JP7168196B2 - 腸管バリア機能向上剤 - Google Patents

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Description

本発明は、エビスグサ種子を含有することを特徴とする腸管バリア機能向上剤に関する。詳しくは、腸管バリア機能向上作用が、ムチン産生促進、抗菌ペプチド産生促進、タイトジャンクション産生促進である腸管バリア機能向上剤に関する。さらに、内服用肌荒れ改善作用を有する腸管バリア機能向上剤、および腸管バリア機能向上用食品組成物に関する。
消化管の一部である腸管の内側、すなわち食品消化物が通過する内腔側には、単層の腸管上皮細胞が存在する。腸管上皮細胞は、消化された食品中の各種栄養素を取り込む吸収機能に加えて、有害微生物や毒素、アレルゲンなどを生体に侵入させないバリア機能、あるいは腸管免疫と呼ばれる生体を守る機能を有していることが知られている。腸管のバリア機能が破綻すると、細菌、毒素、アレルゲンなどの異物が生体に透過、侵入し、炎症性腸疾患、肝疾患、食物アレルギーなどの疾患を引き起こす可能性がある(特許文献1)。
腸管バリア機能は、主に粘液、抗菌ペプチド、タイトジャンクションが知られている(非特許文献1)。
粘液の主成分は、ムチン(mucin)と呼ばれる腸管上皮細胞が産生する糖タンパク質である。消化器内腔面の粘膜を覆っている粘液は、粘膜表面の潤滑性を保ち、外来微生物や異物の侵入に対する防御因子として重要である。しかし、タバコやアルコール、各種薬剤、あるいはストレスなど、日常生活における種々の刺激により、粘液の生成が不十分となり、粘膜を保護するムチンが減少し、粘膜が傷害を受けることが知られている(特許文献2)。従って、腸管上皮細胞のムチン産生量を高めることは、腸管のバリア機能を高め、その結果、生体を傷害から守る生体防御機能の発揮に重要である。
抗菌ペプチドは、腸管上皮細胞が産生する抗菌作用を有するペプチドであり、病原性を有する微生物の増殖を抑える生体防御機能の一つである。ヒト由来の抗菌ペプチドは、ディフェンシンファミリー(α-ディフェンシン、β-ディフェンシンなど)、カセリシジン(LL-37)、ダームシジン(dermcidin)、LEAP-1(ヘプシジン)、LEAP-2、Regenerating Islet-derived ファミリーに属するペプチド(Regペプチド)などが知られている。腸管上皮細胞の抗菌ペプチドの産生量を高めることは、病原性微生物の増殖を抑えることで、腸管バリア機能を高め、生体を傷害から守る生体防御機能の発揮に重要である。
タイトジャンクションは、腸管上皮細胞が産生するタンパク質で、その働きは、隣接する腸管上皮細胞同士を密着させるばかりでなく、細胞と細胞との隙間をシールすることで物質の透過を制御し、細胞間の接着を維持するために重要なものである。腸管上皮細胞が産生するタイトジャンクションは、膜貫通型タンパク質のオクルディンやクローディン、TJP1、TJP2などのタンパク質によって構成される複合タンパク質群が知られている(非特許文献2)。腸管のタイトジャンクション機能が低下すると、食物アレルゲンや病原性微生物などが生体へ侵入し、炎症性腸疾患や各種感染症などの一因になると考えられている。腸管上皮細胞のタイトジャンクションの産生量を高めることは、腸管バリア機能を高め、腸炎などの炎症性腸疾患、あるいは各種感染症を防ぎ、生体を傷害から守る生体防御機能の発揮に重要である。
また、ムチン産生促進作用、抗菌ペプチド産生促進作用、タイトジャンクション産生促進作用で腸管バリア機能を向上させると、腸管内に存在するビフィズス菌などの善玉菌を増殖させ、その結果、腸内フローラを健全に保つことで、下痢や便秘を改善することが知られている。さらに、腸内フローラを健全に保つことで、各種感染症から生体を守る作用や、肌荒れやニキビ・吹き出物の改善作用も期待される。
