構成している。
術者は、押圧部材150を利用して穿刺部位tを圧迫止血する際、下記のような作業を行う。
術者は、把持部155を把持して、シャフト部153を一方の回転方向(例えば、時計周り)に回転させる。術者がシャフト部153を回転させると、シャフト部153が第1固定部123aのネジ溝124に沿って回転しつつ、患者の手Hの甲Hbの外表面に接近する。シャフト部153が患者の手Hの甲Hbの外表面に接近し、シャフト部153の一端部に配置された押圧部151が患者の手Hの甲Hbに形成された穿刺部位tに接触すると、押圧部材150による圧迫止血が開始される。術者は、押圧部151が患者の手Hの甲Hbに形成された穿刺部位tに接触した状態で、シャフト部153を回転させて、押圧部151を患者の手Hの甲Hbの外表面側へさらに移動させることにより、穿刺部位tに対してより大きな圧迫力を付与することができる。このように、術者は、シャフト部153を回転させる簡単な作業により、押圧部材150による穿刺部位tに対する圧迫止血を開始することができる。
術者は、穿刺部位tに対する圧迫力を弱める場合、シャフト部153を他方の回転方向(例えば、反時計周り)に回転させる。術者がシャフト部153を他方の回転方向に回転させると、シャフト部153の一端部に配置された押圧部151が患者の手Hの甲Hbの外表面から離間する方向へ移動する。押圧部材150は、押圧部151が患者の手Hの甲Hbの外表面から離間する方向へ移動することにより、押圧部151が穿刺部位tに対して付与する圧迫力を低下させることができる。
本実施形態では、押圧部151は、シャフト部153の回転が押圧部151へ伝達しないように、シャフト部153に接続されている。図5に示すように、押圧部151の挿通孔151aは、シャフト部153の挿入部153aよりも大きな幅(図5の左右方向の寸法)を有している。また、押圧部151の収容部151bは、シャフト部153の頭部153bよりも大きな幅を有している。そのため、押圧部151の挿通孔151aにシャフト部153の挿入部153aを挿通させ、かつ、押圧部151の収容部151bにシャフト部153の頭部153bを挿通させた状態において、挿入部153aと押圧部151との間、及び、頭部153bと押圧部151との間には、隙間が形成される。押圧部151は、上記の隙間が形成されることにより、シャフト部153が回転する際、押圧部151とシャフト部153との間で摩擦が生じることを防止できる。そのため、術者は、シャフト部153が回転する際、シャフト部153の回転が押圧部151に伝達されることを抑制でき、シャフト部153の回転に同伴して押圧部151が回転することを抑制できる。
押圧部材150は、押圧部材150が第1固定部123a(又は第2固定部123b)に接続された状態で、押圧部材150の穿刺部位tに重ねて配置される部分が透明に構成されている。このように押圧部材150を構成することにより、術者は、押圧部材150を第1固定部123aに接続した状態において、押圧部材150の上方側(把持部155が配置された側)から押圧部材150を覗き込むことにより、押圧部材150を介して穿刺部位tの位置及び状態を目視により確認することが可能となる。
本実施形態では、図5に示すように、押圧部材150は、押圧部151、シャフト部153、把持部155により構成されている。そのため、押圧部材150を第1固定部123aに接続した状態において、術者が押圧部材150の上方側から穿刺部位tを目視により確認することが可能となるようにするために、押圧部151、シャフト部153、把持部155において、押圧部材150の中心軸c1と軸方向に重なる部分及び押圧部材150の中心軸c1の周囲(平面視上の周囲)の部分を透明に構成している。
なお、押圧部材150において透明に構成する部分の範囲は、術者が押圧部材150を介して穿刺部位tを覗き込んだ際、穿刺部位tを目視により確認することが可能である限り特に限定されない。また、押圧部材150は、上記のように穿刺部位tを目視により確認可能であれば透明に限定されることはなく、例えば、半透明であってもよい。
押圧部151は、例えば、樹脂等の弾性変形可能な材料で構成することができる。押圧部151が樹脂等の弾性変形可能な材料で構成されることにより、押圧部151が患者の手Hの甲Hbの外表面に接触して穿刺部位tを圧迫する際、患者に掛かる負担を軽減することができる。また、押圧部151を弾性変形可能な材料で構成することにより、シャフト部153の頭部153bに押圧部151を取り付ける際、押圧部151を変形させて、押圧部151の挿通孔151aに頭部153bを挿通させることができる。そのため、押圧部151の収容部151b内にシャフト部153の頭部153bを容易に挿入することが可能になる。なお、押圧部151の形状は、穿刺部位tに対して効果的に圧迫力を付与でき、かつ、圧迫止血の最中に患者に対して過剰な負担が掛からないようにするために、例えば、穿刺部位tと接触する側に位置する先端部が丸みを帯びた湾曲形状を有することが好ましい(図5を参照)。
押圧部材150(押圧部151、シャフト部153、把持部155)を構成する材料は特に限定されないが、例えば、本実施形態のように押圧部材150の一部が透明又は半透明で構成される場合、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、メタクリル酸エチルグラフト重合体(MG)等の公知の樹脂材料を用いることができる。なお、押圧部材150が透明又は半透明な部分を備えるように形成されない場合、例えば、押圧部材150のシャフト部153及び把持部155は公知の金属材料で構成してもよい。このように構成する場合においても、押圧部151は、患者の身体への圧迫止血時の負担を考慮して、弾性変形可能な樹脂材料で形成することが好ましい。
次に、止血器具100の使用例を説明する。以下では、穿刺部位tが形成された患者の手(左手)Hへの止血器具100の装着手順例及び止血手順例を説明する。
術者は、患者の手Hの甲Hbに穿刺部位tを形成する前に、患者の手Hに被覆部材110を装着させる。具体的には、術者は、被覆部127の基端開口部127bを介して各指f1~f5を被覆部材110の内部に挿入する。次に、術者は、被覆部127の先端開口部127aを介して患者の各指f2~f5を被覆部材110の先端側へ突出させる。また、術者は、装着部130の先端開口部130aを介して被覆部材110の先端側へ親指f1を突出させる。術者は、上記のように各指f1~f5を被覆部材110の先端側へ突出させるとともに、患者の手Hの親指f1と人差し指f2の間の指間部fbに引掛部128を配置する。
次に、術者は、図1に示すように、第1孔部121a又は第2孔部121bを介して被覆部材110の外部に露出する手Hの甲Hbの外表面に穿刺部位tを形成し、穿刺部位tを介して手掌動脈B(図5を参照)にイントロデューサー400のシースチューブ410を挿入する。図示例では、第1孔部121aを介して被覆部材110の外部に露出する手Hの甲Hbの外表面に穿刺部位tを形成している。なお、術者は、第2孔部121bを介して被覆部材110の外部に露出する手Hの甲Hbの外表面に穿刺部位tを形成してもよい。
術者は、イントロデューサー400を使用して治療デバイス(例えば、バルーンカテーテル等のカテーテルデバイス)を患者の処置対象部位まで送達し、各種の処置を実施する。術者は、治療デバイスを使用した処置を実施した後、治療デバイスを生体外へ抜去する。術者は、治療デバイスを生体外へ抜去した後、イントロデューサー400のシースチューブ410の一部を手掌動脈Bから引き抜く。
次に、術者は、図3に示すように、第1孔部121aの周囲に配置された第1固定部123aに押圧部材150を接続する。術者は、穿刺部位tにイントロデューサー400のシースチューブ410の一部が挿入された状態で、押圧部材150を回転させることにより、押圧部材150の押圧部151を患者の手Hの甲Hbの外表面に接近させる。術者は、押圧部材150の押圧部151が穿刺部位tに接触するまで押圧部材150を回転させる。押圧部151は、穿刺部位tに接触するまで移動すると、圧迫止血を開始する(図5を参照)。
術者は、押圧部材150の押圧部151が穿刺部位tに対して所望の圧迫力を付与するように押圧部151の位置を調整した後、穿刺部位tを介して手掌動脈Bからイントロデューサー400のシースチューブ410を完全に抜去する。なお、図3、図5では、イントロデューサー400のシースチューブ410を穿刺部位tから完全に抜去した後の様子を示している。