エビスグサは、学名をCassia obtusifoliaといい、近年、Senna obtusifoliaとも示される。エビスグサの種子は、漢方名を決明子といい、中国では視力を回復させる薬として用いられてきた。また、ハブ茶としても知られている(非特許文献3)。また、薬理作用として、アディポネクチン増加(特許文献3)、歯周病予防作用(特許文献4)などが知られているが、エビスグサ種子の腸管バリア機能向上作用については知られていない。
特開2014-210718号公報 特開2016-169119号公報 特開2011-63542号公報 特許第2986991号
高橋恭子、腸内細菌学雑誌、25、p.213-219(2011) 清水誠、蛋白質核酸酵素、44、p.874-880(1999) 南江堂、東京生薬協会、新常用和漢薬集、p.38-39(1973)
本発明の目的は、エビスグサ種子を含有することを特徴とする腸管バリア機能向上剤を提供することである。詳しくは、腸管バリア機能向上作用が、ムチン産生促進、抗菌ペプチド産生促進、タイトジャンクション産生促進である腸管バリア機能向上剤であり、内服用肌荒れ改善作用を有する腸管バリア機能向上剤、および腸管バリア機能向上用食品組成物を提供することである。
本発明に用いるエビスグサ種子は、マメ科の植物であるエビスグサ(Cassia obtusifoliaまたはSenna obtusifolia)、または近縁種のCassia toraあるいはSenna toraの種子を用いることができる。エビスグサ種子は、漢方名を決明子と称し、決明子に利用される植物の種子も用いることができる。
本発明に用いるエビスグサ種子は、そのまま用いることができ、必要に応じて、乾燥、粉砕、細切などの処理を行ったものを用いることもできる。また、エビスグサ種子をそのまま、あるいは以上の処理を行ったものを抽出した抽出物も用いることができる。抽出する溶媒としては、例えば、水、低級アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなど)、液状多価アルコール類(1、3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテルなど)、エーテル類(エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテルなど)が挙げられる。これらの溶媒は、1種または2種以上を混合して用いても良い。本発明では、抽出溶媒は水、低級アルコールなどの極性溶媒、特に水が好ましい。
上記抽出物は、抽出した溶液のまま用いても良く、必要に応じて、濃縮、希釈、濾過、活性炭などによる脱色、脱臭、エタノール沈殿などの処理をして用いても良い。さらには、抽出した溶液を濃縮乾固、噴霧乾燥、凍結乾燥などの処理を行い、乾燥物として用いても良い。
本発明に用いるエビスグサ種子の摂取量は、投与形態、使用目的、年齢、体重などによって適宜調整することができる。成人1日当たりのエビスグサ種子の摂取量は、エビスグサ種子の乾燥物に換算して0.1~1000mg、好ましくは1~100mgの範囲で1日1回から数回、経口摂取できる。上記摂取範囲より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて摂取する必要がある場合もある。また、製剤化における薬効成分の添加法については、予め加えておいても、製造途中で添加しても良く、作業性を考えて適宜選択すれば良い。
本発明の腸管バリア機能向上剤は、食品、医薬部外品、医薬品として用いることができる。食品としては、顆粒剤、タブレット、硬カプセル、軟カプセル、飲料、ゼリーなどとして用いることができる。また、医薬部外品や医薬品では、経口用の散剤、顆粒剤、錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、シロップ剤、丸剤、懸濁剤、液剤、乳剤など、非経口用の注射剤、座剤などとして用いることができる。
本発明の腸管バリア機能向上剤は、エビスグサ種子をそのまま使用しても良く、効果を損なわない範囲内で、必要に応じて通常の食品、医薬部外品または医薬品に用いられる賦形剤、安定剤、保存剤、結合剤、崩壊剤、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、pH調整剤、防腐剤、香料などの成分を含有することもできる。さらに、ビタミン類、糖類、タンパク質などの成分を含有することができ、本発明の目的を達するため、ビフィズス菌、乳酸菌、オリゴ糖、難消化性デキストリン、ラクトフェリンなどの成分を含有することが望ましい。
本発明の腸管バリア機能向上剤は、腸管バリア機能の低下を抑制、あるいは回復させるために使用することができる。従って、腸管バリア機能の低下を原因とする疾患である、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎などの予防または改善のために使用することができる。
本発明のエビスグサ種子を含有することを特徴とする腸管バリア機能向上剤は、ムチン産生促進作用、抗菌ペプチド産生促進作用、タイトジャンクション産生促進作用、肌荒れ改善作用を有する。
本発明を詳細に説明するため実施例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。実施例に示す含有量の%は重量%を示す。
以下に、エビスグサ種子を用いた溶媒抽出物の製造例を示す。
製造例1 エビスグサ種子熱水抽出物
エビスグサの種子の破砕物100gに精製水2000mLを加え、95~100℃で2時間抽出した後、濾液を濃縮し、凍結乾燥することでエビスグサ種子熱水抽出物7.0gを得た。
製造例2 エビスグサ種子30%エタノール抽出物
エビスグサの種子の破砕物100gに精製水1400mLとエタノール600mLを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、エビスグサ種子30%エタノール抽出物5.1gを得た。
製造例3 エビスグサ種子50%エタノール抽出物
エビスグサの種子の破砕物100gに精製水1000mLとエタノール1000mLを加え、常温で5日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、エビスグサ種子50%エタノール抽出物3.8gを得た。
製造例4 エビスグサ種子エタノール抽出物
エビスグサの種子の破砕物100gにエタノール2000mLを加え、常温で7日間抽出した後、濾液を濃縮乾固して、エビスグサ種子エタノール抽出物1.2gを得た。
処方例1 顆粒剤
処方 含有量(%)
1.エビスグサ種子熱水抽出物(製造例1) 0.05
2.ショ糖 50.00
3.コーンスターチ 49.95
[製造方法]成分1~3を、流動層造粒(噴霧液は水)により、顆粒剤を得た。
[用法]1日当り1包(1.5g)を摂取する。
処方例2 顆粒剤
処方 含有量(%)
1.エビスグサ種子熱水抽出物(製造例1) 0.01
2.ビフィズス菌末 10.00
3.乳酸菌末 5.00
4.ミルクオリゴ糖 50.00
5.難消化性デキストリン 33.99
6.プルラン 1.00
[製造方法]成分1~5を、流動槽造粒(噴霧液はプルランを水に溶解させる)により、顆粒剤を得た。
[用法]1日当り1包(1.5g)を摂取する。
処方例3 錠剤
処方 含有量(%)
1.エビスグサ種子30%エタノール抽出物(製造例2) 0.1
2.乳酸菌末 2.0
3.ミルクオリゴ糖 30.0
4.コーンスターチ 55.9
5.結晶セルロース 10.0
6.グリセリン脂肪酸エステル 2.0
[製造方法]成分1~5を混合し、10%の水を結合剤として加えて、押出し造粒後、乾燥する。成型した顆粒に成分6を加えて混合し、打錠する。1錠0.5gとする。
[用法]1日当り4錠を摂取する。