術者は、止血器具100による圧迫止血を行っている間、押圧部材150の押圧部151が患者の手Hの体表面に接近するように押圧部材150を移動させることにより、穿刺部位tに対して付与する圧迫力を強めることができる。また、術者は、止血器具100による圧迫止血を行っている間、押圧部材150の押圧部151が患者の手Hの体表面から離間するように押圧部材150を移動させることにより、穿刺部位tに対して付与する圧迫力を弱めることができる。このように、術者は、患者の甲Hbに対する押圧部151の相対的な位置を調整することにより、押圧部151が穿刺部位tに付与する圧迫力を容易に調整することができる。
また、押圧部材150は、前述したように、シャフト部153が回転する際、シャフト部153の回転が押圧部151に伝達されないように構成している。そのため、シャフト部153を回転させて穿刺部位tに対して圧迫力を付与する際、シャフト部153の回転に同伴して押圧部151が回転することを抑制できる。止血器具100は、押圧部151の回転が抑制されることにより、押圧部151と接触する患者の手Hの甲Hbの皮膚が押圧部151の回転に巻き込まれて捻じられることを防止できる。
第1固定部123aに接続された押圧部材150は、被覆部材110に形成された第1孔部121aを覆った状態で、当該第1孔部121aに位置する領域に形成された穿刺部位tを圧迫する。そのため、押圧部材150は、穿刺部位t及びその周辺部の比較的狭い範囲で患者の手Hの甲Hbと接触する。それにより、押圧部材150は、手Hの甲Hbの一部に対して局所的に圧迫力を付与することができる。
止血器具100は、患者の手Hに被覆部材110が装着された状態において、装着部130が親指f1に引っ掛けられた状態で保持される。そのため、止血器具100は、患者の手Hへの被覆部材110の固定力を高めることができ、止血器具100の患者の手Hに対する位置ずれを防止できる。また、止血器具100は、患者の手Hの指間部fbに配置された引掛部128により、患者の手Hへの被覆部材110の固定力をより一層高めることができる。
術者は、止血を開始して一定時間が経過した後、押圧部材150による圧迫力を徐々に弱めて、穿刺部位tの止血が適切になされていることを確認する。前述したように押圧部材150は、押圧部材150の穿刺部位tと重なる部分が透明に形成されているため、術者は、押圧部材150が圧迫止血している間、穿刺部位tを押圧部材150の上方側から覗き込むことにより、穿刺部位tの止血状態を目視により容易に確認することができる。
術者は、穿刺部位tの止血が終了した後、押圧部材150の圧迫力を十分に弱める。その後、術者は、止血器具100を患者の手Hから取り外す。
以下、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態に係る止血器具100は、患者の手Hの外表面を被覆する被覆部材110と、被覆部材110に接続可能である押圧部材150と、を備えている。被覆部材110は、患者の手Hの外表面を覆う被覆部127と、患者の親指f1に配置される装着部130と、被覆部127に位置し、患者の手Hの外表面の一部を露出させる第1孔部121a及び第2孔部121bと、各孔部121a、121bの周囲に配置され、押圧部材150を接続可能である第1固定部123a及び123bと、を有している。また、押圧部材150は、第1孔部121a(又は第2孔部121b)が患者の手Hに形成された穿刺部位tを露出させた状態で、第1孔部121a(又は第2孔部121b)を覆うように第1固定部123a(又は第2固定部123b)に接続できる。また、押圧部材150は、押圧部材150と第1固定部123a(又は第2固定部123b)とが接続した状態で、穿刺部位tを押圧するように第1孔部121a(又は第2孔部121b)を挿通する方向に移動できる。
上記のように構成された止血器具100によれば、患者の手Hに形成した穿刺部位tに対して押圧部材150が圧迫力を付与する際、患者の親指f1に配置した装着部130が止血器具100の患者の手Hに対する位置ずれを防止する。そのため、止血器具100は、患者が手Hや各指f1~f5を動かした場合であっても、止血器具100と患者の手Hの外表面との間に隙間が生じることを防止し、第1孔部121a(又は第2孔部121b)が穿刺部位tに配置された状態を維持できる。また、止血器具100は、押圧部材150が被覆部材110と分離した別体であるため、術者が目視により第1孔部121a(又は第2孔部121b)が穿刺部位tに配置された状態を確認した後、被覆部材110の第1孔部121a(又は第2孔部121b)に押圧部材150を接続できる。したがって、止血器具100は、被覆部材110の第1孔部121a(又は第2孔部121b)が穿刺部位tに配置された状態を維持しつつ、第1孔部121a(又は第2孔部121b)に位置する穿刺部位tを確実に圧迫することができる。また、止血器具100は、被覆部材110の第1孔部121a(又は第2孔部121b)が患者の手Hに形成された穿刺部位tを露出させた状態で、押圧部材150が第1孔部121a(又は第2孔部121b)を覆いつつ、第1孔部121a(又は第2孔部121b)を挿通する方向に移動することにより、穿刺部位tを圧迫する。そのため、止血器具100は、患者の手Hに形成した穿刺部位tを押圧部材150により局所的に圧迫することができるため、効果的に圧迫止血することができる。
また、押圧部材150は、穿刺部位tを押圧する押圧部151と、押圧部材150が第1固定部123a又は第2固定部123bに接続された状態で、第1孔部121a又は第2孔部121bに垂直な方向に移動可能なシャフト部153と、を有している。押圧部151は、シャフト部153の回転が伝達しないようにシャフト部153に接続されている。止血器具100は、押圧部材150が上記のように構成されているため、術者がシャフト部153を回転させて穿刺部位tに対して圧迫力を付与する際、シャフト部153の回転に同伴して押圧部151が回転することを抑制できる。このように、止血器具100は、押圧部151の回転が抑制されることにより、押圧部151と接触する患者の手Hの甲Hbの皮膚が押圧部151の回転に巻き込まれて捻じられることを防止できる。
また、被覆部材110は、第1孔部121a及び第2孔部121bの複数の孔部を有している。押圧部材150は、各孔部121a、121bのうちの任意の孔部の周囲に配置された各固定部123a、123bに対して接続可能である。そのため、術者は、第1孔部121aが位置する領域又は第2孔部121bが位置する領域に形成した穿刺部位tに対して押圧部材150による圧迫止血を選択的に行うことができる。術者は、手技の内容、患者ごとの身体の解剖学的な構造等に応じて、各孔部121a、121bが位置する領域に穿刺部位tを選択的に形成することにより、手掌動脈Bへのアクセス時に最適な穿刺部位tを選択することができる。そのため、止血器具100は、dTRAの手技に使用される際、その利便性がより一層優れたものとなる。
また、被覆部材110は、患者の手Hの外表面に被覆部材110を配置した状態で、手Hを挟んで第1孔部121a又は第2孔部121bと対向する対面側に、被覆部材110よりも硬い材料で形成された支持部材160を有する。そのため、止血器具100は、第1固定部123a又は第2固定部123bに接続した押圧部材150により、手Hに対して圧迫力を付与する際、手Hを挟んで押圧部材150と対向する支持部材160により、手Hを支持することができる。それにより、止血器具100は、押圧部材150が穿刺部位tに対して付与する圧迫力を高めることができる。
また、押圧部材150は、押圧部材150が第1固定部123a又は第2固定部123bに接続された状態で、穿刺部位tに重ねて配置される部分が透明である。そのため、術者は、押圧部材150による圧迫止血がなされている間、押圧部材150の穿刺部位tと重なる部分を押圧部材150の上部側から覗き込むことにより、穿刺部位tの止血状態を目視により容易に確認することができる。
次に、本発明に係る止血器具の他の実施形態を説明する。以下に説明する第2実施形態及び第3実施形態の説明では、第1実施形態で既に説明した構成等についての詳細な説明は省略する。また、第2実施形態及び第3実施形態で特に説明がない内容については、第1実施形態と同一のものとすることができる。
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態に係る止血器具200の被覆部材110を患者の手Hに装着した際の様子を示す斜視図である。図7は、第2実施形態に係る止血器具200が備える固定部(第1固定部223a)の周辺部を拡大して示す斜視図である。