処方例4 散剤
処方 含有量(%)
1.エビスグサ種子50%エタノール抽出物(製造例3) 0.01
2.ビフィズス菌末 10.00
3.コーンスターチ 25.00
4.結晶セルロース 64.99
[製造方法]成分1~4を混合し、散剤とする。
[用法]1日当り1包(3g)を摂取する。
処方例5 ゼリー
処方 含有量(%)
1.エビスグサ種子エタノール抽出物(製造例4) 0.001
2.ミルクオリゴ糖 1.000
3.カラギーナン 2.000
4.ゼラチン 1.000
5.ショ糖 25.000
6.精製水 70.999
[製造方法]成分1~6を混合し、加熱しながら煮詰め、ゼリーの型に流し込み、冷却する。
[用法]1日当り1個(100g)を摂取する。
処方例6 飲料
処方 含有量(%)
1.エビスグサ種子熱水抽出物(製造例1) 0.01
2.マルチトール 5.00
3.クエン酸 1.00
4.香料 0.50
5.精製水 93.49
[製造方法]成分1~4を成分5の一部に攪拌溶解する。成分5の残りを加えて混合し、90℃に加熱して30mLのガラス瓶に充填する。
[用法]1日当り1本(30mL)を摂取する。
試験例1 腸管上皮細胞に対するエビスグサ種子のムチン、抗菌ペプチド、タイトジャンクション産生促進作用
腸管上皮細胞Caco-2を1%非必須アミノ酸、10%FBS含有DMEM中で14日間培養した後、エビスグサ種子熱水抽出物(製造例1)を添加した。蛍光免疫染色は、試料添加24時間後に細胞を4%paraformaldehydeで固定し、タイトジャンクション(TJP2、Bioss製)、DAPI(Roche製)で染色を行い、細胞数当たりの蛍光強度を比較した。遺伝子発現解析は、試料添加24時間後に抽出したRNAからcDNA溶液を調製し、SYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法で遺伝子発現解析を行った。遺伝子発現は、ムチン(MUC2)、抗菌ペプチド(REG1A)、タイトジャンクション(TJP2)について解析した。その際、GAPDH(Glyceraldehyde-3-Phosphate Dehydrogenase)を内部標準として、目的遺伝子とGAPDHの比率から発現量を算出した。尚、遺伝子発現解析に使用したプライマーは次の通りである。
MUC2用のプライマーセット
(配列番号1)CAATACCTGCACCTGCAAGAG
(配列番号2)CCGTCAAAGTCGTAGTACTTCC
REG1A用のプライマーセット
(配列番号3)GTTGATGCAGATCTCTATTGCC
(配列番号4)GACATTGAAGTCATCAGTGCC
TJP2用のプライマーセット
(配列番号5)AAAGCAGAGCGAACGAAGAG
(配列番号6)CGAAGATCTGACTCCCAAGC
GAPDH用のプライマーセット
(配列番号7)TGCACCACCAACTGCTTAGC
(配列番号8)TCTTCTGGGTGGCAGTGATG
試験例1の蛍光免疫染色の結果を表1に示した。エビスグサ種子熱水抽出物を添加すると、TJP2の蛍光強度が増加したことから、エビスグサ種子熱水抽出物に、タイトジャンクション産生促進作用が認められた。
Figure 0007168196000001
試験例1の遺伝子発現解析の結果を表2に示した。エビスグサ種子熱水抽出物により、MUC2、REG1A、TJP2の遺伝子発現量が増加した。
Figure 0007168196000002
また、試験例1のエビスグサ種子熱水抽出物を、製造例2、3、4のエビスグサ種子抽出物に置き換えた場合のいずれにおいても同様の効果が得られた。以上の結果から、エビスグサ種子に、ムチン産生促進作用、抗菌ペプチド産生促進作用、タイトジャンクション産生促進作用が認められ、腸管バリア機能向上作用を有することが明らかとなった。
試験例2 腸管上皮細胞に対するエビスグサ種子の腸管バリア機能低下抑制作用