第2実施形態に係る止血器具200は、第1実施形態に係る止血器具100と固定部の構造が相違する。
図7、図8に示すように、第1孔部121aの周囲に配置された第1固定部223aは、第1孔部121aを囲む凸部225と、患者の手掌動脈(生体管腔)Bに留置されるイントロデューサー400の一部を挿通可能な挿通部225aと、を有している。
凸部225は、被覆部127の外表面から被覆部127に対して離間する高さ方向へ突出している。挿通部225aは、凸部225の壁部の一部が周方向に切り欠かれた切り欠き部により形成されている。凸部225の内周面には、押圧部材150のシャフト部153を接続するためのネジ溝224が形成されている。なお、第2孔部121bの周囲に配置された第2固定部223bは、第1固定部223aと実質的に同一の構成及び作用効果を有する。そのため、第2固定部223bについての詳細な説明は省略する。
術者は、止血器具200を使用する際、図7、図8に示すように、挿通部225aを介して、第1孔部121aが位置する領域に形成された穿刺部位tへイントロデューサー400を案内することができる。そのため、術者は、被覆部材110を患者に装着した状態においても穿刺部位tを介してイントロデューサー400を手掌動脈B内へ容易に挿入することができる。また、術者は、押圧部材150により穿刺部位tを圧迫止血する際、挿通部225aを介して穿刺部位tからイントロデューサー400を容易に抜去することができる。
また、止血器具200は、被覆部127から突出した凸部225に押圧部材150を接続するためのネジ溝224が形成されている。ネジ溝224は、凸部225の突出長に応じた全長を備える。それにより、凸部225のネジ溝224と押圧部材150のシャフト部153が螺合する範囲が長くなるため、第1固定部223aに対して押圧部材150をより確実に固定することができる。それにより、止血器具200は、押圧部材150が第1固定部223aから不用意に脱落することを防止できる。
凸部225において挿通部225aを形成する角度範囲(中心角)θ1は、凸部225の平面形状が真円である場合、例えば、90°~120°である。ただし、挿通部225aの形状は、イントロデューサー400の一部を挿通部225aを介して穿刺部位tに案内することが可能な限り、特に限定されない。凸部225の形状は、挿通部225aと同様に特に限定されない。
なお、本実施形態のように被覆部材110に複数の固定部223a、223bが設けられる場合、任意の固定部のみに挿通部225aを形成することができる。
以上、説明したように本実施形態に係る止血器具200では、第1固定部223aは、第1孔部121aを囲む凸部225と、患者の手掌動脈Bに留置されるイントロデューサー400の一部を挿通可能な挿通部225aと、を有している。そのため、術者は、被覆部材110を患者に装着した状態において、第1孔部121aが位置する領域に形成された穿刺部位tを介した手掌動脈B内へのイントロデューサー400の挿入、及び、穿刺部位tからのイントロデューサー400の抜去を容易に行うことができる。
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態に係る止血器具300の被覆部材110を患者の手Hに装着した際の様子を示す斜視図である。図9は、第3実施形態に係る止血器具300の孔部(第1孔部121a)の周辺部を拡大して示す斜視図である。図10は、第3実施形態に係る止血器具300を使用して穿刺部位tの止血を行っている際の様子を示す斜視図である。
第3実施形態に係る止血器具300は、第1実施形態に係る止血器具100及び第2実施形態に係る止血器具200と固定部の構造が相違する。
図8、図9に示すように、止血器具300が備える固定部323は、被覆部材110の本体部120に対して接続分離可能に構成している。
固定部323は、図9に示すように、内周面にネジ溝324が形成された凸部325と、患者の手掌動脈Bに留置されるイントロデューサー400の一部を挿通可能な挿通部325aと、を有している。
挿通部325aは、凸部325の底面側(図9の被覆部材110の本体部120と対向する面側)の一部を切り欠いて形成している。凸部325において挿通部325aを形成する角度範囲(中心角)θ1は、凸部325の平面形状が真円である場合、例えば、90°~120°である。