腸管上皮細胞Caco-2を12ウェルトランスウェル上に播種し、1%非必須アミノ酸、10%FBS含有DMEM中で14日間培養した後、TNFαとエビスグサ種子熱水抽出物を添加し、72時間後にバリア機能の指標として、経上皮電気抵抗(TER)を測定した。遺伝子発現解析は、TNFαとエビスグサ種子熱水抽出物の添加24時間後に細胞を回収し、試験例1と同様の方法で、タイトジャンクション(TJP2)、炎症性サイトカイン(IL-6)について解析した。尚、遺伝子発現解析に使用したプライマーは次の通りである。
TJP2用のプライマーセット
(配列番号5)AAAGCAGAGCGAACGAAGAG
(配列番号6)CGAAGATCTGACTCCCAAGC
IL-6用のプライマーセット
(配列番号9)ATGGCTGAAAAAGATGGATGCT
(配列番号10)GCTCTGGCTTGTTCCTCACTACTC
GAPDH用のプライマーセット
(配列番号7)TGCACCACCAACTGCTTAGC
(配列番号8)TCTTCTGGGTGGCAGTGATG
試験例2において、未添加の経上皮電気抵抗を100とし、TNFα、あるいはTNFα+エビスグサ種子熱水抽出物を添加した場合の経上皮電気抵抗の結果を表3に示した。エビスグサ種子熱水抽出物により、TNFαによって低下した経上皮電気抵抗が増加した。以上の結果から、エビスグサ種子に、優れた腸管バリア機能低下抑制作用があることが明らかとなった。
Figure 0007168196000003
試験例2の遺伝子発現解析の結果を表4に示した。エビスグサ種子熱水抽出物により、TNFαによるTJP2低下抑制と、IL-6増加抑制が認められた。
Figure 0007168196000004
試験例3 マウスを用いたエビスグサ種子の腸管バリア機能向上作用
5週齢の雄性Balb/cマウスを、対照群、エビスグサ種子投与群の2群に分け、対照群には通常の粉末飼料を、エビスグサ種子群には、エビスグサ種子熱水抽出物を1.2%混合した粉末飼料を、14日間自由摂取させた。大腸組織からRNAを抽出し、試験例1と同様の方法で遺伝子発現解析を行った。遺伝子発現は、ムチン(MUC2)、抗菌ペプチド(REG1A)、タイトジャンクション(TJP2、CLDN4)について解析し、目的遺伝子と内部標準であるGAPDHの比率から発現量を算出した。尚、遺伝子発現解析に使用したプライマーは次の通りである。
MUC2用のプライマーセット
(配列番号11)CACTCCCTCTTCACCTCCAG
(配列番号12)GCCCTGTTGTGGTCTTTGAG
REG1A用のプライマーセット
(配列番号13)GCAGTGGGTCTCTGTTTCTC
(配列番号14)CTTGTATCCTGTGTTTGAAGTCAG
TJP2用のプライマーセット
(配列番号15)AAGGAAAGATGGAAGGGATGG
(配列番号16)TGTCTTCAAAGTCACTGATGAG
CLDN4用のプライマーセット
(配列番号17)GTCATCAGCATCATCGTGGG
(配列番号18)CCACCATAGGGTTGTAGAAGTC
GAPDH用のプライマーセット
(配列番号19)GTCATCAGCATCATCGTGGG
(配列番号20)CCACCATAGGGTTGTAGAAGTC
試験例3の遺伝子発現解析の結果を表5に示した。エビスグサ種子熱水抽出物により、MUC2、REG1A、TJP2、CLDN4の遺伝子発現量が増加した。
Figure 0007168196000005
試験例4 DSS大腸炎モデルを用いたエビスグサ種子の腸管バリア機能低下抑制作用