固定部323には、被覆部材110の本体部120に対する接続分離が可能な第1接続部328が設けられている。第1接続部328は、固定部323の底面(凸部325の底面)に沿って配置している。また、被覆部材110の本体部120の第1孔部121aの周囲には、第1接続部328を介して本体部120に対して固定部323を接続するための第2接続部329aを設けている。同様に、被覆部材110の本体部120の第2孔部121bの周囲には、第1接続部328を介して本体部120に対して固定部323を接続するための第2接続部329bを設けている。
第1接続部328及び第2接続部329a、329bは、例えば、第1接続部328と第2接続部329a(又は第2接続部329b)を磁力により接続及び分離可能にする磁石で構成することができる。ただし、第1接続部328及び第2接続部329a(又は第2接続部329b)は、固定部323を被覆部材110に対して接続及び分離可能であれば具体的な構成は特に限定されない。例えば、第1接続部328及び第2接続部329a、329bのその他の構成として、面ファスナーや嵌合式の機械的な接続機構を用いることができる。なお、面ファスナーは、面的に着脱可能なファスナーであり、例えば、Magic Tape(登録商標)やVelcro(登録商標)である。
術者は、第3実施形態に係る止血器具300を使用して止血を行う際、図9に示すように、第1孔部121a(又は第2孔部121b)が位置する領域に形成された穿刺部位tにイントロデューサー400のシースチューブ410を挿入した状態で、第1孔部121aに対して固定部323を接近させる。術者は、第1孔部121aに固定部323を接近させることにより、イントロデューサー400のシースチューブ410が穿刺部位tに挿入された状態を維持しつつ、固定部323を被覆部材110の本体部120に接続することができる。術者は、固定部323を被覆部材110の本体部120に接続する際、挿通部325aの位置がシースチューブ410と重なるように固定部323の向きを調整する。術者は、上記のように挿通部325aを配置することにより、凸部325がシースチューブ410と干渉することを防止できる。
以上、本実施形態に係る止血器具300によれば、固定部323が被覆部材110の本体部120に対して接続分離可能に構成されているため、止血器具100を使用した手技中の任意のタイミングで固定部323を被覆部材110に接続することができる。例えば、術者は、被覆部材110を患者の手Hに装着した状態において、押圧部材150による圧迫止血を開始するまで、固定部323を被覆部材110から取り外しておくことができる。術者は、固定部323を被覆部材110から取り外すことにより、第1孔部121a又は第2孔部121bが位置する領域に対し、穿刺やイントロデューサー400の挿入等の手技を容易に行うことができる。したがって、止血器具300を使用した手技をより一層円滑に進めることが可能になる。
なお、本実施形態のように被覆部材110に複数の孔部121a、121bが設けられる場合、任意の孔部の周囲のみに第2接続部を配置することができる。また、固定部323への挿通部325aの形成は適宜省略することが可能であるし、第2実施形態で示した挿通部225aと同様の形状の挿通部を固定部323に形成してもよい。
本発明は上述した各実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲に応じて種々の変更が可能である。
各実施形態では、固定部に対する押圧部材の接続形態としてネジ溝によるネジ込みを例示したが、上記の接続形態は、押圧部材が固定部に接続された状態において、押圧部材が穿刺部位に対して圧迫力を付与することが可能な限り限定されない。例えば、固定部に対する押圧部材の接続形態として、嵌合式等の機械的な機構を採用することができる。また、ネジ溝による接続形態以外の接続形態を採用する場合、当該接続形態は、押圧部材が穿刺部位に対して付与する圧迫力の大きさを可逆的に調整可能に構成されたものであってもよいし、穿刺部位に対して一定の圧迫力を付与するように構成されたものであってもよい。