炎症性腸疾患のモデルとしてDSS(デキストラン硫酸ナトリウム)誘発マウスを用いた。5週齢の雄性Balb/cマウスに、デキストラン硫酸ナトリウム(MP Biochemicals製)を水に溶解させ摂取させた。試験では、対照群、大腸炎群、大腸炎+エビスグサ種子群の3群を設けた。大腸炎+エビスグサ種子群には、エビスグサ種子熱水抽出物を1.2%混合した粉末飼料を、DSS投与5日前から自由摂取させた。DSS投与翌日から、1日1回、体重の測定と、便性状を目視によりスコア判定を行った。便性状のスコアは、下痢について0点(正常)1点(軟便)2点(下痢便)3点(水様便)とし、血便について0点(正常)1点(便に血が混じる)2点(肛門に血液が付着)3点(肛門から常に出血)とした。下痢と血便スコアの合計を個体当りの大腸炎スコアとして算出した。DSS投与9日目に、大腸組織の長さを計測し、大腸長とした。また、大腸組織の遺伝子発現解析は試験例1と同様の方法で行い、タイトジャンクション(TJP2、CLDN4)、炎症性サイトカイン(IL-6、TNFα)について解析し、目的遺伝子と内部標準であるGAPDHの比率から発現量を算出した。
TJP2用のプライマーセット
(配列番号15)AAGGAAAGATGGAAGGGATGG
(配列番号16)TGTCTTCAAAGTCACTGATGAG
CLDN4用のプライマーセット
(配列番号17)GTCATCAGCATCATCGTGGG
(配列番号18)CCACCATAGGGTTGTAGAAGTC
IL-6用のプライマーセット
(配列番号21)ACTCCCAACAGACCTGTCTATACCA
(配列番号22)TCCACGATTTCCCAGAGAACA
TNFα用のプライマーセット
(配列番号23)GCCAGCCGATGGGTTGTA
(配列番号24)GGCAGCCTTGTCCCTTGA
GAPDH用のプライマーセット
(配列番号19)TGGAGAAACCTGCCAAGTATG
(配列番号20)CCCTCAGATGCCTGCTTCA
試験例4の体重変化の結果を表6、大腸炎スコアの結果を表7、大腸長の結果を表8に示した。エビスグサ種子熱水抽出物を摂取することで、DSS誘発大腸炎マウスにおける体重の減少抑制、大腸炎スコアの抑制、大腸長の短縮抑制の作用が認められた。
Figure 0007168196000006
Figure 0007168196000007
Figure 0007168196000008
また、試験例4の遺伝子発現解析の結果を表9に示した。エビスグサ種子熱水抽出物を摂取することで、DSS誘発大腸炎マウスにおけるTJP2、CLDN4の低下、IL-6、TNFαの増加が抑制された。以上の結果から、エビスグサ種子は、タイトジャンクション産生低下抑制作用と炎症抑制作用を示すことから、エビスグサ種子の腸管バリア機能低下抑制作用、大腸炎予防作用が期待できる。
Figure 0007168196000009
試験例5 エビスグサ種子の肌荒れ改善作用
肌荒れに悩む男女22名に、処方例1のエビスグサ種子熱水抽出物を含有する顆粒剤を3ヶ月間摂取させた。その結果、肌の角質水分量、表皮水分保持能が上昇した。また、肌荒れ改善作用についてアンケート調査をおこなったところ、表10に示す様に極めて優れた肌荒れ改善作用が認められた。
Figure 0007168196000010
本発明は、エビスグサ種子を含有する、ムチン産生促進、抗菌ペプチド産生促進、タイトジャンクション産生促進作用を有する腸管バリア機能向上剤を提供する。また、内服用肌荒れ改善作用を有する腸管バリア機能向上剤、あるいは腸管バリア機能向上用食品組成物を提供することができ、これらの作用を有するエビスグサ種子を含有する食品、医薬部外品、医薬品に利用できる。

Claims (2)

  1. エビスグサ種子を含有することを特徴とする、腸管上皮細胞のムチン産生促進剤(腸管バリア機能向上剤、内服用肌荒れ改善剤を除く)。
  2. エビスグサ種子を含有することを特徴とする、腸管上皮細胞の抗菌ペプチド産生促進剤(腸管バリア機能向上剤、内服用肌荒れ改善剤を除く)。
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