また、各実施形態では、孔部は、被覆部材の手の甲側に配置される部分(被覆部材の手の甲側の面)に設けた例を説明したが、孔部は、被覆部材の手の掌側に配置される部分(被覆部材の手の掌側の面)に設けてもよい。孔部を被覆部材の手の掌側に配置される部分に設けた場合、術者は、止血器具を使用して手の掌側を走行する血管に対して各種の処置を実施することができる。また、術者は、止血器具を使用することにより、手の掌側に形成した穿刺部位を止血することが可能である。なお、孔部を被覆部材の手の掌側に配置される部分に設けた場合において、止血器具に支持部材を備えさせる場合、支持部材は被覆部材の手の甲側に配置される部分に設けることができる。
また、押圧部材は手に形成した穿刺部位に対して圧迫力を付与することが可能であれば具体的な構造は特に限定されない。例えば、押圧部材は、流体の注入及び排出に伴い拡張収縮可能な拡張部材で構成することも可能である。
また、各実施形態では、患者の左手に形成した穿刺部位を止血する際の使用例を説明したが、止血器具は患者の右手に対して手術を行う際にも使用することができる。この場合、止血器具の各部(例えば、孔部や固定部)の位置関係等は、患者の右手に形成した穿刺部位を止血することが可能となるように適宜変更することができる。
100、200、300 止血器具、
110 被覆部材、
120 被覆部材の本体部、
121a 第1孔部(孔部)、
121b 第2孔部(孔部)、
123a、223a 第1固定部(固定部)、
123b、223b 第2固定部(固定部)、
124、224、324 ネジ溝、
127 被覆部、
128 引掛部、
130 装着部、
150 押圧部材、
151 押圧部、
151a 挿通孔、
151b 収容部、
153 シャフト部、
153a 挿入部、
153b 頭部、
155 把持部、
160 支持部材、
225 凸部、
225a、325a 挿通部、
323 固定部、
324 ネジ溝、
328 第1接続部、
329a、329b 第2接続部、
400 イントロデューサー(医療デバイス)、
410 シースチューブ、
A 前腕部、
B 手掌動脈(生体管腔)、
H 手、
Hb 手の甲、
Hp 手の掌、
c1 押圧部材の中心軸、
f1 親指(指)、
t 穿刺部位(止血すべき部位)。

Claims (6)

  1. 患者の手の外表面を被覆する被覆部材と、
    前記被覆部材に接続可能である押圧部材と、を備え、
    前記被覆部材は、前記患者の手の外表面を覆う被覆部と、前記患者の指に配置される装着部と、前記被覆部に位置し、前記患者の前記手の外表面の一部を露出させる孔部と、前記孔部の周囲に配置され、前記押圧部材を接続可能である固定部と、を有し、
    前記押圧部材は、前記孔部が前記手に形成された止血すべき部位を露出させた状態で、前記孔部を覆うように前記固定部に接続可能であり、
    前記押圧部材は、前記押圧部材と前記固定部とが接続した状態で、前記止血すべき部位を押圧するように前記孔部を挿通する方向に移動可能であり、
    前記被覆部材は、前記患者の前記手の外表面に前記被覆部材を配置した状態で、前記手を挟んで前記孔部と対向する対面側に、前記被覆部材よりも硬い材料で形成された支持部材を有する、止血器具。
  2. 前記押圧部材は、前記止血すべき部位を押圧する押圧部と、前記押圧部材が前記固定部に接続された状態で、前記孔部に垂直な方向に移動可能なシャフト部と、を有し、
    前記押圧部は、前記シャフト部の回転が伝達しないように前記シャフト部に接続されている、請求項1に記載の止血器具。
  3. 前記固定部は、前記孔部を囲む凸部と、前記患者の生体管腔に留置される医療デバイスの一部を挿通可能な挿通部と、を有する、請求項1又は請求項2に記載の止血器具。
  4. 前記被覆部材は、複数の前記孔部を有し、
    前記押圧部材は、複数の前記孔部のうちの任意の前記孔部の周囲に配置された前記固定部に対して接続可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の止血器具。
  5. 前記押圧部材は、前記押圧部材が前記固定部に接続された状態で、前記止血すべき部位に重ねて配置される部分が透明又は半透明である、請求項1~のいずれか1項に記載の止血器具。
  6. 前記固定部は、前記被覆部材に対して接続分離可能である、請求項1~のいずれか1項に記載の止血器具。
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